これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第54話『私はお前を助ける!』
突如としてラウラを襲い、居合わせたクラリッサを誘拐した謎のロボット・ビッグデュオ。
その正体は何なのか?
一先ず神谷達は、負傷したラウラを学園へと連れ帰り、回復を待って事情を聞く事にした。
IS学園・医務室………
「う………ううん………」
「気が付いたか? ラウラ」
意識が回復したラウラが最初に見たのは、自分の事を覗き込んでいる一夏の顔だった。
周りには、神谷を始めとしたグレン団の面々の姿も在る。
「一夏………私は………!? そうだ! クラリッサ!!………っ!?」
気絶する直前の事を思い出し、ラウラは飛び起きるが、その途端身体に鈍い痛みが走る。
「オイ! 無理すんな!!」
「まだ寝てなきゃ駄目だよ!」
「私の事は良い………それより! クラリッサ!! クラリッサが奴に!!」
一夏とシャルが再び寝かし付けようとするが、ラウラは興奮した様子でそう尋ねる。
「一体何があったんだ?」
とそこで、神谷が改めてラウラにそう問い質す。
「クウッ!………突然奇妙なロボットに襲撃された………クラリッサはその時に………そいつに攫われて………」
「奇妙なロボット?」
「それはコイツの事か? ラウラ・ボーデヴィッヒ」
とそこで、そう言う台詞と共に、リーロンと真耶を引き連れた千冬が、医務室に入って来た。
先頭に立つ千冬の右手の上にはモニターが展開しており、そこにビッグデュオの姿が映し出されている。
「千冬ね………織斑先生」
「! そいつです! そいつがクラリッサを!!」
千冬達に気付いて声を挙げる一夏と、そのモニターに映るビッグデュオの姿を見てそう声を挙げるラウラ。
「やはりか………」
「何者なのですか? そのロボットは?」
「やっぱりロージェノム軍の物なんですか?」
1人納得した様子になる千冬に、セシリアと楯無がそう尋ねる。
「その通りよ。名前はビッグデュオ………ドイツを中心にヨーロッパの方で暴れていたマシンらしいわ」
「先程ドイツ軍から連絡が来ました」
千冬に代わる様に、リーロンと真耶がそう説明する。
「恐ろしい空戦能力を持っていて、IS部隊でも手を焼かされていたそうよ。でもこの間、シュヴァルツェ・ハーゼ………クラリッサ・ハルフォーフが交戦して引き分けたそうよ」
「! クラリッサと!? そうか………それでビッグデュオを知っている様な素振りを………」
「じゃあ、そいつを追って態々日本まで来たってワケ?」
リーロンの言葉にラウラが驚き、鈴がそう推論を述べる。
「そうかも知れんな………」
と、千冬がそう言った瞬間………
医務室の窓ガラスが割れ、『何か』が飛び込んで来る!!
「!? 何だ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
飛び込んで来た『何か』を見て、身構える一同。
それは、黒いボールの様なものだった。
と、そのボールの一部が開いたかと思うと、空中に立体映像が映し出され始める。
そこに現れたのは、鎖で十字架の様な物に架けられているクラリッサの姿だった。
「! クラリッサ!!」
[ラウラ・ボーデヴィッヒ。そしてグレン団の一同とIS学園の者に告げる]
ラウラが驚きの声を挙げると、合成音声でそう言う声がボールから響いて来る。
[クラリッサ・ハルフォーフは我々が預かっている。返して欲しくば、ラウラ・ボーデヴィッヒ………貴様のISを持って今日の午前0時までに地獄谷に来い]
「地獄谷!?」
「確か………IS学園から北西の方角に………100キロ近く行った所にある谷ね………」
何とも物騒なネーミングの谷の名前に弾が驚きの声を挙げると、簪が補足する様にそう言う。
[必ず貴様1人で来い。要求に従わなかった場合………クラリッサ・ハルフォーフの命は無いと思え]
「!?」
その言葉にラウラが目を見開いた瞬間、ボールの様な物体はボンッと爆ぜる。
「キャッ!?」
「野郎………ふざけやがって!!」
それに驚きの声を挙げる蘭と、怒りを露わにし、足元に転がって来たボールの部品を踏み潰す神谷。
「クラリッサ! 待っていろ! 今………」
「待て! ラウラ・ボーデヴィッヒ!!」
布団を跳ね除け、今すぐ飛び出して行こうとしたラウラを、千冬が止める。
「! 教官! 何故止めるのですか!?」
「頭を冷やせ、馬鹿者。如何見ても罠だろうが。そんな要求に従う事は出来ん」
「そうですよ、ボーデヴィッヒさん」
「ラウリ~、落ち着いて~」
千冬がそう言い放つと、虚とのほほんも、ラウラを宥めようとする。
「しかし! クラリッサを見殺しにするワケには!!」
「奴も軍人だ………覚悟はしているだろう」
「!?」
千冬の言葉に目を見開くラウラ。
確かに千冬の言っている事は、残酷な様だが正論である。
以前のラウラならば、千冬の言葉と言う事もあって、アッサリと引き下がっただろう………
「………納得出来ません!!」
しかし、ラウラは千冬に噛み付いた。
「教官! 貴女は軍人だから死んでも良い………本気でそう思っているのですか!?」
「ボーデヴィッヒさん!………!? 織斑先生………」
今にも、千冬に摑み掛かって行かんばかりの勢いのラウラを真耶が宥めようとしたが、他ならぬ千冬が止める。
「クラリッサは私の大切な部下であり………仲間です!! 見殺しにする事等出来ません!!」
「その通りだぜ! ブラコンアネキ!!」
とそこで、更に神谷が参戦。
「アイツもグレン団の一員だ! 仲間を見捨てる様な真似なんざ、俺は死んでも御免だぜ!!」
「そうだよ! 千冬姉!! クラリッサさんを助けようよ!!」
千冬に向かってそう言い放ったかと思うと、一夏もそう言って来る。
「お願いします! 織斑先生!!」
「千冬さん! 私からもお願いします!!」
「私からもですわ!!」
「見殺しになんか出来ないわよ!!」
「助けられる命なら………助けてあげるのが筋でしょう」
「お願いしやす!!」
更に、シャル、箒、セシリア、鈴、楯無、弾もそう言い、千冬に向かって頭を下げる。
「…………」
簪も無言で、千冬に強い視線を送っていた。
「…………」
「如何するの、織斑先生? 如何やらこの子達………やる気みたいよ?」
その様子を無言で見ていた千冬に、リーロンがそう言う。
「………ハア~、全く………揃いも揃って反抗的な生徒になりおって………フッ」
すると千冬は、溜め息を吐きながらそう言った。
しかし、最後の方では口の端を緩めて笑みを浮かべる。
「良いだろう………そこまで言うのなら、やってみろ」
そして、神谷達に向かってそう言い放つ。
「! 千冬姉!!」
「教官!………ありがとうございます!!」
それを聞いて笑みを浮かべる一夏と、千冬に向かって頭を下げるラウラ。
「おっし! んじゃ早速! クラリッサを助け出せ大作戦を練るぞ!!」
「神谷………そのネーミングセンスは如何にかならないの?」
神谷は作戦を練り始めるが、シャルがそのネーミングセンスにツッコミを入れる。
「なら………1つ良い作戦が有るわよ」
するとそこで、リーロンがそう言って来た。
「!? 本当ですか!?」
「リーロン先生………一体どんな作戦?」
「貴方達に………と言うよりも、グレンラガンにしか出来ない作戦よ」
「あ? 俺に?」
突然名指しされ、神谷が首を傾げる。
「その通り………グレンラガンの武器は何だったかしら?」
「!? 成程! その手が有ったか!!」
リーロンのその言葉で、神谷は全てに合点が入った様な表情となるのだった。
◇
数時間後………
空はすっかり暗くなり、無数の星と三日月が瞬いている。
そんな中、IS学園から北西の方角に100キロ近くの地点………
地獄谷では………
まるで採石場の様に、地面から大小様々な岩石が剥き出した状態となっている。
その一角に、鎖で十字架に架けられたクラリッサと、それを取り囲む獣人達の姿が在った。
(クッ! 駄目だ!! やはりISが起動しない………こんな連中如きに後れを取るとは………このクラリッサ! 一生の不覚!!)
「もうすぐ0時か………」
「遅いな………何やってんだ?」
ラウラが中々姿を見せない事に、獣人達がそんな事を言い合う。
「言った筈だ! 隊長は軍人だ! たかが部下1人の為、大局を見失う様な真似はせん! 無駄な事だとな!!」
と、そこでクラリッサが、獣人達を挑発する様にそう言い放つ。
「何だとぉ!?」
「貴様! 生意気なぁ!!」
途端に獣人達は怒りの様子を見せ、手にしていた武器をクラリッサに向ける。
「殺すなら殺せ! 私は軍人だ!! 死ぬ覚悟は当に出来て居る!!」
しかしそれでも尚、クラリッサは挑発を続ける。
「コイツ~~っ!!」
「オイ、待て! コイツは用が済むまで生かしておく必要がある!!」
思わずクラリッサに手を掛けようとしていた獣人を、別の獣人が止める。
「チイッ! 覚えてろよ………用が済んだら、すぐにブチ殺してやるぜ!」
「だから無駄だと言っているだろう。隊長は来ない………」
と、クラリッサがそう言い掛けた瞬間………
空の向こうから、ISの飛行音が聞こえて来る。
「!?」
「おっ!? 漸く来たみたいだな」
クラリッサが驚きを露わにし、獣人の1人がそう言った瞬間………
獣人達とクラリッサの前に、ISを装着したラウラが降り立つ。
「来たか………ラウラ・ボーデヴィッヒ」
「隊長!」
「クラリッサ! 無事か!?」
クラリッサに呼び掛けるラウラ。
「隊長! 何故ですか!? 何故来たんですか!?」
「お前を見捨てるワケには行かないからだ」
「私は軍人です! 死ぬ覚悟は当に出来て居ます!! シュヴァルツェ・ハーゼの副隊長にだって、私の代わりは………」
「馬鹿を言うな!!」
「!?」
と、そこでラウラは、クラリッサの台詞を遮る。
「クラリッサ………すまないな………私のせいでお前には本当に迷惑ばかりを掛けていた………」
「た、隊長?」
「だが、そんな私の悩みに………お前は快く相談に乗ってくれた………本当に感謝している………実を言うとな………お前の事………心の何処かで………姉の様に思った事がある」
「そんな………私は………」
「だから! 私はお前を助ける! 私の部下であり! 仲間であり! そして………大切な姉であるお前を!!」
ラウラはそう啖呵を切る。
「隊長………クウッ………!」
感激の余り、クラリッサの目から涙が零れる。
「お涙頂戴はそこまでだ!!」
しかし、そんな空気をブチ壊す様に、獣人の1人がクラリッサに武器を向けた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ………貴様のISを此方に渡してもらおうか?」
「そうすればコイツは返してやるぞ」
そして、ラウラに向かってそう言い放つ。
「………本当だな?」
「隊長! いけません!! 罠に決まっています!! コイツ等、私達を無事に帰す気なぞ………」
「黙れ!!」
クラリッサが叫ぶが、獣人が武器を押し付けて無理矢理黙らせる。
「さあ、如何する! ラウラ・ボーデヴィッヒ!!」
「…………」
獣人の問い掛けに、暫しの間沈黙していたラウラだったが………
やがてその身体がパアッと光を放ったかと思うと、ISが解除され、ISスーツ姿となる。
そして、右腿の黒いレッグバンド状となっていた待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンを外す。
「! 隊長!!」
「物分かりが良いな………さあ! そいつをコッチに渡せ!!」
「ああ、分かった………受け取れ!!」
と、ラウラはそう言うと、待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンを思いっ切り投げる。
待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンは、獣人達とクラリッサの上を飛び越え、背後のやや離れた地面に落ちる。
「あ!? コイツ!!」
「放っておけ。只の悪足掻きだ」
その渡し方に怒りを覚える獣人も居たが、只の悪足掻きだと言い、リーダー格の獣人が抑えて、待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンを拾いに行く。
「フフフ………コレで螺旋王様もお喜びになる」
リーダー格の獣人が、そう言いながら待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンを拾い上げようとする。
………と、その瞬間!!
地面に穴が開き、待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンがその穴の中に落ちた!!
「!? 何っ!?」
リーダー格の獣人が驚きの声を挙げた瞬間!
「!? うわぁっ!?」
今度はクラリッサが架けられていた十字架が刺さっていた地面に大穴が開き、クラリッサの姿が地中に消える!!
「!? 何だ!?」
「急に穴が!?」
周りに居た獣人達が、慌てた様子でクラリッサが落ちた穴の中を覗き込むと………
「おりゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」
雄叫びと共に、ドリルに変えた右腕を突き上げながら、グレンラガンが飛び出す!!
「「「「「ギャアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」」」」」
その際に発生した衝撃波によって撃破される獣人達。
「!? グレンラガン!!」
「だけじゃないぜ!!」
と、リーダー格の獣人が驚きの声を挙げると、今度はそう言う声が響いて来て、グレンラガンが飛び出して来た穴から、ISを装着した一夏達が次々に姿を現した!
「き、貴様等!?」
「へへっ………流石に地中から接近して来るだなんて、思ってもみなかったみたいだな!」
「そりゃそうよ………普通地中を移動するってのは時間が掛かる事なのよ」
驚くリーダー格の獣人に、一夏が自慢する様にそう言い放ち、楯無がツッコむ様にそう言う。
「それをこの短時間で、IS学園から此処まで掘り進んで来たなんて………」
「改めてグレンラガンの凄さを知った様な気がするよ」
鈴とシャルも、そう驚きを露わにしていた。
「ホラよ! ラウラ!!」
と、そこで穴から飛び出して空中に居たグレンラガンが、ラウラに向かって待機状態のシュヴァルツェア・レーゲンを投げる。
「………形勢逆転だな」
ラウラは、それをキャッチすると、再びシュヴァルツェア・レーゲンを展開してそう言い放つ。
「お、オノレエエエエェェェェェーーーーーーーッ!!」
「た、隊長! 如何するんですか!?」
リーダー格の獣人が怒りを露わにしていると、別の獣人が指示を求める様にそう尋ねて来る。
「ええい! こうなれば!! イッヒデュオ、エスキプツ・ショウツタイツ!!」
と、リーダー格の獣人がそう叫んだかと思うと、三日月に影が掛かり、ビッグデュオが降りて来た。
「ビッグデュオ! そいつ等を皆殺しにしろ!!」
リーダー格の獣人がそう言い放つと、ビッグデュオは目を怪しく発光させる。
更に獣人達も、ガンメンの姿へと変わる。
「出やがったな!」
「簪! 弾! 2人はクラリッサさんを頼む!!」
「………了解」
「任せておけ!!」
穴の中で、クラリッサを十字架の拘束から解いているグラパール・弾と、それを守る様にしている簪がそう返事を返す。
「良し! 行くぞ!!」
「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」
そして、グレンラガンの掛け声で、全員が一斉に戦闘を開始するのだった。
「必殺っ! シャアアアアアァァァァァァイニングゥ! フィンガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」
光り輝く左手の雪羅で、ゴズーを鷲摑みにする一夏。
「獣人に栄光あれーっ!!」
断末魔の叫びと共に、ゴズーは握り潰されて爆散する。
「「死ねええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」」
その直後に、背後からングーとアガーが襲い掛かって来るが………
「一夏はやらせん!!」
箒がフォローに入り、雨月と空裂でングーとアガーの攻撃を受け止めると、そのまま2機を弾き飛ばす!!
「せやああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
「「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」
そして空かさず二刀を振るい、ングーとアガーを斬って捨てる。
「サンキュー、箒!」
「ふ、ふん! お前は何時も危なっかしいんだ!!」
笑顔で礼を言って来る一夏に、箒は戦闘中にも関わらず、頬を染めてしまうのだった。
「そこっ!!」
メズー1体に狙いを付け、セシリアはスターライトmkⅢの引き金を引く。
「おわっ!? あぶねっ!?」
ギリギリのところで回避するメズーだったが………
「甘いですわ」
セシリアがそう言ったかと思うと、スターライトmkⅢから放たれたビームが曲がり、メズーの背後から襲い掛かった。
「来世で仕返ししてやるーっ!!」
獣人の断末魔の叫びと共に、メズーは爆散する。
「喰らえっ!!」
とそこで今度は、アルマジロ型のガンメン・マジローが、高速で転がって来ながらの体当たりを見舞って来る。
「くっ!」
突撃して来るマジローに向かって、スターライトmkⅢを連射するセシリアだったが、マジローの高速回転の所為でビームが弾かれてしまう。
「そらあっ!!」
そのままセシリアに回転したまま体当たりを掛けるマジロー。
「!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
直撃を受けてしまい、セシリアは地面に墜落する。
「今だ! 奴を仕留めろ!!」
「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」
その隙を見逃さずマジローがそう叫ぶと、ガンメン部隊が一斉にセシリアに群がる。
だが!
「させないよ!!」
シャルが、セシリアに迫っていたガンメン部隊に向かって、両手のデザート・フォックスで弾幕を張る。
一斉に群がろうとしていたガンメン部隊は、蜂の巣にされて爆散して行く。
「オノレェ!!」
それを見たマジローが、再び高速回転体当たりでシャルに突撃する。
「おっと!」
しかしシャルは、実体シールドを使ってマジローの突撃を受け止めると………
「セイッ!!」
そのまま押し返した!!
「うおおっ!?」
マジローはバランスを崩し、空中で隙を晒す。
「貰った!!」
そこをシャルは、右手のデザート・フォックスをガルムに代えて撃ち抜く!
「サラダバーッ!!」
何処かで聞いた様な断末魔を挙げて爆散するマジロー。
「セシリア! 今の内に態勢を立て直して!!」
「すみません! シャルロットさん!!」
シャルの援護で、態勢を立て直す事に成功するセシリアだった。
「そおりゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
連結した双天牙月を、敵の集団目掛けて投げ付ける鈴。
連結された双天牙月は、回転しながら敵の中を突き進み、多数のガンメンを薙ぎ払う。
「せえええええいっ!!」
楯無も、回転しながら蒼流旋を振るい、周辺に居たガンメン達を薙ぎ払う。
「ええいっ! クソがぁ!!」
「喰らえいっ!!」
と、距離を取っていたゴズーとメズーが、ミサイルとガトリング砲を放つ。
「甘い!!」
「喰らわないよ!」
しかし、ミサイルは龍咆に撃墜され、ガトリング砲の弾丸は水のヴェールで防がれる。
「チイッ! 駄目か!!」
「ん?」
そこでメズーの方が、自分達の足元が何時の間にか水浸しになっている事に気付く。
「!? しまっ………」
「残念。手遅れだよ」
メズーが慌てた瞬間に、楯無が指を弾き、清き熱情(クリア・パッション)を発動。
ゴズーとメズーの足元に広がっていたアクア・ナノマシンが大爆発し、2体は一瞬にして蒸発した!
「「イエーイ!!」」
それを確認すると、鈴と楯無はハイタッチを交わす。
「クッソ! この鎖、思ったより頑丈だな………」
穴の中で、クラリッサを十字架に拘束している鎖を解くのに四苦八苦しているグラパール・弾。
「………弾さん………急いで………」
その穴の中に居るグラパール・弾とクラリッサを守っている地上の簪が、近づいてくる敵にヘヴィマシンガンの弾丸を浴びせながらそう言う。
「ヒャッハーッ!!」
と、一瞬意識が2人の方に向いてしまった瞬間に、カメレオン型ガンメン・メレオーンが飛び掛かって来る。
「!?」
そのままメレオーンに圧し掛かられ、転倒する簪。
「死ねぇっ!!」
メレオーンは両足でスコープドッグの両腕パーツを押さえて、簪に元になった生物の様に長い舌での攻撃を見舞おうと口を開ける。
「………!」
だが、簪は咄嗟に右アームパーツから右腕を引き抜く。
引き抜いた右手には、アーマーマグナムが握られていた。
そのアーマーマグナムをメレオーンに突き付ける簪。
「なっ!?」
メレオーンが驚きの声を挙げた瞬間に、アーマーマグナムの引き金が引かれ、弾丸が発射される!!
放たれた弾丸がメレオーンを貫通。
メレオーンは簪に覆い被さる様に動かなくなる。
「くうっ………」
右腕を右アームパーツに差し直すと、メレオーンの残骸を自分の上から退かす。
「ひょ~~~~っ!!」
だが、その隙に、ネズミ型ガンメン・ネズーが穴へと向かってしまう。
「! しまった!………弾さん!………ガンメンが1機そっちに!」
簪は慌ててグラパール・弾に通信を送る。
「ああもう! ホントに固いな、この鎖!!」
しかし、グラパール・弾はクラリッサの鎖を外すのに夢中になっているのか、気付いていない様子だ。
「くたばれー! このグレンラガンモドキー!!」
と、そういう台詞と共に、ネズーが穴の中へと飛び込もうとする。
「! 五反田殿!!」
クラリッサが思わず声を挙げた瞬間………
「うるせぇっ!!」
グラパール・弾はまるで西部劇のガンマンの様な早撃ち(クイックドロウ)で、ハンドガンを抜き放って撃った。
「ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
勇ましく突っ込んで行ったネズーは敢え無く玉砕。
木端微塵に爆散した。
「…………」
「ええい、チキショー! とっとと外れろってんだよ!!」
唖然とするクラリッサを尻目に、グラパール・弾は鎖を外す作業を続ける。
「………無駄な心配だったみたいね」
その光景を見ていた簪はフッと笑うと、新たな敵集団の中に7連装ミサイルポッドのミサイルを叩き込むのだった。
そして………
ビッグデュオと対峙しているラウラとグレンラガンは………
「グレンブーメランッ!!」
先制を掛けたのはグレンラガン!
胸のサングラス・グレンブーメランをビッグデュオ目掛けて投擲する!
しかし、ビッグデュオは空へと飛び上がり回避する。
「逃すか!!」
ラウラがワイヤーブレードを1本伸ばし、飛び上がったビッグデュオの足を絡め取る。
「良し!」
そのまま力任せに地上に引き摺り下ろそうとするラウラだったが………
ビッグデュオの目からアーク・ラインを放ち、ワイヤーブレードのワイヤーを切断してしまう。
「うわっ!?」
思わず尻餅を着いてしまうラウラ。
「この野郎!!」
と、そこでグレンラガンが、ビッグデュオを追って宙に舞う。
そのまま後ろからビッグデュオを追うが、ビッグデュオのスピードは凄まじく、追い付けない。
「チキショー! 何て速さだ!! だが負けるか! 気合全開!!」
そこでグレンラガンが気合を入れる様に叫び声を挙げると、そのボディから緑色の光が立ち上り、背のブースターの炎が一気に吹き上がる!!
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
徐々にビッグデュオとの距離を詰めて行くグレンラガン。
「捕まえたぜ!!」
そして遂に目と鼻の先にまで迫ったビッグデュオに、グレンラガンが摑み掛かる。
しかし、グレンラガンがビッグデュオを捕まえると思われた瞬間に、ビッグデュオの姿が煙の様に消えてしまう。
「!? ん何っ!?………!? おうわっ!?」
驚くグレンラガンの背中に、弾丸が次々に命中する。
何時の間にかグレンラガンの背後に周っていたビッグデュオが、巨大な前腕に装備されていたガトリング・ライフルで攻撃して来ていた。
「グウッ! 野郎!!」
すぐさま後ろを振り返るグレンラガンだったが………
ビッグデュオは、右手をプロペラからマニピュレーターへと変えたかと思うと、そのままグレンラガンの頭を鷲摑みにする!!
「うおわっ!?」
そのまま地面目掛けて降下し、グレンラガンを叩き付ける。
「ぐがあああっ!?」
地面が凹む程の勢いで叩き付けられ、グレンラガンから思わず声を挙がる。
しかし、ビッグデュオはまだマニピュレーターを離さず、そのままグレンラガンに圧し掛かって動きを封じると、マニピュレーターのパワーを上げて行く。
グレンラガンの頭部から、ミシッミシッという嫌な音が鳴り始める。
「ぐああああっ!! こ、このぉ!! 放せぇっ!!」
両手でビッグデュオの右腕を摑み、引き剥がそうとするグレンラガンだが、ビッグデュオのパワーは凄まじく、逃げられない。
とうとうグレンラガンの頭部にヒビが入り始める。
「ヤ、ヤベェッ!?」
「神谷から離れろ!!」
一瞬焦った声を挙げるグレンラガンだったが、その瞬間に背後からラウラがレールカノンをビッグデュオ目掛けて放つ。
直前で飛び上がられて回避されてしまうが、グレンラガンから引き剥がす事に成功する。
「すまねえ、ラウラ。助かったぜ………う! クッ!?」
ビッグデュオから逃れたグレンラガンはすぐに立ち上がるが、頭を鷲摑みにされた影響か、直後に膝を突いてしまう。
「オイ! 大丈夫か!?」
ラウラが思わず駆け寄った瞬間!
空中に居たビッグデュオが、2人目掛けて胸部のガトリングミサイルを見舞って来た。
「!? うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」
「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」
その名の通り、ガトリング砲の様に連続で放たれてくるミサイルによって、グレンラガンとラウラはボロボロにされて行き、更に動きまで封じられてしまう。
2人の居る場所が、爆煙でドンドン見えなくなって行く。
やがて、ミサイルが無くなったのか、ビッグデュオが射撃を止める。
そして、爆煙が晴れて来ると………
「イデデデデデ………やってくれるじゃねえか………」
「クッ!………損傷レベルBを突破………されど………戦闘継続可能」
すっかりボロボロになったグレンラガンと、ラウラの姿が露わになる。
ビッグデュオはそんな2人にトドメを刺さんと急降下。
その両足が変形したかと思うと、膝から巨大なミサイル・メガトンミサイルが出現する。
そのメガトンミサイルが、2人目掛けて発射される!
白煙の尾を引いて2人に迫るメガトンミサイル。
「クウッ!!」
だが、ラウラが痛む体を無理矢理動かし、AICを起動。
メガトンミサイルは、寸前のところで停止する。
しかし直後に、ビッグデュオはアーク・ラインを放つ。
「!?」
驚愕するラウラ。
AICはエネルギー兵器には効果が薄い。
しかもビッグデュオが放ったアーク・ラインの狙いは先程自身が放ったメガトンミサイル。
このままでは、AICを解除すればメガトンミサイルは着弾して爆発。
解除しなくてもアーク・ラインによって爆発させられてしまう。
機体の脚部スペースの殆どを使って収められていたミサイルだ。
その威力は計り知れない。
ダメージの酷いラウラとグレンラガンでは恐らく耐えられないだろう。
だが………
「こんな所で………」
「終われるかってんだよ!!」
ラウラにもグレンラガンにも諦めの色は見えない。
「「負けてたまるかああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」
2人がそう叫んだ瞬間!
その身体が緑色の光に包まれた!!
その直後!!
アーク・ラインがメガトンミサイルに命中!!
夜にも関わらず、まるで昼間の様に空が明るく見える程の巨大な爆発が巻き起こる!!
「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」
「「「「「キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」」」」」
「クウッ!?………」
「「「「「ギャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」」」」」
その爆発の衝撃波に、一夏や箒達、更にはビッグデュオの味方である筈のガンメン部隊までぶっ飛ばされて行く。
「な、何だあぁーっ!?」
「隊長!!」
唯一、穴の中に居た為、その衝撃波を浴びずに済んだが、凄まじい震動で穴が埋まりそうになり悲鳴を挙げるグラパール・弾と、ラウラの身を案じるクラリッサ。
空は10数秒近く白に染まっていたが、やがて光が収まり出し、元の夜空へと戻る。
「ぐ………み、皆!? 無事か?」
「あ、ああ………」
「何とかね………」
「頭がクラクラしますわ………」
「身体中が痛いよ………」
一夏が雪片弐型を杖代わりに起き上がると、周りに居た箒、鈴、セシリア、シャルがそう声を挙げながら起き上がる。
「簪ちゃん? 大丈夫?」
「ありがとう………姉さん」
吹き飛ばされた際に、咄嗟に防御力が1番低い簪を庇った楯無がそう尋ねると、簪はそう礼を言いながら起き上がり、楯無を助け起こす。
ガンメン部隊の方は、衝撃波に吹き飛ばされた際に、大概は衝突し合ったり、地面に叩き付けられたりして全滅している。
「おわっ!? 何だこりゃあっ!?」
と、半分埋まり掛けていた穴から這い出て来たグラパール・弾が、爆心地点を見てそう声を挙げた。
その声で、一夏達が同じ様に爆心地点を見遣ると………
「「「「「「「なっ!?」」」」」」」
一斉に言葉を失う。
何故なら、爆心地点は………
直径50メートル近くは有ろうかと言う、巨大なクレーターと化していた!!
中心付近からはまだ黒煙が立ち上っている。
クレーターの真上には、ビッグデュオが勝ち誇るかの様に悠然と浮遊している。
「ア、アニキ………まさか………」
「そんな!? 神谷!!」
「隊長!! 返事をして下さい! 隊長!!」
一夏とシャル、そして漸く拘束が解け、グラパール・弾と同じく穴から這い出て来たクラリッサが、思わずそう声を挙げる。
だが、その声に反応したのは神谷でもなければラウラでもなく、ビッグデュオだった。
一夏達の姿を確認すると、弱っている彼等にトドメを刺そうとする。
「! クウッ!!」
「チキショウ!!」
咄嗟に、一夏とグラパール・弾が一同を庇う様に前に出る。
「! 一夏!!」
「五反田殿!!」
箒とクラリッサが声を挙げた瞬間!
ビッグデュオは2人に狙いを定め、突撃しようとする!!
と、その時!!
クレーターの中心から立ち上っていた黒煙の中から、黒煙を吹き飛ばして緑色に光る球体が現れた!!
「!?」
「!? 何だ!?」
「「「「「「「!?」」」」」」」
その光の眩しさに、思わず腕で目を庇う一夏達。
ビッグデュオも異変に気付き、突撃を中止してインメルマンターンで振り返り、光の球体を見据える。
やがて光が弾けたかと思うと、そこには………
『グレンラガンがシュヴァルツェア・レーゲンを装着している』様な姿のマシンが現れた!!
「! アレは!!」
一夏がそう声を挙げた瞬間!!
「魂の色は紅蓮の炎!!」
「敵打つ姿は黒き雨!!」
「「炎雨(えんう)合体!!」」
『グレンラガンがシュヴァルツェア・レーゲンを装着している』様な姿のマシンがポーズを決める。
「「『ラガンレーゲン』!!」」
「俺を!」
「私を!」
「「誰だと思っていやがる〈る〉!!」」
『グレンラガンがシュヴァルツェア・レーゲンを装着している』様な姿のマシン………『ラガンレーゲン』から、神谷とラウラの声で、そう叫び声が挙がる!!
「! やっぱり! アニキ!!」
「隊長! 御無事でしたか!? しかしソレは一体!?」
歓喜の声を挙げる一夏とクラリッサ。
しかし、グレンラガンとISの合体を初めて見るクラリッサは、その様子に目を丸くする。
「フッ、クラリッサ………これが日本のお家芸………『合体』だ!!」
すると、ラガンレーゲンのボディの方の顔の口が動いて、ラウラの声でクラリッサにそう言う。
「! 何と!! コレが『合体』!! 日本のロマンサイエンス!!」
「その通り!」
「『合体』はロマンだぜ!!」
クラリッサが目を輝かせてラガンレーゲンを見上げていると、一夏とグラパール・弾も同意して来る。
「「「「「…………」」」」」
そして否定したいが、既に前例が何件もあり、余り強くは否定出来ずに居る箒達。
「フッ………悪くないわね」
そしてラガンレーゲンを見上げて、実はロボット好きな簪はそんな感想を抱くのだった。
と、その時!!
事の成り行きを見守っていたビッグデュオが、ラガンレーゲンに向かって突撃する。
「お喋りはそこまでだ………来やがったぜ!」
頭部の方の顔の口が動き、神谷の声が発せられる。
「フッ………良いだろう」
ラウラの声がそう言うと、ラガンレーゲンは突っ込んで来るビッグデュオを、腕組みした仁王立ちで待ち構える。
そんなラガンレーゲンに、ビッグデュオはガトリング・ライフルで先制攻撃を掛ける。
「そんなもん! 避けるまでもねえ!!」
と、神谷の声がそう響いたかと思うと、ラガンレーゲンの前方にAICが展開!!
ガトリング・ライフルが不可視の壁に阻まれ制止する!!
するとビッグデュオは、今度はアーク・ラインを発射!!
今度はラガンレーゲンに直撃し、爆発が挙がったが………
「言った筈だぞ………そんなもの! 避けるまでもないとな!!」
ラウラの声がそう響いたかと思うと、全く無傷のラガンレーゲンが姿を現す!!
それを見たビッグデュオは急旋回すると、一旦ラガンレーゲンから距離を取ろうとする。
「「逃がすか〈さん〉!!」」
だがその瞬間に、ラガンレーゲンから先端がドリルに代わったワイヤーブレード改め『ワイヤードリル』が1本伸び、離脱しようとしていたビッグデュオの足を絡め取った!
またもアーク・ラインで切断しようとするビッグデュオだったが………
「そらよ!!」
何と、そのワイヤードリルの先端からAICが展開され、ビッグデュオの動きを封じた!!
「おおおおおりゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
そして、ラガンレーゲンはワイヤーを摑むと勢い良く引っ張り、完全に動きの止まったビッグデュオを地面に叩き付ける!!
派手な土煙と共に、地面に叩き付けられるビッグデュオ。
関節からギギギギッという不協和音を立てながら起き上がろうとするが………
「オラァッ!!」
神谷の叫びと共に、その隙に接近していたラガンレーゲンが、アッパーカットを見舞う!!
衝撃で、ビッグデュオは無理矢理立ち上がらせられる。
「ハアッ!!」
今度はラウラの叫びが聞こえたかと思うと、ラガンレーゲンはローキックを繰り出す。
そして、ビッグデュオがバランスを崩すと、右手で頭を鷲摑みにする!
「「喰らえっ!!」」
神谷とラウラ両方の声が響くと、ラガンレーゲンの手からプラズマ手刀が出現!!
そのままビッグデュオの頭を貫き、爆散させる!!
頭を失ったビッグデュオは、頭部が在った場所から黒煙を上げながら後退る。
と、不意に両腕を上に向けたかと思うと、マニピュレーターをプロペラにして回転させ、肘からもロケットを噴き出す。
そのまま垂直に上昇して行き、離脱しようとし出す。
「逃がすか!!」
と、神谷のそう言う声が響くと、ラガンレーゲンの胸のグレンブーメランが独りでに外れ、ラガンレーゲンの右手に納まる。
「必殺っ!!」
そのグレンブーメランを、ビッグデュオ目掛けて投げ付けるラガンレーゲン。
高速回転しながらビッグデュオへと向かっていたグレンブーメランは、途中で2つに分離。
ビッグデュオを連続で斬り付け、空中に磔にした。
そこで、ラガンレーゲンの全身から、全てのワイヤードリルが出現する!
「「ドリル・ルフトシュピーゲルング(蜃気楼)!!」」
そのワイヤードリルが、四方八方からビッグデュオを貫く!!
ドンドン穴だらけにされていくビッグデュオ。
やがて蜂の巣状態になったかと思うと………
突然拘束していたグレンブーメランが外れ、ワイヤードリルの攻撃も収まって落下。
その落下地点には、ラガンレーゲンがガイナ立ちで大口径レールカノンを真上に構えて待ち受けていた。
その大口径レールカノンの先端に、ビッグデュオが引っ掛かった瞬間!!
轟音と共に砲弾が発射され、ビッグデュオを貫いた!!
ビッグデュオは上半身と下半身を分離させられ、爆発・四散!!
直上での爆発を物共せず、ガイナ立ちを続けていたラガンレーゲンの元に、戻って来たグレンブーメランが再装着される!!
「やったぁっ!!」
「アニキの勝ちだ!!」
「神谷!!」
「隊長!!」
それを見た一夏、グラパール・弾、シャル、クラリッサが一斉に駆け出す。
その中で、ラガンレーゲンは再び緑色の光に包まれ、グレンラガンとシュヴァルツェア・レーゲンを装着しているラウラの姿に分離。
「へっ………」
「ふっ………」
並び立っていた2人は、互いに不敵に笑い合うと、拳を合わせ合った。
その後、駆け寄って来た一夏達によって、2人共揉みくちゃにされる。
◇
数日後………
クラリッサの帰国の日が訪れ、一同は出迎えの時と同じく、全員で見送りに来ていた。
東京国際空港のターミナルにて………
「では、隊長。コレで失礼致します」
トランクケースを牽くクラリッサが、ラウラに向かって敬礼する。
「うむ、また暫くの間、シュヴァルツェ・ハーゼを頼むぞ」
ラウラもそのクラリッサに敬礼を返す。
「すみません、クラリッサさん。折角の休暇を、大変な事にしちゃって………」
一夏がビッグデュオ達、ロージェノム軍との戦闘に彼女を巻き込んでしまった事を気に病み、そう謝罪するが………
「何を仰いますか、織斑殿。今回の休暇は、私にとって最高のものでしたよ!」
しかしクラリッサは気にするどころか、そんな事を言って来た。
「えっ?」
「音に聞くグレン団の活躍を間近で見る事が出来ました。民間人に日々あの様な戦いを見せられては、軍人として奮起せぬワケにはいかぬでしょう」
と、キリッとした表情で語るクラリッサ。
「クラリッサさん………」
「それに………」
しかしそこで一瞬にして表情がだらしなくなったかと思うと、
「新刊ゲットに加えて、隊長のあ~んな姿やこ~んな姿の写真を撮る事も出来ましたから………えへへへ」
女性が浮かべる笑みでは無い笑みを浮かべて、そんな事を漏らした。
((((((((((うあっ………)))))))))
そんなクラリッサの姿に、一夏達は思わず心の中で引く。
(やっぱこの人………駄目な人なんじゃ………)
と、一夏がそう思った瞬間、クラリッサが乗る飛行機が間も無く出発すると言うアナウンスが流れて来た。
「おっと! もう時間の様ですね………それでは皆さん、またお会いしましょう」
「おう! オメェも元気でな!!」
「ドイツにもグレン団の魂を布教しちゃってー!」
神谷とのほほんが、クラリッサにそんな事を言う。
「必ずや!!」
それにクラリッサはキリッとした表情をしてそう答える。
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
その様子に一夏達は苦笑いを浮かべる。
「………フッ」
只1人、様子を遠巻きに見ていた簪だけが、微笑を浮かべるのだった。
東京国際空港の第2旅客ターミナル・展望デッキ………
グレン団の一同が見守る中、クラリッサが乗った飛行機は無事離陸。
そのまま空高く舞い上がって行った。
「………行っちまったな」
「疲れる人だったけど………楽しい人だったな、クラリッサさんって」
神谷がそう言うと、一夏が皆に言う様にそう言う。
「…………」
と、ラウラが若干寂しそうな顔をして、既に小さくなっているクラリッサが乗った飛行機を見ている。
「………寂しいの? ラウラ」
そんなラウラに、そう声を掛けるシャル。
「………いや、私はアイツの上官だ。心配は掛けられないさ」
しかし、その瞬間にはラウラは寂しそうな表情を消し、シャルにそう答えた。
「ラウラ………」
「それに………今の私には嫁が居るからな」
と、そこで一夏の手を取るラウラ。
「「「「!!」」」」
途端に、箒、セシリア、鈴、蘭から殺気が飛ぶ。
「ちょっ!? オ、オイ、ラウラ………」
被害が及ぶ前に何か言おうとした一夏だったが………
「ああ、そう言えば、一夏」
先にラウラが、懐から1枚の紙を取り出し、一夏に渡した。
「? コレは?」
「クラリッサが別れ際に、お前に渡してくれと言って渡して来たものだ」
「俺に?」
一夏が首を傾げながらその紙を受け取る。
「「「「「「「「??」」」」」」」」
他の面々も、何かと一夏の後ろから覗き見る。
紙を広げる一夏。
そこに書かれていたのは………
『婚姻届』という文字だった!!
「なっ!?」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
驚きの声を挙げる一夏と驚愕する箒達。
「ほほう? クラリッサめ………気の利いた事をしてくれる。行くぞ、一夏」
それを見たラウラは、即座に一夏の手を取り、歩き出した。
「い、行くって、何処へ!?」
「決まっているだろう。その書類を提出にだ」
「ちょっ!………」
「「「「一夏〈さん〉!!」」」」
途端に、箒、セシリア、鈴、蘭が一夏へと飛び掛かる。
「ちょっ!? 何で俺!?」
「貴様等ぁ!」
ラウラが振り払おうとした瞬間、その手から婚姻届が消える。
「!? 何っ!?」
「ゴメンね~、ラウラちゃ~ん。お姉さんもちょ~と、興味有るんだよね~」
ラウラが驚くと、婚姻届を持った楯無が、春風の様に微笑んでいた。
「貴様! 返せ!!」
「嫌で~す!」
そのまま追い駆けっこに発展する2人。
当然箒達も参加し、一同は展望デッキを所狭しと走り回る!
「あ~あ~」
「またやってるよ」
その光景に呆れた声を挙げる神谷とシャル。
「一夏………如何してお前はそう鈍いんだ」
「鈍感ってホント罪ですね」
弾と虚もそんな事を言い合う。
「アハハハハ! 皆頑張れ~!」
そして1人、呑気そうに追い駆けっこを応援しているのほほんだった。
結局、最後は………
風に舞った婚姻届を、簪がアーマーマグナムで撃ち抜いて、事態は終結したのである。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
ロージェノム軍に囚われたクラリッサの救出作戦。
グレンラガンお得意のドリルで、見事に成功させます。
しかし、ビッグディオの前には大苦戦。
そこで新たな合体IS!
ラガンレーゲンの誕生です!
次回は季節イベントをお送ります。
ヒントは秋です。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
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天元突破ISと同時
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土曜午前7時
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別の日時(後日再アンケート)