天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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TV版
第1話『お前の剣は、天を斬り裂く剣なんだよ!!』


これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第1話『お前の剣は、天を斬り裂く剣なんだよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は織斑 一夏………

 

俺には両親が居ない………

 

いや、正確に言えば、分からないと言った方が良いかもしれない………

 

俺の両親は、俺が物心つく前に、俺と俺の姉………織斑 千冬を捨てたらしい………

 

以来………

 

俺はずっと千冬姉と2人で暮らして来た………

 

千冬姉は、そんな俺を気遣ってか、俺を鍛えようとしてくれた………

 

でも、まだ幼かった俺には、それが理解出来なくて、千冬姉の事を恨んだ………

 

ある日、千冬姉の稽古に嫌気が差した俺は、千冬姉の前から逃げ出した………

 

けど、行く宛てもなくて、近所をウロウロとしていた………

 

後悔で俯いて歩いていた俺は、前に人が居るのに気づかず、そのままぶつかった………

 

「上を向いて歩け、一夏!」

 

俺がぶつかった相手は、俯いていた俺にそう言って来た。

 

「あ、神谷………」

 

「神谷じゃねえ! アニキって呼べ!!」

 

 

 

 

 

 

それは天上 神谷(てんじょう かみや)………

 

近所に住む、2つ年上の幼馴染だった。

 

 

 

 

 

「俺と神谷は兄弟じゃないし………」

 

「そういう事じゃねえ! 魂のブラザー! ソウルの兄弟って事じゃねえか!!」

 

神谷は………アニキは俺と同じで、両親が居なかった………

 

オマケに俺と違って姉や兄も居ない………

 

本当に天涯孤独だった………

 

でも、アニキは1人で逞しく生きていた。

 

俺と2つしか違わないなんて思えない程、アニキは堂々としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………成程。剣の稽古が嫌で逃げ出したってか」

 

「千冬姉は厳しいんだよ………俺は千冬姉みたいになれないよ」

 

「確かになあ………お前はアイツにはなれねえ」

 

「だろ? アニキだってそう思うよね?」

 

「そう! お前はお前だ! お前にはお前自身の強さがある筈だ!!」

 

「ア、アニキ?………」

 

「一夏! お前の剣は、天を斬り裂く剣なんだよ!!」

 

天を指差し、俺にそう言って来るアニキ。

 

「………如何して?」

 

「俺には分かる! 理由は聞くな!」

 

「説明………できないんだ………」

 

アニキは何時も無茶苦茶だった………

 

でも………

 

不思議と俺は、そんなアニキの言葉が信じられた………

 

何時しか俺は、アニキを本当の兄の様に慕う様になっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなある日………

 

千冬姉が、アニキを呼び出した………

 

アニキは近所や学校では、札付きの不良だと思われていた………

 

そんなアニキが俺に近づいているのが許せなかったらしい………

 

千冬姉はアニキに、2度と俺に近づくなと言った………

 

当然アニキは拒んだ………

 

そして………

 

2人は何故か夕日の河原で殴り合いを始めた………

 

自慢じゃないけど、俺の姉さんは強い………

 

篠ノ之 箒って言う幼馴染の姉・篠ノ之 束が開発したパワードスーツ………

 

『インフィニット・ストラトス』、通称『IS』の世界大会………モンド・グロッソで、優勝した事もある………

 

それにアニキよりもずっと年上だし………

 

俺はアニキが負けると思っていた………

 

 

 

 

 

けど………

 

 

 

 

 

アニキはそんな千冬姉と互角に渡り合っていた………

 

ISを使ってないとは言え、千冬姉をあそこまでボコボコにしたのは、アニキが初めてだった………

 

勿論、アニキもボロボロにされていたけど………

 

結局、日が落ちる頃には、2人とも大の字になって力尽きていた………

 

「ヘッ、やるじゃねえか………」

 

「お前こそ………良いパンチだったぞ」

 

そして、そう言いながら起き上がり、ガッチリと握手を交わした………

 

俺はその日、昔の少年漫画の様な光景を現実で目撃する事となった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局………

 

千冬姉はアニキの事を認めたけど………

 

何かあると、兎に角俺を連れ出すんで、何時しか頭痛と神経性胃炎を抱える事になった………

 

連れ出された俺も俺で………

 

色々と大変な目に遭わされたりした………

 

「アニキ! 無理だよ!! 高校生の不良グループを全員叩きのめすなんて!!」

 

「バカ野郎! 無理を通して道理を蹴っ飛ばすんだよ! それが俺達、グレン団のやり方だろうが!!」

 

「でも………」

 

「良いか、一夏! 自分を信じるな!」

 

「えっ?………」

 

「俺を信じろ! お前を信じる俺を信じろ!!」

 

何時もこんな感じで、俺はアニキの無茶に付き合わされた………

 

でも、俺は益々アニキを慕って行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………

 

セカンド幼馴染の凰 鈴音が故郷の中国へ帰国して間も無くの頃のある日………

 

俺は何者かに誘拐された………

 

丁度その日は、第2回モンド・グロッソ決勝戦当日であり………

 

誘拐犯は多分、千冬姉を優勝させたくない連中だったんだろう………

 

アニキと一緒に、色々な奴と喧嘩を繰り広げて来た俺だったけど、流石にこの時ばかりはもう駄目だと思った………

 

流石のアニキも今回ばかりは無理だと………

 

 

 

 

 

でも………

 

アニキは来た………

 

 

 

 

 

「やいやいやいやいやい! 人の可愛い弟分を誘拐するたぁ、ふてえ野郎だ!! この泣く子も黙るグレン団の鬼リーダー! 神谷様が成敗してやるぜ!!」 

 

全身に切り傷や銃傷を負って、血塗れの姿で俺の前に現れ………

 

何時もの様に啖呵を切ってみせた………

 

如何見ても死に体だった………

 

でも………

 

その姿は、俺にはどんなヒーローよりもカッコ良く見えた………

 

結局、その後に駆け付けて来た千冬姉の助けもあって、俺は無傷で解放された………

 

けど………

 

その時逮捕された誘拐犯の1人が、アニキを見て妙な事を口走った………

 

「貴様………天上博士の息子か………」

 

アニキは珍しく驚きを露わにしていた………

 

死んだとばかり思っていた父親の名前が、俺を誘拐した連中の口から出た事に………

 

後で知った話だけど………

 

アニキの父親は、束さんにも匹敵する天才科学者だったらしい………

 

それ以上詳しい事は分からなかったけど………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして………

 

アニキは突然旅に出ると言って来た………

 

理由は、父親を探す為だそうだ………

 

「親父は生きている………そして何かヤベー事に関わってやがる! 息子の俺には………それを知る義務がある」

 

突然の事に俺は戸惑った………

 

必死に行かないでくれとアニキに泣き付いた………

 

その頃には、千冬姉はあんまり家に帰らなくなっていて、箒も鈴ももう居なかった俺には………

 

アニキまでもが居なくなると言う事に耐えられなかった………

 

「バカ野郎! 何時までも俺の背中を追ってんじゃねえ!! お前はお前の道を行く時が来る!! そして! 俺は俺の道を行く時が来たのさ!!」

 

「アニキ………」

 

「ホラよ、一夏。コレ、やるよ」

 

そう言ってアニキは、いつも掛けていたV字型の赤いサングラスを俺に手渡した。

 

「コレ、アニキの………」

 

「忘れるなよ、一夏。お前を信じろ。俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない。お前が信じる………お前を信じろ!!」

 

そう言って、アニキは何時もの様に天を指差した。

 

「俺達の道は、何れ天で再び交わる!! それが俺とお前の再会の時だ!! それまで………あばよ、ダチ公」

 

「アニキーッ!!」

 

こうして………

 

アニキは俺の前から去って行った………

 

けど………

 

俺は立ち止まらなかった………

 

立ち止まったら、もうアニキとは2度と会えない………

 

アニキは言っていた………

 

俺達の道は、何れ天で再び交わる………

 

それが俺とお前の再会の時だって………

 

その時までに、アニキに恥ずかしくない様な………

 

立派な男になると………

 

アニキの様な………

 

デッカイ男になると………

 

どんな事があっても、決して挫けない奴になる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………でも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレが織斑 一夏くんよ」

 

「世界で唯一、男でISを動かしたって言う」

 

「結構………カッコ良いかも」

 

俺に突き刺さる何十人もの女子の好奇の視線………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アニキ………

 

流石にコレはキツイよ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




どうも。
初めましての人は初めまして。
前作を読んでいてくれた人は再びよろしくお願いします。
宇宙刑事ブルーノアです。

前作であるガールズ&パンツァーの二次創作である『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』が一先ず完結し、最終章の全話公開が済むまでの繋ぎも兼ねて、今週から過去作であるこの作品………
『天元突破インフィニット・ストラトス』を投稿させて頂きます。

結構前に書いた作品ですので、今見返すと恥ずかしいところもあるのですが、頭を空っぽにして楽しむには持って来いの作品だと思っております。
ただ、読む人は選ぶかも知れませんが………

第1話はプロローグ的な感じで、一夏の1人称でお送りしましたが、次回からは通常通りの3人称に戻ります。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

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