天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第108話『ふふふ、変わりない様で安心しました』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第108話『ふふふ、変わりない様で安心しました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツにて、激戦の末に………

 

拉致されていたラウラを救出する事に成功したグレン団。

 

しかし其処で、ドイツ全域にまたもロージェノムの大軍が出現。

 

各地のドイツ軍は忽ち壊滅し、ドイツも敵の手中に落ちた………

 

シュヴァルツェ・ハーゼや、生き残ったドイツ軍は地下へ潜り、ゲリラ戦で抵抗を続ける積りらしいが、其れも何時まで続けられるか分からない………

 

人類が刻一刻と追い詰められて行く中………

 

辛くもドイツを脱出する事が出来たグレン団は………

 

 

 

 

 

北海の海底………

 

着底しているインフィニット・ノアの艦橋にて………

 

「とうとうドイツも落とされたわね………」

 

「コレでロージェノム軍に完全にやられていない国は、アメリカ・イギリス・中()、そして日本だけね………」

 

リーロンと楯無が、メインパネルに投影した世界の戦況の様子を見ながらそう言い合う。

 

「クソッ!!」

 

勝ち星は挙げているものの、国を守る事は出来ずに逃げてばかりを繰り返している神谷は、悔しさを滲ませながら壁を殴る。

 

「神谷………」

 

シャルは、そんな神谷に言葉を掛けられずに居た。

 

と其処で………

 

「皆………この子が………目を覚ましたわよ………」

 

そう言いながら、簪が艦橋へと姿を見せる。

 

いや………

 

良く見れば、その背に隠れている“もう1人”の存在が在った。

 

「ホラ………大丈夫よ………皆私の仲間だから………」

 

「うう………」

 

簪が隠れている人物………プロト・ワンに向かってそう言うが、プロト・ワンは簪のスカートを摑んで、神谷達の様子を窺う様に覗き見る。

 

「目が覚めたのか………」

 

と、その姿を見たラウラが2人の元へ近付いて来る。

 

「! ううっ!?」

 

すると、プロト・ワンはラウラから見えなくなる様に、簪の陰に隠れる。

 

「やあ、こんにちは」

 

と其処で一夏が、反対側から笑顔を向けて挨拶する。

 

「! うう~っ!」

 

プロト・ワンはまたも逃げる様に移動する。

 

しかし其れでも、簪の傍からは離れようとしない。

 

その様に、あの恐るべき兵士(パーフェクト・ソルジャー)としての姿は無く、“人見知りな幼子”そのものであった。

 

「アラアラ? すっかり懐かれちゃってるわね~、簪ちゃん」

 

今度は楯無がそう言いながら、簪とプロト・ワンの傍に寄る。

 

「!?」

 

「姉さん………からかわないで………」

 

プロト・ワンが楯無から逃げる様に隠れると、簪がそう言う。

 

「其れで? 如何すんの、この子?」

 

「生まれが生まれだけに、何処かに引き取って貰うワケにはイカンぞ?」

 

鈴と箒がそう言い合う。

 

「やっぱり、私達で面倒見るしか無いよぉ」

 

「そうですね」

 

続いて、ティトリーと蘭がそう言い合う。

 

「ありがとう、皆………ホラ、貴女も………皆にお礼を………」

 

「………ありがとう」

 

簪がそう言うと、プロト・ワンは簪の影に隠れたまま、照れた様子を見せながらそう呟く。

 

(((((か、可愛い~~!!)))))

 

その瞬間、女性陣はその姿に萌えるのであった。

 

「となると、名前考えてやった方が良いんじゃねえのか? 何時までもプロト・ワンだなんて、番号みてぇな名前じゃ可哀想だろ?」

 

「そうね。この子には、先ず“人間らしさ”ってモノを教えないと」

 

其処で、弾と虚がそう提案する。

 

「名前か~。何が良いかな~?」

 

「“ラウラの()”だし、ドイツ語で名付ける方が良いんじゃないか?」

 

首を捻るのほほんに、一夏がそう言う。

 

「ドイツ語か~さっぱり分からん!!」

 

「神谷………」

 

ドイツ語で名前を考えようとしたが、肝心のドイツ語が分からずそう言い放つ神谷と、そんな神谷に苦笑いするシャル。

 

「………フランって言うのは………如何かしら………?」

 

すると、他ならぬ簪がそう声を挙げる。

 

「フラン?」

 

「そう………ドイツ語で炎を意味するフランメから取って………フラン」

 

「フランかぁ………貴女は如何?」

 

楯無が、簪の後ろに隠れているプロト・ワンに向かってそう尋ねる。

 

「…………」

 

プロト・ワンは簪の後ろに隠れたままだったが、やがて静かに頷いた。

 

「気に入ったみだいだね」

 

「よ~し! 今日からオメェはフランだ! よろしくな! フラン!!」

 

一夏がそう言うと、神谷がそう声を挙げながらプロト・ワン改めフランへと近付く。

 

「!?」

 

するとフランは、またも神谷から逃げる様に移動する。

 

「ありゃ?」

 

「人見知りは………徐々に治して行かないとね」

 

肩透かしを喰らった神谷が間抜けな顔をしていると、簪は微笑みながらフランの頭を優しく撫でるのだった。

 

「フラン………」

 

と其処で、ラウラがフランへと声を掛ける。

 

「あ………」

 

「心配するな。今日からは、私が………“お前の姉”だ」

 

そう言って、ラウラはフランに微笑み掛ける。

 

「…………」

 

フランは戸惑う様な様子を見せていたが、やがて簪から離れると、ラウラの前に立つ。

 

「? 如何した?」

 

ラウラがそう尋ねると………

 

「………お姉ちゃん」

 

フランはラウラに向かってそう言う。

 

「!?!?」

 

その時、ラウラに電流が走る!!

 

漫画的に表現するならば、ハートマークを弾丸が撃ち抜く様なイメージが見えて、ズギューンッ!!という効果音が聞こえる感じだ。

 

「ふおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」

 

その次の瞬間には、ラウラは叫び声を挙げてフランに抱き付いた!

 

「!? キャアッ!?」

 

「可愛い~~~っ! お前は何て可愛いんだ~、フラ~~~ンッ!!」

 

驚くフランの頬に頬擦りするラウラ。

 

「安心しろ~~っ! この先何が有っても、姉が守ってやるからな~~~っ!!」

 

姿は似ているが、色々と違うキャラの台詞が“中の人繋がり”で出て来る。

 

キャラ崩壊も良いところだ。

 

「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」

 

そんなラウラの姿に、神谷や一夏達が唖然としている。

 

「………ハッ!?」

 

そんな神谷達の視線に気付いて、ハッと我に返るラウラ。

 

「オ、オホンッ! と、まあ其れはさて措き………」

 

((((((((((何が、其れはさて措きなんだ?))))))))))

 

何とか取り成そうとするが、既に手遅れであった。

 

「………良かったわね………良いお姉ちゃんで………」

 

そんな中、只1人それをスルーして、簪がフランにそう言う。

 

「うん! フラン、簪好き!!」

 

「うふふ………ありがとう………」

 

屈託無い笑顔でそう言われて、簪は微笑み返しながらフランの頭を撫でる。

 

「…………」

 

そして、そんなフランと簪の様子を見たラウラは………

 

(ジェラシイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!)

 

激しい嫉妬の炎を燃え上がらせた!!

 

「うおっ!? ラウラが燃えてる!?」

 

「って言うか、何か邪念が渦巻いて無いか!?」

 

そんなラウラの様子を見た、一夏と弾がそう声を挙げる。

 

(教官! ()()()分かります!! 貴女の気持ちが!!)

 

この時ラウラは、千冬が何故“ブラコン”なのかを心の底から理解したのだった。

 

「もう! 少し静かにしてくれませんこと! 全然聞こえませんわ!!」

 

と一連の喧騒の中、1人通信席に着いて、イヤホンを耳に当てながら黙々と通信機を弄っていたセシリアがそう声を挙げる。

 

「あ、ワリィ………」

 

「全く、もう………こちらセシリア・オルコット………チェルシー、聞こえてますの? 応答なさい」

 

彼女が今連絡を取ろうとしているのは、彼女の幼馴染であり、優秀な専属メイドであるチェルシー・ブランケットだ。

 

フランス、ドイツと連戦して来たので、此処等で一旦落ち着きたいところだが、如何せんグレン団の立場は“世界の敵”のまま………

 

一番近く、且つ未だロージェノム軍に抵抗している国はイギリスだが、お尋ね者の自分達が尋ねて行っても良い顔をしないのは明らかである。

 

其処でセシリアが、オルコット家が管理している港に入港しようと、専属メイドであるチェルシーに、オルコット家の専用回線を使って連絡を取ろうとしているのだ。

 

しかし、発信元を発見される事無く、更には逆探知を防ぐ為に複雑な偽装をしながらの通信なので、回線の繋がりが悪く、中々繋がらずに居る。

 

「コチラ、セシリア・オルコット………チェルシー、聞こえてますの? 応答なさい」

 

何度目とも知れぬ呼び掛けを、通信のマイクに向かって言い放つセシリア。

 

すると………

 

[………こ………ちら………チェ………ルシー………]

 

通信機から、ノイズに混じって音声が返って来る。

 

「!?」

 

其れを聞いたセシリアは、大慌てで通信機を調整する。

 

[………此方チェルシー。聞こえてましたよ、お嬢様]

 

そして通信回線からクリアな声で、そう言う台詞が聞こえて来た。

 

「チェルシー! 漸く繋がりましたわ!!」

 

[お久しぶりです、お嬢様。グレン団と運命を共にしたと聞いた時には流石に驚きましたが、やはり生きていらしたのですね]

 

「当然ですわ! この私を誰だと思っているのですか!?」

 

通信にも関わらず、セシリアはそう言って自慢するかの様に胸を張るポーズを取る。

 

[ふふふ、お変わり無い様で安心しました]

 

「其れでチェルシー、イギリスの状況は如何ですの?」

 

[戦況的にはかなり厳しいですね。先日のフランス、ドイツの陥落で敵の士気は上がっていますが、対照的にイギリス軍の士気は低いです]

 

「ま、当然よねぇ………」

 

リーロンがまるで他人事の様にそう言う。

 

「兎に角、私達は一旦イギリスに寄りたいと思っていますの。オルコット家が管理している港で、何処か空いてる所は? 出来れば秘密裏に寄港出来る所で」

 

[少々お待ち下さい………]

 

セシリアの注文に、チェルシーは直ぐに調べ始める。

 

[………有りました。この港でしたら、空いています]

 

と、チェルシーがそう言ったかと思うと、通信回線に暗号が送られて来る。

 

「流石チェルシー。仕事が早いですわね」

 

[お褒めに与り、光栄です]

 

「では今から向かいます。分かっているとは思いますけど………」

 

[存じ上げております。政府や外部の人間には()()知らせません。港に回すスタッフも、信頼出来る人物に致します]

 

「完璧ですわ。では、チェルシー。港で会いましょう」

 

[御意にございます。お嬢様]

 

そう言い合うと、通信は切断される。

 

其れと同時に、セシリアは送られて来た暗号の解読を始める。

 

「しかし凄いよな、セシリア。自分の港まで持ってるんだから」

 

と其処で、一夏がそんな事を言う。

 

「オルコット家は、古くから王室に仕えて来た由緒正しい貴族の家系ですわ。先代当主だったお母様の代には、多数の会社の経営で成功し、今や名実共に“イギリス1の貴族”ですのよ」

 

セシリアは、またも自慢する様に胸を張ってそう言う。

 

「へえ~、凄かったんだな、セシリアの母さんって」

 

「勿論ですわ! お母様は私の自慢の1つですわ!………其れに比べて」

 

と其処でセシリアは、父親の事を思い出して、嫌そうな顔をする。

 

「? 如何したんだ?」

 

「あ、いえ、何でもありませんわ。さあ、解読が出来ましたわ。今から向かいましょう」

 

その事を一夏に指摘されると、セシリアは慌てて取り繕い、チェルシーが言って来た港へと急がせるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリス・某所………

 

オルコット家が所有する港………

 

インフィニット・ノアが堂々と波止場に横付けされており、貨物の搬入が行われている。

 

リーロンと布仏姉妹を除いたグレン団一同は、艦を降りて上陸しており、セシリアを出迎えに来ていたチェルシーと顔を合わせている。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

「出来れば、この様な形で再び祖国の地を踏む事はしたくありませんでしわ………」

 

チェルシーは笑顔で出迎えたが、セシリアは若干重苦しく溜息を吐きながらそう言う。

 

「気にすんな、セシリア! 何れ世界の連中にも分かる時が来らぁ! 俺達グレン団の活躍がよぉ!!」

 

其処で何時もの神谷節が炸裂する。

 

「貴方が神谷様ですか。お初にお目に掛かります。オルコット家に仕えるセシリア様の専属メイド、チェルシー・ブランケットです」

 

チェルシーは、カーテシーで神谷とグレン団の一同に挨拶する。

 

その振る舞いは、正に瀟洒。

 

「おお~、ホンモンのメイドさんだぜ」

 

「本物は初めて見たな~」

 

日本では秋葉原ぐらいでしかお目に掛かれない姿を見て、弾と一夏がそんな感想を漏らす。

 

「チェルシー。私達が寄港している事は、政府や関係機関には気付かれていませんね?」

 

と其処で、セシリアが念を押す様にそう尋ねる。

 

「………申し訳有りません。お嬢様」

 

するとチェルシーは、セシリアに向かって深々と頭を下げる。

 

「!? まさかっ!?」

 

その様を見たセシリアは慌てる。

 

イギリス政府が自分達が寄港した事に気付いたのか?

 

其れならば、直ぐにでも出港しなければ危ない。

 

「いえ、大丈夫です。()()()()()()()()お嬢様達が寄港している事は一切知られていません」

 

しかし、チェルシーは直ぐにそう言う。

 

「? 如何言う事ですの?」

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

セシリアが意味が分からずに首を傾げ、神谷達もワケが分からないと言った表情をする。

 

「実は………如何やって情報を入手したのかは不明ですが、国際警察機構の方に嗅ぎ付けられまして………“お嬢様に会いたい”と言って、此処へいらっしゃっています」

 

「!? 国際警察機構!?」

 

驚くセシリア。

 

国際警察機構とは、その名の通り“国の枠組みを超えた”警察組織の事である。

 

IS登場以前より活躍しており、様々な難事件を解決している。

 

噂では、所属する人間は皆超人であり、()()()ISを撃墜した事が有る等と、(まこと)しやかに囁かれている。

 

一夏達もその存在は授業で教えられており、“ヤバイのではないか?”と、思わず顔を見合わせる。

 

(な~ん)だ、国際警察機構にかよ」

 

しかし、神谷だけは平然とした顔でそう言う。

 

「あ、アニキ! 国際警察機構って言えば、言わば世界の警察だよ!!」

 

「我々は“世界のお尋ね者”だと言うのを忘れたのか!?」

 

そんな神谷に、一夏と箒がそう言い放つが、神谷は相変わらず涼しい顔だ。

 

「ああ、そう言えば………神谷って、国際警察機構の人と知り合いなんだっけ?」

 

すると其処で、神谷と同じく慌てた様子を見せていなかったシャルが、サラッとそう言い放つ。

 

「ええっ!? ()()国際警察機構の人間とぉっ!?」

 

「何と言う顔の広さだ………」

 

其れを聞いた鈴が驚きの声を挙げ、ラウラも呆れた様に呟く。

 

「なら、心配要らねえぜ! アイツ等なら俺が話を通してやるからよぉ!!」

 

「………兎も角、会ってみましょう」

 

セシリアは、神谷の言葉に僅かに期待しながら、国際警察機構の人間と会う事にするのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オルコット家が管理する港に在ったプレハブ小屋にて………

 

「やあ、初めまして。セシリア・オルコット嬢。私は、国際警察機構の『中条 静夫』という者です」

 

「俺は『戴宗』ってもんだ」

 

そう言って、セシリアに挨拶をする国際警察機構の人間………『中条 静夫』と『戴宗』。

 

「何でぇ、誰かと思えば、中条のおっさんに戴宗じゃねえか」

 

と、その2人の人物の姿を見た神谷が、開口一番にそう言い放つ。

 

「ちょっ!? アニキ!!」

 

「おお、神谷くん! 久しぶりだね」

 

「元気そうじゃねえか、安心したぜ」

 

一夏は慌てるが、中条と戴宗は神谷の姿を見た途端に笑みを浮かべ、親し気に声を掛けて来た。

 

「しかし、君が“人類側から()追われる身”になるとはな………」

 

「へっ! 俺は自分がやりてぇ事は何が有ろうとやり通し、やりたかねえ事は死んでもやらねえ男だぜ!!」

 

「ハッハッハッハッ! 相変わらず粋な野郎だぜ!!」

 

独特な声を響かせながら戴宗が笑うと、持っていた徳利を傾けて酒を呷る。

 

「兎に角、頑張ってくれ給え。我々も、グレン団の国際指名手配を取り下げる様に国連に働き掛ける積りだ」

 

「あんがとな、中条のおっさん」

 

「あの、其れでミスター中条。私にお話とは?」

 

と其処で、若干置いて行かれ気味だったセシリアが、会話に本題で割って入る。

 

「ああ、失礼したね。実は君達が此処へ来ている事は、既にイギリス軍に知られてしまっているのだよ」

 

「!? 何ですって!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

その言葉に、セシリアは驚きの声を挙げ、一夏達の顔にも焦りが走る。

 

「だが心配しなくても良い。我々国際警察機構のエキスパートが抑えに回っている。無論、我々『九大天王』もな」

 

「少なくとも、お前等が出港するまでの間は守り切ってみせるぜ」

 

だが、中条と戴宗は続けてそう言い放ち、不敵な笑みを浮かべた。

 

「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」

 

その言葉で、神谷を除いた一同は再び驚きを露わにする。

 

「ハッハッハッ! 流石だぜ! 国際警察機構はよぉ!!」

 

只1人、神谷だけが面白そうに笑っている。

 

((((((((((………如何して警察機構の人間が軍隊を抑えられるんだ?))))))))))

 

しかし、一夏達の頭はその疑問で埋め尽くされていた。

 

「で、ですが! そんな事をされては、国際警察機構の立場が………」

 

と、セシリアが不意に思い立った様にそう言うが………

 

「心配は無用だよ。この程度では、国際警察機構の立場はビクともせんさ」

 

「そう言うこった」

 

中条と戴宗は、またも不敵に笑いながらそう言う。

 

「そ、そうですか………一体、如何して其処までして下さるのですか?」

 

若干戸惑いながらも、セシリアはそう問い質す。

 

彼等の厚意は有り難いが、“何故そんな事をしてくれるのか”が、彼女には皆目見当が付かない。

 

唯一の繋がりは“神谷が友人だ”と言う事だが、国際的な立場を持つ彼等が、其れだけの理由でココまでしてくれるとは考え難い。

 

「何………『クラウド』との約束だったからな」

 

「ああ、“()を守ってやってくれ”ってな」

 

「!? 『クラウド』!? アナタ方は()()()を知っているのですか!?」

 

意外な名前が2人の口から出て、セシリアはまたも驚愕する。

 

『クラウド』………

 

其れは、セシリアの父親・『クラウド・オルコット』の名前(ファーストネーム)である。

 

御存じの通り、彼女の父はオルコット家に婿養子として入っており、常に妻・『セリーヌ・オルコット』には立場の弱さから卑屈に振舞っていた。

 

セリーヌからも鬱陶しがられ、一緒に居る所を余り見た事が無い。

 

其れが、列車事故で亡くなった時に限って()()()2人一緒に居た。

 

何故、普段は余り一緒に居なかった2人が、その日に限って一緒にいたのか?

 

其れは今でも、セシリアの中で最大の(疑問)となっている。

 

情け無くて頼り無い男………

 

彼女は、父親をそんな風に認識している。

 

その父の名が、国際警察機構の人間の口から出て来たのだから、彼女の驚きは測り知れない。

 

「知っているも何も………」

 

「お前さんの親父さんとは、“()()だった”からなぁ」

 

「!? あの人が戦友!? 如何言う事ですの?」

 

益々困惑するセシリアに、本日最大級の驚きを齎す言葉が、中条と戴宗の口から告げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の父親………『クラウド・オルコット』は、“国際警察機構のエキスパートだった”のだよ」

 

「其れも、俺達“九大天王に最も近い男”と言われた程の、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ………?」

 

一瞬2人の言葉の意味が分からず、セシリアは間抜けた顔で固まってしまう。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

神谷を除いたグレン団の一同も顔を見合わせる。

 

「「「「「「「「「「!? えええええぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~っ!?」」」」」」」」」」

 

やがてプレハブ小屋の中に、本日1番の大声が響き渡ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

プロト・ワンことフランを仲間に加えたグレン団は………
補給の為、イギリスのオルコット家が管理する港に秘密裏に寄港。
そこへ現れたのは国際警察機構の中条と戴宗。
2人の口から驚くべき事実が語られる。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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