天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第53話『………ありがとうございます』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第53話『………ありがとうございます』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京・秋葉原………

 

とらのあな秋葉原店Bで、戦利品を多数ゲットしたクラリッサが、次にグレン団の面々を引き連れて向かったのは………

 

「如何だ? クラリッサ?」

 

「とても良くお似合いです! 隊長!!」

 

そう嬉々と答えるクラリッサの前には………

 

某戦国スタイリッシュアクションゲームの伊達 政宗の恰好をしたラウラの姿が在る。

 

そう、コスパだった。

 

早速ラウラにコスプレをさせて、その恰好を自前のカメラで撮影している。

 

敢えて言おう。

 

この人は病気だ。

 

「隊長! では次は、刀を構えてLet’s Partyと言って下さい!!」

 

「うむ、分かった………Let’s Party!!」

 

クラリッサに言われるがままに、ラウラは腰に片方3本ずつ、計6本差していた模造刀の内の1本を抜くと、構えを取ってそう言い放つ。

 

「くあああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~っ! 最高です! 隊長!!」

 

興奮した様子で、クラリッサはカメ娘の如く、コスプレしたラウラの写真を撮り捲る。

 

「やはりラウラ隊長は至高の存在です。そう思いませんか? 織斑殿?」

 

「いや、そんな急に言われても………って言うか、何で俺達までコスプレしてるんですか?」

 

突然話を振られて戸惑う一夏。

 

そして彼も、クラリッサの手により、ラウラと同じ某戦国スタイリッシュアクションゲームの真田 幸村の恰好をさせられていた。

 

「何を仰るのですか。折角聖地アキバへ来たのです! コスプレをせずして何をすると言うのですか!?」

 

「いや、色々有ると思いますけど………」

 

熱弁する様なクラリッサに、それでも抗議する様に言う一夏だったが、当然その言葉はスルーされる。

 

「クッ! 何故私までこんな恰好を………」

 

恥ずかしそうに顔を赤くしている箒は、某大正浪漫の作品のメインヒロインのコスプレを………

 

「何故かこの服………しっくり来ますわ」

 

何故か衣装が妙にしっくり来ていると感じているセシリアは、某傭兵組織の潜水艦艦長の天才少女のコスプレを………

 

「ま、悪くないかもね………」

 

満更でもない様子の鈴は、某広告を背負ったヒーローが出て来るアニメのボーイッシュ少女ヒーローのコスプレを………

 

「…………」

 

無言で顔を伏せている虚は、某宇宙戦艦の技師長のコスプレをしていた。

 

「お姉ちゃ~ん。恥ずかしがる事ないよ~。良く似合ってるよ~」

 

そんな虚にそう言うのほほんは、某同人弾幕シューティングゲームのかぐや姫をモデルにしたキャラクターのコスプレをしている。

 

「へえ~、結構面白れぇじゃねえか」

 

コスプレをそう評する神谷のコスプレは、某少年漫画の主人公として書かれた天下御免の傾奇者・前田 慶次である。

 

(………ピッタリだな、神谷)

 

そんな神谷の姿を見て、普段から傾いている神谷にはピッタリのコスプレだと内心思う、カンテレを持った某戦車道少女のコスプレをしているシャル。

 

「アニキ! 如何っすか、コレ?」

 

神谷にそう尋ねる弾は、某超有名バトル漫画の主人公やその他のキャラが着用している山吹色で背中に亀の文字が入った道着を着ている。

 

「おおっ!! 良いじゃねえか、弾」

 

「あ~そんなのあったのか~ 俺もそっちが良かったなぁ~」

 

そう感想を述べる神谷と、そのコスプレ衣装を見て羨ましそうにしている一夏。

 

「い、一夏さん! わ、私は如何ですか!?」

 

そう一夏に尋ねる蘭は、埼玉を聖地にした萌える癒し系4コマ漫画に出て来る神社の双子の巫女姉妹の妹の方のコスプレをしている。

 

「ああ、何のキャラかは良く分からないけど………良いんじゃないか? 可愛いぞ、蘭」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

一夏がそう褒めると、蘭は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「「「「…………」」」」

 

お約束で、箒、セシリア、鈴、ラウラからは殺気を飛ばされる事となったが………

 

「やあやあ皆~ 楽しんでる~?」

 

と、そう言いながら現れた楯無は、某有名ラノベのタイトルともなっているSOS団々長のコスプレをしていた。

 

(((((((………何でだろう………凄くピッタリな気がする)))))))

 

その楯無の姿を見た一夏、箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ、虚がそう思う。

 

「団長~、じゃなくて会長~ かんちゃんは~?」

 

と、そこでのほほんがそう尋ねると………

 

「あ、あ~~………簪ちゃんはね~………」

 

何やら楯無が口籠りながら後ろを振り返ったので、一夏達もその楯無の視線の先を見遣ると、

 

「…………」

 

赤い耐圧服に、ゴーグルと酸素ボンベが付いたヘルメットを被った人物の姿が在った。

 

………むせる

 

「ど、どちら様ですか!?」

 

一夏は思わず、その赤い耐圧服姿の人物にそう尋ねてしまう。

 

「………私よ………一夏」

 

と、その赤い耐圧服の人物がそう言いながらゴーグルを上げたかと思うと、バイザー越しに簪の顔が露わになった。

 

「や、やっぱり簪か………」

 

「何処に有ったのよ、ソレ………」

 

「と言うより、凄く精巧に出来てるね………」

 

耐圧服姿の簪を見て、一夏、鈴、シャルがそう言い合う。

 

「もう~ 私が散々可愛いコスプレをさせようとしたのに………簪ちゃん、コレが良いって言い張るんだよ~」

 

「? 黒い方が良かった?」

 

楯無が愚痴る様に言うと、簪が真顔でそう聞いてくる。

 

「いや、そう言う問題じゃないから」

 

そんな簪に、一夏はそうツッコミを入れる。

 

「皆さんも素晴らしいです!」

 

そんな中でも、クラリッサは只管マイペースに、ラウラを中心に一同の写真を撮る。

 

その後も、クラリッサはラウラや他のメンバーを散々コスプレさせて写真を撮ると、何着かのコスプレ衣装を買って、店を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉原・某メイド喫茶………

 

「お待たせしました、ご主人様、お嬢様。ご注文の品です」

 

「あ、ありがとうございます………」

 

店員のメイドが注文の品を運んで来たのを見て、思わず畏まってしまう一夏。

 

「オイ、一夏。何畏まってんだ?」

 

「いや、だって、学園祭じゃ似た様な事したけど、まさかリアルなメイド喫茶に来る事になるなんて思わなかったから………」

 

そんな一夏に弾がそう言うと、一夏は緊張している様子を見せる。

 

「くうう~~~………まさかメイド喫茶にまで来れるとは………このクラリッサ・ハルフォーフ! 最早感無量であります!!」

 

そんな一夏とは対照的に、クラリッサは感激の余りに、拳を握って身体を小刻みに震わせている。

 

「良かったぁ、クラリッサ。素晴らしい休暇になった様で」

 

「コレも全て隊長のお蔭であります! 本当にありがとうございます!」

 

ラウラに向かって礼を言うクラリッサ。

 

「ホント、面白い人だね~ クラリッサさんって~」

 

「う~~ん………ウチの学校の先生に欲しいかも」

 

「ア、アハハハハハ………」

 

のほほんが相変わらず呑気そうにそう言い、続く様に楯無がそんな事を言うと、シャルが渇いた笑い声を挙げる。

 

「「「「「…………」」」」」

 

そして、慣れない場所を散々引っ張り回された箒、セシリア、鈴、蘭、虚は、すっかり疲れた様子で、注文した飲み物や料理を機械的に食している。

 

「………苦味が足りない」

 

只1人、相変わらずブレた様子を見せずに食後のコーヒーを啜り、イマイチさを感じている簪。

 

「おう、姉ちゃん! 御代わりだ!!」

 

「ハ、ハイ………畏まりましたご主人様………」

 

そんな中、神谷は何時もの様に旺盛な食欲を見せ、ドンドンと料理を平らげては御代わりを要求している。

 

「………スマン。ちょっと席を外すぞ」

 

と、そこで不意にラウラが立ち上がる。

 

「? 如何したんだ? ラウラ?」

 

突然席を立ったラウラを怪訝に思った一夏がそう尋ねる。

 

「いや、その、何だ………ホラ、アレだ」

 

するとラウラは、妙に歯切れの悪い様子を見せる。

 

「?………アア、トイレか」

 

と、察した様にそう言った瞬間!!

 

「!!」

 

「「「「一夏〈さん〉!!」」」」

 

顔を真っ赤にしたラウラ、そして箒、セシリア、鈴、蘭から一斉に制裁を喰らった!!

 

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!? な、何故………?」

 

そう最後に呟き、テーブルに突っ伏す一夏。

 

「この馬鹿者がぁ!!」

 

「一夏さん! デリカシーが無さ過ぎますわ!!」

 

「アンタってホント馬鹿ね!!」

 

「一夏さん! 今のは無いと思います!!」

 

そんな一夏に、箒、セシリア、鈴、蘭がそう言い放つ。

 

「…………」

 

そしてラウラは、顔を真っ赤にしたままトイレへと向かったのだった。

 

「お~、イテテテ………」

 

とその直後、テーブルに突っ伏していた一夏が痛がりながら起き上がる。

 

「お前、最近回復早くなったなぁ」

 

「全然嬉しくないよ………」

 

「一夏ぁ………さっきのは俺も駄目だと思うぞ」

 

その一夏に、神谷と弾がそう言う。

 

「………ありがとうございます」

 

とそこで、不意にクラリッサが真面目な表情となり、一夏達にそう言って来た。

 

「えっ?」

 

「あ? んだよ、急に?」

 

「「「「「「「「「「??」」」」」」」」」」

 

突然のクラリッサからのお礼に、一夏と神谷が首を傾げ、他の一同も多少戸惑いの表情を浮かべる。

 

「嘗て隊長は、『ドイツの冷氷』と呼ばれ、冷徹で感情に乏しく、人を寄せ付けない孤高の人物でした。部隊内でさえ、良く不和を起こしていました」

 

(………確かに、出会ったばかりの頃は、千冬姉の事とかで色々あったからなぁ)

 

一夏は、出会って早々自分に平手打ちを噛まそうとして来たラウラの姿を思い出す。

 

「ですが、この学園に来て………そして織斑殿達と出会われて、変わられました」

 

「確かに、何て言うか………険が取れたって感じがするね」

 

ラウラとは個人的な付き合いも多いシャルが、クラリッサの言葉に同意するかの様にそう言う。

 

「「「…………」」」

 

箒、セシリア、鈴も思う所が有る様な顔をする。

 

「ハイ、その通りです………隊長の身の上に付いては御存じでしょうか?」

 

「ええ、まあ………本人から聞いては居ますけど………」

 

「隊長は遺伝子強化試験体として生み出された試験管ベビーであり、戦う為の道具としてありとあらゆる兵器の操縦方法や戦略等を体得し、優秀な成績を収めてきました」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

クラリッサの真剣な様子に、一同は話に聞き入る。

 

「ですが、ISの登場後、ISとの適合性向上の為に行われたナノマシンの移植が失敗し、それまでのエリート扱いから一転して出来損ないの烙印を押されてしまいました。一時期は自身の存在意義すら見失っていたそうですが、それを救ったのが………」

 

「ドイツに教官に行った千冬姉ですか?」

 

「その通りです。織斑千冬教官のお蔭で、隊長は再び部隊でのトップに返り咲きました」

 

「それで、あのブラコンアネキをあんなに尊敬したってワケだ。あの時は苦労したぜ」

 

「まあまあ、神谷」

 

千冬の事を尊敬する余り、暴走していたラウラの事を思い出し、神谷が愚痴る様にそう言うと、シャルが宥めて来る。

 

「しかし、それでも隊長が孤独であると言う事は変わりませんでした………ですが、最近は連絡をくれる度に今日は織斑殿や友人とこんな事をした。学園でこんな事があったと楽しそうに語ってくれるのです」

 

傍から聞けばそれは他愛の無い会話かもしれないが、兵器………物も同然に扱われ、遂には自ら心を閉ざしてしまったラウラの事を顧みると、正に年頃の少女らしい様子だった。

 

「皆さん………如何かコレからも、隊長の事をよろしくお願いします」

 

とそこで、クラリッサはそう言い、神谷達に向かって深々と頭を下げる。

 

「ちょっ!? そ、そんなに頭を下げないで下さいよ!!」

 

「当然だろう! アイツはもう立派なグレン団の一員! 仲間を守んのは当たり前のこった!!」

 

一夏は戸惑うが、神谷は何時もの調子でそう言い放つ。

 

「グレン団………ですか。羨ましいですな。私も是非入れて欲しいです」

 

クラリッサは頭を上げると、笑顔を浮かべながらそう言う。

 

「何言ってやがる! オメェ、ラウラの部下なんだろう!? そしてラウラはグレン団の一員! つまり!! お前はもうグレン団のメンバーなんだよ!!」

 

と、此処で神谷節が炸裂。

 

「ちょっ! アニキ!!」

 

「神谷! そんな勝手に………」

 

それに何か言おうとした一夏とシャルだったが………

 

「! 成程!! 確かに!!」

 

「「「「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」」」」

 

何とクラリッサは、その提案に納得した様子を見せた!

 

「ありがとうございます、天上さん!! いえ! アニキさん!!」

 

「おうよ! オメェ中々分かってるじゃねえか!!」

 

クラリッサと神谷はそう言い合い、ハッハッハッハッと呵々大笑する。

 

「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

一方の一夏達は、クラリッサの独特なノリの良さに閉口してしまうのだった。

 

………と、その時!!

 

突如爆発が聞こえたかと思うと、店全体に振動が走る!!

 

「「「「「「「「「「キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

店員であるメイド達と、客の悲鳴が木霊する。

 

「な、何だぁ!?」

 

「トイレの方から聞こえたが………」

 

一夏が驚きの声を挙げ、箒がそう指摘すると、

 

「!! 隊長!!」

 

先程トイレに向かったラウラの事を思い出し、クラリッサが駆け出した。

 

「ちょっ!? クラリッサさん!!」

 

シャルが止めようとしたが、その瞬間に店の店員や客が一斉に逃げ出し始め、他のメンバー共々、その波に押されてしまう。

 

「ちょっ!? ちょっと!?」

 

「ああ、クソッ! お前等、邪魔だぁ!!」

 

神谷がそう言い、強引に進もうとするが、中々上手くいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方………

 

ラウラを心配してトイレへと繋がっている通路へと飛び込んだクラリッサは………

 

「! あそこか!!」

 

目の前に女子用トイレの扉を見つけてそう声を挙げる。

 

その瞬間!!

 

「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

悲鳴と共にその扉を壁ごと突き破って、シュヴァルツェア・レーゲンを装着しているラウラが飛び出して来た!

 

「! 隊長!!」

 

「!? クラリッサ!? イカン! 下がっていろ!!」

 

クラリッサの姿を見たラウラが慌ててそう言った瞬間、トイレの奥の方から、白い包帯の様な布が多数伸びて来て、ラウラとシュヴァルツェア・レーゲンに巻き付く!!

 

「ぐうっ!?」

 

抑え込まれるラウラ。

 

そして、粉塵が待っていたトイレの奥の方から、まるでミイラ男か透明人間の様に、全身を包帯に巻かれた人型の物体が姿を見せる!

 

一応人の形をしているが、ISを装着しているラウラと同等の大きさ、そして動く度にする駆動音が、その人型の物体が生物で無い事を裏付けている。

 

「クウッ! 何なんだ、コイツは!?」

 

そう言いながら、身体に巻かれている包帯を引き千切ろうとするラウラだったが、包帯はまるで鋼鉄で出来て居るかの様に、まるで千切れそうにない。

 

全身を包帯に巻かれた人型の物体………『マミー』は、そのまま包帯を巻き戻し、ラウラを引き寄せる。

 

「うわっ!?」

 

耐えようとするラウラだが、マミーの巻き取る力は半端では無く、徐々に引き寄せられて行く。

 

「隊長!!」

 

とその瞬間!!

 

クラリッサが自分のIS………シュヴァルツェア・レーゲンの姉妹機『シュヴァルツェア・ツヴァイク』を展開。

 

「ハアアッ!!」

 

プラズマ手刀で、ラウラを拘束していた包帯を焼き斬る!!

 

マミーはバランスを崩し、数歩後退る。

 

「隊長! 御無事ですか!?」

 

「スマン、クラリッサ! 助かった!!」

 

と、クラリッサとラウラがそう言い合って居ると、マミーの全身包帯姿の中で唯一露出している目が光り輝く。

 

「「!?」」

 

咄嗟に危険を感じた2人が、左右に分かれる様に回避運動に入った瞬間!

 

マミーの目から赤い光線が放たれた!!

 

光線は店の壁にぶつかると、壁を融解させ、大爆発を起こす!!

 

「うわあっ!?」

 

「ぬうああっ!?」

 

爆風で別の壁に叩き付けられるラウラとクラリッサ。

 

「クウッ! コイツゥッ!!」

 

しかし、クラリッサの方がすぐに態勢を立て直し、マミーに右手のプラズマ手刀で斬り掛かる!!

 

だが、その攻撃は、マミーの左手で受け止められてしまう。

 

「くうっ!」

 

すぐに離れようとしたクラリッサだったが………

 

そこで突如!!

 

クラリッサの右手を押さえていたマミーの左手が、プロペラの様に回転し始めた!!

 

「!? 何っ!?」

 

驚くクラリッサの目の前で、マミーは押さえていたシュヴァルツェア・ツヴァイクの右手パーツを粉々にしてしまう!!

 

「ぐあっ!?」

 

クラリッサが怯んだ瞬間!!

 

今度はマミーの右手が回転!!

 

その右手を丸鋸の如く、クラリッサに叩き込む!!

 

「!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

クラリッサが悲鳴を挙げ、シュヴァルツェア・ツヴァイクは装甲の破片を撒き散らしながら、シールドエネルギーをガリガリと削られて行く。

 

「クラリッサ!………!? うわあぁっ!?」

 

助けに行こうととしたラウラだったが、マミーの目から再び光線が放たれ、ラウラに命中する。

 

「ぐ………あ………」

 

とうとうエネルギーが尽きてISが強制解除され、クラリッサは床に倒れた。

 

その途端、マミーの身体に巻かれていた包帯が剥がれ始める。

 

包帯の中から現れたのは………

 

『巨大な前腕の途中から細い上腕が付いている』という特異なシルエットをした赤いロボットが現れた!

 

「! き、貴様は………!?」

 

床に倒れたままのクラリッサが驚きの声を挙げ、そのロボット………『ビッグデュオ』を見て、驚きの声を挙げる。

 

と、その瞬間!!

 

ビッグデュオは、マミーの状態の時に身体に巻き付けていた包帯を、クラリッサに向かって伸ばす!

 

包帯がまるで生き物の様に動き、クラリッサに巻き付いて行く。

 

「た、隊長!? うぐぅっ………!?」

 

ラウラの事を呼んだ瞬間に、顔まで包帯に覆い尽くされ、クラリッサは包帯で完全にパッキングされてしまう。

 

「ク、クラリッサ………」

 

必死に手を伸ばすラウラだが、光線………アーク・ラインの直撃が堪えたのか、動く事が出来ない。

 

と、ビッグデュオは包帯でパッキングしたクラリッサを片手で摑み上げると、もう片方の腕を上向きにする。

 

すると、上向きにした手の部分がプロペラとなり、上腕よりも下に有る肘部分からロケットが噴射された!!

 

そしてそのまま天井を突き破り、空の彼方へと消えて行くビッグデュオ。

 

「ま、待………て………」

 

そこでラウラは気を失ってしまい、ISの装着も解除される。

 

「! ラウラ!!」

 

「オイ、大丈夫か!?」

 

とそこで、漸くグレン団の一同が駆け付ける。

 

しかし彼等が見たものは、粗全壊しているメイド喫茶のトイレだった場所と、気絶しているラウラだけだった。

 

「ラウラ! ラウラ!! しっかりしろ!!」

 

一夏はラウラを抱き起こして呼び掛けるが、ラウラから返事は返って来ない。

 

「そう言えば………クラリッサさんは!?」

 

そこでシャルが、先に向かった筈のクラリッサの姿が無い事に気付く。

 

「一体………何があったんだ?」

 

遠くから聞こえるパトカーのサイレン音を聞きながら、神谷はそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

更にアキバを満期するクラリッサと神谷達。
そんな中で、クラリッサはラウラの保護者の様な側面も見せる。

しかし、お約束のロージェノムの襲撃!
THEビッグオーから、ビッグディオがゲスト出演です。
誘拐されたクラリッサは果たして無事なのか?
そして次回、新たな合体が!!

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

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