これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第103話『僕が神谷を………助けるんだああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!』
デュノア社に捕らわれ、無理矢理花嫁にされようとしていたシャルを救出する為に………
インフィニット・ノアを奪取して、フランスへとやって来たグレン団。
しかし、何と………
シャルを花嫁にしようとしていた、デュノア社急成長の立役者・ケーブは獣人………
即ち今回の一件は、全てロージェノム軍の陰謀であったのだ!!
グレン団と対峙したケーブは、モルガンとアメリーを殺し、更に式に来ていたデュノア社の重役達と政府の要人を皆殺しにする。
混沌とした状況の中、グレン団はケーブとの戦闘を開始するのだった。
フランス・首都パリの上空………
遂にケーブが駆るエンキァルと、グレンラガン&シャルが激突する。
「スカルブレイクッ!!」
突撃しながら、スカルブレイクをエンキァルに向かって繰り出すグレンラガン。
「フッ………」
しかし、エンキァルは僅かに身を捻って躱したかと思うと、伸び切ったグレンラガンの腕を摑む。
「!?」
「ムンッ!!」
そしてそのまま、グレンラガンを投げ飛ばす!!
「うおわっ!?」
「フッ………」
グレンラガンが姿勢を整える前に、腕からエンキァルカウンターを放つエンキァル。
「!? うわおあっ!?」
グレンラガンの背中に直撃したエンキァルカウンターが次々に爆発する。
「このぉっ!!」
其処で今度は、シャルがガルムを連射する。
「…………」
エンキァルは腕のシールドを広げ、ガルムの砲弾を防ぐ。
そして反撃にと、両肩からミサイルを放つ。
「クッ!!」
回避行動を取るシャルだが、ミサイルの誘導性が高く、逃げ切れない。
「!! うわああっ!?」
咄嗟に実体シールドを構えて防御したものの、凄まじい衝撃でバランスを崩し、実体シールドも罅割れ状態となる。
「クウッ!!」
「遅いですね………」
シャルが体勢を立て直そうとした瞬間には、エンキァルが両手にエンキァルソードを握った状態で眼前に居た。
「!?」
「
そのままエンキァルソードで、シャルの心臓を貫こうとするエンキァル。
「!?」
「やらせるかぁっ!!」
しかし其処で、体勢を立て直したグレンラガンがグレンブーメランを右手に握って、背後からエンキァルに斬り掛かる!!
「フッ………」
だが、エンキァルは振り向きもせず、右手のエンキァルソードを背に回して、グレンブーメランを受け止める。
「!? 何っ!?」
「その程度か? グレンラガン」
そう言いながら、エンキァルはシャルにキックを喰らわせて弾き飛ばす。
「!? うわあっ!?」
「シャルッ!!」
「せえあっ!!」
そして、シャルに気を取られてしまったグレンラガンに、左手のエンキァルソードを横薙ぎで叩き込む!!
「!? ぐおあっ!?」
ボディに横一文字の傷が入り、バランスを崩すグレンラガン。
「
其処で更に、エンキァルは頭部の兜の飾りにエネルギーを充填させ、至近距離からエンキァルサンアタックを繰り出す!!
「!! タービネートリフレクションッ!!」
グレンラガンは、咄嗟に右手を前に突き出すと、螺旋エネルギーのバリアを張る。
エンキァルサンアタックのエネルギーは、バリアの上を滑り四散する。
「見事………と言いたいところだが、無事では済まなかった様だな?」
「ハア………ハア………」
如何にか防ぎ切ったグレンラガンだが、大きく息を切らせている。
更に、バリアを張る為に突き出していた右手の装甲も融解し、白煙を上げている。
「痛そうだな、大丈夫か?」
「ウルセェッ!! コレぐらい屁でも無えぇっ!!」
小馬鹿にするエンキァルに、グレンラガンは“
「喰らえっ! ドドリルキイイイイイィィィィィィーーーーーーーックッ!!」
その足で、エンキァル目掛けて回し蹴りを繰り出す。
「無駄だ………」
しかし、ドドリルキックが命中するかと思われた瞬間………
エンキァルの姿がブレて、忽然とグレンラガンの前から姿を消してしまう。
「!? 消えたっ!?………おうわっ!?」
驚いていたグレンラガンの背中で爆発が発生。
「フフフ………」
何時の間にかグレンラガンの背後に廻っていたエンキァルが、両肩からミサイルを見舞ったのだ。
「野郎っ!!」
「遅いっ!!」
体勢を立て直すと直ぐに振り返るグレンラガンだったが、エンキァルはその瞬間、グレンラガンのボディに蹴りを叩き込む。
「ゴハッ!?」
「そらそらそらそらそらぁっ!!」
そのまま両足での連続蹴りを叩き込み始めるエンキァル。
「うおおおおっ!?」
息も吐かせぬ連続攻撃の前に、グレンラガンは反撃出来ない。
「神谷っ!! うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」
と其処で戻って来たシャルが、右腕の実体シールドをパージ。
灰色の鱗殻(グレースケール)を出現させると、エンキァルへと叩き込もうとする。
だが!!
「!? そ、そんなっ!?」
何と、エンキァルは灰色の鱗殻(グレースケール)の先端を、
「そんなちゃちな武器でこの私を倒そうとは、舐められたものです」
そしてエンキァルがそう言ったかと思うと、エンキァルソードが押され、灰色の鱗殻(グレースケール)は粉々にされてしまう!!
「!? ああっ!?」
「フッ………」
そのままシャルをエンキァルソードで斬り付けようとしたが………
「フンッ!!」
其処でグレンラガンが、エンキァルの両足を摑む!!
「むっ?」
「シャルッ! 今だ!!」
「!! うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
グレンラガンがそう叫ぶと、シャルは右手にブレッド・スライサーを握り、エンキァルに斬り付けようとする!!
「フッ! 馬鹿め!!」
しかしエンキァルは動じず、先ず足を押さえていたグレンラガンに、左腕からエンキァルカウンターを見舞う。
「うおわっ!?」
グレンラガンを引き剥がしたかと思うと、今度は右手のエンキァルソードを、ブレッド・スライサーを見舞おうとして来ているシャル目掛けて振るう。
エンキァルソードの刃は、ブレッド・スライサーの刃とぶつかり合い、そのままブレッド・スライサーの刃を斬り飛ばした!!
「!? 嘘っ!!」
「せえあっ!!」
驚くシャルに向かって、エンキァルはボディの全武装を展開!!
そのまま、至近距離から全弾を叩き込む!!
「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」
シールドエネルギーが大きく減少し、装甲も弾け飛び、ラファールは原型を留めない程に破壊される。
そのまま、シャルは黒煙を曳きながら地上へと真っ逆さまに落下を始める。
「!! シャルッ!!」
其れを見たグレンラガンが、直ぐ様シャルの元へと飛ぼうとする。
「行かせると思っているのか?」
だがその前に、エンキァルが立ちはだかる。
「退けええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」
グレンラガンが叫ぶと、その右腕にギガドリルが出現する!
「ギガァッ!! ドリルゥゥゥッ! ブレエェェェェェイクッ!!」
そのまま、エンキァル目掛けてギガドリルブレイクを繰り出す!!
「フン………」
と、エンキァルはエンキァルソードを一刀流に持ち直したかと思うと正眼に構え、ギガドリルブレイクで突っ込んで来るグレンラガンを見据える。
そして、ギガドリルブレイクが眼前まで迫った瞬間!!
「セイヤアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」
何と!!
エンキァルは、エンキァルソードを縦一文字に振るい、ギガドリルを両断した!!
「!? んなっ!?………!? ぐえっ!?」
驚愕に包まれたグレンラガンの喉を鷲摑みにするエンキァル。
「弱い………弱過ぎる………コレが、今まで散々我が軍の手を焼かせたグレンラガンか………何と呆気無い」
グレンラガンの喉を鷲摑みにしたまま、エンキァルは拍子抜けしたかの様にそう呟く。
「テ、テメェ………! ぐああああっ!?」
何か言おうとしたグレンラガンだったが、その瞬間にエンキァルの締め上げる力が更に上がる。
ミシミシと嫌な音が、グレンラガンの喉元から鳴り始める。
「が………あ………」
其れと同時に、グレンラガンの意識も遠退いて行く。
「終わりだ、グレンラガン………貴様を欠いたグレン団を倒すのは容易い………コレで、世界は螺旋王様の物だ」
エンキァルはそう言い放ち、グレンラガンにトドメを刺そうとする。
「………神………谷………」
とその光景を、意識が混濁し始め、墜落しているシャルも目撃していた。
(神谷が………神谷が死んじゃう………)
そう思った瞬間、シャルの脳裏に神谷との思い出が走馬灯の様に甦って来る。
(嫌だ………そんなの嫌だ!………僕はずっと………神谷に助けられてばかりだった………だから今度は………)
其処でシャルの心に、緑色の光が螺旋を描く光景が浮かんでくる。
「僕が神谷を………助けるんだああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
そしてそう叫んだ瞬間!!
シャルの身体から緑色の光が放たれ、彼女とラファールを包み込む!!
「!? 何っ!?」
「!? シャルッ!?」
その光に気付いたエンキァルとグレンラガンから驚きの声が挙がる。
と、緑の光球となったシャルが凄まじい勢いで上昇して来たかと思うと、そのままエンキァルに体当たりを見舞う。
「ぐああっ!?」
「クッ!! ゲホッ! ゲホッ!」
その隙を衝いて、グレンラガンはエンキァルの手から逃れ、咳き込みながらも体勢を立て直す。
緑の光球となったシャルは、エンキァルを見下ろす位置に陣取ったかと思うと、其処で光が弾ける。
そして、中から“姿の変わったラファール”を身に纏ったシャルが現れる!
オレンジ色をしていたカラーリングは、鉄(くろがね)と銀を主体とした堅牢さを感じさせるカラーとなり………
全体的なフォルムは変わっていないが、装甲のデザインが何処と無く高貴さを感じさせるデザインとなっている。
何より目を引くのは、側頭部に付いている大小2本ずつ、計4本生えた“角”だ。
「貴様ぁっ!!」
「シャル! ソイツは!?」
その姿が変わったラファールの姿を見たエンキァルとグレンラガンがそう声を挙げる。
「………コレが“僕の
其処で、彼女の螺旋力によって第二形態移行(セカンド・シフト)したラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ………『グレンダイザー』を装備したシャルはそう言い放ち、見得を切る様にポーズを取る!!
「グレンダイザーだと!? ええい! 虚仮威しをぉっ!!」
様変わりしたシャルのISに驚きながらも、変わらずエンキァルソードを一刀流に構え、シャルに向かって突っ込んで行くエンキァル。
「! 反重力ストームッ!!」
するとシャルがそう叫び、赤く染まっていた胸部のアーマーから、カラフルな光線を放つ。
「!? うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」
その光線を浴びたエンキァルが、まるで重力を遮断されたかの様に上空へと舞い上げられる。
「スクリュークラッシャーパンチッ!!」
続いてシャルはそう叫び、両腕を拳を握って前に突き出す様にしたかと思うと………
何と!!
両腕のアーマーが射出され、袖の様な三角デコレーションが起き上がって前方まで反転し、回転しながらロケット噴射でエンキァルへと飛ぶ!!
「!? くうっ!?」
エンキァルソードを構えて受け止めようとするエンキァルだったが………
スクリュークラッシャーパンチが命中した瞬間!!
エンキァルソードが粉々に砕けた!!
「!? 馬鹿なっ!?」
「スペースサンダーッ!!」
スクリュークラッシャーパンチを回収すると、シャルは角飾りに雷撃を滾らせ、其れを熱線としてエンキァルに見舞う!!
「クウッ! エンキァル! サンアタックッ!!」
迫るスペースサンダーに対抗する様に、エンキァルはエンキァルサンアタックを放つ。
しかし、スペースサンダーとぶつかり合ったエンキァルサンアタックは一方的に押され、そのままエンキァルの頭部を吹き飛ばした!!
「おわああああっ!?」
頭が在った部分から、黒煙を上げて蹌踉るエンキァル。
「オノレェッ!!」
体勢を立て直すと、怒りも露わに残っていたもう1本のエンキァルソードを握り、シャルに向かおうとするが、
「俺が居るのも忘れるんじゃねえぜぇっ!!」
其処で、グレンラガンがエンキァルの背後を取る!
「!?」
「バーニングキイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーックッ!!」
そしてエンキァルに、足裏のブースターで加速を付けたキック・バーニングキックを叩き込む!
「グアッ! グレンラガン! 貴様ぁっ!!」
とエンキァルがそう叫びながら、内蔵重火器を全て展開。
グレンラガン目掛けて一斉射を見舞う!!
「!? ぐうううっ!?」
防御姿勢を取って耐えるグレンラガンだったが………
その一斉射の中に混じっていたミサイルが、グレンラガンを通り過ぎたかと思うと、反転して背後から命中!!
グレンウイングが破壊されてしまう!
「!? ウイングが!? うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」
翼を失ったグレンラガンは、真っ逆さまに落下を始める。
「貴様の最期は、水底がお似合いだ」
グレンラガンの落下先がセーヌ川である事を見たエンキァルがそんな事を呟く。
だが!
「神谷!! スペイザー! 神谷を助けて!!」
シャルがそう叫んだかと思うと、巨大な垂直尾翼と左右に補助的な翼が存在し、尾部には2基の巨大なジェットノズルを持つ円盤メカ………『スペイザー』が出現!
落下するグレンラガンに向かって飛ぶ!
「神谷! 其れに乗って!!」
シャルの声で、スペイザーがグレンラガンの落下先に回り込む。
「! ありがてぇっ!!」
グレンラガンは、そのままスペイザーの上に着地する!
スペイザーは、グレンラガンを上に乗せたまま上昇!
エンキァルへと向かった!!
「!? 何だとっ!?」
「変態獣人野郎! お返しだ!! キラーレーザーッ!!」
驚くエンキァルに向かって、グレンラガンは胸のグレンブーメランを外すと、ボディの顔の目からレーザーを放つ!!
「ぬうあっ!? “人間如き”がぁっ!!」
直撃を貰い、怯みながらもスペイザーに乗るグレンラガン目掛けてエンキァルカウンターを放つエンキァル。
「おおっと!!」
グレンラガンは、スペイザーの上でジャンプして躱す。
「メルトシャワーッ!!」
と其処でシャルがそう叫ぶと、スペイザーの上部から液体がエンキァル目掛けて放たれる。
「!?」
咄嗟に、右腕のシールドを広げるエンキァルだったが………
液体がシールドに掛かると、シールドが白煙を上げて右腕ごと溶けた!!
「!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」
右腕が溶けて無くなり、エンキァルは悲鳴を挙げる。
「グレンブーメランッ!!」
その隙を狙い、未だ空中に居たグレンラガンが、手に持っていたグレンブーメランを投擲!
高速回転しながら飛んだグレンブーメランは、エンキァルの左腕を肩口から斬り飛ばした!!
「!? うがああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」
両腕を失い、遂にエンキァルは追い込まれる。
「終わりだ! 変態獣人野郎!!」
再びスペイザーの上に着地を決めたグレンラガンが、そう叫ぶ。
「ダブルハーケンッ!!」
と続けてシャルがそう叫び、ショルダー部分に装備されていた銀色の半月状のパーツが分離したかと思うと、其れが長柄で連結されて必殺武器『ダブルハーケン』となる!
「ええいっ!!」
そのダブルハーケンを、エンキァル目掛けて投擲するシャル。
「そんなモノォッ!!」
軽々と避けようとするエンキァルだったが………
「時空断裂! 大回転キイイイイイィィィィィィーーーーーーーックッ!!」
その瞬間にグレンラガンも、エンキァルの頭上から螺旋力を纏った両足での回転蹴りを見舞って来る。
「!? 何っ!?」
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
エンキァルがそう叫んだ瞬間、先ずグレンラガンの技が炸裂!!
エンキァルの身体が、上下に分断される!!
「がっ!?」
その次の瞬間には、回転しながら飛んで来ていたダブルハーケンが命中!!
上下に分かれていたエンキァルが、更に左右にと分断された!!
「!? ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」
4つに分断されたエンキァルから断末魔の叫びが挙がったかと思うと、そのまま爆発・四散する。
「…………」
「やったな、シャル」
「うん………」
其れを無言で見下ろしていたシャルに、再びスペイザーの上に着地したグレンラガンがそう言う。
「神谷」
「ん?」
「あの、僕………」
と、シャルが何か言おうとしたその瞬間!!
風切り音が鳴り響いて来たかと思うと、パリ市内に砲弾が着弾!!
巨大な爆発が起こった!!
「「!?」」
グレンラガンとシャルが其れに反応した瞬間、更に無数の風切り音と共に、今度は複数の砲弾がパリ市内の彼方此方に着弾!!
内1発はエッフェル塔に命中。
頑強な鉄骨の塔が、まるで玩具の様に崩れ、無残にも倒れる………
一瞬にして、
「コ、コレは!?」
「アニキッ!」
「シャルロットッ!!」
シャルが言葉を失っていると、漸く飛行型ガンメン部隊の掃討を終えた一夏達が集まって来る。
「クソッ! 誰だ!! こんな真似しやがるのは!?」
「ア、アニキ………アレ………」
グレンラガンが怒りの声を挙げると、グラパール・弾が慄いている様子を見せながら、正面を指差してそう呟く。
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
グラパール・弾が指し示した先を見て、一夏達も驚愕する。
何故なら其処には………
今までに見た事も無い様なロージェノム軍の大軍勢が押し寄せて来ていたからだ!!
飛行部隊が空を覆い尽くし、余りの数に空が黒く見えている。
更には、地上にも同じか其れ以上の数の部隊が展開し、グレン団の所にまで聞こえる程の地響きを立てて進軍して来ている。
其れは宛ら、“軍隊の大津波”が押し寄せて来る様な光景であった………
「ロ、ロージェノム軍が………あんなに………」
「嘘でしょ………?」
一夏と鈴は戦慄した様子も露わに、絞り出す様にしてやっとそう呟く。
[皆! 聞こえる!? 急いでインフィニット・ノアまで戻るのよ!!]
と其処で、インフィニット・ノアのリーロンから慌てた口調の通信が入る。
「! リーロン!」
[ロージェノム軍が大攻勢に出て来てるわ!! 既にフランス国内の幾つかの都市や街が、焼き払われるか占領されたわ!!]
「そんなっ!?」
「フランス軍は如何したんですか!?」
驚愕の声を挙げるシャルと、直ぐ様そう尋ねる楯無。
[政府の要人達が皆
「やられた………奴等の狙いは………最初から其れだったのね………」
地上の簪が、苦々し気にそう呟く。
「野郎! 俺が叩き潰してやる!!」
[馬鹿言わないの! さっきまでの戦いで消耗してるんでしょ!? 例え“万全の状態”だったとしても、アレだけの大軍と
立ち向かおうとするグレンラガンだが、リーロンから冷静な意見が述べられる。
「んなモン、やってみなけりゃ………」
「アニキ! 此処は一旦
「明日の為に、今日の屈辱に耐えるんだ!!」
グレンラガンは尚も戦おうとしたが、一夏と箒がそう説得する。
「クッ!………チキショーがぁっ!!」
悔し気な声を挙げるグレンラガン。
その間にも、ロージェノム軍の大軍はパリを包囲し始める。
「マズイですわ! 包囲網が展開され始めています!」
「こうなると固まって逃げるのは不利だ………一旦バラバラになって逃げるんだ! その後でインフィニット・ノアで合流するんだ!!」
其れを見たセシリアとラウラがそう声を挙げる。
「りょ、了解!!」
「分かったよ!」
グラパール・蘭とダンクーガがそう返事を返すと、他の一同も頷く。
「良し! 退却ううううううぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーっ!!」
そして楯無のその掛け声で、グレン団は方々に散らばる様にして退却を開始する。
その直後………
ロージェノム軍の大軍は、パリへと侵攻………
嘗て、第二次世界大戦時にも守られた花の都は………
この日、無残な姿を晒す事となったのだった………
◇
小1時間後………
方々に退却したグレン団のメンバーの内、ラウラは………
「クッ! 何処も彼処もロージェノム軍だらけではないか!………フランスは本当に陥落したのだな………」
敵の目を掻い潜り、徐々にだがインフィニット・ノアが居る地中海へと近付いていた。
現在、深い森の中に隠れ、敵の動きを確認しているが………
レーダーを広域に切り替えると、忽ち赤く染まっている地域が出て来る。
更にその地域は、徐々に範囲を広げて来ていた………
「急がなければ………このままではインフィニット・ノアに戻る事すら出来なくなる」
レーダーを閉じると、再びインフィニット・ノアを目指して進み出そうとするラウラ。
と、その時!
近くの茂みから、ガサッ!と言う音が鳴った。
「!? 誰だっ!?」
ラウラは即座にレールカノンを茂みへと向ける。
すると、茂みから出て来たのは………
「「「「「…………」」」」」
量産型のグラパール達だった。
しかも、全機がドイツ軍の国籍マークである黒十字・バルケンクロイツが刻まれている。
「!? ドイツ軍のグラパール隊だと!? 何故我が国の部隊がフランスに居る!?」
同郷の軍部隊が現れた事に驚きながらも、ラウラはそう尋ねる。
と、その瞬間!!
グラパール部隊の隊長機と思われる機体が、ラウラに向けて手にしていたグレネードランチャーの様な武器を発砲した!!
発射された弾丸が分解したかと思うと、その中からネットが飛び出し、ラウラに覆い被さる!!
「!? な、何をっ!?」
直ぐにネットを引き千切ろうとするラウラだったが………
その瞬間、ネットから高圧電流が流れた!!
「!? あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?………」
悲鳴を挙げ、気絶してしまうラウラ。
そのままバタリと倒れると、ISが解除される。
「「「「「…………」」」」」
グラパール部隊は、其れを確認して顔を見合わせると、気絶したラウラを何処かへと連れ去って行くのだった………
一方、その頃………
グレンラガン(神谷)とシャルは………
「「…………」」
片田舎の石造りの橋の下に隠れている。
その上空を、ロージェノム軍の飛行部隊が旋回している。
「「…………」」
息を潜めてジッとしているシャルとグレンラガン。
やがてロージェノム軍の飛行部隊は、旋回を止めて別の空域に飛んで行った。
「………行ったみたいだね」
「クソッ! この俺が敵から逃げ隠れしなきゃなんねえだなんてよぉ………」
逃げの一手しか打てない事に、グレンラガンは悔し気に呟く。
「仕方無いよ。時には“逃げる事も勇気”なんだよ、神谷」
「チッ………ロージェノムの野郎め………この借りは100倍にして返してやらぁ!」
シャルの言葉を聞きながら、グレンラガンは左の掌に右手の拳を打ち付ける。
「さ、行こう。また別の部隊が来るかも知れないし………」
そう言いながら、シャルは橋の下から出る。
「………アレ?」
と、其処でシャルが周りの景色を見回し、“何かに気付いた”様な顔をする。
「? どした、シャル?」
「此処って………」
グレンラガンがそう尋ねるが、シャルは応えずに再度周りを確認する様に見渡す。
「………そっか………逃げてる内に“
「オイ、何言ってんだ?」
要領を得ないグレンラガンが、そう質問を重ねる。
「………ねえ、神谷………ちょっと行きたい所が在るんだけど、良いかな?」
するとシャルは、グレンラガンに向かってそう言って来た。
「あ? 行きたい所?」
首を傾げながら呟くグレンラガン。
普通に考えれば、撤退中に“寄り道”等するべきでは無い。
そんな事をすれば、敵に発見されるリスクが高まるだけだ。
しかし………
「別に良いぜ。如何しても行きてぇんだろ?」
シャルの表情から、其れと察したグレンラガンはそう言い放つ。
「! ありがとう、神谷………」
其れを聞いたシャルは、嬉しそうに笑みを浮かべる。
そして2人は、片田舎の中を敵の目を掻い潜りながら移動し始める。
「………此処だよ」
そして辿り着いたのは………
枯れた花畑が正面に広がっている1軒の家だった。
大分放置されていたのか、家は痛みが進んでいる。
「何だ、此処は?」
「………
その家と枯れた花畑を見ながらグレンラガンがそう問うと、シャルがそう答える。
「! そう言う事か………」
その答えで察するグレンラガン。
即ち此処は………
シャルが“
「…………」
懐かしそうな顔をしながら、シャルは家の裏手に向かって歩き出す。
「…………」
グレンラガンも、無言でその後に続いた。
家の裏手に回って少し歩くと、1本の木が生えた小高い丘に辿り着く。
その丘の上には、1基の墓が立てられていた。
「お母さん………」
シャルはその墓の前に佇み、そう呟く。
「お袋の墓か?」
「…………」
そう尋ねて来たグレンラガンに、シャルは無言で頷いた。
そしてISを解除すると、座り込んで墓石に触れる。
「お母さん………“
そのまま墓石に向かって語り始めるシャル。
「結局、あの人は最期まで“お金と会社の事”しか考えて無かったよ………僕の事も………
「…………」
シャルが墓石に語り掛けるのを、只ジッと見ているグレンラガン。
「でもね! 僕、全然平気だよ! だって僕にはすっごく“素敵な仲間”が出来たんだ! 自分達が汚名を着る事になっても、僕の事を助けに来てくれたとっても馬鹿で………
と其処で、シャルは笑顔になってそう語り出す。
「だから心配しないで、お母さん………また暫く来れなくなると思うけど………僕は………もう
「…………」
其処でグレンラガンが神谷の姿に戻ったかと思うと、近くに咲いていた花を摘む。
そしてシャルの隣に座り込んだかと思うと、その花を墓石に供えた。
「神谷………」
「よう、シャルのお袋さん。初めましてだな。俺がグレン団の鬼リーダー。そして
不敵な笑みを浮かべて、神谷は墓石に向かってそう語り始める。
「コレから色々とあるだろうが、心配すんな………シャルはこの俺が守る。必ずな」
短くシンプルな言葉だが、確かな決意と覚悟を決めた表情で、神谷はそう語った。
「…………」
其れを聞いたシャルは、嬉しそうな表情を浮かべて、神谷に身体を預ける。
「…………」
神谷はそんなシャルの肩を抱き寄せる。
そしてその後………
2人は墓石に向かって祈りを捧げたかと思うと、インフィニット・ノアへと引き上げ始めた。
その時、風が吹いて墓に供えてあった花の花弁が空に舞う。
と、その瞬間!
墓に背を向けていた神谷とシャルは気付かなかったが………
墓石の隣に………
身体が薄く透けた、シャルを大人にした様な姿の女性が現れ………
神谷とシャルに向かって、優しく微笑み掛けていたのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
今まで最強の敵、エンキァル。
グレンラガンとシャルが手も足も出せません。
絶体絶命かと思われたその時………
シャルのラファールが第二形態移行(セカンド・シフト)。
グレンダイザーへ姿を変えます。
グレンダイザーにした理由は、シャルの母国フランスで100パーセントの視聴率を叩き出したと言う伝説があるので。
見事エンキァルを撃破しましたが………
何とフランスが陥落。
グレン団はジリジリに逃げ出します。
そんな中で、ラウラがドイツ軍に拉致!?
次回からドイツ編が始まります。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
-
天元突破ISと同時
-
土曜午前7時
-
別の日時(後日再アンケート)