天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

24 / 137
第24話『集まったかぁ! グレン団の野郎共!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第24話『集まったかぁ! グレン団の野郎共!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴノザウルスの騒動から暫し日が経ち………

 

IS学園の夏休みも、残り僅かとなっていた。

 

生徒達は残り少ない休みをエンジョイする者と、溜めていた宿題を大慌てで片付ける者に分かれ、残る休みを過ごしている。

 

帰省していた生徒達も、次々と寮へと戻り始めている。

 

中には帰省して、そのまま退学した者達も少なからず居たが………

 

そんな中………

 

学園に居る生徒達の間で………

 

ある噂が持ち切りとなっていた。

 

その噂とは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・学生寮………

 

食堂………

 

「幽霊船?」

 

一夏が冷やし中華を食べている手を止めてそう言う。

 

「ガツガツ! んがんが!」

 

その隣では、10杯目となるカツ丼を平らげようとしている神谷の姿も在った。

 

因みにその隣にはシャルが居り、一夏の方も箒を中心にセシリア、鈴、ラウラが集まっている。

 

「そうなんだよ~。私は見た事無いけど、皆は見たって~」

 

その一同と一緒の席に居る本音ことのほほんが、ゆったりとした口調でそう言う。

 

「わ、私、そう言うお話はちょっと………」

 

「ぼ、僕も………」

 

その手の話が苦手なのか、セシリアとシャルが怖がっている様な様子を見せながらそう言う。

 

「どうせ何かの見間違いでしょ?」

 

「非科学的だ」

 

対照的に、その噂をそう一刀両断する鈴とラウラ。

 

「ホントだよ~! 私の友達も見たって言ってるし~!」

 

(友達が見た、っていうのって、怪談話の常套句だよな………)

 

のほほんは手をバタバタさせながらそう言うが、一夏は内心でそう思ってしまう。

 

「一体どんな噂なんだ?」

 

とそこで、箒が改めてそう尋ねる。

 

「え~とね………草木も眠る丑三つ時に、IS学園が面している海の沖合に………何の前触れも無く霧が掛かって、巨大な船が現れるそうなの」

 

「益々眉唾物ね………」

 

のほほんは思いっきり怖い迫力を出しながら語るが、その姿は全然怖くなく、寧ろ鈴から呆れの声が挙がった。

 

「む~! 少しは怖がってよ~~!………あ、そう言えば………その幽霊船には、スッゴイお宝が積まれてる、って噂もあるんだよ」

 

「………お宝?」

 

と、今までマイペースに食事を続けていた神谷が、お宝と言う単語に反応して動きを止める。

 

「? アニキ?」

 

「フッフッフッ」

 

首を傾げる一夏の横で、神谷は不気味な笑いを響かせるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その深夜………

 

IS学園が面している海の波止場にて………

 

「集まったかぁ! グレン団の野郎共!!」

 

「お、お~」

 

「「「「「…………」」」」」

 

波止場の船止めに足を掛けている神谷が、集合している一夏達にそう声を掛けるが、返事が返って来たのは一夏だけだった。

 

箒、セシリア、鈴、ラウラは不機嫌そうな表情を浮かべており、シャルも苦笑いを浮かべている。

 

「良いかぁ! 不敵にもこのグレン団様が居るIS学園の海に! 幽霊船の野郎が現れやがった!!」

 

そんな一同の様子も気にせず、神谷は演説する様にそう言葉を続ける。

 

「学園の連中を怖がらせている幽霊船を放ってはおけねえ!! 一丁、俺達グレン団が悪霊退治と行こうぜ!! ついでに幽霊船のお宝も頂いちまおう!!」

 

「アンタの目的はソッチでしょうが!?」

 

お宝と言う単語が出た瞬間、鈴がそう指摘する。

 

「くだらん………幽霊など非科学的だ。存在する筈が無い」

 

「夜更かしは美容の大敵なんですわよ。私、帰らせていただきます」

 

ラウラとセシリアがそう言い、寮に帰ろうとする。

 

「ちょちょちょちょ! 待ってくれよ! ラウラ! セシリア!」

 

一夏が慌てて止める。

 

「一夏! お前からも神谷に何か言ってやれ!!」

 

「コッチには夜中に叩き起こされて、いい迷惑なのよ!!」

 

しかし、そんな一夏に箒と鈴が食って掛かった。

 

「い、いやだって………アニキがああなったら止まらないのは2人が良く知ってるだろ?」

 

「「だからと言って限度があるぞ!!(わ)」」

 

「うひぃっ!?」

 

ステレオで怒鳴られ、一夏は思わず怯む。

 

「シャルロットさん! 貴女も何か言ってやりなさい!!」

 

「そうだぞ、シャルロット」

 

「え、えっと~」

 

セシリアとラウラも、シャルにそう言って同意を呼び掛ける。

 

シャルは如何したものかと困惑する。

 

すると、その時………

 

「ヒヒヒヒヒヒヒ………」

 

突然、不気味な笑い声が辺りに響き渡った。

 

「!? ちょっと一夏! 変な声出さないでよ!!」

 

「えっ!? いや、俺何も言ってないぜ?」

 

鈴が一夏に抗議するが、一夏は何も言っていないと言う。

 

「何っ?」

 

と、箒が驚きの声を挙げた瞬間………

 

神谷達が居る波止場から見える沖合に………

 

何の前触れも無く、突然霧が掛かった!!

 

「「「「「!?」」」」」

 

箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラが驚く。

 

「ア、アニキ!!」

 

一夏も狼狽しながら神谷に声を掛ける。

 

「出やがったな」

 

只1人神谷は、待っていたと言わんばかりに笑みを浮かべる。

 

やがて、沖合に立ち込めていた霧の中に………

 

巨大な船の様なシルエットが浮かび上がった!!

 

「「「「で、出たああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」

 

箒、セシリア、鈴、シャルが悲鳴を挙げる。

 

そして即座に、箒、セシリア、鈴が一夏の後ろ。

 

シャルが神谷の後ろに隠れた。

 

「レーダーにもセンサーにも反応が無いだと………馬鹿な………こんなにハッキリと見えているのに………」

 

一方ラウラは、ISのセンサー部分だけを展開して、霧の中に浮かんでいる船の正体を確かめようとしたが………

 

こんなにもハッキリとシルエットが浮かんでいるにも関わらず、レーダーやセンサーには何の反応も浮かんでいなかった。

 

「ま、まさか………本当に幽霊船が………」

 

「あの中にお宝が有るのか………よっしゃあっ!!」

 

震えている一夏とは対照的に、神谷はワクワクを100倍にするとパーティーの主役になろうとするが如く、波止場から飛び降りて、下に停めてあった大きめの手漕ぎボートに乗り込む。

 

「!? 神谷!?」

 

「ちょっ!? アニキ!? 何する気だよ!?」

 

シャルと一夏が、慌ててそう問い掛ける。

 

「決まってんだろ! あの幽霊船の幽霊どもを退治して、お宝を頂戴するのよ!!」

 

ボートを係留していたロープを外しながら、神谷はそう言う。

 

「そんな! 無茶苦茶だよ!!」

 

「そうだよ神谷! 本当に幽霊が出て来たら如何するの!?」

 

一夏とシャルは、そう言って止めようとしたが………

 

「決まってんだろ! ブン殴るまでよ! 幽霊と喧嘩が出来るなんざ、滅多にねえ機会だから!!」

 

神谷は当然の様にそう言い返した。

 

この男に怖い物なんてあるのだろうか?

 

「アニキ!?………ああ、もう!!」

 

とそこで、一夏が髪を掻き毟ると、神谷の乗っているボートに飛び乗る。

 

「!? 一夏!!」

 

「一夏さん!?」

 

「「一夏!?」」

 

そんな一夏の行動に驚く箒、セシリア、鈴、ラウラ。

 

「俺も行くよ、アニキ。アニキだけ行かしたとあっちゃあ、弟分の名が廃る!」

 

「そう来ると思ったぜ、一夏!」

 

一夏と神谷は、そのまま2人で出港準備に入る。

 

「ええい、全く! お前等という奴は!!」

 

「神谷! 僕も行くよ!!」

 

とそこで、箒とシャルがボートに飛び乗る。

 

「箒!? シャル!? ああ、もう!!」

 

「わ、私も!!」

 

「嫁が行くのなら、私もだ!」

 

そして更に続いて、鈴、セシリア、ラウラがボートに飛び乗った。

 

「おわっ、ととっ!? 乗り過ぎだよ!?」

 

次々にボートに乗り込まれた為、危うく転覆しそうになり、一夏が思わずそう言う。

 

「さあ、行くぜ、一夏!! グレン団の船出だ!!」

 

と、船首の片足を掛け、腕組みをしたポーズを取って、神谷がそう言い放つ。

 

「! お、おう!!」

 

それを聞いた一夏は、オールを手に取り、ボートを漕ぎ始めた。

 

そのまま、沖合に出現した霧の中を目指して行く。

 

「待ってろよ~! 幽霊船!! グレン団の鬼リーダー! 神谷様が相手になってやるぜ!!」

 

海風にマントを棚引かせながら、神谷がそう言う。

 

「ア、アニキ………手伝ってよ………」

 

と、1人必死にオールを漕いでいる一夏がそう呟く。

 

「しっかりしなさい、一夏! 男でしょ!?」

 

「ファイトですわ、一夏さん!」

 

「私の嫁なら、それぐらい1人で如何にかしろ。でないと戦場で生き残れんぞ」

 

「一夏! 何時もの気合で如何にかしてみせろ!!」

 

「頑張って、一夏」

 

鈴、セシリア、ラウラ、箒、シャルが無慈悲にもそう一夏に言う。

 

「う、うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

すると一夏は、自棄になったのか、凄まじいスピードでオールを漕ぎ始めた。

 

神谷達の乗るボートは、凄まじいスピードで進み出す。

 

「うおっ、と!? 流石だぜ、兄弟! もっとスピードを上げろい!!」

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

神谷はそれに気を良くしてそう言うと、一夏は更にスピードを上げた。

 

ボートは霧の中へと突っ込む。

 

すると………

 

その眼前に、巨大な影が立ち塞がった!!

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

一夏を除く一同が、その巨大な影を見上げる。

 

それは、ボロボロの船体に、同じくボロボロの帆を差して、風も無いのに進んでいる巨大帆船………

 

幽霊船の影だった!!

 

「ゆ、幽霊船!!」

 

「まさか………本物ですの!?」

 

「信じられん………」

 

幽霊船の実物を目にした鈴、セシリア、ラウラが驚きの声を挙げる。

 

「このままではぶつかる! 一夏! ボートを止めろ!!」

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

と、ボートが一直線に幽霊船へと衝突コースを取っている事に気づいた箒が一夏に停止を促すが、熱くなっている一夏の耳には届かない。

 

「ぶ、ぶつかる!?」

 

シャルが叫んだ時、既にボートは衝突を回避できない距離まで近づいていた。

 

「チイッ!!………!? アレだ!!」

 

と、そこで神谷が、何かを見つけた様に声を挙げた。

 

その次の瞬間!!

 

ボートは幽霊船の船首に激突!!

 

そのまま転覆し、幽霊船に押し潰される様に沈没して行った………

 

「………ふう~~~、あっぶねえとこだったぜ」

 

それを見ていた神谷が、そう声を挙げる。

 

間一髪のところで、幽霊船の錨が半分降りている事に気づいた神谷が、その錨を繋いでいる鎖目掛けて跳躍し、しがみ付いたのである。

 

そして、それに倣う様に、シャル達も跳躍して、鎖へとしがみ付いたのだ。

 

「一夏! この馬鹿者が!」

 

「ボート沈めちゃって如何すんのよ!!」

 

「うう………ゴメンナサイ………」

 

箒と鈴の、ダブル幼馴染の罵倒に、一夏はシュンとなる。

 

「仕方ありませんわ。帰りはISを使って帰りましょう」

 

「止むを得ないな。非常事態だ」

 

帰りの足について、セシリアとラウラがそう言い合う。

 

「兎に角! 幽霊船に着いたんだ!! 早速お宝を探すぜ!!」

 

と、そこで神谷がそう言って、鎖を登り始めた。

 

「あ、神谷! 待って!」

 

その下に居たシャルがすぐに神谷を追う。

 

「取り敢えず、この船に乗り込むか………」

 

そして、一夏達もそれに続いて、船に乗り込んで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽霊船の甲板………

 

船体がボロボロな幽霊船は、やはり甲板もボロボロであり、所々に穴が開き、床板が腐っていた。

 

「へっ! いかにもな雰囲気じゃねえか」

 

「ほ、本当にコレ………幽霊船なの?」

 

ワクワクしている神谷と対照的に、ビクビクしている鈴がそう言う。

 

「何だぁ、鈴? ビビッてんのか?」

 

「ビ、ビビッてなんかいないわよ! ビビッてなんか!!」

 

神谷のからかう様な言葉に、そう反論する鈴だったが………

 

「うらめしや~~~」

 

そこで一夏が、持って来ていた懐中電灯で、顔を下から照らしてそう言った。

 

「!? ぎにやああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「キャアッ!?」

 

鈴は奇天烈な悲鳴を挙げて、近くに居たセシリアにしがみ付く!!

 

「アハハハハハッ! いや~、そんなに驚いてもらえるとはなぁ」

 

それを見た一夏が、満足そうに笑う。

 

「~~~~~っ!!」

 

途端に、鈴はセシリアから離れると、一夏の弁慶の泣き所を蹴っ飛ばした!!

 

「#$%&*+@?!」

 

声にならない悲鳴を挙げて、一夏は足を押さえて転げ回る。

 

「さいってい! 死ね、馬鹿!!」

 

「一夏さん、今のは感心しませんわよ」

 

「そうだよ、一夏。女の子を怖がらせるなんて」

 

「全くだ」

 

「猛省しろ………」

 

鈴、セシリア、シャル、ラウラ、箒から容赦無く罵声が浴びせられる。

 

「す、すみませんでした………」

 

自分に非が有るだけに、反論は出来ず、素直に謝罪する一夏だった。

 

「オイ、何時までも遊んでないで、さっさとお宝探しに行くぜ」

 

とそこで、仕切り直す様に神谷がそう言う。

 

「うむ。宝は措いておくとしても、こんな不審な船を放っておくワケにはいかんな。徹底的に調査すべきだ」

 

軍人であるラウラが、生真面目に考えてそう言い放つ。

 

「アイテテテ………しかし、コレだけデカい船となると、手分けして捜索した方が良いんじゃないか?」

 

と、やっとの事で痛みが引いて来た一夏が、立ち上がりながらそう言う。

 

「確かにな………よ~し! 手分けしてお宝を探すぞ!!」

 

「いや、アニキ。お宝も良いけど、この幽霊船の正体も調べてね………」

 

相変わらずお宝探しに燃えている神谷に、一夏はそうツッコミを入れる。

 

一方、箒達はと言うと………

 

((((………一夏〈さん〉〈嫁〉と一緒に!!))))

 

一夏と一緒のチームになる事という思惑を浮かべていた。

 

(………神谷と一緒だったら良いな~)

 

そしてシャルも、そんな期待に胸を膨らませる。

 

その後………

 

公平を期す為に、じゃんけんによる組み分けが行われ、結果は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏&箒チーム………

 

「うう~………やっぱり不気味だな」

 

幽霊船の船内を、恐る恐ると言った様子で歩いている一夏。

 

「一夏。何を怖がっている。それでも男か?」

 

対照的に、その前を行く箒は堂々としており、微塵も怖がってはいなかった。

 

「そう言ってもさ~………(箒の奴、良く平気だな………こういうの得意なのか?)」

 

愚痴る様に呟きながら、一夏はそんな箒の様子に感心する。

 

だが………

 

(ま、まさか本当に一夏と2人っきりとなるとは………イカン! 落ち着け! 落ち着くのだ、篠ノ之 箒! 何時も通りに振舞えば良い!!)

 

実は、内心一夏と2人っきりになれた事が物凄く嬉しくて、舞い上がりたい気分なのだが、持ち前の性格がそれを許さず、高揚した気分のまま何時も通りの振る舞いを見せているのだ。

 

つまり、今の箒の心には、恐怖と言う感情が入る隙が無いのである。

 

「さあ行くぞ。この船の正体を突き止めるんだ」

 

そう言うと、そのまま物怖じせず、ズンズンと歩を進め出す箒。

 

「あ、オイ、箒! ちょっと待ってくれよ!!」

 

慌てて一夏がその後を追う。

 

(しかし、何だ……こういう状況では………手、手を繋いだ方が良いのか?)

 

と、箒が内心でそう思った瞬間………

 

箒の右手を、冷たい手が握って来た。

 

(ひゃあっ!? な、何だ、一夏の奴………分かってるじゃないか)

 

その冷たい手に驚きながらも、一夏の行動に満足げな笑みを浮かべる。

 

「しかし、一夏。随分と手が冷たいな。冷え症か?」

 

「えっ? 箒? 何言ってんだ?」

 

箒がそう指摘すると、後ろから一夏の声が聞こえて来た。

 

「えっ?」

 

箒が驚きながら振り返ると、一夏は自分の後ろの少し離れた位置に居て、自分と手を繋げる状態ではない。

 

「で、では………この手は?」

 

恐る恐る箒は、自分の右側を確認する。

 

そこには………

 

「ヒヒヒヒヒヒヒッ………」

 

骸骨の様な顔に、青白く丸っこい身体で、足が無い物体………

 

所謂、漫画やアニメ等で描かれる幽霊(ゴースト)の姿が在った。

 

「「…………」」

 

箒と一夏は、一瞬思考が停止する。

 

「ヒヒヒヒヒヒヒッ………」

 

そして、幽霊が再び不気味な笑い声を挙げた瞬間………

 

「「!? ギャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」」

 

悲鳴を挙げて、来た道を戻り始めた!!

 

「出た! 出た出た出た出たああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

「幽霊~~~~~~~っ!!」

 

大慌ての様子で疾走している一夏と、泣きながら走っている箒。

 

強がっていてもやはり女の子………

 

幽霊とかには弱かった様である。

 

「!? あうっ!?」

 

と、その時!!

 

腐りかけた床板を踏み抜いてしまい、箒が転ぶ!!

 

「!? 箒!!」

 

それを見た一夏が、すぐに引き返し、箒を助けようとした瞬間………

 

通路の床全体にヒビが入り、そのまま崩壊した!!

 

「「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」

 

一夏と箒は、悲鳴と共に暗闇の中へと落下して行く。

 

「ヒヒヒヒヒヒヒッ………」

 

幽霊は、2人が落ちて行った暗闇を見遣りながら、不気味な笑い声を響かせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

別の組………

 

セシリア、鈴、ラウラチームは………

 

「ん?」

 

「如何しました? ラウラさん」

 

「今、一夏の悲鳴が聞こえた気がしたのだが………」

 

突然足を止めたラウラに、セシリアが尋ねると、そういう答えが返って来た。

 

「一夏さんの? それって………」

 

「んも~~っ! 如何してアイツが一夏と一緒なのよ~~!!」

 

セシリアが言葉を続けようとした瞬間、イライラしていた様子の鈴がそう声を挙げる。

 

如何やら、一夏が箒と一緒のチームになったのが気に入らない様だ。

 

「あの女~、夏休みに何か距離縮めてた感じがしてたけど………まさかこの機に乗じて一気に既成事実にまで持ち込む気なんじゃ」

 

「き、既成事実!?」

 

「有り得るかもしれんな………好都合な事に、今は2人っきりの状態だ」

 

鈴がブッ飛んだ考えに至り、狼狽するセシリアを尻目に、ラウラが肯定的な意見を返す。

 

そんな事は有り得ないのだが、一夏絡みとなるとこの3人は目の色が変わる。

 

「そうだとしたら、のんびりとはしていられないわ! とっとと捜索なんて終わらせて、一夏を連れ戻すわよ!!」

 

と、鈴がそう言いながら、手近に有った船室へのドアを開く。

 

如何やらそこは食堂だった様であり、ボロボロのテーブルクロスが掛かった長いテーブルに、罅割れている食器が置かれっ放しになっていた。

 

「此処は食堂みたいですわね………」

 

セシリアがそう言う中、3人はその船室へと入り込む。

 

すると………

 

突然、セシリア達が入って来たドアが、独りでに閉じられた!!

 

「!? ドアが!?」

 

「ちょっと!? 如何なってるのよ!?」

 

鈴がすぐに、ドアを開けようとするが、ノブを回す事が出来ない。

 

「退いていろ!!」

 

すると、ラウラが拳銃を取り出し、ドアノブを破壊しようと試みる。

 

その瞬間!!

 

突如飛んで来た皿が、拳銃を持ったラウラの手に命中した!!

 

「!? ッ!?」

 

思わず拳銃を落としてしまうラウラ。

 

その次の瞬間………

 

食堂に置かれていたテーブル、椅子、食器等が、宙に舞い始めた!!

 

「!?」

 

「ポ、ポルターガイスト現象!?」

 

「何っ!?」

 

宙に舞った品々は、驚いていた鈴、セシリア、ラウラへと襲い掛かる。

 

「キャアッ!?」

 

伏せたセシリアの頭の上を通り過ぎ、壁にブチ当たって砕け散る食器。

 

「ちょっ!? 冗談じゃ! ないわよ!!」

 

弾丸の様に飛んで来る椅子を、鈴は軽業師の様な身の熟しで回避する。

 

「クウッ!!」

 

凶器となって襲い掛かって来るナイフやフォークを、ラウラはコンバットナイフで叩き落とす。

 

だが、3人は気づかなかった………

 

宙に舞っている品々が、自分達を1箇所に集め始めている事に………

 

「「「!?」」」

 

やがて飛んで来る物をかわしている内に、1箇所に集められた3人は、背中をブツけ合ってしまう。

 

その瞬間!!

 

ボロボロのテーブルクロスが、3人に覆い被さって来た!!

 

「!? キャアアッ!?」

 

「何よ、コレ!?」

 

「グウッ!?」

 

急に視界を塞がれ、混乱しながらもテーブルクロスを外そうとするセシリア達だったが、次の瞬間!!

 

その姿が、パッと消えてしまった!!

 

暴れていたテーブルクロスが床に落ちて広がる………

 

「ヒヒヒヒヒヒヒッ………」

 

誰も居なくなった船室に、不気味な笑いが木霊するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………

 

神谷&シャルチームは………

 

「ううう………」

 

ビクビクとした様子で、シャルは神谷の腕にしがみ付いている。

 

「オイ、シャル。歩き難いぞ」

 

「だ、だってえ~~」

 

神谷がそう言うが、シャルは心細そうな声を発して、神谷の腕から離れようとしない。

 

「ぼ、僕、こういうの苦手で………」

 

「何言ってんだよ。もう何度も獣人野郎を相手に戦ってるじゃねえか」

 

「ああいうのとは、怖さのベクトルが違うんだよ~」

 

と、シャルがそう言った瞬間………

 

バキッ!と言う音が響き渡った!!

 

「!? キャアッ!?」

 

シャルは可愛らしい悲鳴を挙げて、更に神谷へ抱き付く。

 

「何だ? 何か居るのか?」

 

一方神谷は、その音がした方向へズンズンと歩いて行く。

 

「ちょっ! 神谷! 確かめに行くの!? 本当に幽霊だったら如何するの?」

 

「そうだな………動物園にでも売り飛ばすか!」

 

ニヤリと笑いながら、神谷はそう言い放つ。

 

『恐いもの知らず』とは、この男の為に有る様な言葉だ。

 

「ちょっ! 神谷~!………!? うわっ!?」

 

すると、神谷の腕に抱き付いたままだったシャルが、突然転ぶ。

 

「!? オイ、大丈夫か? 何で転んだんだ?」

 

「アイタタタタ………な、何かが足を摑んで………」

 

と、シャルが転んだまま自分の足を見遣ると………

 

床から飛び出した骨の腕が………

 

シャルの足を摑んでいた。

 

「えっ?」

 

そうシャルが声を挙げた瞬間………

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

地の底から聞こえてきそうな怨念の声と共に、ボロボロの服を纏った骸骨が飛び出して来た!!

 

「!? キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

悲鳴を挙げるシャルに、骸骨は奇声と共に襲い掛かる。

 

と、その途端!!

 

「オラアッ!!」

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」

 

骸骨は神谷のハイキックを受けて、バラバラになった!!

 

「えええっ!?」

 

あまりの光景に、シャルは思わず驚きで目が点になる。

 

と、バラバラになった骸骨の頭が、2人の傍に落ちて来たかと思うと、そのまま顎をカタカタと鳴らし始めた。

 

「ひいっ!?」

 

「な~にがカタカタだ、コラ」

 

その骸骨の頭を、神谷は鷲摑みにして持ち上げる。

 

「オイ、お宝は何処にあんだ?」

 

神谷の問いに、骸骨は顎をカタカタと鳴らす。

 

しかし、それは相手を恐怖させる動きでは無く、自分が恐怖している為に出ている動きだった。

 

「チッ! 喋れねえのかよ………ったく」

 

そう言うと神谷は、その頭を無造作に放る。

 

骸骨の頭はそのまま通路の端に転がった。

 

「………神谷って、本当に怖い物知らずだね」

 

「あったりめえよ」

 

呆れながらそう言って来るシャルを、立たせてやる神谷。

 

そのまま2人は、通路を進んで行く。

 

そして、1つのドアの前に行き着く。

 

「此処は………船長室みたいだね」

 

「船長室か………お宝の匂いがプンプンするぜ」

 

神谷は何の躊躇いも無く、船長室の扉を開け放つ。

 

「あ、待って!」

 

シャルも慌ててその後に続く。

 

船長室内も、他の場所と同様にボロボロであり、カビの臭いが漂っていた。

 

「うう、カビ臭い………」

 

「何処だ? お宝は?」

 

カビ臭さに怯むシャルとは対照的に、神谷は船長室内を家探しし始める。

 

すると………

 

「立ち去れ~」

 

何処からとも無く、そう言う声が響いて来た………

 

「!? ひゃああっ!?」

 

「あん?」

 

シャルと神谷がその声が聞こえた方向を向くと、そこには………

 

「立ち去れ~此処から立ち去れ~」

 

額縁に入れられて、壁に掛けられていた絵が、口を動かしながらそう呟いていた。

 

「え、絵が喋ってる!?」

 

「立ち去れ~此処から立ち去れ~」

 

シャルが震えると、額縁の絵は畳み掛ける様にそう言って来る。

 

「オイ、お宝は何処だ?」

 

と、神谷がその絵に向かってそう問い質す。

 

「立ち去れ~此処から立ち去れ~」

 

「だから、お宝は………」

 

「立ち去れ~此処から立ち去れ~」

 

「………アチャアーッ!!」

 

と神谷は、いきなりその額縁の絵に向かって、パンチを繰り出した!!

 

額縁の絵はブチ抜かれ、物理的に沈黙する。

 

「ちょっ!? 何やってるの、神谷!?」

 

「だってよ~、コイツが人を無視して喋るからよぉ」

 

またも驚くシャルに、神谷は相変わらずシレッとそう言い放つ。

 

と、神谷が手を引くと、額縁の絵が外れる。

 

その後ろに隠し棚が有り、宝箱が鎮座していた。

 

「おおっ!? コイツは!?」

 

「ホントに有ったの!? お宝!?」

 

驚くシャルを他所に、神谷は嬉々として宝箱を棚の中から取り出す。

 

「へへへ、何が入ってるのかな~」

 

そして、そのまま宝箱を開けようとした瞬間………

 

「アニキーーーーーーーッ!!」

 

一夏の声が響き渡って来た。

 

「!? 一夏!?」

 

「甲板の方から聞こえたよ!」

 

「チッ! 何かあったのか!?」

 

神谷は宝箱を開けるのを中断すると、それを手に持ってシャルと共に甲板目指して駆け出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽霊船・甲板………

 

「一夏ーっ! 何処だあーっ!!」

 

甲板に出るや否や、そう叫ぶ神谷。

 

「!? 神谷! あそこ!!」

 

するとシャルが、頭上のメインマストを指差す。

 

「!?」

 

神谷が見上げると、そこには………

 

ロープで縛られ、メインマストから吊り下げられている一夏達の姿が在った!

 

「アニキーッ!!」

 

「神谷!!」

 

「シャルロットさ~ん!!」

 

「早く助けなさ~い!!」

 

「クッ! 不覚を取った………」

 

吊り下げられている一夏達が、そう声を挙げる。

 

「皆!」

 

「待ってろ! 今助けてやるぞ!!」

 

と、神谷がそう言った瞬間………

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

床板をブチ抜いて、またも動く骸骨が出現した!!

 

「うわぁっ!? また出た!!」

 

「!!」

 

と、神谷がその飛び出した骸骨の両肩を摑む!!

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」

 

そしてそのまま、飛び出して来た穴へと押し戻す………

 

「って! 帰るかぁ! アホンダラァッ!!」

 

と、その次の瞬間!

 

骸骨は、そう怒りの声を挙げて飛び出す。

 

「何だよ、ノリ悪いなぁ………」

 

ウンザリしている様な表情で、そう言う神谷。

 

「うぬうっ!!」

 

「舐めやがってぇっ!!」

 

「幽霊舐めるなよ、コラァッ!!」

 

「ウラアアッ!!」

 

「ホワチャーッ!!」

 

するとその途端!

 

怒りの声と共に、無数の骸骨達が甲板の床を勢い良くブチ破って次々に登場した。

 

「………こんなに生き生きしてるの? 幽霊って?」

 

そんな活きの良い幽霊を見て、何だか怖がっているのが馬鹿らしくなり、シャルは呆れながらそう呟いた。

 

「大人しくその宝を置いて行け~~っ!!」

 

「然も無いと呪い殺してやるぞぉ~~~~っ!!」

 

生き生きながらも不気味な様子を醸し出し、骸骨達はそう訴え掛ける。

 

「へっ!冗談じゃねえ! この神谷様が、一度手にしたモンをそう易々と手放せるかよ!?」

 

神谷は、宝箱を片手で掲げる様に持ってそう言い放つ。

 

「小癪なぁ! 掛かれぇっ!!」

 

「「「「「「「「「「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」

 

甲板に現れた骸骨達が、一斉に神谷とシャルに向かって行く。

 

「うわぁっ!?」

 

「シャル! コレ持って伏せてろ!!」

 

と、シャルが驚いていた瞬間、神谷が宝箱を渡して来た。

 

「神谷!?」

 

シャルが宝箱を受け取りながら神谷を見遣ると、その瞬間神谷はグレンラガンの姿となった。

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

そして気合を入れて螺旋力を高めたかと思うと、フルドリライズ状態となる。

 

「!!」

 

それを見た瞬間、シャルは宝箱を抱えて床に伏せる。

 

「グレン! ハリケエエエエエェェェェェェーーーーーーーンッ!!」

 

神谷の叫びと共に、グレンラガンは全身のドリルを高速回転させて、アッパーカットを繰り出す様なポーズを取った。

 

「「「「「「「「「「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

途端に、凄まじい突風が甲板一体に吹き荒れ、骸骨達はバラバラになって吹き飛んだ!!

 

しかし………

 

「ちょっ!? マストが!?」

 

「倒れる!?」

 

やり過ぎたのか、メインマストが根元から折れ、倒れそうになる。

 

「!? やっべ!?」

 

グレンラガンは慌てて先回りし、倒れそうになっている方向から支える。

 

「うおっ!? お、重い!!」

 

しかし、かなりの大きさを誇るメインマストだけに、グレンラガンは支えるだけで精一杯となる。

 

「オノレエエエエエェェェェェェーーーーーーーッ! 現代っ子めええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

と、その瞬間!!

 

微妙に間違った怒り方をしながら、バラバラになった骸骨達が1つに纏まり、巨大な骸骨となった。

 

「うええっ!? ちょっ! タンマ!!」

 

メインマストを支えていて動けないグレンラガンはそう言うが、骸骨がそれに応じる筈も無く、容赦無く襲い掛かって来る。

 

「おわあっ!?」

 

グレンラガン大ピンチ!!

 

と、その瞬間!!

 

「このぉっ!!」

 

何時の間にかISを展開したシャルが、骸骨に向かって両手からガルムを発砲した!!

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」

 

巨大骸骨の頭蓋骨が消し飛ぶ!

 

「おおっ! ナイスだ! シャル!!」

 

「き、効いた………幽霊にも攻撃って効くんだ………」

 

歓声を挙げるグレンラガンに対し、攻撃が効いた事に驚いているシャル。

 

「よし、今の内に一夏達を………」

 

「その必要は無いわ」

 

と、一夏達の救出に向かおうとしたところ、ISを展開した鈴達が降りて来る。

 

「!? お前等!」

 

「幽霊だと思って、正直ビビっちゃったけど………」

 

「攻撃が効くのなら、別に怖がる事はありませんわ」

 

「全くだ………」

 

鈴、セシリア、ラウラがそう言って、頭の無い巨大骸骨に、龍砲、スターライトmk-Ⅲ、大型レールカノンを向ける。

 

「!?」

 

「私達はIS専用機持ちだ」

 

「運が悪かったね………幽霊さん!」

 

巨大骸骨が驚いている様な様子を見せると、箒が雨月・空裂、一夏が雪片弐型と雪羅を構える。

 

「「「「「成仏しろ〈しなさい〉!!」」」」」

 

全員がそう言ったかと思うと、一斉攻撃が骸骨目掛けて叩き込まれた!!

 

「アアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!? これだから最近の若い奴はあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

またも微妙に間違った断末魔を挙げて、巨大骸骨は粉々に吹き飛んだ!!

 

しかし、勢い余ったのか幽霊船まで吹き飛び始める!!

 

「! やっばっ! やり過ぎた!?」

 

「逃げるぞ!!」

 

「「「「!?」」」」」

 

一夏がそう言うと、神谷がそう叫び、一同は慌てて幽霊船から離れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園が面している海の波止場………

 

一夏達が波止場に着陸すると、幽霊船は真っ二つに折れ、そのまま沈没して行った………

 

「幽霊船が沈む………」

 

(可哀そうに………アニキの前に現れなきゃ、こんな事にはならなかったのに………)

 

箒がそれを見ながらそう呟き、一夏が内心で幽霊船の幽霊達に同情する。

 

「へっへっへっ! いよいよお宝が拝めるぜ!」

 

しかし、船を沈める事になった大元の原因である神谷は、沈む幽霊船に全く興味を示さず、宝箱の開封に掛かっていた。

 

そして、遂に宝箱が開け放たれる。

 

「よっしゃあ!!」

 

嬉々として蓋を開ける神谷だったが………

 

宝箱の中に入っていたのは、黒い小さな粒ばかりだった。

 

「な、何だこりゃあ!?」

 

その黒い粒の正体が分からず、神谷は困惑する。

 

「(ペロッ)………コレは胡椒だ」

 

と、その黒い粒を指に付けて、少し舐めてみたラウラがそう言う。

 

「胡椒~っ!?」

 

「そうか………昔は胡椒が金と同じ価値が有る時代が有ったから………」

 

「何だよ! 骨の折り損のくたびれ儲けかよ!!」

 

神谷はそう言って、波止場に寝転んだ。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

すると、そんな神谷を一夏達が驚いた表情で見据えている。

 

「? んだよ?」

 

「アニキが難しい言葉を使ってる………」

 

「明日は嵐か?」

 

首を傾げた神谷に、一夏と箒のそう言うヒソヒソ声が聞こえて来る。

 

「ズコッ!? テメェー等はなあ!!」

 

ズッコけながら、神谷は大声を挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして………

 

IS学園を騒がせた幽霊船騒動は………

 

何ともお粗末な結果を残して終息したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

夏休み編、最後という事で、夏らしく肝試し的な話をお送りする………
………筈だったのですが、いつの間にか神谷無双になってしまいました(笑)

さて、次回から2学期編。
あの生徒会長が登場します。
次回のエピソードから、オリジナル要素が強くなります。
その辺を予めご了承ください。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。