天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第48話『楽しませてもらうよ………』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第48話『楽しませてもらうよ………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・地下………

 

リーロンの研究室………

 

「漸く形になったわね………」

 

リーロンが一仕事終えた様にそう呟く。

 

その視線の先には………

 

以前、くろがね屋で組んで居た『グレンラガンに良く似たマシンの設計図』(第20話参照)通りに組み上げられている、2機のマシンが在った。

 

片方は青いカラーリングで、頭部の角が1本。

 

もう片方はピンク色のカラーリングで、頭部の角が2本と言う、微妙な違いがある。

 

「コレが………グレンラガンの量産機ですか?」

 

立ち会っていた千冬と真耶の内、真耶の方がそのグレンラガンに良く似たマシン達を見てそう言う。

 

「そう………名付けて、『グラパール』よ。尤も、これはまだ試作機だから、ある程度螺旋力が無いと動かせないけど………何れはコレを元に改良を加えて、誰にでも使える様にする積りよ」

 

「『グラパール』………」

 

リーロンがそう言うと、千冬が目の前のグレンラガンに良く似たマシン達に視線を遣り、複雑な表情を浮かべる。

 

レッドショルダーの裏切り事件以来、世界各国とロージェノム軍との戦況は、徐々にではあるがロージェノム軍側が優勢に立ち始めていた。

 

現在では混乱は収まって来ているものの、状況は依然として不利である。

 

更に前線で戦う者達も、IS装着者が裏切るのではないか?という疑心暗鬼に駆られている。

 

その為、国によってはISに代わる新兵器の開発に力を入れるところもあるが、現行兵器を様々な点で上回っているISに代わる兵器の開発は当然ながら難航する。

 

これまで、ISに依存レベルで頼りっ切りとなっていた事のツケが回ってきた形である。

 

しかし今此処に、ISに代わるやも知れぬ新たな兵器………『グラパール』が完成した。

 

まだ試作機な為、誰にでも使えると言うワケではないが、完全な量産型が完成した暁には、そのデータは世界中に回される予定である。

 

だが、共通の敵を前にしても、未だに人類は国という括りを捨て切れずに居る。

 

このグラパールが、新たな人類同士の争いの火種になってしまうと言う可能性も十分にある。

 

(それでも………人類が生き残る為にはコイツに頼るしかないのか………)

 

そう思い、無理矢理自分を納得させようとする千冬。

 

例えそうであっても、今は先ず、人類自体が生き残る術を持たなくてはならない。

 

事態は待ってくれる時間を与えてくれそうにないのだ。

 

「それで………この試作機は誰に与えるんですか?」

 

千冬がリーロンにそう尋ねると………

 

「それを決めるのは私じゃないわ。この子達よ」

 

リーロンは2体のグラパールを見遣りながらそう言う。

 

「? 如何言う事ですか?」

 

「そのうち分かるわよ」

 

その言葉に真耶は首を傾げるが、リーロンは思わせ振りな顔をするだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

IS学園の正門にて………

 

そこには、神谷と一夏を筆頭にグレン団の面々が集合している。

 

「もうそろそろかな?」

 

一夏が腕時計を見ながらそう呟くと………

 

「一夏さ~~ん!!」

 

「アニキ~ッ!!」

 

そういう声を響かせながら、五反田兄妹が走って来た。

 

「おう、蘭! それに弾も!」

 

「よく来たな、お前等!!」

 

その五反田兄妹を出迎える一夏と神谷。

 

「ハア………ハア………すみません! 遅れちゃって!!」

 

「いや、丁度時間ピッタリだよ。そんなに急がなくても良かったのに………」

 

走って来た為、若干息を切らせている蘭に、一夏はそう言う。

 

「コイツ、お前が案内してくれるって聞いてからズッと楽しみにしててよぉ。昨日なんか、興奮して眠れなかった………」

 

「フンッ!!」

 

「!? おおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」

 

不用意な発言をした弾の弁慶の泣き所を、蘭が思いっきり蹴っ飛ばし、弾は脛を押さえて跳ね回る。

 

「イッテ~~~~」

 

「ハハハハハハッ! 相変わらず妹にはよええな、弾!」

 

脛を押さえて痛がっている弾を見て、神谷は思わず笑う。

 

「もう! 1人で良いって言ったのに!!」

 

「馬鹿野郎! IS学園は危険なんだぞ!! 分かってんのか!?」

 

「只のオープンキャンパスでしょ! 何も危険なんか無いわよ!!」

 

口論に発展する五反田兄妹。

 

そう………

 

今日は、IS学園のオープンキャンパスが行われる日なのだ。

 

良く見れば、五反田兄妹の他にも見学者と思われる者達が、生徒達や教師に案内されている。

 

普段閉鎖的なIS学園の中を覗ける数少ない機会だが、ISを使えるのが女性だけと言う事もあり、当然ながら見学者は女性ばかりである。

 

一応、付き添いを数名付けられるらしいが、大抵は友達同士で行くと言うのが普通である。

 

「ばっか、お前!! 今までIS学園が何度ロージェノム軍に襲われたと思ってるんだ!?」

 

若干声を荒げる弾。

 

彼の言う事も尤もであり、IS学園はこれまで幾度となくロージェノム軍の攻撃に曝されている。

 

勿論、その全ては神谷達グレン団の活躍によって退けられているが、そんな事が立て続けにあって不安がらない者は居なかった。

 

更に、IS自体のイメージダウンの事もあり、現在のIS学園入学希望者の数は、前年度の4分の1にまで落ち込んでいる………

 

「もう! お兄は心配性なんだから………」

 

「まあまあ、2人共。折角のオープンキャンパスなんだ。仲良く行こうぜ」

 

呆れる蘭を宥める様に、一夏がそう言う。

 

「ハイ、一夏さん! 今日はよろしくお願いします!!」

 

それを聞くと、蘭は先程までの弾への態度が嘘の様に素直な返事を返す。

 

「蘭………俺はホントに同い年の弟なんざ欲しかぁねえぞ………」

 

「…………」

 

小声でそう呟きながら頭を抱える弾の背中を、神谷がポンポンと叩いて慰める様にするのだった。

 

(それにしても………)

 

とそこで、一夏には気づかれない様に、箒達に視線を遣る蘭。

 

「「「「…………」」」」

 

箒達は無言の圧力(プレッシャー)の様なモノを、蘭に向かって放っている。

 

(ううっ!………一夏さんが案内してくれるって聞いた時、神谷さんは付いて来るかと思ってたけど………まさか鈴以外に箒さん達まで付いて来るなんて)

 

その圧力(プレッシャー)に若干怯みながら、蘭はそう考える。

 

一夏がオープンキャンパスで蘭を案内すると聞いた瞬間、箒達も自分も案内すると強引に捩じ込んで来たのだ。

 

オープンキャンパスを取り仕切っている生徒会は却下しようとしたものの、箒達の怒涛の迫力に押され、遂には許可してしまったのである。

 

正に無理を通して道理を蹴っ飛ばす、グレン団らしいやり方だった。

 

「それじゃあ、早速行きましょうか!!」

 

しかし、これが千載一遇のチャンスである事には変わりなく、蘭は一夏の手を取って学園の中へと向かう。

 

「オイオイ、そんなに引っ張るなよ」

 

一夏は苦笑いしながら、蘭に連れられて行く。

 

「「「「…………」」」」

 

箒達はそんな一夏の姿を睨みながらそれに続く。

 

「だ、大丈夫かな?」

 

「血の雨が降らなきゃ良いがな………」

 

「一夏………お前、ホント命知らずだよなぁ………」

 

そんな光景を見ていたシャル、神谷、弾は、そんな感想を抱くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、オープンキャンパスは滞りなく行われる………

 

教室で模擬授業を実施し、実際に受けてみたり………

 

図書館で希少著書を拝見したり………

 

サービスの無料券を使って、学食の料理の味を堪能したり………

 

ブラスバンド部やチアリーダー部、軽音楽部等の実演等があったりした。

 

そして、いよいよ………

 

最大の目玉であるISへの見物へと突入して行く。

 

 

 

 

 

最初に連れられたのは、整備室だった………

 

「此処が整備室さ。学園や各国の専用機は大抵此処で整備されるな」

 

「へえ~~、そうなんですか~」

 

一夏の説明を聞きながら、事前に渡されていた資料と読み比べる蘭。

 

「あ、おりむ~、かみや~ん!」

 

とそこで、間延びした声が聞こえて来て、ハンガーに納められているスコープドッグ・TCの傍に立っているのほほんが手を余っている袖ごと振って来る。

 

スコープドッグ・TCの傍らでは、簪と虚が整備を行っている。

 

「あ、のほほんさん」

 

「一夏さん、お知り合いですか?」

 

「ああ、クラスメイトで、同じ生徒会の布仏 本音さん。通称のほほんさんだよ」

 

「よろしくね~」

 

のほほんは何時ものニッコリした笑みを浮かべて、蘭の間延びした挨拶をする。

 

(………この人も一夏さんの事が好きなの?)

 

しかし蘭は、一夏ラバーズの存在もあり、のほほんを若干警戒する。

 

「あ、弾くん。来てたんだ」

 

「! 虚さん!!」

 

と、虚が顔を挙げ、弾の存在に気付いて声を掛けると、弾はすぐさま駆け寄って行く。

 

「ゴメンナサイね。本当は出迎えたかったんだけど、こっちの仕事が手が離せなくて………」

 

「いや、良いんですよ。気にしないで下さい。俺は、こうして会えただけでも満足ですから」

 

「弾くん………」

 

「虚さん………」

 

そのまま良い雰囲気で見詰め合う虚と弾。

 

「「「「「オホンッ! オホンッ!」」」」」

 

「「!?」」

 

しかし、蘭と箒達が態とらしく咳き込み、2人は我に返る。

 

「お熱いわね、お兄………」

 

「そう言うのはもう少し人目を憚ってやんなさいよ、全く………」

 

蘭がジト目で睨みつけ、鈴が呆れる様に言う。

 

「す、すいません………」

 

「ゴ、ゴメンナサイ………」

 

その得体の知れない迫力に、2人は素直に謝ってしまう。

 

(((私も一夏(さん、嫁)と………)))

 

そして、箒、セシリア、ラウラは、先程の光景を脳内で自分と一夏に置き換えていた。

 

「………アレ?………お客さん………?」

 

とそこで、スコープドッグ・TCの整備に夢中だった簪が、漸く一夏達の存在に気付く。

 

「よう、簪」

 

「一夏………」

 

一夏が片手を上げて挨拶すると、簪は微笑を浮かべる。

 

(この人は確か………簪さんだったわね)

 

その瞬間、蘭は乙女の直感で、簪が一夏に多少なり共気が有る事を見抜く。

 

(この女は………要注意ね)

 

自然と、簪を見る目が鋭くなるが………

 

「………!?」

 

その気配を殺気と勘違いした簪が、アーマーマグナムを抜き放ち、蘭の方に突き付けた!!

 

「!? キャアアッ!?」

 

驚きの声と共に尻餅を付いてしまう蘭。

 

「蘭!?」

 

弾は咄嗟に、簪と蘭の間に立ち、蘭を守る様にする。

 

「あ………ゴメンナサイ………」

 

その姿を見て、簪はアーマーマグナムをしまう。

 

「簪様!? 何をしているのですか!?」

 

「殺気の様なものを感じて………つい」

 

「殺気って………」

 

「殺るか、殺られるか………この気配を感じ取る事だけが………私の取り得よ」

 

簪はシレッとそう言い放つ。

 

「はあ~、全く………」

 

「かんちゃん、相変わらず凄いね~」

 

そんな簪の姿に、虚は呆れ、のほほんは無邪気に称賛するのだった。

 

「大丈夫か? 蘭?」

 

その間に、一夏が転んでしまった蘭を立たせる。

 

「い、一夏さん! 本当に、お知り合いなんですか!?」

 

「ああ、勿論………前にあったイベントでタッグを組んで貰った事があるんだ。良い人だよ」

 

「そ、そうですか………」

 

先程、銃を突き付けられた際の鋭い視線がトラウマになり掛けている蘭。

 

「ゴメンナサイ………後でコーヒー淹れてあげるね………」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

コーヒーと言う単語に、神谷とのほほんを除いた一同が固まる。

 

((コーヒーって………まさか『アレ』?))

 

以前タッグマッチで負傷した一夏を見舞いに来た際に体験した2人も、若干顔を青くする。

 

「そうそう………エキシビジョン・マッチ………もうすぐ始まるよ」

 

「ああ、そうか。もうそんな時間か………」

 

「確か、姉貴の奴と対戦すんだったな?」

 

簪がそう言うと、一夏と神谷がそう返事を返す。

 

今回のオープン・キャンパス最大の目玉………

 

IS学園最強と謳われる楯無VS簪のエキシビジョン・マッチが行われるのだ。

 

「楯無さんと試合か………」

 

「アンタ、勝算あるの?」

 

楯無の強さは良く知って居る箒と鈴は、簪にそんな言葉を投げ掛ける。

 

「姉さんは………確かに最強だけど………決して………無敵ではない」

 

すると簪はそう返して来た。

 

「成程な」

 

「頑張ってくれよ。にしても、どっちを応援すれば良いのかなぁ?」

 

神谷がニヤリと笑いながら頷き、一夏はエキシビジョン・マッチでどちらを応援すれば良いのかと悩む。

 

[間も無く、IS学園オープン・キャンパスのエキシビジョン・マッチが始まります。御観覧希望の方は、第1アリーナへお集まり下さい]

 

とそこで、エキシビジョン・マッチが始まるという校内放送が流された。

 

「あ、もう始まるのか」

 

「じゃあ………アリーナで会いましょう………」

 

一夏がそう言うと、簪は整備の終わったスコープドッグ・TCを待機形態の指輪にし、アリーナのピットへと向かう。

 

「じゃあ、蘭。俺達も行くぞ」

 

「ハイ!」

 

「弾くん、私達も行こうか?」

 

「ハ、ハイ! 虚さん!」

 

そして一夏達グレン団と五反田兄妹も、虚とのほほんと共に、アリーナの観客席へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・第1アリーナ………

 

観客席には、学園の生徒達と、オープン・キャンパスに来た少女達の姿が並んでいる。

 

[大変長らくお待たせいたしました! 只今より! オープン・キャンパスのエキシビジョン・マッチ! IS学園生徒会長の更識 楯無と、その妹・更識 簪の試合を行いたいと思います!!]

 

実況席に居る実況者と思われる生徒がそう言うと、観客席からワッと歓声が挙がる。

 

「始まるぞぉ」

 

「いよいよ動いてるISが見れるんですね………」

 

神谷がそう呟くと、蘭は若干ワクワクしている様な様子を見せる。

 

切欠は一夏絡みだったとは言え、彼女はIS簡易適性試験でA判定を出している。

 

動いているISを自分の目で見られる事に、興味津々の様だ。

 

[え~! 赤コーナーより入場! IS学園最強の生徒会長!! さああああああらしなぁっ! たあああああああてなしいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!]

 

実況者は、まるで格闘技のリングコールの様に、熱く楯無の名を読み上げる。

 

すると、ピットからミステリアス・レイディを装着した楯無が飛び出す。

 

そしてアリーナ内を、パフォーマンスであるかの様にアクロバット飛行する。

 

「「「「「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ! 生徒会長おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

途端に、客席の生徒達から黄色い悲鳴が挙がる。

 

オープン・キャンパスに訪れた女子達も、彼女のISの名の通り、淑女を思わせるその姿にうっとりとしていた。

 

「相変わらず凄い人気だなぁ………」

 

「へっ! 悲鳴だったら俺だって負けちゃいねえぜ!!」

 

「神谷が浴びてる悲鳴は違うと思うんだけど………」

 

そう呟いた一夏に、神谷が張り合う様に言い、それにツッコミを入れるシャル。

 

[続いて、青コーナーより入場! その生徒会長の妹! さああああああらしなぁっ! かあああああああんざしいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーっ!!]

 

実況者が続けて、簪の名をコールすると………

 

楯無が飛び出して来たのとは正反対側に在ったピットから、キュイイイィィィィィンッ!と言う、ローラーダッシュの音が聞こえて来て、スコープドッグ・TCを装着している簪が姿を現す。

 

ピットのカタパルトから勢い良く飛んだかと思うと、そのまま重力に引かれて落下し、降着姿勢を取って衝撃を吸収し、アリーナの地面に降り立つ。

 

そして再びローラーダッシュを開始すると、所定の位置に着く。

 

楯無の様なパフォーマンスをする様な事はなかったが、ただそれだけの動作にも関わらず、簪の動きには一切の無駄が無く、機械ではないかと思える程に洗練されていた。

 

「「「「「…………」」」」」

 

そして、その身体から発せられる独特の雰囲気が、アリーナ全体を包み込むと、先程まで楯無に黄色い悲鳴を送っていた生徒達でさえ、一瞬にして黙りこくってしまう。

 

オープン・キャンパスに訪れた女子達も同じで、得体の知れない迫力を持つ簪に、何時の間にか視線を集めていた。

 

「もう~、簪ちゃ~ん。折角オープン・キャンパスに来てくれた子達にそれは無いんじゃない?」

 

「私は………何時も通りにしているだけよ………」

 

苦笑いしながらそう言って来る楯無に、簪は何時もの様に平坦な様子でそう返す。

 

「相変わらず、独特の雰囲気持ってるね………簪さん」

 

「まるで幾つもの戦場を潜り抜けて来た戦士の様だ………」

 

「ゲホッ! ゴホッ! な、何だか、急に喉の調子が………」

 

そんな簪の様子を見て、シャルとラウラはそんな事を呟き、セシリアは何故か………

 

むせる

 

[さあ! それでは両者!! 開始位置に付いて下さい!!]

 

とそこで、実況者がそう告げて来る。

 

「りょーかい、りょーかーい」

 

「…………」

 

簪は最初から開始位置に付いていた為、パフォーマンスをしていた楯無が、開始位置に付く。

 

「フフフ………此処で良いとこ見せて、来年の入学希望者を増やさないとね………簪ちゃん、勝たせてもらうよ」

 

と、蒼流旋を両手で構えながら、簪に向かってそう言う楯無。

 

「姉さん………悪いけど………勝負事には手を抜かないよ………それに………」

 

と、そこで簪はヘビィマシンガンを楯無に向け、ターレットレンズを回転させると………

 

「久しぶりの………姉さんとの模擬戦だから………楽しませてもらうよ………」

 

そう言って、口の端に微笑を浮かべる。

 

「………言ってくれる様になったね~、簪ちゃん」

 

「多分………あの人達の………影響?」

 

「成程………納得」

 

楯無が、一瞬グレン団の姿を見遣り、呆れる様な様子を見せると………

 

[それでは! ISファイトォッ!!]

 

実況者が試合開始の合図を出す!!

 

「レデイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

「………GO!!」

 

そして、更識姉妹がそれを継ぐ様にそう叫んだ瞬間!!

 

両者は同時に動き出した!!

 

「行くよ! 簪ちゃん!!」

 

先に仕掛けたのは楯無。

 

空から、蒼流旋に内蔵されていた4門のガトリングガンを簪目掛けて発砲する!!

 

「…………」

 

簪は冷静に、急ターンや急バック等の回避運動を取り、躱す。

 

そして、反撃にとヘビィマシンガンを向け、連射する。

 

「おっと!!」

 

楯無は水のヴェールを使って、ヘビィマシンガンの弾丸を防ぐ。

 

「そらそら! どんどん行くよ!!」

 

そこで楯無は、ミステリアス・レイディ最大の特徴である、アクア・ナノマシンを簪に吹き付けて来る。

 

「…………」

 

ローラーダッシュでの高速移動で躱して行く簪だが、外れたアクア・ナノマシンはアリーナの地面を濡らす。

 

「貰った!!」

 

その瞬間、楯無は指を弾き、清き熱情(クリア・パッション)を発動!!

 

アリーナの地面に撒かれていたアクア・ナノマシンが爆発し、簪の姿が爆炎に包まれる。

 

「やった!!」

 

簪のISの装甲が薄い事は知っており、これだけの爆発を浴びせたのだから機能停止していると考えた楯無。

 

だが………

 

爆炎を突っ切って、多数のミサイルが楯無目掛けて飛んで来た!!

 

「!? キャアアアアァァァァァーーーーーーッ!?」

 

油断していた楯無は、何発か直撃弾を貰ってしまい、地上に落ちる。

 

「………油断大敵だよ………姉さん………」

 

そこでそう言う声が聞こえて来て、炎の中に影が揺らめいたかと思うと………

 

手持ちの武器をショルダーミサイルガンポッドに代えていた簪が姿を現した。

 

「くうっ! やったなぁ!!」

 

楯無はラスティー・ネイルを左手に出現させ、簪目掛けて刃を伸ばす。

 

「…………」

 

簪は撃ち終えたショルダーミサイルガンポッドを捨ててローラーダッシュで横移動。

 

伸ばされたラスティー・ネイルの刃は、簪が捨てたショルダーミサイルガンポッドを真っ二つのする。

 

「戦い方は………体に染み付いている」

 

と、そこで簪はローラーダッシュでの横移動を続けながら、再び右手にヘヴィマシンガンを出現させ、楯無目掛けて連射する。

 

「クッ!!」

 

楯無は向かって来た弾丸を回避しながら、再び上を取ろうと上昇する。

 

「………見え見えだよ」

 

だがそれを読んでいた簪は、楯無の機体をロックオン!

 

右脇の2連装ミサイルポッドのミサイルが放たれる!!

 

「!? キャアアアアァァァァァーーーーーーッ!?」

 

再び直撃弾を受け、シールドエネルギーが大きく削られると、楯無は失速して再び地面に落ちる。

 

「姉さん………私のISが飛べないから………自分は飛んで優位に立とうとしたみたいだけど………私に言わせて貰えば………動きが見え見えになってるわ………」

 

そんな楯無に向かって、簪はフッと笑いながらそう言う。

 

「! 成程………上を取ろうとすれば、逆に動きを読まれるって事ね………良いわ! だったら地上戦で! 簪ちゃんと同じ土俵で戦ってあげるよ!!」

 

「無理はしない方が………良い」

 

「黙らっしゃいぃ! 掛かって来るがよろしい!!」

 

楯無はそう叫ぶと、ホバー移動しながら、蒼流旋のガトリングガンを発砲する。

 

「…………」

 

簪はジェットローラーダッシュで、楯無とは反対の方向に移動して、ガトリングガンの弾丸を躱しつつ、左脇の13㎜ガトリングガンを発砲。

 

両者はそのまま、互いに円を描く様な機動を取りながら、撃ち合いを続けた!!

 

外れた弾丸と、ホバー移動とジェットローラーダッシュにより、徐々に土煙が巻き上がって行く。

 

「………今」

 

と、簪が不意にそう呟いたかと思うと、ターンしながら左の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)に装備されていた3連装スモークディスチャージャーを発射。

 

巻き上がっていた土煙と煙幕が合わさり、両者は完全に相手が見えなくなる。

 

「甘いよ、簪ちゃん! ハイパーセンサーを使えば、こんな煙幕………」

 

そう言って、ハイパーセンサーの感度を上げようとする楯無だったが、その瞬間に立ち止まってしまう。

 

すると!!

 

突然楯無の前方の煙が揺らめいたかと思うと、簪が姿を見せた!!

 

「えっ!?」

 

「…………」

 

驚く楯無に、そのままアームパンチを叩き込む!!

 

「ガフッ!?」

 

凄まじい衝撃を受けて、楯無は大きく後退する。

 

「ゲホッ! ゴホッ!」

 

肺の中の空気が全て押し出された為、激しく………

 

むせる

 

「バルカンセレクター」

 

と、そのチャンスを見逃さず、簪は予めミッションディスクに入力しておいたコンバット・プログラム『バルカンセレクター』を音声起動。

 

予備弾装を手持ちのヘヴィマシンガンに装填し、フルオートで楯無に向かって掃射する!!

 

「!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

多数の弾丸が楯無を襲う。

 

しかし、ギリギリでシールドエネルギーは残る。

 

「姉さん………ちょっと鈍ったんじゃないの?」

 

「か、簪ちゃんこそ………強くなったんじゃないの?」

 

簪は余裕の笑み、楯無は苦笑いを浮かべてそう言い合う。

 

やがて煙幕が晴れて来て、2人の姿が再び露わになる。

 

「でも! まだまだ負けないよ!!」

 

「私も………」

 

2人はそう言い合うと、またも射撃戦を展開するのだった。

 

「す、凄い戦いですね………」

 

「何か俺………むせてきたな………」

 

そんな更識姉妹の戦いの様子を見て、蘭は驚き、弾は喉の調子を悪くする。

 

「凄いな、簪の奴………楯無さんを相手にあそこまで戦うなんて………」

 

「何だかんだ言って姉貴だからな。手の内は見えてるんだろ」

 

一夏が簪の奮戦ぶりに驚いていると、神谷がそう言う。

 

「だが、勝負は分からんぞ。簪のISは防御力が絶望的なまでに無い。僅か数発の被弾が命取りともなる」

 

「まだ簪さんが優勢とは言えないワケですわね………」

 

続いてラウラがそう分析し、セシリアもジッと試合の行く末を見守る。

 

「ティトリーも何処かでこの試合見てるのかな?」

 

と、不意にシャルが、今この場に居ないティトリーの話題を挙げる。

 

「アイツ最近付き合い悪いわわよね~」

 

「それに何か落ち着かない様子だったな………」

 

その話題に反応する様に、鈴と箒がそう言い合う。

 

「おおっ!? 勝負に出るみたいだよ!!」

 

「お嬢様………簪様………」

 

と、そこでのほほんがそう声を挙げ、虚が思わず固唾を呑む。

 

「これなら如何! 簪ちゃん!!」

 

楯無は簪に向かって、ミステリアス・レイディ最大の技であるミストルテインの槍を放とうとする。

 

常時は防御用に装甲表面を覆っているアクア・ナノマシンを一点に集中、攻性成形することで強力な攻撃力とする一撃必殺の大技だが、自身も負傷しかねない上、模擬戦で使うには物々しい為、10分の1の威力に抑える。

 

「…………」

 

相変わらず無表情の簪だが、内心では若干焦っていた。

 

ミストルテインの槍は小型気化爆弾4個分の破壊力を持つ。

 

例え10分の1に抑えられているとは言え、装甲が無きに等しい簪のスコープドッグでは、掠っただけで致命傷になりかねない。

 

「これで!」

 

そこで簪も勝負に出た!

 

ミッションディスクを起動させ、アサルト・コンバットを発動。

 

ミストルテインの槍を放とうとしている楯無に向かって、ジェットローラーダッシュで突撃する。

 

如何やら、寸前でミストルテインの槍を躱し、反撃の猛攻撃を叩き込む算段らしい。

 

「うふふ! そう上手く行くかな?」

 

「…………」

 

楯無が不敵に笑うが、簪は構わず突撃を続ける。

 

「行くよ!!」

 

「…………!」

 

そして遂に、ミストルテインの槍が放たれ様とし、簪はタイミングの見極めに掛かる。

 

と、その瞬間!!

 

アリーナ上方のシールドに砲弾が着弾!!

 

シールドがまるで何処ぞの研究所のバリアの様に、パリーンと割れた!!

 

「「「「「「「「「「!? キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

途端に、生徒達とオープン・キャンパスに来ていた生徒達から悲鳴が挙がる。

 

「!? 何っ!?」

 

「!?」

 

楯無と簪も、戦闘を中止する。

 

と、シールドが割れた場所から、複数の影がアリーナ内に侵入して来る。

 

「降下と同時に攻撃開始!! 兎に角目に付く物は全て破壊しろ!!」

 

「ヒャッハーッ! 戦争だぁっ!!」

 

それは、獣人のガンメン部隊と、レッドショルダー部隊だった。

 

「!? ロージェノム軍!!」

 

「レッドショルダーも………」

 

楯無は驚き、簪もレッドショルダー達をスコープ越しに睨み付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

IS学園オープンキャンパス編です。
そして今回の主役は五反田兄妹………
特に弾の方がメインとなるかと。

やっと完成した量産型グレンラガンの『グラパール』の試作機。
原作ではギミーとダリーが乗っていた奴です。
そして悉くイベント時に現れるロージェノム軍。
果たして、今回の狙いは?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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