天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第67話『そっから逆転して見せろ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第67話『そっから逆転して見せろ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・1年2組………

 

朝のホームルーム前に、ざわ付いている生徒達。

 

「鈴、聞いた? 今日転校生が来るんだって」

 

「あ? 転校生?」

 

クラスメートの情報に反応する鈴。

 

「物好きねぇ。こんな情勢の中で態々IS学園に来るなんて………」

 

鈴は呆れる様にそう言う。

 

ロージェノム軍の侵略が開始されて以来、度々ターゲットにされているIS学園の生徒の数は減る一方。

 

こんな情勢の中で態々転校して来るなど、余程の物好きか、命知らずに思えたのだ。

 

「皆ー、ホームルームを始めるわよ~。席についてー」

 

とそこで、担任の教師が教室に姿を見せ、皆にそう言って来る。

 

それを聞いた生徒達は、自分の席へと戻り、着席する。

 

「さて。聞いている子も多いと思うけど………今日このクラスに転校生が来ます」

 

教壇に立った担任がそう言うと、生徒達がざわめく。

 

「それじゃあ、どうぞ」

 

そして担任がそう言うと、1人の女の子が、教室の前側のドアから入って来た。

 

「!? なっ!?」

 

その女の子の姿を見た鈴が、驚きの声を挙げる。

 

「!? 鈴!?」

 

「如何したの?」

 

突然声を挙げた鈴に、クラスメートは首を傾げる。

 

「ア、アイツ………」

 

しかし鈴はそれに答えず、驚きの表情のまま転校生の女の子を見つめている。

 

「………フッ」

 

そんな鈴の様子に気付いた転校生は、嘲笑するかの様な笑みを浮かべたかと思うとチョークを取り、黒板に自分の名前を書き始めた。

 

黒板に白い文字で、『楊 紅麗』と言う漢字が書かれる。

 

「初めまして、皆さん。中国から来ました楊 紅麗(ヤン ホンリィ)です。どうぞよろしくお願いします」

 

そう言って転校生………『楊 紅麗(ヤン ホンリィ)』は、クラスの生徒達に笑みを向ける。

 

「…………」

 

しかし、鈴だけは驚きの表情のまま固まっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間はアッと言う間に流れて休み時間………

 

次の授業の準備をしている紅麗の前に、鈴が立つ。

 

「アンタ………」

 

「アラ、鈴音さん。ご無沙汰しておりましたわね。ご機嫌如何でしょう?」

 

鈴が声を発すると、紅麗は丁寧な返事を返す。

 

だが………

 

その目は、完全に鈴を見下していた。

 

「如何いう事よ!? 何でアンタがIS学園に!?」

 

思わず声を荒げる鈴。

 

他の生徒達が何事かと注目する。

 

「如何と言われましても………鈴音さん、聞いていらっしゃらないんですか? 甲龍の後継機が完成し、それに伴い私も代表候補生として選抜されましたのよ」

 

「!? 何ですって!?」

 

「嘘だと思うのでしたら、本国に問い合わせてみては如何ですか?」

 

見下した態度のまま、紅麗は鈴にそう言い放つ。

 

「! アンタねえ!!」

 

と、鈴が続けて何かを言おうとしたところで、休み時間終了を告げるチャイムが鳴る。

 

「クッ! また後でね!!」

 

「ええ、お待ちしておりますわ………」

 

立ち去る鈴に、紅麗は挑発するかの様な笑みを向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後………

 

最早日課となった、第1アリーナを借り切っての演習を行っているグレン団………

 

「じゃあ、本国に問い合わせてみたら、その紅麗って子が言ってる事は本当だったの?」

 

「ええ、そうよ………」

 

シャルの質問に、鈴は素っ気なく答える。

 

「まあ、別に国家代表や代表候補生は1国家に付き1人ってワケじゃないからね」

 

「それに、ロージェノム軍の事もある。優秀なIS乗りを増やす事は国家としても急務なのだろう」

 

楯無とラウラがそう言い合う。

 

「それはそうなんだけど………」

 

「? 何かご不満でもありますの?」

 

何か引っ掛かる言い方の鈴に、セシリアがそう尋ねる。

 

「実は………あの楊 紅麗って奴。アタシが代表候補生に選ばれる前は国家代表に最も近いと言われていたエリートだったの。成績優秀、運動神経抜群。おまけに容姿端麗で品行方正」

 

「正に絵に描いた様な完璧超人だな」

 

次々に美辞麗句を並び立てる鈴に、一夏が皮肉る様にそう言う。

 

「まあね。アタシも最初会った時は正にその通りだって思ってたわ。けど………」

 

「? けど?」

 

「当時開発されたばかりだった甲龍への適正値が、アタシの方が高かったの。それで軍上層部の一声で、アタシが甲龍の装着者になる事になったわ」

 

「ならば、紅麗はお前を恨んでいるかも知れないと言う事か?」

 

鈴の言葉を聞いた箒がそう言う。

 

「ええ………普通に考えれば十分考えられるわ。何せエリートの中のエリートが、国が用意したISへの適正が低かったって事で、代表候補生から外されたんだから」

 

難しい顔をする鈴。

 

「セイッ! ソリャッ!!」

 

「良いぞ! もっと打って来い!!」

 

と、そんな話に微塵の興味も無いグレンラガンとグラパール・弾は、ミット打ちに励んでいた。

 

「…………」

 

簪も無言で、射撃訓練を続けている。

 

「神谷さん、お兄………少しは聞いてあげたら如何なの? 簪さんも」

 

そんな姿に呆れたグラパール・蘭が、耐えかねた様にそう言う。

 

と、そこで………

 

「ふふふ………私の噂をしていらっしゃった様ですね」

 

「「「「「!?」」」」」

 

突如響いて来た声に、一夏達がアリーナのピットを見遣ると、そこには………

 

甲龍に良く似たISを装着している紅麗の姿が在った。

 

色は甲龍に比べて黒の部分が濃く、手には双天牙月の様な青龍刀ではなく、フィクション等で呂布が使っていたとされる武器『方天画戟』に似ている槍を持っている。

 

甲龍の後継機『黄龍』である。

 

「紅麗………」

 

「まあ、あの方が?」

 

鈴がそう呟くと、セシリアがそう声を挙げる。

 

「…………」

 

一方の紅麗は、相変わらず鈴を見下す様な目で見ている。

 

「………嫌な目だな」

 

その姿に、嘗て一夏や神谷を敵視していた自分を重ねたラウラがそう呟く。

 

「ちょっと君。悪いけど、このアリーナは私達が借り切ってるの。関係無い人は出て行ってもらえるかな?」

 

とそこで、楯無が紅麗に向かってそう言い放つ。

 

「アリーナは学園生徒皆のものではないのですか?」

 

「そうだけど………グレン団は実質、世界で1番ロージェノム軍との戦闘を経験している人達ばかりだからね。特例が許されているの」

 

「成程………理解しました。ならば、私もその一団に加えていただけませんか?」

 

「!? 何ですって!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

紅麗の思わぬ提案に、鈴が仰天の声を挙げ、一夏達も驚きを示す。

 

「悪い提案では無い筈ですよ? 貴方方としても、戦力は有るに越した事はありませんでしょう」

 

「それはそうだけど………」

 

「ご心配無く。鈴音さんよりは活躍して見せます」

 

「! 喧嘩売ってんの!? アンタ!!」

 

紅麗のその物言いに、鈴は当然の如く反論する。

 

「アラ? 漸く気づきましたか? 鈴音さん?」

 

そんな鈴に微笑みながら、紅麗は当然の様にそう返す。

 

「!! 上等じゃない!! 相手になってやるわ!!」

 

激怒した鈴は、双天牙月を構える。

 

「止せ、鈴! 落ち着け!!」

 

「止めないでよ! 一夏!!」

 

一夏が止めるが、鈴は収まらない。

 

「貴様、IS学園に於いてISを使っての私闘は禁じられているのを知らんのか!?」

 

「アラ? そうでしたか………うっかりしていましたわ」

 

箒にそう言われて、紅麗は引き下がるかの様な様子を見せたが、

 

「では織斑教諭にでも許可を取り、模擬戦という形で決着を着けましょう。鈴さんもそれで良いですか?」

 

次の瞬間には、そんな言葉を鈴に投げ掛けた。

 

「上等よ!!」

 

「では、今日もコレで失礼致しますわ。ご機嫌よう、鈴さん。そしてグレン団の皆さん」

 

紅麗はそう言うと、踵を返して、ピットの中へ消えて行く。

 

「一方的に自分の言い分だけ言って帰って行ったな………」

 

「何かまたメンドクセェ事になってるみてぇだな」

 

「…………」

 

とそこで、騒ぎを聞いて漸く訓練を中断したグラパール・弾にグレンラガンと簪が、一夏達の傍に寄って来る。

 

「弾、アニキ。それに簪」

 

「気に入らねえな………」

 

とそこで、グレンラガンがそう呟く。

 

「えっ?」

 

「あの女………如何にも気に入らねえな」

 

「でしょ、神谷! アンタもそう思うわよね!?」

 

珍しく意見が合い、鈴は神谷に向かってそう言う。

 

「アイツ………何か股に一物持ってやがんな」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

グレンラガンのその言葉を聞いた箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラが顔を赤くする。

 

「神谷くん………それを言うなら、腹に一物じゃない?」

 

「言葉っ尻は如何でも良い。兎に角、俺のカンがそう言ってんだよ」

 

苦笑しながらツッコミを入れる楯無に、グレンラガンはそう返す。

 

「う~ん、アニキの勘は良く当たるからなぁ………」

 

「こりゃ何か有るかも知れないな」

 

普通ならば、“根拠にならない根拠”として切り捨てるところだが、長い付き合いから神谷の直感の的中率の高さを知るグラパール・弾と一夏は、顎に手を当てながらそう呟く。

 

「鈴。油断しないで」

 

「誰に言ってんのよ!? 覚悟しなさい、紅麗! 模擬戦でボコボコにしてあげるわ!!」

 

グラパール・蘭がそう言うと、鈴は早くも紅麗への闘志を燃やし始めていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日………

 

第2アリーナにて………

 

早くも鈴と紅麗の模擬戦が行われる事となる。

 

千冬が、2組の担任から鈴と紅麗の折り合いが悪い事を聞き及んでおり、いっそぶつかり合った方が双方スッキリするだろう、と判断してのスピード決定である。

 

既に、鈴と紅麗は互いにISを装着した状態でアリーナの空中に浮かび、睨み合いに入っている。

 

「…………」

 

「フフフ………」

 

と言っても、睨み付けているのは鈴の方だけで、紅麗はやはり見下した目で笑みを浮かべている。

 

「!!」

 

その目を見ているだけで、鈴の中には怒りの感情が湧き上がって来る。

 

一方、客席の方には毎度の様に情報を聞きつけた生徒達が、見物に集まっている。

 

勿論その一角には、グレン団の姿も在る。

 

「いよいよだな………」

 

「鈴の奴、大丈夫か? あの紅麗って奴に、大分怒ってるみたいだったけど………」

 

一夏は、紅麗への怒りに燃える鈴を心配する。

 

「始まるぜ………」

 

と、神谷がそう言った瞬間、いよいよ試合が始まりそうになる。

 

[それでは鈴音さん。紅麗さんも準備は宜しいですね?]

 

アリーナの管制室に居る真耶が、スピーカーを通じて鈴と紅麗にそう尋ねる。

 

「当然!!」

 

「何時でも構いません」

 

鈴と紅麗は、それにそう返す。

 

[分かりました。では、ISファイト………レディ! GO!!]

 

真耶がそう言ったかと思うと、アリーナの空中に、GOと言う文字が点灯した!!

 

「先手必勝!!」

 

と、鈴はその言葉通り、試合開始と同時に龍咆をブッ放す。

 

「フフフ………」

 

しかし、紅麗は薄笑いを浮かべたまま、方天画戟を片手で回転させる。

 

すると、龍咆は回転する方天画戟に命中し、そのまま防がれた。

 

「!? 何ですって!?」

 

「如何しました、鈴さん? まさかそれで終わりと言うワケではありませんよね?」

 

驚く鈴に向かって、紅麗は挑発の言葉を浴びせる。

 

「! 舐めんじゃないわよ!!」

 

鈴は今度は、双天牙月を両手に握り、紅麗に突撃する。

 

「セヤッ! おりゃあっ! とりゃあっ!!」

 

そのまま二刀流で、紅麗を連続で斬り付けて行く。

 

「フフフ………」

 

だが、これまた紅麗は、涼しい顔で連続斬撃を次々に躱して行く。

 

「何で当たらないのよ!?」

 

「鈴! 落ち着け!!」

 

余裕のまま攻撃を躱されて行く事で、鈴の中で焦りが生じ、それが動きに粗を生んで行く。

 

一夏が叫ぶが、熱くなり過ぎている鈴の耳には届かない。

 

「このおぉっ!!」

 

「隙有りです」

 

思わず鈴が、双天牙月を大きく振り被った瞬間、紅麗は方天画戟の石突きの部分を、鈴の鳩尾に叩き込んだ!!

 

「ガフッ!?」

 

一瞬意識が飛ぶ鈴。

 

「ゲホッ! ゴホッ!」

 

咳き込みながら一旦紅麗から離れる。

 

「では………今度はコチラから行かせていただきます」

 

とそこで、紅麗は方天画戟を両手で握る。

 

「!!」

 

直ぐに身構える鈴だったが………

 

「ハイイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!」

 

一瞬にして目の前に紅麗が現れ、方天画戟での突きを繰り出して来る!!

 

「!?」

 

咄嗟に左腕で防ぐが、装甲が1撃で罅割れ状態となる。

 

「ぐうっ!?」

 

「ハイハイハイハイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!」

 

そのまま、目にも止まらぬ連続突きが繰り出される!!

 

「ぐううっ!?」

 

両腕で防御姿勢を取る鈴だったが、防いでいる両腕の装甲は次々に罅割れて、一部欠損を起こす。

 

「ハイイイイイイイィィィィィィィィーーーーーーーーーッ!!」

 

と、決めの1撃か、一旦方天画戟を引き、勢いを付けた1撃を繰り出す。

 

「! 甘いっ!!」

 

だが、鈴はその方天画戟を一旦引いた瞬間に、紅麗を飛び越える様に移動。

 

逆さまになる様にして紅麗の後ろを取った。

 

「貰ったわ!!」

 

そのまま龍咆を放とうとした鈴だったが、

 

「ええ………コチラが」

 

紅麗が首だけ振り向いた状態で鈴にそう言ったかと思った瞬間!!

 

黄龍の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)の後ろ側が展開し、そこから衝撃砲が発射される!!

 

「!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

直撃を喰らってしまい、鈴は黒煙を上げながら頭からアリーナの地面に墜落する。

 

「鈴!!」

 

「何だ!? 今アイツ、振り向かずに攻撃したぞ!?」

 

一夏と弾が驚きの声を挙げる。

 

「如何やらあの黄龍には、非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)の後ろ側にも衝撃砲が搭載されている様だな………」

 

「って事は、迂闊に背後にも回れないって事か………」

 

ラウラとシャルは、先程の攻撃が衝撃砲である事を見抜き、そう推察する。

 

「グウッ!!………やってくれたわね!!」

 

とそこで、頭に付いた土片を落としながら、鈴は起き上がる。

 

「まだまだこれからですよ」

 

しかしそこへ、紅麗は今度は、非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)の前側から衝撃砲を放つ。

 

「!!」

 

慌てて地上をホバーしての回避運動に入る鈴だったが………

 

「逃がしません」

 

何と紅麗は衝撃砲をマシンガンの様に連射しながら、逃げる鈴を狙い撃つ。

 

「衝撃砲にも改良が加えられているみたいだね………」

 

「威力………射程………効果範囲………どれも大きく向上している」

 

「オマケに、連射速度に関しては桁違いです」

 

楯無、簪、虚が黄龍の衝撃砲を見てそう言う。

 

「リンリン! しっかり!!」

 

「鈴さん! 落ち着いて下さい!!」

 

「相手の動きを良く見るんだ!!」

 

そして、のほほん、セシリア、箒は鈴へそう声援を飛ばす。

 

「クッ! 気楽に言ってくれて!!」

 

しかし、今の鈴には、その声援に応える程の余裕が無かった。

 

「こんのおぉっ!!」

 

隙を作り出そうと、双天牙月2基を連結させると、紅麗に向かって投げ付ける!

 

「…………」

 

飛んで来た双天牙月を軽く躱す紅麗だが、その際に攻撃が止まる。

 

「今の内!!」

 

そしてその間に、鈴は再び飛翔し、帰って来た双天牙月を回収する。

 

「当然そう来るでしょうね」

 

しかし、紅麗はその行動を読んでいたかの様に、左アームパーツから分銅付きの鎖を発射。

 

その鎖が、鈴の左足に絡まる。

 

「!? しまっ………」

 

「高圧電流………放電!」

 

鈴が声を挙げようとした瞬間!

 

鎖に高圧電流が流された!!

 

「キャアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?」

 

悲鳴を挙げる鈴。

 

「フフフ………」

 

そんな鈴の姿を見て、紅麗は薄ら笑いを浮かべると、そのまま鈴を振り回し、観客席の方へ投げ飛ばす!!

 

「ガハッ!?」

 

「「「「「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」」」」」

 

鈴がシールドの背中から叩き付けられ、シールドからスパークが走り、見物の生徒達が思わず悲鳴を挙げる。

 

「グウッ………!?」

 

「遅いです」

 

立ち直ろうとした瞬間に、鈴の腹部に紅麗のキックが叩き込まれる。

 

「!? ガハッ!?」

 

絶対防御を抜いて伝わって来たダメージに、鈴は思わず吐血した。

 

「フフ………」

 

と、そんな鈴の横っ面に、方天画戟を持っていない方の手でフックの様なパンチをお見舞いする紅麗。

 

「ガフッ!?」

 

飛び散った血がアリーナのシールドに付着し、一瞬で蒸発する。

 

「フフフフフ………ハハハハハハハ!! アッハッハッハッハッハッ!!」

 

すると突然!!

 

紅麗はキックした足で鈴を押さえ付けながら、狂った様な笑いを挙げて、方天画戟を持っていない方の手で鈴の顔を繰り返し殴り付け始めた!!

 

まるで嬲るかの様に。

 

「ガッ!? グフッ!? ゴッ!?」

 

殴られる度に飛ぶ血飛沫が、アリーナのシールドに当たっては蒸発する。

 

「ううっ………」

 

「も、もう嫌!!」

 

「うえええ………」

 

その凄惨な光景に、ある生徒は青褪め、ある生徒は目を背ける。

 

そしてある生徒は耐え切れずに嘔吐する。

 

「如何ですか鈴音さん!? 手も足も出せずに一方的にやられる気分は!? アハハハハハハハハッ!!」

 

先程までの物静かそうな紅麗の姿は何処にも無く、そこに居たのは、只相手が苦しむ様を見て楽しむサディストの姿だった。

 

「「ううっ!?」」

 

グレン団の中でも、蘭とティトリーが思わず顔を背けた。

 

「アイツ!!」

 

「もう許せねえ!!」

 

思わず、一夏と弾が飛び出して行きそうになる。

 

しかし………

 

「手ぇ出すんじゃねえ!!」

 

「「!?」」

 

何と!!

 

他ならぬ神谷が止めた!

 

「アニキ! 如何してだよ!?」

 

「そうだよ神谷! あのままじゃ鈴さんが危険だよ!!」

 

一夏とシャルは、思わず神谷に食って掛かるが………

 

「まだ鈴の奴はアイツに1発も入れちゃいねえんだ………そいつをしねえ内に助けんのは、アイツのプライドが許さねえさ」

 

神谷は2人に向かってそう返す。

 

「でも! このままじゃ………!!」

 

食い下がる一夏だったが、そこで神谷がスクッと立ち上がる。

 

「鈴! 何手子摺ってやがる!! そんな奴! お前にとっちゃ何て事ねえだろ!! そっから逆転して見せろ!!」

 

そして、鈴に向かってそう叫ぶ。

 

「煩い事………こんな状態の鈴音さんに何をしろって言うのかしら………これだから不良は………」

 

その声を鬱陶しく思い、神谷に見下した視線を向ける紅麗。

 

とその時、紅麗の足が摑まれる!!

 

「!?」

 

「全く………アイツったら、ホント………人の気も知らないで勝手な事ばっかり言うんだから………」

 

先程まで嬲られていた鈴が、紅麗の足を摑んで捕まえていた。

 

その顔は酷く腫れて居るが、不敵な笑みが浮かんでいる。

 

「!? そんな!?」

 

「でも! 今回ばかりはその通りだけどね!!」

 

紅麗が驚きの声を挙げた瞬間!!

 

鈴は紅麗の足を摑んだまま、龍咆を最大出力でブチ噛ました!!

 

「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

最大出力を至近距離で喰らい、紅麗は装甲の欠片を撒き散らし、黒煙を曳きながらアリーナの地面に叩き付けられる!!

 

「ゲホッ!………やっぱり至近距離で最大出力撃ちなんてするもんじゃないわね」

 

漸く解放された鈴だが、至近距離で龍咆を最大出力でブッ放した為、自機の損傷も決して軽い物では無かった。

 

「あ、貴女………正気な頭をしているの!? 至近距離で龍咆を最大出力で放つなんて………自殺行為も良い所だわ!!」

 

鈴のやった行動が信じられないと言いながら態勢を立て直す紅麗。

 

「ハンッ! 無理を通して道理を蹴っ飛ばす! それがアタシ達………グレン団のやり方よ!!」

 

そんな紅麗に向かって、鈴はそう言い返す。

 

「何がグレン団ですか! そんな馬鹿馬鹿しい一団にまで加入して………!!」

 

「馬鹿馬鹿しいとは、馬鹿馬鹿しいわね!!」

 

紅麗の言葉を遮る様に叫ぶ鈴。

 

「アタシを誰だと思ってんの!?」

 

そして、今やグレン団お決まりの台詞となりつつある言葉を叩き付ける。

 

「へっ」

 

それを聞いた神谷は、ニヤリと笑う。

 

「小賢しい! 所詮はくたばり損ないの戯言よ!!」

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

紅麗は方天画戟を構えて、鈴は連結した双天牙月を構えて突撃し合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

中国から新たにやって来た代表候補性『楊 紅麗』
彼女は鈴と浅からぬ因縁のある人物だった。

出会い頭から鈴を挑発し、模擬戦に持ち込む。
そしてその中でサディストの姿が表に出る。
一方的にボコボコにされた鈴だったが、ここからが本当の戦いです。
そして、紅麗の真の姿も明らかに………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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