天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第64話『誇り高く戦うべきだわ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第64話『誇り高く戦うべきだわ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロージェノム軍が、陸上自衛隊の補給統制本部が在る十条駐屯地と、航空自衛隊第1補給処が在る木更津駐屯地を襲撃。

 

これまで、日本では単独での作戦を展開していたロージェノム軍だったが、此処へ来て2拠点同時侵攻と言う、2面作戦を展開する。

 

救援要請を受けたグレン団は、戦力を分散せざるを得なかった。

 

斯くして、十条駐屯地には楯無、簪、セシリア、鈴、ラウラ。

 

木更津駐屯地には神谷、シャル、一夏、箒、弾が向かう事となる。

 

だが、やはりそれは、ロージェノム軍の罠であったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十条駐屯地………

 

「撃て撃てぇーっ!!」

 

土嚢を積んで防壁としながら、自衛官達が進撃してくるレッドショルダー部隊に、89式5.56㎜小銃や5.56㎜機関銃MINMIで攻撃している。

 

「ハハハハハッ!!」

 

しかし、レッドショルダー部隊はローラーダッシュ移動で、弾幕の間を擦り抜ける様にして躱してしまう。

 

仮に命中したところで、幾ら装甲の薄いブラッドサッカーと言えどIS。

 

絶対防御が、小銃弾程度で貫ける筈もなかった。

 

「そらっ! 消し飛べ!!」

 

そう言って、レッドショルダーの1人が、ブラッディライフルを発砲する。

 

同じ小銃と言えど、こちらはISサイズ。

 

生身の人間からすれば、実質大砲である。

 

土嚢で作られた防壁が、呆気無く吹き飛んで行く。

 

「うわあっ!?」

 

「クッ! 全軍後退! 後退しろ!!」

 

負傷者を引っ張りながら自衛官達は後退して行く。

 

「おっと! 逃がすかよ!!」

 

「ハハハハッ! 狩りの始まりだぜ!!」

 

レッドショルダー達は、そんな自衛官達を弄るかの様にゆっくりと追い詰めて行く。

 

まるで虐殺を楽しむかの様に………

 

「退け退けぇっ! 火達磨にしてやるぜ!!」

 

とそこで、火炎放射器を持ったレッドショルダーが、防壁に隠れている自衛官達に砲口を向ける。

 

「「「「「!?」」」」」

 

「ヒャッハー! 汚物は消毒だぁーっ!!」

 

そう叫びながら、引き金を引こうとした瞬間!!

 

突如上空から弾丸が降って来て、レッドショルダーの火炎放射器に命中!

 

火炎用の燃料タンクが爆発し、レッドショルダー自身が炎に包まれた!!

 

「ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

醜い悲鳴を挙げながら暴れ回る、火達磨になったレッドショルダー。

 

やがて自爆装置が作動し、装着者諸共木端微塵と化す。

 

「!?」

 

「何っ!?」

 

他のレッドショルダー達が驚きの声を挙げると………

 

「…………」

 

その眼前に、スコープドッグを纏った簪が、降着姿勢を取って着地。

 

「「!?」」

 

「…………」

 

目の前に居たレッドショルダー2人の内、簪から見て左に居た方にアームパンチを打ち込む!!

 

「ゴハッ!?」

 

「なっ!?」

 

そして、右に居たレッドショルダーに、ヘヴィマシンガンを至近距離から連射する!!

 

「!? ギャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」

 

装甲部分は穴だらけにされ、シールドエネルギーも一気に霧散したレッドショルダーはそのまま爆散した。

 

「!?」

 

「コイツゥッ!!」

 

とそこで、その2人より後方に居たレッドショルダー達の中の1人が、簪目掛けてブラッディライフルを連射する。

 

「…………」

 

「ギャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」

 

簪が、直ぐにそこへスライドする様にローラーダッシュ移動して躱し、ブラッディライフルの弾丸はアームパンチを受けて倒れていたレッドショルダーに命中。

 

自爆装置の作動したレッドショルダーが爆散した。

 

「このぉっ!!」

 

「撃て撃てっ!!」

 

突如現れた乱入者に、レッドショルダー達は一斉に狙いを定め、ペンタトルーパー、ハンドロケットランチャー、ソリッドシューター、ショルダーミサイルガンポッド等々の攻撃を加える。

 

「…………」

 

だが、簪は巧みな操縦でレッドショルダー達の攻撃を躱して行く。

 

「このぉ! ちょこまかと!!」

 

と、レッドショルダーの1人がそう声を挙げた瞬間!

 

何処からとも無く伸びて来た、蛇腹剣の刃とワイヤーブレードが、次々にレッドショルダー達を斬り付ける!!

 

「「「「「ウギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」」」」

 

次々に爆散して行くレッドショルダー達。

 

「ウチの妹に手荒な真似は止めてくれないかしら?」

 

「IS乗りの………いや、人類の恥め! 覚悟しろ!!」

 

そう言う台詞と共に、楯無とラウラが姿を見せる。

 

「チッ! グレン団かっ!!」

 

「ブッ殺せぇっ!!」

 

すぐに2人に向かって武器を構えて行くレッドショルダー達だったが………

 

「!? ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

突如、レッドショルダーの1人にビームが直撃。

 

自爆装置が作動して、木端微塵となる。

 

「!? 何っ!?」

 

「グギャアッ!?」

 

別のレッドショルダーの1人が驚きの声を挙げると、また別のレッドショルダーにビームが命中し、爆散する。

 

「! 狙撃兵が居るぞ!!」

 

「チキショー! どっから狙ってやがる!?」

 

レッドショルダー達は戦闘機動を取り、ビームの狙撃から逃げる。

 

「ぐあああっ!?」

 

「! あそこだ!!」

 

と、またも1人がやられたのを見て、別のレッドショルダーが、やや離れた駐屯地施設の屋上を指差す。

 

「…………」

 

そこには、某不吉の数字を名前に持つプロの殺し屋よろしく、スターライトmkⅢをスコープを覗き込みながら構えて居るセシリアの姿が在った。

 

「ふざけやがって! 死ねぇっ!!」

 

ソリッドシューターを持ったレッドショルダーが、セシリアに照準を合わせるが、その瞬間!!

 

別方向からビームが飛んで来て、ソリッドシューターを持ったレッドショルダーに直撃する!!

 

「!? うぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「!? まだ居たのか!?」

 

爆散したソリッドシューターを持ったレッドショルダーを見て、他のレッドショルダー達が慌てると………

 

更に別の場所からビームが放たれて来て、レッドショルダーの1人に命中した!

 

「あぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

「チキショウ! 一体何人の狙撃兵を潜ませてやがるんだ!?」

 

四方八方から飛んで来るビームに、レッドショルダーの1人が悪態を吐く。

 

「!? 馬鹿! そっちに行くなっ!!」

 

「えっ!?」

 

とそこで、回避行動を続けていたレッドショルダー数体が、1箇所に固まる形となる。

 

「もう遅いわ!!」

 

その瞬間に、そう言う声が響いたかと思うと、駐屯地施設の影から鈴が飛び出して来て、龍咆を放つ!!

 

固まっていたレッドショルダー達は、断末魔を挙げる暇も無く消し飛んだ。

 

「ふふん、アイツにしては考えたわね」

 

鈴は狙撃を続けているセシリアを見遣り、そんな事を呟く。

 

実は、あの四方八方からの狙撃は、全てセシリアの物だったのである。

 

簪、楯無、ラウラが敵の注意を惹いている間に、鈴が駐屯地の彼方此方に、ビットのブルー・ティアーズを固定設置。

 

ビットのブルー・ティアーズを操っている間は、セシリア自身は行動が出来ないと言う弱点を、ビットのブルー・ティアーズを敢えて固定砲台とする事で解決したのだ。

 

セシリアが偏向制御射撃(フレキシブル)をマスターしたからこそ出来る芸当である。

 

「セシリアァ! 確り援護頼むわよぉ!!」

 

「…………」

 

鈴の声に、セシリアは左手でサムズアップを返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木更津駐屯地………

 

「そらそらぁっ!!」

 

「ブチ壊せぇっ!!」

 

航空自衛隊第1補給処の在るエリアを、手当たり次第に破壊しているガンメン部隊。

 

陸上自衛隊駐屯地の自衛官達が駆け付け、応戦しているが、戦況は不利である。

 

「そこまでだ! 獣人共ぉっ!!」

 

とそこで、勇ましい声が、駐屯地内に響く。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

何事かと、ガンメン部隊と自衛官達が声のした方向を見遣ると、そこには………

 

駐屯地施設の屋上に、ガイナ立ちで仁王立ちし、ガンメン部隊を見下ろしているグレンラガンの姿が在った。

 

「それ以上の無法は! 例え天が許しても、このグレン団の神谷様とグレンラガンが許しゃあしないぜぇっ!!」

 

グレンラガンはガンメン部隊をビッと指差し、そう言い放つ。

 

「グレンラガンだ!!」

 

「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ! ブッ倒せぇっ!!」

 

途端に、ガンメン部隊はグレンラガンに向かって一斉射撃を見舞った!!

 

「!? オイ! ちょっと待て!?」

 

グレンラガンが慌ててそう言った瞬間、ガンメン部隊の一斉射撃が足元の施設へと直撃!

 

施設が音を立てて崩れ始める。

 

「うおおおっ!?」

 

そのまま自由落下しつつも、着地を決めるグレンラガン。

 

「ッ~~~~~! テメェ! 人が口上を決めてる時に!!」

 

高所からの落下で足がツピーンとなりながらも、怒りの声をガンメン部隊に浴びせる。

 

「グレンラガン!」

 

「その首、貰ったぁっ!!」

 

しかし、ガンメン部隊は意に介さず、接近戦を仕掛けて来る!!

 

「! 舐めるなぁっ!!」

 

グレンラガンがそう吠えた瞬間!!

 

その身体から螺旋力が溢れ、フリドリライズ状態になったかと思うと、全身のドリルが槍の様に伸びる!!

 

接近戦を仕掛けて来たガンメン部隊は、次々に貫かれる。

 

そして、グレンラガンがドリルを引っ込めたかと思うと、ワンテンポ遅れて次々に爆散した!!

 

「ぬうっ! おのれ、グレンラガン!!」

 

「怯むなぁっ! 掛かれぇっ!!」

 

残った居たガンメン部隊は一瞬怯むが、部隊長の号令で再びグレンラガンに群がろうとする。

 

「させないよ!!」

 

「はあああっ!!」

 

しかしそこで、上空に現れたシャルと箒が、両手に構えたヴェントでの射撃と、空裂からの薙ぎ払う様なエネルギー刃を見舞った!!

 

弾丸の雨で蜂の巣にされ、エネルギー刃で真っ二つにされたガンメン達が次々に爆発する。

 

「おりゃあっ!!」

 

「シャアアアアアァァァァァァイニングゥ! フィンガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

グラパールブレードでメズー1体を斬り裂くグラパール・弾と、雪羅のシャイニングフィンガーでカノン・ガノンを貫く一夏。

 

「ぬううっ! 恐るべし、グレン団!!」

 

「何という強さだ!!」

 

ガンメン部隊は、グレン団の強さに慄く様な様子を見せる。

 

「ヘヘッ! 如何した! ガンメン共!! ビビってんのか!?」

 

そんなガンメン達に向かって、グレンラガンは挑発する様にそう言い放つ。

 

「神谷! 油断するな!!」

 

「そうだよ、神谷。コレがただの2面作戦だとは思えないよ。きっと何か罠が有る筈だから、油断しないで」

 

そんなグレンラガンに、箒とシャルが注意する。

 

と、その時!!

 

「! 今だ! やれ! ノナカーゴH2!!」

 

ガンメン部隊の部隊長がそう叫んだかと思うと、何処からともなく電撃が飛来!!

 

「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

そのままシャルへと命中した!!

 

「!? シャル!?」

 

「シャルロット!?」

 

「「!?」」

 

グレンラガン達が慌てた瞬間、電撃に拘束されたシャルがISごと持ち上げられると、電撃が放たれている方へと引き寄せられる。

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

そこには、卵の様な身体を半分に分離している機械獣『ノナカーゴH2』の姿が在った!!

 

ノナカーゴH2は、電撃で拘束していたシャルを、そのまま自分のボディの中へと閉じ込める!!

 

「シャル! テメェッ!!」

 

直ぐ様右手をドリルに変えて、ノナカーゴH2に突撃するグレンラガンだったが………

 

「動くな! グレンラガン!! 妙な素振りを見せたら、ノナカーゴH2は即座に自爆するぞ!!」

 

そのグレンラガンに向かって、ガンメン部隊の部隊長がそう叫んだ!

 

「!? 何っ!?」

 

「メガトン級の爆弾だ。如何に絶対防御を備えるISと言えど、耐えきれるものではないぞ!!」

 

驚くグレンラガンに向かって、ガンメン部隊の部隊長は更にそう言葉を続ける。

 

「クソッ!」

 

仕方無く、グレンラガンはドリルを引っ込めて、構えを解いた。

 

「ふふふ、物分かりが良いな………貴様達もだ!! 妙な真似はするなよ!!」

 

ガンメン部隊の部隊長は、更に一夏達にもそう言い放つ。

 

「クウッ!」

 

「むう………」

 

「クソッタレが………」

 

一夏達は苦い顔をしたり、悪態を吐きながら、構えを解いて行く。

 

「よ~し! それで良い! グレン団め! 今まで貴様等にやられた同胞達の恨み! 晴らしてくれる!! 出でよ!! ストロンガーT4!!」

 

と、ガンメン部隊の部隊長がそう叫んだかと思うと!

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

地面を突き破って、新たな機械獣『ストロンガーT4』が現れた!!

 

「やれ! ストロンガーT4!! グレン団を叩きのめせ!!」

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

ストロンガーT4は咆哮を挙げると、その身体の大部分を占めている巨大ファンを回転させ始める!!

 

途端に、台風並みの強風が吹き荒れ、グレンラガン達に襲い掛かった!!

 

「!? うおわぁっ!?」

 

「ぬあっ!?」

 

「ぐうっ!?」

 

「うおおっ!?」

 

その強風に耐え切れずに吹き飛ばされるグレンラガンと一夏に、吹き飛ばされた瓦礫が命中する箒とグラパール・弾。

 

そのまま4人共、地面に叩き付けられる。

 

「まだまだ! 我等獣人の恨みをとことん味あわせて、じわじわと嬲り殺しにしてやる!!」

 

そんなグレンラガン達の姿を見て、ガンメン部隊の部隊長がそう言い放つと、ストロンガーT4がグレンラガンと一夏に近付く。

 

そして、鞭の両手を2人に巻き付けて持ち上げた。

 

「ぐうっ!?」

 

「な、何だっ!?」

 

グレンラガンと一夏がそう声を挙げた瞬間!!

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

ストロンガーT4は、咆哮と共に2人を持ち上げて、地面に叩き付けた!!

 

「!? ぐあああっ!?」

 

「ガッ!?」

 

そして再び持ち上げると、またも地面に叩き付ける。

 

それを何度も何度も繰り返す。

 

「い、一夏!」

 

「テメェッ!!」

 

箒とグラパール・弾が、2人の救助に向かおうとするが………

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

ストロンガーT4は再び身体のファンを回転。

 

巻き起こった突風が、箒とグラパール・弾を飲み込む!!

 

「ぐうっ!?」

 

「のうわっ!?」

 

再び吹き飛ばされて、地面に叩き付けられる箒とグラパール・弾。

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

更にそこへ追い打ちを掛けるかの様に、グレンラガンと一夏を投げ飛ばすストロンガーT4。

 

「ぐあっ!?」

 

「ぐうっ!?」

 

「おうわっ!?」

 

「ガッ!?」

 

一夏は箒へ、グレンラガンはグラパール・弾へと叩き付けられる。

 

「よーし、今だ!! 全軍! 一斉攻撃ぃっ!!」

 

そしてそこで、残っていたガンメン達がありったけの火力を、グレンラガン達目掛けて撃ち込んだ!!

 

連続して起こった爆煙で、グレンラガン達の姿が完全に見えなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園の地下・リーロンの研究室………

 

「弾くん!!」

 

「おりむー! かみやん!」

 

「箒!! シャル!!」

 

その光景を学園地下のリーロンの研究室に有るモニターで見ていた虚、のほほん、ティトリーが悲鳴を挙げる。

 

「織斑先生! このままでは天上くん達が危険です!! 教師部隊を援軍に出撃させましょう!!」

 

「駄目だ………」

 

真耶が千冬に向かってそう言うが、千冬は真耶の発案を切り捨てる。

 

「!? 何故ですか!!」

 

「敵の作戦が2面だけとは限らない。ひょっとしたら、教師部隊を差し向けた隙を衝いてIS学園を襲撃するという3面作戦かも知れん。それが分からぬ以上、迂闊な動きは取れん」

 

「ですが! このままでは天上くん達が!!」

 

「アイツ等なら大丈夫だ。殺しても死にそうにない連中ばかりだからな」

 

「! 織斑先生! 貴女は!!………!?」

 

まるで他人事の様にそう言う千冬に、真耶は思わず非難の声を挙げようとしたが、そこで千冬の手が、血が出る程に握り締められているのを見て、ハッとする。

 

(織斑先生………貴女は………)

 

彼女も本当は辛いのだ。

 

本当なら、今直ぐにでも援軍を、いや自分自身が駆け付けたいに決まっている。

 

だが彼女は、一夏の姉であり、神谷の友である前に、IS学園の防衛を担う教師なのである。

 

IS学園、そして在学する生徒を守る為に、非情にならざるを得ないのだ。

 

「こんな事だったら、開発したばかりの新兵器を持たせておくんだったわ」

 

とそこで、リーロンがそんな事を呟く。

 

「? 新兵器?」

 

「ええ………」

 

それに反応したかの様に声を挙げた千冬に答える様に、リーロンはモニターに銃の様な物が書き記されている設計図を表示させる。

 

「トルネードシールドガンよ。螺旋力をエネルギーとして発射し、命中した対象の周囲にバリアを展開して包み込む事が出来るわ」

 

「こんな物が………」

 

「備えてはおいたんだけど、この局面で必要になるとはねえ………」

 

流石のリーロンも、今回ばかりは苦虫を噛み潰した表情を浮かべる。

 

「…………」

 

と、一連の光景を黙って見ていた蘭が、拳を握り締める。

 

(このままじゃ………一夏さん達が………私が………私が戦えたら………)

 

またも内心にそんな思いが持ち上がる。

 

と、その時………

 

「リーロンさん! アタシが行くよ!!」

 

ティトリーが突如そう声を挙げた!

 

「!?」

 

「キャッツさん!?」

 

思わず蘭は注目し、真耶も驚きの声を挙げる。

 

「打鉄かラファールを貸して! アタシが神谷達を助けに行く!!」

 

「馬鹿を言うな! お前は整備課だろ! それに量産機では機械獣に対抗出来んぞ!!」

 

ティトリーに向かってそう言う千冬。

 

「なら私も行くよ!」

 

「私もです! 3人で掛かれば!!」

 

「本音さん!? 虚さんまで!?」

 

すると、更にそこへティトリーに続く様にのほほんと虚がそう声を挙げる。

 

「お前達まで………神谷の馬鹿に感化されたか!? お前達のIS適正は揃ってC以下だろうが! 行った所で命を捨てる様なものだぞ!!」

 

「それで良いんだよ!!」

 

「!? 何っ!?」

 

ティトリーの思わぬ反論に、千冬は僅かに狼狽した。

 

「かみやんもおりむーも、他の人達も………グレン団の皆は、私達や日本。そして世界を守る為に必死になってる!」

 

「誰かに頼まれたワケでもなく、称賛を受ける事もなく、それでも今日まで戦い続けてきました。何の見返りも無いのに」

 

するとのほほんと虚も、真剣な表情でそう言って来る。

 

「そんな神谷達を助けるのに! 命を賭けないでいられるワケがないよ!!」

 

「その通り!!」

 

「グレン団は何れ世界の希望になります………理屈じゃありません」

 

「「「アタシ(私)達の魂が! そうだと告げているんです!!」」」

 

3人揃ってそう言い放つティトリー、のほほん、虚。

 

「うぐっ!?」

 

その良く分からない迫力の前に、千冬は1歩退く。

 

(世界を守る為に………)

 

と、その言葉で蘭は………

 

急に今までの自分が恥ずかしくなった。

 

(………そうよ。一夏さんも、お兄も、神谷さんも………皆世界の平和の為に戦ってるんじゃない。ティトリーさん達だって、例え戦う事は出来なくても、一夏さん達と同じ様に世界を守るって決意を持ってる………なのに私ったら………)

 

ただ一夏の傍に居たい、兄である弾に負けたくない、仲間外れにされたくない………

 

そんな思いから戦いたいと思っていた自分が情けなくなる蘭。

 

(そうだ! 私だってグレン団の一員! 戦うのなら………一夏さん達みたいに………誇り高く戦うべきだわ!!)

 

と、蘭がそう思った瞬間!!

 

研究室の片隅に置かれていたピンク色のグラパールが、緑色の輝きを放ち始める!!

 

「「「「!?」」」」

 

「な、何ですか!?」

 

「コレは!?」

 

「あらあら? ひょっとして………」

 

一同が驚きの声を挙げると!

 

ピンク色のグラパールは緑色の光球となって、蘭の元へと飛ぶ!!

 

「!? キャアッ!?」

 

思わず両腕で身体を守る様な姿勢を取る蘭だったが、緑色の光球はその蘭の右腕に止まる!

 

そして光が弾けたかと思うと、蘭の右腕には、顔の様な飾りが付いたブレスレットが装着されていた!

 

「!? コレって!?」

 

「全く………運命ってのはホント数奇ね」

 

驚く蘭を見ながら、リーロンはそう呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木更津駐屯地………

 

「おうわっ!?」

 

ストロンガーT4の鞭の様な腕に殴られ、瓦礫に叩き付けられるグレンラガン。

 

その全身は、既にボロボロであった。

 

「あ、アニキ………ぐうっ!!」

 

そんなグレンラガンの姿を見ている一夏も、装着している白式がボロボロになっており、雪片弐型を杖代わりに如何にか膝立ちしている状態である。

 

「ぐ、う………」

 

「あ、が………」

 

その傍では、同じ様にボロボロな箒とグラパール・弾が、完全に地面に横たわっていた。

 

「ハーッハッハッハッハッ!! 良い様だな! グレンラガン!!」

 

そんなグレンラガンの姿を見て、ガンメン部隊の部隊長は愉快そうに笑う。

 

「へっ………如何した? それで終わりか?」

 

しかし、グレンラガンはダメージを痩せ我慢して立ち上がり、ガンメン部隊の部隊長に挑発するかの様な言葉を吐く。

 

「フンッ! 口の減らない奴め………ストロンガーT4! そろそろトドメを刺してやれ!!」

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

と、ストロンガーT4が咆哮を挙げると、両腕でグレンラガンを縛り上げる。

 

「むうっ!?」

 

そして身体のファンを回転させ始める。

 

しかし、今度は今までの様に強風を起こすのではなく、まるで掃除機の様に吸い込み始めた!!

 

「!? うおおおっ!?」

 

その吸引力の前に、グレンラガンが引っ張られて行く。

 

「こなくそぉっ!!」

 

足を踏ん張るグレンラガンだが、徐々にストロンガーT4の方へと吸い込まれて行く。

 

「フフフ、何時まで持つかな?………おお! そうだ!! ノナカーゴH2!!」

 

とそこで、ガンメン部隊の部隊長が何かを思いついた様にノナカーゴH2に声を掛けたかと思うと、ノナカーゴH2がボディを開いた。

 

「ううう………」

 

電流で拘束されたままのシャルの姿が露わとなる。

 

「貴様にも良く見せてやろう。グレンラガンの最期をな」

 

「えっ!?………!? 神谷ぁっ!!」

 

その言葉で顔を上げたシャルは、グレンラガンの状況を見て悲鳴にも似た叫びを挙げる。

 

ゆっくりとストロンガーT4の方へと吸い寄せられていくグレンラガン。

 

「ぐううううう!!」

 

「ア、アニキィッ!!」

 

助けに行きたい一夏達だったが、ダメージで身体が思う様に動かなかった。

 

遂にストロンガーT4が、グレンラガンの眼前にまで迫る。

 

グレンラガンの命運もコレまでか?

 

と思われたその時!!

 

風切り音と共に飛んで来た砲弾が、ストロンガーT4へと直撃する!!

 

「!? しめた!!」

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?

 

ファンの回転が止まり、その際に鞭の様な両腕も緩んで、グレンラガンは脱出する。

 

「何っ!? オノレェ!! 何者だ!!」

 

ガンメン部隊の部隊長はそう叫び、砲弾が飛んで来た方向を見遣る。

 

そこに居たのは………

 

巨大なバズーカ・スパイラルボンバーを構えているピンク色のグラパール。

 

「コレ以上………貴方達の思う様にはさせないわ!!」

 

『グラパール・蘭』の姿だった!!

 

「!? その声は!?」

 

「蘭!? お前、蘭か!?」

 

その声を聞いた一夏とグラパール・弾が驚きの声を挙げる。

 

「何っ!? グレンラガン擬きがもう1体だと!? ええい! 計算外だ! しかし! こちらにはまだ人質が………」

 

「トルネードシールド! 展開!!」

 

と、ガンメン部隊の部隊長がそう言った瞬間、グラパール・蘭はスパイラルボンバーを捨て、トルネードシールドガンをノナカーゴH2に向かって撃った!

 

すると、トルネードシールドガンから放たれた光線が、ノナカーゴH2の眼前で広がる様に展開し、電撃で拘束されていたシャルを包み込んだかと思うと、バリアで包み込む!!

 

途端に、彼女を拘束していた電撃が弾かれ、シャルはノナカーゴH2のボディから抜け出す。

 

「な、何っ!?」

 

「!? しめた!!」

 

バリアが消えると、シャルは即座に離脱する。

 

「オノレェ! こうなれば死なば諸共!! 自爆しろ!! ノナカーゴH2!!」

 

ガンメン部隊の部隊長がそう叫ぶと、ノナカーゴH2の身体から光が溢れ出し始める。

 

如何やら、自分達諸共、グレン団をメガトン級の自爆に巻き込む積りらしい。

 

「「「「!?」」」」

 

グレンラガン達が身構えるが、

 

「させないわ!!」

 

グラパール・蘭がそう言ったかと思うと、再びトルネードシールドガンをノナカーゴH2に向けて放った!!

 

今度はノナカーゴH2を包み込む様にバリアが展開。

 

その直後にノナカーゴH2が自爆。

 

しかし、そのメガトン級の爆発は、全てバリアに抑えられ、外部へは全く漏れない。

 

やがて爆発エネルギーが完全に消滅すると、バリアが消える。

 

「ば、馬鹿な………」

 

唖然とするガンメン部隊の部隊長。

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

と、まだ諦めていないのか、ストロンガーT4がファンを回転させようとしたが、

 

「スカルブレイクッ!!」

 

そのボディに、グレンラガンのスカルブレイクが炸裂!!

 

ファンは粉々となり、ドリルがストロンガーT4のボディを貫通して、背中から出現する!!

 

グワガアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?

 

「散々甚振ってくれたな………お返しさせてもらうぜ! 箒!!」

 

と、グレンラガンは貫いたままのストロンガーT4を持ち上げ、箒に向かって投げ飛ばす。

 

「セイヤァッ!!」

 

飛んで来たストロンガーT4に、雨月と空裂を振るう箒。

 

閃光が走ると、ストロンガーT4の手足が斬り落とされ、達磨となる。

 

「一夏ぁっ!!」

 

と、その達磨となったストロンガーT4を、グラパール・弾がレシーブの様に上空へと弾く。

 

「…………」

 

弾かれた先の上空には、一夏が雪片弐型を上段に大きく振り被って待機していた。

 

そして、ストロンガーT4が眼前まで上がって来た瞬間!!

 

「チェストオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

気合の雄叫びと共に雪片弐型を振り下ろし、真っ二つにする!!

 

一夏が着地を決めると、真っ二つになったストロンガーT4は、空中で爆発・四散する!!

 

「ス、ストロンガーT4まで!? ええい! 退け! 退けぇっ!!」

 

ストロンガーT4がやられたのを見るや否や、残っていたガンメン部隊も撤退を始めた。

 

「一昨日来やがれってんだ………それにしても」

 

その背に向かってそう言い放つと、グレンラガンはグラパール・蘭に向き直る。

 

直ぐに一夏達も集まる。

 

「蘭! お前、何やってんだよ!?」

 

真っ先に声を挙げたのは、他ならぬ兄の弾である。

 

「お兄、一夏さん。私も戦う」

 

すると、グラパール・蘭は、一同を見据えながらそう宣言した。

 

「!? ええっ!?」

 

「本気か!?」

 

その宣言に一夏と箒が驚きの声を挙げる。

 

「馬鹿! お前、何言って………」

 

「私だって世界を守りたい! 何より、お兄や一夏さんを守りたいの! 私だって………グレン団なんだから!!」

 

何か言おうとしたグラパール・弾の言葉を、グラパール・蘭はそう言って遮る。

 

「ら、蘭………」

 

「良いじゃねえか、頼もしい仲間が増えたじゃねえか」

 

グラパール・弾の肩に手を置き、グレンラガンがそう言う。

 

「アニキ………」

 

「如何しても不安だってんなら、兄貴のお前が守ってやれよ」

 

「………蘭。無茶だけはするなよ」

 

グレンラガンの言葉に、グラパール・弾は折れたかの様に、それでも念を押す様に、グラパール・蘭にそう言う。

 

「分かってるって」

 

[天上、織斑、篠ノ之、それに五反田達も良くやった。十条駐屯地のレッドショルダー達も撤退を始めた。お前達も帰還しろ]

 

グラパール・蘭が返事を返すと、学園の千冬から一同にそう通信が入る。

 

「アイヨ! んじゃ、帰るか! 蘭の参戦記念パーティーもしてぇしな!!」

 

「おっ! 良いね、ソレ!!」

 

「こうなりゃヤケだ! 今日はトコトン騒ぐぞぉ!!」

 

グレンラガンの提案に、一夏とグラパール・弾はノリノリな様子を見せる。

 

「またか、お前達………」

 

「お兄! 節度は守ってよ!!」

 

事ある毎に宴会を開く一夏達に呆れる箒と、グラパール・弾に向かってそう言うグラパール・蘭だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

2面作戦に対応する為、戦力を分散したグレン団だったが、新型機械獣の出現によって、神谷達がピンチに陥る。
しかし、土壇場で戦い事の意義を見出した蘭に、残る1機のグラパールが答えます。
遂に蘭も参戦。
ますます戦力強化のグレン団。
しかし、戦いもより激しくなっていきます。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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