天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第43話『大丈夫………私は………そう簡単に………死なない』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第43話『大丈夫………私は………そう簡単に………死なない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏が簪と組み、タッグマッチに参加する事が決まり………

 

残っていたメンバーもバタバタとペアを決めて行った。

 

シャルは当然神谷と組み、箒は楯無と組む。

 

セシリアは鈴と組み、ラウラは何と真耶と組む事にしたらしい。

 

学園に居る専用機持ちは、厳密には違う神谷を含めて11人な為、1人溢れてしまう者が出てしまう為の措置との事である。

 

それから時間はアッと言う間に流れ………

 

タッグマッチトーナメントの当日となった。

 

開会の挨拶の際、楯無が生徒会公認で賭けを行うと言うサプライズが有ったりもしたが、開会式自体は滞りなく行われ、トーナメント表が発表される。

 

記念すべき1回戦の組み合わせは………

 

一夏・簪ペアVS箒・楯無ペアだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4アリーナの一夏・簪ペアのピット………

 

そこで一夏はISを装着した状態で1人、簪を待っている。

 

「遅いな~………簪さん、何やってるんだろう?」

 

未だに姿を見せない簪に、内心焦りを感じる一夏。

 

ピット内には、彼女のスコープドッグ・TCだけが、寂しく降着姿勢を取っている。

 

スクラップの部品を寄せ集めたとは言え、彼女の機体も専用機。

 

普通ならば待機形態にして持ち運ぶべきなのだが………

 

機体の開発に時間を取られてしまった簪は、一夏と共に前日の夜遅くまで激しい特訓に明け暮れていた。

 

その為、エネルギーが無くなりかけており、現在ピットの設備で補給中なのである。

 

[一夏。簪の奴、まだ来ねえのか?]

 

とそこで、別アリーナのピットに居た神谷がそう通信を送って来る。

 

「ああ、アニキ。うん、まだみたいだ………」

 

[如何したんだろうね? 簪さん]

 

一夏が答えると、シャルも割り込んで来て、心配そうにそう言う。

 

「まさか、イキナリ楯無さんと戦う事になって、緊張の余り逃げちゃったとか?」

 

[一夏! アイツがそんな玉じゃねえ事は分かってるだろうが!]

 

思わずそんな事を考える一夏に、神谷がそう言い放つ。

 

「そ、そりゃ勿論………」

 

と、一夏がそう言った時………

 

突如アリーナ内に激しい振動が走った!!

 

「うわぁっ!?」

 

通信は強制的に切断され、一夏は震動で思わず床に倒れ込む。

 

「な、何だ!?」

 

慌てながらも状況を確認しようとすぐに起き上がる。

 

すると………

 

先程の衝撃で上がった粉煙の中に揺らめく、赤い『何か』の姿が、目に飛び込んで来た………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・地下………

 

リーロンの研究室………

 

「何が起こった! 状況は!?」

 

千冬が、学園全体の様子を映しているモニターを見ながら、リーロンにそう問い質す。

 

「学園内の至る所に所属不明機(アンノウン)が出現したわ」

 

「またロージェノム軍か、はたまた亡国企業か………」

 

「アラ? 所属不明機(アンノウン)には何れもISのエネルギー反応が有るわ」

 

「なら、また例の無人ISか?」

 

クラス対抗戦や、学園祭の際に姿を見せた無人ISの事を思い浮かべる千冬。

 

「いえ、ちょっと待って………コレは………」

 

しかし、リーロンは何かに気づいた様に声を挙げる。

 

「如何した?」

 

「………コレは厄介な事になったかもしれないわ………所属不明機(アンノウン)ISにIFF反応ありよ」

 

「!? 何っ!?」

 

リーロンの報告に千冬は驚きの声を挙げる。

 

IFFが確認されたIS………

 

即ちそれは、公式に登録されているコアを持つ、列記とした国の軍隊のISだと言う事だ。

 

それが学園を襲撃している………

 

形骸化しながらも、外部不干渉と言う不文律を持つIS学園を………

 

「何処の国のISですか!?」

 

「ちょっと待ってね………出たわよ。でもコレは………」

 

すぐにリーロンは学園を襲撃しているISの所属を割り出す。

 

だが、割り出された所属は、更に驚くべきモノだった。

 

「!? ルーマニア軍第10師団トランシルバニア方面軍第24戦略機甲歩兵団特殊任務班X-1………レッドショルダーだと!?」

 

「悪名高き吸血部隊ね………」

 

狼狽する千冬を尻目に、リーロンはまるで他人事の様に冷静にそう言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レッドショルダーがIS学園を襲撃するちょっと前………

 

簪は如何していたかと言うと………

 

「ゴメンね、かんちゃ~ん。試合も近いのに手伝って貰っちゃって~」

 

「簪様、申し訳ありません」

 

「いい………気にしないで………自分の事だし………」

 

布仏姉妹と共に、学園で使用するIS格納庫へ向かっていた。

 

実は、前述した通り、簪は前日の深夜まで一夏とタッグマッチに向けた特訓を行っており、そのせいで専用機のスコープドッグ・TCは現在第4アリーナのピットでエネルギー補給中である。

 

だが、しかし………

 

スコープドッグ・TCの全ての武器が実弾である事をうっかり失念していたのほほんが、弾薬の補給を忘れてしまっていたのだ。

 

つい先程になってそれを思い出し、第4アリーナに向かおうとしていた簪の元へ、虚と共に向かい、事のあらましを伝えて、弾薬を取りに格納庫へと向かっている、と言うワケである。

 

「全く………コレが仕事だったら厳罰ものよ、本音」

 

「ゴメンナサ~イ」

 

流石に今回のミスは堪えたのか、虚の言葉にのほほんは項垂れて謝罪する。

 

「………私は………気にしてない………」

 

しかし、簪はそんなのほほんにそう言い放つ。

 

そうこう言っている内に、IS格納庫へと辿り着く。

 

「着いた………」

 

簪は許可を貰って受け取っていた鍵を使い、格納庫の扉を開錠すると、扉をスライドさせて中に入る。

 

「え~と、弾薬は~」

 

「もう、場所くらい把握しておきなさい」

 

「…………」

 

布仏姉妹が出入り口の傍を探し、簪は奥の方へと向かって行き、姿が見えなくなる。

 

すると………

 

突然轟音が響き、格納庫の屋根が崩れ、『何か』が格納庫内に侵入してきた!!

 

「!? キャアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

「!? 何っ!?」

 

布仏姉妹が驚きの声を挙げると、徐々に粉煙が治まってきて………

 

「? んだ? 人が居るぞ?」

 

「オイオイ、予定外だぞ」

 

右の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)が血の様に赤く染められ、闇の様に黒いIS………『ブラッドサッカー』を装着している女性2人の姿が露わになった。

 

「!? IS!?」

 

「その赤い右肩………まさか!? レッドショルダー!?」

 

現れた存在がISである事に驚くのほほんと、そのISの右の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)が赤く染められている事から、ラウラが言っていたレッドショルダーの事を思い出す虚。

 

「へえ~、良く知ってるじゃねえか」

 

「その通りよ。私達は人呼んで吸血部隊………レッドショルダーだ!」

 

レッドショルダーの2人は、女性ながらも荒んだ口調で話す。

 

それが彼女達が熟練のIS乗りである事………

 

そして、真面な人間でない事を証明していた。

 

「あ、貴女達はルーマニア軍のIS部隊の筈です! 何故IS学園を襲うのですか!? これは立派な国際問題ですよ!!」

 

虚は恐怖で身体を振るわせながらも、のほほんを庇いながらレッドショルダーの2人に向かってそう叫ぶ。

 

「国際問題~?」

 

「ギャハハハハハハッ!!」

 

虚の言葉に、レッドショルダーの2人の内、片方は馬鹿にした様な言い方をし、片方は嘲笑う。

 

「な、何がおかしいんですか!?」

 

「馬鹿かお前!! ルーマニアはとっくにロージェノムによって壊滅させられたんだよ!!」

 

「つまり、もうルーマニアなんて国は存在しないんだよ!!」

 

「なっ!?」

 

レッドショルダーの2人から齎された情報に、虚は驚愕する。

 

「な、なら如何して!?」

 

「決まってんだろ!!」

 

「アタシたちゃ、ロージェノム軍に鞍替えしたのさ!!」

 

「「!?」」

 

この言葉には、虚だけでなくのほほんも驚愕した。

 

彼女達は祖国を………

 

いや、人類そのものを裏切ったのである。

 

「ど、如何して………!?」

 

「ああ? お前、今の戦況が分かってんのか?」

 

「このまま行っても、人類は何れ負けるに決まってるわ。なら、ISって言う最強の兵器を引っ提げてロージェノムの元に下るってのが賢い選択じゃん!!」

 

一片も恥じる様子は無く、そう言い放つレッドショルダーの2人。

 

要するに、我が身可愛さに人類を裏切ったのだ。

 

最低という言葉は、こういった連中にこそ相応しい………

 

「そ、そんな………」

 

「さて………此奴等、如何する?」

 

虚が信じられないと言う様な表情をしていると、レッドショルダーの片方が、もう片方にそう問い質す。

 

「へへっ………ブッ殺せ!!」

 

片方はそう言うと、手に持っていたマシンガン・ブラッディライフルを布仏姉妹へ向けた。

 

「! 本音!!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

虚とのほほんは、互いの身体を抱き合い、その場に座り込む。

 

「へへっ」

 

下種な笑みを浮かべ、レッドショルダーの2人はブラッディライフルの引き金を引こうとする。

 

と、その時!!

 

布仏姉妹の後ろに整列させて置いたあった学園の授業で使う量産機のラファール・リヴァイヴが横に弾き飛ばされたかと思うと………

 

その後ろに置いてあった、修理中と思われる打鉄が、ホバー移動で突撃!!

 

布仏姉妹を股下に通して躱すと、レッドショルダーの2人に組み掛かった!!

 

「!? 何っ!?」

 

「まだ居やがったのか!?」

 

戸惑うレッドショルダーの2人を、力任せに押して行く打鉄。

 

そのまま、格納庫の壁をブチ破って外に飛び出す!!

 

飛び出した先は、芝生の生えた斜面となっており、レッドショルダーの2人の内、片方はその斜面上を転がり、片方はずり落ちて行く。

 

只1人、打鉄だけが見事にバランスを取り、立ち状態を維持しながら滑り降りていた。

 

「ぐあっ!? クソがぁ!!」

 

やがて斜面をずり落ち切ると、レッドショルダーの片方が悪態を吐きながら起き上がろうとしたが………

 

そこへ打鉄が、再び地面に叩き付けるかの様に右アームでの拳を顔面に叩き付ける!!

 

「がはっ!?」

 

「コイツゥッ!!」

 

と、その隙にもう1人のレッドショルダーが態勢を立て直し、打鉄に後ろから襲い掛かろうとするが………

 

打鉄は高速超信地旋回を行い、背後から襲い掛かろうとしていたレッドショルダーに、左アームでのパンチを叩き込んだ!!

 

「!? かんちゃん!?」

 

「!? 簪様!!」

 

とそこで、格納庫から出て来た2人が、斜面の上の方から打鉄を見下ろし、その操縦者が簪である事を確認する。

 

すると………

 

ボンッ! という音を立てて、簪が装着している打鉄の左アームパーツが強制自切された!

 

如何やら修理中の機体である事もあり、先程のターンしながらのパンチで無理が祟った様である。

 

「…………」

 

それでも簪は冷静に、倒れているレッドショルダーの2人に警戒を払っていると………

 

突如そのレッドショルダーの2人を巻き込んで、簪に弾幕が浴びせられる!!

 

「こちらキャシー。学園のISを発見した。繰り返す。学園のISを発見した」

 

その弾幕を浴びせている者………空中に現れたキャシーと言う名のレッドショルダーは、そう通信を送る。

 

[キャシー、戦闘中か?]

 

と、通信先からそう言う言葉が返って来た時、簪はホバー移動で弾幕の中から離脱。

 

すると、先に居たレッドショルダーの2人の内、片方の機体が弾幕によってエネルギーが切れ、ISが解除された。

 

「量産機1機が抵抗しているが問題無い。間もなく制圧する」

 

そう返信すると、逃げる簪を追う様にブラッディライフルを発砲するキャシーだが、簪はホバー移動だけで躱して行く。

 

しかし………

 

切り返しの為に一瞬足を止めた瞬間………

 

「捕まえたぜ!!」

 

残っていたレッドショルダーが、後ろから組み付いて、動きを封じた!!

 

「良くやった! そのまま抑えて居ろ!!」

 

キャシーは動けなくなった簪にブラッディライフルの弾丸を浴びせる。

 

良い的にされている簪だったが………

 

「!? ぐあああっ!?」

 

何と、簪を抑えていたレッドショルダーの方が、先にエネルギーが尽きて吹き飛ばされてしまった!!

 

地面の上を転がると、ISが解除されるレッドショルダー。

 

「!? 何っ!?」

 

キャシーは驚愕する。

 

如何やら、『偶然』にも弾が逸れて、後ろで抑えていたレッドショルダーの方にばかり命中してしまい、先にエネルギーが尽きてしまった様である。

 

「コノォッ!!」

 

ムキになった様にブラッディライフルを連射するキャシー。

 

「…………」

 

しかし、簪は棒立ちしているにも関わらず、キャシーが放つ弾丸は多くが外れている。

 

更に当たったとしても、『偶々』全て装甲の厚い所に当たるか、浅い角度で跳弾しているのだ。

 

「コイツ………不死身か!?」

 

簪の得体の知れない恐ろしさを感じ取り、戦慄するキャシー。

 

すると、その時………

 

銃撃の振動で、簪が体当たりで飛び出した時に斜面の上に落としていたブラッドサッカーのブラッディライフルが滑り、斜面を転がり始めたかと思うと………

 

『運良く』簪の手元に転がって来た。

 

「!?」

 

キャシーが驚いた瞬間!!

 

「…………」

 

簪は残っていた右アームでそのブラッディライフルを摑むと、空中に居たキャシー目掛けて単射発砲!!

 

放たれた弾丸が、キャシーのブラッドサッカーに命中したかと思うと………

 

「!? ぐあああっ!?」

 

キャシーの全身にスパークが走り、ブラッドサッカーは墜落。

 

そのまま装着が解除された!!

 

「!? ええっ!? 1発で!?」

 

「まさか!? さっきの攻撃が………ISコアに!?」

 

のほほんが驚愕し、虚がまさかという顔になる。

 

実は、世界最強の兵器と言われるISだが………

 

たった1つだけ、致命的とも言える弱点が存在するのだ。

 

それは………

 

『心臓であり頭脳であるISコアに直接攻撃を受けた場合、一時的に全機能が麻痺してしまう』と言う弱点である。

 

致命的な弱点であるが、ISコアは通常攻撃を受け難い場所に装備され、尚且つ厚い装甲に加えて、コア自体もシールドエネルギーで守られている為、この点は今まで問題視されなかった。

 

だが、先程簪が放った弾丸は、ブラッドサッカーのコアが狙い易い場所にあり、尚且つ軽装甲機であり、更に不具合でシールドが働かなかった事で、『奇跡的にも』ISコアを直接狙い撃ったのである。

 

「…………」

 

と、そこで打鉄のエネルギーが尽き、簪は乗り捨てる様に打鉄から降りる。

 

「かんちゃん!」

 

「簪様!!」

 

そこで、我に返った布仏姉妹が、慌てて簪に駆け寄る。

 

「本音………虚さん………怪我は無い………?」

 

何時もの様に無表情で尋ねる簪。

 

その身体は清々しいまでに『無傷』である。

 

「簪様こそ大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫………」

 

「相変わらず無茶な戦い方するね~」

 

のほほんが呆れた様にそう言う。

 

「兎に角………先生に連絡を………この人達を………拘束………」

 

と、簪がそこまで言った瞬間!!

 

突如、倒れていたキャシーを含めたレッドショルダー達が次々に爆発した!!

 

「「!? キャアッ!?」」

 

「!?」

 

布仏姉妹が蹲り、簪が驚きを露にする。

 

爆発地点には炎と共に黒煙が上がっており、レッドショルダー達は肉片1つ残さず消し炭になっていた。

 

「コ、コレは………」

 

「ひ、酷い………」

 

「如何やら………失敗した時の………措置の為に………ISに自爆装置が………取り付けられていたみたいね………」

 

狼狽する布仏姉妹と、冷静にそう分析する簪。

 

(………他の皆は………姉さんは………無事なの………)

 

と、そこで一夏達と楯無の事が頭を過ぎる。

 

「…………」

 

簪は斜面を駆け上がり、再び格納庫へ飛び込む。

 

「あ!? かんちゃん!?」

 

「簪様!?」

 

布仏姉妹が慌てて後を追って格納庫内に入ると、簪は既にラファール・リヴァイヴを装着し、スコープドッグ・TC用の弾薬を詰めたコンテナを持っていた。

 

「簪様! 如何するお積りですか!?」

 

「他の皆が………心配………応援に………行く………」

 

「無茶だよ~、かんちゃん~!」

 

淡々と言う簪に、のほほんが何時もの様に間延びした言い方ながらも止めに入る。

 

「大丈夫………私は………そう簡単に………死なない………2人も………早く逃げて………」

 

そんなのほほんに、簪はフッと笑みを向けたかと思うと、PICを起動して飛び上がり、取り敢えず一夏と楯無が居る第4アリーナへと向かう。

 

「簪様ー!!」

 

「かんちゃーん!!」

 

布仏姉妹は、簪が飛んで行った方向に向かって叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4アリーナ内………

 

「ホラホラ! 如何した!? 豚みたいに鳴きながら逃げ回ってみやがれ!! ヒャハハハハハッ!!」

 

「クソォッ!!」

 

悪態を吐きながらも、ロケットランチャー・HRAT-23 ハンディロケットガンを持つレッドショルダーのロケット弾から逃げ回る一夏。

 

「アタシにもやらせてよ!!」

 

とそこで、バズーカ砲・SAT-03 ソリッドシューターを持った別のレッドショルダーが、一夏目掛けて砲弾を放つ。

 

「!? うおっ!?」

 

一夏は咄嗟に錐揉みして砲弾を躱す。

 

外れた砲弾は、無人のアリーナ観客席に直撃し、爆発する。

 

「あ、あっぶねえ………」

 

「ヒャアアアァァァァーーーーーッ!!」

 

思わずそう呟いた一夏に、奇声を挙げながらハンディロケットガンを持つレッドショルダーが左腕を構えて襲い掛かる。

 

「!?」

 

自分に向かって振り下ろされるハンディロケットガンを持つレッドショルダーの左の拳に、一夏は咄嗟に雪片弐型(実体剣モード)を構える。

 

すると、ハンディロケットガンを持つレッドショルダーの左の拳は、簪のスコープドッグ・TCと同じ様にアームパンチ機構を持っていたらしく、命中した瞬間に腕内部で火薬が破裂し、左手が前に押し出される!!

 

「!? うわあぁっ!?」

 

衝撃を殺し切れず、一夏は背中からアリーナの観客席に叩き付けられる。

 

「ぐうう………」

 

「死ねぇっ!!」

 

「ヒャッハーッ!!」

 

その一夏に向かって、ハンディロケットガンを持つレッドショルダーと、ソリッドシューターを持ったレッドショルダーが同時に射撃を開始する!

 

「!? うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」

 

一夏は叫びを挙げると、アリーナの観客席の上を転がって回避して行くのだった。

 

一方、同じアリーナに居た箒と楯無も………

 

「オラオラオラオラオラッ!!」

 

両手に大口径ハンドガン・GAT-49 ペンタトルーパーを握ったレッドショルダーが、箒と楯無に向かって大口径弾を見舞って来る。

 

「くうっ!!」

 

楯無が前に出て、水のヴェールを使って防ぐ。

 

構わずに射撃を続けていた両手にペンタトルーパーを握ったレッドショルダーだったが、やがてペンタトルーパーはカシンッ、カシンッという乾いた音を立てて弾切れを起こす。

 

「貰ったあぁ!!」

 

その隙を見逃さず、楯無の陰に隠れていた箒が、雨月と空裂で斬り掛かって行く。

 

しかし………

 

「!? 箒ちゃん! 避けて!!」

 

「!?」

 

楯無の警告に従い、箒が突撃を中止して急停止すると………

 

すぐ眼前に、エネルギーの柱が降り注いできた!!

 

エネルギーの柱は地面に命中し、派手に爆発を起こす!!

 

「うわあぁっ!?」

 

爆風で後退させられる箒。

 

「チッ! 外したか………運の良い奴め」

 

そこで上空から、エネルギー弾を放つ大型対艦火器・GAT-35 ロックガンを持ったレッドショルダーが姿を現した。

 

「確り狙え! このクズ!!」

 

「ああ!? んだとぉ!? テメェから先にブチ殺してやろうかぁ!?」

 

両手にペンタトルーパーを握ったレッドショルダーと、ロックガンを持ったレッドショルダーと口汚い言い争いを始める。

 

「クッ! コイツ等!!」

 

「箒ちゃん、落ち着いて! あんな奴等でも、腕は確かよ………迂闊に仕掛けたら危険よ」

 

その口汚い口論に耐えかねた箒が、斬り掛かって行きそうになったが、楯無が止める。

 

「チイッ! さっさと片付けるぞ!!」

 

「ヘイヘイ、了解!!」

 

と、両手にペンタトルーパーを握ったレッドショルダーと、ロックガンを持ったレッドショルダーは何の前触れも無く口論を止め、箒と楯無に向かって再装填したペンタトルーパーとロックガンで攻撃する。

 

「「!?」」

 

突然再び襲い掛かって来た事に戸惑いながらも、2人はその攻撃を回避する。

 

「箒! 楯無さん!!」

 

「人の心配してる場合かぁ? 僕ちゃんよぉ!!」

 

そちらの光景に視線をやってしまった一夏が、ソリッドシューターを持ったレッドショルダーから攻撃を受ける。

 

「!?」

 

慌てて回避する一夏だったが………

 

「貰ったぁっ!!」

 

回避先を読まれていた為、ハンディロケットガンを持つレッドショルダーが放ったロケット弾が、連続で命中する。

 

「!? うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」

 

シールドエネルギーが大きく削られ、一夏は黒煙の尾を曳きながら落下して行く。

 

「ぐうっ!?」

 

しかし、今度は地面に叩き付けられる直前で姿勢を立て直し、軟着陸する事に成功する。

 

「そらそらそら!!」

 

「踊れ踊れ踊れ!!」

 

と、地上の一夏に向かって、ハンディロケットガンを持つレッドショルダーとソリッドシューターを持ったレッドショルダーが、絶え間無く弾幕を張る!!

 

「! クソォッ!!」

 

ホバー移動で地上を滑って回避行動を取る一夏だが、頭上を押さえられてしまい、飛行出来なくなっていた。

 

(マズイ! このままじゃジリ貧だ………何か手は!?)

 

何か手はないかと頭を回転させる一夏だが、良い手は何も思い浮かばない。

 

「ハハハハハハハッ! こりゃ良いぜ!!」

 

「噂の世界初の男のIS操縦者も大した事ないねぇ!」

 

そんな一夏をまるで嬲るかの様に、ハンディロケットガンを持つレッドショルダーとソリッドシューターを持ったレッドショルダーはそう言い放つ。

 

「まあ、精々逃げ廻りな!」

 

「飽きたら殺してやるからよぉ! ヒャハハハハハハハッ!!」

 

「チ、チクショウ………」

 

悔しがる一夏だが何も出来ない………

 

と、その時!!

 

「ん?」

 

ハンディロケットガンを持つレッドショルダーが、ハイパーセンサーに反応がある事に気づく。

 

「? 如何した?」

 

「南西から1機………ISが来るぞ」

 

「何?」

 

その言葉で、ソリッドシューターを持ったレッドショルダーも、南西の方角を見遣る。

 

やがて、南西の空の一点に、黒い影が現れる。

 

「…………」

 

それは、ラファール・リヴァイヴを装着し、スコープドッグ・TC用の弾薬の入ったコンテナを持った、簪の姿だった!!

 

「!! 簪!!」

 

「!? 簪ちゃん!?」

 

一夏が声を挙げると、楯無も簪に気づく。

 

「チッ! キャシーの奴………格納庫を抑えるのに失敗しやがったな………」

 

「退け! アタシが片付けてやる!!」

 

と、ハンディロケットガンを持つレッドショルダーが前に出ると、向かって来る簪に向かって、ロケット弾を連射した!!

 

白煙の尾を曳きながら簪に向かって行くロケット弾。

 

「…………」

 

しかし、何を考えているのか、簪は躱そうとする様子を見せない。

 

「!? 簪! 何やってるんだ!!」

 

「簪ちゃん! 逃げてぇ!!」

 

一夏と楯無が叫ぶが、簪は構わず突っ込んで行く。

 

そして、遂に!!

 

ロケット弾は全弾、簪に命中!!

 

「!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

簪は悲鳴を挙げ、黒煙に包まれて、アリーナのピットへと墜落!!

 

ピットの屋根を破壊して、内部へと落下!!

 

その直後に、ピット全体が吹き飛んだ!!

 

「簪いいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーっ!!」

 

「嫌あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

「そ、そんな………」

 

一夏と楯無が悲痛な叫びを挙げ、箒も動揺する。

 

「ハハハハハッ! 心配するな! すぐにお前達も後を追わせてやるよ!!」

 

そんな一夏達を楽しそうに見ながら、ロックガンを持ったレッドショルダーがそう言う。

 

「ハンッ! 勢い良く出て来たわりには、呆気無いもんだったな………」

 

「所詮は学生………アタシ等みたいに戦場を知ったIS乗りには敵わないさ」

 

ハンディロケットガンを持つレッドショルダーとソリッドシューターを持ったレッドショルダーは、黒煙の上がるピットを見下ろしながらそう言い合う。

 

「ど~れ。マヌケな学生さんの死体でも拝んでやるかぁ」

 

と、ソリッドシューターを持ったレッドショルダーが、そう言いながら高度を下げ始めた。

 

………その瞬間!!

 

黒煙の中から銃弾が連続で放たれ、ソリッドシューターを持ったレッドショルダーの全身を襲った!!

 

「!? ギャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」

 

全身に絶え間無く銃弾を浴び、アッと言う間にシールドエネルギーが尽きたソリッドシューターを持ったレッドショルダーは、そのままアリーナの地面に落下。

 

地面に叩き付けられると共にISが解除され、自爆機能が働いて消し飛んだ!!

 

「「「なっ!?」」」

 

「「「!?」」」

 

レッドショルダー達と一夏達が驚愕する。

 

やがて、燃え盛るピットの跡地から………

 

機械音の混じった足音を響かせて、炎の中に1つの影が浮かぶ。

 

それは、専用機であるスコープドッグ・TCを装着した………

 

簪の姿だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪のモノローグ……

 

飛び交う銃弾と炎、目眩………

 

きな臭い雰囲気………

 

私はこの時、戦場に立っていた………

 

ボトムズと共に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

タッグマッチ開幕ですが、例によってイベントは襲撃されます(笑)
しかし、今回はやや深刻な事態に………
何と!
前回噂されていたレッドショルダーが、人類の裏切り者としてロージェノム側に付いたのです。
口汚いながらも凄腕のレッドショルダーを相手に苦戦する一夏達。

しかし、レッドショルダー達は既に最大に過ちを犯していた………

そう………

簪を敵に回すと言う過ちを………

今回の話は、ボトムズの劇場版『孤影再び』を知っているとより楽しめるかと思います。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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