天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第66話『キャンプファイヤーしてぇだろ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第66話『キャンプファイヤーしてぇだろ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園で行われたキャンプ………と言う名の山岳戦の訓練。

 

生徒達が其々に戦闘訓練をする中、一夏は未だに自在に発動させる事が出来ぬスーパーモードの修業を続けていた。

 

山と言う環境を利用して、山籠もりの様な苦行に身を置く一夏。

 

だが、そんな一夏達を狂気に取り憑かれたオータムが狙う。

 

土石流で一夏達を呑み込もうと言う作戦を立てたオータムであったが、果たして一夏達が気付く事が出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園のキャンプ地………

 

すっかり日は暮れ、夕食を済ませた生徒達は、食器の片付けに入っていた。

 

「よおし! 後片付けは終わったな! 明日も朝から訓練だ! 用の無い火は直ちに消火し、就寝せよ!!」

 

後片付けが大体終わったのを見た千冬が、生徒達にそう呼び掛ける。

 

「馬鹿な事を………聞いたか、弾? あんな事言ってやがるぜ。火を消すってよ」

 

「仕方ねえっすよ、アニキ。千冬さんは今まで真面目一直線に生きて来た人………知らないだけっすよ」

 

すると、そんな千冬の言葉を聞いた神谷と弾がそう呟く。

 

「? 何だ? 何の話だ?」

 

話が見えない千冬が、困惑した様子を見せると、

 

「キャンプファイヤーしてぇだろ!? 普通!!」

 

「キャンプの夜は、例え命尽き果てようとも、キャンプファイヤーだけはしたいのが人情~~!!」

 

神谷と弾は、千冬に向かってそう訴え掛けた!!

 

「馬鹿は貴様等だ!! いい加減にしろ!! このキャンプが只のキャンプで無い事ぐらい、貴様等も知っているだろう!?」

 

「知らん!!」

 

千冬の言葉に、神谷は堂々とそう返す。

 

「我々は遊びで来ているのではないのだぞ!! このキャンプの目的はだなぁ!!」

 

と、千冬が神谷に向かって説教を始めようとしていたところ、

 

「アニキーッ!!」

 

一夏が、神谷に呼び掛けて来る。

 

「織斑! お前もこの馬鹿に何か言って………」

 

助けが来たと、千冬は一夏にそう呼び掛けるが………

 

「組木はこんなもんで良いかな?」

 

そこに居た一夏は、既にキャンプファイヤー用の組木を済ませていた姿であった。

 

「貴様もやる気満々かぁ!?」

 

思わず怒声のツッコミを入れる千冬。

 

「ええっ!? やらないんですか!? キャンプファイヤー!?」

 

と、そこで真耶が驚きながら千冬を見遣る。

 

「や、山田くん………」

 

「「「「「「「「「「「織斑先生~!」」」」」」」」」」

 

更に、箒やシャル達、他の生徒達もやりたいと言う雰囲気を訴えていた。

 

「ううっ!? ええい! お前等!! こんな時だけ団結しおって!!………好きにしろ!!」

 

やがて雰囲気に負けたかの様に千冬はそう言うと、その場から去って行く。

 

「それじゃあ! キャンプファイヤーと行きましょうか!!」

 

「「「「「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

残った真耶が仕切る様にそう言うと、生徒達は握り拳を突き上げながら歓声を挙げるのだった。

 

 

 

 

 

そして開始されたキャンプファイヤー………

 

燃せ盛る炎の周りで、フォークダンスと洒落込んでいる。

 

最初は『マイム・マイム』で始まり、全員が炎を囲う様に輪になって踊る。

 

「イエ~イ! 乗ってるか~い!?」

 

「「「「「「「「「「サイコー!!」」」」」」」」」」

 

音楽担当でギターを弾いている弾がそう問い掛けると、生徒達からはノリノリな返事が返って来る。

 

「弾くん。踊らなくても良いの?」

 

と、その弾の隣で同じく音楽を担当していた虚が、弾にそう尋ねる。

 

「いや、俺は良いっすよ。ギター弾くのも楽しいですし。それに………」

 

「? それに?」

 

「イベントとは言え、虚さんの前で他の女子と手を繋ぐってのもちょっと気が引けるんで」

 

「!! も、もう! 弾くんったら!!」

 

あっけらかんと言う弾に、虚は顔を赤くする。

 

((((((((((リア充、爆発しろ!!))))))))))

 

そんな弾と虚の様子に、踊っていた生徒達の大多数がそう心で念じたのだった。

 

「この音楽聞いてると、マ〇ミヤのCMを思い出すな~」

 

「一夏さん………それは………」

 

「古いぞ、一夏」

 

マイム・マイムの曲を聞いて、懐かしいCMを思い出している一夏に、その一夏の左手を握っている蘭と、右手を握っている箒がそうツッコミを入れる。

 

「「「…………」」」

 

一夏と手を繋ぎ損ねたセシリア、鈴、ラウラは、その光景を恨めしそうに見ている。

 

「それそれ~! 踊れや踊れ~!!」

 

「イエ~イ!!」

 

「ニャエ~イ!!」

 

そして、神谷と手を繋いでいるシャルとティトリーは、大分ノリノリな様子となっている。

 

「ホラホラ! かんちゃんも盛り上がって、盛り上がって~」

 

「大丈夫………十分盛り上がってるから………」

 

「なら、せめて表情くらいは変えて欲しいな~」

 

同じくノリノリな様子なのほほんが簪にそう言い、簪がそう返すと、何時ものと変わらぬ無表情な事に楯無が苦笑いを漏らすのだった。

 

その後、曲目が『オクラホマミキサー』に変わり、一夏と手を繋ぐ事が出来たセシリア、鈴、ラウラは漸く満足気な表情を見せる。

 

鈴とラウラ、そして蘭は身長差から若干踊り難そうであったが………

 

更に、演奏者を神谷と一夏に交代し、弾と虚もダンスに参加。

 

周囲から冷やかしが飛び、虚が照れていると、調子に乗った弾が薔薇を咥えてタンゴを踊り出す、と言う一幕もあった。

 

しかし、そんな楽しいキャンプファイヤーは………

 

唐突に終わりを告げる事となった。

 

「ん?」

 

最初に気付いたのは一夏。

 

顔に水滴が当たったのを感じ、空を見上げる。

 

すると、キャンプファイヤーの灯りで周りが明るかった事もあって気付かなかったが、先程まで満天の星空と満月の浮かんでいた空に、全てを呑み込みそうな黒い雲が掛かっている。

 

「! 空が………」

 

「何だぁ? 急に天気が変わりやがったな?」

 

一夏が声を挙げると、神谷もその様子に気付き、生徒達も空を見上げた。

 

すると次の瞬間!!

 

轟音と共に稲妻が煌き!!

 

バケツを引っ繰り返したかの様な豪雨が降り出す!!

 

「うわっ!?」

 

「何コレっ!?」

 

「物凄い雨だ!!」

 

突然の集中豪雨に見舞われる生徒達。

 

その勢いは、キャンプファイヤーの火が完全に消えてしまう程であった。

 

「皆! 直ぐにテントに戻って!! 急いで!!」

 

真耶が慌ててそう言い、生徒達は我先にと自分達のテントへと引き上げ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

IS学園のキャンプ地から上方にある川のカーブを描いている部分にて………

 

集中豪雨によって、川の水は一気に増水し、濁流となって流れていた。

 

そして、その濁流と化した川を眺める者が1人。

 

「フフフフ………予想通り、いやそれ以上の大雨だ! コレなら間違い無くIS学園の連中を皆殺しに出来るぜ!!」

 

ゴーレムⅢを引き連れたオータムである。

 

アネクラを装着した状態で川の上空に浮遊し、川がカーブしている地点を見下ろしている。

 

その手には、スイッチが1つ付いたリモコンの様な物が握られている。

 

「ヒヒヒヒ。今頃奴等は何も知らずに夢の中か? そのまま悪夢を見せてやるぜ! 死ねぇっ!!」

 

と、オータムは叫ぶ様にそう言ったかと思うと、リモコンのボタンを押した。

 

すると、川のカーブしている部分に仕掛けてあった爆薬が爆発!!

 

地形が変わり、濁流と化していた川の水が、土石流となってIS学園のキャンプ地へと流れ始める!!

 

「ヒャハハハハハハッ!! 良いぞ! 計画通りだ!!」

 

その様子を見て、満足そうな笑い声を挙げるオータム。

 

「しかし、アイツ等は妙に勘が良いからな………気付かないとも限らねえ。行くぞ! お前等!!」

 

そしてそう言うと、ゴーレムⅢ達にそう言い、土石流を追う様に飛び始める。

 

ゴーレムⅢ達は、無言のままにその後を追うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、IS学園のキャンプ地………

 

相変わらずバケツを引っ繰り返した様な雨が続いており、生徒達は自分達のテントの中に入ったままジッとしている。

 

 

 

神谷・一夏・弾のテント………

 

「酷い雨だなぁ………」

 

「山の天気は変わり易いからな。こんな事は珍しくもねえ」

 

散々たる雨の様子に一夏がそう呟くと、神谷がそう返す。

 

「にしてもタイミング悪いっすよねえ。折角キャンプファイヤーで盛り上がってたのに」

 

弾が、テントの屋根に溜まっていた水を落としながら愚痴る。

 

「全くだ………ん?」

 

とその時、神谷が何かに気付いた様にテントの外を見遣る。

 

「? アニキ? 如何したの?」

 

「今、何か聞こえなかったか?」

 

「えっ? いや、雨音以外は何も………」

 

「いや、確かに聞こえたぞ。爆発音だ」

 

「爆発音!?」

 

神谷が漏らした思わぬ言葉に驚きの声を挙げる一夏。

 

「気の所為じゃないっすか? 雷の音とか………」

 

「………ちょいと見て来る」

 

弾がそう否定するが、如何しても気になった神谷は、テントの外へと出る。

 

「あ! アニキ!!」

 

一夏が声を挙げた瞬間に、神谷はグレンラガンの姿となり、背のブースターから炎を挙げて飛翔する。

 

「追うぞ! 一夏!!」

 

と、それに続く様に弾が飛び出したかと思うと、グラパール・弾の姿となって宙に舞う。

 

「ああっ!? ま、待ってくれよぉ!!」

 

それを見て、一夏も慌てて飛び出すと、白式を展開して2人の後を追い掛けて行く。

 

「ん? 一夏?」

 

「神谷? 何処へ行くんだろ?」

 

「お兄ったら、また………」

 

その光景を目撃していた箒、シャル、蘭はそんな声を挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かコッチの方から聞こえたな………」

 

雨の中を飛ぶグレンラガンは、音が聞こえて来たと思われる山の上方を目指し、飛んでいた。

 

「!? アニキ! アレ!!」

 

すると一夏が、何かに気付いた様に前方を指差す。

 

「!? アレは!?」

 

そこには、キャンプ地を目指して突き進んで行く土石流の姿が在った。

 

「土石流!? しかも超特大の!?」

 

その余りの規模の土石流に、グラパール・弾が思わずそんな声を挙げる。

 

「マズイ! このままじゃキャンプ地が呑み込まれちまう! 直ぐに知らせるんだ!!」

 

「分かった!!」

 

グレンラガンがそう叫ぶと、一夏が箒達に通信を送ろうとする。

 

しかし!

 

「そうはさせねえよぉ!!」

 

そういう叫びと共に、一夏に向かって砲弾が飛んで来た。

 

「!? うわっ!?」

 

危機一髪のところで回避する一夏。

 

その直後に、3人の周りを取り囲む様に、ゴーレムⅢ達が展開する。

 

「何だコイツ等!?」

 

「無人IS!?」

 

「ん何ぃっ!?」

 

グラパール・弾、一夏、グレンラガンが驚きの声を挙げると、

 

「久しぶりだな! クソガキ共!!」

 

アネクラを装着しているオータムが姿を現す。

 

「!? テメェは!!」

 

「久しぶりだな! 織斑 一夏! そしてグレンラガン! 見慣れねえ奴も1人居る様だが、まあ良い。纏めて地獄へ送ってやるぜ!!」

 

オータムはそう言い放つと、背の8本の装甲脚を展開させる。

 

だが………

 

「………誰だっけ?」

 

次のグレンラガンのその台詞を聞いた途端、一夏、グラパール・弾共々空中でズッコケてしまう。

 

「ア、アニキ! 亡国企業の残党だよ! ホラ! 学園祭で俺を襲った!!」

 

そこで気を取り直した一夏が、神谷にそう言う。

 

「ああ! そう言や居たな、そんなの」

 

「そ、そんなのって………」

 

如何やらボケでは無く、本当に忘れていたらしい。

 

神谷にとって、亡国企業の残党であるオータムなど、記憶に留める必要も無い存在だった様だ。

 

「テ、テメェ! ふざけやがって!! アタシの顔をこんなにしておいて!!」

 

オータムは包帯の巻かれている自分の顔を示しながら、そう怒りを露わにする。

 

「るせぇなぁ。オメェが怪我したのはロージェノム軍の所為………つうよりも自業自得だろう。それに、今の顔の方が似合ってるぜ」

 

そんな怒りをサラッと流し、グレンラガンはそう言い放つ。

 

「黙れぇっ! 貴様等が大人しくISを渡していれば、こんな事にはならなかったんだ!!」

 

「ヒッデェ逆恨み………」

 

「一夏………オメェもケッタイな奴に狙われちまったなぁ」

 

一夏が愚痴る様にそう呟き、グラパール・弾が同情する様にそう言う。

 

「ウルセェッ! 男が女に逆らうんじゃねえ!! テメェもIS学園の連中同様、地獄へ送ってやるぜ!! 掛かれぇっ!!」

 

とそこで、オータムが痺れを切らしたかの様に叫んだかと思うと、ゴーレムⅢ達が一斉に一夏へ襲い掛かる!!

 

「クッ!!」

 

「チイッ!!」

 

慌てて雪片弐型を構える一夏と、グラパールブレードを展開する弾。

 

すると!!

 

「フルドリライズ!!」

 

グレンラガンの叫びが木霊し、その身体が緑色の光を放ってフルドリライズ化し、迫って来ていたゴーレムⅢ達を串刺しにした!!

 

「むんっ!!」

 

気合の声と共に、グレンラガンが通常状態となると、ドリルに貫かれていたゴーレムⅢ達が次々に爆散する!!

 

「!? 何ぃっ!?」

 

一瞬にしてゴーレムⅢの大半がやられた事に、オータムは驚愕を露にする。

 

「! アニキ!!」

 

「一夏! 弾! コイツ等は俺に任せろ!! お前達はキャンプ場へ戻って、この事を知らせろ!!」

 

一夏とグラパール・弾に背を向けたまま、グレンラガンはそう言う。

 

「!? アニキ!?」

 

「何を!?」

 

「さっきから通信を送ろうとしてんだが、全く通じねえんだ。誰かが言って知らせてやらなきゃならねえだろ!?」

 

驚く一夏とグラパール・弾に、グレンラガンはそう言う。

 

如何やらジャミングが行われているらしく、先程まで通じていた通信が繋がらなくなっている。

 

土石流は凄まじい勢いでキャンプ場へと向かって行っている。

 

早く知らせなければ大変な事となる。

 

通信が使えない以上、誰かが行って知らせるしかない。

 

「なら! せめて俺は残って………」

 

「駄目だ。キャンプ場に居る奴等を皆逃がすには人手が要る。好きな時にISが使える専用機持ちは多い方が良い」

 

せめて自分は残ろうと言う一夏に、グレンラガンはそう返す。

 

「心配すんな。俺がそう簡単にやられねえ男だってのはオメェ等が良く知ってんだろ?」

 

「「アニキ………」」

 

「行け! アイツ等の事は頼んだぞ!!」

 

「「…………」」

 

グレンラガンのその言葉を聞くと、一夏とグラパール・弾は互いに頷き合い、キャンプ場に引き返して行った。

 

「野郎! 逃がすか!!」

 

オータムがそう言うと、残っていたゴーレムⅢ達が一夏とグラパール・弾を追おうとするが、

 

「オメェ等の相手は俺がしてやるぜ! ありがたく思いな!!」

 

グレンラガンがその前に、ガイナ立ちで立ち塞がる。

 

「チイッ! ブチ殺せぇっ!!」

 

オータムの命令で、一気にグレンラガンに殺到するゴーレムⅢ達。

 

「やってみろおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

その一団に、グレンラガンは右腕をドリルに変え、自ら突っ込んで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

IS学園のキャンプ場の方では………

 

土石流の轟音が聞こえて来る様になり、異変を感じて起きた生徒達が豪雨の中にも関わらず、テントの外へ飛び出していた。

 

「何なの、この音!?」

 

「何が起こってるの!?」

 

徐々に大きくなってくる土石流の音に、生徒達は混乱する。

 

「神谷! 神谷!………駄目だ! 繋がらないよ!」

 

「コッチもだ!」

 

「ノイズしか返って来ないわ」

 

シャル、箒、鈴は、飛び出して行った神谷達に連絡を取ろうとしたが、通信先からはノイズしか返って来なかった。

 

すると………

 

「皆ー!!」

 

「大変だぁーっ!!」

 

一夏とグラパール・弾が、慌てた様子で戻って来る。

 

「一夏!」

 

「弾くん! 何処へ行ってたの?」

 

「話は後だ! 兎に角すぐに避難を!!」

 

「土石流が迫ってるんだ!! 早いところ、高台へ!!」

 

箒と虚への返事もそこそこに、一夏とグラパール・弾はそう叫ぶ!!

 

「「「「「「「「「「ど、土石流!?」」」」」」」」」」

 

それを聞いた生徒達の表情から血の気が引く。

 

そして、我先にと近くの高台へ避難し始めた!!

 

「皆! 避難を手伝ってくれ! 専用機を持ってる俺達が中心になるんだ!!」

 

「分かりましたわ!!」

 

「任せろ!!」

 

一夏のその言葉で、セシリアとラウラがISを展開。

 

他のグレン団メンバーも同じ様にISを展開する。

 

するとそこで………

 

土石流から先行していた水が辿り着き、キャンプ場一体が、生身の人間の足首辺りまで水に覆われる。

 

「!? 水が!?」

 

「急いで寝ている生徒達を起こさないと!」

 

「…………」

 

シャルが声を挙げ、楯無がそう言うと、簪が直ぐ様行動に出る。

 

「! そうだ! 千冬さんは!?」

 

とそこで、グラパール・蘭がこう言う時には指揮官になる立場である筈の千冬の姿が無い事に気づく。

 

「織斑先生! 織斑先生!! 起きて下さい!!」

 

すると、千冬と真耶の教師陣用テントの中から、真耶の声が響いて来る。

 

「! 山田先生! 如何したんですか!?」

 

一夏がすぐにテントへと駆け付けると………

 

「織斑先生!! 織斑先生!!」

 

「うう~~………神谷め~………許さんぞぉ~~~………」

 

真耶が、一升瓶を抱えて眠りこけている千冬を、必死になって起こそうとしていた。

 

如何やら、またも神谷の暴走に嫌気が差したらしく、ヤケ酒を呷って眠ってしまった様だ。

 

その証拠に、テント内はアルコールの臭いが充満している。

 

「ち、千冬姉………」

 

流石に一夏も、この光景には一瞬呆然となる。

 

その後、バケツに汲んで来た水を顔に浴びせると言う暴挙に近い強引な酔い覚ましを行い、目を覚ました千冬に指揮を執って貰ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

オータムとゴーレムⅢ達と交戦していたグレンラガンは………

 

「ドリ掌底っ!!」

 

掌に出現させたドリルの掌底で、ゴーレムが1機貫かれ、爆散する。

 

その隙を衝いて、別のゴーレムⅢが背後からグレンラガンに迫ったが、

 

「心眼蹴りいいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」

 

グレンラガンは素早く後ろ回し蹴りを繰り出し、ゴーレムⅢの頭部を粉砕!!

 

頭の無くなったゴーレムⅢは、失速する様に落下し、やがて爆散した。

 

とそこで、距離を取っていたゴーレムⅢ3機が、左腕の超高密度圧縮熱線をグレンラガン目掛けて発射する。

 

1機につき4門。

 

計12門の砲門から放たれた熱線が、絡み合って1つの巨大な熱線となり、グレンラガンに向かう。

 

「おりゃああぁぁぁっ!!」

 

するとグレンラガンは、その熱線に向かってドリルに変えた右腕を突き出す。

 

そして何と!!

 

ドリルに熱線を吸収させてしまった!!

 

「オラよ! 返すぜ!!」

 

再びグレンラガンが、ドリルの腕を距離を取っていたゴーレムⅢ3機に向けたかと思うと、そこから先程吸収した熱線が放たれる。

 

距離を取っていたゴーレムⅢ3機は、自分達が放った熱線を浴びて、跡形も無く融解する。

 

「良し! 今ので機械野郎は最後か?」

 

周りを見回し、ゴーレムⅢの姿が無いのを確認すると、グレンラガンがそう呟く。

 

「せえええやあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

とそこで、両手にカタールを握ったオータムが、グレンラガン目掛けて突撃して来る。

 

「!? おおっと!?」

 

驚きながらも、身を翻す様に回避するグレンラガン。

 

「オノレェオノレェ! グレンラガン!!」

 

「おーおー、如何にも三下の悪党が吐きそうな台詞を………」

 

怒りの形相を見せるオータムに、グレンラガンは更に挑発するかの様な台詞を浴びせる。

 

「黙れええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

その台詞に更に怒りのボルテージを上げたオータムは、両手のカタールを振り回し、グレンラガンに迫る。

 

「おっ!! と、とっ!!」

 

繰り出されるカタールの斬撃を、右手に持ったグレンブーメランで往なすグレンラガン。

 

「男のクセしやがって! アタシをコケにしやがってええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!」

 

「小せえな」

 

「!? 何ぃっ!?」

 

「男だ女だって事に拘って時点でテメェの器は知れてるぜ。喧嘩に勝てるか如何かは男か女かは関係ねえ! どちらのハートがより熱く燃えてるかだ!!」

 

「ウルセェッ!! 戯言をおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

とそこで、オータムは手からエネルギー・ワイヤーを放った。

 

「おおっと!?」

 

グレンラガンは、そのエネルギー・ワイヤーに絡め取られてしまう。

 

「ヒャハハハハハッ! 油断したな!!」

 

オータムはそんな姿のグレンラガンを嘲笑うと、背の装甲脚を全て展開する。

 

「終わりだ! 死ねぇっ! グレンラガン!!」

 

そして、一斉にグレンラガン目掛けて振り下ろす!!

 

「舐めるなああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

だが、その瞬間に、グレンラガンは再びフルドリライズ化!!

 

しかも、細いドリルが飛び出すフリドリライズではなく、ギガドリル並みのドリルが全身を覆い尽くすタイプ………『ギガドリルマキシマム』だ!!

 

「なっ!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

エネルギー・ワイヤーや装甲脚どころか、その攻撃はオータム自身にも襲い掛かり、アネクラの装甲が豆腐の様に砕け散る。

 

「テ、テメェッ!!」

 

それでもオータムは激情に駆られるまま、グレンラガンへ近付こうとする。

 

その瞬間!!

 

遅れて伸びて来たドリルが、装甲が砕け散ったオータムの左肩に命中!!

 

左肩が抉られ、左腕が鮮血と共に宙に舞った!!

 

「!? ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?」

 

形容し難い悲鳴を挙げるオータム。

 

「腕がぁっ! アタシの腕がぁ!!」

 

肩口から無くなった左腕を押さえ、夥しい流血を撒き散らしながら、オータムは悶える。

 

「チ、チキショウがぁ!! 覚えてやがれ!! 必ず殺してやるっ!!」

 

凄い表情を見せながら、オータムは煙幕弾を投擲。

 

グレンラガンは煙幕に包まれる。

 

「うおっ!? 小賢しい真似しやがって!!」

 

右腕をドリルに変えて、掲げる様に構えると、ドリルの回転によって生じた風圧で、煙幕を吹き飛ばす。

 

しかし、煙が晴れると、オータムの姿は何処にも無かった。

 

「逃げられたか………まあ良い。今はコッチだ!!」

 

グレンラガンはそう言うと、キャンプ場へと引き返して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園のキャンプ場………

 

「さ! 摑まって!!」

 

「ありがとう、デュノアくん!!」

 

逃げ遅れていた生徒を抱き上げ、高台まで運ぶシャル。

 

「もう大丈夫ですわ」

 

「安心して」

 

セシリアや楯無も、同じ様に逃げ遅れた生徒を高台へ運んでいる。

 

「急げ! 土石流が来るまで時間が無いぞ!!」

 

「グレン団の皆さん! 頑張って下さい!!」

 

千冬と真耶は、高台からグレン団の面々を指揮している。

 

既に先んじて流れて来ている水の量は、生身の人間の膝上まで到達しようとしていた。

 

テント等は流され始めている。

 

と、その時!!

 

その流れに乗って、大量の流木が押し寄せて来た!!

 

「! 流木が!?」

 

「マズイ! このままでは未だ避難が終わっていない者達が巻き込まれてしまう!」

 

虚とラウラがそう声を挙げる。

 

と、そこで!!

 

「…………」

 

マーシィドッグを纏った簪が、ターレットレンズを回転させながら、ヘヴィマシンガンを構える。

 

通常ならば、流水の影響で照準は困難の筈だが、簪は恐ろしい程の精密射撃で、流木を破壊して行く。

 

「凄~い! 流石かんちゃん!!」

 

高台でその光景を見ていたのほほんがそう歓声を挙げる。

 

と、次の瞬間!!

 

遂に土石流が到達!!

 

凄まじい量の水が、全てを押し流さんとばかりに迫って来る!!

 

「!? 来た!!」

 

「こんのぉっ!!」

 

未だ避難が完了していないのを見た鈴が、咄嗟に土石流に向かって龍砲を最大出力で発射!!

 

津波の様な水の塊が、一瞬最大出力の龍砲と拮抗し、そして弾け飛んだ!!

 

だが、その水に流されていた岩石は、そのまま落石となってキャンプ地に襲い掛かる。

 

「蘭!!」

 

「分かってるっ!!」

 

しかしそれも、ハンドガンを構えたグラパール・弾とグラパール・蘭が、次々に撃ち落とす。

 

「さあ、急ぐんだ!!」

 

「摑まって!!」

 

「う、うん!!」

 

「ありがとう!!」

 

その間に、残っている生徒達が、箒と一夏によって高台へ運ばれる。

 

「コレで全員!?」

 

生徒の数が揃ったところで、ティトリーがそう声を挙げた。

 

とそこで!!

 

遂に土石流の本命と思われる、まるで津波の様な大量の水が押し寄せて来る!!

 

「!! 流石にアレは防げないわね!!」

 

そう言って鈴が離脱し、簪と五反田兄妹も高台へと上がった。

 

しかし………

 

「!? 大変!! 相川が居ないわ!!」

 

一夏達のクラスメートが、同じく一夏達のクラスメートである相川 清香の姿が無い事に気づいて悲鳴の様に声を挙げる。

 

「!? 何っ!?」

 

「馬鹿者! 何故確認しなかった!?」

 

千冬が怒鳴り声を挙げるが、既に土石流はキャンプ場まで残り僅かな距離まで迫っていた。

 

「! 相川 清香のテントはどれだ!!」

 

「えっ!?」

 

突然そう尋ねて来た箒に困惑するクラスメート。

 

「どれだと聞いている!!」

 

「え、えっと! あの赤いテント!!」

 

箒の気迫に押される様に、クラスメートは流され掛けている赤いテントを指差す。

 

「!!」

 

それを聞くや否や、箒はそのテントに向かって飛んだ!!

 

「!? 篠ノ之さん!」

 

「篠ノ之! 危険だ! 戻れっ!!」

 

真耶と千冬が声を挙げるのも聞かず、箒はそのまま赤いテントの前に着地。

 

テントを破いて、中に居た相川清香を引っ張り出す。

 

しかし、その瞬間には、土石流が箒達を飲み込もうとしていた。

 

「!?(駄目か!!)」

 

「箒いいいいいいぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!」

 

するとその瞬間!!

 

一夏が飛び出した!!

 

箒を守る様に、迫り来る土石流にその身を晒す!!

 

「!? 一夏!?」

 

「「「「「「一夏〈さん、くん〉!!」」」」」」

 

箒と、高台に居たセシリア達も悲鳴に似た声を挙げる。

 

そして無情にも、土石流は一夏を飲み込もうとする………

 

(箒は………俺が守る!!)

 

だが、その瞬間!!

 

白式が金色の光を放ち、スーパーモードとなった!!

 

「シャアアアアアァァァァァァイニングゥ! フィンガアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そして、迫り来る土石流に向かって、シャイニングフィンガーを繰り出す!!

 

すると!!

 

土石流はシャイニングフィンガーによって分断され、一夏とその後ろに居る箒と相川 清香を避けて行く!!

 

「なっ!?」

 

「嘘!?」

 

「土石流を………」

 

「分断したぁ!?」

 

千冬、真耶、セシリア、鈴が驚きの声を挙げる。

 

「す、凄い………」

 

「何と………」

 

「信じられない………」

 

「あわわわ………」

 

「一夏さん………」

 

シャル、ラウラ、楯無、虚、グラパール・蘭は目の前の光景が信じられない様子だ。

 

「…………」

 

簪も何時もと変わらぬ無表情だが、ターレットレンズ越しでは無く、直接その目で一夏の姿を見遣っている。

 

「すっご~い! おりむー!!」

 

「スゲェ! 流石だぜ!!」

 

「一夏カッコイイー!!」

 

そして、のほほん、グラパール・弾、ティトリーは純粋に一夏を褒め称えていた。

 

やがて土石流は収まり、水が引いて行くと、白式のスーパーモードは解除される。

 

「こ、これが俺の力!?」

 

自分でやった事が信じられず、茫然と己の手を見遣る一夏。

 

「良くやった、一夏」

 

「!? 今の声は!?」

 

突然聞こえて来た声に驚いていると、暗雲の隙間から覗いた三日月をバックに、シュピーゲルを装着したシュバルツが一夏を見下ろしていた。

 

「ふっふっふっふっふっふっふっふっ。如何やら私が手を貸す必要は無かった様だな。だが! 本当の修行はこれからだ!!」

 

「何ぃ!?」

 

「自分の好きな時、自分が必要な時に! 果たして使いこなせるか如何か………それが問題だ!」

 

「うっ………」

 

「一夏! 貴様の修行! これからも楽しみに見させてもらうぞ! ふっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

 

そう言い残すと、シュバルツは木の葉を舞い散らせて姿を消す。

 

「…………」

 

シュバルツが去ると、一夏は再び己の手を見遣る。

 

(あの時俺は………ただ箒を守りたいと思った………他に余計な事など一切考えていなかった………なのに如何してスーパーモードを発動させる事が出来たんだ?)

 

一夏はただ、己の手を握り締めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして………

 

IS学園のキャンプは、波乱の内に幕を閉じた。

 

しかし………

 

グレン団の戦いは明日をも続く。

 

戦えグレン団!!

 

何時の日か、世界に平和が訪れるその日まで!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました

キャンプの夜はキャンプファイヤー。
盛り上がるIS学園の一同でしたが、そこで天気が急変して豪雨に。
そして満を持して行われるオータムの企み。

しかし、当の本人はグレンラガンにアッサリと撃退され、作戦も一夏達の奮戦で打ち砕かれます。
哀れ。

さて次回から鈴のエピソードです。
それはつまり………
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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