フェイトとの遭遇戦以降も私はジュエルシードの回収を続けていた。先日小規模な次元震があったから時空管理局がそろそろ来ている頃だろう。
実のところ管理局との接触に関してはこちらとしても対処に困るものだった。何しろ私が使う装備は明らかにこの世界の物ではないので、下手をすればロストロギア扱いされて揉め事になる可能性は否定できない。
その点も考えると管理局とは距離を取りたいのであるが、私がジュエルシードを集めている以上は彼らの方からこちらに接触してくるはずだから何時までも無視するわけにはいかない。
本当の面倒な連中である。私たち監察軍もあまり人の事を偉そうにいえないが、独善的で強権を持つ組織というのは厄介です。仕方ないからこちらから接触しするとしましょう。
そして、なのはとフェイトの戦いをクロノが止める場面になった。その時は二人の行動を傍観していたが、クロノが現れるとフェイトとアルフが逃げていった。
「君も武装解除して来てもらおうか」
そんな私にクロノがアースラに同行するように求めてきた。さて、どうするか。ここで拒否すれば揉め事になるかもしれないが、私が身にまとっているTA-ユニットは間違いなく管理局の技術水準を大幅に上回っている為にロストロギア扱いされて没収される恐れがある。
当然ながら下位世界へ余計な技術流出をしない監察軍のトリッパーとしては、TA-ユニットの没収など認められないので敵対してでも拒否すべきである。
「お断りしますわ」
「なに、管理局に逆らうのか?」
クロノが突っかかってくるが、そもそもこの地球は管理局の勢力圏ではないから彼らの法に従わなければならない道理はない。
「逆らうも何も、ここは管理局の法律が適応されない世界で、私はこの世界の住民なの。だから管理局に従う必要はないわ。むしろこの国に不法入国してこの国の法に違反しているのは貴方ですよ」
「なっ!」
お前の方が犯罪を犯していると指摘している私の言葉にクロノが顔色を変えていた。管理局が管理外世界で行動する際に現地の法を無視するのはよくある話なのだが、私のような少女からこんなつっこみを受けた事はないのだろう。
「話ならば私がわざわざそちらに行かなくてもここで話せばいいでしょう」
「……いいだろう」
クロノが渋々頷いた。彼らとしては事情を聴きたいと思っているだけにここで私と揉めてしまい決裂してしまうのは避けたいのだろう。
「早速本題に入りましょう。貴方たちはこの世界に21個の次元干渉型のロストロギアがこの世界にバラまかれてしまったというにはご存知でしょう?」
「ああ、ジュエルシードだな」
「私はそのジュエルシードはいくつか回収しておいたので貴方たちに渡しておきましょう」
私はTA-ユニットの格納領域にしまっておいた六個のジュエルシードをクロノに手渡した。
「このジュエルシードは次元震を起こす危険がありますが、それ以外にも触れた物の願望に反応する特性はこの世界に魔女がいることもあって危険なんです」
「魔女がこの世界にもいるのか?」
「はい。貴方たちは九兵衛の事は知っているでしょうが、あいつはこの世界でも暗躍していて、当然ながら魔女も魔法少女もいます」
九兵衛はこの世界だけでなく他の管理外世界や管理世界でも活動しており、特に魔法が普及している管理世界では大きな問題になっていた。
しかし、ただでさえ人手不足でろくに治安維持すらできない管理局に九兵衛の物量に対応できるわけもなく後手に回りまわってしまい、どうにもならなくなってしまっていた。現在では大した被害が出ていないからと半ば放置状態となっている有様だ。
「知っての通り、呪いの塊と言える魔女が万が一にもジュエルシードに接触したらとんでもない災厄を招くでしょう。ですからジュエルシードは邪魔なんです」
「そういうことか。しかし君の装備な何だ。この世界にそんなものを作る技術はない筈だ」
魔力反応もないTA-ユニットの特異性に気が付いたようだね。だけどまともに答えてやる必要はない。
「これは私たちが魔女に対抗するために作り上げたパワードスーツ。管理世界の基準でいえばただの質量兵器に過ぎないわ」
「……確かに魔力反応がないから質量兵器なのは確かだろうね」
これが管理外世界にいないはずの魔導師だったら管理局も無視しなかっただろうが、私は魔力資質を持たないただの非魔導師にすぎないし、TA-ユニットも魔力反応などないから突っ込みにくいのだろう。
そして、私はクロノとそっけなく話した後に家に帰るのだった。