これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第30話『俺の弟分の物を取り上げるたぁ、ふてぇ野郎だ!』
IS学園・西方面………
森林地帯………
「だ………誰………?………」
一夏は薄れ行く意識の中で、突如現れた謎の覆面の少女………
『シュバルツ・シュヴェスター』を見ながらそう呟く。
「織斑 一夏。この場は私に任せろ」
しかし、シュバルツは一夏の疑問には答えず、アラクネを装着しているオータムを見据えながらそう言う。
「う………あ………」
まだ何か言おうとした一夏だったが、そこで遂に気絶してしまう。
「このクソガキ! 私に逆らおうってのかい!?」
「その積りだ………」
威圧する様に言うオータムの言葉にも微塵も臆する様子を見せず、シュバルツはそう返す。
「ハッ! ふざけんじゃねえ! テメェに何が出来るってんだよぉ!!」
生身でISの前に立ちはだかったシュバルツを嘲笑い、オータムは残っていた装甲脚のうち2本を、シュバルツ目掛けて振り下ろす!!
だが、次の瞬間………
オータムは驚くべき光景を目撃する事となる………
「むんっ!!」
「!? ん何ぃっ!?」
目を見開くオータム。
シュバルツは何と………
繰り出された装甲脚を………
素手で受け止めたのだ!!
そのままISのパワーに拮抗するシュバルツ………
いや、それどころか………
逆にオータムを押し返し始めた!!
「馬鹿な!? コイツ、人間か!?」
(このままでは一夏が巻き添えを食ってしまう………もう少し離れなければ………)
驚愕しているオータムを、シュバルツはドンドン押して行く。
「チキショウがぁ! 調子に乗るなぁ!!」
しかし、ある程度押されたところで、オータムはマシンガンを取り出し、そのまま至近距離でシュバルツに弾丸を浴びせた!!
「!?」
全身を穴だらけにされて、シュバルツはバタリと倒れる。
「ヘッ! 死ぬ事は死ぬのか………化け物め、驚かせやがって………」
そう言いながら、オータムは蜂の巣となったシュバルツの死体を蹴って、仰向けにする。
しかし、それはシュバルツではなく、シュバルツと同じコートを着せられた藁人形だった。
「!? 何っ!!」
「ハッハッハッ! 変わり身の術だ!!」
驚くオータムの耳に、得意気な笑い声が聞こえて来たかと思うと、前方に木の葉が舞い散って、シュバルツの姿が現れる。
「こんのぉ! 奇妙な真似しやがって!!」
オータムが怒りの声を挙げながら、装甲脚を2本向け、実弾を放とうとする。
「しぇあっ!!」
だが、発砲しようとしたその瞬間!!
シュバルツが装甲脚の銃口目掛けてクナイを投擲!!
クナイは銃口にスッポリと収まり、装甲脚が暴発する!!
「うおおおっ!?」
「隙有り!!」
その瞬間、シュバルツはオータムの右手を狙って手裏剣を投げ付ける。
手裏剣はオータムが握っていた白式のコアを弾き飛ばした!
遥か後方の地面の上に落ちる白式のコア。
「!? あっ! しまった!!」
「させんわぁ!!」
慌てて拾いに行こうとしたオータムだったが、そこでシュバルツが先に分銅が付いた鎖を伸ばし、オータムを縛り上げる!!
「ぐあっ!? チキショウがぁ!!」
鎖を外そうと藻掻くオータムだが、特殊合金で出来ているのかビクともしない。
「観念しろ! 亡国企業!!」
「ウルセェ!! テメェみてぇな変人にやられてたまるかぁ!!」
観念しろというシュバルツだが、オータムが聴き入れる筈は無い。
「そうか………ならば仕方ない!!」
それを聞いたシュバルツは、鎖を更に締め上げる!!
「ぐぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
身体がバラバラになりそうな圧力がオータムを襲う。
まだ絶対防御が効いているが、エネルギーが切れた瞬間にスプラッタな事になるのは間違いない。
すると………
突如として上空からレーザーが振って来て、オータムとシュバルツの間に伸びていた鎖に命中。
鎖を融解させて、切断した!
「!? 何っ!?」
驚きながらも、シュバルツはすぐに距離を取る。
すると上空から、何時ぞやの無人IS………ゴーレムIが3機現れた!!
「無人ISだと!?」
「クッ! おせぇーぞ、お前等ぁ!!」
身体に纏わり付いていた鎖を外しながら、ゴーレムI軍団に向かってそう言うオータムだが、無人ISのゴーレムIは何も返さない。
「チッ! まあ良い………そいつを足止めしろ! 私はその間に白式を回収する!」
オータムがそう命じると、ゴーレムI達はシュバルツを囲む様に布陣する。
「クッ!」
覆面で窺えないが、シュバルツは苦い表情を浮かべる。
「精々そいつ等と遊んでな。さて、白式を………」
オータムはそう言って、地面に転がっていた白式を回収しようとするが………
先程まで後方の地面に落ちていた筈の白式のコアが無くなっていた。
「!? 何っ!? 何処だ!? 白式のコアは何処へ行った!?」
慌てて白式のコアを探すオータム。
「ん?」
すると、遠くの方に………
走り去って行くメイド服姿の少女を発見した。
「!? まさか!? ええい、逃がすか!!」
オータムはすぐにその少女を追う。
「待て!!」
シュバルツが慌てて追おうとしたが、ゴーレムI達が阻む。
「チイッ! 傀儡如きが!! 出ろおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーッ! シュピーゲルゥッ!!」
シュバルツがそう叫ぶと、その身体が光に包まれ………
フリント型ヘルメットの様な頭部カバー装甲の付いた、両腕にトンファーの様にブレードの付いた、黒色の全身装甲(フルスキン)IS………
『シュピーゲル』の姿となった!!
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」
右腕のトンファーの様なブレード・シュピーゲルブレードを構えると、シュバルツはそのままゴーレムIを1機縦一文字に斬り裂く。
切断面から左右に真っ二つになると、そのまま爆散するゴーレムI。
すると、別のゴーレムIが右腕をシュバルツに向け、ビームを放つ。
「ハアッ!!」
しかし、シュバルツは跳躍して回避。
「ハアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」
そして、ビームを撃ったゴーレムI目掛けて、クナイを次々に投げ付ける。
全身にクナイが突き刺さり、ゴーレムIはハリネズミ状態になる。
その次の瞬間!!
ゴーレムIの全身に刺さっていたクナイが爆発!!
ゴーレムIは木端微塵に消し飛んだ!!
最後の1機のゴーレムIが、空中のシュバルツに向かって、両腕を合わせてビームを放つ。
両腕から放たれたビームが1つに絡み合い、シュバルツに向かう。
だが、そのビームがシュバルツに当たったかと思われた瞬間………
シュバルツの姿が煙の様に消えてしまう。
ゴーレムIが慌てて索敵を開始すると………
「此処だぁ!!」
足元の地面から飛び出して来たシュバルツが、シュピーゲルブレードを両腕に展開し、ゴーレムIの両腕を肩口から斬り飛ばした!!
ゴーレムIは、切断面から激しく火花を散らして悶える。
「トドメだぁ!!」
するとシュバルツは、シュピーゲルブレードを展開したまま両腕を交差させる様にして左右水平にブレードの切っ先が飛び出す姿勢を取ったかと思うと………
そのまま駒の様に高速回転し始めた!!
「シュトゥルム! ウント! ドランクウウウウウゥゥゥゥゥゥーーーーーーーッ!!」
そう叫ぶと、腕の無くなったゴーレムIに突撃して行く。
高速回転するシュバルツが、ゴーレムIに触れた瞬間………
ゴーレムIの身体が細切れになって行く!!
そして遂に、完全にバラバラとなった!!
「良し! オータムを追わねば………しかし、一夏を………」
それを確認するとISを解除し、オータムを追おうとするシュバルツだったが、倒れたままの一夏を放って置く事も出来ず、逡巡する。
すると、そこへ………
「一夏!? 如何した!?」
偶然上空を通り掛かった箒が、倒れている一夏を見て、慌てて降りて来た。
「篠ノ之 箒か。良いところへ来た」
「な、何だお前は!? 見るからに怪しいぞ!!」
シュバルツがそう言うが、箒はシュバルツの見るからに怪しい風体を見て警戒する。
「そんな事は如何でもいい! 一夏を頼んだぞ!!」
しかし、そんな箒を他所に、シュバルツは一方的にそう言って、オータムの後を追って行った。
「お、オイ! 待て!!」
「う………うう………」
「!? 一夏!? ええい!!」
慌ててシュバルツを追おうとした箒だったが、一夏が呻き声を漏らしたのを聞いて、止むを得ず彼の救助を優先したのだった。
一方、その頃………
白式のコアを持ち去ったメイド服姿の少女………
ティトリーは………
「やった! 遂にやった!! コレを持って帰れば………私は………」
白式のコアを持って、必死に走っている。
その顔は、思い詰めている様にも見える。
と、その時!!
走っていたティトリーの足元に、銃弾が撃ち込まれた!!
「ニャアッ!?」
驚いて足を縺れさせ、ティトリーはそのまま転んでしまう。
「見つけたぜ、クソガキ! よくも大事なISコアを掻っ攫ってくれたな………」
追い付いたオータムが、ティトリーの前に降り立ちながらそう言い放つ。
その顔には激怒の様子が浮かんでいる。
「ヒイッ!!」
そんなオータムの顔を見て、顔を引き攣らせると、慌てて白式のコアを隠す様にするティトリー。
「ほう、そうかい。大人しく渡す気は無いってか………なら」
そんなティトリーを見て、オータムはそう言うと、手にマシンガンを出現させ、ティトリーへと向ける。
「殺して奪い取るとするか!!」
「ヒイッ!?」
ティトリーは思わず目を瞑る。
その瞬間!!
回転しながら飛んで来たグラサン型のブーメランが、丁度オータムの顔面を捉え、命中した!!
「ぐがっ!?」
仰け反る程の衝撃を受け、オータムはぶっ飛ばされる。
「えっ!?」
ティトリーはそのオータムの声で目を開け、何が起こったのかを確認する。
「そこまでだ! この悪党!!」
そこでそう言う声が響いて来たかと思うと、上空からグレンラガンが現れ、着地する。
そして、オータムに当てたグレンブーメランを回収し、再び胸に装着する。
「まさか生き残りが居たとはね………亡国企業」
更に、楯無も現れてオータムの姿を見ながらそう言う。
「か、神谷!? コ、コレはその………」
グレンラガンの登場に、一瞬安堵の表情を浮かべたティトリーだったが、すぐに自分が白式のコアを持ったままである事に気づき慌てる。
だが………
「ティトリー! 誘導作戦、御苦労だったな!!」
「えっ!?」
突然神谷が言った言葉の意味が理解出来ず、ティトリーは困惑する。
「後は俺に任せておけ! そいつは俺が預かっておくぜ!!」
神谷は構わずそう続けると、ティトリーから白式のISコアを取る。
「あ! 神谷!」
「良いから、早く逃げろ!」
「! う、うん!!」
そう言われてティトリーは、神谷達から離れて行った。
「貴方………」
「理屈じゃねえんだよ………理屈じゃ」
何か言おうとした楯無に、神谷はそう言う。
「………そうね。理屈じゃ説明出来ない事もあるわね」
それを聞いて、楯無はフッと笑った。
「さて………俺の弟分の物を取り上げるたぁ、ふてぇ野郎だ! この神谷様が一夏に代わって成敗してやるぜ! 覚悟しやがれぇ!!」
そしてそこで、神谷はオータムに向き直り、ビシッと指を指すと、そう言い放つ。
「チイッ! 次から次に邪魔しやがって………まあ、良い。噂のグレンラガン! お前も頂くぞ!!」
顔を押さえながら立ち上がったオータムは、グレンラガンを見ながらそう言い返す。
「覚悟しろ! 私の顔を傷付けた代償は大きいぜ!!」
「何言ってやがる。大した顔でもねえくせに」
オータムのその言葉に、神谷は挑発する様にそう言い放つ。
「!! 殺す!!」
途端に、オータムは激怒した様子を見せ、マシンガンを構え、発砲する。
「おっと!」
そこで楯無がグレンラガンの前に出ると、水のヴェールでマシンガンの弾丸を受け止める。
「おらぁっ!!」
すると、白式のコアをボディの口の中にしまい、グレンラガンは楯無を飛び越える様に跳躍。
そして、再びグレンブーメランを外して、手に持って構えると………
「男の情熱! 燃焼斬りいいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」
必殺の男の情熱燃焼斬りを繰り出す。
「チイッ!!」
オータムは舌打ちする様に言うと、バックステップで距離を取る。
グレンラガンの攻撃は、地面を大きく爆ぜさせるだけで終わる。
「喰らいやがれ!!」
オータムはそこで、残っていた4本の装甲脚を全て展開し、グレンラガン目掛けて一斉射撃を見舞う。
「何のぉ!!」
だが、グレンラガンが右腕を突き出す様に構えたかと思うと、その腕がドリルに変わり………
更にそのドリルが傘の様に開いて楯となり、オータムの一斉射撃を防いだ!!
「何ぃっ!?」
ドリルの思いもしない使い方に、オータムが驚きを示す。
「オラ、喰らえぇっ! 超電磁パアアアアァァァァァーーーーーーンチッ!!」
そこでグレンラガンは、左手に持ったままだったグレンブーメランを胸に再装着すると、右手をドリルから戻し、電磁波を纏わせてオータムに叩き込んだ!!
「!? ぐああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」
絶対防御は貫けなかったが、大きなダメージを与える事に成功し、オータムは大きく後退る。
「ハイッ!!」
更に、楯無が左手に持ったラスティー・ネイルの刃が伸びて来て、装甲脚を1本斬り飛ばした!!
「クソッ! あの覆面野郎から喰らったダメージさえなけりゃあ、こんな奴等!!」
シュバルツから喰らったダメージが大きかったのか、終始押され気味なオータム。
「トドメよ! 亡国企業!!」
そんなオータムにトドメを刺そうと、楯無がラスティー・ネイルを戻し、蒼流旋を両手で構えて突撃する。
「クソがぁ!!」
悪態を吐くオータムだが躱せそうにない。
と、その時!!
「!! あぶねぇ! 避けろぉ!!」
突然グレンラガンが、楯無に向かってそう叫んだ。
「えっ?」
楯無がその言葉の意味を理解出来ず、首を傾げた瞬間………
凄まじい火炎攻撃が、オータムと楯無を包み込んだ!!
「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」
悲鳴を挙げるオータムと楯無。
「楯無! 大丈夫か!?」
火炎が収まると、グレンラガンはすぐに倒れそうになった楯無に駆け寄り支える。
「え、ええ、何とか………」
幸い、ミステリアス・レイディの特徴である水のヴェールが守ってくれた様で余りダメージは無い様だが、それでも装甲が一部融解を起こしていた。
「グアアアアァァァァァーーーーーーッ!? 熱い!! 熱い! 熱いいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」
とそこで、オータムの絶叫が聞こえて来る。
如何やら絶対防御が一部貫かれたのか、煙を上げている顔の左半分を手で抑えて苦しんでいた。
「居たぞ! グレンラガンだ!!」
「さっきのお返しをたっぷりしてやるぜ!!」
そんな一同の元へ、第4アリーナで神谷が気迫で追い払った獣人達が現れる。
「チッ! またテメェ等か………今取り込んでんだ! 後にしろ!!」
「知るかそんな事!!」
「貴様の首を螺旋王様に捧げるのだ!! 行け!! ゴーストファイアーV9!!」
神谷がそう叫ぶと、獣人達はそう叫び返し、左右に広がる様に道を開けた。
するとそこから………
古代ギリシアの戦士を思わせる恰好で、両腕の先が棘付きの鉄球になっており、頭頂部に炎が噴き出ている鶏冠を持ったロボットが姿を現す!!
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
そのロボットが、獣の様な咆哮を挙げる。
「機械獣ゴーストファイアーV9! 貴様の火炎と鉄球でグレンラガンを倒せ!!」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
獣人がそう命じると、ロボット………『機械獣ゴーストファイアーV9』は、グレンラガンと楯無に向かって行った。
「! うおっ!!」
「キャッ!?」
すぐに、2人別々な方向へと躱す。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
するとゴーストファイアーV9は、グレンラガンの方に狙いを定め、すぐに追い縋って来た。
「! 野郎!!」
突っ込んで来たゴーストファイアーV9に組み付いて押し留めるグレンラガン。
そのまま両者は力比べに突入する。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
しかし、ゴーストファイアーV9は頭部の炎の鶏冠を向けたかと思うと、そこから凄まじい火炎を浴びせて来た!!
「!? うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」
グレンラガンはその火炎の勢いで吹き飛ばされ、木に叩き付けられる。
叩き付けられた木が乾いた音を立てて倒れ、グレンラガンに覆い被さる。
「神谷くん!!」
それを見た楯無が、蒼流旋を構えてゴーストファイアーV9に突撃する。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
だが、ゴーストファイアーV9はそれに気づくと、両手の棘付き鉄球を手から外し、鎖で腕と繋がった状態にする。
そして、勢い良く回転させると、楯無目掛けて放り投げて来た!!
「!? キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」
蒼流旋を楯にして直撃を防いだものの、凄まじい衝撃を受けて、楯無は地面に叩き付けられる。
「クソッ! 私の顔がぁ! しかし、退くには今しかない………覚えていろ! グレンラガン!! ケダモノ共!! 必ず貴様等に復讐してやる!!」
とそこで、完全に顔の左半分が焼け爛れたオータムがそう声を挙げ、2人がゴーストファイアーV9と戦っているドサクサに紛れて撤退して行く。
「!? 待ちなさい!!」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
楯無が追おうとするが、ゴーストファイアーV9が貴様の相手は俺だと言わんばかりに立ちはだかる。
「クッ! このぉ!!」
楯無は蒼流旋に内蔵されていた4門のガトリングガンからの弾丸を浴びせる。
しかし、弾丸はゴーストファイアーV9の装甲で弾かれ、全て地面に落ちてしまう。
「クッ! 何て装甲なの!?」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
その瞬間、再び頭部からの火炎放射を見舞うゴーストファイアーV9。
「!!」
楯無が回避すると、火炎放射は森へと直撃。
一瞬にして森林火災を引き起こす!!
「!! ハアッ!!」
それを見た楯無は、慌ててミステリアス・レイディの水のヴェールの一部を霧状にして散布。
火災を消し止める。
しかし、それによって消耗していた水のナノマシンは、更に残り少なくなる。
「クッ! マズイ! このままじゃ………」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
楯無が思わずそう呟いた瞬間、ゴーストファイアーV9の腕の鉄球の鎖が、楯無の足に巻き付いた!!
「!? しまっ………」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
た、と楯無が言う前に、ゴーストファイアーV9は腕を振り上げ、楯無の身体を上空へと投げ飛ばす!!
「!? キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
そしてそこから、一気に地上目掛けて叩き落とした!!
「!? ガハッ!?」
身体に走った衝撃で、楯無は吐血する。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
そのまま、地面に倒れている楯無にトドメを刺そうと、ゴーストファイアーV9が近づいてくる。
「ぐうう………」
必死に起き上がろうとする楯無だが、ダメージが大きく、身体が思う様に動かない。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
ゴーストファイアーV9は、楯無に鉄球を見舞おうと腕を振り回す。
だが、そこで………
「俺を忘れるんじゃねえぇっ!!」
下敷きにしていた大木を弾き飛ばし、グレンラガンが飛び出した!!
「グレンバスタアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」
そして、両腕に2本づつドリルを出現させると、ゴーストファイアーV9の背中に突き刺す!!
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
背中から串刺しにしたゴーストファイアーV9を持ち上げると、そのままドリルを伸ばし、上空へと運ぶグレンラガン。
そしてそこでドリルを引っ込め、ゴーストファイアーV9を叩き落とす!!
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?
遥か上空から叩き落とされ、ゴーストファイアーV9は地面に派手なクレーターを作って墜落する。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
だがすぐに、グレンラガン目掛けて、頭部から火炎放射を見舞って来る。
「!? うおおおっ!?」
咄嗟にガード姿勢を取ったものの、ゴーストファイアーV9の火炎放射は続けられ、グレンラガンは炎に包まれる。
「良いぞ! そのままグレンラガンを焼き尽くしてしまえ!!」
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
獣人の声に、ゴーストファイアーV9は立ち上がりながら、更に火炎放射を続ける。
「うぐおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
神谷の声が挙がる中、徐々にグレンラガンの身体が溶け始める。
「こなくそぉっ!!」
だが、グレンラガンはその状態で、炎の中を進み始めた。
グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!
ゴーストファイアーV9の火力が更に上がる。
「…………」
だがグレンラガンは歩みを止めず、1歩、また1歩と炎の中を突き進んでゴーストファイアーV9に接近して行く。
その様に、ゴーストファイアーV9は狼狽える様な様子を見せる。
そして遂に………
グレンラガンはゴーストファイアーV9の眼前にまで接近!!
「むんっ!!」
両腕を伸ばし、ゴーストファイアーV9の両肩を摑んで捕まえる。
慌てて振り解こうとするゴーストファイアーV9だったが………
「ドリルヘッドバットォッ!!」
それよりも早く、グレンラガンが額にドリルを出現させ、ゴーストファイアーV9に頭突きを繰り出した!!
ドリルの頭突きが、ゴーストファイアーV9の頭部を粉々に粉砕する!!
頭部が無くなった事で火炎放射も止まり、頭の無くなったゴーストファイアーV9は数メートル後退る。
だが、その状態で両手の鉄球を、グレンラガン目掛けて放つ!!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
だが、迫り来る鉄球に向かって、グレンラガンはドリルに変えた両腕を叩き込んだ!!
ドリルとブツかった鉄球は粉々に砕け散る。
全ての武器を失ったゴーストファイアーV9。
「ぐうっ!?」
しかし、グレンラガンの方も無理が祟ったのか、膝を付いてしまう。
そこで、武器を無くしたゴーストファイアーV9が、最後の手段とばかりに体当たりを敢行して来る。
膝を付いたグレンラガンは避けられない………
だが!!
「頼んだぜ………楯無」
グレンラガンがそう言った瞬間………
「OK!」
楯無が、ラスティー・ネイルでゴーストファイアーV9を縛り付け、動きを止めた!!
「特別大サービス! 遠慮せずに! 全部持って行って良いよ!!」
そして、残っていたアクア・ナノマシンを、全てゴーストファイアーV9に噴き付ける!!
「清き熱情(クリア・パッション)ッ!!」
楯無がそう言って、指を鳴らした瞬間………
ナノマシンが発熱し、水を瞬時に気化。
その衝撃や熱で大爆発が起こり、ゴーストファイアーV9は粉々に消し飛んだ!!
辺り一面に、ゴーストファイアーV9の部品が降り注ぐ。
「ゴ、ゴーストファイアーV9がやられた!?」
「うわああっ!? 逃げろぉ!!」
それを見た獣人達は、忽ち逃げ出し始める。
「ハア………ハア………危なかった………」
その直後に、楯無がへたり込む。
既にアクア・ナノマシンは底を突き、シールドエネルギーも2ケタまで減っていた。
「大丈夫か? 楯無」
と、若干無理矢理立ち上がったグレンラガンが、楯無の傍に寄ると手を差し出す。
「貴方こそ………随分無茶したじゃない」
「へっ! この程度! 如何って事ねえよ!!」
「強がっちゃって………」
そう言いながらも、楯無はグレンラガンの手を取って立ち上がるのだった。
「フッ………如何やら要らぬ心配をしてしまった様だな」
その光景を、やや離れた高い木の天辺に片足立ちして見ているシュバルツ。
「だが、一夏………お前の方はまだまだ未熟だ………その腕では仲間どころか己の身さえ守れん………それを理解するのだな………」
そしてそう呟いたかと思うと、シュバルツの身体が旋風に包まれる。
その旋風が止んだかと思うと………
シュバルツの姿は忽然と消えていたのだった………
◇
それから間もなく………
グレンラガンと専用機持ち、学園教師・上級生部隊の反撃を受けたロージェノム軍は大損害を被り、完全に撤退。
IS学園には再び静寂が戻っていた。
そんな学園の校舎前にて………
「ホラよ、一夏」
神谷がそう言って、白式のコアを一夏に投げ渡す。
「白式! 良かった………」
受け取ったコアを大事そうに握り締める一夏。
すると、コアが光を放って、再びガントレットの形になり、一夏の右腕の装着される。
「ティトリーに感謝しとけよ、一夏。コイツがお前の白式を守ってくれたんだからな」
そういう神谷の隣には、彼が半ば強引に連れて来たティトリーの姿が在った。
「ありがとう、ティトリー! お蔭で助かったよ!!」
「う、うん………」
ティトリーの手を取って感謝の意を伝える一夏だったが、対するティトリーは何処か気不味そうであり、視線を合わせていない。
しかし、白式を取り戻した嬉しさからか、一夏はそんなティトリーの様子に気づいてない。
「「「「…………」」」」
そして、自分に殺気の籠った視線を送っている箒、セシリア、鈴、ラウラの存在にも………
「織斑先生から連絡が入ったよ。残っていたガンメンは全て撤退したって」
そこで楯無が、千冬からの通信を受け、改めてそう報告する。
「そうか………コレで一安心だな」
「それにしても………一夏を助けた覆面の女性って………一体誰なんだろ?」
安堵の息を吐く一夏だったが、そこでシャルがそう疑問を挙げた。
「見るからに怪しい奴だったのは確かだな………」
シュバルツの恰好を思い出し、箒がそう呟く。
「確か………『シュバルツ・シュヴェスター』って名乗ってた気がする」
一夏が朧気な記憶を如何にか思い出しそう言う。
「『シュバルツ・シュヴェスター』?」
「ドイツ語だな。意味は………『黒い姉妹』だ」
鈴が首を傾げ、それがドイツ語である事に気づいたラウラがそう訳す。
「黒い姉妹?」
「ひょっとして………織斑先生?」
セシリアが首を傾げ、シャルがもしかしてとそう発言する。
「そう言えばあの声………千冬姉に似てた気が………」
一夏も、朧気な意識の中で聞いた声が、千冬のものと似ていた事を思い出す。
「ええ、まさか………千冬さんってそんな趣味があったの?」
「きょ、教官が………」
鈴が呆れる様な声を漏らし、ラウラがショックを受けた様な様子を見せる。
「いや、私は直接姿を見たが、千冬さんとは身長が違ったぞ」
「それに織斑先生はずっと学園の職員室で指揮を執っていたわ。山田先生も一緒だったし」
しかし、箒と楯無がそう反論した。
「じゃあ、アレは一体………?」
一夏は首を傾げる。
ロージェノム軍は退けたものの、また新たな疑問が出て来ていた。
「ま! 良いじゃねえか! そいつのお蔭でお前は助かったんだし、白式も何とかタンスとか言う連中に渡さずに済んだ!! それで良いじゃねえか!!」
しかし、神谷が細かい事は気にするなと言い、そのまま呵々大笑する。
「神谷………」
「神谷、アンタはもう………」
「フフフ………神谷らしいね」
そんな神谷の姿に呆れる箒と鈴、そして笑みを零すシャル。
「それもそうね………それじゃあ、学園祭の仕切り直しといきましょうか!!」
とそこで、楯無がそう宣言する。
「ええっ!? 学園祭………続けるんですか!?」
その言葉に、一夏が驚く。
「当然よ! 今回の襲撃で生徒の皆は恐怖に震えているわ。そして獣人達は自分達が大きな戦果を挙げたと思っている………そんな生徒達の恐怖を払拭し、獣人達に私達が何とも思っていない事を示す意味でも! 学園祭は最後までやるわ!!」
楯無はそう啖呵を切る様に叫ぶ。
「言うじゃねえか、楯無。流石はIS学園最強の生徒会長だな!」
「フフフ、貴方の活躍も素晴らしかったわよ………グレン団の鬼リーダー」
「ヘッ!」
「フフフ………」
神谷と楯無は、互いに顔見合わせて笑い合った。
「………如何なってるのコレ?」
「何時の間にか仲良くなっている………」
鈴と箒が、唖然としながら驚きの言葉を漏らす。
知り得る限り険悪な雰囲気であった筈の2人が、この数時間で何があったのか、凄まじく仲良くなっている。
「多分、アリーナの一件で、お互いを認め合ったんだよ。アニキは本気で頑張ってる人が好きだから」
「成程………神谷らしいね」
一夏がそう言うと、シャルが納得が行った表情となる。
「さあ! 学園祭のやり直しよ! 皆で思いっきり盛り上がりましょう!!」
「………また王子役は勘弁して下さい」
生徒会の劇が再開される事を懸念した一夏が、懇願する様に楯無にそう言ったが………
「ふふふ、如何しようかな~?」
「ちょっ! マジ勘弁して下さいって~~~っ!!」
微笑む楯無に、一夏の心からの叫びが炸裂するのだった。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
謎の覆面少女、シュバルツ強し。
果たして、その正体は一体誰なのか?(爆)
そして今回から登場のロージェノム軍の新戦力・機械獣。
獣人がいるから、機械獣がいてもいいかなと思いまして。
今後も様々な敵が出てきますので、そちらもお楽しみに。
さて、共闘するほどに打ち解けた神谷と楯無。
次回、そんな楯無が思わぬことを?
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
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天元突破ISと同時
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土曜午前7時
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別の日時(後日再アンケート)