天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第104話『何を言い出すのかと思ったら、そんな事かよ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第104話『何を言い出すのかと思ったら、そんな事かよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルを助け出し、ロージェノム軍のケーブを撃破する事に成功したグレン団。

 

しかしケーブは、“フランス政府の要人を全て抹殺する”という使命を果たしていた。

 

政府機能がマヒして混乱に陥ったフランスは、ロージェノム軍の大軍勢の前に抵抗出来ず、陥落する事となる。

 

グレン団の面々も、命辛々の撤退をする事になる。

 

だが、その最中(さなか)………

 

ドイツのグラパール部隊により、ラウラが拉致された。

 

果たして彼等は何者か?

 

何を目的として、ラウラを拉致したのか?

 

そして、更に………

 

この事件が、簪にも飛び火する事になろうとは………

 

この時、誰も予想していなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地中海・フランス沖の海底………

 

暗闇の海底にその巨体を横たえ、潜んでいるインフィニット・ノア。

 

ほんの少し前、フランスは事実上陥落。

 

遂に、ロシアに続き“常任理事国の1つ”であるフランスまでもが壊滅した。

 

残る大国は、アメリカ・イギリス・中国・ドイツ、そして日本だけとなっている。

 

既にグレン団メンバーは帰還しており、後はラウラが帰還するのを待っている。

 

しかし………

 

丸1日経っても、ラウラは帰って来なかった………

 

 

 

 

 

インフィニット・ノアの艦橋にて………

 

「遅い………幾ら何でも遅過ぎるぞ」

 

中々ラウラが帰って来ない事に、一夏はそう声を挙げる。

 

「既に、フランス全土にロージェノム軍が展開………フランスは事実上制圧されたわ」

 

情報収集席に着いているリーロンが、フランスの現状の情報を収集しながらそう言う。

 

無論、政府首脳部が全滅したとは言え、フランス軍には未だ未だ健在な部隊も多い。

 

その生き残った部隊は地下へと潜り、ゲリラ戦で対抗している。

 

また、労働力として確保されていた市民達も、レジスタンスを結成してロージェノム軍に抵抗しているらしい。

 

尤も、其れが“何時まで続けられる”かは分からないが………

 

「まさか………?」

 

「敵に捕まったんじゃ………?」

 

箒とシャルが、思わずそう口にする。

 

「まさか! ()()ラウラに限って、其れは無いわよ!!」

 

「そうですわ。何せ“現役の軍人”なのですから」

 

鈴とセシリアがそう言って否定するが、其れは自分もその可能性を感じ、其れを信じたくない思いから出た言葉だった。

 

「でも………ココまで遅いとなると………」

 

「流石に、その可能性も捨て切れ無いわね」

 

簪と楯無は、状況を冷静に分析してそう言う。

 

「若し、そうだとしたら………」

 

「大変! 助けに行かないと!!」

 

蘭の呟きに、ティトリーが慌てた様子を見せる。

 

「しかし、何処に居るのかも分からない上に、こうロージェノム軍が煩いとなぁ………」

 

愚痴る様に弾が呟く。

 

(………如何にも、()()()()がしやがるぜ)

 

そして神谷は、“良く当たる”嫌な予感を感じていた。

 

とその時………

 

「あれ~? 何だろう、コレ~?」

 

通信席に座って居たのほほんが、そう声を挙げる。

 

「如何したの、本音?」

 

其れを聞いた虚が傍に寄り、他の一同の視線ものほほんの元に集まる。

 

「ロージェノム軍の通信回線を盗聴して~、ラウリーの情報が無いか調べてたんだけど~………回線に、(な~ん)か妙な信号が混じってるの~」

 

「妙な信号?」

 

のほほんの言葉に、虚は通信席のコンソールパネルを覗き込む。

 

彼女の言う通り、盗聴しているロージェノム軍やその他様々な通信回線の音波に混じって、“短音と長音を組み合わせた()()()()音波”が流れている。

 

「コレは………モールス信号だね」

 

「「「「「モールス信号?」」」」」

 

と、その音波がモールス信号である事に気付いたシャルがそう言い、一夏達も声を挙げる。

 

「って、何だ?」

 

「ハイハイ。貴方は黙ってて良いから、()()()()()に任せましょう」

 

1人神谷は、モールス信号が何であるか理解出来無かったが、リーロンがそう言って黙らせる。

 

「え~と、何々………こ・ち・ら・は………シュ・ヴァ・ル・ツェ・ハ・ー・ゼ………! シュヴァルツェ・ハーゼ!?」

 

シャルが解読に掛かると、通信の中に『シュヴァルツェ・ハーゼ』と言う単語が入っている事が分かって驚く。

 

「シュヴァルツェ・ハーゼって、確かラウラの!」

 

「グ・レ・ン・ダ・ン・ノ・ミ・ナ・サ・ン…………コ・ノ・ツ・ウ・シ・ン・ヲ・ウ・ケ・ト・ッ・タ・ラ………ド・イ・ツ・ノ・コ・ノ・バ・ショ・ニ・キ・テ・ク・ダ・サ・イ………」

 

一夏がそう声を挙げる中、シャルは更に解読を進め、そのモールス信号の中に、“ドイツのと或る地点を示す座標”が入っている事を分析する。

 

「私達宛てですの?」

 

「一体如何言う事?」

 

シュヴァルツェ・ハーゼが、自分達宛て………

 

しかも態々()()()()()()で通信を送っている事に、セシリアと鈴は首を傾げる。

 

「態々、もう余り使われなくなったモールス信号で送って来てる、って事は“余り知られたく無い話”みたいね」

 

其処でリーロンが、そう推察を立てる。

 

「アニキ、如何する?」

 

「行ってみるか。ラウラの事も何か分かるかも知れねえ」

 

弾が尋ねると、神谷はそう決断を下す。

 

インフィニット・ノアは一旦地中海を出ると、英仏間のドーバー海峡を抜け、北海へと移って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北海へと辿り着いたインフィニット・ノアは、再び海底へと潜伏。

 

グレン団は、またもや人気の無い海岸に特殊潜航艇で隠密上陸。

 

そのまま人目を忍んで、指定されたポイントへと向かう。

 

そしてそのポイントに在ったのは、シュヴァルツェ・ハーゼの基地だった。

 

「此処って、ひょっとして………」

 

「如何やら、シュヴァルツェ・ハーゼの基地みたいね」

 

目の前に広がっている基地を見ながら、シャルと楯無がそう言う。

 

すると………

 

[お待ちしておりました、グレン団の皆さん]

 

基地敷地内への出入り口付近に設置されていたスピーカーから、そう言う声が響いて来た。

 

「その声は………クラリッサさん!」

 

その声が、以前休暇で来日して来たクラリッサ(第52話参照)のものであると気付く一夏。

 

[今セキュリティを切ります。どうぞ中へ入って下さい。投影掲示板で案内致します]

 

クラリッサがそう言ったかと思うと、敷地内への出入り口が解放され、投影掲示板で案内が出される。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

グレン団の一同は一瞬顔を見合わせると、シュヴァルツェ・ハーゼの基地敷地内へと入って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュヴァルツェ・ハーゼの基地・作戦司令室………

 

投影掲示板での案内に従って進んで行ったグレン団の面々は、基地の作戦司令室へと辿り着く。

 

「お待ちしておりました、グレン団の皆さん」

 

辿り着いたグレン団をクラリッサが敬礼で迎え、その後ろに整列していた他の隊員達も、同じ様に敬礼を送る。

 

「よう、久しぶりだな」

 

「クラリッサさん。お久しぶりです」

 

一同を代表する様に、神谷と一夏がそう言う。

 

「お久しぶりです、アニキさん。織斑殿。“グレン団が全滅した”と言うニュースを聞いた時は驚きましたが、やはり生きていたのですね」

 

「あたぼうよ! 天下に轟くグレン団があのくらいでやられるか、ってぇんだ!!」

 

「「「「「「「「「「おおーっ!!」」」」」」」」」」

 

その様子に、シュヴァルツェ・ハーゼの隊員達が歓声を挙げる。

 

「素晴らしい!」

 

「アレが噂に聞く、ジャパニーズ・スピリッツですね!」

 

「ヤマトダマシイ!!」

 

(………日本が誤解されるな)

 

シュヴァルツェ・ハーゼの隊員達の会話を聞きながら、一夏は心の中でそう呆れるのだった。

 

「貴方方なら必ず、“我々の信号”をキャッチしてくれると思っていましたよ」

 

「其れで、如何して私達を呼び出したの? 生憎、其方の隊長であるラウラちゃんは、行方が知れなくなってるんだけど」

 

とクラリッサがそう言うと、楯無が本題を切り出し、同時に現在ラウラの行方が知れない事を知らせる。

 

「………実は、お呼び出ししたのは“その事”でなのです」

 

すると、クラリッサは真剣な表情となり、そう言う。

 

「? 如何言う事ですか?」

 

「『隊長の出自』については、皆さんも御存じですね?」

 

クラリッサがそう言うと、グレン団の面々は無言で頷く。

 

「“()()()()最強の兵士を生み出そうとした計画”で生まれた存在………其れが隊長です。現在、その計画は“倫理的な問題が指摘されたので()()されている”のですが………」

 

()()が………秘密裏に続けていた、と………?」

 

口籠るクラリッサに代わる様に、簪がそう言う。

 

「ハイ………その計画の発案者だった、ドイツ軍将校………『ヨラン・ペールゼン』閣下が、ドイツでの計画凍結後に軍を退役してアメリカへ渡り………其処で“更に()()した計画”を発案していたのです」

 

「その『発案した計画』と言うのは?」

 

「………『パーフェクトソルジャー計画』、通称『PS計画』です」

 

「パーフェクト………ソルジャー………」

 

「『完全なる兵士』ですか」

 

その単語を和訳したセシリアがそう呟く。

 

「ですが、アメリカに於いても倫理性を問われて、計画は頓挫した。ペールゼン元閣下は行方不明となりました………しかし、最近になってペールゼン元閣下が、此処ドイツへ帰って来ている、と言う情報をキャッチしたのです」

 

「ドイツに?」

 

「其れはひょっとして………?」

 

「恐らく………ペールゼン元閣下は()()()計画を続けているのでしょう」

 

「其れとラウラと、どんな関係が有るんだ?」

 

と其処で、一夏がそう疑問を呈する。

 

「実は………コチラの調べで、ペールゼン元閣下が潜伏していると思われる場所を摑んだのですが………その際に………“隊長がその場所に捕らわれている”という事も分かったのです」

 

「!? 何だって!?」

 

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

 

クラリッサから齎された報告に、グレン団の一同は驚きを露わにする。

 

「間違い無いんですか!?」

 

「ハイ、確かな情報です」

 

「けど、如何してラウラを!? 言っちゃ悪いけど、アイツは確か“失敗作”だ、って言われたらしいじゃないか!」

 

「其れは、ISの適正を高める為に行われた“ヴォーダン・オージェの不適合”の所為です。実際、ISが登場する前までの隊長は、“ドイツ軍1の兵士”だと称されてました」

 

「つまり………そのペールゼンって奴は、ラウラちゃんをPS計画の為に利用しようと企んでいる、と?」

 

楯無がそう問うと、クラリッサは頷く。

 

「今やロージェノム軍との戦闘は、“人類が完全に追い込まれている状態”です。ペールゼン元閣下はPS(パーフェクト・ソルジャー)を投入する事によってこの戦況を打開し、()()()()()()()()()をドイツ軍、延いては世界にアピールする積りでしょう」

 

「ざけんな! PSだがファミコンだか知らねーが、そんな()()()()()()の為にラウラの奴を利用させやしねえぜ!!」

 

其処で神谷が、堪忍袋の緒が切れた様にそう怒鳴り声を挙げた。

 

「現在ペールゼン元閣下は、軍から不名誉除隊或いは懲戒処分を受けた軍人崩れ達や傭兵達を集めて武装させ、秘密基地に立て籠もっているそうです。ドイツ軍はロージェノム軍の迎撃で手一杯であり、隊長の救出は()()()()()されました」

 

「其れで私達を呼び出した、と?」

 

「“厚かましいお願い”だと言う事は重々承知しております。これは、言うなれば“ドイツ軍の尻拭いの手伝い”をしろ、と言っている様なものです。ですが………お願いします! ()()()()()()()に力をお貸し下さい!!」

 

「「「「「「「「「「お願いします!!」」」」」」」」」」

 

箒がそう問うと、クラリッサはそう答えて深々と頭を下げ、隊員達も同じ様に深々と頭を下げる。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

暫くの間、作戦室内を沈黙が支配する。

 

「………ったく。“何を言い出す”のかと思ったら、()()()()かよ」

 

やがて、その沈黙を破って神谷がそう言う。

 

「んな()()()()の事を言うんじゃ無えよ!!」

 

「! アニキさん!!」

 

「ラウラが捕らわれてる、って言うんなら俺達が行かないワケには行かないさ」

 

「うむ」

 

クラリッサが感動した様子を見せると、一夏と箒もそう言って来る。

 

「ラウラさんには“()()()貸し借りが御座います”からね」

 

「其れを“返して返させないと”気が済まないわ」

 

セシリアと鈴も澄まし顔でそう言う。

 

「ラウラには色々と助けて貰ったからね」

 

「今度は私達が助ける番だよ!」

 

続く様に、シャルとティトリーがそう言う。

 

「何より、“グレン団は仲間を見捨てたりしない”わ」

 

「…………」

 

楯無がそう言い、簪が無言で同意する。

 

「その通り! ()()()()()()のに理由なんざ要ら無えっ!!」

 

「私達は“ドイツ軍の後始末”をするんじゃありません。“()()()()()のラウラさんを助けに行く”んです!」

 

最後に、弾と蘭がそう言い合う。

 

「皆さん………本当に………本当にありがとうございます!!」

 

クラリッサは目に涙を滲ませ、またもグレン団の面々に向かって深々と頭を下げるのだった。

 

「だ~から、気にすんなって!」

 

「其れよりも、今はラウラを助け出す事を考えましょう。その、ペールゼンって奴の居場所は分かってるんですよね?」

 

神谷が気にするなと言い、一夏が本題を切り出す。

 

「! ハイ! お前達!!」

 

「「「「「「「「「「ハイッ!!」」」」」」」」」」

 

クラリッサが涙を振り払うと、直ぐ様シュヴァルツェ・ハーゼの隊員達が作戦会議の準備を整えた。

 

 

 

 

 

程無くして、グレン団もシュヴァルツェ・ハーゼも作戦会議の準備が整う。

 

そして床に、ドイツの“と或る場所”を示す地図が投影される。

 

その地図の一点が、赤く点滅する。

 

「ペールゼン元閣下が潜伏している秘密基地はこの場所………元々は、嘗て隊長を生み出した計画を行い、現在は放棄された軍の研究基地です」

 

その赤く点滅した地点を指揮棒で差し、クラリッサがそう説明する。

 

「兵の数は不明ですが………少なくとも、中隊規模の人数が居る模様です」

 

「意外と多いわね………」

 

「ケッ! 雑魚(ザコ)が何人集まろうが、この神谷様とグレン団には敵わねえって事を教えてやるぜ!!」

 

「アニキ、落ち着いて。俺達が先ずやらなきゃならないのは、ラウラの身柄を確保する事なんだから」

 

血気盛んに言う神谷を、抑える様にそう言う一夏。

 

彼の言う通り、ペールゼンなる人物の元にラウラが捕らわれているのならば、先ず彼女の身柄を確保しなければならない。

 

最優先で考える事は、“ラウラの安全”なのである。

 

「ペールゼンの事です。潜入への対策は万全でしょう。其処で我々は、『陽動作戦』を行う事にします」

 

「陽動作戦?」

 

「我々シュヴァルツェ・ハーゼが基地の正面から突っ込み、戦闘を仕掛けます。その隙にグレン団の皆さんが基地へと潜入、隊長を救出して下さい。救出が完了したら、我々も基地へと突入。ペールゼンを確保します」

 

クラリッサがそう言うと、地図上でシュヴァルツェ・ハーゼとグレン団を示す矢印が動きを見せる。

 

「こりゃ“囮として敵の目を惹き付ける”のも潜入する方も、危険な作戦だね」

 

その作戦を聞いた楯無が、呆れた様にそう言い放つ。

 

「現状ではコレが一番有効な作戦です」

 

「やるしか無いか………」

 

「兎に角、俺(たち)ゃ“ラウラを探し出して助けりゃ良い”んだろ? 簡単じゃねえか」

 

クラリッサと一夏がそう言うと、神谷が何時もと変わらぬ調子でそう声を挙げる。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

其処でグレン団の面々とシュヴァルツェ・ハーゼの隊員達は、顔を見合わせて無言で頷き合う。

 

「………では! 作戦開始は1時間後! 各員、万全に準備を整えておけ!!」

 

そしてクラリッサがそう言い放つと、両者はラウラ救出作戦の為の準備に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

ドイツ某所・ペールゼンの秘密基地では………

 

(…………)

 

ISスーツだけを着た状態のラウラが、何かの培養液の様な物で満たされたカプセルの中に入れられて眠っている。

 

その身体の彼方此方には、まるで心電図を測る装置の様にコードが接続されており、口元には酸素吸入器が装着されている。

 

「…………」

 

そんなラウラの姿を、無言で見詰める老人が1人………

 

PS計画の総責任者、ヨラン・ペールゼンだ。

 

「…………」

 

暫くカプセルの中のラウラの姿を見詰めていたペールゼンだったが、やがて視線を近くのコンピューターのディスプレイへと移す。

 

其処には、ラウラに関する様々なデータが表示されていた。

 

「………やはり、貴様は私の“嘗ての計画”の中でも()()()()()()()だ」

 

そのデータを見たペールゼンは、そんな事を呟く。

 

「“ヴォーダン・オージェの不適合”さえ………いや、()()()()()()()()()()()貴様こそが“理想の兵士”となっていただろう………」

 

ペールゼンは更に言葉を続ける。

 

「通常の兵士からは、理想の兵士は生まれない………ならば“()()()()理想の兵士として生まれさせれば良い”………その結論に至った私は軍を追われた………だが、私は諦めなかった………“理想の兵士を創り上げる為”にな………その為にもラウラ・ボーデヴィッヒ! 貴様の存在が必要なのだ!」

 

そう言うと、ペールゼンはコンピューターのキーボードを叩く。

 

するとディスプレイの映像が、ラウラのデータから“別の物”へと切り替わる。

 

其処には、ラウラとは異なる人物のデータが表示されていた。

 

そのデータが次々に切り替わって行ったかと思うと………

 

やがて、何処ぞの部屋の映像へと切り替わる。

 

その部屋の中には、ラウラが入っている物と同じカプセルが横に置かれている。

 

しかし、そのカプセルは防御用のシャッターで覆われており、中を窺い知る事は出来ない。

 

「待っていろ、『プロト・ワン』………ラウラ・ボーデヴィッヒの全てのデータを貴様に送り込んでやる………そして」

 

そう言いながらペールゼンが再びキーボードを叩くと、またも映像が切り替わる。

 

其処に今度は、中世の騎士を思わせる独特なデザインをしたISが映し出される。

 

「お前がこのISに乗った時………“()()理想とする兵士”が完成する………」

 

そう呟くペールゼンの顔には、狂気染みた笑みが浮かんでいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュヴァルツェ・ハーゼの基地・格納庫………

 

「………!」

 

スコープドッグを整備していた簪が、()()を感じ取った様に作業の手を止めた。

 

「…………」

 

そのまま、暫し辺りを見回す簪。

 

「? 簪ちゃん? 如何したの?」

 

その様子に気付いた楯無が声を掛ける。

 

「………いや………何でも無い………」

 

やがて簪はそう言い、再び作業を再開する。

 

「? そう………?」

 

疑問を感じながらも、深くは追及しない楯無であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時感じたもの………

 

其れが“何だったのか”を形容するのは、今でも難しい………

 

だが、私は確かに感じていた………

 

予感………

 

そうだ、“私だけが知る闇からの予感”だ………

 

そしてその予感は………

 

コレから始まる………

 

そう。これは、迫り来る“新たな地獄のプレリュード”に過ぎないのだ、と………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

ドイツ編、ラウラのエピソード………
そして簪のエピソードが始まります。

何とペールゼンが登場。
ラウラがPS計画に利用される事に!
シュヴァルツェ・ハーゼと共に救出作戦を練るグレン団だが、簪が何かを感じ取る。
果たして、ペールゼンの基地で待つものは?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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