天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第55話『俺は正直な感想しか言わねえぜ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第55話『俺は正直な感想しか言わねえぜ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月も末に迫ったIS学園にて………

 

また新たなイベントが行われる事となった。

 

そのイベントとは………

 

 

 

 

 

IS学園・生徒会室にて………

 

「織斑くんはやっぱりドラキュラよね」

 

「うんうん! ぴったりだね~」

 

楯無とのほほんが、そんな事を言いながら、ドラキュラの衣装を用意している。

 

見れば生徒会室の至る所に、オレンジ色のカボチャを刳り貫き、刻み目を入れ、内側から蝋燭で照らしたもの………『ジャック・オー・ランタン』が翳されている。

 

グレン団と生徒会の面々も、衣装選びやジャック・オー・ランタン作りに従事している。

 

そう………

 

IS学園が新たに行うイベントとは、ズバリ『ハロウィン』である。

 

ロージェノム軍やレッドショルダーの裏切りの所為で、多数の留学生が学園を去って行ったが、まだ残っている生徒達の為にも、このイベントは通常通りに行われる事となった。

 

と言っても、本来の意味でやるのではなく、全校生徒で仮装してワイワイやるという、コスプレパーティーに近い内容になっている。

 

「ドラキュラかぁ………まあ、悪くはないかな?」

 

「虚さん。俺は何が良いかな?」

 

一夏がそう感想を述べると、同じ様にハロウィンの準備をしていた虚に、弾がそう尋ねた。

 

「う~~ん、弾くんだったら、そうね………フランケンシュタインなんて如何しら?」

 

「おおっ! 良いッスね~」

 

「ハロウィンまでやるとはなぁ。中々面白そうじゃねえか」

 

虚と弾がそう会話していると、窓の外で校舎や学園全体の飾り付けをしている生徒達の姿を見ながら、神谷がそう言う。

 

「まあね。日本じゃあんまり馴染みの無いイベントかもしれないけど、留学生の多いこの学園じゃ恒例行事だよ」

 

「ここのところロージェノム軍の襲撃も無いし、少しは羽根を伸ばせると良いね」

 

楯無が神谷にそう答えていると、シャルがそう言って来る。

 

「だな………」

 

そう返すと、再び窓の外を見遣る神谷。

 

すると………

 

ヒヒヒヒヒヒヒ………

 

窓の外に、ジャック・オー・ランタンの姿が現れた。

 

「!?」

 

流石の神谷も思わず目を擦る。

 

そして改めて窓の外を見遣ると、そこには何も無かった………

 

「??」

 

「? 神谷? 如何したの?」

 

怪訝そうに窓の外を眺めている神谷に、シャルがそう尋ねる。

 

「ああ、いや………何でもねえ(気の所為か………)」

 

そう思うと、神谷は自分も飾り付けの手伝いを始めるのだっだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時はアッと言う間に流れ………

 

10月31日・ハロウィン当日の夕暮れ………

 

「「「「「「「「「「トリック・オア・トリートッ!!」」」」」」」」」」

 

生徒達の言葉と共に花火が上がり、ハロウィンは開催された。

 

既に全校生徒達は教師まで含めて仮装しており、開かれた出店を廻ったりして思い思いに楽しんでいる。

 

「おお~~、毎度の事と言えば毎度の事だけど、盛り上がってるなぁ」

 

「こういう時の女子のテンションってスゲェよなぁ」

 

「良いじゃねえか! 祭りってのは騒いだモン勝ちよ!!」

 

その中を練り歩いている一夏、弾、神谷のグレン団の男3人衆。

 

其々にドラキュラ、フランケンシュタイン、大魔神の仮装をしている。

 

「見て見て! 織斑くんよ!!」

 

「キャーッ! カッコイイ!!」

 

「私の血なら何時でも吸って良いよ!!」

 

ドラキュラに仮装している一夏の姿を見て、生徒達がそんな声を挙げる。

 

「五反田くんも居る!」

 

「織斑くんも良いけど、五反田くんも優良株だよね~」

 

「あ~、虚先輩が羨ましいな~」

 

更にフランケンシュタイン姿の弾にも、そんな声が掛けられる。

 

「アハハハ………」

 

「いや、参ったな~」

 

照れる様子を見せる一夏と弾。

 

「モテモテだな、お前等」

 

その後ろの大魔神姿の神谷がそんな事を言う。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」

 

一方生徒達は、大魔神姿の神谷を見て言葉を失っている。

 

無理も無い。

 

普段から生徒達に良い印象を持たれていない神谷が、大魔神に仮装をしているのだ。

 

オマケに、顔には憤怒の表情のお面が掛かっている。

 

目撃した生徒の中には、思わず逃げ出す者の姿まで在った。

 

「ハハハハッ! 俺様の迫力に恐れを為したか!!」

 

しかし、当の神谷はその様子に満足そうな様子である。

 

「「ア、アハハハハ………」」

 

そんな神谷の様子に、一夏と弾は思わず苦笑いを漏らす。

 

「一夏!」

 

「弾くん!」

 

「神谷!」

 

とそこで、再び一夏と弾に声を掛けられる。

 

3人が振り向くとそこには、仮想した箒やシャル達の姿が在った。

 

「あ、箒! 皆!!」

 

「虚さん!」

 

「よう! シャル!!」

 

其々に返事をすると、彼女達の傍へ近寄って行く一夏達。

 

「何よ、一夏は吸血鬼? 結構似合ってんじゃん」

 

そう言う鈴は、キョンシーの仮装をしている。

 

「ホント、カッコイイですわ」

 

妖精の仮装をしているセシリアもそう言って来る。

 

「フフ、流石は私の嫁だな」

 

自分の部隊に因んだのか、黒ウサギの仮装をしているラウラもそう言う。

 

「素敵です! 一夏さん!!」

 

そう声を挙げたのは、座敷童に仮装している蘭である。

 

「そうか? サンキュ。鈴にセシリア、それにラウラに蘭も似合ってるぞ」

 

「「「「!!」」」」

 

一夏にそう言われると、4人は頬を染めて俯く。

 

「い、一夏………」

 

「ん?」

 

続いて一夏の前に現れたのは、真っ白な着物に身を包んだ箒だ。

 

如何やら、雪女の仮装らしい。

 

「おう、箒?」

 

「わ、私は如何だ? その………雪女の仮装なのだが………」

 

照れながらそう一夏に尋ねる箒。

 

「ん~~」

 

そう言われて、一夏は改めて箒の姿を見遣る。

 

元々着物姿の似合う日本美人である彼女に、白い着物は良く似合っており、幻想的な美しさを醸し出している。

 

「そ、そうだな………良く似合ってるよ」

 

「そ、そうか………」

 

それだけ言い合うとモジモジと黙り込んでしまう2人。

 

「あ~ら、初々しいね~、2人共~」

 

とそこで、楯無がそう言いながら、一夏に背後から抱き付いた。

 

「うわっ!? た、楯無さん!?」

 

驚きながら楯無の姿を見遣る一夏。

 

如何やら、彼女はネコの妖精=ケット・シーの仮装をしている様だが、その衣装の露出はかなり高い。

 

「ちょっ!? 何て恰好して抱き付いて来てんですか!?」

 

「んふふ~、似合ってる?」

 

「似合ってるって………兎に角離して下さいよぉ!!」

 

「い~や~」

 

相変わらず楯無にからかわれる一夏。

 

「「「「「…………」」」」」

 

その光景を見ている箒、セシリア、鈴、ラウラ、蘭の目にはドンドン殺気が宿って行っている。

 

「一夏の奴………如何してアイツはあんなにモテるんだ?」

 

その友人の謎のモテっぷりに弾が首を傾げていると………

 

「ホラホラ、お姉ちゃ~ん。恥ずかしがらずに~」

 

「ちょ、ちょっと待って本音! 幾ら何でもコレは………!?」

 

「ん?」

 

と、布仏姉妹の声が聞こえて来たので、弾が振り向くと、そこには………

 

「だ、弾くん!?」

 

「ジャジャ~ン!」

 

まるでうる〇やつらに出て来るヒロインの様に、虎縞模様のビキニとロングブーツ姿の鬼の仮装をした虚を、真っ白なシーツを被ってゴーストに仮装しているのほほんが押して来ていた。

 

「…………」

 

その虚の姿を見て言葉を失う弾。

 

「こ、コレはその! お嬢様が無理矢理………」

 

「虚さん、1つ良いですか?」

 

と、そこで弾は虚の肩を摑んで、真剣な顔でそう言う。

 

「えっ!? あ、あの………何ですか?」

 

「………『ダーリン好きだっちゃ!』って言ってくれますか!?」

 

「え、ええっ!?」

 

「お願いします!!」

 

赤面して戸惑う虚だったが、弾は相変わらず真面目な表情でそう言う。

 

「え、えっと………ダーリン好きだっちゃ!」

 

御丁寧にポーズまで取ってそう言う虚。

 

途端に!!

 

「グハッ!?」

 

弾は吐血と共に地面に倒れた!!

 

「だ、弾くん!?」

 

「わ、我が人生に………一片の悔い無し!!」

 

慌てて虚が傍に座り込むと、弾は天に向かって拳を突き出し、そう言い放ったかと思うと力尽きる。

 

「弾く~~~んっ!!」

 

「効果抜群だったみたいだね~」

 

「………何処の世紀末覇者?」

 

のほほんはそう感想を漏らし、その横で魔女の仮装をしている簪はそうツッコミを入れる。

 

尚、簪の魔女のコスプレだが………

 

彼女の容姿やキャラクターも相俟って、某SOS団の無口クール美女がコスプレした姿に酷似している。

 

「アイツ等も大概だぜ」

 

そんな一夏と弾の様子を見ながらそう評する神谷。

 

「神谷」

 

「ん?」

 

とそこで、そんな彼に声を掛けて来たのは………

 

天使の仮装をしたシャルだった。

 

純白の羽根の舞い散る翼。

 

高潔さを現すかの様な白い布の様な衣装。

 

そして頭の上に輝く金色の輪。

 

どれもこれもが、彼女の美しさ、そして可愛さを引き立てている。

 

敢えて言おう!!

 

シャルちゃん、マジ天使!!

 

「ど、如何かな? に、似合う?」

 

はにかんで、頬を赤く染めながら、シャルは神谷にそう尋ねる。

 

「おおっと! コイツは何処の天使様が地上に舞い降りて来たのかと思ったぜ!!」

 

そんなシャルに向かって、神谷は呵々大笑しながらそう言う。

 

「も、もう~、褒め過ぎだよ~」

 

その言葉に、シャルは益々頬を赤く染めてモジモジとし出す。

 

………益々可愛い!!

 

「ガハハハハッ! 俺は正直な感想しか言わねえぜ!!」

 

神谷はそんなシャルの肩に手を置き、そう言う。

 

「………ありがとう」

 

シャルは上目遣いで神谷を見ながらそう呟く。

 

 

 

 

 

………そんなグレン団の一同の様子を、林の中の暗闇から見詰める者が居た。

 

闇の中に在り、その姿は窺えないが………

 

ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ………

 

ただ、不気味に光る眼と大きな牙が生えている様に見える口が、確実にグレン団の一同を捉えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

グレン団の一同の中で、弾と虚、神谷とシャルのカップル達は、一夏を取り合う箒達とは別行動を取り、其々にハロウィンを見学し始めた。

 

 

 

 

 

弾×虚………

 

「ホラホラ、虚さん。皆仮装してるんっすから、そんなに気にしなくても大丈夫っすよ」

 

「う、うん………」

 

未だに衣装に慣れない様子の虚の手を引き、喧騒の中を進んでいる弾。

 

周りに居る生徒は、2人………特に虚に注目している様だが、虚本人は兎も角、弾は気にも留めていない。

 

「………!!」

 

と、遂に耐えられなくなったのか、虚は弾の手を振り解くと、森の中へ飛び込んでしまう。

 

「あ! 虚さん!!」

 

直ぐ様弾はその後を追う。

 

「ハア………ハア………ハア………ハア………」

 

暫く進み、ハロウィンの会場が見えなくなると、虚は息を切らせながら足を止める。

 

「如何したんすか? 虚さん」

 

そこへ弾が追い付いてくる。

 

「ゴ、ゴメンなさい、弾くん………わ、私、もう………」

 

虚は顔どころか全身真っ赤になって縮こまる。

 

「…………」

 

それを見た弾は………

 

「! あ!?」

 

無言で自分の上着を彼女に掛けた。

 

「弾くん………」

 

「すんません………俺、何か浮かれちゃってたみたいで………帰りましょうか?」

 

そう言うと、再び虚の手を取り、帰路に就き始める。

 

「………ゴメンナサイ」

 

「いや、良いんすよ。悪いのは俺ですから」

 

「………あ、あのね………弾くん」

 

「ん?」

 

「か、仮装とかでこういう恰好するのは無理だけど………ふ、2人っきりの時とかにだったら、べ、別に構わないからね」

 

「えっ………?」

 

虚の言葉に、弾は言葉を失う。

 

「…………」

 

言った虚も虚で、コレ以上ない程真っ赤になっている。

 

と、その時、2人は気づかなかった………

 

自分達が次に踏み出そうとしている地面が、黒い影の様な状態になっている事に………

 

その影の様な地面に踏み出してしまった瞬間!!

 

その影の様な地面に、2人の足が埋まった!!

 

「!? うわっ!?」

 

「キャアッ!? な、何っ!?」

 

バランスを崩して倒れ込むと、影の様な地面はそのまま2人を呑み込み始める。

 

「な、何コレ!?」

 

「で、出られねえ!?」

 

藻掻く2人だが、暴れれば暴れる程に沈む速度が増して行くだけだった。

 

「グ、グラパー………」

 

遂に弾が、グラパールを起動させようとしたが、その瞬間に完全の影の中へと呑まれてしまう。

 

やがて、地面に広がっていた影が1箇所に集まったかと思うと、人型を成す。

 

ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ………

 

人型となった影が、不気味に光る眼と大きな牙が生えている様に見える口を光らせて、不気味な笑い声を挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

一夏達は………

 

「ハアアアアア~~~~~~疲れた~~~~~~」

 

重々しい溜息と共に、噴水の縁に腰を落とす一夏。

 

散々取り合いされた一夏だが、皆で一緒にという楯無の提案で、多大な労力と引き換えに、如何にか身の安全を得る。

 

しかし、問題の原因が分かっていないので先送りしたに過ぎず、寧ろ今後のハードルが上がる事となったのを、今の一夏は知る由もなかった。

 

「もう~、だらしないよ~、一夏くん」

 

その隣に、楯無が座る。

 

「全くだぞ、一夏」

 

そしてそう言いながら、箒がちゃっかりと逆隣を確保する。

 

(((((クッ! 出遅れた(ましたわ)!!)))))

 

その光景に内心で悔しそうにしながら、セシリア、鈴、ラウラ、蘭も腰掛ける。

 

「かんちゃん、如何? クエント産の砂モグラの肉の串焼きは?」

 

「………悪くない」

 

そして、のほほんと簪も、出店で買ったクエント産の砂モグラの肉の串焼きを頬張りながらそう言い合う。

 

「そういや、アニキや弾達は如何しているかな?」

 

神谷や弾の事が気になり、そう言う一夏だったが………

 

「まあまあ、一夏くん。それは気にするだけ野暮ってもんでしょう」

 

楯無がそんな一夏にそう言う。

 

「? 何で?」

 

しかし、一夏はその言葉の意味を理解出来ない。

 

((((((………コイツ(この人、子)は))))))

 

思わず心の中で頭を抱えてしまう箒、セシリア、鈴、ラウラ、楯無、蘭。

 

「??」

 

一夏は相変わらずワケが分からず、首を捻るしかなかった。

 

と、その時!

 

「………!?」

 

簪が何かを感じ取ったかの様に後ろを振り返る。

 

しかし、そこには流れ出る噴水以外、何も無かった。

 

「? 如何したの? かんちゃ~ん」

 

「ううん………何でも………」

 

気のせいかと思い、再び前を向く簪。

 

だが、その瞬間………

 

噴水の水が、黒く染まり始めている事に、簪はおろか一夏達も気付いていなかった。

 

他の生徒達も、ハロウィンに夢中で気付いていない。

 

と、次の瞬間!!

 

黒く染まった水が、まるでアメーバの様に膨れて、一夏達に覆い被さろうとする!!

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

一夏達がそれに気付き、簪がアーマーマグナムを構えた時には、既に手遅れだった!

 

黒いアメーバ状の水は、一夏達を飲み込み、そのまま再び噴水へと戻る。

 

一瞬の出来事であり、周りに居た生徒達は全く気付かなかった。

 

そして、水の色が徐々に戻って行き………

 

完全に元に戻ったと思った時には、噴水は前と同じ装いとなる。

 

一夏達だけを消し去って………

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

他のグレン団メンバーがそんな事になっているとは露知らず………

 

神谷とシャルは………

 

「ガツガツ! バクバク! ンガンガ!!」

 

凄まじい勢いで、目の前に積まれたジャック・オー・ランタンを模して作られたパンケーキを平らげて行く神谷。

 

ジャック・オー・ランタンを模しているのでかなりの大きさが有るのだが、神谷は1つ5秒くらいのハイペースで食べ進めている。

 

「す、凄い勢い!?」

 

「アレだけ有ったパンケーキが、もう………!」

 

その様子を見物していた生徒達がそう言っている間に、ジャック・オー・ランタンを模して作られたパンケーキの山はドンドン低くなって行き、そして………

 

「ゲップ!!」

 

とうとう完食されてしまった。

 

「そ、そこまで!!」

 

「ま、まさか………ホントに全部食べるなんて………」

 

「くう! 負けたわ!! 約束通り、代金はタダで良いわ!!」

 

ジャック・オー・ランタンを模したパンケーキを作った、料理部のメンバーが悔しそうな様子を見せる。

 

「凄いよ、神谷! まさか本当に全部食べるなんて………」

 

その中に居たシャルも、そんな事を言って来る。

 

事の発端は数10分前………

 

料理部の出店を訪れた神谷とシャルが、ジャック・オー・ランタンを模したパンケーキを発見。

 

神谷が旨そうだと呟いたところ、料理部の部長が勝負を持ち掛けて来た。

 

このパンケーキの山を1人で完食出来たら代金は要らない、と。

 

勝負事に目が無い神谷はコレを受諾。

 

シャルは何度も部長に止めた方が良いと進言したが聞き入れられず、勝負は開始され………

 

結果はご覧の通りである。

 

「………なあ、部長さんよ」

 

とそこで、神谷が部長に声を掛ける。

 

「な、何?」

 

「もう2、30個くらいねえか?」

 

「「「「「まだ食う気か!?」」」」」

 

神谷のその台詞に、料理部の生徒達が一斉にツッコミを入れるのだった。

 

「ア、アハハハハハ………」

 

シャルはその光景に、苦笑いする。

 

 

 

 

 

「アガ! んぐんぐ!!」

 

その後、別の出店で購入したホットドッグを頬張りながら、ハロウィンの学園を歩き回る神谷とシャル。

 

「神谷ってホント良く食べるよねぇ」

 

「食える時に食っとかねえとな」

 

そう言いながら、神谷はホットドックと一緒に買ったオレンジジュース(LLサイズ)をズゾゾゾゾゾと飲み干す。

 

「ハア、全く………結婚したら苦労しそうだな」

 

そんな神谷に呆れる様にそう呟くが、続けてそんな事を呟くシャル。

 

「ん? 何か言ったか?」

 

「!? う、ううん!! 何でも無い!!」

 

「? そうか?」

 

そんな会話を交わす2人の空気は当然甘い。

 

他の生徒達は、『リア充爆発しろ!』的な視線を向けている者も居る。

 

とその時、神谷の携帯が鳴った。

 

「ん? 誰だ?」

 

通話ボタンを押すと電話に出る神谷。

 

[あ、神谷? 良かった、通じたみたいね]

 

携帯からは、リーロンの声が聞こえて来る。

 

「んだ、リーロンか。如何かしたのか?」

 

「リーロン先生から?」

 

シャルがそう言って、神谷を見上げる。

 

[あ、その声はシャルちゃん? 彼女も無事なのね]

 

「無事って………何かあったのか?」

 

[それがねえぇ、織斑くん達と連絡が取れないのよぉ。他の子も同じで連絡が取れなくなっててねぇ]

 

「一夏達が?」

 

そこで神谷は、顔色を変える。

 

「分かった。俺の方でも探してみる」

 

[そうしてくれると有り難いわ。ただ気を付けてね………如何もさっきから、学園の監視システムの調子がおかしいの。只の故障だったら良いんだけど………]

 

「あんがとな」

 

そう言うと、神谷は携帯を切る。

 

「如何か、したの?」

 

「一夏達が行方不明らしい」

 

「ええっ!? 一夏達が!?」

 

「如何にもきなクセェ臭いがして来たな………」

 

と、神谷がそう呟いた時………

 

「!?」

 

正面の森の中に、何かを見付ける。

 

ヒヒヒヒヒヒヒ………

 

あの時、生徒会室の窓の外に見た、ジャック・オー・ランタンだ。

 

まるで神谷を誘う様に、ランタンを光らせながら、森の奥へと消えて行く。

 

「! 待ちやがれ!!」

 

神谷は本能的に、そのジャック・オー・ランタンを追う。

 

「あ! 神谷待って!!」

 

シャルも、慌ててその後を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園で開催されたハロウィン。

 

神谷達も仮装して楽しんでいる中………

 

不気味な影が暗躍を始めた。

 

果たして、その正体は何か?

 

捕らわれの身となった一夏達は無事なのだろうか?

 

そして!

 

神谷達の前に現れたジャック・オー・ランタンの正体は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

秋のイベント………
それはハロウィンでした。
日本では某所でのバカ騒ぎのせいで若干敬遠されてますが………

それはさておき、イベントにトラブルはつきもの。
謎のジャック・オー・ランタンと影………
果たして、その正体は?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

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