マギカではなくリリカル   作:ADONIS+

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11.殲滅

 ある程度の人間が集まれば自然と派閥ができる。それは監察軍でも例外ではなく、監察軍における最大派閥は総司令官トレーズ率いるトレーズ派であるが、他にも少数派閥は存在している。

 

 虚無の使い魔というのもそんな少数派閥の一つで、そのメンバーはリーダーの涼宮ハルヒを含めて、ランカ・リー、テレサ、ホシノ・ルリの僅か四名という小さな派閥だった。

 

 そんな彼女たちはトレーズからある命令を受けていた。その内容はこれまでに類を見ない苛烈なものであった。なんと九兵衛が蔓延っている『魔法少女リリカルなのは』の並行世界の一つを丸ごと殲滅せよというものだった。

 

 確かに九兵衛が活動している世界を放置できないが、我々が大々的に介入するとなると現地に者たちが邪魔になる。かといって、現地の人間にいちいち私たちやベヅァーの存在を触れ回って協力を求めるのは非効率的すぎる。第一あまりにもとんでもない話だけに信じてもられるとは到底おもえない。

 

 結局、りおんによる焼け石に水な行動しか起こせていなかったが、時空管理局の暴走で状況は一変した。

 

 理由はどうあれ彼らはブリタニア帝国引いては監察軍に敵対行為をしたことで、彼らと協力して九兵衛に対処するという選択肢は永遠に失われることになった。それどころか、監察軍としては管理局に何らかの制裁を加える必要すら出てきたのだ。

 

「まあ、これなら九兵衛の駆除と管理局への制裁が同時にこなせるわね」

 

 ハルヒにとってあの世界の次元世界など守る価値はない。同胞であったりおんの家族どころか彼女の第二の故郷であった地球は管理局が打ち込んだアルカンシェルで死の星となっており、もはや何の遠慮もいらなかった。

 

「それで今回の一件はブリタニア帝国は何て言っているの?」

 

 ランカがブリタニアの反応を気にしていたらしく、そう訊ねてきた。

 

「シドゥリ陛下は『あの世界がどうなろうがかまわないから九兵衛を排除するように』と、言っていたそうよ。まあ、管理局が反ブリタニアを掲げて敵対してきたのもあるけど」

 

 シドゥリにとって並行世界の一つや二つがどうなろうが知った事ではなかった。それよりも九兵衛対策の方が大切だったのだ。ましてや自分たちに敵対してきた連中などゴミ以下でしかない。

 

「つまり殲滅戦を実行しても問題ないというわけだな」

 

「その通りよ。テレサ」

 

 テレサの最終確認にハルヒはそう答えた。

 

「貴女たちも思うところはあるでしょうが、りおんの敵討ちも兼ねて盛大にやりましょう」

 

 

 

 

 

 かくして、虚無の使い魔たる四人のトリッパーは件の次元世界に侵攻を開始した。宣戦布告などは一切なく、ただひたすら管理世界・管理外世界を問わず破壊していく。

 

 ハルヒは次元振動弾という特殊な魔法科学をもちいた大規模大量破壊兵器を投入して数多の世界を丸ごと破壊していく。この次元振動弾はジュエルシードを参考にした次元干渉型兵器だ。

 

 原典のジュエルシード自体は欠陥品としかいいようのない願望器であったが、複数のジュエルシードを連鎖反応させて大規模次元震を引き起こす大量破壊兵器としてなら使いようがあった。

 

 この次元振動弾はブリタニア帝国がそれに着目して大規模次元震を引き起こして多くの世界を一気に破壊する為に開発した曰くつきのものだった。それだけにその威力は凄まじく、たった数百発をぶち込むだけで膨大な次元世界の大半が消し飛んでしまったのだ。

 

 残りの世界にしてもランカが操る宇宙怪獣(トップをねらえ!)やルリ率いるバイド(R-TYPE)などに蹂躙されていた。勿論、テレサも負けておらず各地の世界にブラックホール爆弾(トップをねらえ!)を送り込んで始末していく。

 

 攻撃開始から数時間が過ぎた頃には管理局の領域外の世界は軒並み破壊でき、管理世界にしても半数以上が崩壊していたが、そんな最中ルリから管理局が必死に通信で和睦を呼び掛けているとの連絡が入ってきた。

 

 ハルヒはそれを鼻で笑う。この状況で降伏どころか和睦を呼び掛けるなどどこまで愚かな連中なのだろうか、と。

 

 そもそもこれは戦争ではなく、九兵衛という世界を蝕むベヅァーの手先を駆除するために除染作業にすぎない。故に例え降伏を呼び掛けても受け入れないが、これはそれ以前の問題だ。

 

「それじゃ、『バカめ』と返信しておいて」

 

「わかったわ」

 

 ハルヒの言葉にルリは笑みを浮かべてくれた。『バカめ』と通信を送るのは一回やってみたかったネタだったけど、本当にやる機会があるとはおもわなかった。よほどのバカ相手じゃないとできないネタだからね。

 

 本当にバカに付ける薬はない。いくら監察軍でもバカを直す発明はできていないのだ。バカは死ななきゃ治らないから、彼らには是非とも死んでバカを直してほしいものだ。

 

 こうして、管理局は和睦どころか降伏すらできず、次元世界ごと殲滅させられるのであった。




解説

■涼宮ハルヒ
『トリッパー列伝 涼宮ハルヒ』に登場したトリッパー。マジックアイテムの使用に長けた転生特典を有していて、今回はブリタニア帝国の大量破壊型のマジックアイテムで次元世界の多くを破壊した。

■ランカ・リー
『トリッパー列伝 ランカ・リー』に登場したトリッパー。下位世界の生物の召喚使役に長けており、今回は『トップをねらえ!』の世界から宇宙怪獣を召喚している。

■テレサ
『トリッパー列伝 テレサ』に登場したトリッパー。あらゆる武器を創造することができる。今回はあちこちの世界で『トップをねらえ!』の世界に出てくるブラックホール爆弾を創造して爆発させている。

■ホシノ・ルリ
『トリッパー列伝 ホシノ・ルリ』に登場したトリッパー。彼女のバイド基幹艦隊は第二次ベヅァー戦争ではベヅァーの足止めするなどの活躍をしている。今回はその戦闘能力と侵食能力で各世界を飲み込んでいる。



あとがき

 今回、時空管理局があっという間に一掃されてしまいました。まあ、ブラックホール爆弾や次元振動弾の大量使用だけでも無理ゲーなのに、膨大な数のバイドや宇宙怪獣に蹂躙されたらちゃちな次元航行艦隊ではまったく歯が立ちません。というか、今回投入された戦力はブリタニア帝国軍ですら蹂躙できるほどの質と量なので、管理局では相手になりません。
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