天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第65話『こりゃ恰好の獲物だと思ってよ!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第65話『こりゃ恰好の獲物だと思ってよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園から大分離れた山奥………

 

この日、IS学園は野外学習を実行。

 

生徒達は山岳地帯でキャンプを行う事となった。

 

しかし、そこはISの事を教えるIS学園………

 

キャンプはキャンプでも只のキャンプではなく、ISの山岳地帯での戦闘訓練でもあるのである。

 

生徒達は其々に量産機ISを装着し、訓練を開始していた。

 

 

 

 

 

森林の中………

 

「「「…………」」」

 

打鉄を装着している生徒2人とラファールを装着している生徒1人の3人組が、トライアングルを描く様な配置で、森林の中をゆっくりと進んでいる。

 

打鉄を装着している生徒2人の手にはアサルトライフル。

 

ラファールを装着している生徒の手にはショットガンが握られている。

 

「「「…………」」」

 

3人とも緊張した面持ちで、歩調を合わせながら、ゆっくりと森林の中を進んで行っている。

 

とその時!

 

3人から見て右側の茂みの方で、ガサッと言う何かが動く音がした。

 

「「「!?」」」

 

3人は、直ぐ様持っていた得物を向ける。

 

しかし、再びガサッと言う音が鳴ったかと思うと、茂みからは野兎が飛び出して来る。

 

「兎………」

 

「ふう~~」

 

「驚かさないでよ~」

 

3人は安堵の息を吐く。

 

と、その時!!

 

突如、3人の背後の木の上から、人影が降りて来た!!

 

「「「!?」」」

 

「えへへ………」

 

驚く3人に、降りて来た人影………シャルは笑みを浮かべる。

 

そして、その身体が光に包まれたかと思うと、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを装着した状態となる。

 

「「「!!」」」

 

慌てて得物を向けようとした3人だが時既に遅し!!

 

それよりも早く、シャルの両手に出現したデザート・フォックスから吐き出されたペイント弾が、3人の身体とISを赤く染めた。

 

[そこまで! 訓練終了!!]

 

「あ~~! やられた~~!!」

 

「トホホホ………」

 

打鉄を装着した生徒1人と、ラファールを装着した生徒からそう声が挙がる。

 

「シャルロット~、ISを展開しないで隠れてるなんて、卑怯だよ~」

 

もう1人の打鉄を装着した生徒が、シャルに向かってそう抗議する様に言うが………

 

「ゴメンね。でも、コレが本当のゲリラ戦だったら、君達死んでたよ」

 

シャルは笑顔を浮かべて、サラッとそんな言葉を返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土と岩石が露出した山肌………

 

山肌の上部に陣を張った生徒達と、下側から攻めて来ている生徒達が交戦している。

 

山肌に陣を張った生徒達は、地の利を活かして、攻撃役側の生徒達を一方的に攻撃している。

 

「弾幕張って! 近寄らせないで!!」

 

「悪いけど、勝ちは貰うよ!!」

 

山肌に張られた陣の中に居た打鉄とラファールを装着している生徒がそんな事を言った瞬間………

 

何処からとも無くビームが飛んで来て、陣地の1つに直撃。

 

その陣地に居た生徒達のISが、訓練用に設定されていたダメージを超過し、システムダウンした。

 

「!? 狙撃!?」

 

「一体何処から!?」

 

慌てて狙撃地点を探す山肌に陣を張った生徒達。

 

すると、隣の山の木々の中で何かが光ったかと思うと、別の陣地が吹き飛ばされる。

 

「隣の山肌から!?」

 

「セシリアだよ! きっと!!」

 

攻撃でビームだと言う点と、狙撃された距離から生徒達は、スナイパーの正体がセシリアであると判断する。

 

その直後に、再び別の陣地が吹き飛ばされる。

 

「何か反撃出来る武器は無い!?」

 

「実弾のライフルじゃ届かないよ! ロケット弾かミサイルじゃないと!!」

 

直ぐにミサイルポッドやロケット弾ポッドを構える生徒達だったが、その瞬間!

 

山の上部の方から、水が流れて来た。

 

「!? コレは!?」

 

「マズイ!?」

 

生徒達が慌てて陣地から離脱しようとした瞬間!

 

「残念。手遅れだよ」

 

セシリアの狙撃による撹乱の間に、陣地よりも高い位置に昇っていた楯無が、放流したアクア・ナノマシンを爆破!!

 

陣地を築いていた生徒達のISは、次々にシステムダウンした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河川………

 

湿地戦仕様に改造されている打鉄やラファールを装着している生徒達が、輸送船に見立てた船を護衛している。

 

「右、異常なーし!」

 

「左、異常なーし!」

 

声を出し合って報告し合っている護衛組の生徒達。

 

と、その時!!

 

突如河川の両側に広がっていた森の中から、弾幕が展開される!!

 

「! 敵襲ーっ!!」

 

「船を守れぇーっ!!」

 

直ちに輸送船を守る様に応戦を始める護衛組の生徒達。

 

「クソッ! 何処から撃ってるの!?」

 

「構わないから、兎に角撃ちまくるのよ!!」

 

襲撃組の生徒は、ISを迷彩カラーに染めて、御丁寧にISスーツも迷彩色の物を着ている為、完全に森林の中に溶け込み、護衛組からその姿は窺えなかった。

 

護衛組の生徒達は兎に角弾幕を張って、数撃ちゃ当たる作戦で、敵を近付けさせない様にする。

 

と、その時!

 

突如、輸送船の行く手の水面が盛り上がったかと思うと………

 

「………隙有り」

 

湿地戦仕様に改造したスコープドッグ………『マーシィドッグ』を纏った簪が姿を現した。

 

そして、手にしていたヘヴィマシンガン改を、輸送船目掛けて発砲する。

 

忽ち、穴だらけにされて爆発する輸送船。

 

「!? しまった!?」

 

「今まで潜って隠れてたの!?」

 

輸送船を破壊された事と、何とも辛抱強い待ち伏せをしていた簪に、護衛組の生徒が驚きの声を挙げる。

 

「…………」

 

簪は、それには特にリアクションを見せず、燃え上がる輸送船をターレットレンズ越しにジッと見据えている。

 

と、その時!!

 

炎に包まれていた輸送船から轟音が響き、半壊していた船体が更に弾けた!!

 

「!?」

 

簪は、咄嗟にエアバージとハイドロジェット機構を使い、横へ移動する。

 

直後に、先程まで簪が居た場所が大きく爆ぜる。

 

「………衝撃砲………」

 

「御名答!!」

 

簪がそう呟くと、破壊された輸送船から、鈴が飛び出して来た!!

 

「私も居るぞ!」

 

更に続いて、ラウラも飛び出す。

 

「罠に掛けた積りだろうが、そうは行かんぞ」

 

「簪! アンタは厄介だからね! 此処で潰させて貰うわ!!」

 

水面にホバリングしながら、鈴とラウラは簪に向かってそう言い放つ。

 

「…………」

 

それに対し、簪は特にリアクションを見せる様な事はせず、只無言でヘヴィマシンガン改を構えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

一夏はと言うと………

 

「せいやああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

ISスーツ姿で滝壺に浸かり、シュバルツから貰った錆びた日本刀を、滝に目掛けて横薙ぎに振るう。

 

「!? うわっ!?」

 

しかし、滝の勢いに勝てず、刀を手放して転び、水没する。

 

「!? ああっ!?」

 

その様子を見てた制服姿の箒が、思わず声を挙げる。

 

「………ブハッ!」

 

だが、少しすると、一夏は刀を握った状態で再び浮上した。

 

「ふうぅ」

 

その様子に、安堵の息を吐く箒。

 

「ハア………ハア………ハア………」

 

一方、一夏は荒くなった息を整えている。

 

最近ロージェノム軍相手に連勝を続けている一夏だったが、未だにシュバルツに課せられたこの修行だけは上手く行っていなかった。

 

タッグマッチの時と、ミクの来校時には、怒らずしてスーパーモードを発動させる事に成功している一夏だが、それは本人にも分からない力の作用である。

 

未だに、一夏はスーパーモードを自在に発動出来てはいない。

 

そこで、この山岳訓練を利用して、山籠もりにも似た修行を展開しているのである。

 

と、その様子を、崖の上からシュバルツが見ていた。

 

「一夏よ。その刀を使いこなす事が出来なければ、スーパーモードはお前のものにならんぞ」

 

「タアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

シュバルツが居る事等気付きもせず、一夏は特訓を続けている。

 

「一夏………」

 

そんな一夏の事を気に掛けながらも、声を掛けられず見守る事しか出来ない箒。

 

と、その時………

 

ウキウキ

 

「ん?」

 

足元から聞こえて来た鳴き声に、箒が視線を下げると、そこには野生のものと思われる子猿の姿が在った。

 

「何だ? 野生の猿か? スマンが、餌を遣るわけには行かんのでな。こんな所に居ても良い事は無いぞ。早々に立ち去れ」

 

子猿を見て、箒は優しく微笑みながらそう言う。

 

ウキ~?

 

それを聞いた子猿は、首を傾げる様な仕草をする。

 

「チェストオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

そんな箒の様子等知らず、一夏は只管滝に向かっての打ち込みを続けている。

 

「ぐうっ!?」

 

今度は刀を手放したり、倒れたりはしなかったものの、刀が弾かれてしまう。

 

「クソッ!」

 

「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」

 

「!? 箒!?」

 

今までに聞いた事の無い、箒の女の子らしい悲鳴に、思わず振り返る一夏。

 

するとそこには、

 

「な、何をするか貴様~っ!!」

 

ウッキ~

 

子猿にスカートを捲られている箒の姿が在った。

 

「!?」

 

途端に一夏は赤面する。

 

ウッキ~

 

やがて子猿は満足した様に、箒から離れて去って行く。

 

「ええい! あのエロ猿め!!………うん?」

 

そこで箒は、一夏が自分の方を見ながら赤面して固まっているのに気付く。

 

「………見たのか?」

 

赤面しながら、睨む様にしてそう問い質す。

 

「へっ? あ、ああ~~………」

 

一夏は赤面したままアタフタとし出し、

 

「!? うわっ!?」

 

やがて勝手に足を滑らせて、水中へと没した。

 

「修業が足りんぞ、一夏」

 

そんな一夏の姿を見ていたシュバルツはそう呟く。

 

「フンッ!」

 

箒もそっぽを向き、その場から離れて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、昼食の時間となり、訓練は一旦終了。

 

生徒達はキャンプ場へと集合する。

 

「良し! 全員集まったな!」

 

千冬が、集まった生徒達を前にしてそう言う。

 

「織斑先生ー! 天上くんが居ませ~ん!」

 

すると、生徒の1人がそう声を挙げる。

 

「はあ~、またアイツか………」

 

いつもの事と言えばいつもの事の為、千冬が呆れた様に溜め息を漏らす。

 

「デュノアさん。一緒じゃなかったんですか?」

 

真耶が、シャルを見ながらそう尋ねる。

 

「あ、いえ。神谷とは、訓練開始前に別々に行動してまして………ただ」

 

「? 何ですか?」

 

「確か去り際に何処へ行くのって尋ねたら………『昼飯を調達して来る』って言ってました」

 

「? 昼食を?」

 

「如何言う事だ?」

 

真耶も千冬の意味が分からず困惑する。

 

とその時、近くの茂みからガサガサという音が鳴った。

 

「ん? 神谷か?」

 

「アニキ?」

 

しかし、千冬と一夏の問い掛けに答えは返って来ず、ガサガサと言う音だけが鳴り続けている。

 

「? 何でしょう?」

 

「おかしい………全員下がれ」

 

真耶が首を傾げた瞬間、千冬が嫌なモノを感じてそう言う。

 

と、その瞬間!!

 

グアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!

 

茂みから咆哮と共に、4メートル近くは有るかと言う、巨大な熊が姿を現した!!

 

「「「「「「「「「「!? く、熊ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

熊の姿を見た生徒達は、我先にと逃げ出そうとする。

 

「逃げるな!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

しかし、千冬の一喝で全員が足を止める。

 

「熊は逃げるモノを本能的に追う習性が有る! 背を見せて逃げるな! 襲われるぞ!!」

 

千冬のその言葉で、生徒達は熊と見詰め合った態勢で動けなくなる。

 

「お、織斑先生………」

 

「しっかりしろ、山田くん。隙を見せたら、その瞬間に襲われるぞ」

 

震える真耶をそう叱咤する千冬。

 

「…………」

 

と、簪がコッソリとアーマーマグナムを取り出す。

 

その次の瞬間!!

 

グアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!

 

熊は突進を繰り出して来た!!

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「!!」

 

一夏達はISを展開しようとし、千冬もIS用ブレードを生身で構える。

 

だが………

 

キャイン! キャイン!

 

熊は一夏達には目もくれず、まるで逃げる様に去って行った。

 

「アレ?」

 

「「「「「「??」」」」」」

 

思っていた展開と異なる展開になり、思わず一夏達は拍子抜けする。

 

するとそこで、

 

「待てぇーーーーっ! 昼飯ぃーーーーーっ!!」

 

右手に長刀を握り、左手に大量の魚を持った神谷が、茂みから飛び出して来た。

 

「!? 神谷!?」

 

「アニキ!?」

 

「おう! シャル! 一夏!」

 

シャルと一夏に声を掛けられて停止する神谷。

 

「神谷………お前、一体何をしていたんだ?」

 

千冬が、若干胃の痛みを感じながらそう尋ねる。

 

「いやよぉ、折角キャンプに来たんだから天然の食材をたっぷりゲットしようと思って先ずは川に行って魚を獲ってたんだよ。そしたら熊が現れてよぉ」

 

「熊って………まさか、さっきの!?」

 

驚きの声を挙げる一夏だが、次の神谷の一言で更に驚愕する事になる。

 

「んで、こりゃ恰好の獲物だと思ってよ! 仕留めに掛かったんだが………逃げられちまったみてぇだな」

 

「「「「「「「「「「………えっ!?」」」」」」」」」」

 

一瞬、神谷の言った言葉の意味が分からず、一夏達と生徒達は困惑する。

 

(今何て言った?)

 

(格好の獲物だと思って?)

 

(仕留めに掛かった?)

 

(4メートル近くあった熊を?)

 

鈴、セシリア、ラウラ、楯無が信じられないと言う様に顔を見合わせる。

 

「すご~い。かみやん、熊と戦えるんだ~」

 

唯一、のほほんだけが感嘆の台詞を言う。

 

「まあな。アメリカを旅してた時は、グリズリーを5、6匹纏めて仕留めて食った事があるぜ! 中々美味かったぞ!!」

 

すると神谷は、自慢げにそんな話をする。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

この日から、神谷は本人の与り知らぬ所で、『熊殺しの神谷』と呼ばれる様になった。

 

「お、織斑先生………熊って食べられるんですか?」

 

「アイツは………イツツツツツツツッ!!」

 

混乱から的外れな質問をしてしまう真耶と、毎度お馴染みとなった神経性胃炎に見舞われる千冬。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山中………

 

IS学園生徒達のキャンプ場………

 

彼方此方にテントが張られており、その傍で訓練に参加していなかった整備課の生徒達が其々に昼食の準備をしている。

 

「ハッハッハッハッハッ! アニキ、流石っすよ!! もう、サイコー!!」

 

一夏達と一緒の班で、昼食作りに従事していた弾は、神谷が熊を昼食の食材にしようとしていた件を聞いて大笑いする。

 

「笑い事じゃないぜ、弾」

 

「ホント、神谷さんには驚かされてばかりですね」

 

一夏がそう返し、弾と同じく昼食作りに従事していた蘭もそう言う。

 

「う~ん、良い匂いだぜ」

 

その当の神谷はと言うと、熊の事なぞすっかり忘れた様で、獲って来た魚を串刺しにして、焼き魚にしている。

 

「アハハハ。ホント、神谷と居ると退屈しないよね」

 

大分慣れて来たのか、恋故の盲目か、シャルが笑いながらそんな事を言う。

 

「まあそうね………」

 

「千冬さんの胃が心配だがな………」

 

救護テントに運び込まれた千冬の姿を思い出しながらそう呟く鈴と箒。

 

「ところで弾。昼食の献立は?」

 

「オイオイ、一夏。キャンプと言ったらカレーしかねえだろ?」

 

とそこで一夏がそう尋ねると、弾は何を言っているんだと言う様にそう返す。

 

「あの、弾くん………私、辛いの苦手なんだけど………」

 

すると虚が、申し訳なさそうにそう言って来るが、

 

「大丈夫っす! ちゃんと辛さ控え目にしてあるっすから!」

 

弾は虚の方を見て、サムズアップしながらそう言った。

 

「そ、そう? ありがとう、弾くん」

 

「何言ってんすか、当然ですよ」

 

「弾くん………」

 

「虚さん………」

 

そのまま2人はジッと見詰め合う。

 

心無しか、2人の周りの空間がピンク色に見える。

 

(((((((食事前に御馳走様を言わせる気か?))))))))

 

そんな弾と虚の姿を、呆れ半分で見ている一夏達。

 

いつもの事なので、もう文句を言う気も失せたらしい。

 

訓練でありながらも和気藹々な様子で、一夏達はキャンプを楽しんでいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが………

 

その様子を離れた崖の上から、双眼鏡で覗いている人物が居る。

 

「見つけたぜ………グレン団」

 

顔に包帯を巻き付け、ミイラの様な姿をしたオータムだ。

 

学園祭で顔に重度の火傷を負い、再び地下に潜伏していた彼女だったが、満を持して再襲撃を掛ける積りらしい。

 

「楽しそうにしやがって、ガキ共が………アタシの顔をこんなにしてくれた恨みはキッチリと晴らしてやるぜ」

 

実際に、彼女の顔をこんな状態にしたのはロージェノム軍だったが、彼女は完全にグレン団を逆恨みしていた。

 

と、その背後に、数機の黒い影が現れる。

 

無人ISだ。

 

しかし、以前彼女が引き連れていた鉄の巨人といった体躯のゴーレムIと違い、その無人ISはISを装着している女性そのものである。

 

言うなれば、鋼の乙女だろうか。

 

「おお、戻ったか。ちゃんとセットして来たんだろうな?」

 

オータムがそう尋ねると、鋼の乙女………ゴーレムⅢは、返事を返すかの様に頷いた。

 

「よおし、上出来だ。あの人形(ゴーレムI)よりは役に立つ所を見せて見ろよ」

 

そう言いながら、山向こうの空を見遣るオータム。

 

そこには薄らとだが、黒い雲が浮かんでいる。

 

「ククク………山の天気は変わり易い。今夜は大雨だ」

 

そこでオータムは、この周辺の地図を広げる。

 

その地図上で、一夏達がキャンプを張っている地点に黒い×印が、その地点より上の方にある川のカーブを描いている部分に赤い×印が付けられている。

 

「雨水が流れ込んだ川は一気に増水する。そこでこの場所を爆破すれば、鉄砲水が一気に流れ込み奴等は全員溺れ死ぬって寸法だ。仮に気付いたとしても、鉄砲水のスピードと勢いは並じゃない。人間如きが如何にか出来るものじゃない」

 

オータムの脳内には、濁流に呑まれて行く一夏達の姿が浮かんでいる。

 

「クフフフフフ………アーハッハッハッハッハッ!! 良いザマだ!! 良いザマだぜぇ! 織斑 一夏!!」

 

最早当初の目的であった一夏のISを奪う積りなど更々無く、只一夏達を殺すと言う狂気に取り憑かれているオータム。

 

そんなオータムの心情を表すかの様に、遠くの空に浮かんでいる黒雲から、ゴロゴロという雷の音が鳴る。

 

そして一夏達は、そんなオータム達と黒雲の様子に気づく事無く、楽しそうに昼食のカレーと、神谷が獲って来た魚を頬張っているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

野外学習、キャンプにやってきたIS学園の面々。
山岳地帯での訓練に励む傍ら、久々の学園行事に羽を伸ばす。

相変わらず修行を続けている一夏。
しかしそこで、久しぶりにオータム登場。
すっかり狂った復讐鬼と化した彼女の策略を防げるのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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