天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第61話『ロージェノム軍の仕業か!?』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第61話『ロージェノム軍の仕業か!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・1年1組………

 

「え~と………皆さんに転校生を紹介します」

 

何度目とも知れぬ、困惑した様子での転校生のお知らせをする真耶。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

しかし、今回ばかりは生徒達も一様に困惑の表情を浮かべている。

 

「ニャ、ニャハハハハ………如何も」

 

何故なら、その転校生と言うのは、ティトリーの事だったからだ。

 

(如何してティトリーちゃんが?)

 

(彼女確か、獣人だったんだよね?)

 

(えっ? 私、獣人に攫われたって聞いたけど?)

 

(私は獣人のスパイだって)

 

本人を前にしてヒソヒソ話を始める生徒達。

 

と、その瞬間!!

 

ドスッ! と言う何か固い物に固い物を突き刺した様な鈍い音が、教室内に響き渡る。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

生徒達が驚いてその音がした方向を見遣ると、そこには長刀を机に突き刺して刃を光らせている神谷の姿が在った。

 

「オイ………アイツに付いて何か言いたい事があるなら俺に言え………何時でも聞いてやるぜ?」

 

凄みを効かせ………と言うか殺気を醸し出しながら、生徒全員にそう言い放つ神谷。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

そんな殺気を当てられて、生徒達はただ沈黙する。

 

神谷にしてみれば単なる脅し程度だったが、彼女達からしてみれば本気で殺しに来ると思っているのだ。

 

「じゃ、じゃあ、え~と………ティトリーちゃん。前と同じ席でお願いね」

 

「あ! ハ、ハイ!」

 

とそこで、その空気を察した真耶がティトリーに言い、ティトリーは以前自分が座って居た席へ向かう。

 

「お帰り、ティトリー」

 

と席に着くと、隣の席のシャルが笑顔でそう言って来た。

 

「! シャルロット………」

 

「フフフ………」

 

戸惑うティトリーに、シャルはただ微笑み掛ける。

 

「………えへへ」

 

やがてその笑みに釣られる様に、ティトリーも笑みを浮かべる。

 

「フッ………」

 

その様子を見ていた神谷も、満足そうな笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間はアッと言う間に流れて放課後………

 

生徒会室にて………

 

「それでは~! ティトリーちゃんのグレン団復帰を祝って! 乾杯!!」

 

「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」

 

何度目とも知れぬ、グレン団メンバーによる宴会が開かれていた。

 

「それっ! 飲めや食えや歌えいっ!!」

 

「イエーイ!!」

 

「1番! 織斑 一夏!! 『勝利者達の挽歌』! 歌います!!」

 

「2番! 五反田 弾!! 2リットルペットボトルを一気飲みします!!」

 

最早グレン団メンバーも慣れたもので、場を盛り上げる者、その盛り上がった雰囲気に乗って楽しむ者、マイペースにその様子を見て楽しんでいる者と、其々差異は有れど、思い思いに宴会を楽しんでいる。

 

「………あ、あの………」

 

そして、主役である筈のティトリーは、完全に置いてけぼりを喰らっている。

 

「ホラ、ティトリーちゃん! 何しんなりしてるの!?」

 

「そうそう! 今日はティトリーが主役なんだから!!」

 

楯無とのほほんが、そんなティトリーに声を掛ける。

 

「で、でも………」

 

「どした、ティトリー! 何辛気くせぇ顔してやがんだ!?」

 

「神谷、燥ぎ過ぎだよぉ」

 

ティトリーが戸惑っていると、更に神谷とシャルも傍に寄って来る。

 

「………本当に良いの?」

 

「あ?」

 

「本当に私が此処に居ても良いの?」

 

真剣な表情でそう尋ねるティトリー。

 

「それにおっさんがまだ寝てるのに、アタシだけこんな思いして………」

 

「ティトリー………」

 

「「…………」」

 

それを聞いて、シャル、楯無、のほほんも真面目な表情となる。

 

 

 

 

 

前回の天岩戸との戦闘後………

 

シャルと神谷が助けたティトリーとジギタリスは、再びIS学園が預かる事となった。

 

当然千冬は反対したが、神谷が強引に押し切り、更に一夏達の懇願も有って、渋々ながらも了承し、ティトリーは再び学園の生徒となる。

 

そしてジギタリスだが………

 

あの時に負った傷が想像以上に深かったのか、あの後に気を失ってしまい、今も目覚めていない。

 

現在は、リーロンの研究室の一部を改装して造られた集中治療室に収容されている。

 

意識は戻っていないが、怪我の回復は順調らしい。

 

 

 

 

 

「「「「…………」」」」

 

そのまま沈黙を続けていたシャル、楯無、のほほん、ティトリーだったが、

 

「何つまんねえ事言ってやがる!?」

 

神谷がそう言って、ティトリーの背中を引っ叩いた!!

 

「!? ブッ!?」

 

その勢いで、ティトリーは目の前に置かれていたホールケーキへ顔から突撃する。

 

「「「あっ!?」」」

 

思わず揃ってそんな声を挙げるシャル、楯無、のほほん。

 

「俺が気にすんなって言ってんだ! だから気にすんじゃねえ!!」

 

そんなティトリーに向かって、神谷はお得意の神谷節を決める。

 

「うう~~、ベタベタ~」

 

それを聞きながら、起き上がると顔に付いたクリームを指で取るティトリー。

 

「ハハハハハッ! お似合いだぜ!!」

 

「むうっ! このぉっ!!」

 

それを見て大笑いした神谷に、ティトリーは手近に有ったパイを投げ付けた。

 

「ブッ!?」

 

パイは見事に神谷の顔に命中。

 

土台の紙皿がずり落ちると、クリームで真っ白になった神谷の顔が現れる。

 

「アハハハハハハハッ! のっぺらぼう~!!」

 

それを見たティトリーが、先程の仕返しの様に大笑いする。

 

「テメェッ! やったな!!」

 

と、反撃に別のパイを投げ付ける神谷。

 

「おっと!?」

 

「ギャッ!?」

 

しかし、ティトリーは身を反らして躱し、パイは射線上に居た鈴の横っ面に命中する。

 

「ちょっと! 何すんのよ!? 馬鹿神谷!!」

 

「ああ、ワリィワリィ。間違った」

 

「それで済むと思ってるワケェッ!?」

 

鈴はそう叫ぶと、自分もパイを投げ返す。

 

「ほっ!!」

 

「キャアッ!?」

 

しかし、神谷がそれを避けると、鈴の投げたパイはセシリアに命中した。

 

「り、鈴さん~~~~~!!」

 

「わ、私のせいじゃないわよ!? 神谷の奴が避けるのが悪いのよ!!」

 

「問答無用ですわ!!」

 

慌てる鈴に向かって、セシリアは同じ様にパイを投げ返す。

 

「おお! パイ投げだね!! バラエティーみたい!!」

 

「よ~し! 負けないぞ~~!!」

 

そこで楯無とのほほんがそう声を挙げ、生徒会室内でバラエティー宛らのパイ投げが開始された。

 

飛び交うパイのクリームで、部屋も人もドンドン白く染まって行く。

 

「コラ、お前達! 幾ら何でも羽目を外し過ぎだぞ!!」

 

「全く………くだらない事に何をムキになっている」

 

真面目な箒が止めようとし、俗世的な事にはあまり関心が無いラウラがそう一蹴するが………

 

その途端に、2人にもパイがぶつけられた!!

 

「「…………」」

 

一瞬沈黙する箒とラウラ。

 

「貴様等ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

「もう許さんぞ!!」

 

そしてそのまま、2人共パイ投げへと乱入する。

 

「キャアッ! キャアアッ!!」

 

悲鳴を挙げて、蘭は机の下に避難している。

 

「頂き!………ブッ!?」

 

「ハハハハハッ! 甘いよ、一夏くん!!」

 

楯無の隙を衝こうとして返り討ちに遭う一夏。

 

「虚さん! 危ない!! ぶべっ!?」

 

「弾くん!?」

 

虚に当たりそうになったパイを、弾が己の身を盾にして防ぐ。

 

「オラオラオラオラッ!」

 

「何でこんな事になっちゃったんだろ?」

 

只管パイを投げ捲っている神谷に、その後ろで縮こまり、何故こうなったのかと思い悩むシャル。

 

「…………」

 

そしてそんな騒ぎの中、簪は平然と椅子に座り、飛んで来るパイを最小限の動きで躱しながらコーヒーを堪能している。

 

良くも悪くも大盛り上がりなグレン団の面々。

 

と、その時、生徒会長室のドアが開かれる。

 

「すみませ~ん。新聞部の黛 薫子ですけど、ちょっとお話を………」

 

そして、薫子が入って来た瞬間!

 

彼女に無数のパイが集中!!

 

「ブッ!?」

 

全身にパイを浴びてしまう事となった。

 

「あっ………」

 

「「「「「「「「あっ………」」」」」」」」

 

一夏がそれに気付いて声を挙げると、他の一同も気付く。

 

そして全身パイ塗れになっていた薫子は、そのままバタリと倒れる。

 

「わあっ!? 黛さん!?」

 

「ちょっ!? 大丈夫!?」

 

一夏と楯無が駆け寄り、慌てて助け起こす。

 

「………ヤレヤレ」

 

その光景を見て、簪は他人事の様にそう呟き、再びコーヒーを啜るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして………

 

薫子の介抱を終えた一同は、生徒会室の掃除と着替えを済ませて再び集まっている。

 

「あ~~、酷い目に遭ったわ~」

 

「ゴメンね~、薫子ちゃん」

 

「「「「「ゴメンナサイ」」」」」

 

楯無が手を合わせて謝り、箒やシャル達も頭を下げている。

 

「いや、良いわ、気にしないで。宴会の最中に割り込んじゃった私も悪いんだから」

 

「んで? 一体何の用だ? 言っとくが、ティトリーの事を面白おかしく書こうなんてゴシップな事考えてんなら………」

 

背に背負っていた長刀の柄に手を掛ける神谷。

 

「ああ、いや! 別にそう言う事は考えてないから!! うん!!」

 

それを見た薫子は、慌てて否定する。

 

「そうか………」

 

「もう~、神谷ぁ。神経質になり過ぎだよ」

 

シャルが神谷に、そうツッコミを入れる。

 

「アハハハ………えっとですね。それで今回取材したいのは、布仏 虚先輩と五反田 弾くんについてなの」

 

「えっ?」

 

「あっ? 俺もっすか?」

 

意外や意外。

 

まさか自分達が話題に上がるとは思っていなかった虚と弾は驚きの声を挙げる。

 

「ハイ。整備課の白百合と呼ばれる布仏先輩を落とした彼氏の正体を詳しく知りたいって人が多く居ましてね」

 

「結局ゴシップじゃない!!」

 

薫子が『イイ笑顔』でそう言うと、虚がツッコミを入れる。

 

「それでは五反田 弾くん。布仏先輩とは何時、何処でどんな風な出会いを?」

 

「学園祭の時、入り口で虚さんがチンピラに絡まれているのを俺が助けて………」

 

「だ、弾くん!?」

 

虚のツッコミを無視して、薫子が弾に質問すると、弾がペラペラと話し始めたので、虚が慌てて止めに入る。

 

「何話してるの!?」

 

「えっ? いやだって、話しても減るもんじゃないし………」

 

「精神的に減るのよ!!」

 

弾と虚は漫才の様な遣り取りをしながら、時折薫子が質問をぶつけると弾がアッサリと答えてしまうと言う状態が続く。

 

「弾の奴………ナチュラルに惚気てるなぁ」

 

「アレでも、まだマシになった方ですよ。虚さんと交際を始めた頃は、そりゃもう目も当てられませんでしたから」

 

一夏がそんな弾の姿を見てそう呟くと、蘭がそんな事を言って来る。

 

「そうなのか?」

 

「ええ………IS学園の学園祭から帰って来て、妙にニヤニヤしてるから、如何したのって訊いたら………」

 

「訊いたら?」

 

「そこまで訊いてないのに、凄く美人で可愛い人と御近付きになったとか、今度デートに誘うとか、延々と惚気られましたから」

 

その時の事を思い出し、やや窶れた様な様子を見せる蘭。

 

「は、はははは………大変だったな」

 

一夏も、思わず乾いた笑い声を挙げる。

 

「成程。OK! 大体分かりました!! そう言った経緯が有ったんですね!! ご協力ありがとうございます!! 今度の学園新聞、楽しみにしていて下さいね!!」

 

と、聞き出したい事を全て聞き終えたのか、薫子がそう言って、メモを取っていた手帳を閉じて立ち上がる。

 

「ああ!? ま、待ってぇっ!!」

 

「それじゃあ! 失礼しました~!!」

 

虚が慌てて止めようとするが、薫子は風の様なスピードで去って行った。

 

「お姉ちゃんもすっかり有名人だね~」

 

「ああ~もう! 如何しよう~!? 私、恥ずかしくて死んじゃう!!」

 

のほほんがのんびり口調でそう言うと、虚は赤くなる顔を両手で押さえる。

 

「………やっぱり人間って良く分からないなぁ」

 

そして、その光景を見ていたティトリーは、そんな事を呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃………

 

何処ぞの洋風結婚式場にて、1組のカップルの結婚式が執り行われている。

 

ISの登場で、女尊男卑の風潮が強い世の中だが、そんな世情でも真の愛を貫く者達は居る。

 

今、祭壇の前に居る新郎と新婦も、そんなカップルだ。

 

「それでは、誓いの口付けを………」

 

と、神父がそう言うと、新郎と新婦は互いに向かい合い、新郎が新婦のベールを上げる。

 

「「…………」」

 

親族や関係者が見守る中、そして互いに見詰め合い、遂に距離が縮まろうとした瞬間………

 

「!? あっ!?」

 

新婦が、突然短く悲鳴を挙げたかと思うと、そのままバタリと倒れてしまった。

 

「!? 如何したんだ!?」

 

「何だ何だ!?」

 

「何が起こったんだ!?」

 

突然新婦が倒れ、式場内に居た親族や関係者達はざわめき立つ。

 

新郎は新婦に必死に呼び掛けているが、新婦はまるで死んだ様に目を覚まさない。

 

と、その時誰も気づいていなかった。

 

式場の端の、僅かに開けられた扉から、掃除機の様な物が出て行くのに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日………

 

弾と虚の事を大々的に取り上げた学園新聞が発行され、噂の整備課の白百合の恋人の事が暴露。

 

お蔭で虚の所には、クラスや整備課の同級生、果ては後輩までもが詰め掛け、大騒ぎである。

 

 

 

3年・虚のクラス………

 

「見たわよ、虚ちゃん!」

 

「あの新聞に書かれた事って本当!?」

 

「まさか食堂の手伝いしているあの子が!?」

 

「って言うか、お堅そうな虚の彼氏があんな不良っぽい子ってのが驚きなんですけど」

 

「五反田 弾って、確か織斑の友達なんだよね!?」

 

「え、ええと………」

 

虚は新聞を見て詰め掛けた生徒に質問攻めにされ、如何して良いか分からずに居た。

 

(きょ、今日は疲れる1日になりそう………)

 

内心で諦めにも似たそんな感情を抱く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

食堂の弾も………

 

(何だか今日はヤケに視線を感じるな?)

 

仕事を手伝っていた弾は、何時もより多い視線に戸惑いを感じていた。

 

(アレが五反田 弾ね………)

 

(結構イケメンじゃん)

 

(そうかな? 私は織斑の方が良いなぁ)

 

(あのマーク………やっぱりあの人もグレン団の一員なんだ)

 

新聞を見た生徒達が、弾に注目を集めている。

 

しかし、神谷と似た香りのする弾には近寄り難いのか、全員遠巻きに見ているだけで、直接質問をぶつけようと言う勇気の有る者は居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後………

 

グレン団の面々は、何時もの様に生徒会室へ集合。

 

今日はそこに、薫子の姿も在る。

 

「いや~、お蔭で今回の学園新聞は大好評でしたよ!」

 

「お蔭で私はすっかり疲れたわよ………」

 

満面の笑みを浮かべている薫子とは対照的に、虚は思いっ切り疲れが顔に出ている。

 

「成程。今日が学園新聞の発行日だったのか。早いっすねぇ」

 

一方弾は、マイペースにそう呟く。

 

「フフフ、情報は新鮮さが命だからね!!」

 

「にしても、1面で取り上げるなんて、凄いなぁ………」

 

一夏が薫子から貰った学園新聞のコピーを見ながらそう言う。

 

「全くだね………ん?」

 

その新聞を後ろから覗き込んでいたシャルが、何かに気付く。

 

「如何した? シャルロット」

 

「ねえ、この記事………」

 

それに気づいたラウラがそう尋ねると、シャルは新聞の片隅に小さく記載されている記事を指差す。

 

それは、IS学園の外での出来事を扱う、時事記事だった。

 

「『怪事件続発? 結婚式場にて、挙式中に突如花嫁が意識不明となる怪現象が頻発』」

 

「『原因は何れも不明であり、警察では事件の可能性も有ると見て捜査を進めている』」

 

箒と鈴が、その記事を声に出して読む。

 

「ああ、それはお姉ちゃん経由で入って来た情報でね。ちょっと時事ネタが乏しかったから、使わせてもらったんだ」

 

それを聞いた薫子が、そう説明する。

 

「まあ? 結婚式の最中に意識不明となってしまうなんて………」

 

「正に幸せの絶頂から一気に失意のどん底に叩き落とされる気分ね」

 

セシリアと楯無がそんな感想を漏らす。

 

「ねえ、のほほん。結婚式って何?」

 

「結婚式って言うのはね~。愛し合っている男女が夫婦になる神聖な儀式の事だよ~。女の子の憧れの1つでもあるかな~」

 

そして結婚式の事が良く分からないティトリーに、のほほんがそう説明する。

 

「結婚式の最中に突然花嫁が意識を失う………」

 

とそこで、神谷が何やら考え込む様な素振りを見せる。

 

「? 神谷?」

 

「!? もしや………ロージェノム軍の仕業か!?」

 

シャルが声を掛けると、神谷は確信に満ちた顔でそう言う。

 

「「「「「「「「えっ………?」」」」」」」」

 

しかし、当然と言えば当然だが、他のメンバーは『何言ってんだこの人?』と言う顔になる。

 

「いや、アニキ。幾ら何でもそれは無いよ」

 

「バッキャロウッ! じゃなきゃ、誰がこんな事するってんだ!?」

 

一夏がやんわりと神谷の意見を否定しようとするが、神谷は間違い無いと語る。

 

「いや、そんな………」

 

「風が吹けば桶屋が儲かるだぞ」

 

シャルと箒も、否定的な様子を見せる。

 

「よおし! すぐに調べに行くぞ!!」

 

だが、神谷はそれ以上論争はせず、街へと調査に繰り出す。

 

「ちょっ!? アニキ!!」

 

「如何するんだ?」

 

一夏が慌てると、ラウラが一同にそう問い質す。

 

「アイツ1人放って置いたら、何仕出かすか分かったもんじゃないわ」

 

「仕方ありません………私達も行きましょう」

 

そして鈴とセシリアがそう言い、グレン団の一同は神谷を追って行く。

 

「………スクープの予感!!」

 

更に薫子も、記者の勘でスクープの匂いを感じ、グレン団を追って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街へと繰り出したグレン団の面々は、早速調査を開始する。

 

そしてそんな中で………

 

弾が偶然にも、丁度結婚式が行われている式場を発見していた。

 

「おめでとう!」

 

「おめでとうー!!」

 

祝福のライスシャワーを浴びている1組の新郎と新婦。

 

弾は、その様子を遠巻きに見守っている。

 

「ホントにロージェノムの仕業なのか? まあ仮にそうだったとしても、そう上手く現場に出会したりは………」

 

「キャーッ!!」

 

と、愚痴る様に呟いて居ていたその瞬間!

 

式場の方から悲鳴が聞こえて来た。

 

「!?」

 

驚きながら、弾が再び式場へと視線を移すとそこには………

 

意識を失っている新婦を抱き抱えている新郎と、その周りに集まって騒ぎ立てている式参加者の姿が在った。

 

「!? まさか本当に!?」

 

弾がそう声を挙げた時………

 

式場の影から、スルスルと巻き戻されて行く掃除機のホースの様な物を発見する。

 

「!? アレは!?」

 

すぐにそのホースを追う弾。

 

しかし、ホースは凄まじいスピードで巻き取られており、徐々に離され始める。

 

「クッ! このぉっ!!」

 

そこで弾は、思い切ってそのホース目掛けて跳躍した!!

 

「おりゃあっ!!」

 

そのままホースに圧し掛かる様にして捕まえる。

 

「うおおっ!!」

 

そしてそのまま、ホースを思いっ切り引っ張る。

 

如何やら、ホースは地面に僅かに開いていた穴から飛び出していたらしく、その先に何かが居て、引っ掛かる。

 

「デリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

だが、弾は構わず更にホースを引っ張る!!

 

「むおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」

 

すると、土片を巻き上げて、何かが地面の中から飛び出す!!

 

「ぐあっ!? オノレェッ!!」

 

それは、まるで掃除機の様な姿をしたガンメンであった。

 

「! ガンメン!! って事は………ホントにロージェノム軍の仕業だったのか!?」

 

ガンメンの存在と、神谷の勘が当たっていた事に驚きの声を挙げる弾。

 

「むんっ!!」

 

とそこで、掃除機の様なガンメンが、弾が押さえている自分の口の部分に繋がっているホースを手に持つと、一気に引っ張る!!

 

「!? うおわっ!?」

 

そのパワーの前に、弾は宙に舞いながら掃除機の様なガンメンの元へ引き寄せられる。

 

「ハアッ!!」

 

そして、掃除機の様なガンメンは、目の前に飛んで来た弾の顔を殴り付ける。

 

「うわっ!?」

 

弾はホースを手放し、地面を転がる。

 

その間に、掃除機の様なガンメンはホースを完全に巻き戻し、口の様な状態にする。

 

「クッ! こちら弾! ガンメンが現れた! すぐに来てくれ!! 場所は2丁目にある式場の近くだ!!」

 

起き上がりながら、右腕のグラパールブレスレットで通信を送る。

 

「アニキ達が来るまで………俺が食い止める!!」

 

「むううんっ!!」

 

弾がそう言って構えを取ると、掃除機の様なガンメンはそんな弾を迎え撃つかの様に構えを取るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

ティトリー、IS学園に復学。
ジギタリスも一応保護されました。

そんな中で起きた怪事件。
神谷の直感が的中し、ロージェノム軍の仕業と判明します。

前回、戦隊ヒーローのリスペクトと予告しましたが………
詳しい方なら掃除機と結婚式のキーワードでピンと来たでしょう。
そう、あの戦隊のエピソードが元ネタです。
弾のカッコいい活躍にご期待です。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)

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