これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第31話『グレン団を我が校の正式な部活として認める事にしました!!』
波乱の学園祭から3日が過ぎ………
生徒達が落ち着きを取り戻した頃………
生徒会からの重大な知らせがあるとの事で、緊急の全校集会が行われる事となった。
集合場所に全校生徒が集まり、生徒会長である楯無の登場を待っている。
一夏達も1組の生徒と共に集合し、楯無を待っているのだが………
「オイ、一夏。神谷の奴は如何したんだ?」
「それが、何か用があるから先に学校へ行けって言われて、寮で別れたきりなんだ」
箒と一夏が、小声でそう言い合う。
そう………
1年1組の列の中に、神谷の姿が無いのだ。
遅刻自体は彼がそういった行為の常習犯である為、然程気にする事でもない事だが………
一夏の話によれば、用事が有って一夏を先に登校させたと言うのが気になる。
「あ! 来た!」
と、クラスメイトの1人がそう声を挙げると、楯無が檀上に立った。
ヒソヒソ話がピタリと止み、全校生徒の視線が楯無に集まる。
「さあ、皆。お早う。昨日はよく眠れたかな?」
楯無は生徒達の緊張を解す様に、微笑みながらそう挨拶をする。
「さて、早速本題に入らせてもらうけど………この間の学園祭は大変だったねぇ」
そう言葉を続けると、生徒達は互いに顔を見合わせる。
「けど、獣人達の攻撃にも負けず、私達は祭を続けた。何故だと思う? それは学園祭を中止する事が、私達の真の敗北だからだよ」
楯無がそう言うと、生徒達がざわめき始めた。
「ロージェノム軍は今も世界各国で猛威を振るってる。こうしている間にも、新たに戦火が広がっている場所が出ている………けど! 人類は決して敗北したワケじゃない!! 決してロージェノム軍に屈したりはしない!!」
段々と言葉に熱が入り始める楯無。
まるで演説をしているかの様な熱気が、この全校集会の場にはあった。
「そして! 我がIS学園も決してロージェノム軍に屈したりはしないわ! 人類は必ず勝利する!! その時まで! この学園の平和は、この私!! IS学園生徒会長! 更識 楯無が守ってみせるわ!!」
そう楯無が宣言した瞬間、全校生徒達から歓声と共に拍手が巻き起こる。
「楯無さん………」
「「「「「「…………」」」」」」
そんな楯無の姿に、一夏と箒達が見惚れる。
すると………
「さて………実は今日皆に集まって貰ったのは大事な話があるからなんだ」
そこで楯無は、先程までの熱の入った態度とは違い、楽しそうな笑みを浮かべてそう言って来た。
「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」
突然変わった楯無の様子に、全校生徒は首を傾げる。
「実はね………さっきは私がこの学園を守るなんて言っちゃったけど………正直に言うと、私1人じゃキツいと思うんだよね」
そして、先程の宣言を打ち消すかの様な弱気な言葉に、全校生徒達は更に困惑する。
すると楯無は、その様子に満足げな表情を浮かべ、ニヤリと不敵に笑った。
「そこで! 私は生徒会長として! ある団体に正式に学園を守って欲しいと頼んだわ!! 今日はその団体の代表を皆に紹介したいと思います! どうぞ!!」
と、楯無がそう言うと、1人の人物が壇上に姿を現す。
「!? んなぁっ!?」
「「「「「「!?」」」」」」
「「「「「「「「「「?!!?!?」」」」」」」」」」
思わず一夏が素っ頓狂な声を挙げ、箒達も驚愕を露わにし、全校生徒達は言葉を失った。
何故なら、壇上に現れた人物は………
神谷だったからだ!!
「おうおうおうおう! テメェ等! 耳の穴かっぽじって、よ~く聞きやがれ!!」
呆気を取られている全校生徒達に向かって、神谷は楯無に代わる様に立ち、そう言い放つと右手を真上に掲げて、天を指差すお決まりのポーズを決める!
「IS学園に悪名轟くグレン団! 男の魂、背中に背負い! 不撓不屈の! あ! 鬼リーダー! 神谷様たぁ、俺の事だ!!」
そして、お決まりの口上を並び立てた。
「御存じの人も多いと思うけど、彼が音に聞くグレン団の鬼リーダー、天上 神谷よ。今まで学園を襲撃して来たロージェノム軍は、彼と彼が率いるグレン団の活躍で退けられていたわ」
すると楯無が、神谷の横に立ったままそう言って来る。
「そこで私はその功績を称え! グレン団を我が校の正式な部活として認める事にしました!!」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
一瞬、楯無が何を言ったのか理解出来ない全校生徒達。
「「「「「「「「「「えええぇぇぇぇ~~~~~っ!?」」」」」」」」」」
やがて漸く理解出来た瞬間、誰もが驚愕の声を挙げた!!
しかし、彼女達にとって最も驚くべき事態はこの後に発生する!!
「それに伴い! 獣人襲撃で無効のままとなってしまった織斑 一夏の所属を、グレン団のものとする事を決定しました!!」
「「「「「「「「「「えええぇぇぇぇ~~~~~っ!?」」」」」」」」」」
全校生徒達の顔に、驚愕と共に絶望の色が浮かぶ。
「彼は元々グレン団の団員であり、そのグレン団の活動が部活動の一環として認められた以上、そこに所属するのは自明の理です」
「つーワケだ! ワリィな、お前等! 一夏はグレン団の団員だ!! ま、如何してもって言う奴が居たら、俺に頼み込めば貸してやらない事もないぜ!!」
そんな生徒達に向かって楯無と神谷はそう言い放つ。
「! 頼み込めば貸してくれる!?」
「いや、でも、それって………あの天上 神谷に直接言わなきゃいけないんでしょ?」
「正に虎穴に入らずんば虎子を得ずね………」
途端に生徒達はざわめき立つ。
一夏は是非とも借りたい………
だがその為には、あの神谷にお願いしなければならない………
何とも言えない葛藤が、生徒達の心の中で渦巻いていた。
「なら、早速だけど、生徒会に貸してくれないかしら? 副会長の椅子を用意してるんだけど?」
するとそこで楯無が、何の躊躇も無く、神谷にそう頼み込んだ。
「ほう? 悪くねえな………良いぜ、貸してやるよ」
「ちょっ!? アニキ!?」
自分を無視して勝手に進んで行く事態に、一夏が声を挙げるが、それは生徒達の喧騒の中に掻き消される。
「天上 神谷………コレからは共に守って行きましょう! この学園の平和を!!」
「フッ、そいつは違うぜ、楯無。俺達は………世界の平和を守るのさ!!」
「成程………目標は大きくって事ね!」
「そう言うこった!!」
そして、楯無と神谷はそう言い合い、ガッチリと握手を交わす。
「あわわわ!? 何だか勝手に話が………良いんですか、織斑先生!?」
勝手に色々な事が決まって行き、慌てる真耶が千冬に声を掛けるが………
「………フ………フフフ………フハハハハハ」
当の千冬は、何故か笑い声を挙げ始める。
「お、織斑先生………?」
「もう限界だぁっ!! 私はIS学園を辞めるぞ! ジョジョーッ!!」
そしてそう言い放つと、懐から石仮面………ではなく、辞表を取り出した!
「お、織斑先生! 落ち着いて下さいっ!! ジョジョって誰ですか!?」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーっ!! WRYYYYYYYYY!!」
吸血鬼になったかの様なテンションの千冬を、真耶は必死に止めるのだった。
斯くして、この全校集会にて………
グレン団はIS学園の正式な部活として承認され………
名実共にIS学園の守り手となった!!
そして………
一夏も生徒会副会長への就任が決まったのだった………
◇
その日の放課後………
IS学園・生徒会室にて………
「それでは~! グレン団の正式な部活への承認並びに、織斑 一夏くんの生徒会副会長就任を祝いまして~………乾杯!!」
「「乾杯~~~っ!!」」
「「「「「「「「か、乾杯~?」」」」」」」」
楯無の音頭に、ノリノリで答える神谷とのほほんに、やや戸惑いを浮かべながら合わせる一夏達。
「それそれ~! 飲め! 食え! 歌え! 騒げ~!!」
「じゃあ私、歌うね! 『続く世界』!!」
神谷がそう言うと、のほほんがカラオケ機のマイク(楯無が生徒会運営費用で購入)を手に取り、歌い始める。
「ヒューッ! ヒューッ! 良いぞ良いぞー!!」
そんなのほほんを、楯無が囃し立てる。
「………何故こんな事に?」
馬鹿騒ぎの中、一夏は困惑を隠せずにそう呟いた。
「あら、一夏くん。如何したの? まさか副会長の椅子じゃ不服だとか? 流石に生徒会長の椅子は渡せないわよ」
そんな一夏の姿を見た楯無がそう言って来る。
「い、いや………アニキと楯無さんが仲良くなったのは良いけど………昨日の今日でこんな共謀をされるとは………」
「共謀だなんて心外だな~。私は神谷くんの事を対等だと認めたから、今回の措置を取ったんだよ」
「そうだぜ、一夏! これからは生徒会長さんのお墨付きで暴れられるってんだ! 良い事じゃねえか!!」
「まあ、あんまり派手に暴れられ過ぎても困るけどね~」
以前の険悪な雰囲気は何処に行ったのやら………
神谷と楯無は、ノリノリな様子でそう会話を交わしている。
「何か今の楯無さんって、神谷に似てる様な気がするね………」
「結局は似た者同士の衝突だったワケね………」
「ぶつかり合って意気投合か………まるで漫画だな」
シャル、鈴、箒が、そんな神谷と楯無の姿を見てそう呟く。
「実質、神谷が2人になった様なものか………」
「私、ちょっと眩暈がして来ましたわ………」
ラウラとセシリアは、これからも2人に振り回されるであろう光景を想像し、深い溜息を吐いた。
「俺は早くも大変だよ………いきなり生徒会の副会長を務めなきゃいけないなんて………」
一夏も深い溜息を吐き、用意されていた紅茶を啜る。
「心配すんな、一夏! お前はグレン団の斬り込み隊長! その事は変わっちゃいねえよ!!」
「いや、そう言う問題じゃないんだけど………」
相変わらず的外れな事を言って来る神谷に、一夏は苦笑いを浮かべる。
「まあ………仕方ないか………」
だが、神谷がこうなってはもう如何にもならない事は良く知っている為、諦めたかの様に今の自分の立場を受け入れるのだった。
「あ~! もう! こうなりゃ自棄よ!! ジャンジャン持って来なさい!!」
「飲んでないとやってられませんわ!!」(注:飲んでるのは紅茶です)
と、いい加減困惑しっぱなしと言うのにも飽きたのか、鈴とセシリアがそう声を挙げ、無理矢理騒ぎ始める。
「えっと………箒、こんな時どうすれば良いのかな?」
「………笑えば良いと思うぞ」
「ハア~~」
無理矢理テンションを挙げて騒いでいる鈴とセシリアを見て困惑して箒に尋ねるシャルに、力の無い回答を返す箒。
そして、ラウラは深い溜息を吐く。
「…………」
そんな中、このカオスな生徒会室の中で、1人上の空な虚の姿が在った。
「………ハア~~」
彼女は何やら、生徒会室の窓から徐々に秋となり、高くなって行く空を見上げながら、溜息を吐く。
「? 虚さん? 如何したんですか?」
そんな虚の様子に気づいた一夏が声を掛ける。
「!? えっ!? ああ、ううん! 何でも無いわ!」
「お姉ちゃんね~。この間の学園の時に助けてくれたおりむーの友達の事がね~。好きになっちゃみたいなの~」
取り繕おうとした虚だったが、のほほんの暴露でそれは無駄な努力に終わった。
「ちょっ! 本音!?」
「アラアラ~! そうなの~! 詳しく教えてよ~!!」
慌てる虚に、いの1番に食いついた楯無がそう問い質してくる。
「お、お嬢様! 私は、その………」
「もう~! お嬢様は止めてって言ってるでしょう~! で、如何なの!? その子良い男なの?」
「当たり前だぜ! 何せグレン団特攻隊長の弾だぞ! 気に入らねえワケがねえだろ!!」
戸惑う虚を楯無が更に問い詰めると、それを聞いていた神谷がそんな事を言って来た。
「えっ? 何!? 虚先輩、あんな奴に惚れたの? 信じられないわね………」
と、一夏と神谷の他に弾を知る鈴が、信じられないと言う表情を浮かべて虚を見遣る。
「「「「…………」」」」
良く見ると、箒やシャル達も、何時の間にか虚に視線を集中させていた。
やはりこの年頃の女の子は、自分の恋愛の他に他人の恋愛にも興味津々の様である。
「そ、そんなに注目しないで下さい!」
「さあさあ! 正直に白状しちゃいなよ~! 良い男なの!?」
赤面する虚に、楯無が更に迫る。
「う、うう………何を持って良い男と言うか如何かは分かりませんけど………少なくとも、強くて優しい人だとは思いました………不良に絡まれた私を、自分が怪我をしてまで助けてくれましたし………獣人の襲撃があった時も、ずっと私を守っててくれましたので」
「あの弾が!? 益々信じられないわね………」
「馬鹿野郎! 弾は一夏と同じく俺の弟分! その俺が認めた兄弟分が情けねえ奴のワケがねえだろ!!」
虚の話を聞いて、鈴がまたも信じられないと言うが、神谷がそう言って鈴の言葉を否定する。
「ふ~ん、そうなんだ~………それで? その子とは?」
「えっと………別れ際に携帯の番号とメールアドレスを交換しまして………その………こ、今度の休みに一緒に出掛けませんか?って誘いを受けました」
「おお~! マジィ!? デートのお誘いじゃん! 凄いよ、虚ちゃん!!」
「べ、別にデートと言うワケでは………だた休日に一緒に出掛けてその日を共に過ごすだけです!」
「世間じゃ、それをデートって言うんじゃないかな~?」
楯無の台詞に慌てる虚に、追い打ちを掛けるかの様にのほほんがそう言う。
「ほ、本音ぇ!! いい加減にしなさい!!」
「わあ! お姉ちゃんが怒った~!!」
「待ちなさ~い!!」
生徒会室の中で、のほほんを追い回す虚。
「アハハハハッ!!」
「オラオラ、のほほん、頑張れぇ! 追い付かれるぞぉ!!」
その光景を見て、楯無は大爆笑し、神谷は囃し立てる。
「へえ~、虚さんが弾とか~………上手く行くと良いな。親友として、恋の成就を祈っとくか」
((((お前は先ず、私〈アタシ、わたくし〉の思いに気づけ〈きなさい、いて下さい〉))))
そして呑気に親友の恋の成就を祈る一夏と、そんな一夏に先ず自分の事を如何にかしろと心の中でツッコミを入れる箒達。
「? アレ?………ティトリーは?」
ふとそこで、シャルが先程までいた筈のティトリーの姿が無い事に気づく。
「? そう言えば………」
「つい先程まで居らっしゃった筈ですが………」
その言葉で、他の一同もティトリーの姿が無い事に気づく。
「な~に、便所にでも行ってるんだろ。暫くしたら戻ってくるさ」
「アニキ、それセクハラ………」
そんな一同に向かって神谷はそう言い、そんな神谷にツッコミを入れる一夏だった。
◇
IS学園・校舎………
屋上………
太陽が水平線の向こうに沈みそうになっている中、ティトリーは人気の無い屋上で、作戦失敗の報告を行っていた。
[そうか………失敗したか………]
「ご、ゴメンナサイ………でも! まだやれるよ! 次こそはグレンラガンか専用機を!!」
[いや、次は俺が出る]
「え、ええっ!?」
通信先から聞こえて来た言葉に、ティトリーは驚きを示す。
「ま、待って!! 『ジギタリス』のおっさん!!」
[心配するなティトリー。別に今回の作戦が失敗した事の咎では無い………寧ろ、四天王様からはバレていないのなら任務を続けろ、とのご命令が来ている]
「………えっ?」
作戦に失敗した自分が処分されるとばかりに思っていたティトリーは、通信先の相手………『ジギタリス』と呼ばれた相手の話を聞いて戸惑った。
[コレは俺の個人的な行動だ………噂のグレンラガン………そして、天上 神谷と言う男に興味が湧いてな]
「で、でも………」
[安心しろ。お前の任務の邪魔はせん………俺は、俺の意思でグレンラガンと戦いたいのだ]
「『ジギタリス』のおっさん………」
[………長話し過ぎたか。確かパーティーの途中だと言っていたな? あまり場から離れていても怪しまれる。そろそろ戻れ]
「う、うん………」
ティトリーはそう返して通信を切ると、未だに神谷達が騒いでいる生徒会室へ引き上げて行くのだった………
◇
???………
「………ティトリー………お前はもしや………」
何処ぞと知れない場所で、ティトリーが通信を交わしていた獣人………ジギタリスが唸っていた。
「いや、仮にそうであったのならばそれでも構わん………それがお前の生き方だと言うのならばな………」
独り言の様にそう呟いていると、やがて眼前にモニターを展開し、グレンラガンと神谷の姿を映し出す。
「グレンラガン………天上 神谷………貴様がどれ程の男か………この獣人遊撃部隊戦闘隊長であるジギタリスが見極めてやろう!」
映像のグレンラガンと神谷に向かって、ジギタリスはそう宣言するのだった。
神谷と楯無の蟠りは氷解し………
学園祭の開催中を衝かれたロージェノム軍の襲撃。
そして亡国企業の残党をも退けたグレン団。
しかし、ティトリーの上司であるジギタリスが………
グレンラガンと神谷を狙い、牙を研いでいた。
そして、謎の覆面IS乗り………
『シュバルツ・シュヴェスター』とは何者なのか?
グレン団とロージェノム軍の戦いは、まだ果てしなく続く!
つづく
新話、投稿させて頂きました。
グレン団、IS学園の部活となる!
神谷と楯無はすっかり意気投合。
早速一夏達を振り回し始めます。
しかし、そんな神谷達を謎の獣人・ジギタリスが狙います。
次回よりキャノンボール・ファスト編、スタートです。
セシリアの活躍と、シュバルツの登場をお楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
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天元突破ISと同時
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土曜午前7時
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別の日時(後日再アンケート)