天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第10話『よこせ! 力を!………比類無き最強を!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第10話『よこせ! 力を!………比類無き最強を!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神谷と一夏がシャルルの秘密を知った後日………

 

再び朝のHR前………

 

1年1組の教室は、相変わらずある噂で持ち切りだった………

 

「そ、それは本当ですの!?」

 

「ウソついてないでしょうね?」

 

セシリアと隣のクラスから来ていた鈴が、そう声を挙げる。

 

「本当だってば! この噂、学園中で持ち切りなのよ!」

 

「今月の学年別トーナメントで優勝したら、織斑くんと付き合える事になってるらしいの!!」

 

そう………

 

学年別トーナメントでの優勝者は、織斑 一夏と付き合えると言う噂だ。

 

「それは、一夏さんも承知していますの?」

 

「それがねえ………如何も本人は良く分かってないみたい」

 

セシリアの質問にそんな答えを返す生徒。

 

「どう言う事?」

 

「女の子の中だけの取り決めって事らしいのよ」

 

「おはよう!」

 

「オッス!!」

 

更にヒソヒソ話を続けていたところ、噂の本人である一夏が神谷、シャルルと共に登校して来た。

 

「何の話してるの?」

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!」」」」」

 

シャルルがそう尋ねると、クラスメイト達は蜘蛛の子を散らす様に散らばって行った。

 

「じゃあ、アタシ、自分のクラスに戻るから」

 

「そうですわね。私も席に付きませんと………」

 

鈴とセシリアも、逃げる様に去って行く。

 

「? 何なんだ?」

 

「さあ?」

 

「おかしな連中だぜ」

 

一夏、シャルル、神谷がそう呟く。

 

「…………」

 

そんな中、噂の発端である箒は、複雑そうな視線でその様子を見ていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、SHRが終わり、更に授業が終わった後の休み時間………

 

(何故だ………何故こうなった………)

 

箒は屋上に上がり、手摺に寄り掛かる様にしながら空を見上げてそう独りごちた。

 

(優勝したら一夏は私と付き合う筈だった………それが如何して………)

 

虚空にそう質問を投げ掛けるが、答えは返って来ないままだ。

 

(と、兎に角だ………私が優勝すれば良いだけの話だ………うん!!)

 

やがて自分でそう答えを出す箒。

 

(だが………専用機の無い私が………本当に優勝など出来るのだろうか………ん?)

 

ふとそこで、神谷やシャルルの存在が頭を過った。

 

(そう言えば、彼等が優勝してしまった場合は如何なるんだ?)

 

そう思った箒は、思わず………

 

(一夏! 俺と付き合え!!)

 

(分かったよ! アニキ!!)

 

等と言う様な、所謂や○いな関係の一夏と神谷を想像してしまう。

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

自分で想像しておいて恐ろしくなり、慌てて頭を振ってその想像を振り払う箒。

 

「それだけは阻止せねば!!」

 

何時しか想像と現実がこんがらがり、そう闘志を燃やすのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

そんな想像をされていた一夏と神谷は………

 

学園内のとある通路で………

 

「!? ううっ!?」

 

「? どした、一夏?」

 

「いや、何か急に寒気が………」

 

原因不明の寒気を感じて、思わず震える一夏。

 

「気を付けとけよ。もうすぐトーナメントなんだかんな」

 

「分かってるよ………にしても、何でトイレに行くのにこんなに歩かなきゃいけないんだ」

 

愚痴る様にそう言う一夏。

 

IS学園は元々女子校なので、男子が使えるトイレが3箇所しかないのだ。

 

その為、休み時間に行く場合、かなり急がないと次の授業に間に合わなくなるのだ(サボタージュの多い神谷にはあまり関係無いが)。

 

「何故こんなところで教師なぞ!」

 

「やれやれ………」

 

とそこへ、分岐路の片方から、そういう声が聞こえて来た。

 

「あん?」

 

「この声は………ラウラと千冬姉」

 

その声が聞こえて来た方向を見遣ると、千冬に何かを問い質しているラウラの姿が在った。

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

 

「このような極東の地で、何の役目があると言うのですか!?」

 

静かに返している千冬に対し、ラウラは感情を露わにそう叫ぶ様に言っている。

 

「アイツ………」

 

一夏は、思わず通路の陰に隠れて様子を覗き見ようとしたが………

 

「何だぁ? 随分と険悪な雰囲気じゃねえか」

 

何と神谷がそう言いながら、堂々とその会話の中へと参加したではないか!!

 

(ちょっ!? アニキ!?)

 

「神谷………」

 

「! 貴様は!?」

 

声は挙げずに仰天する一夏と、普通に接する千冬。

 

そして、敵意を剥き出しにして神谷を睨むラウラ。

 

「へっ………随分嫌われたもんだな」

 

だが、そんなラウラの視線を神谷は軽く受け流す。

 

「クッ! 今はお前に構っている暇は無い! お願いです、教官! 我がドイツで再びご指導を。此処では貴方の能力は半分も生かせられません」

 

ラウラは神谷を無視し、千冬にそう言う。

 

「ほう………」

 

「大体、この学園の生徒など教官が教えるに足る人間ではありません」

 

「確かに、コイツに教えてもらう事なんざぁ、別にねえな」

 

茶々を入れる様にそう口を挟む神谷。

 

「神谷………少し黙っていろ」

 

と、千冬が真面目な話だと言う様に威圧感を発した。

 

「ヘイヘイ」

 

あまり効いてはいなかったが、神谷は敢えて黙り込んだ。

 

「ご覧になったでしょう、教官! この男の様に、この学園の連中は、意識も甘く、危機感に疎く、ISをファッションか何かと勘違いしている。その様な程度の低い者達に教官が時間を割かれるなど………」

 

「………そこまでにしておけよ、小娘」

 

とそこで、千冬は神谷に向けていた以上の威圧感を、ラウラへと向けた。

 

「うっ!?」

 

「少し見ない間に偉くなったな。15歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

 

「わ、私は………」

 

ラウラはその威圧感に押され、言葉が出なくなる。

 

「………さて、授業が始まるな。さっさと教室に戻れよ」

 

「ッ!!」

 

千冬が続けてそう言うと、ラウラは顔を背けて去って行った。

 

「フンッ、口ほどにもねえ奴だぜ」

 

「お前が威張るな………それと、そこの男子。盗み聞きか? 異常性癖は感心しないぞ」

 

「うえっ!? バ、バレてた?」

 

千冬の声で、通路の陰に隠れていた一夏が姿を現す。

 

「やっぱオメェ絡みなのか? アイツのあの態度はよぉ?」

 

とそこで、神谷は千冬にそう質問を投げ掛けた。

 

「ああ、そうだ………アイツはドイツで教官を務めていた時、私の事を最も尊敬していたからな………」

 

そのまま千冬は、ラウラに『どうしてそこまで強いのですか?』と尋ねられた事………

 

その際に『私にも弟がいる』と答えた事………

 

ラウラが真の強さの意味を理解していない事を語る………

 

「そう言う訳だ………」

 

「アイツ………そんなに千冬姉の事を………」

 

一夏は何か思う所が有る様にそう呟く。

 

「んだよ………要するに、そりゃお前の教え方が足りなかったって事じゃねえか。その尻拭いを弟にさせようったあ、姉貴が聞いて呆れるぜ」

 

だが、神谷は千冬の事をバッサリとそう斬り捨てた。

 

「ぐうっ!!」

 

反論しようとした千冬だったが、なまじ真実なだけに言い返せない………

 

「ア、アニキ………俺は良いから………」

 

「まっ、心配すんな。オメェの弟はオメェが思ってるよりつえーから、今度の事も立派に解決するだろうぜ。お前は指咥えて見てな。じゃあな」

 

神谷はそう言うと、千冬の元から去って行った。

 

「ゴメン、千冬姉。兎に角、ラウラの事は何とかするから………」

 

一夏も千冬に謝り、神谷の後を追った。

 

「アイツめぇ~~………! アイタッ! イタタタタタタッ!!」

 

2人を見送った後、またも神経性胃炎が痛み出し、その場に蹲る千冬だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ、放課後………

 

IS学園の入り口にて………

 

1台のトレーラーが、学園に入ろうとして守衛に止められていた。

 

「ですから、許可無く学園に入られるのは困ります」

 

「堅い事言わないでよぉ。ちょっと届け物をしに来ただけなんだから」

 

運転席に居た厚化粧でオネエ言葉の人物が、守衛にそう言う。

 

「そう言われましても………」

 

「あんまりしつこいと……食べちゃうわよ?」

 

オカマ特有の得体の知れない迫力を出し、守衛を脅す様に言う人物。

 

「!? ヒイイイィィィィィーーーーーーッ!?」

 

守衛は慌てて逃げ出した。

 

「あ~ら? ちょっと脅かし過ぎたかしら? まあ良いわ。早く『コレ』を『グレンラガン』に届けてあげなくちゃね」

 

そう言うと、トレーラーはIS学園の敷地内へ入って行ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

第3アリーナでは………

 

「「あ………」」

 

鉢合わせしたセシリアと鈴がそう声を挙げる。

 

「奇遇ね。アタシはこれから、学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど?」

 

「奇遇ですわね。私も全く同じですわ」

 

互いに奇遇だと言い合う鈴とセシリア。

 

勿論、急に特訓をし始めたのは、あの噂を聞いたからだ。

 

「丁度良い機会だし。この前の実習の事も含めて、どっちが上かはっきりさせとくってのも悪くないわね」

 

「あら? 珍しく意見が一致しましたわね。どちらの方がより強く、より優雅であるか、この場でハッキリさせましょうではありませんか」

 

そう言い合ったかと思うと、2人はISを展開し、ぶつかり合………

 

「「!?」」

 

わなかった。

 

突如横から飛んで来た砲弾が、2人の戦いを中止させた。

 

「フッ………」

 

砲弾を放った主………ラウラは驚く2人を見て、薄ら笑いを浮かべていた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ………」

 

「どういう積り!? いきなりぶっ放すなんて、良い度胸してるじゃない!!」

 

「中国の甲龍に………イギリスのブルー・ティアーズか。フッ、データで見た時の方が、まだ強そうではあったな」

 

鈴の質問には答えず、ラウラは挑発するかの様な台詞を投げ掛ける。

 

「何? やるの? わざわざドイツからやってきてボコられたいなんて大したマゾっぷりね! それとも、ジャガイモ農場じゃそういうのが流行ってんの?」

 

「アラアラ、鈴さん。コチラの方はどうも共通言語をお持ちでない様ですから、あまり苛めるのは可哀そうですわよ」

 

そんなラウラに、鈴とセシリアはそう挑発し返す。

 

「貴様達の様な者が、私と同じ第3世代の専用機持ちとはな………数くらいしか能の無い国と、古いだけが取り柄の国は、余程人材不足と見える」

 

「「!!」」

 

だが、ラウラは更に挑発を重ねる。

 

「この人は! スクラップがお望みみたいよ!!」

 

「その様ですわね………」

 

その言葉で鈴とセシリアは、ISの最終安全装置を解除する。

 

「フンッ! 2人がかりで来たらどうだ? 下らん種馬を取り合う様なメスに、この私が負けるものか!!」

 

「! 今なんて言った!! アタシの耳には、どうぞ好きなだけ殴って下さいって聞こえたけど!!」

 

「この場に居ない人間の侮辱までするなんて、その軽口! 2度と叩けぬ様にして差し上げますわ!!」

 

「フッ、とっとと来い」

 

「「上等!!」」

 

そして、一夏が馬鹿にされたのを切欠に、セシリアと鈴は、ラウラに突撃して行った!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

IS学園・通路………

 

神谷、一夏、シャルルが、放課後の訓練に行こうと歩いていた。

 

「一夏、今日も特訓するよね?」

 

「ああ。トーナメントまで日が無いからな………」

 

「そうだね………そう言えば、神谷は特訓とかしたりしないの?」

 

これまで、一夏を鍛える事はあっても、自分が訓練をしたりするのはあまり見た事がないシャルルが、神谷にそう尋ねた。

 

「オイオイ、シャルル。虎は何で強いか知ってるか?」

 

「えっ? えっと………何で?」

 

「元から強いからだ!!」

 

当然の様にそう言う神谷。

 

「…………」

 

「傾いてるねぇ、アニキ」

 

若干唖然としているシャルルと、苦笑いしながらそう言う一夏。

 

と、その時………

 

「第3アリーナで、代表候補生3人が模擬戦やってるって!」

 

傍を通り抜けて行った生徒達の中に居た1人が、そんな声を挙げた。

 

「「えっ!?」」

 

驚く一夏とシャルル。

 

「一夏! シャルル! 行くぞ!!」

 

神谷が、いの1番に駆け出す。

 

「あ! アニキ!!」

 

「ま、待ってよぉ!!」

 

2人もすぐさまその後を追い、第3アリーナへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3アリーナ………

 

既に話を聞き付けた多数の生徒が集まっており、アリーナの席はちらほらと埋まっていた。

 

「喧嘩の場所は此処かぁ!!」

 

とそこへ、神谷達も到着する。

 

「何が起こっている!」

 

更に、箒も姿を見せた。

 

「箒………!?」

 

一夏がそれに気づいて声を挙げると、アリーナ内で一際大きな爆発が上がった!!

 

やがて、その爆発の煙が晴れたかと思うと、そこには………

 

膝を着いているセシリアと鈴に………

 

そんな2人と対峙して、仁王立ちしているラウラの姿が在った!

 

「! 凰さんとオルコットさんだ!!」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒも」

 

シャルルと箒がそう声を挙げる。

 

「何やってるんだ? アイツ等?」

 

「こりゃ如何みても喧嘩だろう」

 

一夏の声に、神谷がそう言う。

 

「喰らえぇっ!!」

 

と、その瞬間!!

 

立ち上がった鈴が、龍咆をラウラ目掛けて放った!

 

「無駄だ! このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな!!」

 

しかし、ラウラがそう言って右手を前に翳したかと思うと、そこに空間が歪む様なエフェクトが発生し、龍咆が止められて爆散した!

 

「!? 龍咆を止めやがった!!」

 

その光景に驚く一夏。

 

「『AIC』だ………」

 

「そうか。アレを装備していたから、龍咆を避けようともしなかったんだ!」

 

空間が歪む様なエフェクトを見たシャルルと箒がそう声を挙げる。

 

「A、I、C?」

 

「何だそりゃ?」

 

AICと言う言葉の意味が分からなかった一夏と神谷がそう尋ねる。

 

「シュヴァルツェア・レーゲンの第3世代型兵器。アクティブ・イナーシャル・キャンセラー」

 

「慣性停止能力とも言う………」

 

「ふ~~ん………」

 

「分かっているのか!?」

 

気の無い返事をした一夏に箒がそう言う。

 

「おうよ! 要するに、スッゲェバリアって事だろ!!」

 

「うん、まあ、そうなんだけど………」

 

余りにもシンプルに言う神谷に、苦笑いを浮かべるシャルル。

 

その間にも、セシリア&鈴VSラウラの戦いは続いている。

 

上空へ飛んだ鈴が、龍咆を連射するが、全て躱され、或いはAICで防がれる。

 

「クッ! ここまで相性が悪いなんて!!」

 

鈴がそう言った瞬間、ラウラは『ワイヤーブレード』を4本射出して来た!

 

先端に刃が取り付けられたワイヤーが、空中に居る鈴に迫る。

 

回避行動を取る鈴だったが、その内の1本が左足に巻き付き、振り回される!!

 

「わあっ!?」

 

「この程度の仕上がりで第3世代型兵器とは、笑わせる」

 

嘲笑うかの様なラウラに、今度はレーザービットのブルー・ティアーズからの射撃が見舞われる!

 

だが、ラウラは即座に回避行動へ移行。

 

セシリアは今度はミサイルのブルー・ティアーズを見舞う。

 

ラウラは回避行動を続けるが、そこへレーザービットのブルー・ティアーズが迫った!!

 

「クッ!!」

 

AICを展開させてレーザービットのブルー・ティアーズを停止させるラウラ。

 

「動きが止まりましたわね!」

 

その瞬間、動きが止まったラウラに、スターライトmkⅢを向けるセシリア。

 

「………貴様もな」

 

だが、ラウラは即座に大口径レールカノンをセシリアに向けた!!

 

両者は同時に火を噴き、互いに相殺し合った。

 

「フッ!!」

 

「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

そこでラウラは、ワイヤーブレードで捕まえたままだった鈴を、セシリアに叩き付けた!!

 

「キャアッ!?」

 

そのまま地面に叩き付けられる2人。

 

アリーナの地面が大きく抉られる。

 

「く、う………」

 

「うう………」

 

絶対防御を貫通して伝わって来たダメージに呻くセシリアと鈴。

 

「ふん………この程度か………」

 

そんな2人を見下ろしながら、ゆっくりと降下して来るラウラ。

 

「………鈴さん………このまま負けるのと、私と協力するの………どっちが癪ですか?」

 

すると、セシリアが鈴に向かってそう尋ねた。

 

「………どっちもお断りよ………って言いたいとこだけど、このまま引き下がれないわ」

 

鈴はそう返事を返す。

 

「では………」

 

「やってやろうじゃない………」

 

そして、ヨロヨロとながらも起き上がる。

 

「何だ? まだやる気か? 結果は目に見えいると思うがな………」

 

「煩い! 黙れ!!」

 

「無理を通して道理を蹴っ飛ばす! それが私達! グレン団のやり方ですわ!!」

 

見下した様に言って来るラウラに向かって、2人はそう言い放ったかと思うと………

 

「「私(アタシ)達を! 誰だと思っていますの(んの)!!」」

 

神谷がいつも言っている口癖を吠えた!!

 

「! アイツ等………」

 

「へっ! それでこそグレン団よ!!」

 

驚く一夏とフッと笑う神谷。

 

「貴様等………」

 

一方ラウラは、そんな2人の様子に不快感を露わにしていた。

 

「良いだろう! 望み通りにここで潰してやる!!」

 

そしてそう叫ぶと、大口径レールカノンを2人に見舞った!!

 

弾丸は地面に着弾し、派手に爆煙を巻き上げる。

 

するとその中から、レーザービットのブルー・ティアーズが向かって来た!

 

「フッ! 同じ事を………」

 

四方八方から繰り出されるレーザービットのブルー・ティアーズの攻撃を軽々と躱していくラウラ。

 

そして、制御の為にまだ爆煙の中に居るであろうと思われるセシリアに、再び大口径レールカノンを見舞おうとする。

 

だが、その瞬間!!

 

「おりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

爆煙の中から鈴が飛び出して来た!!

 

………セシリアを肩車して!!

 

「!? 何っ!?」

 

珍妙な姿に一瞬驚くラウラ。

 

「喰らえっ!!」

 

そんなラウラに向かって、鈴が龍咆を放つ。

 

「!! クウッ!!」

 

寸前でAICを発動させ、防御に成功するラウラ。

 

だがその瞬間!!

 

背後からレーザービットのブルー・ティアーズが攻撃して来た!!

 

「!? グハッ!?」

 

レーザーがラウラの背中を直撃する!!

 

「鈴さん! 見ました!?」

 

「ええ! やっぱりあのバリア………1方向か、意識を向けている方向の攻撃しか防げないみたいね!!」

 

「左に追い込みます! 攻撃は任せますわよ!!」

 

「了解よ!!」

 

そう言い合うと、セシリアを肩車したまま移動する鈴。

 

その間に、レーザービットのブルー・ティアーズが、ラウラを誘い込む様に攻撃を加える。

 

「クッ! この!!」

 

向かって来たレーザービットのブルー・ティアーズを、AICで停止させるラウラ。

 

「貰ったわ!!」

 

途端に、背後に回り込んでいた鈴が、龍咆を放った!!

 

「ぐはあっ!?」

 

ラウラは再び背中に攻撃を受ける。

 

「やった!!」

 

「凄い………ブルー・ティアーズを動かしている間は無防備になるオルコットさんを凰さんが抱えて動く事で多面的な攻撃を可能にしてる」

 

「無茶苦茶だが、有効な攻撃手段だ」

 

「よおし! セシリア! 鈴! 一気に行けぇっ!!」

 

一夏、シャルル、箒、神谷からそう声が挙がる。

 

「クウッ! 調子に………乗るなあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

だが、ラウラがそう叫んだ瞬間!!

 

シュヴァルツェア・レーゲンに装備されていた全てのワイヤーブレードが伸び、レーザービットのブルー・ティアーズを撃墜した!!

 

「!? マズイ!!」

 

「しまっ………」

 

た、とセシリアが言い切る前に、伸びて来たワイヤーブレードが、2人の首に巻き付いた!!

 

「くうっ!?」

 

「キャアッ!?」

 

「ハアアアアッ!!」

 

そしてそのまま、2人を地面に叩き付けるラウラ。

 

「「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」」

 

派手に土煙を上げて地面に叩き付けられる2人。

 

「許さん………許さんぞ、貴様等!!」

 

ラウラは怒声を挙げると、2人を肉薄。

 

起き上がろうとした鈴を殴り飛ばすと、まだ倒れていたセシリアを蹴り飛ばした!!

 

そのまま、碌に抵抗も出来ない2人を、一方的に嬲って行く。

 

攻撃されるがままの2人のISは、生命維持警告域を超過する。

 

「酷い! アレじゃシールドエネルギーが持たないよ!」

 

「もしエネルギーが切れ、ISが強制解除されたら、2人の命に関わるぞ!!」

 

シャルルと箒がそう声を挙げる。

 

「セシリア! 鈴!」

 

「一夏ぁ! 行くぞぉ!!」

 

と、一夏が慌てていると、神谷がそう叫んだ!!

 

その手にはコアドリルが握られている。

 

「! おうっ!!」

 

それを見た一夏も、即座に右腕の装着されているガントレット………待機状態の白式を構えた!!

 

次の瞬間には、神谷の姿がグレンラガンに変わり、一夏も白式を装着した状態となる!!

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 

エネルギーブレードの雪片弐型で、アリーナの遮断フィールドの切れ目を入れる一夏。

 

「おりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

そこへ更に、グレンラガンがドリルに変えた右腕で突貫!!

 

そのまま遮断フィールドを突き破った!!

 

「神谷!?」

 

「一夏!?」

 

シャルルと箒が驚いていると、グレンラガンと一夏は、ラウラに向かって行った!!

 

「その手を離せええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

先に仕掛けたのは一夏。

 

雪片弐型を、ラウラに向かって振るう。

 

「!!」

 

しかし、ラウラが一夏の方を向き、右手を翳したかと思うと………

 

一夏の動きが、まるで時間を止めたかの様に止められてしまった。

 

(な、何だ!? 身体が………動かない!?)

 

声を出す事も出来ず、そのまま固まる一夏。

 

その直後に、鈴とセシリアのISが強制解除され、2人は地面に倒れた。

 

「感情的で直線的………絵に描いた様な愚か者だな………」

 

しかし、ラウラは既に2人への興味を無くしており、一夏へ侮蔑の視線を向けながらそう言い放つ。

 

(くうっ!!)

 

「やはり敵では無いな。この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、有象無象の1つでしかない! 消えろ!!」

 

ラウラはそう言いながら、一夏に大口径レールカノンを向ける。

 

と、その瞬間!!

 

「ドリルビイイイイィィィィィーーーーーームッ!!」

 

何時の間にか背後に回っていたグレンラガンが、額の部分から出現させたドリルの先端から緑色のビームを放った!!

 

「!? グハッ!?」

 

背中に直撃を受け、体勢が崩れるラウラ。

 

「! 動ける!!」

 

AICも解除され、一夏は離脱する。

 

「へっ! お前のそのバリアの弱点は、さっき見てんだよ!!」

 

「貴様!!」

 

怒りの形相でグレンラガンを睨むラウラ。

 

「2人とも、大丈夫?」

 

「え、ええ………何とか………」

 

「クッ………やられたわ」

 

その間に、ISを展開したシャルルが、セシリアと鈴を救出していた。

 

「シャルル! 2人を頼む!!」

 

「コイツは俺達が相手をする!!」

 

「分かった!!」

 

一夏と神谷がそう言うと、シャルルは2人を抱えて、ピットへと向かった。

 

「ふん………他人を気にしている余裕があるのか? 貴様等の様な屑に………」

 

「黙りやがれ! 良いか! 良く聞け!!」

 

再び見下した言葉を吐こうとしたラウラを遮り、神谷がそう叫ぶと………

 

「燃える太陽この手で掴みゃ、凄く熱いが我慢する! 意地が支えの男道! 神谷様たぁ、俺の事だ!! 覚えておきやがれ!!」

 

ラウラに向かってそう啖呵を切ったのだった。

 

「! 戯言を!!」

 

その良く分からない迫力に若干押されながらも、ラウラはグレンラガンに向かって、ワイヤーブレードを2本伸ばした!!

 

「むうっ!?」

 

グレンラガンがガードの姿勢と取ると、ワイヤーブレードはその両手に巻き付く。

 

そのままワイヤーブレードを巻き取り、グレンラガンを手繰り寄せようとするラウラ。

 

だが!!

 

「舐めんなよ!!」

 

神谷がそう叫ぶと、グレンラガンの両腕がドリルへと変わり、ワイヤーブレードを細切れにした!!

 

「!? くうっ!?」

 

急に支えを失う形になり、ラウラはバランスを崩す。

 

「喰らえぇっ!!」

 

グレンラガンはそのまま、両腕のドリルを構えて突撃する。

 

「馬鹿め! 私にはAICが有る事を忘れたか!!」

 

しかし、ラウラは突撃して来たグレンラガンに手を翳し、AICでその動きを止めてしまう。

 

(グウッ!?)

 

「死ねぇっ!!」

 

ラウラは動きを止めたグレンラガンに大口径レールカノンを向けるが………

 

「お前こそ忘れたのか!? 俺達は2人居るんだぞ!!」

 

その瞬間、一夏がラウラの背後から、雪片弐型を振り下ろした!!

 

「!?」

 

咄嗟に直撃は避けたものの、大口径レールカノンが斬り裂かれ、暴発する!!

 

「ぐうっ!?」

 

「おりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

更に、その際にAICを解除してしまったので、グレンラガンが再び動き出し、両腕のドリルを叩き込んだ!!

 

「!? ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

真面に喰らってしまい、ぶっ飛ばされるラウラ。

 

「グッ!!」

 

そのまま何度かアリーナの地面をバウンドしたかと思うと、体勢を立て直す!!

 

そして、両手にプラズマ手刀を出現させる!!

 

「貴様等ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

激昂している様子を露わに、グレンラガンと一夏に向かって突撃して行く。

 

大口径レールカノンがやられたので、接近戦を仕掛ける積りの様だ。

 

「貴様じゃねえ! 神谷様と!!」

 

「織斑 一夏だっつってんだろがあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

それに対して、グレンラガンと一夏もそう叫び、ドリルと雪片弐型を構えて突撃して行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

IS学園・職員室では………

 

「第3アリーナで喧嘩!? 相手は誰ですか!?」

 

「ドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒと、織斑 一夏………それと例の天上 神谷です!!」

 

「何ぃっ!? またアイツか!! 何かというと騒ぎの中心に居るな!!」

 

第3アリーナの異変を察知し、教師達が大慌てて対応していた。

 

「兎に角、止めないと!!」

 

「し、しかし………相手は全員専用機持ちです! 教師陣全員で行って勝てるか如何か………」

 

「なら織斑先生だ! 織斑先生ならばあの騒ぎを鎮められる筈だ!!」

 

学園の非常事態においては、実質的な最高指揮権を有している千冬に、白羽の矢が立てられるが………

 

「山田先生! 織斑先生は!?」

 

「えっと………医務室です」

 

真耶が申し訳なさそうにそう答える。

 

「い、医務室!? 何故!?」

 

「その………持病の神経性胃炎が悪化したみたいで………」

 

「何いいいいぃぃぃぃぃーーーーーーっ!?」

 

「如何するんですか!? 織斑先生が居なきゃ、一体誰が騒ぎを止めるんですか!?」

 

てんやわんやとなる職員室内だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び第3アリーナ………

 

「ぬああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

ラウラの両手のプラズマ手刀と、グレンラガンのドリルと化した両腕がぶつかり合い、激しく火花を散らしている。

 

「どりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

やがてパワー差から、ラウラの方が押され始めた!!

 

「グッ! このぉっ!!」

 

ラウラはグレンラガンに肉薄した状態から、残っていた4本のワイヤーブレードを射出。

 

グレンラガンに攻撃しようとしたが………

 

「させるかよ!!」

 

グレンラガンの背後から飛び出した一夏が、ワイヤーブレードを全て斬り捨てた!!

 

「織斑 一夏ぁ!!」

 

「余所見してんじゃねえぞ!!」

 

思わず一夏に視線が向いてしまったラウラに、グレンラガンの喧嘩キックが繰り出される。

 

「ガフッ!?」

 

ボディにまともに蹴りが入り、ラウラの上体が下がる。

 

「むんっ!!」

 

すると、グレンラガンはそのラウラの下がった上体に、背中側から両腕で摑み掛かると、そのままラウラをISごと逆さまにする様に持ち上げた!!

 

「!?」

 

「グレンラガン・ドライバアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そしてそのままパイルドライバーを繰り出し、脳天を地面に叩き付けた!!

 

「!? グハッ!?」

 

絶対防御が発動したものの、衝撃が脳を揺さぶり、シールドエネルギーも大きく削られる。

 

「グウッ! このぉ!!」

 

すぐに起き上がるラウラだが、まだ脳が揺れており、視界が定まらない!!

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

そこへ、一夏が雪片弐型を蜻蛉に構えて、ラウラへ突撃して来た!!

 

「織斑 一夏ぁ!!」

 

AICで本人ごと静止させようとしたラウラだったが、脳が完全に機能していない為、多大な集中力を要するAICの展開が遅れる。

 

「チェストオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

そんなラウラに、一夏は雪片弐型での袈裟切りを繰り出す!!

 

「!? グアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

衝撃が身体を揺さぶり、シールドエネルギーが残り1ケタまでに減る。

 

「ぐううっ!?」

 

ラウラはそこで、膝から崩れて、地面に両手を付いた。

 

「如何だ? まだやるか?」

 

「もう止めろ、ラウラ。あの2人に謝るんなら、もう許してやる」

 

そんなラウラを見て、神谷と一夏はそう言い放つ。

 

「ふ、ふざけるな! 私は負けられない! 負ける訳には行かない!!」

 

ラウラはそう言い返すが、その思いと裏腹に、彼女の身体とISは動かなかった………

 

(負ける………私が負ける?………よりによってコイツ等に!?)

 

絶対に負けたくない相手に負けてしまうと言う現実に、ラウラの感情は一気に沸騰状態になる。

 

(力が………欲しい!!) 

 

その瞬間………

 

ラウラの頭の中に、声が響いて来た………

 

(願うか? 汝、より強い力を欲するか?)

 

その言葉に、ラウラは一も二もなく頷いた!!

 

(よこせ! 力を!………比類無き最強を!!)

 

そう答えた途端に、ラウラの眼帯で隠された金色の瞳に、奇妙な文字の羅列が浮かび上がった!!

 

Damage Level………D

Mind Codition………Uplift

CertifiCation………Clear

Valkyrie Trace System………boot

 

「!? うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

途端に、シュヴァルツェア・レーゲンからスパークの様な青白い稲妻が発せられ始め、ラウラが悲鳴の様な叫びを挙げた!!

 

異常事態を察し、アリーナの防御シャッターが閉じて行く。

 

「「「「「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」」」」」

 

まだ見物を続けていた生徒も、慌てて逃げ出して行く。

 

「!?」

 

「何だ!?」

 

戸惑う一夏と神谷の前で、シュヴァルツェア・レーゲン………いや、シュヴァルツェア・レーゲンだったものが変化して行く。

 

金属である筈の装甲が、まるで粘土の様にグニャグニャと変形を始め、ラウラを取り込んで行った。

 

「ラウラ!?」

 

「一体何が起こってやがんだ!?」

 

と、神谷と一夏がそう言った瞬間………

 

粘土の様になっていた機体が、ある形を作り始めた。

 

それはまるで、ISを纏った女性の様な姿をした『何か』だった。

 

右手には、雪片弐型に似た武器が握られている。

 

「!? アレは!?」

 

「オイオイ、冗談だろ………」

 

一夏が驚愕を露わにし、神谷も驚きを隠そうとしなかった。

 

何故ならそれは………

 

第1回モンド・グロッソで優勝した時の千冬の姿だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

セシリアと鈴VSラウラの戦い。
原作では無念に敗北してしまった2人ですが、この作品では神谷からの影響を受けて、気合で一矢報いています。

そこへ一夏と神谷が乱入。
AICの弱点を看破したことで、有利に戦いを進めますが、そこでVTシステムが発動します。

この状態のラウラと如何戦うのか?
そして、謎のオカマの正体は?(笑)

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

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