マギカではなくリリカル   作:ADONIS+

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7.教唆

 時空管理局にとって、九兵衛とは厄介な存在である。まっとうな局員でれば、幼気な少女たちを騙して食い物にするそのやり口に嫌悪感を抱くのは当然の事であった。

 

 また、魔女や使い魔による一般人への被害も馬鹿にならないにも関わらず、どうにもならずに放置しているという状況から一般の管理局への不平不満は高まっていた。

 

 そんな九兵衛が管理局へ大切な話があると言い出してきた。これまで魔法少女を作るのを止めろと散々言ってもまったく相手にしなかった九兵衛の態度の変化に管理局高官たちは戸惑いながらもそれに応じた。

 

「それで、大切な話とはなにかね。魔法少女を作るのを止めるというのであればいいのだがね。正直大迷惑だからいい加減にしてくれないかね」

 

『残念ながらそうじゃないよ。それに僕の活動は君たちの為にもなるものなんだよ』

 

「ふざけるな。お前の行動のどこが我々の為になるというのだ! お前は人間をエネルギー資源として使い捨てにしているだけだろうが!」

 

 九兵衛のふざけた言葉に高官の一人が怒鳴る。

 

『確かに僕たちは人間を使ってエネルギーを集めているよ。でも意味もなく集めているわけじゃない。それ相応の理由があるんだよ』

 

「理由だと! それは何だ。これまでそのような事は言わなかったのに何故今更言うのだ?」

 

 管理局は今まで拘束した九兵衛たちから自重聴取をしていたが、九兵衛がエネルギーを集めている理由など聞き出せていなかった。

 

『今言うのは話すべき時期が来たからだよ。これまでは話す必要がなかったから話さなかっただけさ』 

 

「話すべき時期?」

 

『そうだよ。ちょっと前置きだけど君たちは並行世界というものを知っているかい?』

 

「確か可能世界の世界だな」

 

『そう、数多の並行世界には無限の可能性がある。例えばベルカが滅びなかった世界とか、時空管理局が外敵に滅ぼされる世界とかね』

 

「管理局が滅ぼされている世界だと!」

 

 そのあまりに聞き捨てならない言葉は管理局の高官たちとしてはそれは無視できない事だった。

 

『その世界はブリタニア帝国という専制君主制国家が管理局を滅ぼした並行世界なんだけど、問題なのがそのブリタニア帝国が並行世界に進出する技術を保有している事なんだよ。そのブリタニアが保有する異世界専門の軍事組織である三千世界監察軍があっちこっちの世界で好き勝手やっているんだよ』

 

 九兵衛はブリタニア帝国と三千世界監察軍を悪し様にいう。

 

『僕たちを創造した主はそんな三千世界監察軍と敵対しているわけなんだけど、監察軍の連中は主のエネルギー補充を妨害しているんだ。その為、主は代替エネルギーを得るために僕たちを作り上げたんだ』

 

「代替エネルギーだと」

 

『そうだよ。調査の結果、人間の少女の感情それも希望から絶望への相転移によってもたらされるエネルギーが最も効率がいい事がわかったから、僕たちはそれを採取して供給することにしているんだよ。つまり僕たちがエネルギーを集めているのはブリタニア帝国の先兵たる三千世界監察軍に対抗するためなんだよ』

 

「馬鹿な、管理局を滅ぼしたといっても所詮は並行世界の事に過ぎないだろう。そんな事の為に我々に犠牲を強いるなど認めるとわけがないだろうが!」

 

 そう、並行世界の管理局を滅ぼしたブリタニア帝国は確かに脅威だろうが、だからといってそれに対抗するためと称してこの世界を引っ掻き回されたらたまったものではない。

 

『そうだね。確かに所詮は並行世界の事だから君たちが認めてくれないのは分かっていたよ。だけどさっき言っただろう。話すべき時期が来たって』

 

「まさか」

 

 九兵衛の言葉に管理局高官たちが驚愕した。

 

『監察軍の先兵が既にこの世界にいるんだよ。つまりブリタニア帝国の脅威はよその事ではなく君たちに直接降りかかる問題になったわけだね』

 

「つまりこのままではブリタニア帝国の介入していると」

 

『そうだね。ブリタニア帝国はかつて管理局を滅ぼしただけあって間違いなく反管理局の立場を取るだろうから君たちは拙いことになるよ』

 

「わ、我々にどうしろというのだね」

 

『なに、難しい事じゃないよ。ブリタニアが本格的に介入してくる前に監察軍の先兵を排除しておけばいいだけさ。そうすれば彼らもこの世界への介入は諦めるだろうね』

 

「……詳しく話を聞かせてもらおうか」

 

 九兵衛の言葉に高官たちは顔を見合わせるが、とにかく詳しい話を聞くことにしたのだった。

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