天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第120話『ISを世に出した事………それは私の罪なんだよ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第120話『ISを世に出した事………それは私の罪なんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本へと大攻勢を開始したロージェノム軍は、帰還したグレン団によって阻止された。

 

日本侵攻の切り札であった『完全要塞ドテンカイザン』も撃墜され、螺旋四天王は戦死。

 

漸く、ロージェノム軍に対して大打撃を与える事に成功した、かに思われたが………

 

何と、グレン団が日本で四天王と死闘を繰り広げていた間に………

 

謎の『黒いグレンラガンに似たマシン』が、アメリカを壊滅させていた!!

 

状況的に見て、この『黒いグレンラガンに似たマシン』がロージェノム軍の物であるのは間違い無い………

 

これにより、遂に………

 

世界に残された“国家”は、日本だけとなったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本・IS学園………

 

「うあぁあぁあぁ………」

 

「痛い………痛いよぉ………」

 

「チキショー………死なせてくれぇ………」

 

戦闘が終わった後、負傷者を収容する為、学園の教室を初めとした様々な場所に、野戦病院が設置された。

 

先の戦闘での負傷者の数は凄まじく、IS学園には凄惨な光景が広がっている。

 

尚、グレン団の“脱走”容疑については、圧力を掛けて来ていたフランス政府が壊滅してしまい、更には日本政府も大打撃を受けて混乱に陥っていた為、有耶無耶の内に立ち消えとなった。

 

お蔭で大手を振って表を歩ける様になったグレン団だったが、今の世界の状況を鑑みると、素直に喜べる様な状況では無い………

 

現在彼等は、インフィニット・ノアを地下のドックへ再び納め、ISやグレンラガンと一緒に整備を行わせると共に、久しぶりに足を踏み入れたリーロンの地下研究室で、千冬や束を交えた対策会議を開いていた。

 

 

 

 

 

IS学園・地下………

 

リーロンの研究室………

 

「千冬姉。休んでいなくて大丈夫なのか?」

 

「病室に使われている部屋は何処も満室だ。其れに、“こんな時”に寝ても居られん」

 

怪我を押して、会議に出席している千冬に向かって一夏が心配そうに尋ねるが、千冬はそう返す。

 

しかし、肌が見えている所には全て包帯が巻かれており、顔も半分包帯で覆われている上に左腕も三角巾で首から吊っており、顔色も若干青い為、心配されるのも無理は無かった。

 

「まさかアメリカまで陥落してしまうなんてね………」

 

「コレで“国家としての機能”を保っているのは日本だけです………」

 

そして、相変わらず何処か他人事の様にリーロンが言うと、千冬は絶望を感じさせる面持ちでそう告げる。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

話を聞いている、グレン団一同の空気も重い。

 

しかし、其れも無理は無い。

 

漸く、螺旋四天王を倒してロージェノム軍に打撃を与える事が出来たかと思われた矢先にアメリカが壊滅し、残る国家が日本だけとなってしまったのだ。

 

無論、他の国家は完全に壊滅したワケでは無く、生き残った人々は其々の国々でレジスタンス活動を続けている。

 

だが、レジスタンスではロージェノム軍に負けない事は出来ても、勝つ事は出来ない………

 

何れは抵抗も出来なくなり、蹂躙されるのは目に見えている。

 

最早人類に残された手段は、ロージェノム軍の本拠地を見付け出し、奴等のボスであるロージェノムを倒すしか無い。

 

しかし、肝心の本拠地の場所は今だ分かっていない………

 

「先の攻撃で、自衛隊は既に戦力の6割を喪失しています」

 

「今再び攻め込まれれば、今度は防ぎ切る事は出来ん」

 

そう言い合う真耶と千冬。

 

先の戦闘に於いて、四天王の戦死によって日本に侵攻して来ていたロージェノム軍は、()()()()退いたものの………

 

その際の防衛戦で、自衛隊は実に全戦力の6割の損失を出した。

 

今再び攻められれば、今度は防ぎ切る事は出来ない。

 

「クソッ! せめて敵の本拠地さえ分かれば、コッチから乗り込んでやるってのによぉ!!」

 

神谷が、左の掌に右手の拳を叩き付けながら、苛立つ様にそう叫ぶ。

 

「そうだよなぁ。ロージェノムが“何処に居る”のかさえ分かれば………」

 

一夏も、苦い表情をしながらそう呟いていたところ………

 

「………本拠地なら分かったよ」

 

不意に、束がそう告げて来た。

 

「!? 何っ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「姉さん!?」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「…………」

 

グレン団と千冬や真耶が驚きを露わにする中、束は無言で頷く。

 

「漸く“確証”が得られたんだ………コレまでに収集した情報が正しければ………ロージェノム軍の本拠地は………」

 

「本拠地は?」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

固唾を呑んで束の言葉を待つ一同。

 

「………『月』だよ」

 

「? 月?」

 

「月?」

 

そして齎された本拠地の場所に、思わず首を傾げる。

 

「月って………あの、“空に浮かんでいる”月ですか?」

 

()()()()の、どの月が在るの?」

 

思わずそう尋ねる真耶に、束はそう返す。

 

と………

 

[………遂に其処まで調べ上げたか]

 

突如としてそんな声が響いたかと思うと、空中ディスプレイが展開し、ロージェノムの姿が映し出された。

 

「!? ロージェノム!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

突如、“空中ディスプレイ越し”とは言え姿を見せたロージェノム本人に、グレン団と千冬は椅子から腰を浮かせて身構える。

 

[フフフ]

 

ロージェノムは、そんなグレン団の様子を相変わらず気怠げに玉座に腰掛けて頬杖を突く姿勢で、不敵な笑みを浮かべながら眺めている。

 

「ロージェノム………」

 

そんなロージェノムの不遜な態度に、拳を握り締める神谷。

 

しかし、ロージェノムはそんな神谷には目もくれず、束に視線を遣る。

 

[流石だな、篠ノ之 束………良くぞ我が居城………『テッペリン』の所在を摑んだな]

 

「『テッペリン』………」

 

「其れがロージェノム軍の本拠地の名か………」

 

ロージェノムの言葉を聞き、楯無とラウラがそう呟く。

 

「アンタに褒められても全然嬉しく無いよ」

 

束は、不機嫌にロージェノムに言い返す。

 

[コレは“異な事”を………貴様も、所詮は()()()()()では無いか]

 

すると、ロージェノムは表情を変えずに束に向かってそんな事を言って来た。

 

「巫山戯ないで! 私は貴方とは違うわ!!」

 

当然、そう言い返す束だったが………

 

[果たしてそうかな? 貴様は嘗て………“()()()()の為に世界を変えよう”とした。ワシも“ワシの野望の為に世界を変えよう”としている。其れの()()()()?」

 

「! そ、其れは………」

 

ロージェノムがそう言った瞬間、言葉に詰まって黙り込む束。

 

「束? 如何言う事だ?」

 

「姉さん? 奴は何を言っているのです?」

 

「…………」

 

千冬と箒がそう問い質すと、束は気不味そうに目を逸らす。

 

「束!!」

 

「答えて下さい、姉さん!」

 

千冬と箒は、束に詰め寄るが………

 

「んなこたぁ如何でも良い! やい禿親父!! そっちの居る場所が分かったんならもう容赦し()ぇっ!! 今度はコッチからそっちへ乗り込んでやっから、首を洗って待ってやがれ!!」

 

神谷が其れを遮る様に、ロージェノムに向かって啖呵を切った。

 

[フン、天上の息子か………良かろう………次の戦いをワシと貴様等の最終決戦としよう。無論、勝つのは………このワシだがな]

 

ロージェノムがそう言うと、モニターの映像が切り替わる。

 

其処には、宇宙をバックに“月面”と思しき場所に聳え立つ………

 

“螺旋塔を逆さまにした”様なデザインの巨大な城が映し出された。

 

「!? コイツが………テッペリン!!」

 

其れこそがロージェノムが言っていた彼の居城………『テッペリン』に違いないと確信し、そう声を挙げる一夏。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

他の一同も、初めて目にする敵の居城に沈黙する。

 

[来るが良い………“死にに”な。ハッハッハッハッハッ!!]

 

ロージェノムの高笑いを残し、通信は切断される。

 

「野郎! 舐めやがって!! 絶対に叩き潰してやるぜ!!」

 

神谷は机に拳を叩き付けながらそう叫ぶ。

 

「…………」

 

そして、ロージェノムに“何か”を言われていた束は、逃げる様に研究室から出て行く。

 

「束………」

 

ロージェノムからの件も含め、追い掛けようとする千冬だったが………

 

「織斑先生。私に行かせて下さい」

 

箒が千冬にそう言う。

 

「篠ノ之………」

 

「お願いします………」

 

深々と千冬に向かって頭を下げる箒。

 

「………分かった。お前が問い質して来い」

 

「ありがとうございます」

 

千冬からそう言われると、箒は束を追って行った。

 

「良いのかよ、千冬姉?」

 

「コレは“アイツ等姉妹に解決させるべき問題”だ………其れより、一夏。お前は私と来い」

 

「えっ? 何で?」

 

突然千冬にそう言われ、一夏は戸惑いの色を浮かべる。

 

「シュバルツ・シュヴェスターが『話が有る』と言っていた。一緒に来てくれ」

 

「シュバルツが? 分かったよ」

 

そう答えると、一夏は千冬に従いてシュバルツの許へと向かう。

 

「皆も今日は休みなさい。明日までにはインフィニット・ノアとIS達の整備は済ませて置くから」

 

すると、残ったメンバーにリーロンがそう指示する。

 

「うっし! オメェ等! 明日の決戦に備えて休むぞ!!」

 

神谷が其れに続く様にそう言うと、グレン団の一同は誰からとも無く研究室から出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・校舎の屋上………

 

「…………」

 

研究室から逃げる様に去った束は、屋上の手摺りに寄り掛かって夜空を見上げている。

 

「………姉さん」

 

と其処へ、箒が現れる。

 

「! 箒ちゃん………」

 

箒が現れたのを見ると、束は動揺したかの様な様子を見せたが………

 

「…………」

 

やがて覚悟を決めた様な素振りを見せると、再び手摺りに寄り掛かって夜空を見上げる。

 

「…………」

 

箒は、無言で束の傍に歩み寄ると手摺りに手を置き、同じ様に夜空を見上げる。

 

「「…………」」

 

そのまま暫し、姉妹の間には沈黙が流れる………

 

「………姉さん。訊いても良いですか?」

 

やがて箒が、束に向かってそう尋ねる。

 

「…………」

 

束は沈黙を続けていたが、箒は其れを“肯定”だと受け取る。

 

「ロージェノムが、姉さんの事を『自分と同類だ』と言っていたのは………姉さんが“ISを作った事”と関係しているのですか?」

 

「…………」

 

「答えて下さい! 姉さん!!」

 

沈黙を続ける束に、箒はそう詰め寄る。

 

「………その通りだよ、箒ちゃん」

 

やがて、観念したかの様に束は口を開いた。

 

「“ISを世に出した”事………其れは()()()なんだよ」

 

「罪? 如何言う事なんですか?」

 

束の言っている言葉の意味が分からず、箒は首を傾げる。

 

「私は最初………“宇宙開発”の為にISを作ったの。『宇宙服よりも優れていて、過酷な環境でも確実に動作し、操縦者の安全を守る強化服』………其れこそが、“私が思い描いていたISの姿”だった」

 

束の言葉通り、当初ISは“宇宙開発用のマルチフォーム・スーツ”として、世間に発表されている。

 

「でもね………私が最初に作ったISは()()()()()()()()()()の………如何してだと思う?」

 

「其れは………今、『宇宙開発計画は中断している』からで………」

 

()()()はね………そういう理由だよ」

 

「表向き?」

 

「本当はね………“高々10年や其処等生きた()()()()()”、って思われたからだよ」

 

笑いながらそう言う束。

 

しかし、その笑みは“自嘲”の其れである。

 

「パワードスーツの開発は、昔から行われてたの。色んな人が必死になって考えて、けど今だ完成品には程遠くて………そんな中で、“当時14歳だった少女が造り出したパワードスーツの()()()”が受け入れられると思う?」

 

「…………」

 

「当然、私は何度も食い下がったけど、その都度言われたよ………『子供(ガキ)の癖に』、そして………『女の癖に』ってね」

 

「! まさか………姉さんが白騎士事件を起こしたのは!?」

 

束のその言葉で、“何か”に気付く箒。

 

「そう………“私のISを世界に認めさせる”為………そして、其れによってもう“女性が馬鹿にされない世の中”を作ろうとしたの」

 

「!!」

 

束が白騎士事件を起こした理由………

 

其れは即ち、“自分を認め無かった世間への()()”であったのだ。

 

「今思うと、ホント短絡的な犯行だよね………『子供(ガキ)の癖に』って言われたのが分かる様な気がするよ」

 

自嘲の笑みを浮かべたまま、束はそう呟く。

 

「………そして姉さんの思惑通り、“女尊男卑の世界”が出来上がった。でも………姉さんは其れを後悔しているのですね?」

 

「………うん」

 

箒の問いに短く返事を返すと、束は再び夜空を見上げる。

 

「………天上博士がね………“私の目を醒まさせてくれた”の」

 

「! 神谷の父親が!?」

 

神谷の父親である天上博士の事が束の口から出て来て、箒は驚く。

 

「そう………ISが“世界最強の兵器”だって認識されて………各国の政府に追われる様になっていた私は………亡国企業(ファントム・タスク)に身を寄せてたんだ」

 

「! 亡国企業に!?」

 

「そう。ロージェノムや残党のオータムが使ってた無人IS………アレは、元々()()()()()()だったんだ」

 

「やはり………そうだったんですね」

 

「亡国企業は、私に無人ISを初めとした“技術の提供”を求め………私は、連中に各国の諜報部から匿って貰った………私にとっては、奴等がどんな連中で“私の発明や技術”でどんな事をしようと如何でも良かった………心の底からそう思ってたんだ」

 

「…………」

 

「そんな私を変えて………ううん。“救ってくれた”のが、天上博士だったの」

 

「救ってくれた?」

 

首を傾げてそう呟く箒。

 

「あの時を思い出すと、今でも笑っちゃうなぁ………天上博士ったらね………私に会うや否や、イキナリ()()()()()んだから」

 

「!? ええっ!?」

 

箒は驚きを露わにする。

 

「其れでね。『貴様それでも科学者か!?』って、有無を言わせぬ迫力でそう問い質して来て………」

 

(………流石は()()“神谷の父親”だな)

 

“神谷の父親”と言う事で、ある程度は予想出来ていたが、其れに輪を掛けて“破天荒な人物”だった天上博士に、箒は呆れる。

 

「勿論、私だって負けて無かったよ。私用に開発してたISの試作機を使って返り討ちにしてやろうとしたんだけど………天上博士、(すっご)く強くってさぁ。もう、お互いボッコボコになっちゃって………」

 

(………いや、おかしいおかしい)

 

思わず頭を抱える箒。

 

幾ら試作機だったとは言え、“()()()人間がISを装着した人間と張り合う”と言う光景が想像出来ずに頭が若干混乱する。

 

「結果は引き分け………いや、私の負けかな? “IS使ったのに()()だった”ワケだったし」

 

「…………」

 

()()()()()で、箒は言葉が出ない。

 

「其れでね………天上博士は、今まで“私が気付いていなかった事”を気付かせてくれたの」

 

「気付いていなかった事?」

 

「うん、私は箒ちゃんやちー(千冬)ちゃん。其れにいっ(一夏)くんさえ良ければ其れで良い、と思ってた。でも………“私のやってる事は、箒ちゃん達まで傷付けてる”って」

 

すると其処で、束は手摺りから離れて箒に近付いたかと思うと、両手で箒の両肩を摑んだ。

 

「!? 姉さん!?」

 

「ゴメン………ゴメンね、箒ちゃん………」

 

箒がまたも驚いていると、束は顔を俯かせて、小刻みに震え始める。

 

伏せている顔からポタリ、ポタリと涙が零れて行く。

 

「私がISを兵器になんかにしちゃったから………箒ちゃんにはずっと苦しい思いをさせて………ちーちゃんやいっくんもそうだよ………私の所為(せい)で人生滅茶苦茶にされて………」

 

「姉さん………」

 

「謝ったって済まされる問題じゃないのは分かってる………でも………私にはこうする事しか出来ないの………ゴメン! ゴメンね!!」

 

泣きじゃくりながらそう繰り返す束。

 

「…………」

 

箒は戸惑っていた様子だったが………

 

「…………」

 

やがて、束の身体を優しく抱き締めた。

 

「! 箒ちゃん?」

 

「………正直に言わせて貰えば、私は姉さんを恨んでいました。ISを造った所為(せい)で、私は一夏と別れて彼方此方へ転校を繰り返した」

 

「!!」

 

箒のその言葉に、束の身体がビクリと震える。

 

「けど………姉さんは今其れを悔いて反省してくれている………だからもう………もう私は、姉さんを恨んでません」

 

「! 箒ちゃん………」

 

「貴女がコレからその罪に向き合って、その償いを行うと言うのなら………私は貴女を………許します」

 

「!!」

 

「“どんな事をしても許し合える”………其れが()()だから」

 

「箒ちゃん!!」

 

束は箒に抱き付き返す。

 

「…………」

 

自分の胸で泣きじゃくる束を、箒は微笑で見詰めていた………

 

………と、

 

「!? あうんっ!?」

 

不意に悩ましい声を挙げる箒。

 

何やら胸に刺激を感じた為である。

 

「………ふふふ………またおっきくなったんじゃない? 箒ちゃん?」

 

何と、束がドサクサ紛れに箒の胸を揉んでいた!!

 

「ね、姉さん!?」

 

「ちーちゃんも良いけど、やっぱり箒ちゃんのおっぱいが最高だよ~!」

 

そう言いながら、更に箒の胸を揉み扱く束。

 

「あっ!? ちょっ!? ううん!? だ、駄目!! ああんっ!!」

 

箒から更に悩ましい声が上がる。

 

「はうんっ!?………いい加減に!!」

 

しかし、箒は不意に束を引き剥がしたかと思うと後ろを向かせて腰に組み付き、持ち上げる。

 

「ふえっ!? ほ、箒ちゃん!?」

 

「おりゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

そしてそのまま、ジャーマンスプレックスで束の頭を屋上の床に叩き付けた!!

 

「ガフッ!!」

 

技を掛けられた姿勢のまま動かなくなる束。

 

「全く………少し気を許すと直ぐコレだ………」

 

立ち上がると、若干乱れた着衣を直しながら箒はそう呟く。

 

と………

 

「箒ちゃんのケチィッ!!」

 

何と!!

 

固まっていた束が起き上がり、箒の背中にドロップキックを見舞った!!

 

「ゴハッ!?」

 

不意打ちの攻撃で、箒は顔から床に倒れる。

 

「何よぉっ! こんなの“()()姉妹のスキンシップ”じゃない!! 全くも~!!」

 

倒れた箒を見下ろしながら、束はプンプンと言った様子で怒っている。

 

と………

 

「フンッ!!」

 

起き上がると同時にそんな束の足を払う箒!!

 

「ガフッ!?」

 

「何が“姉妹の軽いスキンシップ”だあぁ~~~~っ!!」

 

そして、倒れた束を無理矢理起こして床に座らせると、そのまま上から押さえ付ける様にチョークスリーパーを掛ける!!

 

「!? ちょっ!? 死、死ぬ! 死ぬって箒ちゃん!!」

 

()る気でやってる! 死んで結構!!」

 

脳に酸素が行かなくなり、顔を青くしながらそう訴え掛ける束に、箒は素っ気無くそう言い返す。

 

「ゲホッ!………其れが曲がりなりにも()に対して言う言葉かぁーっ!?」

 

と、束は両脚を使って箒の頭を挟み込み、ヘッドシザーズ・ホイップの要領で投げ飛ばす!!

 

「ガッ!!」

 

「そりゃあっ!!」

 

そして倒れた箒の脚を取ると、素早くアンクルホールドを決める束。

 

「イダダダダダダッ!?」

 

「ギブアップせいっ!!」

 

「ノオォッ!!」

 

どっかのロボットアニメのOPで、何の脈絡も無く出て来る歌詞の様な台詞を束が言うと、箒は拒否して身体を回転させて技から抜け出す。

 

そして、束の脚を蟹挟で取る。

 

「ブッ!?」

 

「貰ったっ!!」

 

顔から床に倒れた束の背に圧し掛かろうとする箒だったが………

 

「甘いっ!!」

 

束は素早く身を翻したかと思うと、箒を巴投げで投げ飛ばす!!

 

「ガフッ!?」

 

「おりゃあああぁぁぁぁーーーーーっ!!」

 

「!!」

 

再び倒れた箒にストンピングを見舞う束だったが、箒は素早く転がって回避。

 

「「!!」」

 

箒が立ち上がると、両者は互いに突撃!!

 

「むんっ!!」

 

「はあっ!!」

 

お互いの肩を摑む様にしてガッツリ組み合ったかと思うと………

 

「「おりゃあぁっ!!」」

 

互いにヘッドバッドを繰り出した!!

 

鈍い音がして、箒と束の額がぶつかる!!

 

「くっ!?」

 

「あがっ!?」

 

余程の衝撃だったのか、両者は互いに仰け反るが、其れでも相手を放そうとはしない。

 

「「むんっ!!」」

 

そして再び、互いにヘッドバッドを見舞う!!

 

「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」

 

そのまま、両者はヘッドバッドの打ち合いへと発展した!!

 

鈍い音が学園の屋上に響き渡る………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後………

 

「「ゼエ………ゼエ………ゼエ………ゼエ………」」

 

箒と束は、大の字になって屋上の芝生の上に横に並んで寝転がっていた。

 

余程ヘッドバッドを打ち合ったのか、その額は赤くなっている。

 

「はあ、はあ………頭痛い………主に“物理的に”………」

 

「………フフフ」

 

と束がそう愚痴っていると、箒が笑いを零す。

 

「? 何笑ってるの? 箒ちゃん?」

 

「初めてだな………姉さんとココまで()()()()喧嘩したの」

 

「アレ? そうだっけ?」

 

「ああ、何時もは姉さんがじゃれて来るのを私があしらってた感じだったから………」

 

「そっか………そう言えばそうかもね………」

 

そう言うと夜空を見上げる束。

 

すると、その右手に何かが触る。

 

「?」

 

束が横へ視線を遣ると、其処には………

 

「…………」

 

笑顔を浮かべて、自分の左手を束の右手に重ねている箒の姿が在った。

 

「…………」

 

束はそんな箒の姿を見て笑みを浮かべると、2人して夜空を眺め始める。

 

その夜空の中を、一筋の流星が流れて行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

遂に判明したロージェノムの本拠地。
それは何と月!!

そして判明した束のIS開発と白騎士事件の真意。
全ての告白した束を箒は許し、紆余曲折(笑)の末に和解。

そして次回は、シュバルツの正体が明らかに。
いよいよ決戦の時が来ます。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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