天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第36話『私とした事が、グレン団の魂を失念しておりましたわ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第36話『私とした事が、グレン団の魂を失念しておりましたわ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市のISアリーナ………

 

キャノンボール・ファストの日に、ザウレッグことジギタリスが神谷とグレンラガンに再戦を仕掛けて来た。

 

紆余曲折の末、何故か駆けっこ勝負をする事になった両者。

 

互いに全力疾走し、互角の勝負を繰り広げたが………

 

突如として、ジギタリスの意思とは関係無い獣人達の増援部隊が出現する。

 

止むを得ずグレンラガンと一夏達はコレを迎え撃つが、その最中………

 

自らの誇りを傷付けられたジギタリスは、増援に現れた獣人部隊を攻撃するのであった………

 

 

 

 

 

セシリアVSフォビドゥン………

 

「喰らいなさい!!」

 

セシリアはフォビドゥンに向かって、ストライク・ガンナーパッケージ時の主力武装・大出力BTライフル「ブルー・ピアス」を放つ。

 

「はん」

 

しかし、フォビドゥンは円盤型バックパックを上半身に被る様に装着したかと思うと、左右に付いていたシールドを構えた。

 

すると、セシリアが放ったビームが、そのシールド状で逸れてしまう。

 

「!? ビームを逸らした!?」

 

「無駄だよ………このゲシュマイディッヒ・パンツァーの前では、ビームなんか無意味さ」

 

驚くセシリアにフォビドゥンがそう言ったかと思うと、円盤型バックパックを上半身に被った状態のまま、バックパック先端部に内蔵された高出力ビーム砲・誘導プラズマ砲「フレスベルグ」を放つ。

 

「クッ!」

 

回避運動を取るセシリアだが………

 

「逃げても無駄だよ………」

 

フォビドゥンがそう言ったかと思うと、ゲシュマイディッヒ・パンツァーから磁場が発せられ、フレスベルグが湾曲。

 

「!? キャアアアアァァァァァーーーーーーッ!?」

 

直撃は辛うじて避けたものの、至近距離をビームが霞め、シールドエネルギーが大きく削られる。

 

「クウッ!!」

 

姿勢を取り直しながら、再びブルー・ピアスを発砲するセシリアだが、そのビームは全てフォビドゥンのゲシュマイディッヒ・パンツァーによって逸らされてしまう。

 

「無駄だって」

 

相変わらず抑揚の無い声でフォビドゥンがそう言ったかと思うと、バックパック両側に設置された可動式レールガン「エクツァーン」を放つ。

 

「クウッ!」

 

またも辛うじて回避するセシリアだったが、内心で手詰まり感を感じていた。

 

現在、彼女のISであるブルー・ティアーズは、高機動パッケージ「ストライク・ガンナー」を装着している状態であり、この状態ではビットのブルー・ティアーズは全て推進力に回されており、使用出来ないのだ。

 

つまり彼女は今の状態では、ブルー・ピアスとインターセプターしか使う事が出来ないのだ。

 

だが、仮にビットのブルー・ティアーズを使えたとしても、相手はビームを屈折させるシールドを持っているのだ。

 

光学兵器主体の彼女のISとは、トコトン相性が悪いのだ。

 

「それでも………引き下がるワケには行きませんわ!!」

 

しかし、セシリアは自分を奮い立たせる様にそう言い、ブルー・ピアスを発砲する。

 

「ウゼェ」

 

だが、その攻撃も、ゲシュマイディッヒ・パンツァーで逸らされてしまう。

 

「いい加減落ちろよ」

 

フォビドゥンはそう言い、両腕内蔵の大口径機関砲「アルムフォイヤー」を放つ。

 

「そう簡単に………このセシリア・オルコットはやられませんわ!!」

 

それをバレルロールの様な動きで回避しながら、セシリアはフォビドゥンに接近し、インターセプターで斬り掛かる。

 

「チイッ!!」

 

フォビドゥンはニーズヘグで受け止め、そのまま鍔迫り合いとなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アリーナ内の別の場所では………

 

一夏&箒VSグランド………

 

「喰らえッ!!」

 

グランドに向かって、雪羅からの荷電粒子砲を放つ一夏。

 

「フンッ!」

 

しかし、荷電粒子砲はグランドの装甲の表面を少し焦がしただけで終わる。

 

「クソッ! 何て装甲だ!!」

 

「デヤリャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

すると今度は、箒が雨月と空裂で斬り付ける!

 

だが、コレもグランドの装甲でガキィンッ!と甲高い音を立てて弾かれる。

 

「クウッ! 駄目か!!」

 

若干手に痺れを感じながら一旦離脱する箒。

 

「ウオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

と、グランドは咆哮を挙げたかと思うと、箒目掛けて肩の4門の砲門から砲弾を放つ!!

 

近接信管式の砲弾だったのか、箒の至近距離まで接近すると、独りでに爆ぜる砲弾。

 

「グウッ!?」

 

爆発に囲まれ、箒は身動きが取れなくなる。

 

「ウオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

すると、グランドは再び咆哮を挙げ、背中の2本の角を箒目掛けて伸ばした!!

 

「!? うわあぁっ!?」

 

辛うじて躱したものの掠られ、箒は錐揉みしながら墜落する。

 

「箒!! この野郎おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

それを見た一夏が、怒りの様子を見せながらグランドへと突撃する。

 

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶ!! 必殺っ! シャアアアアアァァァァァァイニングゥ! フィンガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そして、瞬間加速(イグニッション・ブースト)も合わせて、雪羅のシャイニングフィンガーを繰り出す。

 

凄まじい速度でグランドに迫った一夏は、そのまま頭を鷲摑みにしようとする。

 

(取った!!)

 

眼前までグランドの姿が迫り、そう確信する一夏だったが………

 

突如として目の前に壁の様な物が現れ、一夏を弾き飛ばした!!

 

「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

そのままアリーナの壁に叩き付けられる一夏。

 

「クッ!? な、何が……?」

 

一夏はダメージに苦しみながらも、グランドの姿を確認する。

 

すると、一夏を弾き飛ばしたのは………

 

グランドの前足である事に気づく。

 

いや………

 

前足では無く『腕』であると。

 

何と!!

 

グランドは後ろの足で立ち上がり、前足を腕に変形させ、2足歩行形態となった!!

 

「むうううううんっ!!」

 

気合を入れる様に雄叫びを挙げ、足を踏み出すグランド。

 

自重でアリーナの地面が凹む。

 

「コイツ!? 人型にもなれるのか!?」

 

一夏が驚いていると、グランドの2本の角・グランドホーンの間に電流が迸り、一夏目掛けて発射された!!

 

「!?」

 

一夏はすぐに立ち上がると、雪片弐型を実体剣モードに戻し構える。

 

グランドの電撃・グランドサンダーは、その実体剣モードの雪片弐型の刀身に落ち、帯電する。

 

「むうっ!?」

 

「返すぜ! ホラよ!!」

 

そして、一夏がその帯電していた雪片弐型を振るうと、帯電していた電撃が、グランドへと放たれる。

 

「ぬあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

自分が放った電撃を浴び、痺れるグランド。

 

「隙有り!!」

 

更にそこで、関節の隙間に、紅椿のビットが突き刺さる!!

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」

 

ビットが突き刺さった場所から、激しく火花が飛び散る。

 

「ハアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

そしてそこで、箒と一夏が同時に斬り掛かって行くが………

 

「ぬおあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

グランドが気合の雄叫びを挙げると、突き刺さっていた紅椿のビットが弾き飛ばされ、衝撃波が一夏と箒を襲う。

 

「うわっ!?」

 

「くうっ!?」

 

態勢を崩され、2人は一旦距離を取る。

 

「ぬうううううぅぅぅぅぅぅ」

 

そんな2人を低い唸り声の様な声を挙げて見据えるグランド。

 

「何て奴だ………」

 

「だが見た目通りに機動力は無い。速さならコチラに分が有る。そこを衝くぞ、一夏」

 

「ああ、分かったぜ、箒」

 

一夏と箒はそう言い合うと、スピードを活かしてのヒットアンドアウェイ戦法へと戦い方を切り替えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、セシリアVSフォビドゥンの戦いの場では………

 

「エイッ!!」

 

「無駄だって言ってるだろう………」

 

セシリアが放ったビームを、ゲシュマイディッヒ・パンツァーで逸らしたフォビドゥンは、セシリアに向かってそう言い放つ。

 

「クッ!」

 

セシリアの心に焦りが募る。

 

ビームによる射撃は逸らされ、接近戦でも得物の差で圧倒される………

 

戦いは終始フォビドゥンの優勢で進んでいた。

 

(このままでは………せめて、あの盾が無い場所から攻撃出来れば………)

 

セシリアはそう考えると、スラスターとして使用されているビットのブルー・ティアーズを見遣る。

 

(やはり………この手しかありませんわね………)

 

そして、意を決した様な表情を見せる。

 

「お前ウザイな………殺しちゃうよ?」

 

「どうぞ。出来るものでしたらね!」

 

と、そう言った瞬間、セシリアは瞬間加速(イグニッション・ブースト)を発動。

 

一気にフォビドゥンの懐に飛び込んだ!!

 

「!?」

 

「貰いましたわ!!」

 

そう言って、インターセプターを振るうセシリア。

 

「おっと………」

 

だが、フォビドゥンはニーズヘグの柄で、インターセプターの刃を受け止めしまう。

 

「残念………」

 

嘲る様にそう言うフォビドゥンだったが………

 

「まだですわ! ブルー・ティアーズ!!」

 

セシリアがそう叫ぶと、スラスターとして使われていたビットのブルー・ティアーズが、一斉にビームを発射!!

 

スラスターとして固定していた部品を吹き飛ばし、起動した!!

 

「!?」

 

驚いて一旦距離を取ろうとしたフォビドゥンだったが………

 

「逃がしませんわ!」

 

セシリアがインターセプターとブルー・ピアスを投げ捨て、フォビドゥンの両腕を摑んで引き留める。

 

(お願い! ブルー・ティアーズ!!)

 

ビットのブルー・ティアーズは、そのままゲシュマイディッヒ・パンツァーが回らない位置から攻撃しようとする。

 

………しかし!!

 

「ウゼェんだよ!」

 

初めて抑揚の付いた声を発したかと思うと、バックパックを一旦背中に戻すフォビドゥン。

 

そしてそのまま、フレスベルグを放つ。

 

すると、ゲシュマイディッヒ・パンツァーから磁場が発せられ、フレスベルグが湾曲。

 

ブルー・ティアーズを撃ち落とそうとする。

 

「!? 危ない!?」

 

セシリアは咄嗟にブルー・ティアーズをばらけさせ、回避させる。

 

しかしそれは、フォビドゥンに反撃を与える隙を作ってしまう事となった。

 

「死ねッ!!」

 

フォビドゥンは至近距離で、セシリアにエクツァーンを連射する!!

 

「!? あああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

全弾真面に喰らってしまったセシリアは、ビットのブルー・ティアーズを無理矢理起動させたせいで半壊していたISのパーツを撒き散らしながら墜落し、地面に背中から叩き付けられる!

 

「!? セシリア!! クソッ!! シャル! ジギタリス! 此処は任せるぞ!!」

 

と、その様子を目撃したグレンラガンが、砲台型ガンメンの相手を近くに居たシャルとザウレッグことジギタリスに任せ、セシリアの救援に向かった!!

 

「任せて! 神谷!!」

 

「貴様の命令を聞く積りは無いが………良いだろう」

 

シャルとザウレッグはそう言い、グレンラガンを追撃しようとする砲台型ガンメンを阻止する。

 

「ぐ、うう………」

 

一方、地面に叩き付けられたセシリアは、痛む身体を無理矢理起こそうとするが………

 

「ふんっ」

 

そんなセシリアに向かって、フォビドゥンはニーズヘグを投擲。

 

ニーズヘグは、刃の部分をセシリアの右の二の腕と地面に突き刺し、柄でセシリアの身体を固定した!!

 

「ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

耐え難い苦痛に、セシリアの口から悲鳴が挙がる。

 

「お前………消えちゃえよ」

 

フォビドゥンは再びバックパックを被ると、セシリアにフレスベルグの砲口を向ける。

 

「………お願い………ブルー・ティアーズ………」

 

と、セシリアは朦朧とした意識の中、辛うじて動く左手をフォビドゥンへと向ける。

 

すると、セシリアの心の中で、蒼い雫が落ちた。

 

水面に落ちた雫は、静かに波紋を広げる………

 

(!? コレは!?)

 

(考えるのだ! 己のISの名に込められた意味を!! そして解き放て! 螺旋の魂を!!)

 

その瞬間、セシリアの脳裏に、シュバルツ・シュヴェスターの言葉が甦って来る。

 

(ああ、そうか………そうでしたの………ブルー・ティアーズとは、つまり………)

 

何かを悟り、セシリアはゆっくりと微笑みを浮かべた。

 

「………バーン」

 

そして、左手で銃の形を作ると、フォビドゥンに向かって撃つ様な仕草を見せる。

 

すると!!

 

今まで操作を受信していなかった為、空中を漂っていたビットのブルー・ティアーズが突然息を吹き返し、フォビドゥンに向かってビームを放った!!

 

「!? 悪足掻き!!」

 

しかし、フォビドゥンは驚きながらも、ゲシュマイディッヒ・パンツァーでビームを逸らす。

 

だが………

 

逸らされたビームが軌道を変えて、再びフォビドゥンへと襲い掛かった!!

 

「なっ!? ぐああああっ!?」

 

流石のフォビドゥンも、この攻撃を防ぐ事は出来ず、遂にビームの直撃を受ける!!

 

BTエネルギー高稼働率時にのみ使える偏向射撃(フレキシブル)。

 

セシリアはこの土壇場で物にしたのである。

 

「この………屑野郎おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

しかし、流石にその1撃だけでフォビドゥンを倒す事は出来ず、フォビドゥンはセシリアに向かってフレスベルグを放つ。

 

(これまでですわね………でも、一矢報いましたわ)

 

潔い諦めの顔をするセシリア。

 

しかし………

 

「ドリルシールド!!」

 

その間に割って入ったグレンラガンが、ドリルを傘の様に開いたドリルシールドで、フレスベルグを受け止めた!!

 

「!?」

 

「!? 神谷さん!?」

 

その姿を見て、セシリアの飛びかけていた意識が急激に覚醒する。

 

「何満足した顔してやがる! セシリア!!」

 

と、グレンラガンはセシリアを押さえ付けていたニーズヘグを外しながらそう言う。

 

「えっ………?」

 

「まだアイツに勝ってねえだろ! お前もグレン団の一員なら、一矢報いたぐらいで満足すんじゃねえ!! 岩に噛み付いてでも勝利を奪い取りやがれ!! それがグレン団魂だ!!」

 

グッと拳を握ったポーズを取りながらそう言い放つグレンラガン。

 

「…………」

 

すると、それを聞いていたセシリアの心に、再び闘志が燃え上がる。

 

「申し訳ありません、リーダー………私とした事が、グレン団の魂を失念しておりましたわ」

 

セシリアは今度は不敵な笑みを浮かべて、血を流す右腕を押さえながら立ち上がる。

 

その姿は如何見ても満身創痍だが、とても美しく見えた………

 

「ウザイ………ウザイウザイウザイウザイウザイ………ウザイんだよーっ!!」

 

とそこで、フォビドゥンが痺れを切らしたかの様に、2人へと襲い掛かる。

 

「行くぜ! セシリア!!」

 

「ハイ! 神谷さん!!」

 

とグレンラガンとセシリアはそう言い合い、腕を交差させた!!

 

すると!!

 

緑色の光が、グレンラガンとセシリアを包み込む!!

 

「!? うわっ!?」

 

その眩しさに思わず動きを止めるフォビドゥン。

 

「!? コレは!?」

 

「まさか!?」

 

「嘘っ!? まさかセシリアとも!?」

 

それを目撃したシャル、ラウラ、鈴が驚きの声を挙げる。

 

やがて光が弾けると、そこには………

 

『グレンラガンがブルー・ティアーズを装着している』様な姿のマシンが在った!!

 

「紅蓮の炎が空を焦がし!!」

 

「蒼き雫が水面を打つ!!」

 

「「水炎(すいえん)合体!!」」

 

『グレンラガンがブルー・ティアーズを装着している』様な姿のマシンは、そこでポーズを取る。

 

「「『ラガンティアーズ』!!」」

 

「俺を!」

 

「私(わたくし)を!」

 

「「誰だと思っていやがる〈おりますの〉!!」」

 

『グレンラガンがブルー・ティアーズを装着している』様な姿のマシン………『ラガンティアーズ』から、神谷とセシリアの叫びが木霊する。

 

「………ウザイって言ってんだろ!!」

 

だが、そんな名乗りも聞いていないかの様に、フォビドゥンはニーズヘグを拾い上げると、ラガンティアーズに斬り掛かる。

 

「フンッ」

 

だが、ラガンティアーズはそのニーズヘグの刃を片手で受け止める!!

 

「!?」

 

「ウザイ、ウザイだ、馬鹿の1つ覚えみたいに言いやがって………熱い魂の分からねえテメェに………」

 

「負けはしませんわ!!」

 

神谷とセシリアの声が、再び響き渡ると、ラガンティアーズはニーズヘグの刃を握り潰した!!

 

「なっ!?」

 

「オラァッ!!」

 

驚くフォビドゥンに、ラガンティアーズは喧嘩キックを叩き込む!!

 

「グハッ!!」

 

「行くぜ! ブルー・ティアーズ!!」

 

と、神谷のそう言う叫びが響き渡ったかと思うと、ラガンティアーズからビットのブルー・ティアーズが分離した!!

 

「効かないんだよ!!」

 

偏向させてやろうと、ゲシュマイディッヒ・パンツァーを構えるフォビドゥン。

 

しかし何と!!

 

ラガンティアーズから放たれたビットのブルー・ティアーズは、自らゲシュマイディッヒ・パンツァーへとぶつかって来た!!

 

「!? 何っ!?」

 

フォビドゥンが驚きを示した瞬間………

 

ビットのブルー・ティアーズが高速回転!!

 

ドリルとなってゲシュマイディッヒ・パンツァーに減り込んで行き、遂には粉々に打ち砕いた!!

 

「嘘だ!? ビットにそんな使い方なんて!?」

 

「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」」

 

驚愕していたフォビドゥンに、ラガンティアーズの拳が叩き込まれる!!

 

「ガフッ!?」

 

「「スカルブレイク!!」」

 

ラガンティアーズは拳を叩き込んだ瞬間に腕のドリルを出現させる必殺パンチ『スカルブレイク』を炸裂させ、フォビドゥンのボディの装甲を粉砕する!!

 

「がああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「神谷さん! 一気に決めますわ!!」

 

「おっしゃあっ!!」

 

と、セシリアと神谷の声が響き渡ると、ラガンティアーズの胸に装着されていたグレンブーメランが外れ、ラガンティアーズの右手に納まる。

 

「必殺っ!!」

 

そのグレンブーメランを、フォビドゥン目掛けて投げ付けるラガンティアーズ。

 

高速回転しながらフォビドゥンへと向かっていたグレンブーメランは、途中で2つに分離。

 

フォビドゥンを連続で斬り付け、空中に磔にした。

 

そこで、ラガンティアーズが右腕を掲げる様に構えたかと思うと、その手にスターライトmkⅢが出現する。

 

するとビットのブルー・ティアーズが集まって来て、スターライトmkⅢに合体!!

 

合計5つの銃口を持つ、超巨大レーザーライフルと化した!!

 

ラガンティアーズが、その超巨大レーザーライフルを磔にされているフォビドゥンに向かって両手で構えたかと思うと、銃口に螺旋力がチャージされ始める。

 

そして、チャージが満タンに達したかと思うと………

 

銃口の先に、巨大なドリルの形のビーム弾を造り上げた!!

 

「「ドリル! シュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーートッ!!」」

 

神谷とセシリアの叫びと共に、超巨大レーザーライフルの引き金が引かれると、その巨大なドリル形のビーム弾が、ビームの尾を曳きながら放たれた!!

 

巨大なドリル形のビーム弾はそのままフォビドゥンへと命中。

 

「うがああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

断末魔の叫びを残し、フォビドゥンは爆発・四散。

 

ラガンティアーズはその爆発に背を向け、超巨大レーザーライフルを構え直してポーズを決めると、爆発の中から戻って来たグレンブーメランが、胸へと再装着されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏&箒VSグランド………

 

「「デリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

グランド相手に、スピードを活かしてのヒットアンドアウェイ戦法で果敢に攻める一夏を箒。

 

しかし、相手の装甲の厚さもあり、余りダメージを与えられずに居た。

 

「クッ! まだ倒れんのか!?」

 

「クソ! もうエネルギーが………箒! 絢爛舞踏だ! エネルギーの補給を頼む!!」

 

と、エネルギーが残り少なくなっていた一夏が、箒に向かってそう叫んだ!!

 

「!? ま、待ってくれ、一夏! アレはそう簡単には使えんのだ!!」

 

それを聞いた箒が焦った様な声を挙げる。

 

機体のエネルギーを増幅させる紅椿の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)だが、箒は未だにその力を扱い倦ねていた。

 

使えないワケではないのだが、まだ自由自在に発動出来るまでには至っていないのである。

 

「絢爛舞踏を使うには、まだ全ての意識を集中させねばならん。今の状況では………」

 

「なら! 俺がその集中の時間を稼ぐ! その間に頼む!!」

 

「!? 馬鹿な!? 危険過ぎる!!」

 

「舐めるなよ! 俺を誰だと思ってやがる!!」

 

危険だと言う箒に、一夏はそう言い返す。

 

「………分かった。頼む一夏!」

 

「任せとけ! さあ来い! ウスノロ野郎! 俺はコッチだ!!」

 

一夏はグランドの周りを飛び回り、注意を惹く。

 

「…………」

 

それを見た後、箒は目を閉じて意識を集中させ始める。

 

(あの時と同じ気持ち………私は………私は一夏と共に戦いたい………力になりたい………応えろ! 紅椿!!)

 

と、まるで念じる様に心の中でそう呟いた瞬間!!

 

紅椿が金色の光を放ち始めた!!

 

「! 良し!! 一夏ぁっ!!」

 

「待ってたぜ! 箒!!」

 

箒の声を聞くと、一夏はグランドの顔に、荷電粒子砲を撃ち込んで隙を作る!

 

「ぬううっ!?」

 

「箒ぃっ!!」

 

「受け取れ! 一夏!!」

 

一夏が箒に向かって手を伸ばしながら飛び、箒も一夏へ手を伸ばしながら飛ぶ。

 

そして、あとちょっとでその手が触れ合おうとした瞬間………

 

2人に、巨大な影が覆いかかった。

 

「「??」」

 

一夏と箒が上空を確認すると、そこには………

 

自分達目掛けてその巨体を落として来るグランドの姿が在った!!

 

「「なっ!?」」

 

2人が驚きの声を挙げた瞬間に、4足歩行形態となっていたグランドの前足が、一夏と箒を押し潰す様に圧し掛かる!!

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

「ぬうううううううんっ!!」

 

そのまま自重を掛け、一夏と箒を押し潰そうとするグランド。

 

絶対防御で守られているが、凄まじい圧力が2人の身体に襲い掛かる。

 

「ク、クッソォッ!!」

 

「い、一夏………手を………」

 

しかし、そんな状況で、箒は一夏にエネルギーを供給しようと必死に手を伸ばして来る。

 

「!? 箒!!」

 

それに気づいた一夏も、必死に箒へと手を伸ばす。

 

「! ぬううううううんっ!!」

 

それに気づいたグランドは、一気に2人を押し潰そうと更に自重を掛ける。

 

「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「い、一夏あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

悲鳴を挙げながらも、2人は必死に相手へと手を伸ばす。

 

そして、遂に触れ合える距離まで迫った瞬間………

 

「あ…………」

 

遂に耐え切れなくなったのか、箒が気を失い、寸前まで伸びていた手がダランッと落ちる………

 

「!? 箒!!」

 

ギリギリのところでその手を摑み、箒へと呼び掛ける一夏。

 

「…………」

 

しかし、気を失った箒は返事を返さない。

 

「!?」

 

その瞬間に、紅椿のエネルギーが白式へ流れ込んで来たが………

 

それと同時に、一夏の中で、『何か』が切れた………

 

「うおわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」

 

凄まじい雄叫びを挙げたかと思うと、信じられないパワーでグランドの前足を押し始める一夏!

 

そして何と!!

 

そのままグランドを持ち上げたではないか!!

 

「!? ぬううっ!?」

 

流石のグランドも、その状況に驚きを隠せなかった。

 

「でりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

一夏はそのまま、グランドをアリーナの観客席目掛けて投げ飛ばす!!

 

「うおおおおおっ!?」

 

グランドはアリーナのバリアを突き破って観客席に叩き付けられる!!

 

「ちょっ!? 何事!?」

 

「何が起こった!?」

 

「一夏!?」

 

鈴、ラウラ、シャルがそれで一夏達の様子に気づく。

 

「はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

と、一夏が気合を入れるかの様な声を挙げていると………

 

白式から、まるで絢爛舞踏を発動させた紅椿の様に金色の光が放たれ始める。

 

「………うっ………!? 一夏!?」

 

その光で目を覚ました箒が、一夏の状態を見て驚きの声を挙げる。

 

「許さない………お前だけは………絶対に! 許さなああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーいっ!!」

 

グランドを睨みながら、一夏は怒りの咆哮を響かせる。

 

その瞬間!!

 

白式の装甲部分の彼方此方が展開し、金色の粒子を放ち始めた!!

 

「!? アレはまさか!? 展開装甲!?」

 

驚きの声を挙げる箒。

 

その機能は、紅椿の展開装甲と酷似している。

 

更に変化は続き、ISスーツが紺色から彼の怒りを表すかの様な赤色へ………

 

そして白式のアーマー自身も、金色に染まり出した!!

 

「うおわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ! トアアァッ!!」

 

雪片弐型にエネルギーの刃を展開すると、一夏は演武の様な動きを取り、ポーズを決める。

 

彼の凄まじい怒りの力に反応し、白式が見せた新たなる姿………

 

『白式・スーパーモード』だ!!

 

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶ!!」

 

お馴染みの台詞と共に、一夏は雪片弐型を両手で握る。

 

「喰らえっ! 愛と怒りと悲しみの!! シャイニングフィンガーソオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーードッ!!」

 

すると、シャイニングフィンガーの全エネルギーが雪片弐型に送り込まれ、エネルギーの刃が巨大化する!!

 

「メンッ! メンッ! メエエエエエエエェェェェェェェェーーーーーーーーーンッ!!」

 

そしてそのまま、観客席に半分埋もれていたグランドを真っ向から縦一文字に斬り付ける!!

 

「うおわあああああああっ!?」

 

グランドの巨体がいとも容易く斬り裂かれ、爆散した。

 

それと同時に、白式は通常の状態へと戻る。

 

「ハア………ハア………ハア………ハア………」

 

顔中に脂汗を浮かばせた一夏が、荒くなった呼吸を必死に整えようとする。

 

「………今のは………一体?」

 

白式のスーパーモードの力に、箒は軽い戦慄を覚える。

 

やがて、フォビドゥンとグランドがやられたのを見た残りのガンメン達は撤退を開始。

 

すっかりボロボロになったアリーナに、漸く静寂が戻ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

ビームを屈折させるフォビドゥンに苦戦するセシリア。
偏向射撃(フレキシブル)で一矢報いたかに思えましたが、そんな事で満足するなと神谷の叱咤が飛び、新たな合体『ラガンティアーズ』が誕生です。

一方、グランドに苦戦していた一夏と箒は、一夏の新たな力『スーパーモード』で切り抜ける。
しかし、Gガンダムをご存じの皆さんは分かっていると思いますが、これは怒りのスーパーモード………
これではいけません。
なので次回、『アイツ』が一夏に今川流の活を入れます。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

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