いきなり現れて私を次元犯罪者扱いする管理局員達。いうまでもないが、ここで大人しく逮捕されるという選択肢はない。私がただの管理外世界の住民に過ぎなければそれもありかもしれないが、監察軍に所属する者としてそれは許されないことなのだ。機密情報や技術の流出など問題があり過ぎです。
まあ、それ以前の問題として封時結界に閉じ込められた時点でTAーユニットを展開して臨戦態勢を取っているから今更のことでしょう。明らかに危険が迫っているのにぼけっとしているほど私は平和ボケしていないですよ。
というわけで、私は静止状態から一気に高速機動を行いつつ、12基のドラグーンを射出した。このドラグーンは高速で飛び回りつつレーザーを放ち管理局員を次々に撃ち抜いていった。
「な、なんだこれは!!」
管理局員はドラグーンという未知の攻撃に驚愕していたが、それは当然でしょう。そもそも管理局員の戦闘は主に魔法による砲射撃戦闘であるが、実はミッドチルダ式魔法の砲撃魔法と射撃魔法は極めて速度が遅い。何しろ人間が目視できるほどなのだ。特に射撃魔法にいたっては誘導弾が主流で誘導性があるとはいえ弾速が遅い上に貫通力が低いのだ。
また、質量兵器と戦う場合にしても相手は精々拳銃やアサルトライフル程度で稀にパンツァーファウストがある程度だ。一般的な魔導師ならばアサルトライフル程度ならばシールドを張るまでもなくバリアジャケットだけで弾いてしまうので問題にならないし、パンツァーファウストのような代物は命中率がお世辞にもいいとは言えないので質量兵器が脅威だったことはなかった。
しかし、レーザー兵器やビーム兵器の速度や火力はそれらの質量兵器とはまるで違う。ましてやドラグーンのような高速機動する浮遊砲台から放たれるレーザー兵器など初見で対応できるわけがないのだ。
ドラグーンから放たれるレーザーは局員たちのバリアジャケットを容易く貫いて致命傷を与えていく。中にはシールドで防ごうとする者もいたが、レーザーに容易く貫通されて撃墜した。
勿論、管理局員もやられてばかりではない。私に対して必死に攻撃を仕掛けるが、魔導師よりも格段に速く動ける私の動きについてこれない。それでもいくつかの攻撃は命中していたが、それらは随意領域(テリトリー)とシールドバリアーで弾かれており全く通用していなかった。
やがて、すべての魔導師が地に倒れた。これで局員を全滅させたように見えるが、センサーには生命反応がある者がそれなりにいた。どうやらレーザーに撃たれたが辛うじて生き残っている局員がいたようだ。当然ながら、私はドラグーンを操作してそれらの局員たちにレーザーを打ち込んだ。
えっ、外道だって?
いえ、私は戦えなくなった者は見逃すなどと甘い事はいいません。よく、敵を殺したと思って油断したところを実は生きていた敵に攻撃されて大ダメージを受けてしまう話がありますが、私はそんな油断はしません。
大昔の戦場では、敵の生死確認の為にとりあえず敵兵の死体に槍を突き刺すことがあったようですが、私の場合はセンサーで生命反応を感知できるので確実に生存者を見極められるので、その手の掃討は楽ですね。
さてと、とりあえず管理局員を返り討ちにしたが、これは第一陣にすぎません。時間を掛けてしまうと他の局員たちがくるでしょう。まあ、たとえそうなっても魔導師程度にどうにかなるほどTA-ユニットはあまくはないが、そのような連中を一々相手にしていられません。
となると、この世界から撤退して監察軍本部に避難した方がいいと考えていると、地球の衛星軌道上から高出力の魔力反応を感知した。どうやらそこに管理局の次元航行艦がいるようですが、そこから信じられない反応をセンサーがキャッチした。
「馬鹿な、アルカンシェルですって。あいつら正気なの!?」
アルカンシェルは発動地点を中心に、百数十km範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる魔導砲で、その威力は核兵器の比ではない。そんなものをこの地球に打ち込めば地球は死の惑星になってしまう。
この状況でアルカンシェルを使うという事は、管理局が私を地球ごと抹殺するつもりなのは間違いないでしょう。いくら管理外世界とはいえ何十億もの人間がいる惑星にアルカンシェルを打ち込むなどキチガイ染みています。
あまりの状況に愕然としていた私ですが、海鳴市を目がけてアルカンシェルが打ち込まれたのを見て反射的にそれに突撃した。
「はあああーーー!」
TA-ユニットの随意領域(テリトリー)を全開にしてアルカンシェルを抑え込む。とっさに地球から逃げるのではなく、単独でアルカンシェルを抑え込むなど自分でも馬鹿な事をしていると思う。
しかし、ここで逃げれば私の両親が死んでしまう。前世の記憶を持つトリッパーである私は自分でも不気味な子供だったと思いますが、そんな私でも娘として愛してくれた大切な家族なんです。見捨てることはできません。
いくら随意領域(テリトリー)でもアルカンシェルを抑え込むのはかなりの無茶で私にかかる負担は相当なものであるが、これに耐えれば両親が助かるし、地球も救われます。
そう思っていたが、センサーが絶望的なデータをキャッチした。
「アルカンシェルの第二射ですって!」
実は管理局が地球に送り込んでいた次元航行艦は一隻だけではなく、もう一隻あったのだ。そして最悪な事に二隻ともアルカンシェルを搭載しており、りおんがアルカンシェルを抑え込んだのを見て第二射を打ち込むことにしたのだ。
そして、その次元航行艦からアルカンシェルが打ち込まれた。
私は最初のアルカンシェルを抑え込むだけで精一杯でそれに抑えることができない。そしてアルカンシェルが起爆して海鳴市を飲み込んでいき、当然それは私も飲み込んでいく。
いくらTA-ユニットを装備していてもこれではどうにもならない。私は跡形もなく消滅してしまい、第二の人生を終えることになった。
余談であるが、このアルカンシェルによって海鳴市一体どころか地球そのものが致命的なダメージを受け、地球人類が滅亡するだけでなく地球そのものが死の惑星となってしまうのであった。
あとがき
主人公はこれで死亡してしまいましたが、その後の話があるので少し続きます。今更ですが、管理局は質量兵器が世界を滅ぼしかねない危険な代物とか主張しているくせにアルカンシェルを運用しているあたり矛盾しています。まあ、この手のダブルスタンダードはよくある話ですが(汗)。