マギカではなくリリカル   作:ADONIS+

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6.魔法少女

 管理局と接触した後、私はジュエルシードの回収を止めて魔女と使い魔の駆除に方針を切り替えていた。これは既にジュエルシードは管理局が回収に取り掛かっているだろうから下手に参加しても揉め事になりかねないからだ。

 

 そんな無理をしてまでジュエルシードを回収するより魔女と使い魔狩りをやっていたほうが効率がいいだろうし、魔女と使い魔狩りならば管理局とぶつかることはないのだ。

 

 その為、魔女の結界を探して海鳴市の街を渡り歩くことを繰り返していたが、私に向けられた殺気に気が付いた。どうせまた九兵衛に唆された魔法少女だろう。私は溜息を零しながら人気のない場所に移動するのであった。

 

 

 

 

 

「何故、殺した!」

 

 クロノはそう私を責めたてる。

 

 魔法少女との戦いは呆気なく勝利した。そもそもただの魔法少女がTA-ユニットを使う私に対抗できるはずもなく、呆気なくソウルジェムを破壊した。そこまではいいのだが、どうやら私は管理局に監視されていたらしく、その直後にクロノが現れて怒鳴り込んできたのだ。

 

「人聞きが悪いわね。あれは人間じゃなくて魔法少女だから動く死体を死体に戻しただけじゃない。第一、管理局だって魔法少女を人間と認めていないでしょう?」

 

 魔法少女は九兵衛との契約時に魂を肉体から取り出してソウルジェムに加工されてしまう。その結果、肉体は外付けのハードウェアとなってしまい、ソウルジェムから100m以上離れてしまうと死体になってしまうのだ。

 

 というよりも、魔法少女は九兵衛と契約した時に魔力で動くゾンビのような存在に変えられているのだ。当然ながら魔法少女になるという事は人間を止めることに等しい。事実、管理世界では魔法少女を人間扱いせずに人権を取り上げている状態なのだ。

 

 ちなみに管理世界でそこまで魔法少女の扱いが悪いのは、管理局が魔女や使い魔に手こずっているからだ。

 

 元々、九兵衛は管理世界・管理外世界の区別などなく、幅広く次元世界で活動しているが、管理世界は魔法社会なだけに早期から九兵衛の存在を知り、その対応に追われることになった。

 

 しかし、九兵衛の物量は凄まじいものがあり、通常の次元犯罪者のように犯人を逮捕して事件解決とはいかない。九兵衛は広大な次元世界に幅広く存在する為にゴキブリよりもたちが悪く、九兵衛を完全に排除するという解決策は不可能だったのだ。

 

 そこで管理局は九兵衛の脅威を喧伝して民衆に九兵衛と契約しないように呼び掛ける対応方法にでた。これは魔法少女が生まれなければ魔女と使い魔の増加を抑止できると判断したからであるが、それでも幼い少女たちは九兵衛に言葉巧みに騙されてしまい契約する者が後をたたない有様だった。

 

 こうした事態に契約の抑止政策として九兵衛と契約した魔法少女を人間扱いしないというペナルティかける事にした。これにはかなりの異論があったが、魔法少女が人間とは言いがたい存在に変貌してしまっている事もあり、それが実行される事になった。

 

 ここまで、前置きすればわかるだろうが、管理局は魔法少女を人間として認めていない以上、私が魔法少女を始末したからといって殺人犯のように責められる言われはない。というよりも、そもそも地球の出来事に彼らが口出しする権利はないのだ。

 

「しかし、何も殺すことはないだろう」

 

「あら、死んだ方がましということもありますよ。そもそも彼女は魔法少女となった時点で終わっていますわ。このまま生き延びても救いなんてないわ」

 

 魔法少女の末路は哀れなものである。魔女との戦いで戦死するのはまだ幸せな方で、魔法少女の真実を知って自殺をしたり、絶望して魔女になってしまうなど碌な最後にならない。それなら一思いに殺してやるのが慈悲でしょう。

 

「文句があるなら貴方たち管理局が魔法少女を救って見せないよ」

 

「……」

 

 私の言葉にクロノが沈黙した。

 

 そう、管理局では魔法少女を救うことはできない。魔法少女は肉体から取り出された魂を加工してなる存在であるが、それを人間に戻すとなると、加工された魂を元に戻して肉体に戻さなければならない。

 

 当然、加工されてしまった魂を復元するというオカルト染みた技術など管理局は持っていないし、拘束した九兵衛からその手の技術を聞き出せなかった。まあ、九兵衛にとって魔法少女を魔女にさせないと意味がないので、魔法少女を普通の人間に戻すという自分達に都合の悪い技術を提供してくれるわけがない。

 

 勿論、過去には管理局が魔法少女を保護したこともあるが、管理局に技術ではソウルジェムの穢れを払う事すらできずに、魔女を倒してグリーフシードを提供して保護した魔法少女の延命を図る程度の事しかできなかった。しかも、その魔法少女にしてもやがて絶望してソウルジェムの回復が追いつかなくなり魔女になるという結果に終わってしまっていた。

 

「自分が綺麗事を言いたい為に現実的な対応を潰すのはやめてほしいわね」

 

 現実的に考えれば魔法少女は切り捨てるのが正しいのだ。その為、管理世界でもそういう結論にでているのだ。今更安っぽいヒューマニズムなんか振りかざして人を悪者扱いされても迷惑なだけである。

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