天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第11話『火事場泥棒が大層な名乗り上げんじゃねえか!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第11話『火事場泥棒が大層な名乗り上げんじゃねえか!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・第3アリーナ………

 

グレンラガンとなっている神谷と、白式を装着している一夏は、『シュヴァルツェア・レーゲンだったもの』と対峙している………

 

『シュヴァルツェア・レーゲンだったもの』の現在のその姿は………

 

第1回モンド・グロッソで優勝した時の千冬の姿そのものである。

 

「コイツは………」

 

「!!」

 

神谷が思わずそう呟いた瞬間、一夏は雪片弐型を構えていた。

 

と、その途端!!

 

一夏の闘気を感じ取ったかの様に、千冬の姿をした黒いISも腰を落としたかと思うと………

 

一瞬で距離を詰めて、一夏に手に持っていたブレードでの横薙ぎの攻撃を繰り出して来た!!

 

「!?」

 

「一夏ぁっ!!」

 

と、咄嗟にグレンラガンが一夏を突き飛ばす。

 

身代わりとなったグレンラガンに、黒いISの横薙ぎが叩き込まれる!!

 

「!? うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」

 

真面に喰らったグレンラガンは、まるで野球ボールの様にぶっ飛び、アリーナの防御シャッターに叩き付けられた!!

 

防御シャッターが大きくヘコんで変形する。

 

「!? アニキ!!」

 

「イッテエ~~~~ッ! やってくれたじゃねえか!!」

 

一夏が叫ぶが、幸い大したダメージは無かった様で、グレンラガンは頭を擦りながらも起き上がる。

 

「!? 一夏! 後ろだぁ!!」

 

と、グレンラガンがそう叫んで、グレンブーメランを投擲する!!

 

「!?」

 

一夏が振り返るとそこには、自分に向かってブレードを振り下ろそうとしている黒いISの姿が在った!!

 

しかし、振り下ろす直前にグレンラガンが投げたグレンブーメランがブレードに当たって軌道がずれ、一夏も回避を取っていたので外れる。

 

「あの剣技! やっぱり! 俺が最初に千冬姉に習った最初の技だ!!」

 

「やっぱりか………どっかで見た事あると思ったら、ブラコンアネキの技か」

 

そう言う一夏に、戻って来たグレンブーメランを回収しながら近づいて来ていた神谷がそう呟く。

 

「コイツ………千冬姉の真似しやがって!!」

 

思わず頭に血が上る一夏だったが………

 

そこでグレンラガンが拳骨を叩き込んだ!!

 

「アダッ!?」

 

「落ち着け、一夏。熱くなるのは良い。だが、焦んな………喧嘩に勝つには熱いハートとクールな頭脳だ」

 

痛がっている一夏に向かって、神谷はそう言った。

 

「アニキ………」

 

「良いか、一夏。俺がアイツの動きを止める。その間にお前がアイツに必殺の1撃を叩き込め」

 

「俺が!?」

 

「アイツの中には眼帯女が居る。俺の武器じゃあの女ごとアイツを貫いちまう。アイツを助けられるのはお前だけだ!」

 

驚く一夏に、神谷はそう言う。

 

「………分かったよ、アニキ!」

 

「良し! んじゃトドメは任せたぞ! 兄弟!!」

 

「おう!………でも、動きを止めるって、如何やって?」

 

「決まってんだろ! 気合でだぁ!!」

 

そう言うと、グレンラガンは黒いISへと突撃して行く!!

 

「クールな頭脳は何処に有るのぉ!?」

 

その姿に、一夏は思わずそんなツッコミを入れてしまう。

 

「うおりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

黒いISに向かって行くグレンラガン。

 

黒いISは、向かって来るグレンラガンに対し、ブレードを横薙ぎに振るう。

 

「! おっと!!」

 

しかし、グレンラガンはその瞬間スライディング!!

 

黒いISが振るったブレードは、先程までグレンラガンの頭が在った位置を通過する。

 

「おりゃあぁっ!!」

 

そして、スライディングを繰り出したグレンラガンは、そのまま黒いISの足に自分の足を絡ませて、転倒させた!!

 

「ふんっ!!」

 

転倒させた黒いISのマウントポジションを取ると………

 

「オラオラオラオラオラァッ!!」

 

そのまま顔面に連続で拳を繰り出す!!

 

殴られるままだった黒いISだが、やがてグレンラガンの背中に蹴りを入れ、引き剥がす!

 

「うおっ!?」

 

地面の上を転がりながらも、素早く態勢を立て直すグレンラガン。

 

そこへ黒いISは、ブレードを上段から更に振り被っての振り下ろしを繰り出す!!

 

「おっと!!」

 

しかし、グレンラガンはそのブレードの刃を両手で挟んでキャッチ!

 

所謂、真剣白刃取りで止めた!!

 

「ぬぬぬぬぬぬっ!!」

 

押し込もうとして来る黒いISに必死で抵抗するグレンラガン。

 

やがて黒いISは力比べを止め、グレンラガンが摑んだままのブレードを素早く横に振った!!

 

「!? うおっ!?」

 

急にブレードを振られて、グレンラガンは横っ飛びする様に飛ばされ、地面の上を滑った!!

 

チャンスとばかりに、黒いISは倒れたままのグレンラガン目掛けてブレードを振るう!!

 

「!! この野郎!!」

 

グレンラガンは咄嗟に、迫り来るブレードに向かって蹴りを繰り出した!!

 

すると!!

 

その蹴りを繰り出した足がドリルに変わり、黒いISが振り下ろして来たブレードと激突!!

 

一瞬火花を散らしたかと思うと………

 

ガキィンッ!!と言う甲高い音を立てて、黒いISのブレードが弾かれた!!

 

弾かれた黒いISのブレードは、そのままアリーナの地面に突き刺さる。

 

得物を失った黒いISが、怯んだ様な様子を見せる。

 

「! 今だぁ!!」

 

グレンラガンはドリルになっていた足を素早く戻すと、立ち上がると共に跳躍。

 

黒いISの背後を取り、そのまま羽交い絞めにした!!

 

「一夏ぁ! やれえぇ!!」

 

暴れる黒いISを必死に抑え込み、神谷は一夏に向かってそう叫ぶ。

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

雪片弐型を構えた一夏が、黒いIS目掛けて突撃する!!

 

「縦! 一文字斬りいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!」

 

どこぞの勇者特急の様な技を繰り出し、黒いISのボディ部分に、縦一文字の傷を付けた!!

 

一瞬の沈黙の後………

 

黒いISからスパークが走り、一夏が付けた傷が広がって、ラウラが押し出される様に出て来た。

 

「あ…………」

 

その際に、ラウラの眼帯が外れ、金色の瞳が露わになる。

 

「お、っと………」

 

押し出されてきたラウラを、優しく抱き留める一夏。

 

黒いISは、まるで泥人形が崩れる様に形を失って行った………

 

「やったな! 一夏!!」

 

「ああ………ありがとう、アニキ。アニキのお蔭だよ」

 

神谷にそう返し、一夏は自分の腕の中で眠っている様に気絶しているラウラに視線を落とす。

 

「………ホントは1発ブン殴ってやろうかなと思ってたんだが………こんな顔見せられちゃ出来ないな………勘弁してやるよ」

 

そんな事を呟き、一夏はフッと笑うのだった。

 

「アレ!? もう終わったの!?」

 

「一夏!! 無事か!?」

 

とそこへ、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを装着しているシャルルと、打鉄を装着している箒が現れた。

 

「おう、シャルル! 見ての通りさ!」

 

「箒。ああ、俺は大丈夫だよ」

 

「そうか、良かった………何故その女を抱き抱えている?」

 

一夏が無事であった事を喜ぶ箒だったが、一夏がラウラを抱き抱えている事に気づくと、途端に不機嫌な顔になった。

 

「いや、気絶してるんだからしょうがないだろう………ところで、お前こそ、その打鉄は如何したんだよ?」

 

いきなり不機嫌になった箒に戸惑いながらも、一夏は逆に、箒が打鉄を装着している事にツッコむ。

 

「こ、コレは………そ、そうだ! 非常事態だから失敬して来たんだ!!」

 

「それって、つまり………無断使用だよね?」

 

「うぐっ!?」

 

シャルルにそう言われて言葉に詰まる箒。

 

「箒………お前、アニキに似て来たな?」

 

「なっ!? こんな奴と一緒にするな! 一夏!!」

 

「こんな奴とは何だ!?こんな奴とは!?」

 

箒のこんな奴発言に、神谷が食って掛かる。

 

「アハハハ………ん? アレは?」

 

とその時、黒いISの残骸を見やったシャルルが、何かを発見する。

 

それは、シュヴァルツェア・レーゲンのコアだった。

 

(あ、コアは無事だったんだ。良かった………回収しておこう)

 

神谷達が言い合っている間に、コアを回収しようとするシャルル。

 

と、いざコアに伸ばした瞬間!!

 

「ケエエエエアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

甲高い怪鳥の様な叫びが響き渡り、突然横切った影が、コアを掠め取った!!

 

「!? うわぁっ!?」

 

思わずシャルルは尻餅を付いてしまう。

 

「!?」

 

「何だ!?」

 

「何事だ!?」

 

神谷達も気づき、コアを掠め取った影を追う。

 

影はそのまま、アリーナの実況席の上に着地した。

 

それは、細身のシルエットで、まるで鳥を思わせる様な姿をしたガンメンだった。

 

「ケケケケケケケッ! コイツは頂くぜぇ!!」

 

そのガンメンが、片手にコアを持ちながら、神谷達を見下ろしてそう言い放つ。

 

「!? ガンメン!!」

 

「何時の間に!?」

 

「野郎! 火事場泥棒みたいな真似しやがって!!」

 

その姿を見た一夏、箒、神谷がそう声を挙げる。

 

「シュヴァルツェア・レーゲンのコアを如何する積り!?」

 

両手にマシンガンを構えて、シャルルは鳥型のガンメンにそう問い質す。

 

[それは私が教えてやろう!!]

 

とその時!

 

そう言う声が響いて来たかと思うと、アリーナ全体に影が掛かり始めた………

 

「? 何だぁ?」

 

「「「??」」」

 

神谷達が空を見上げると、そこには………

 

巨大な顔を持つ艦橋部を中心に、内縁に3段式の大型飛行甲板、外縁に2段式の小型甲板を左右1基ずつ、計4基を放射状に配置。

 

艦底には3連装主砲2基と副艦橋を備える空中空母とも言うべき巨大艦が浮かんでいた!!

 

「な、何だありゃあ!?」

 

「デ、デカい………」

 

「あんなものが空を飛ぶなんて………」

 

その巨大空中空母に驚きを露わにする一夏、箒、シャルル。

 

「野郎………この俺に此処までデカい影を落としやがったのは、お前が初めてだぜ!」

 

逆に神谷は、空中空母の姿を見て、闘志を燃え上がらせていた。

 

と、次の瞬間………

 

その空中空母から映像が照射され、空中に巨大なモニターが展開したかと思うと、シトマンドラの姿が映し出された!

 

「!? お前は!?」

 

[螺旋王ロージェノム様の忠実なる僕! 螺旋四天王が1人、シトマンドラ! またの名を『神速のシトマンドラ』よ!! そしてこの艦は螺旋王様より頂きし空中母艦『ダイガンテン』!!]

 

映像に映っていたシトマンドラが、そう名乗りを挙げる。

 

「螺旋四天王の1人………」

 

「神速のシトマンドラ………」

 

箒とシャルルが険しい表情を浮かべる。

 

ロージェノムの戦力は未だに良く分かっていないが、四天王などと名乗るからには、相手は幹部クラス。

 

それが空中空母を率いて現れたのだ。

 

萎縮してしまうのも無理はない。

 

「けっ! 四天王だか、獅子唐だか知らねえが! 火事場泥棒が大層な名乗り上げんじゃねえか!!」

 

だが、神谷だけは恐れを微塵も見せず、モニターのシトマンドラに向かってそう言い放つ。

 

[ケッ! ほざくな! 人間如きが!!]

 

シトマンドラは露骨に不快感を露わにしてそう言い返す。

 

「んだとぉ! 俺を誰だと思ってやがる!!」

 

「神谷! ちょっと待って!………さっきの質問の続き! シュヴァルツェア・レーゲンのコアを如何する積り!?」

 

更に言い返そうとする神谷を制して、シャルルがそう問い質した。

 

[フンッ! 決まった事………我等が螺旋王様の為に役立てるのよ!!]

 

「役立てるだと?………」

 

[そう! このコアに装備されているVTシステム………これを使えば、世界最強のIS操縦者の戦力を無限に作り出す事が出来る!! その戦力を使えば、螺旋王様の世界征服もより捗ると言うもの………]

 

シトマンドラは得意げに自らの計画を聞かせる。

 

「!! そんな事………させてたまるかよ!!」

 

当然一夏が噛み付く。

 

彼にとって、それは許しがたい行為であった。

 

[ふふふ………貴様等如きに何が出来る! ヘブンズソード! コアを持って帰還しろ!!]

 

「ハハッ! シトマンドラ様!!」

 

シトマンドラはそう言い、コアを奪ったガンメン………『ヘブンズソード』にそう言い放つ。

 

ヘブンズソードは飛び上がると、空中空母『ダイガンテン』へと帰還しようとする。

 

「! 行かせないよ!!」

 

「コアを返してもらう!!」

 

それを追って、シャルルと箒も宙に舞った!!

 

「アニキ! ラウラを頼む!!」

 

そして一夏も、ラウラを神谷に預けると、2人の後に続く様に飛び上がった!

 

「お、オイ! 一夏ぁ!!」

 

飛べない為に置いてけぼりをくらうハメになった神谷は、ラウラを抱えたまま、上昇して行く一夏達を見上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コアを持って、ダイガンテンを目指すヘブンズソード。

 

「………ん?」

 

しかし、追撃して来る一夏達の姿に気づくと、その足を止めた。

 

「チッ! しつこいガキ共だ………ちょっと遊んでやるか!?」

 

そう言って、ヘブンズソードは踵を返すと、一夏達へ向かって行った!!

 

「カトラ隊とモウキーン隊を出せ。あの煩い蝿共を叩き落とせ!!」

 

「ハッ!!」

 

更に、ダイガンテンからも飛行型ガンメン『カトラリーダー』と『カトラゲイ』、爆撃型ガンメン『モウキーン』が多数発進する。

 

「キエエエエエアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「うわっ!?」

 

「くうっ!?」

 

「のあっ!?」

 

奇声を挙げて突っ込んで来たヘブンズソードを、どうにかギリギリで躱すシャルル、箒、一夏。

 

「ガキ共! 貴様達に教えてやるぜ………身の程ってやつをなぁ!!」

 

一夏達の方を振り返ると、ヘブンズソードはそう言い放つ。

 

「このぉ!!」

 

シャルルが、そんなヘブンズソードに向かって両手のマシンガンを発砲するシャルル。

 

「ハハハハハッ! 遅い遅い!!」

 

だが、ヘブンズソードは余裕で回避してみせる。

 

「ハアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

と、回避先を読んだ箒が、日本刀型ブレードを構えて斬り掛かる。

 

「ハッ! 見え見えなんだよ!!」

 

箒の攻撃を、片足で受け止めるヘブンズソード。

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 

すると今度は、一夏が後ろから雪片弐型で斬り掛かって来るが………

 

「うらぁっ!!」

 

「うわぁっ!?」

 

ヘブンズソードは、箒を片足で抑えたまま、裏拳で一夏を叩き落とす!!

 

「一夏!?」

 

「人の心配してる場合か!?」

 

叩き落とされた一夏に目が行ってしまった箒を、ヘブンズソードは弾き飛ばす。

 

「うわあぁっ!?」

 

「喰らえぇっ! 銀色の足いいいいいいぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!」

 

弾き飛ばした箒に向かって、ヘブンズソードが足を振ったかと思うと、そこから真空波が放たれた!!

 

「!? あああっ!?」

 

防御姿勢を取った箒だったが、右側の非固定浮遊部位が砕け散った!!

 

「貰ったぁ!!」

 

と、武器を両手ともマシンガンから六二口径連装ショットガン『レイン・オブ・サタディ』に持ち替えたシャルルが、連続で散弾を見舞う。

 

面で攻撃し、機動力を削ぐ作戦の様だ。

 

しかし………

 

「チイッ! しゃらくせぇ!!」

 

ヘブンズソードがそう言ったかと思うと、その姿が変形!!

 

完全な鳥の姿になったかと思うと、今まで以上の速度と機動で、レイン・オブ・サタディを躱してしまう!!

 

「!? そんな!?」

 

「目障りな奴だ! ヘブンズダートッ!!」

 

と、ヘブンズソードがそう叫んだかと思うと、翼の先端の羽になっていた部分が、次々にシャルル目掛けて放たれた!!

 

「!? うわあああああっ!?」

 

シャルルは物理シールドを構えて防御したものの、シールドエネルギーを大きく削られる。

 

「キエエエエエアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

と、爆煙が治まらぬ内に鳥形になったヘブンズソードは、シャルルに突撃。

 

その両足の鋭い爪で、シャルルを拘束した!!

 

「あっ!? し、しまった!?………!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

ヘブンズソードは、そのままシャルルを爪で締め上げ始めた!!

 

「このまま捻り潰してやるぜ!! ハハハハハハッ!!」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

悲鳴を挙げるシャルルを見て、心底楽しそうな笑い声を挙げるヘブンズソード。

 

「シャルル!!」

 

「待ってろ! 今助けに!!………」

 

と、体勢を立て直した一夏と箒が、シャルルの救出に向かおうとする。

 

しかしそこへ………

 

ダイガンテンから発進したカトラリーダーとカトラゲイ部隊によるミサイル攻撃が浴びせられた。

 

「うおわあああっ!?」

 

「ぐああああっ!?」

 

無数に放たれたミサイルの爆炎が、2人を包み込む!!

 

更に、頭上からモウキーン部隊が爆弾を投下して来た!!

 

「クソッ!? これじゃ近づけない!!」

 

「デュノア!!」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

一夏と箒がそう言う中、シャルルの悲鳴と共に、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの装甲にドンドンと罅が入って行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャルル! 一夏! 箒!」

 

地上に居るラウラを抱えたグレンラガンにも、その光景は見えており、神谷は思わず声を張り上げた。

 

「チキショウ! 俺が飛べさえすれば………」

 

1人飛べない自分を情けなく思う神谷。

 

このままでは一夏達を見殺しにする事になる………

 

神谷にとってそれは、己の死よりも辛い事である………

 

………と、そこへ!!

 

「なら飛ばしてあげるわよ」

 

「!? 何っ!?」

 

突然聞こえて来た声に、神谷が正面を向くと、そこには………

 

あのトラックに乗っていた、厚化粧でオネエ言葉の人物の姿が在った!!

 

「何だお前は!?」

 

「『リーロン・リットナー』よ。ま、今はそんな事は如何でも良いわ………グレンラガン、飛びたいのなら呼びなさい………貴方の翼を!」

 

厚化粧でオネエ言葉の人物………『リーロン・リットナー』は、神谷に向かってそう言った。

 

「!? 翼だと!?」

 

リーロンの言葉に驚く神谷。

 

「グレンラガンは貴方の力………貴方が望めば、その望む形の力が手に入る………そして今貴方は空を飛びたいと願った………なら呼びなさい! グレンラガンの翼! 『グレンウイング』を!!」

 

「『グレンウイング』………」

 

「その子は私が預かっておくわ。だから行きなさい………貴方を待つ子達のところへ!」

 

そう言って、グレンラガンの腕からラウラを受け取ろうとするリーロン。

 

「………ああ、頼んだぜ」

 

神谷はそう言い、ラウラをリーロンに託した。

 

普通ならば信じられない光景である………

 

いきなり現れた見ず知らずの怪しい人物にラウラを預けるなど………

 

だが、神谷は確信していた。

 

目の前の人物は自分達の味方であると。

 

理屈では無い………

 

神谷は本能で、目の前の人物が敵か味方かを見極めたのである。

 

「いっくぜええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

と、神谷がそう雄叫びを挙げたかと思うと、いきなりダッシュし始めた。

 

「来やがれ! グレンウイイイイイイイィィィィィィィィーーーーーーーーーングッ!!」

 

そして腹の底から呼んだ。

 

己が望む力………

 

天翔ける翼………『グレンウイング』を!!

 

その瞬間………

 

アリーナ近くに停めてあったトレーラーの荷台が展開!!

 

中から漆黒の翼………『グレンウイング』と、発射台が現れた。

 

グレンウイングの後部にあった球体の様なノズルから、青い光が溢れ出したかと思うと………

 

緑色の炎を噴出しながら、射出された!!

 

風切り音を響かせながら、グレンウイングが飛翔する!!

 

そして、アリーナの上空へ姿を現したかと思うと………

 

「どりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

グレンラガンがタイミングを合わせて大ジャンプ!!

 

グレンウイングで空中でクロスする!!

 

「ウイングクロース!!」

 

神谷の叫びが響き渡った瞬間!!

 

グレンウイングは、グレンラガンの背中に張り付き、グレンラガンが出現させたドリルによって、固定された!!

 

緑色の炎の噴射が一際大きくなり、グレンラガンは宙に舞った!!

 

「成功よ!!」

 

それを見ていたリーロンが、そう声を挙げた!!

 

グレンウイングを装備したグレンラガンは無敵だ!!

 

グレンウイングとグレンラガンが十字となる時、グレンラガンは空を飛ぶ!!

 

高く! 早く! 強く!!

 

完全無欠のスーパーマシンとなる!!

 

行け! グレンラガンッ!!

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

神谷の雄叫びが響き渡り、グレンラガンは一気に上昇して行く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!?」

 

白式の左腕の装甲が吹き飛び、一夏が悲鳴を挙げる。

 

「!? 一夏!?」

 

「大丈夫だ!………でも………マズイな」

 

心配して来る箒に、血が流れる左腕を押さえながらそう答える一夏。

 

2人の周囲は、完全に飛行型ガンメンによって取り囲まれており、脱出は不可能だった………

 

「クッ! ここまでなのか………」

 

「箒………すまない………」

 

諦めの言葉が口に出る箒と、謝罪を口にする一夏。

 

そんな2人の様子を見た飛行ガンメン隊が、トドメを刺そうと一斉に襲い掛かる!!

 

 

 

………だが、その瞬間!!

 

 

 

緑色の風が、飛行ガンメン隊の中を吹き抜けて行ったかと思うと………

 

飛行ガンメン隊が一斉に爆発!!

 

一瞬にして全滅した!!

 

「な、何だ!?」

 

「!? アレは!?………まさか!?」

 

驚く箒と、吹き抜けて行った緑色の風を見やり何かを思い浮かべる一夏。

 

 

 

 

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

「へへへ、そろそろ終わりにしてやる………」

 

一方、ヘブンズソードは、シャルルにトドメを刺そうとしていた。

 

シャルルを捕まえている両足に力を籠める。

 

「死ねえぇっ!!」

 

と、ヘブンズソードがそう叫んだ瞬間!!

 

その顔に拳が叩き込まれた!!

 

「あえっ?」

 

一瞬意識が飛びかけ、シャルルを解放してしまうヘブンズソード。

 

「あうっ!?」

 

「わりぃ………ちょっとモタついちまったぜ」

 

解放されたシャルルを、拳を叩き込んだ人物………グレンラガンの姿となっている神谷が受け止めた。

 

「!? 神谷!?」

 

「と、飛んでやがるだと!?」

 

ヘブンズソードが、殴られて罅割れ状態になった顔を押さえながら驚愕の様子を見せる。

 

[馬鹿な!? グレンラガンが空を飛んでいるだと!?]

 

ダイガンテンのシトマンドラも、狼狽した様子を見せている。

 

「後は俺に任せな!!」

 

「う、うん………神谷! お願い!!」

 

神谷の力強い言葉に若干頬を染めながら、言われた通りに後退するシャルル。

 

「さあ! 覚悟しやがれ、この鳥野郎!! フライドチキンにしてやるぜ!!」

 

それを確認すると、グレンラガンはヘブンズソードを指差し、そう言い放った!!

 

「チイッ! 舐めるなよぉ! 俄仕込みの飛び方で!! この俺様に勝てると思ったか!!」

 

ヘブンズソードはそう叫ぶと、グレンラガンの周りを高速で飛び始める!!

 

「如何だ! 俺の動きが見えるかぁ!? ハハハハハハッ!!」

 

その状態のまま、空中に静止しているグレンラガンに向かってそう言い放つヘブンズソード。

 

だが………

 

「へっ! 舐めんなよ! 俺を誰だと思ってやがる! 速くて捉えられないなら!!」

 

神谷がそう言い、グレンラガンが力を溜める様なポーズを取ったかと思うと、その身体から緑色の光が溢れ始めた。

 

そして、全身至る所にあったドリルの出現口から、無数の小さなドリルのミサイルが出現!!

 

「ありったけ撃ち出すだけよっ!!」

 

全方位に向かって、まるでレーザービームの様に放たれる!!

 

「!? な、何ぃっ!?」

 

ヘブンズソードは躱しきれず、幾つものドリルのミサイルが、その身体を貫いた!!

 

「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

悲鳴を挙げていると、その手からシュヴァルツェア・レーゲンのコアが離れた!!

 

「ぬあっ!? しまっ………」

 

と、それが空中にある内に、グレンラガンが掠め取った!!

 

「コイツは確かに返してもらったぜ」

 

左手に持ったコアを見せながら、そう言う神谷。

 

「オノレェ!! 喰らえぇっ!! ハイパー銀色の脚スペシャルウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーッ!!」

 

ヘブンズソードは、グレンラガン目掛けて最強の必殺技を繰り出す。

 

だが………それは無意味な行為であった。

 

「終わりだ! 鳥野郎!!」

 

神谷がそう叫んだ瞬間!!

 

グレンラガンは緑色の光を発して、全身からドリルを生やした状態………『フルドリライズ状態』となった!!

 

そして、胸のグレンブーメランが独りでに外れたかと思うと、それを右手に握るグレンラガン。

 

「必殺!!」

 

グレンブーメランを、ヘブンズソード目掛けて投げ付ける!!

 

すると、そのグレンブーメランが2つになり、ヘブンズソードを連続で斬り付けた!!

 

そしてそのまま、グレンブーメランはヘブンズソードを空中に磔にする様に拘束した!!

 

「ギガァッ!!」

 

と、グレンラガンが右手を掲げる様に構えたかと思うと………

 

「ドリルゥゥゥッ!」

 

その右手に、全身に生えていたドリルが集まり、超巨大なドリルを作り出した!!

 

「ブレエェェェェェイクッ!!」

 

超巨大ドリルが回転を始めると、グレンラガンはヘブンズソードに向かって、全力で突撃!!

 

大空に、まるで星が渦巻く銀河の様なエフェクトが映し出される中、ギガドリルブレイクを喰らったヘブンズソードは、ボディに巨大な風穴を空けられた!!

 

ヘブンズソードを突き抜けた背後で静止し、グレンラガンは見得を切る様にポーズを決める。

 

「ウガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

途端に、ヘブンズソードの断末魔が木霊し、その身体が爆散!!

 

爆発の中から、1つに戻ったグレンブーメランが飛び出して来て、グレンラガンの胸に再装着される。

 

[ヘ、ヘブンズソードが!? オノレェ!!]

 

[シトマンドラよ………退け]

 

と、怒りを露わにするシトマンドラに元に、ロージェノムからの通信が入った。

 

[螺旋王様!? しかし!!]

 

[我が命令が聞けぬか? シトマンドラ………この螺旋王、ロージェノムの命が?]

 

反論しようとしたシトマンドラに、ロージェノムは冷たい声でそう言葉を続けた。

 

[ぐうっ! 了解しました………覚えていろ! グレンラガン!!]

 

シトマンドラはお決まりの台詞を吐くと、そのままダイガンテンを撤退させ始めたのだった………

 

「野郎! 逃がすか!!」

 

[待ちなさい。追撃はしない方が良いわよ]

 

それを追おうとするグレンラガンだったが、リーロンからそう通信が入って来た。

 

「何だよ、止めんなよ!!」

 

[まだ空を飛ぶのにそんなに慣れてないでしょ? それに、シュヴァルツェア・レーゲンのコアをちゃんと返さないと駄目でしょ?]

 

止めるなと言う神谷だったが、リーロンはそう諭す様に言う。

 

「チッ! 分かったよ………」

 

その言葉が正論だった為か、はたまた違う理由か、神谷は素直にそれに応じたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ、夕方………

 

IS学園・医務室………

 

「う、ぁ………」

 

目を開けたラウラの視界に飛び込んで来たのは、見知らぬ天井だった。

 

「私は………」

 

「気が付いたか?」

 

すると、左側からそう声が聞こえて来た。

 

ラウラが顔を左に動かすと、隣のベッドに半身を起こしている千冬の姿が在った。

 

「教官………何故ベッドに?」

 

「ああ、いや、コレは………気にするな」

 

「??」

 

神経性胃炎で倒れたとは言えず、誤魔化す千冬だった。

 

「………何が………起きたのですか………?」

 

ラウラは首を傾げたものの、すぐに質問へと移る。

 

「ふぅ………一応、重要案件である上に機密事項なのだがな。VTシステムは知っているな?」

 

「ヴァルキリー・トレース・システム………」

 

「そうだ。IS条約で、その研究はおろか、開発・使用、全てが禁止されている。それがお前のISに積まれていた」

 

「…………」

 

ラウラは沈黙する。

 

「精神状態、蓄積ダメージ、そして何より………操縦者の意思………いや、願望か………それ等が揃うと発動する様になっていたらしい」

 

「私が………望んだからですね?」

 

思わずラウラは、布団のシーツを握り締めた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

「!? ハ、ハイ!!」

 

急に呼ばれて、ラウラは戸惑いながらも返事を返す。

 

「お前は誰だ?」

 

「私は………」

 

「誰でも無いなら丁度良い。お前はコレから、ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

千冬はそう言うと、ベッドから降りて立ち上がった。

 

「えっ?」

 

「それから………」

 

そして、医務室から出て行こうとしたところで再びラウラの方を振り返る。

 

「お前は私になれないぞ………お前は誰でもない………お前自身になれ………と、イカンな………ついアイツの様な事を言ってしまった」

 

そう言って苦笑いすると、医務室から出て行く。

 

「………フッ、フフフ………ハハハハハ!!」

 

誰も居なくなった医務室で、ラウラは笑い声を挙げ始めた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・研究室………

 

「すまない、遅れた………」

 

そう言って千冬が研究室に入って来ると、そこには………

 

神谷とシャルル、一夏に箒、真耶、そしてあの謎の人物『リーロン』の姿が在った。

 

「揃ったわね。じゃあ始めましょうか………質問タイムをね」

 

千冬が来たのを見たリーロンが、そう話を切り出した。

 

「では先ず教えてもらおう………お前は誰だ?」

 

「如何してグレンラガンをパワーアップさせるパーツを持っていたんですか?」

 

千冬と真耶が、リーロンにそう質問する。

 

「そうね………それじゃあ先ず、自己紹介から始めましょうか」

 

リーロンはそう言うと、一同に向かって驚きの自己紹介をした。

 

「私はリーロン・リットナー………かつて天上博士の助手をしていたの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

見事なコンビネーションでVTシステムを撃破した神谷と一夏。
しかしそこへ、螺旋四天王のシトマンドラが配下ヘブンズソードが強襲。

空を飛べない為、一夏達の事を見ていることしか出来なかった神谷だが、謎の人物『リーロン』の持ってきたグレンウイングにより、遂に空を飛びます。
見事ヘブンズソードを撃破し、コアを回収します。

そしてリーロンの正体は神谷の親父の助手!?

今回登場したヘブンズソードは、勿論Gガンダムのヘブンズソードです。
これからも他作品のロボットがガンメンとして登場したりしますのでご了承ください。
次回、リーロンの口から一部の謎が語られます。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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