天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

25 / 137
第25話『人間と言ったら人間だ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第25話『人間と言ったら人間だ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???………

 

「カナダ戦線に居た部隊より連絡が入りました。カナダの全ての軍事力を無力化したと」

 

「韓国のISコアも全て回収しました。間も無くコチラに送られてきます」

 

「…………」

 

チミルフとシトマンドラが、螺旋王にそう報告するが、当の螺旋王は興味無さ気に頬杖を突いている。

 

それもその筈………

 

世界征服を志す彼にとって、制圧が上手く行くのは当然の事であり、揺るぎ無い事実だからだ。

 

しかし………

 

そんな事実を悉く覆している者達が居る………

 

「螺旋王様。先日東京に送った部隊ですが………自衛隊にある程度損害を与えましたが、グレン団によって壊滅させられました」

 

アディーネが恐る恐ると言った様子でそう報告する。

 

そう………神谷達が率いるグレン団だ。

 

「…………」

 

しかし、ロージェノムはやはり興味無さ気にしている。

 

「やはりグレン団の連中は厄介だわい………奴等のお蔭で、日本制圧の作戦だけが遅々として進まん………」

 

グアームが苦々しげにそう呟く。

 

「オノレェ………忌々しいグレン団め………」

 

「奴等も最近力を付けて来ている………」

 

「例の織斑 一夏ってISを使える男に関しては、愛機を第二形態移行(セカンドシフト)させたそうじゃないかい………益々手が付けられないよ」

 

チミルフ、シトマンドラ、アディーネが愚痴る様にそう呟く。

 

「どれ………ココは1つ、搦め手で言ってみるかのぅ」

 

すると、グアームが咥えていたキセルを吹かしながら、そう言った。

 

「!? グアーム! 何か策があるのか?」

 

「フフフ………正面から攻めて無理ならば内側から攻める………所謂、獅子身中の虫と言うヤツよ」

 

チミフルが問うと、グアームが不敵に笑いながらそう呟く。

 

「!? 成程………IS学園にスパイを送り込むのかい」

 

「その通り。内側から撹乱すれば、どんな連中も脆いものよ………」

 

「しかし、一体誰を送り込む積りだ?」

 

アディーネが策を察し、シトマンドラがそう疑問を呈する。

 

「フッフッフッ………そう言った任務に打って付けな奴がおる部隊が有るじゃろうが」

 

「! 成程………遊撃部隊のアイツか」

 

「確かに………アイツなら上手く人間共の中に溶け込む事が出来るかもしれないね」

 

「それに失敗したところで、屑を処分出来てコチラに損害は無しというワケだ」

 

非情な笑みを浮かべて、四天王はそう言い合う。

 

「螺旋王様、作戦の許可を貰ってもよろしいですかな?」

 

「………好きにしろ」

 

グアームの問いに、ロージェノムは素っ気なくそう言い放つ。

 

「では、早速取り掛かるとするかのう………」

 

それを聞いたグアームは、再びキセルを吹かして、作戦の準備に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長かったIS学園の夏休みも終わり………

 

2学期が開始された。

 

ロージェノム軍の世界征服は相変わらず続いているが、今日も今日とてIS学園は平常運転である。

 

 

 

 

 

IS学園・1年1組の教室………

 

「皆さん。今日から2学期が始まります。何時までも夏休み気分で居ては駄目です。気持ちを切り替えて、2学期も真面目に学問に、運動に取り組みましょう」

 

「「「「「「「「「「ハ~イ!!」」」」」」」」」」

 

教壇に立つ真耶の言葉に、生徒達は行儀良く返事を返す。

 

「ZZZZZZZzzzzzzzz~~~~~~~~~」

 

だがそんな中………

 

1人だけ2学期開始初日から爆睡している者が居る。

 

そう、他でもない神谷だ。

 

「あ、あの、神谷くん? 起きて下さ~い。今日から2学期ですよ~」

 

「ZZZZZZZzzzzzzzz~~~~~~~~~」

 

真耶の呼び掛けに、神谷はイビキを返す。

 

「ううう………」

 

真耶は涙目になる。

 

(新学期早々飛ばしてるな~、アニキ)

 

そんな神谷の姿を、一夏が尊敬の眼差しで見ている。

 

「「「「…………」」」」

 

箒、セシリア、シャル、ラウラが呆れた視線を送っているが………

 

「気、気を取り直しまして………実は皆さんに嬉しいお知らせが有ります」

 

と、真耶は諦めたか開き直ったかの様に、教壇に戻ってそう話し始める。

 

嬉しいお知らせと言う話に、生徒達はざわめきたつ。

 

「実は何と! 2学期から新しいお友達が増えます!!」

 

「新しいお友達?」

 

「って事は………」

 

「また転校生?」

 

真耶の言葉に、生徒達の間でそんな言葉が飛び交う。

 

「あ? 転校生だと?」

 

すると、寝ていた神谷が目を覚ました。

 

如何やら、面白そうな匂いを嗅ぎ付けた様だ。

 

「それでは、入って来て下さい」

 

「ハ~~イッ!!」

 

真耶がそう言うと、教室の前側の扉が勢い良く開き………

 

IS学園の制服に身を包み、褐色の肌をした、茶髪で帽子を被り、首に猫の首輪の様な鈴が付いたチョーカーを巻いた少女がスキップ気味に入って来た。

 

「スペインから来ました、『ティトリー・キャッツ』で~す! 皆! ギガンチョよろしく~!!」

 

その少女………『ティトリー・キャッツ』が、元気良く挨拶をする。

 

「スペインの人なんだ………」

 

「陽気そうな人だね」

 

「何で室内で帽子被ってるんだろ?」

 

ティトリーの姿を見た生徒達は、小声でそう話し合う。

 

「元気が良いのが転校してきたな。まるで鈴みたいだよな、アニキ」

 

一夏も、ティトリーのテンションを見て、神谷にそう言う。

 

「…………」

 

しかし神谷は、何やらジッとティトリーを見据えている。

 

「? アニキ?」

 

その様子に首を傾げた一夏が、言葉を続けようとしたところ………

 

「ね、ね、ね! 君が織斑 一夏くん?」

 

教壇の横に居た筈のティトリーが、何時の間にか一夏の前まで来て、そう話し掛けて来た。

 

「うわっ!? あ、ああ、そうだけど………」

 

驚きながらも、一夏はティトリーにそう返す。

 

「うわ~っ! 世界で初めてISを動かした男の子! よろしく! 仲良くしてね!!」

 

笑顔でそう言うティトリー。

 

「あ、ああ、よろしく………!?」

 

と、そんなティトリーに挨拶を返した瞬間!!

 

一夏は、箒、セシリア、ラウラからの殺気を感じた。

 

更に、2組の方でも鈴が何かの予感を感じ取っていたらしい。

 

(!? ア、アイツ等、何で殺気立ってるんだ!?)

 

その殺気に縮こまりながらも、一夏は何故殺気を出されているのかが皆目見当が付かない。

 

「…………」

 

「あ! コッチは噂のグレンラガンの装着者! 泣く子も黙るグレン団の鬼リーダー! 天上 神谷だね!! ギガンチョよろしくね!!」

 

「ああ………」

 

と、神谷の姿を見ると、ティトリーはそちらにも元気良く挨拶をするが、神谷は珍しく、簡単に返事を返す。

 

(? アニキ?)

 

その神谷の様子を、一夏が疑問に思っていると………

 

「静かにしろ! 授業を始めるぞ!! 2学期はもう始まっているんだ! いつまでも夏休み気分でだらけている奴は容赦しないからその積りで居ろ!!」

 

怒声に近い声と共に、千冬が教室に姿を見せた。

 

途端に生徒達は静まり返り、ティトリーも慌てて自分の席へ向かう。

 

こうして、1人の転校生と共に、IS学園1年1組の2学期は始まったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は流れ、昼時………

 

神谷と一夏は、何時ものメンバーにティトリーを加えて、食堂で昼食を取っていた。

 

「お魚! お魚!」

 

幸せそうな様子で、ティトリーは焼き魚定食を頬張っている。

 

「魚、好きなのか?」

 

そんなティトリーの様を見た一夏が、そう尋ねる。

 

「うん! ギガンチョ大好き!!」

 

ティトリーは無邪気な笑顔を浮かべてそう答える。

 

「それにしても凄いね~」

 

「? 何がだ?」

 

「だって、此処に集まってるのって、皆専用機持ちなんだよね?」

 

一夏、箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラを見回しながら、ティトリーはそう言う。

 

「ああ、そう言えばそうだな………」

 

「良いよね~、専用機~。アタシも欲しいな~」

 

ニコニコ笑いながらそう言うティトリー。

 

(………アレが白式かぁ)

 

その視線が、一夏の右腕に装着されている白式に注がれている事に、一夏達は気づいていない。

 

「「「「…………」」」」

 

そんな中、ご機嫌そうなティトリーとは対照的に、箒、セシリア、鈴、ラウラは不機嫌そうな表情を浮かべている。

 

何故なら、ティトリーがちゃっかりと、一夏の左隣を確保して座って居るからだ。

 

因みに、右隣は神谷が座って居る。

 

(うっ!? さっきから箒達の視線がキツい………俺、何かしたかな?)

 

そして一夏は、相変わらずその視線の意味が理解出来て居ない。

 

「…………」

 

一方、何時もなら騒がしい神谷は、如何いうワケか今日は随分と大人しく、まるでティトリーを観察する様に見ている。

 

「? 神谷? 如何したの? さっきからずっとティトリーの事を見てるみたいだけど?」

 

「ん? いや………何でもねえよ」

 

シャルにその事を指摘されると、神谷は珍しく誤魔化す様な返事を返す。

 

「…………(そんなにティトリーの事が気になるの?)」

 

そんな神谷の様を見て、シャルの中に嫉妬の気持ちが生まれ、不機嫌そうな顔になる。

 

「ところでさあ、ティトリー。ずっと気になってたんだけど………如何して帽子を被ったままなんだ?」

 

とそこで一夏は、彼女を見た時から感じていた疑問について本人に問い質した。

 

「え? えっと、それは………」

 

するとティトリーは言葉に詰まる。

 

「? 如何したんだ?」

 

「え~と………ア、アタシもう行くね!!」

 

と、一夏が更にそう問い質すと、ティトリーは慌てて席を立ち、食器を返却すると逃げる様に食堂から去って行った。

 

「あ、ティトリー?」

 

「? 何よ、アイツ?」

 

「あからさまに怪しいですわ………」

 

「挙動不審だったな………」

 

一夏、鈴、セシリア、箒がそう声を挙げる。

 

「うむ………如何にも奴からキナ臭い感じがするな」

 

更にラウラは、軍人として磨かれた危機意識が、彼女に対し何かしらかの警鐘を鳴らしていると訴える。

 

「…………」

 

そんな中、神谷は只黙って立ち去ったティトリーの先を見据えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

職員室にて………

 

「本当ですか? 織斑先生?」

 

「まだ物証や確証は無いが………生徒会長が疑っているそうだ」

 

真耶と千冬が、ある書類を見ながら、何やら話し合っている。

 

その間には、不穏な空気が漂っている。

 

「あの『更識家』が動いているんだ………全くのシロと言う事は考え難い」

 

「でも、書類に不審な点はありませんし、何よりスペイン政府も確かだって証言しているんですよ」

 

「だが、何か引っ掛かる点が有る事も確かだ………兎に角、この件は『更識家』に任せよう。我々は生徒達に悟られない様にしなければ………さあ、午後の実習授業に行くぞ」

 

「あ、ハイ」

 

そう言い合うと、2人は見ていた書類を机の上に放り、午後の授業の準備へと向かう。

 

その書類は………

 

ティトリーの個人情報が書かれた書類だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

ティトリーは………

 

「ハア………ハア………危なかったぁ」

 

食堂から逃げる様に飛びだしたティトリーは、校舎の外端に居た。

 

「バレてないよね………もしコレ以上失敗したら………アタシ………本当に処分されちゃうよ………」

 

そう呟くティトリーは、それまでの陽気で元気そうな様子がウソの様に、暗い表情を浮かべている。

 

「っと、イケナイ! 午後の授業は実習だった! 早く行かないと………」

 

「その前に、私とお話しない?」

 

「!?」

 

突然後ろから声を掛けられて、ティトリーは驚きながら振り返る。

 

「フフフ………」

 

そこには、扇子を口元に当てて不敵に微笑む、IS学園の制服を身に纏い、2年生用のリボンを巻いた1人の美少女の姿が在った。

 

「だ、誰!?」

 

「このIS学園で最強のIS乗り………かな?」

 

不敵な笑みを浮かべたまま、少女はティトリーにそう言う。

 

「さ、最強のIS乗り?」

 

「上手く化けたね………書類の偽造やスペイン政府のデータバンクを改変してまで………でも、『更識』の目は誤魔化せないよ」

 

「な、何の事? 全然分からないんだけど………」

 

「アラ? 惚けるの? じゃあ、言い逃れ出来ない様にしてあげる」

 

と、少女がそう言った瞬間!

 

その手に持っていた扇子が、ティトリー目掛けて投げ付けられた!!

 

「!? ニャアアッ!?」

 

回転しながら迫って来た扇子を見て、ティトリーは猫の様な悲鳴を挙げると、腰砕けになる。

 

その瞬間!!

 

少女が投げた扇子が、ティトリーの帽子を弾き飛ばした。

 

「ああっ!?」

 

慌てるティトリー。

 

帽子が弾かれて、露出した頭部からは………

 

猫の耳がピョッコリと生えていた。

 

更に、手が猫の肉球の様な手に変わり、スカートの裾からも猫の尻尾が飛び出している。

 

「やっぱり………獣人だったのね」

 

「ニャアッ!?」

 

ティトリーは慌てて、両手で頭の上の押さえ付ける様にして隠す。

 

「もう遅いわよ………何が目的でこの学園に潜入してきたのかは知らないけど………運が悪かったわね………この学園には暗部に対する暗部………『更識』が居るのよ」

 

と、少女がそう言った瞬間!

 

その姿が光に包まれ、ISを纏った姿となった!!

 

そのISは、アーマーの面積が全体的に狭くて小さいが、それをカバーするかの様に、透明の液状のフィールドが形成されており、宛ら水のドレスを纏っている様である。

 

中でも目を引くのは、左右に一対の状態で浮いている、結晶状のパーツ………アクア・クリスタルであり、そこから水のヴェールが展開されており、まるでマントの様に少女を包んでいる。

 

そして、得物である巨大なランスにも、表面に螺旋状に水が流れて回転しており、まるで水のドリルの様だった。

 

「気の毒だけど………此処でお終いね」

 

少女はそう言って、ランスを構え、ティトリーに突きを繰り出す。

 

「!? ニャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

ティトリーは悲鳴を挙げて、目の前の現実から逃避する様に目を瞑る。

 

だが、次の瞬間!!

 

ガキィンッ!!という甲高い音が響き渡った!!

 

「!? なっ!?」

 

直後に、少女の驚きの声が挙がる。

 

「?!」

 

如何したのだと思ってティトリーが目を開けると、そこには………

 

「………テメェ………何してやがる」

 

何と!!

 

何の前触れも無く現れた神谷が、愛用の長刀で少女のISのランスを受け止めていた!!

 

「!? 神谷!?」

 

(な、何故神谷くんが此処に!? って言うか、ISの攻撃を生身で受け止めた!?)

 

ティトリーが驚きの声を挙げ、ISを装着している少女も、表には出していないが内心では驚愕している。

 

「!? ハワワワッ!?」

 

と、そこでティトリーが、獣人の姿のままなのに気づき、慌てて手と尻尾を隠し、帽子を拾って被り直す。

 

「か、神谷! 今のは、その………」

 

「何やってんだ、ティトリー! 早く授業に行け!」

 

「えっ!?」

 

てっきりバレたと思っていたティトリーは、神谷のその言葉で呆気を取られた様な表情となる。

 

「次はブラコンアネキの実習授業だぜ。遅れたら大目玉だぞ!」

 

そんなティトリーに向かって、神谷はニヤリと笑いながらそう言う。

 

「う、うん! 分かった!!」

 

ティトリーは戸惑ながらも、その場から駆け出した。

 

「! 待ちなさい!」

 

「待つのはお前だぜ、辻斬り女」

 

ISを装着した少女が、慌ててその後を追おうとしたが、神谷が立ちはだかる。

 

「!? 何故邪魔をするの!?」

 

「お前こそ何で邪魔すんだよ? アイツは真面目に授業に出ようとしてるだけだぜ? ま、俺は今日はサボる積りだから如何でも良いけどよ」

 

「あの子は獣人よ! 貴方も見たでしょ!!」

 

神谷に向かってそう言うISを装着した少女だったが………

 

「何言ってやがる………アイツは人間だぜ」

 

神谷は当然の様にそう言い返した。

 

「!? 君こそ何を言ってるの!? 見たでしょ!! あの子のあの姿を!!」

 

「うるせぇっ! 俺が人間と言ったら人間だ!!」

 

「貴方にとっても獣人は敵でしょう! それを如何して!?」

 

「………敵って何だよ?」

 

「えっ?」

 

急に声のトーンが変わった神谷に、ISを装着した少女は戸惑いを浮かべる。

 

「お前にとって敵ってのは何なんだ? アイツは獣人だからってだけで敵なのか?」

 

「それは………と、兎に角! そこを退きなさい! 退かないなら………」

 

と、ISを装着した少女がそう言ってランスを構え直すと………

 

「ヘッ! 最初っからそうしろよ………その方が分かり易いぜ! グレンラガン! スピンオンッ!!」

 

神谷は長刀を納刀し、コアドリルを掲げると、グレンラガンの姿となる!!

 

「クッ! この分からず屋!!」

 

「うるせぇっ!!」

 

2人はそう言い合うと、ランスとドリルに変えた右腕をぶつけ合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

IS学園・第2グラウンドでは………

 

「オイ、天上とキャッツは如何した?」

 

既に千冬の授業が始まっており、神谷とティトリーが姿を見せていない事に気づいた千冬が、一夏にそう問い質す。

 

「さ、さあ? 如何したんでしょう?」

 

一夏は戸惑いながらそう答える。

 

神谷は昼食の後に分かれたきりであり、その後如何しているかは彼の与り知るところではない。

 

(如何したんだろ、アニキ? 身体動かすのは嫌いじゃないから実習の授業をサボった事は無かったのに………)

 

肉体派の神谷が、実習の授業に出て来ない事に一夏も疑問を感じる。

 

「まあ、神谷は良いとしても………キャッツの奴め………転校早々私の授業をサボるとは………良い度胸だ」

 

神谷に関しては諦めているが、ティトリーまでもが居ない様子に、千冬は納得が行かない様な表情を見せる。

 

すると………

 

「すみませ~ん! 遅れました~!」

 

そう言いながら、ISスーツ姿だが相変わらず帽子を被ったままのティトリーが姿を現した。

 

「遅いぞ! 転校初日から遅刻とは良い度胸だな!!」

 

「ア、アハハ、ゴメンなさい! 勘弁して下さい!」

 

少し引き攣った笑みを浮かべながら、ティトリーはそう言う。

 

「………まあ良い。それより、ティトリー。神谷を見なかったか?」

 

とそこで千冬は、念の為にと神谷について尋ねる。

 

「えっ!? えっと………神谷なら………」

 

と、ティトリーが言葉に詰まっていると………

 

校舎の方向から爆発音が聞こえて来て、黒煙が上がった!!

 

「!?」

 

「な、何事ですか!?」

 

千冬が驚き、真耶が慌てる。

 

生徒達も動揺している。

 

「まさか!? またロージェノム軍が!?」

 

と、一夏がそう言った瞬間………

 

その立ち上る黒煙の中に、2つの光が煌めいた。

 

「!? アレは!?」

 

シャルがそう声を挙げた瞬間!!

 

「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」

 

「うおわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

叫び声を響かせながら、その2つの光………

 

ISを装着した少女と、グレンラガンがブッ飛んで来て、グラウンドへと叩き付けられた!!

 

「!? グレンラガン!? 神谷!?」

 

「アニキ!?」

 

突然現れたグレンラガンの姿に、シャルと一夏が驚きを示す。

 

「!? アイツは!?」

 

一方千冬は、ISを装着している少女の方を見て驚きの声を挙げる。

 

「イツツツツツツ………やるじゃねえか!」

 

(クッ! この男………正直、只猪突猛進な奴かと思ってたけど………トンでもない奴ね)

 

何処か楽しげに言う神谷に対し、ISを装着している少女は内心焦っていた。

 

「このぉっ!!」

 

と、ISを装着している少女はランスを向けると、内蔵されていた4連装ガトリング・ガンをグレンラガン目掛けて発砲する。

 

「おおっ!!」

 

しかし、グレンラガンは大きく跳躍。

 

ガトリング・ガンの弾丸を躱す。

 

「!?」

 

「ニークラッシャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

そして、右足の膝からドリルを1本出現させたかと思うと、ISを装着している少女目掛けて、その右膝でニー・ドロップを繰り出して来た!!

 

「クウッ!!」

 

ISを装着している少女は、水のヴェールでそれを防ぐが、その際にヴェールに使っていた水がドリルによって撒き散らされる!!

 

「まだまだぁっ!!」

 

着地を決めると、更に追撃を浴びせようとするグレンラガン。

 

しかし………

 

「掛かったわね!!」

 

そう言って、ISを装着している少女が指を鳴らしたかと思うと………

 

グレンラガンの右足に掛かっていた水が爆発した!!

 

「!? おうわっ!?」

 

グレンラガンはバランスを崩して転倒する。

 

「!? 何だ今の!?」

 

「グレンラガンの足に掛かっていた水が爆発した!?」

 

「あの水………只の水ではないぞ」

 

それの光景を見ていた一夏、箒、ラウラがそう声を挙げる。

 

「この野郎!! 妙な真似を………うおっ!?」

 

立ち上がろうとしたグレンラガンが、再度バランスを崩して転倒する。

 

見れば、爆発した右足の装甲が完全吹き飛び、内部構造がショートして火花を散らしていた。

 

「それじゃあもう動けないでしょ………勝負ありよ」

 

「何が言ってやがる! たかが足1本くらい使えなくしたぐらいで! 勝った積りになるんじゃねえ!!」

 

神谷がそう叫び、グレンラガンはグレンブーメランを支えにしながら無理矢理立ち上がる。

 

「強がりは止めた方が良いよ。痩せ我慢は身体に毒よ」

 

勝利の余裕からか、ISを装着している少女は構えを解いてそう言う。

 

「へっ! 痩せ我慢が出来なくて、男が名乗れるかよぉ! うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

と、その瞬間!!

 

グレンラガンから目に見える程の螺旋力が溢れた!

 

その緑色の光が、損傷した右足を包み込んだかと思うと………

 

何と!!

 

あれ程の損傷が、まるで最初から無傷であった様に修復された!!

 

「!? 嘘っ!?」

 

「再生した!?」

 

「そんな!? ISにもある程度の自己修復機能はありますけど、あんな一瞬で損傷を再生させるなんて異常ですわ!!」

 

ISを装着している少女、一夏、セシリアが驚きを露にする。

 

「グレンファイヤアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

と、グレンラガンはそんな喧噪になぞ構わず、ISを装着している少女目掛けて、胸に再装着したグレンブーメランから熱線を放射する!!

 

「!? キャアアッ!?」

 

辛うじて、水のヴェールを使って防いだISを装着している少女だったが、グレンファイヤーの熱量の前に、その少女が纏っていたISの水が全て蒸発した!!

 

「!? そんな!? 『ミステリアス・レイディ』の『アクア・ナノマシン』を!?」

 

驚いたISを装着している少女が、思わずそう声を挙げる。

 

「貰ったぁ!!」

 

すると、グレンラガンは先程損傷した際に飛び散った装甲の破片を拾い上げると、ボディの顔の口に放り込む!!

 

ボディの顔の口が、装甲を噛み砕いたかと思うと、グレンラガンの右腕にガトリング砲の様に銃口が現れる。

 

「男のやせ我慢ショオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーット!!」

 

グレンラガンはそこから、ISを装着している少女目掛けて、装甲から変換した弾丸を連射する!!

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

水のヴェールを無くした少女のISに、次々に着弾する弾丸。

 

少女の装着していたISは、一瞬でボロボロにされる。

 

「クッ! 私とした事が………油断したよ! 一先ず此処は………戦略的撤退!!」

 

しかし、撃破には至らなかった様で、ISを装着している少女は急上昇して離脱する。

 

「あっ! 待ちやがれ………!? うっ!?」

 

逃げた少女を追おうとしたグレンラガンだったが、途端に急激な疲労が襲い掛かり、そのまま膝を突いたかと思うと、神谷の姿に戻ってしまう。

 

「ハア………ハア………クソッ! 情けねえぞ、神谷………この程度で息切れとは………」

 

「! アニキ!!」

 

「神谷!!」

 

滝の様な汗を流している神谷に、一夏とシャルが近づく。

 

「お、織斑先生! 如何して更識さんと神谷くんが!?」

 

「分からん………私の方が教えて欲しいぐらいだ」

 

困惑しながらそう尋ねる真耶に、千冬は頭痛を感じる頭を押さえながらそう返した。

 

(アイツめ………毎度毎度トラブルばかり起こしおって………しかし今回ばかりは相手が悪いぞ………如何する積りだ? 神谷)

 

一夏とシャルに助け起こされている神谷の姿を見ながら、千冬は内心でそう思う。

 

「…………」

 

一方、困惑している生徒達の中で………

 

只1人、ティトリーだけが辛そうな表情を浮かべているのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園に転校して来たスペインのIS乗り、ティトリー・キャッツ。

 

しかし、彼女の正体は獣人のスパイだった。

 

だが………

 

そんな彼女を、更識なるIS乗りから守った神谷。

 

一体彼は何を考えているのか?

 

そして、更識なるIS乗りの正体は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

2学期編、スタートとなりましたが、早くも波乱の予感です。

今回登場してティトリーは、ニンテンドウーDSのグレンラガンのゲームに登場したキャラクターです。
グレン団にスパイとして潜り込んでくるのですが、そんな彼女に何かを感じたカミナが獣人と知りながら迎え入れるというストーリーが展開されます。
この作品でも、それをリスペクトする事になると思います。

そして遂に登場した生徒会長。
しかし、この作品では彼女も神谷に振り回される事になるかと。
次回の本格的接触をお楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。