「それは確かにおかしな事だね」
監察軍と合流した私は縄張りとしている『魔法少女リリカルなのは』の世界で、本来ならば別の世界の存在であるはずの魔女や魔法少女が存在しているという異常事態を総司令トレーズ・クシュリナーダと相談していた。
「それで、リリカルとマギカのクロスオーバーなんて下位世界があるんですか?」
『魔法少女リリカルなのは』の世界にキュゥべえもどき、魔女、魔法少女などがいるのは明らかに異常であるが、二次小説のようなクロスオーバー世界ならばあり得るかもしれない。
しかし、死神は確かに『魔法少女リリカルなのは』の世界だと言っていたが、『魔法少女まどか☆マギカ』とのクロスオーバー世界だは言っていなかった。もしかしたら死神に騙されていたのかと思ったが、死神がそんなことをする理由が思いつかない為に多分違うだろう。
「確かに複数の世界観がごちゃまぜになった下位世界というのもあるが、それは『スーパーロボット大戦』のような最初から複数の作品がミックスされている創作物の世界しかありないよ」
これまで、監察軍はそのような世界は見つけてこなかった。というのも、上位世界人の下位世界創造は創作物の原作ごとに行われているからだ。
例えば上位世界人がネットなどでクロスオーバーの二次小説を見てもそれぞれの原作が認識されるだけで、その二次小説そのものはそこまで意識されない為、クロスオーバー物の二次小説などは具現化していなかった。
「それに死神は確かに『魔法少女リリカルなのは』の世界だといっていたのだろう。ならばクロスオーバー世界ではない筈だ」
死神はそんなことでトリッパーを騙すようなことはしない、とトレーズが付け加えた。
「しかし、ただの偶然でマギカ要素が発生したと考えるには無理がある。だから何物かがあの世界に介入したとしか思えないね」
「介入ですか?」
「そう、誰かがあのキュゥべえもどきをあの世界にバラまいてマギカの要素を付け加えたと考えた方がいいね。でも、問題は誰がそんなことをしたかだ。私の知る限り監察軍はそんなことはしていない」
「では、いったい誰がそんなことを?」
「それは私にも分からない。確認していないがどうも嫌な予感がするね。こうなると、あの世界は念入りに調べておいた方がいいと思うが、君は構わないかな?」
あの世界は私の縄張りだからいくら監察軍でも私に無断で介入できないから、このようにトレーズが了承を求めているのだ。今回の場合はかなりの念入りに調査されるでしょうから、私の縄張りを荒らすことになりかねない。普通ならば嫌がるでしょうが、このような異常事態ならばそんな縄張り意識を持つわけにはいきません。
「ええ、私としてもこの状況はかなり危険なので、この際徹底的に調査してください」
こうなった原因を特定しておかないと拙いと、私も判断していたので、私は当然ながらそう答えた。
さて、あの世界の調査はそれでよいとして、マギカ要素があり、人々を呪う危険極まりない魔女が世界中に跳梁跋扈しているからには私自身も身を守る必要がある。それ以前に、原作時期には海鳴市の魔女を掃討しておかないといけないから、どうしても戦う力が必要になるだろう。
『魔法少女リリカルなのは』の世界で力といえば魔法であるが、残念ながら私にはリンカーコアがない。つまりどうあっても魔導師にはなれない。かといってあの九兵衛と契約して魔法少女になるなど論外である。
こうなると、私の持つ力で戦わねばならないが、私の転生特典は『機動戦士ガンダムSEED』の空間認識能力のみだ。この能力はガンダム世界ならばMS(モビルスーツ)の無線誘導兵器を使えるニュータイプのようなパイロットとして活躍する事が出来るが、『魔法少女リリカルなのは』の世界でMSを投入するわけにはいかない。
いや、そもそもあの世界はロボット兵器がないから、いきなり20m弱のMSなんか持ち込んだら大騒ぎになってしまってとても使えない筈です。
あの世界で運用できて、何の能力もない人間が魔女を倒すことができる装備となるとかなり限られるが、その辺りも探しておいた方がいいでしょう。
はあ、どうしてこうなってしまったのか。私は別にチート能力を使って無双とか思っていなかった。ただ安全でのんびりとした生活を送りたかっただけなのに。
あまりの理不尽さに「世界は、いつだって……こんなはずじゃないことばっかりだよ!!」と、思わずネタに走りながらも私はあまりの状況に溜息を吐いた。
解説
■MS(モビルスーツ)
『機動戦士ガンダム』などでお馴染みの巨大ロボット兵器。漢のロマンというべき代物であろうが、目立ちすぎてとても使える代物ではない。
■世界は、いつだって……こんなはずじゃないことばっかりだよ!!
クロノ・ハラオウン(魔法少女リリカルなのは)の名セリフ。りおんがネタとして使用している。
あとがき
このトリッパーシリーズでは二次小説などのクロスオーバー作品の下位世界は存在しないという設定にしています。本シリーズでクロスオーバーの下位世界も認めるかどうか悩みましたが、やはり設定が余計にややこしくなってしまうので、クロスオーバーはなしにしました。