これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第105話『………何………コレは一体何?………』
嘗て、理想の兵士を創り出そうと計画し、ラウラを生み出した人物………
ドイツ軍元将校『ヨラン・ペールゼン』
倫理的問題を問われて計画が頓挫した後も、ドイツ軍を去ってアメリカへと渡り、計画を発展させた。
発展させた計画『PS計画』を以てして………
その為にラウラを拉致し、謎の存在『プロト・ワン』にそのデータを反映させ………
更には謎のISまで造り上げていた。
ラウラを取り戻す為に、グレン団はシュヴァルツェ・ハーゼと協力し………
ペールゼンが潜伏する秘密基地への奇襲作戦を決行する。
そしてその
簪は、“奇妙な予感”を感じていた………
ペールゼンが潜伏する秘密基地………
まるでクレーターの様に、周囲を森林が生い茂った小高い丘に囲まれた中心部に、その秘密基地は存在している。
元が放棄されていた基地だけあって、建物や施設の彼方此方にヒビが入り、蔦で覆われていた。
周りを囲んでいる、フェンスや鉄条網も錆びてボロボロであり、フェンスの意味を為していない。
しかし………
彼方此方に、ドイツ軍の認識マークを付けた迷彩柄の量産型グラパールが歩哨として歩き回っており、警備は厳重だった。
と………
その秘密基地の正面に当たる位置の丘の上の森林の中で、黒い影が複数動いている。
クラリッサが率いているシュヴァルツェ・ハーゼだ。
全員がISを装着した状態で、木陰や岩陰、地面の起伏の中に隠れて、秘密基地の様子を窺っている。
「………流石に警備は厳重だな」
目の部分に、ハイパーセンサーで調べた情報を表示しているクラリッサがそう呟く。
「副隊長、本当に大丈夫なのでしょうか?」
隊員の1人が、不安を吐き出す様にクラリッサにそう尋ねる。
「心配するな。我々の目的は飽く迄『陽動』だ。我々が敵の注意を惹いている隙にグレン団が突入し、隊長を助け出してくれる。だからきっと大丈夫だ」
「! ハイ!」
その言葉で不安が消えたのか、尋ねて来た隊員の士気が上がる。
其処で、クラリッサは時間を確認する。
「間も無く作戦開始時刻だ。全員準備は良いか?」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
クラリッサの問いに、シュヴァルツェ・ハーゼの隊員達は無言で頷く。
「よし………では行くぞ!!」
とクラリッサは、次の瞬間そう叫び、シュヴァルツェ・ハーゼは一斉に飛び出した!!
ホバリング移動で土煙を立てながら、一斉に正面ゲート目指して突撃して行く!!
「「!?」」
正面ゲートに居た、量産型グラパールの歩哨2体が其れに気付いたが………
「遅いっ!!」
その2体が反応するよりも早く、クラリッサが大型レールカノンを叩き込む!!
量産型グラパールの歩哨2体は、一瞬で正面ゲートごと消し飛ばされた。
「突入っ!!」
クラリッサがそう声を挙げ、先頭を切って基地敷地内へと侵入。
シュヴァルツェ・ハーゼの隊員達も続く。
途端に、敷地内に警報が鳴り響き、施設の彼方此方から量産型グラパール達が姿を見せる。
と、スパイラルボンバーを構えた量産型グラパール1体が、突撃して来るシュヴァルツェ・ハーゼに砲撃を見舞う。
「散開っ!!」
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
しかし、シュヴァルツェ・ハーゼは着弾寸前で散開し、そのまま個々に戦闘を開始した。
ISと量産型グラパールを比べた場合、単純なスペックではISが大きく上回っている。
だが量産型グラパールには、“訓練さえ受ければ
質対量の対決………
戦況は、忽ち混戦状態へと突入した。
敵がISを使っているのを見て、真面にやり合っては勝ち目が無い為“数で押そう”と、次々に出現して来る量産型グラパール。
(良し! 作戦通りだ!! 敵の戦力は此方に集まっている!! 後は頼みます! グレン団の皆さん!!)
プラズマ手刀で量産型グラパールを1体斬り捨てながら、クラリッサが戦況を見てそう思う。
一方、その頃………
そのグレン団のメンバーはと言うと………
ペールゼンが潜伏する秘密基地内部・某通路………
基地内にも絶え間なく警報が鳴り響き、量産型グラパール達が慌しく走り回っている。
「襲撃だ! シュヴァルツェ・ハーゼの連中が攻めて来やがったぞ!!」
「チッ! 黒ウサギめ! 前々から気に食わない奴等だったぜ!!」
「ペールゼン閣下からのお達しだ! 奴等を始末したら特別ボーナスを出してくれるそうだ!!」
「へへっ! 上等だ!! 今の今までデケェ
量産型グラパールを装着している軍人崩れや傭兵達が、そんな事を言いながら襲撃を受けている正面ゲート目指して走って行く。
やがて、全ての兵士達が通り過ぎたかと思うと………
通路の地面が盛り上がり、やがて“銀色に輝く円錐形の物体”………ドリルが飛び出し、大穴が開いた。
「うっし! 上手く基地の中に出たみたいだな!!」
そしてその穴の中から、グレンラガンの姿となっている神谷が姿を現す。
「毎度お馴染み、“地中からの潜入”か」
「けど、有効な手だよ」
「どんな基地でも………“地中からの侵入”を想定している所は無いわ………」
「って言うか、
続いて、一夏・楯無・簪・鈴がそう言いながら這い出て来て、他のメンバーも続く。
「じゃあ、手筈通りに其々のグループに分かれて、先ずラウラを探そう」
「心得た」
シャルと箒がそう言い合うと、グレン団メンバーは其々2~3人の組に分かれ、通路の方々へ散らばって行った。
ラウラが捕えられている以上、今回は時間との勝負になる為、全員気が
そして、この作戦が………
簪に“と或る出会い”を齎す事になる………
楯無・簪組………
「姉さん………彼処………」
通路を進んでいた楯無と簪の内、簪が前方に扉を発見してそう声を挙げる。
「OK!」
其れを聞いた楯無は、先ず扉を通り過ぎて壁に張り付く。
「…………」
そして、扉を挟んで反対側の位置に簪が同じ様に張り付く。
「「…………」」
アイコンタクトを交わしてタイミングを合わせると、扉を破って蒼流旋のガトリング砲とヘヴィマシンガンを構える。
しかし、飛び込んだフロアは倉庫であり、人影は見当たらなかった。
「な~んだ、只の倉庫か………」
「…………」
思わずそう声を挙げる楯無だったが、簪は“何かの気配”を感じ、ターレットレンズの映像を赤外線に切り替える。
すると切り替えた途端、倉庫に積まれていた巨大な木箱の中に、巨大なビームガンを構えて潜んでいる量産型グラパールの姿がハッキリと映し出された!!
巨大なビームガンには、既に発射寸前までにエネルギーがチャージされている。
「! 姉さん!!」
「キャアッ!?」
咄嗟に、簪は楯無に掌底アームパンチを叩き込み、強制的に倉庫の外へ押し出した!!
その直後、潜んでいた量産型グラパールの巨大なビームガンが発射される!!
木箱を突き破って発射されたビームは、簪の足元に着弾!!
忽ち床が崩れて、簪はその穴の中へと落ちて行った!!
「………!?」
「簪ちゃん!? このおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
楯無は、即座に原因を作った量産型グラパールに向かってガトリング砲を放つ。
「ぬああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」
断末魔の叫びが挙がると、蜂の巣にされた量産型グラパールは爆発・四散する。
「簪ちゃん!!」
其れを確認すると、直ぐに倉庫の床に開いた穴を覗き込む楯無。
しかし穴はかなり深く、底の方は闇に閉ざされていて、窺い知れなかった。
「簪ちゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーんっ!!」
楯無は、穴の中に向かって簪の名を叫ぶ。
だが当然、返事は返って来ない………
「クッ!」
直接降りようと試みる楯無だが、其処で複数の足音がコチラへと向かって来るのを捉える。
「居たぞ! 侵入者だ!!」
「ブッ殺せぇっ!!」
現れた量産型グラパール達が、楯無の姿を見付けるや否や、手にしているマシンガンを発砲して来る!
「ちょっと! 邪魔しないでよ!!」
已むを得ず、楯無はマシンガンの弾を水のヴェールで防ぎながら応戦するのだった。
その頃………
ペールゼンは………
「
基地を襲撃しているシュヴァルツェ・ハーゼの様子を、モニターで見ながらそう呟いていた。
既に彼は陽動作戦を見破っており、シュヴァルツェ・ハーゼ達の姿が映っているメインモニター横のサブモニターには、基地内に侵入しているグレン団達の姿が映し出されている。
「噂のグレン団か………こうなれば已むを得まい………出来ればじっくりと育てたかったが………『プロト・ワン』で蹴散らしてやる」
ペールゼンはそう言い、部屋に在ったコンソールパネルを操作するのだった。
一方………
穴の中へと落ちた簪は………
「………っ!?」
衝撃で一瞬気を失っていた様だが、直ぐに意識を取り戻して起き上がる。
「………大分落ちたみたいね………」
身体の節々に痛みを感じながらも、直ぐに状況を確認してそう呟く簪。
瓦礫を押し退けると、今自分が居る場所を確かめる。
「………? アレは?」
すると、そのフロアの中央に“カプセルの様な物”が、横向きで床に据え付ける様に置かれている事に気付く。
「…………」
簪は警戒しつつ、そのカプセルの傍へと近寄る。
「…………」
ターレットレンズを切り替えてそのカプセルを分析しようとしたが、“解析不能”と答えが返って来る。
「………!」
と其処で、カプセルの一部分にコンソールパネルが在る事に気付く。
「…………」
ISに乗ったままでは操作できないタイプの為、已むを得ず一旦スコープドッグに降着姿勢を取らせて降りる簪。
そして、カプセルに備え付けられていたコンソールパネルを弄る。
すると、カプセルを覆っていた蓋の様な部分が開き始める。
「!?」
その中身を見た簪は驚愕する!!
何故なら………
カプセルの中には………
怪しく光る培養液の様な液体の中で、眠っている様に目を閉じている“全裸の少女”の姿が在ったからだ!!
その身体の彼方此方には、コードの様な物が心電図を計る機械の様に装着されている。
「
その少女は銀色の長い髪をしており、ラウラと容姿が酷似していた為に簪はラウラか?と思ったが、直ぐに“違う”と悟る。
何故なら、カプセルの中に居る少女は
元々身長が小さく、体躯も同世代の者達と比べて小柄なラウラだが、カプセルに居る少女は、そんな“ラウラよりも背が低く体躯も小さい”。
年齢にしてみれば、精々10歳前後がいい所である。
すると………
「…………」
カプセルの中に居る少女が突然目を開き、簪を見た。
その瞳は、両眼共に金色に輝いている。
「………!?」
簪は思わずアーマーマグナムを抜き、少女へと向ける。
「…………」
少女は“何も言わず”、“何もせず”、只
「…………」
その無機質な視線を受けて、簪の頬に冷や汗が流れる。
「クッ………!!」
やがて、簪は耐え切れなくなった様に、再びカプセルのコンソールパネルを弄り、蓋を閉じた。
少女の姿は見えなくなり、培養液から放たれていた光も消えて、フロア内が再び薄暗くなる。
「ハア………ハア………ハア………」
降着姿勢状態のスコープドッグに寄り掛かり、緊張の余り荒くなった息を必死に整えようとしている簪。
「………何………?
流石の簪も混乱している様で、そう呟く。
すると………
突如室内に警報の様な音が鳴り響く!
「!?」
簪が慌てていると、次の瞬間………
カプセルが据え付けられている床ごと、上へと昇り始めた。
「!!」
直ぐ様スコープドッグへと乗り込む簪。
その間に、カプセルは開いた天井を通って何処かへと運ばれる。
(あの少女………ラウラに似ていた………“無関係だ”とは思えない………)
若干落ち着きを取り戻して来た簪は、先程のカプセルの中身の少女の事を思い出してそう結論付けると、フロアの壁に在った扉をアームパンチで破壊し、通路へと出る。
「居たぞ! 侵入者だ!!」
「奴を倒しゃあ特別ボーナスだ!!」
すると、その姿を即座に量産型グラパール達が見付け、攻撃して来る。
「…………」
だが、簪は少しも慌てずに狭い通路にも関わらず、ターンピックを駆使して撹乱する様な動きを見せて量産型グラパール達の攻撃を回避し、反撃に右肩の7連装ミサイルポッドのミサイルを叩き込む!!
「「「「「ぬああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」
爆発が完全に収まり切らぬ内に、簪は量産型グラパール達の間を突破。
そのまま、先程の少女が入ったカプセルを探し求めるのだった………
セシリア・鈴組………
「ラウラさん!」
通路に在った扉を開けると、そう呼び掛けるセシリア。
しかし、扉の先は無人のフロアで誰も居なかった。
「居ませんわ………」
「コッチもハズレよ」
セシリアがそう呟くと、反対側に在った扉のフロアを覗き込んでいた鈴がそう返す。
「急ぎませんと………今回の作戦は時間との勝負ですのに」
「さっきから、コッチに向かって来るグラパールの数も増えて来てるわ………グズグズしてらんないわよ」
そう言い合うと、更にラウラの捜索を続けようとする2人。
すると………
2人が居る通路の正面の方から、“ローラーダッシュの音”が聞こえて来る。
「! 簪さん!?」
その音から、セシリアは簪が来たのかと思ったが………
「…………」
現れたのは、紫色のカラーリングをした、中世の騎士を思わせる独特なデザインをしたISだった。
顔の部分には、簪のスコープドッグと同じ様に3つのカメラが付いたバイザーが装着されており、装着者の顔を窺う事は出来ない。
「! 違う! 誰よ!?アンタ!?」
突如現れた謎のISに向かってそう叫びながら、龍砲の発射口を開く鈴。
と、その瞬間!!
「!!」
騎士の様なIS………『ベルゼルガ』は、左腕に装備されていた盾を構えたかと思うと、鈴に向かって突進!!
「!?」
反応出来なかった鈴は、そのまま盾で殴り付けられる!!
「クウッ!!」
「!!」
更に追い打ちを掛ける様に、ベルゼルガは今度は右腕で殴り飛ばす。
「キャアアッ!?」
「鈴さん!? クッ!!」
セシリアは驚きながらも、直ぐにベルゼルガをスターライトmkⅢで狙い撃つ。
「…………」
しかし、ベルゼルガは盾で防御。
スターライトmkⅢのビームは、ベルゼルガの盾で霧散してしまう。
と、其処でベルゼルガは、右手にアサルトライフルを握ったかと思うと、セシリアに向かって発砲する。
「そんなものっ!!」
だがセシリアは、狭い通路の中でも巧みに動いて回避し、そのままベルゼルガに向かって突撃!
「…………」
ベルゼルガがアサルトライフルを構え直した瞬間、頭上を飛び越える。
(貰いましたわ!)
そしてそのまま、ガラ空きの背中に向かってスターライトmkⅢを向ける。
が、その瞬間!!
「!!」
ベルゼルガは“
「!? なっ!?………!? キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」
その反応速度に驚いたセシリアに、ベルゼルガは容赦無く拳を叩き付ける!
吹き飛ばされたセシリアは、そのまま壁に叩き付けられ、尻餅を着く。
「クウッ! 何て反応速度ですの!?」
直ぐに体勢を立て直そうとしたセシリアだったが………
「…………」
その瞬間には、ベルゼルガは左腕をセシリアに向けて構えていた!
「!?」
そして次の瞬間!!
ベルゼルガの盾から、パイルバンカーが発射される!!
「!? あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」
咄嗟に身を捻ったものの、ベルゼルガから放たれたパイルバンカーはセシリアの右肩に命中!!
絶対防御をも突き抜け、セシリアの肩を貫通した!!
激痛の余りセシリアは気絶し、ISも解除される。
「! セシリア!! こんのおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
其れを見た鈴は、龍砲の発射態勢に入りながらベルゼルガに向かって突撃。
そのまま龍砲を放ち、自身も突撃する!!
「…………」
しかしベルゼルガは、またもシールドを構えて龍砲を防御する。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
ならばと、直接連結した双天牙月で斬り掛かる鈴だったが………
「…………」
何とベルゼルガは、双天牙月の
「!? なっ!?」
“信じられない避け方”をしたベルゼルガに驚き、鈴は思いっ切り双天牙月を空振りしてしまう。
隙だらけになった鈴に向かって、ベルゼルガは容赦無くパイルバンカーを発射!
射出された杭はまたも絶対防御を突き抜け、鈴の左大腿部を貫通した!!
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?」
激痛に悲鳴を挙げて鈴は気絶し、ISも強制解除される。
「…………」
ベルゼルカは、動かなくなったセシリアと鈴から興味を無くした様に背を向け、通路をローラーダッシュで走って行くのだった………
グラパール・弾&グラパール・蘭&ファイナルダンクーガ(ティトリー)組………
「此処にも居ねえ………一体何処に捕らわれてるんだ?」
フロアの1つをチェックし終えたグラパール・弾が、愚痴る様に言う。
「お兄! 愚痴ってる暇有ったらもっと探して!………此処も違う」
そんなグラパール・弾に、別のフロアをチェックしていたグラパール・蘭がそう言う。
と、その時………
「セシリア! 鈴! 応答して! 如何したの!?」
ファイナルダンクーガ(ティトリー)が、焦った様子で声を挙げる。
「ティトリー?」
「如何したの?」
その声を聞いたグラパール・弾とグラパール・蘭が、ダンクーガに問い掛ける。
「セシリアと鈴のISの反応が消えたの! 通信も繋がらないし、何か有ったみたい!!」
「!? 何だって!?」
「そんな!?」
ダンクーガからの報告を聞いて、グラパール・弾とグラパール・蘭は驚きの声を挙げる。
「クッ! 直ぐに2人の反応が消えた地点へ………」
と、グラパール・弾がそう言いかけた瞬間………
現在彼等が居る通路の前方から、
「!? 簪さん!?」
その音に、グラパール・蘭は一瞬“簪が来た”のか?と思ったが………
「…………」
次の瞬間には、ベルゼルガが姿を現す。
「! 簪じゃない!」
ベルゼルガの姿を見たダンクーガが、直ぐ様ダイガンを構えるが………
「………!」
其れよりも早く、ベルゼルガがアサルトライフルを構えて単射発砲!
弾丸がダイガンへと命中し、爆発させる。
「ニャアッ!?」
至近距離で爆風を浴びたが、幸い装甲が厚いお蔭で、衝撃で尻餅を着く程度で済んだ。
「コイツっ!!」
今度はグラパール・弾がハンドガンを構えようとしたが………
「…………」
その瞬間には、ベルゼルガはグラパール・弾に肉薄。
左腕の盾で、ハンドガンを握っていたグラパール・弾の腕を弾く!
「うおわっ!?」
そして、ガラ空きになったボディにパンチを叩き込む!
「ガフッ!?」
まるで、鉄球クレーンで殴られた様な衝撃がグラパール・弾の身体を襲い、ヘルメット部分の口元から吐血が漏れる。
「お兄! このぉっ!!」
其れを見たグラパール・蘭が、腕からグラパールブレードを出現させて斬り掛かる。
「…………」
「ゴッ!?」
すると何と!!
ベルゼルガは、右手でグラパール・弾の喉を摑み、盾にする様にしてグラパール・蘭に向かって構えた!!
「!? お兄!!」
慌ててグラパールブレードを出現させていた腕を止める。
「…………」
その隙を見逃さず、ベルゼルガはグラパール・蘭の頭部目掛けてパイルバンカーを放つ!!
「!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
グラパール・蘭は、咄嗟に首を捻ったので直撃は避けられたが、ヘルメット部分が砕け散って衝撃で蘭は気絶。
そのまま床に倒れたかと思うと、米神の辺りから血が流れる。
「!? 蘭ちゃん!!」
「蘭!! テメエエエエェェェェェーーーーーーッ!!」
ダンクーガが慌てて駆け寄り、怒りに駆られたグラパール・弾は、首を摑まれた状態のまま、ベルゼルガに両足蹴りを叩き込んだ!!
「………!?」
真面に喰らい、2、3歩後退るベルゼルガ。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
グラパール・弾は、ベルゼルガが体勢を立て直す前にグラパールブレードで斬り付けようとする。
しかし………
「…………!」
何とベルゼルガはその瞬間には体勢を立て直し、斬り掛かろうとして来ていたグラパール・弾のボディに、左の拳を叩き込む!!
「ガッ!?」
そしてそのまま、パイルバンカーを放った!!
「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」
幸いと言うべきが、グラパールの装甲が厚かったお蔭で、腹を貫かれるには至らなかったが、腹部の装甲は完全に砕け散って、弾は気絶した!
「弾!! そんなっ!?」
蘭に続いて弾までもがやられてしまい、ダンクーガが焦る。
(一体何なの、コイツ!? 反応速度が人間の域を超えてるよ! オマケに、あの見た目鈍重そうな陸戦ISをまるで手足の様に自在に操ってる! 装着者は本当に人間なの!?)
内心でそう戦慄しながら、ダンクーガは構えを取る。
「…………」
ベルゼルガはダンクーガの出方を窺っているのか、ジッと待機しているが、その姿には微塵の隙も無い。
(す、隙が無い………駄目だ………一旦2人を連れて逃げよう………)
自分では敵わない事を悟ったダンクーガは、負傷した弾と蘭を連れて一旦撤退しようと考える。
「えいっ!!」
そして次の瞬間には、ノーモーションで胸部のパルスレーザーをベルゼルガの足元目掛けて放った!!
「!?」
足元への着弾と舞い上がった煙で、ベルゼルガの意識が一瞬ダンクーガから逸れる。
「今だ!!」
その瞬間、ダンクーガは素早く弾と蘭を其々片腕で抱え、ブースターを全開に噴かして脇目も振らず、ベルゼルガから逃げ出す。
「…………」
ベルゼルガはその様子を爆煙の隙間から見ていたが、如何いうワケか特にアクションを起こそうとしない。
(良し! このまま………!!)
其れを見たダンクーガは、“このまま逃げ切れる”と踏んだが………
突如前方の通路から、投網の様な物が広がって来て、ダンクーガに被さった!!
「!? うわあぁっ!?」
途端に、ダンクーガはバランスを崩して転倒。
被さっていた網が、弾と蘭ごとダンクーガを雁字搦めにする。
「な、何コレッ!?」
慌てながらも網を引き千切ろうとするダンクーガだったが、網はビクともしない。
「如何だ? 対ガンメン鹵獲用に開発された特殊合金繊維製のネットは?」
と其処へ、そう言う台詞と共に量産型グラパール達が現れる。
「うう~、しまったぁ………」
悔しそうな声を挙げるダンクーガ。
「へへっ、やるじゃねえか。パーフェクトソルジャーさんよぉ」
「…………」
量産型グラパール達の纏め役と思われるグラパールが、ベルゼルガに向かってそう言うが、ベルゼルガは何も言わない。
「チッ! 愛想の無え野郎だぜ………まあ良い。未だ侵入者は居る筈だ。とっとと探して潰して来い」
「…………」
其れを聞くと、ベルゼルガは踵を返して去って行った。
「さてと………」
「ア、アタシ達を如何する気!?」
ダンクーガは弾と蘭を庇う様にしながらそう言い放つ。
「心配するな。殺しゃしねーよ。何せ“大事な人質様”だからな」
量産型グラパール達の纏め役は、下衆な笑みをヘルメットの下で浮かべながらそう言い放つ。
(神谷………)
不覚を取ってしまった自分に怒りながら、ダンクーガは神谷達の無事を祈るのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
ペールゼンの秘密基地兼研究所を襲撃するグレン団。
その中で………
簪はラウラと良く似た少女を目撃する。
そしてラウラを探していたグレン団を次々に撃破した謎のISベルゼルガ。
尋常ではない反応速度を見せるその乗り手は、一体何者か?
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
-
天元突破ISと同時
-
土曜午前7時
-
別の日時(後日再アンケート)