天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第107話『死なせはせん………お前だけは絶対に………』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第107話『死なせはせん………お前だけは絶対に………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元ドイツ軍将校であるヨラン・ペールゼンが………

 

ラウラを拉致し、彼女を元にして、自分の理想とする“完全なる兵士(パーフェクトソルジャー)”を創り出そうと企てた。

 

ラウラを取り戻すべく、シュヴァルツェ・ハーゼと協力したグレン団は、ペールゼンの秘密基地を奇襲する。

 

だが、そのグレン団の前に………

 

完成していた完全なる兵士………『パーフェクトソルジャー』、通称『PS』が立ちはだかる。

 

セシリア・鈴・弾・蘭・ティトリーを下したPSは、そのままグレンラガンをも圧倒し………

 

更には、救援に入った簪をも倒そうとする。

 

しかし………

 

“簪の()()”を見た途端………

 

PSは、()()()激しい動揺を示した。

 

其処で簪が放った1発の銃弾が………

 

謎に包まれていた“PSの正体”を露わにする………

 

其れは………

 

“ラウラと同じ顔”をした、両目が金色に染まっている()()少女だった!

 

何故、彼女はラウラと同じ顔をしているのか?

 

驚愕に包まれるグレン団に向かって、ペールゼンの口からその正体が語られる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツ某所・ペールゼンの秘密基地………

 

ペールゼンの研究室………

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

一夏達と捕らえられているセシリア達の視線は、“一点”に注がれていた。

 

その先に有るのは、先程まで簪と交戦していた“ベルゼルガの装着者”である。

 

簪のアーマーマグナムによってヘルメットが破壊され、露わになった装着者のその顔は………

 

“ラウラにそっくり”であった。

 

「ラ、ラウラッ!?」

 

「ううん、違う!」

 

「良く見れば別人よ!」

 

一夏がそう声を挙げるが、即座にシャルと楯無が否定する。

 

「確かに、あの目の色………其れに、顔付きも『幼い感じ』がするぞ」

 

箒が、ベルゼルガの装着者とラウラの“違い”を明確にする。

 

「さてはテメェ………ラウラの()()()()()()だな!!」

 

そして、“明後日(あさって)の方向”に勘違いしているグレンラガン。

 

「アニキ………」

 

「神谷………」

 

そんなグレンラガンに、一夏とシャルは呆れた様に呟く。

 

「………恐らく彼女は………ラウラのDNAから作られた………“クローン”」

 

其処で、簪がそう予想を述べる。

 

「その通りだ…………」

 

すると、ペールゼンはその予想をアッサリと肯定した。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒは、私が“嘗て行っていた計画”で生み出した存在の中では『最高傑作』だった。しかし、奴は“ヴォーダン・オージェの不適合”に因って、()()()()()に成り下がった」

 

「! テメェ………」

 

「何故、“失敗する筈の無い”ヴォーダン・オージェが不適合を起こしたのか? 答えは簡単だ。(ラウラ)の“遺伝子強化が不十分だった”からだ!」

 

怒りの声を挙げようとした一夏を遮り、ペールゼンはそう言い放つ。

 

「そして私は、奴の細胞を使って新たなクローンを作り………()()()()ヴォーダン・オージェの手術を施した………その結果が、今のプロト・ワンだ!」

 

そう言うと、ペールゼンはラウラそっくりの少女………プロト・ワンに視線を向ける。

 

「さあ、プロト・ワン! 戦え!! ソイツを殺せ!!」

 

簪を殺す様に、プロト・ワンに命令するペールゼン。

 

しかし………

 

「う………あ………」

 

プロト・ワンは、呻き声の様な声を漏らして行動しようとしない。

 

簪に向けているアサルトライフルを持つ手も震えており、狙いが定まっていない。

 

「!? 如何した、プロト・ワン!? 早くソイツを始末しろっ!!」

 

ペールゼンは、プロト・ワンのその様子に驚きながらも重ねて命令を下す。

 

「………い………嫌………です………」

 

「!? 何っ!?」

 

「い、嫌ですっ!!」

 

プロト・ワンは、そう“ハッキリと()()()()()()()”。

 

「馬鹿な!? “『命令に絶対忠実で在る』()のパーフェクトソルジャー”が()()()()だと!?」

 

「オイオイ、如何なってんだ?」

 

ペールゼンは動揺し、グレンラガン達もワケが分からないと言う顔になる。

 

「う………あ………」

 

「…………」

 

苦しんでいるかの様な様子を見せているプロト・ワンに、簪は油断無くヘヴィマシンガンの銃口を向けている。

 

「…………」

 

と、簪が注意しながら1歩前へと踏み出す。

 

「!?」

 

途端に、プロト・ワンが其れに反応するかの様に1歩下がった。

 

「!? プロト・ワンが反応している!? 貴様、まさか!? “教育途中”のプロト・ワンと接触したのか!?」

 

其れを見たペールゼンが、簪に向かってそう問い質す。

 

「教育途中………?」

 

何の事か?と思う簪だったが、其処でプロト・ワンが「“培養液の様な物で満たされたカプセル”の中に入れられていた光景」を思い出す。

 

「………()()()の?」

 

「やはりそうか! ええい! 何と言う事だ!!」

 

その呟きを聞いたペールゼンは、地団駄を踏む様子を見せる。

 

「プロト・ワンは、教育課程に於いて“貴様の姿を見てしまった”が為に、貴様の姿が潜在意識の中に刷り込まれてしまったのだ!! 其れで“『貴様に対して』強い感情を抱いて”しまい、私の命令を拒否したのだ!!」

 

「つまり………如何言う事だ?」

 

激昂の余り、説明するかの様な台詞を吐き捨てるペールゼンだが、一夏は理解出来ない様で首を捻る。

 

「つまりアレよ………『卵から孵った雛が最初に見た者を親だと思い込んで(インプリンティング)しまう現象』と似た様な事が起こった、って事よ」

 

すると楯無が、“刷り込み”を例えに出して一夏にそう説明する。

 

「ええい! プロト・ワン!! ならば先にソイツ等から始末しろ!!」

 

するとペールゼンは、標的をグレンラガン達に変更させる。

 

「!!」

 

途端に、プロト・ワンは苦しんでいた様な表情から一転し、敵意を剥き出しにした表情になると、グレンラガン達の方へ向かおうとする。

 

「「「「「!?」」」」」

 

身構えるグレンラガン達だったが………

 

「止めなさい………!」

 

簪がその間に割り込み、プロト・ワンを制止する。

 

「! 退いて………下さい………」

 

すると、プロト・ワンは再び苦しむ様な様子を見せる。

 

「…………」

 

しかし、簪は一瞬でプロト・ワンに接近すると、その両肩を摑んだ!

 

「!?」

 

「貴女は間違っている………()()()()に従ってはいけない………」

 

「わ、私は………“戦う為に”生み出された………PS(パーフェクトソルジャー)だから………」

 

「確かに貴女は………“その為に”生み出された………」

 

「…………」

 

「でも………“生まれは選べなくても”………()()()()………()()()()()()()………」

 

「!?」

 

簪のその言葉で、ハッしたかの様に簪を見遣るプロト・ワン。

 

「私達と一緒に来なさい………大丈夫………皆………()()よ」

 

そんなプロト・ワンに向かって、簪は微笑みながらそう言い放つ。

 

「仲………間………」

 

プロト・ワンは、絞り出すかの様にそう呟く。

 

「プロト・ワンに妙な事を吹き込むな!!」

 

と其処で、ペールゼンがそう声を挙げたかと思うと、対IS用拳銃を簪に向けて構える。

 

「!?」

 

「! 危ねえっ!!」

 

「「「「!!」」」」

 

簪が反応し、グレンラガン達が飛び出した瞬間には、ペールゼンはその引き金に指を掛けていた。

 

「!! 駄目ええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

と、その瞬間!!

 

プロト・ワンが簪を守る様に抱き付く!!

 

その次の瞬間には、銃声が響いた!!

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

一瞬の沈黙の後………

 

「あ………」

 

その短い言葉と共にプロト・ワンが崩れ落ち、ベルゼルガが強制解除される。

 

「………!」

 

簪が慌ててしゃがみ込み、プロト・ワンの状態を調べる。

 

背中に銃弾が直撃しており、生きてはいるものの虫の息であった。

 

「しっかり! 死ぬんじゃないわ!!」

 

「チイッ! プロト・ワン! お前も“失敗作”か!!」

 

簪が呼び掛ける中、ペールゼンはプロト・ワンに向かって冷たくそう言い放つ。

 

「! 貴様ぁっ!!」

 

「許さ無えぜっ! 人間を何だと思ってやがる!!」

 

簪が怒りの咆哮を挙げてヘヴィマシンガンを構え、グレンラガン達もペールゼンに突撃を再開する。

 

「馬鹿め! こんな時の為に人質が居るのを忘れたのか!?」

 

と其処でペールゼンがそう言い放つと、セシリア達を押さえていた量産型グラパール達が、一斉にハンドガンを握ってセシリア達の頭に突き付けたが………

 

「分身殺法! ゴッドシャドーッ!!」

 

一夏がそう叫んだかと思うと、その姿が5人に分裂した!!

 

「!? んなっ!?」

 

「ジャ、ジャパニーズニンジャッ!?」

 

「「「「「セイヤァッ!!」」」」」

 

驚きで動きが止まった量産型グラパール達に、分身した一夏は拳や蹴り、雪片での斬撃を次々に叩き込む。

 

「「「「「ぐあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

「ぬおっ!? ええいっ!!」

 

其れを見たペールゼンは、踵を返してフロアの端にあった脱出用のエレベーターに乗り込もうとする。

 

「! 逃がさない………!」

 

簪が、逃がさないとばかりにヘヴィマシンガンを発砲する。

 

「ぐああぁっ!?」

 

連射された弾丸の内の1発が、ペールゼンの左肩を貫通した!!

 

「くううっ!!」

 

だがペールゼンは止まらず、エレベーターに転がり込む様に飛び込む!!

 

「野郎っ!!」

 

閉まったエレベーターの扉を、グレンラガンが無理矢理()じ開ける!!

 

しかし、ペールゼンが乗ったエレベーターは、既に見えなくなっていた。

 

「クソッ! 地下か!!」

 

「アニキ、追おう! 多分、ペールゼンが向かった先にラウラが!」

 

「私も行くわ………」

 

其処で一夏がそう言いながらグレンラガンの傍に立ち、瞳の中に静かな怒りの炎を燃やした簪も合流する。

 

「神谷! セシリア達とこの子(プロト・ワン)は僕達が何とかするから!!」

 

「お前達はペールゼンを追え!!」

 

「頼んだわよ!!」

 

と其処で、負傷しているセシリア達とプロト・ワンに応急処置を施していたシャル・箒・楯無がそう叫ぶ。

 

「分かった!!」

 

「おっし! 行くぞっ!!」

 

「…………」

 

其れを聞くと、一夏・グレンラガン・簪の3人は、エレベーターの中へと飛び込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペールゼンの秘密基地・地下最深部………

 

「クウッ! ハア………ハア………」

 

撃ち抜かれた左肩を押さえながら、何処かへと向かっているペールゼン。

 

やがて、行き止まりとなっている場所に据え付けられていた扉の前に辿り着いたかと思うと、電子ロックを解除して中に入る。

 

其処は航空機の地下発着場となっており、ペールゼンの目の前には大型輸送機が何時でも飛び立てる状態で待機していた。

 

「くううっ!!」

 

ペールゼンは、その輸送機のタラップを登って中へと乗り込む。

 

そして操縦席に入る前に、一度貨物室の方を振り返る。

 

(…………)

 

其処には、培養液の様な物で満たされたカプセルの中で眠っているラウラの姿が在った。

 

「コイツさえ居ればまだ計画は続けられる………世界を救うには………PS(パーフェクトソルジャー)の力が必要なのだ………」

 

ブツブツと呟きながら、ペールゼンは輸送機のコクピットに入り、操縦桿を握る。

 

すると、地上へ続く入り口が開いて輸送機は発進しようとする。

 

だが、その瞬間!!

 

「「「「「「「「「「ヒャッハーッ!!」」」」」」」」」」

 

まるで世紀末の様な叫びと共に、レッドショルダーとガンメン部隊が開け放たれた地上への出入り口から突入して来た!!

 

「!? レッドショルダーにガンメンだとっ!?」

 

ペールゼンが驚いた瞬間!

 

「そらよっ!!」

 

ソリッドシューターを持っていたレッドショルダーが、ペールゼンが乗っている輸送機のコクピット目掛けて砲弾を放つ!!

 

「!? ぬあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

操縦席が爆発すると、ペールゼンの断末魔が響き渡った!

 

操縦席が無くなった輸送機は、その爆発の余波で炎上し始める。

 

「!? コレはっ!?」

 

「ガンメン!?」

 

「レッドショルダー………このタイミングで………」

 

と、其処へ駆け付けたグレンラガン・一夏・簪が、燃え盛る輸送機とガンメン部隊とレッドショルダー達を見てそう声を挙げる。

 

[此方クラリッサ!! 織斑殿! 聞こえますか!?]

 

其処へ、量産型グラパール達と交戦しているクラリッサから一夏に通信が入る。

 

「! クラリッサさん!!」

 

[現在此方にロージェノム軍が出現! 我が部隊と量産型グラパール部隊と交戦を始め、混戦状態となっています! このままでは持ち堪えられません! 早く隊長を!!]

 

一夏が応答すると、クラリッサから若干焦っているかの様な報告が挙げられる!

 

「!? マズイわ………ラウラさんは………あの輸送機の中よ………」

 

と其処で、燃え盛る輸送機をサーチしていた簪がそう報告を挙げる。

 

「!? 何だってっ!!」

 

「チイッ! 突っ込むぞ! 一夏!! 簪!!」

 

其れを聞くや否や、3人はグレンラガンを先頭に、敵軍目掛けて突っ込んで行った!!

 

「むうっ!? グレンラガン! 何故此処に!?」

 

「如何でも良いぜ! ブッ潰してやる!!」

 

グレンラガン達の姿を見付けたガンメン部隊とレッドショルダー達は、直ぐ様彼等を標的にする。

 

「………!!」

 

すると、簪が左肩の3連スモークディスチャージャーから煙幕弾を発射。

 

忽ち、ガンメン部隊とレッドショルダー達の視界が塞がれる。

 

「ぬおっ!? 何も見えん!?」

 

「チイッ! 猪口才(ちょこざい)な真似しやがって!!」

 

「一夏! 今の内だ!!」

 

「急いで………輸送機が爆発するまで………時間が無い………」

 

「分かったっ!!」

 

そしてその間に、一夏が燃え盛る輸送機の中へと突入する。

 

「頼むぜ、一夏!!」

 

「グレンラガン! 覚悟ぉっ!!」

 

メズーが、グレンラガンの背後から襲い掛かるが………

 

「心眼! 後ろ回し蹴りぃっ!!」

 

グレンラガンは、振り向かずに後ろ回し蹴りを放ってメズーを粉砕する!!

 

「獣人に栄光有れええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

粉砕されたメズーが、獣人の断末魔と共に爆散する。

 

「…………」

 

簪も、煙幕の僅かな動きで敵の位置を察知し、其処へヘヴィマシンガンの銃弾を撃ち込んで行く!

 

「「「「「ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」」」」

 

汚い断末魔と共に、レッドショルダー達が消し飛んで行く。

 

「オメェ等の相手は………」

 

「私達が………してあげる………」

 

構えを取るグレンラガンと、ヘヴィマシンガンを構える簪が、ガンメン部隊とレッドショルダー達に向かってそう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

一方、燃え盛る輸送機の中へ突入した一夏は………

 

「ラウラーッ! 何処だ!? 何処に居るんだーっ!?」

 

燃え盛る輸送機の中で、ラウラの姿を探し求めている。

 

と其処で、炎上している貨物室内部の一角に、“人1人が入りそうな位の大きさのカプセル”を発見する。

 

「! アレは!?」

 

直ぐに、そのカプセルに近付いて中を確かめる一夏。

 

培養液の様な液体で満たされたそのカプセルの中には、ラウラの姿が在った。

 

その傍に在った台の上には、彼女のISが待機状態で置かれている。

 

「! ラウラ! オイ、ラウラ! しっかりしろ!!」

 

一夏はカプセルを叩き、ラウラの意識を取り戻させようとする。

 

「…………」

 

しかし、ラウラが目覚める気配は無い。

 

「ラウラ! ラウラ!!」

 

其れでも、一夏は呼び掛けを続ける。

 

と、その時!!

 

輸送機貨物室の天井が崩れ、瓦礫がラウラの入っているカプセルに降り掛かりそうになる!

 

「!? 危ないっ!!」

 

直ぐにその瓦礫を受け止める一夏。

 

しかし、自身が動けない状態となってしまう。

 

「!? マズイ! エネルギーが!?」

 

更に燃え盛る炎の熱で、シールドエネルギーが見る見る内に減って行っている。

 

このままでは何れ装着が解除され、2人纏めて焼死体となるのがオチだ。

 

「クソッ! ラウラ! 目を覚ましてくれ! ラウラアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

瓦礫を支えながら、必死にラウラに呼び掛ける一夏。

 

(………一………夏………?)

 

すると、ラウラの目が(うっす)らと開かれる。

 

「うう、クソォッ!!」

 

しかし、瓦礫を支えるのに必死になっている一夏は気付かない。

 

(一夏………何をしている………早く逃げろ………)

 

声が出せぬ為に念じる様にそう思うラウラだが、一夏は瓦礫を支え続ける。

 

(一夏………駄目だ………このままではお前まで………)

 

ラウラの脳裏に、今までのIS学園での思い出が走馬灯の様に思い起こされる。

 

(………一夏………思えばお前には随分と酷い事をした………だが、そんな私をお前は何度も助けてくれた………今だってそうだ………)

 

ラウラの中に、緑色の光が螺旋を描く様なイメージが湧き上がる。

 

(死なせはせん………()()()()()()()()………)

 

「死なせはしない!!」

 

其処で意識が完全に覚醒し、カプセルの中で目を見開いてそう叫んだラウラの身体から、緑色の光………“螺旋力”が溢れた!!

 

「!? 何だっ!?」

 

その螺旋力の光は、近くに在った待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンと一夏を呑み込む。

 

 

 

 

 

その頃………

 

ガンメン部隊とレッドショルダー達と交戦しているグレンラガンと簪は………

 

「グレンライトニングボルトォッ!!」

 

「「「「「「「「「「天国へ行けるかなああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

稲妻を纏った両足での連続蹴りを繰り出し、次々にガンメンをスクラップに変えるグレンラガン!!

 

「…………」

 

「「「「「「「「「「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

ローラーダッシュからターンピックでの連続ターンを繰り出し、トリッキーな動きで攪乱しつつ、ヘヴィマシンガンの弾丸をレッドショルダーへと的確に叩き込んでいる簪。

 

(………コレが最後のマガジンね)

 

そして一瞬の隙にヘヴィマシンガンのマガジンを交換するが、其れが最後のマガジンであり、消耗が酷かった。

 

と、その時!!

 

「やれやれ………()()()()()を相手に………何を手古摺って()る?」

 

そう言う台詞と共に、簪の傍に黒い影が現れる!

 

「!?」

 

直ぐにヘヴィマシンガンを向けようとした簪だったが………

 

「そうらぁっ!!」

 

「! ふうわぁっ!?」

 

其れよりも早く、現れた影が振るった腕が当たり、簪は吹き飛ばされて壁に叩き付けられる!!

 

「!? 簪!!」

 

其れに気付いたグレンラガンが、影の姿を確認する。

 

「“小賢しい研究”をしている人間が()る、と聞いてやって来てみれば………まさかグレン団が()るとはのう」

 

そう言うのは、見るからに重装甲な感じがする“人型のカスタムガンメン”だった。

 

「その声は………グアーム………」

 

と、()り込んでいた壁から脱出していた簪が、そのカスタムガンメンから発せられている声が、螺旋四天王の1人・グアームのものである事に気付く。

 

「如何にも………貴様等に見せるのは初めてだったな。これぞ我がカスタムガンメン………『ゲンバー』よ」

 

すると、そのカスタムガンメン『ゲンバー』の装着者であるグアームがそう答える。

 

「四天王か! 丁度良いぜ! 今此処でブッ倒してやらあぁっ!!」

 

其れを聞いたグレンラガンが、右腕をドリルに変えるとゲンバー目掛けて突撃する!!

 

「フンッ、突撃しか能の無い馬鹿めが………」

 

しかし、ゲンバーは小馬鹿にした様な台詞を呟きながらも防御姿勢を取った。

 

防護姿勢を取ったゲンバーに、グレンラガンのドリルが叩き込まれるが………

 

「!? うおわぁっ!?」

 

当たった瞬間にドリルは砕け、グレンラガンは大きく弾き飛ばされる!!

 

「ハッハッハッハッ! このゲンバーの防御力は並では無いぞ!!」

 

グレンラガンのその姿を見ながら、ゲンバーは勝ち誇る様にそう笑う。

 

「チキショウがぁっ!!」

 

着地を決めると、直ぐに次の手を出そうとするグレンラガンだったが………

 

「そうはさせんわぁっ!!」

 

ゲンバーがそう言ったかと思うと、顔の額部分に付いていた2本の触角が、グレンラガン目掛けて伸び、両腕に巻き付く!!

 

「うおっ!?」

 

動きを封じられるグレンラガン。

 

「そうらぁっ! 噛み砕いてくれるわぁっ!!」

 

するとゲンバーは、身体を引っ繰り返すかの様に前転し、背中の部分を見せたかと思うと、その一瞬でまるで昆虫を思わせる様な姿へと変形!

 

巨大な顔の口で、グレンラガンに噛み付いて来た!!

 

「!? ふんぬぅーっ!!」

 

咄嗟に両腕で上顎、両足で下顎を押さえて踏ん張り、グレンラガンは噛み付きを阻止する。

 

「ほうっ? やるのう。しかし何時まで持つかなぁ?」

 

ゲンバーのその台詞と共に、顎の力が徐々に強まって行く。

 

「ぐ、おおお…………」

 

必死に支えるグレンラガンだが、徐々にゲンバーの顎が閉じて行く。

 

「神谷………クウッ………」

 

簪が援護しようとヘヴィマシンガンを構えるが、あの重装甲ではヘヴィマシンガンの弾が効くとは思えず、発砲を躊躇する。

 

「フハハハハッ! 終わりだ、グレンラガン! 遂にこの不動のグアームが、グレンラガンを葬り去るのだ!!」

 

ゲンバーがそう言い放ち、一気にグレンラガンを噛み潰そうとする。

 

と、その時!!

 

燃え盛る輸送機の中から、緑色の光が放たれ、輸送機が大爆発を起こした!!

 

「!? 何だっ!?」

 

「! 今だっ!!」

 

ゲンバーの注意が其方に向いた一瞬の隙を衝いて、グレンラガンは脱出する。

 

「ぬううっ!? しまったっ!?」

 

悔しそうな声をゲンバーが挙げた瞬間!!

 

炎が消し飛んで、輸送機の残骸の中から2つの影が現れる!!

 

「「「!?」」」

 

1つは一夏であり、もう1つは………

 

「ラ、ラウラ!? ソレは!?」

 

“形状が変わっているIS”を身に纏っているラウラだった。

 

耳の部分にL字の様に曲がった黄色い角が在り、口の部分には多数のスリットが入ったマスクが装着されている。

 

腕と腿の部分に三角の板が設置され、胸にはV字のパーツが取り付けられている。

 

臍の辺りには五角形のパーツが装着され、背中には真っ赤な翼が生えている。

 

「如何やら、私のISも第二形態移行(セカンド・シフト)した様だな。名は………そう! 『グレートマジンガー』だ!!」

 

ラウラは不敵な笑みを浮かべて、第二形態移行(セカンド・シフト)したシュヴァルツェア・レーゲン………『グレートマジンガー』を装着した状態でポーズを決める。

 

「グレートマジンガーじゃと!? また厄介な物が出て来おったわい」

 

其処で、体勢を立て直して人型に戻ったゲンバーが、グレートマジンガーの姿を見てそう言う。

 

「じゃが………何であろうと“ロージェノム様の敵”は叩き潰すのみ!」

 

と次の瞬間には、グレートマジンガー目掛けて飛び掛かった!!

 

「喰らえいっ!! ゲンバープレスッ!!」

 

ゲンバーがそう叫びながら両腕を広げると………

 

その腕の内側に、無数の棘が出現する!!

 

「串刺しにしてくれるわぁっ!!」

 

そしてそのままラウラに抱き付き、串刺しにしようとする。

 

「! ラウラッ!!」

 

一夏が叫ぶが、次の瞬間!!

 

「なっ!?」

 

ガキィンッ!!と言う音が響いたかと思うと、ラウラを串刺しにしようとしていたゲンバーの棘が、全て圧し折れた!!

 

「馬鹿なっ!?」

 

「フッ、グレートマジンガーの装甲を舐めてもらっては困るぞ! アトミックパンチッ!!」

 

ラウラはそう言い放つと、ゲンバーに右腕を向ける。

 

すると、右腕パーツがロケット噴射で発射され、回転しながらゲンバーの顔面を殴り付ける!!

 

「ぐおおおっ!?」

 

衝撃でブッ飛ばされ、尻餅を着く様に床の上に倒れるゲンバー。

 

「オノレェ! だが、頑丈さならば此方も負けてはおらんぞ! そんな攻撃では、ゲンバーのボディには傷1つ付けられんわい!!」

 

そう言いながら立ち上がるゲンバーのボディは、確かに“無傷”だった。

 

「ならば、コレで如何だ!? ブレストバーンッ!!」

 

するとラウラは、今度は胸のV字状のパーツから熱線を放射する!!

 

「!? むおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!?」

 

ゲンバーはその熱線を真面に浴びる。

 

すると、堅牢な装甲がまるで飴の様に溶け始める!!

 

「な、何じゃと!? ゲンバーの装甲が溶ける!?」

 

「マジンガーブレードッ!!」

 

其処でラウラは、右腿の三角の板部分から西洋剣タイプのブレード・マジンガーブレードを取り出す。

 

「そらっ!!」

 

そして、装甲が溶解し掛かっているゲンバー目掛けて投げ付ける!

 

「!? イカンッ!!」

 

と、次の瞬間!!

 

ゲンバーの背中側から、グアームが脱出する。

 

装着者の居なくなったゲンバーを、マジンガーブレードが貫通。

 

「サンダーブレークッ!!」

 

ラウラがそう叫ぶと、稲妻が角から頭上に向かって伸びる。

 

そして、右手を人差し指を立てた状態で掲げたかと思うと、其処に稲妻が落ちてスパークする。

 

「喰らえっ!!」

 

その指をゲンバーに向かって伸ばすと、稲妻が放たれる!

 

稲妻は突き刺さっていたマジンガーブレードの柄に命中し、ゲンバーは感電!!

 

一瞬の間を置いて大爆発した!!

 

「ぬううっ! ワシのゲンバーがっ!!」

 

「グアーム様! ココは一旦退きましょう!!」

 

「ドイツ攻略作戦中の今、此奴等に構っている暇は有りません!」

 

悔しがるグアームを、ガンメン部隊が回収する。

 

「………そうじゃの。一旦退くぞ!」

 

グアームは悔しそうな表情を見せながらも、ガンメン部隊とレッドショルダー達にそう命令する。

 

其れを受けて、ガンメン部隊とレッドショルダー達は一斉に撤退を始める。

 

「あ! 待ちやがれ!!」

 

「グレン団! ワシ等を追い返す事が出来ても、()()()()()()()()()()()ぞ!!」

 

追い縋ろうとしたグレンラガンに、グアームはそう捨て台詞を吐いた。

 

「何だとぉっ!?」

 

「如何言う事だ?」

 

グアームの捨て台詞の意味が分からず、一夏が首を傾げていると………

 

[此方クラリッサ! グレン団の皆さん! 聞こえますか!?]

 

通信回線に、再びクラリッサの声が響き渡る。

 

「クラリッサ!? 如何した!?」

 

[その声は隊長! 御無事でしたか!?]

 

「ああ、何とかな………其れより、如何したんだ?」

 

[そうでした! 先程ロージェノム軍が撤退! 基地に居たペールゼンの兵も全て片付けたのですが、現在()()()()()()ロージェノム軍の猛攻を受けています!!]

 

「!? 何だと!?」

 

「「「!?」」」

 

クラリッサの報告にラウラは驚きの声を挙げ、グレンラガン達も驚愕を露わにする。

 

[奴等は、先日占領したフランスを足掛かりにして大規模な戦力を集結させていた様です! 各地の防衛に当たっていた我が軍は、最早壊滅状態です! この上は、隊長達だけでも脱出して下さい!!]

 

「お前達は如何するんだ!?」

 

[我々は残ります! 地下へ潜って、ゲリラ戦で抵抗を続ける積りです!!]

 

「ならば私も!!」

 

[何を言うのです!? 隊長には、もっと“重大な任務”が有るではありませんか!!]

 

「!? 重大な任務!?」

 

[そう………“ロージェノムを倒す”と言う()()です!]

 

「!!」

 

その言葉に、ラウラは再び驚きを露わにする。

 

[隊長達ならば………グレン団ならば必ず出来ます! 私達は其れまで()()()()()持ち堪えてみせます! だから隊長! “今は”逃げて下さい!!]

 

通信越しに、クラリッサの切実な思いが伝わって来る。

 

「クラリッサ………死ぬなよ。“コレは()()()()だ”」

 

[………了解]

 

最後に言い合い、ラウラは通信を切る。

 

「………行くぞ! 一夏!!」

 

「分かった! 他の皆にも、もう伝えてある!!」

 

「チキショーッ! また逃げんのかよ!!」

 

「今は………そうするしか無い………」

 

ラウラ達はそう言い合って基地から脱出し、更にはドイツからも脱出をするのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日………

 

ドイツが陥落………

 

世界でロージェノムに抵抗を続けている国は………

 

イギリス・中国・アメリカ・日本だけとなった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

プロト・ワンの正体はラウラのクローン。
しかし、教育課程で簪と接触してしまったせいで、彼女に強い感情を抱く様に。
失敗作と見なされ、ペールゼンはラウラを連れての逃走に入る。
しかしそこへ………毎度お馴染み、ロージェノム軍が襲撃。
四天王のカスタムガンメンまで現れ、絶体絶命のところに………
ラウラのISがセカンドシフト。
グレートマジンガーになります。

ラウラは軍人、戦闘のプロ、剣鉄也、グレートマジンガーと言う発想で決めました。

ゲンバーを撃破したものの、グアームは逃走し、ドイツも陥落。
グレン団はまたも逃亡を余儀なくされたのだった。

さて、次回はイギリス編………
セシリア回です。
彼女のコンプレックスであった父の意外な正体が発覚します。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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