天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第16話『俺とした事が………ドジ踏んじまったぜ………』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第16話『俺とした事が………ドジ踏んじまったぜ………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館・くろがね屋………

 

予定が中止され、専用機持ちと神谷が旅館の一番奥にある宴会用の大座敷へと集められていた。

 

座敷の中は、教師陣と様々な機材が運び込まれており、まるで作戦司令室の様になっている。

 

「では、現状を説明する」

 

千冬がそう言い、話を切り出した。

 

照明が消されて薄暗い部屋の中に、作戦図の様に大型の空中投影ディスプレイが浮かび上がっており、神谷達はその周りに座り込んで話を聞いている。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼動中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御を離れて暴走。監視空域より離脱した、との連絡が入った」

 

千冬のその言葉に、シャル達は緊張した面持ちを見せるが、事情が分からない一夏と箒は戸惑う。

 

「…………」

 

一方神谷は、何やらワクワクしている様な様子を見せる。

 

「情報によれば、無人のISと言う事だ」

 

「無人………」

 

千冬の言葉に、一夏は何時ぞや戦ったゴーレムIの事を思い出す。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2㎞先の空域を通過することがわかった。時間にして50分後………学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処する事になった」

 

「お、俺達が!?」

 

IS乗りとは言え、学生の身分の自分達が、こんな実戦に参加させられるとは思ってはいなかった一夏が驚く。

 

「この件にはロージェノム軍の関与が疑われている………現在日本に居る戦力で、ロージェノム軍と真面に戦って勝利を得ているのはお前達だけだ。それを見込んでの要請らしい」

 

「へっ! 分かってるじゃねえか! ケダモノ野郎共が関わってるとなりゃあ、放っとくわけにゃあ行かねえな!!」

 

千冬の言葉に、そう威勢の良い返事を返す神谷。

 

「教員は学園の訓練機を使用して、空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

「それと、グレンラガンにもね」

 

教員の中に交じって、大座敷に運び込まれたコンパネ付きのディスクの1つに着いていたリーロンがそう言う。

 

「それでは作戦会議を行う。意見が有るものは挙手する様に」

 

「ハイ!」

 

千冬がそう言うと、セシリアが手を上げた。

 

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

「うむ………だが、決して口外するな。情報が漏洩した場合、諸君には査問委員会による裁判と、最低でも2年の監視が付けられる………特に神谷。お前は注意しろ」

 

「ヘイヘイ」

 

千冬は名指しでそう注意するが、当の神谷は分かっているのかいないのか、そう返事を返す。

 

そんな神谷の態度に少々辟易しながらも、千冬は銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)のデータを投影する。

 

「広域殲滅を目的とした、特殊射撃型………私のISと同じく、オールレンジ攻撃を行える様ですわね」

 

「攻撃と機動の両方を特化した機体ね………厄介だわ」

 

「この特殊武装が曲者って感じはするね。連続しての防御は難しい気がするよ」

 

「このデータでは格闘性能が未知数だ………偵察は行えないのですか?」

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)のスペックを見たセシリア、鈴、シャル、ラウラがそれぞれにそう意見を挙げる。

 

「それは無理だな………この機体は超音速飛行を続けている。アプローチは………1回が限界だ」

 

「それにロージェノム軍が関わっているかもしれないとなると、ガンメンが待ち構えている可能性もあるわ。迂闊に近づいたら待ち伏せを喰らうかもしれないわ」

 

千冬がそう返し、リーロンがそう補足して来た。

 

「1回きりのチャンス………と言う事は、やはり1撃必殺の攻撃力を持った機体で当たる、しかありませんね」

 

「そう。つまり………」

 

「………俺か?」

 

千冬の言葉に、一夏が呟いた。

 

「それとグレンラガンもよ」

 

「おう!」

 

更にリーロンがそう言い、神谷が威勢の良い返事を返す。

 

「リーロンさん、グレンラガンと銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が戦った場合の勝率は?」

 

「五分五分ってところね………神谷の気合が強ければ圧勝かもしれないけど」

 

「あたりめぇだ! あんなひょろっちい奴なんかに、俺とグレンラガンが負けるかよ!!」

 

「いや、アニキ。アレはアメリカのIS技術の粋を集めた第3世代………」

 

根拠も無しに自信満々で言う神谷に、一夏がそうツッコミを入れる。

 

「教官。福音のコアについては?」

 

「両国共に、回収が不可能な場合は破壊して構わない、と言っている。これ以上コアをロージェノム軍に渡すワケには行かんのだろう」

 

ラウラの質問にそう返す千冬。

 

少し前までなら考えられなかった事だが、ロージェノム軍との戦況は膠着状態が続いており、この様な措置もやむを得ないと来ている。

 

「良し。銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)との接触までは、グレンラガンが一夏を運んで………」

 

「待った、待~ったぁ!!」

 

とそこで、そう言う声が響き渡る。

 

一同が驚きながら声のした方向を見やると、そこには………

 

「その作戦はちょっと待ったなんだよ~!」

 

天井裏から逆さまに顔を出している束の姿が在った。

 

「忍者みてぇなやろうだな………」

 

そんな束の姿を見て、神谷はそんな感想を漏らす。

 

「と~うっ!!」

 

束は天井裏から飛び出すと、猫の様に空中回転を決めて着地し、千冬に擦り寄った。

 

「ちーちゃん、ちーちゃん! もっと良い作戦が私の頭の中にナウプリーティングゥ!!」

 

「………出て行け」

 

相変わらず遣りたい放題な親友に、千冬は辟易した様子を見せる。

 

「聞いて聞いて! ココはだ~んぜん、紅椿の出番なんだよ!!」

 

しかし、そんな千冬の様子を無視して、束は高らかにそう言った。

 

「何?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

その言葉に、千冬と一夏達は驚く。

 

「紅椿に装備されている『展開装甲』を使えば、パッケージ無しで超音速飛行が可能なんだよ!」

 

「『展開装甲』?」

 

「うんうん! 分かり易く言えば、雪片弐型が進化した形かな? 紅椿はそれが全身に装備されているからね!」

 

「成程………」

 

束のその説明に頷く神谷。

 

「神谷? 分かってるの?」

 

シャルがそう尋ねると………

 

「全く分からん!!」

 

神谷は然も当然の様にそう返した。

 

「だよね~」

 

それを見てシャルは、呆れた笑みを浮かべる。

 

「うむ………」

 

千冬は悩む素振りを見せる。

 

「何が起こるか分からない以上、手数は多いに越した事はないわ。許可してあげたら?」

 

すると、そんな千冬を後押しする様に、リーロンがそう言って来た。

 

「………仕方がない。それで行く。では本作戦では織斑・篠ノ之、そして天上による目標の追跡及び撃墜を目的とする。作戦開始は30分後。各員、直ちに準備にかかれ!」

 

千冬が折れた様にそう言うと、一夏達と教師陣は、作戦の為の準備に取り掛かるのだった。

 

「にゃははははは」

 

その様を、束は楽しそうな様子で見ている。

 

すると………

 

「貴女も辛いわね………」

 

そんな束に、リーロンがそう言う。

 

「………うん………でも、自分で選んだ事だから」

 

すると束は、準備に勤しむ一同には見えない様に、一転して悲しそうな表情を浮かべたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時は流れて………

 

時刻は午前11時半………

 

作戦開始の時刻となり、一夏と箒が、出発地点の海岸へ現れた。

 

「「…………」」

 

互いに1度目を見合うと頷き合う。

 

「来い! 白式!!」

 

「行くぞ! 紅椿!!」

 

そしてISを展開。

 

宙に舞い上がった。

 

「気合十分みてぇーだな!」

 

すると上空に居たグレンラガンとなった神谷が、伝統と信頼のガイナ立ちポーズで舞い降りて来る。

 

「アニキ!」

 

「フッ………当然」

 

グレンラガンの姿を見て声を掛ける一夏と、得意気に笑う箒。

 

「?」

 

と、神谷はそんな箒の笑みに妙な違和感を感じる。

 

「じゃあ、箒。よろしく頼む」

 

「本来なら、女の上に男が乗るなぞ、私のプライドが許さないが、今回だけは特別だぞ」

 

箒がそう言ったのを聞くと、一夏が箒の背中側に移動する。

 

白式は、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)撃墜の為に、エネルギーを残して置かなければならず、その為に紅椿を装着した箒が、一夏を銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の元まで運ぶ方法が取られたのだ。

 

「良いか、箒。コレは訓練じゃない。十分に注意して………」

 

「無論分かっているさ。心配するな。お前は、ちゃんと私が運んでやる。大船に乗った積りで居れば良いさ」

 

一夏の言葉を遮って、箒はそう言う。

 

「…………」

 

その姿で、一夏も違和感を感じる。

 

何と言うか、今の箒は………

 

舞い上がっているかの様に思えた。

 

やっと専用機を手に入れられた事が、彼女の心に自分でも気づかぬ慢心を生んでいるのだろうか………

 

[織斑、篠ノ之、天上。聞こえるか?]

 

とそこで、3人の耳に、千冬からの通信が聞こえて来た。

 

「! ハイ!」

 

「良く聞こえます」

 

「聞こえてるぜ」

 

[今回の作戦の要は、一撃必殺だ。短時間での決着を心掛けろ。討つべきは………銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)………以後、『福音』と呼称する]

 

3人の返事を聞くと、千冬はそう作戦を復習させる。

 

「「了解!」」

 

[また、天上はロージェノム軍の出現等のイレギュラーが発生した場合、そちらを優先して対処せよ。福音は織斑と篠ノ之が中心となって当たれ]

 

「任せとけ!」

 

一夏、箒、神谷が力強く返事を返す。

 

「織斑先生。私は状況に応じて、一夏のサポートをすれば宜しいですか?」

 

[そうだな………だが無理はするな。お前は、紅椿での実戦経験は皆無だ。突然何かしらの問題が出るとも限らない]

 

「分かりました………ですが、出来る範囲で支援をします」

 

[…………]

 

その会話で、千冬も箒に違和感を感じた。

 

[織斑]

 

「!? ハ、ハイ!!」

 

[これはプライベート・チャネルだ。篠ノ之には聞かれない]

 

思わず返事をしてしまう一夏だったが、千冬が通信を送って来たのはプライベート・チャネルの方だった。

 

[どうも篠ノ之は浮かれてるな。あんな状態では、何かを仕損じるやもしれん。イザという時は、サポートしてやれ]

 

「分かりました。意識しておきます」

 

[頼むぞ]

 

千冬はそう言って、プライベート・チャネルを終了する。

 

[では! 始め!!]

 

そして、千冬が号令を掛けて、作戦が開始された!!

 

一夏が箒の肩を摑む。

 

「行くぞ!」

 

「おう!」

 

そしてそう言い合った瞬間………

 

紅椿は、一瞬にして高度300メートルまで上昇した!!

 

そのスピードは正に桁違いである。

 

更にそのまま上昇して、目標高度である500メートルに達する。

 

「ヒューッ………はええじゃねえか………だが! 俺様も負けちゃいないぜ! グレンブースターッ!!」

 

と、置いてけぼりを喰らったかの様なグレンラガンだったが、次の瞬間には背中のブースターから緑色の噴射を挙げて、紅椿にも負けぬスピードでその後を追って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館・くろがね屋………

 

大座敷(作戦司令室)では………

 

「始まりましたわね………」

 

「気をつけなさいよ、一夏………」

 

「篠ノ之の奴の事も気になるな」

 

待機しているセシリア、鈴、ラウラがそう呟く。

 

「「「…………」」」

 

千冬と真耶、リーロンも固唾を呑んで作戦の様子を見守っている。

 

なお、束は紅椿の調整を終えた後、忽然と姿を消しており、此処には居なかった。

 

「神谷………」

 

心配そうに、手を祈る様な形で組むシャル。

 

すると………

 

突如、パキーンッ!と言う何かが割れる様な音が響き渡った。

 

「えっ!?」

 

シャルが驚きの声を挙げる。

 

それは………

 

神谷から貰ったブレスレットが割れた音だった………

 

「そ、そんな!?」

 

「如何した?」

 

「「「「??」」」」

 

シャルの慌てた様子に気づいた千冬や他のメンバーの視線が、シャルに注がれる。

 

「か、神谷から貰った………ブレスレットが………」

 

シャルは狼狽しながら、何の前触れも無く割れたブレスレットを見せる。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

それを見て言葉を失う一同。

 

嫌な沈黙が、作戦司令室を支配したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事が起こっていたと露知らず………

 

一夏と箒、グレンラガンは………

 

箒が暫時衛星リンクで確認した銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の位置へと向かっていた。

 

「! 見えたぞ、一夏! 神谷!」

 

そして遂に………

 

紅椿のハイパーセンサーが、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の姿を捉える。

 

「アレが銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)か………」

 

「へえ~~、結構綺麗じゃねえか」

 

一夏と神谷が、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の姿を見て、そんな感想を漏らす。

 

「加速するぞ! 目標に接触するのは10秒後だ!!」

 

箒がそう言うと、紅椿は更に加速した。

 

「オイ! 待てよ!!」

 

グレンラガンも速度を上げてそれを追う。

 

「クッ!!」

 

やがて、一夏が飛翔する箒の紅椿の上に立ちあがり、零落白夜を発動させて雪片弐型を構えた。

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

そしてそのまま、こちらに気づいている様子が無い銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に斬り掛かる!!

 

だが!

 

直前で銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)は一夏達に気づき、向きを変えたかと思うと急上昇した。

 

「クッ!!」

 

箒は慌てて軌道修正してそれを追う。

 

「野郎! 逃げんじゃねえ!!」

 

すると、グレンラガンがそんな銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に向かって、額に出現させたドリルからドリルビームを見舞った!!

 

コレも躱されてしまうが、一瞬動きが鈍る銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)。

 

「箒! このまま押し切る!!」

 

「分かった!!」

 

その瞬間を狙って、箒と一夏は一気に突撃した!!

 

「ハアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そして、エネルギー刃の雪片弐型が銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に叩き込まれる………

 

かと思われた瞬間!!

 

突如回転しながら飛来した鎌状の物体が、一夏と箒に命中した!!

 

「!? うわあああっ!?」

 

「あああっ!?」

 

「!? 一夏! 箒!」

 

すぐに2人の元へ向かおうとするグレンラガン。

 

すると、一夏と箒を弾き飛ばした物体がまるでブーメランの様に軌道を変えて、今度はグレンラガンに襲い掛かって来る!

 

「!? チイッ!!」

 

グレンラガンは、右腕に2本のドリルを出現させると、その鎌状の物体を弾き飛ばす。

 

「フッ………久しぶりだな………ハダカザル!!」

 

すると、弾き飛ばされた物体は、雲の中に隠れていたガンメンの手にキャッチされる。

 

そのガンメンは、かつてクラス代表決定戦を襲撃したガンメン………

 

ヴィラルのエンキだった!!

 

「テメェは!? 何時かのケダモノ野郎!!」

 

「ヴィラルだ。覚えておいてもらおう………貴様を地獄へ叩き落とす男の名だ!!」

 

そう言い放つと、改修されエンキ………『エンキドゥ』は、新たな武器………ウ○トラセブンのア○スラッガーの様なブーメラン………エンキラッガーを振るって来た!!

 

「チイッ!!」

 

迎え撃つ様に、グレンラガンも胸のグレンブーメランを外し、エンキラッガーを受け止める。

 

「アニキッ!」

 

一夏がグレンラガンの援護に行こうとするが………

 

「来るんじゃねえ、一夏!! オメェは箒と一緒にその銀色野郎を倒せ!!」

 

エンキドゥと鍔迫り合いをしながら、神谷はそう言い放つ。

 

「でも!!」

 

「馬鹿野郎! テメェの目的を履き違えるんじゃねえ!! お前が倒さなきゃならねえのはそいつだろ!!」

 

「一夏! 何をしている!?」

 

するとそこで、1人で銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の相手をしていた箒からそう声が挙がる。

 

「クッ! アニキ! 気を付けて!!」

 

一瞬苦そうな顔をしながらも、一夏は箒の救援に向かった。

 

「余裕だな………その慢心が命取りになるぞ」

 

「舐めんじゃねえ! 俺を誰だと思ってやがる!!」

 

ヴィラルの挑発に、グレンラガンは力を入れて、エンキラッガーを弾く。

 

「クウッ!!」

 

「でりゃあああっ!!」

 

そして、バランスの崩れたエンキドゥにミドルキックを叩き込む。

 

「グアッ!?」

 

引き剥がされるエンキドゥ。

 

「そらよっ!!」

 

グレンラガンはそのエンキドゥに向かって、グレンブーメランを投擲する。

 

「チイッ!!」

 

エンキドゥは一旦エンキラッガーを戻すと、両腰に会った刀を抜き、グレンブーメランを弾く。

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

だがその間に、グレンラガンはエンキドゥ目掛けて突撃して来ていた。

 

「超電磁パアアアアァァァァァンチッ!!」

 

電磁を纏った右拳が、エンキドゥに繰り出される。

 

「ぬうっ!!」

 

刀を交差させて受け止めるエンキドゥ。

 

「もう一丁! ブーストキイイイイイィィィィィィックッ!!」

 

そこで続けて、グレンラガンは足裏のブースターを噴かしての高速蹴り、ブーストキックを繰り出す。

 

「グアッ!?」

 

エンキドゥはまたもブッ飛ばされる。

 

「如何した? ケダモノ大将!! 前より弱くなったんじゃねえのか!?」

 

そんなエンキドゥに、神谷は挑発をし返した。

 

「クッ! この男………以前よりも螺旋力が上がっている!?」

 

ヴィラルは短期間で大きく腕を上げた神谷に驚きを示す。

 

「………だが、まだまだ甘いな、ハダカザル」

 

「? 何ぃっ!?」

 

「この場に居るのが俺だけだと思ったか?」

 

「何だと!?………!? しまった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレンラガンとエンキドゥが熱戦を繰り広げていた頃………

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と戦っていた一夏と箒は………

 

正に弾幕と言うべき武装………銀の鐘(シルバー・ベル)の前に、苦戦を強いられていた。

 

無数のレーザーが、ある時は雨の様に降り注ぎ………

 

ある時は誘導ミサイルの様に追尾して来る………

 

そして相手は無人機………

 

その攻撃は正確無比であった。

 

「クッ! 一夏!! 私が動きを止める!!」

 

「分かった!!」

 

と、箒がそう言うと、再び展開装甲を展開させ、背部の2機の部分をエネルギー刃付きのビットとして射出した!!

 

「ハアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

そして、箒自身も雨月と空裂を構えて突撃して行った。

 

ビットは1機目がかわされるものの、2機目が命中。

 

姿勢が完全に崩れた銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に、箒が斬り掛かる!!

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)は避ける事が出来ず、箒の攻撃を受け止める。

 

そのまま銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を押し込む箒。

 

「一夏! 今だ!!」

 

「おう!!」

 

動きが止まった銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に、一夏が雪片弐型で斬り掛かる。

 

「貰ったぁっ!!」

 

完全にそう思った一夏だったが………

 

「ヒャア~ハッハッハッ! そうは行かねえなぁ!!」

 

そう言う声と共に、一夏の背後に突然影が現れた!!

 

「!?」

 

「ソレェッ!!」

 

その影が、手に持っていた巨大な両刃の剣を振るって来る。

 

「うわぁっ!?」

 

「一夏!?………おわっ!?」

 

一夏は弾き飛ばされ、箒も銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)からの反撃に遭う。

 

「クソッ! 何だ!?」

 

如何にか姿勢を取り直すと、自分を斬り付けて来た者の正体を見やる一夏。

 

「ヒャハハハハハハッ! ざ~んね~ん! もうちょっとでその首、落としてやれたってのによぉ!」

 

下衆な笑いを響かせそう言う新たな襲撃者………

 

白いウナギに手足と翼が生えたかの様なデザインをした某汎用人型決戦兵器の量産機を思わせるウナギ型ガンメン………『ナギーウ』がそう言って来た。

 

「! ガンメン!!」

 

「まだ居たのか!!」

 

身構える2人。

 

「一夏!! 大丈夫か!?」

 

そこへ、グレンラガンが合流する。

 

「アニキ!」

 

「コレで3対3だな………」

 

すると、エンキドゥも現れ、其々に敵・味方に分かれて集結する形となった。

 

「クッ!!(マズイ………もうエネルギーが残り少ない)」

 

一夏は再び苦い表情を浮かべる。

 

またも白式の弱点である燃費の悪さが出てしまい、既にエネルギーの残りは150を切っていた。

 

零落白夜で攻撃出来るのは、後1撃が限度である。

 

「如何するハダカザル? 跪いて許しを請うてみるか?」

 

「そりゃあ良いぜ、ヴィラルの旦那!! オイ、ガキ共! 跪けよ!! ヒャハハハハハハッ!!」

 

ヴィラルの尻馬に乗る様に、ナギーウがそう言って再び下衆な笑いを響かせる。

 

「チッ………」

 

そんなナギーウに、ヴィラルは不快感を露にする。

 

「ふざけんじゃねえ! この神谷様が許しなんか請うかよ!!」

 

当然、神谷はそう反論する。

 

「貴様如きに負ける私達ではない!」

 

箒もそう言い放つ。

 

「ヒャハハハハハッ! 強気だね~、お嬢ちゃん。新しい玩具を手に入れて、強くなった積りかい?」

 

「!? 何っ!?」

 

「お前なんか何を使おうが、この俺には勝てねぇっての!!」

 

「!! 貴様ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

その瞬間、箒は怒りの形相でナギーウへ突撃して行った!!

 

「!? 箒!?」

 

「あの馬鹿!!」

 

一夏と神谷が慌てるが、時既に遅く………

 

「ハアッ!!」

 

「おおっと!!」

 

ナギーウに斬り掛かる箒だったが、アッサリと躱される。

 

するとそこへ、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)からの銀の鐘(シルバー・ベル)が放たれる。

 

「!! クウッ!!」

 

箒は何とか躱す。

 

「フンッ!!」

 

そこへ今度は、エンキドゥのエンキラッガーが投擲される。

 

「ハアッ!!」

 

箒は雨月で弾く。

 

だが………

 

「ヒャハハハハハッ!! 掛かったな!!」

 

何時の間にか、ナギーウ、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)、エンキドゥによって、周りを取り囲まれてしまっていた。

 

「!? し、しまった!?」

 

慌てる箒。

 

いつもの彼女ならしなかったであろうミスだが………

 

念願だった専用機を手に入れ、自分でも分からぬ心の慢心が生まれてしまい、そこを衝かれたのだ。

 

「箒! マズイ!!」

 

「一夏! 俺が隙を作る! その間にアイツを連れて逃げろ!! 敵に背え向けんのは癪だが………仕方ねえ!!」

 

「分かった!!」

 

一夏は箒に向かって飛ぶ。

 

「うおおおおおっ! ドリラッシュッ!!」

 

その次の瞬間に、グレンラガンは全身からミサイルドリルを発射。

 

ナギーウ、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)、エンキドゥで次々に爆発させ、辺りを爆煙で包み込んだ!!

 

「うおっ!? オノレェ!! 何処だ!?」

 

エンキドゥと銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が、箒の姿を探す。

 

「箒! 一時撤退だ!!」

 

その間に、爆煙を突っ切った一夏が、箒と合流する。

 

「一夏!? 何を言う! 私はまだやれる!!」

 

だが、これでは今までと同じではないかと思った箒は、思わず一夏にそう反論する。

 

「馬鹿! 状況を考えてものを言え!!」

 

思わず箒に向かってそう怒鳴る一夏。

 

と、その時………

 

「ヒヒヒヒヒ………丸見えだぜぇ~、お嬢ちゃん、僕ちゃん!」

 

爆煙の隙間から、2人の姿を確認していたナギーウが、そう言いながら手に持っていた諸刃の剣を投擲した。

 

すると!!

 

その諸刃の剣が、粘土の様に形を変え、先が二又に分かれた槍となる!!

 

「「!?」」

 

2人が気づいた時には、既に至近距離までに槍が迫っていた。

 

駄目だ、躱せない………

 

一夏と箒がそう思った瞬間………

 

その間に割り込み、自らの身体を盾にして、その槍を受け止めた者が居た………

 

グレンラガンだ………

 

槍は背中まで貫通し、グレンラガンは完全に串刺し状態となった。

 

「ゴフッ!?」

 

グレンラガンは、口から盛大に血を吐く。

 

「ア、アニキ………?」

 

「神谷?」

 

目の前の光景が理解出来ず、茫然となる一夏と箒。

 

「馬鹿めぇ! 他人の事なんか庇いやがってよぉ~~~~~っ!!」

 

それを見たナギーウが、グレンラガンにトドメを刺そうとする。

 

「!! うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

すると、死に体かと思われたグレンラガンが雄叫びを挙げ、身体に突き刺さっていた槍を、自ら抜き放つ!!

 

「!? 何っ!!」

 

「でりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

そして、その槍をナギーウが目掛けて投げつける!!

 

「!? ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

投げ返された槍は、ナギーウの左の翼に突き刺さった!!

 

「グッ!?」

 

だがその瞬間………

 

槍を抜き放ったグレンラガンの身体から、真っ赤な血が噴き出す。

 

「へっ、俺とした事が………ドジ踏んじまったぜ………」

 

と、神谷がそう呟いた瞬間………

 

グレンラガンは糸の切れたマリオネットの様に力を失い………

 

海へと落下して行った………

 

「!? アニキイイイイイイイィィィィィィィィーーーーーーーーーーッ!!」

 

「神谷あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

一夏と箒は、慌ててその後を追う。

 

だが間に合わずに、グレンラガンの姿は海中へと没した………

 

「アニキィッ!!」

 

「神谷ぁっ!!」

 

2人は構わず、そのまま海中へ突入する。

 

「………グレンラガン」

 

何やら複雑そうな様子で、その様を見ていたヴィラルが呟く。

 

「チキショーッ! あの野郎! 許さねえぞぉ!! お前の仲間にも浮き出て来た瞬間にトドメを刺してやる!!」

 

と、翼を傷付けられたナギーウが、怒りの様子を露わに、一夏達が浮かび上がって来るのを待ち構えるが………

 

「………行くぞ」

 

そんなナギーウに向かって、ヴィラルがそう言い放つ。

 

「ああ!? 何言ってんだよ!?」

 

「作戦の第1段階は終了した………第2段階へと移行する」

 

「ふざけんじゃねえよ! まだアイツ等に!!」

 

と、ナギーウがそう言った瞬間………

 

その首筋に、エンキドゥの刀が突き付けられた。

 

「貴様………部隊長の俺に逆らうのか?」

 

「ヒイイッ!? すいませんでしたぁ!!」

 

途端に平伏するナギーウ。

 

「奴等の事なぞ放っておけ。グレンラガンが居なければ………所詮、烏合の衆だ。行くぞ、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)」

 

ヴィラルがそう言って、エンキドゥがその場から離脱を始めると、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)がその後に続く。

 

「ああ! ちょっと!? 待ってくだせえ!!」

 

ナギーウも、慌ててその後に付いて行く。

 

そして3体が完全に去って行った後………

 

「プハアッ!!」

 

「プハッ!!」

 

グレンラガンの姿から戻った神谷を抱き抱えた一夏と箒が、海面に這い出した。

 

「アニキ! アニキ!! しっかりしてくれ!! アニキ!!」

 

「神谷!! オイ、神谷!!」

 

必死に神谷に呼び掛ける一夏と箒。

 

「…………」

 

しかし、神谷は死んだ様に目を閉じ、グッタリとしてピクリとも動かなかった………

 

周囲の海が、彼の血で赤く染まって行く。

 

「アニキ! アニキイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーーッ!!」

 

一夏の悲痛な叫びが………

 

虚しく海上に響き渡るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

暴走した無人ISの福音の撃墜を依頼されたグレン団。
神谷と一夏、そして箒がその任務に当たるが………
慢心を衝かれた箒が窮地に陥り、助けようとした一夏も庇って、神谷が………
果たして、彼の命は………

ウナギ型ガンメン・ナギーウは、まんまエヴァ量産機です。
神谷抜きのとなるグレン団は、この敵を倒せるのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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