これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第73話『んじゃ先ずはその刀から探すとするか!!』
IS学園生徒が宿泊している旅館………
天狗鬼との戦いで負傷した一夏を、如何にか宿へと連れ帰ったグレン団の一同。
幸い命には別状無く、左肩もギリギリのところで砕かれていなかった。
しかし、暫くは安静が必要とされ、今は自分の部屋で医療補助器を着けられて眠っている。
混乱を防ぐ為に、他の生徒への説明は為されず、情報統制が敷かれた。
一体誰にやられたのかと尋ねて来た千冬に、神谷は天狗鬼の仕業だと説明する。
最初は信じられなかったものの、一夏の白式の映像記録にその天狗鬼の姿がハッキリと映っており、神谷の言っている事が真実であると裏付けられる。
旅館の某一室………
「俄には信じられんが………まさか本当に妖怪の仕業だとは………」
映写されている天狗鬼の映像を見ながら、千冬が信じ難いと言う様に呟く。
「よ、妖怪………」
真耶は真耶で、初めて目にするオカルト的な存在に、何処か怖がっている様な様子を見せる。
「まさか天狗鬼が実在したなんて………」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
老仲居から伝説を聞いていた弾も信じられない様であり、箒達も戸惑いを露わにしていた。
「けっ! 天狗だが鬼だが知らねえが! 弟分の一夏をあんなにされて、黙っちゃいられねえぜ!!」
しかし、只1人神谷だけは、映像の天狗鬼を睨み付けながらそんな事を言い放つ。
「か、神谷! 落ち着いて………」
「そうですわ。相手は第3世代のISを圧倒する程の力を持っているのですわよ!」
一夏と天狗鬼の戦闘記録は開示されており、その中で一夏が終始圧倒されていたのを思い出したシャルとセシリアが、神谷にそう言う。
(束や各国の首脳や軍部が聞いたら仰天するだろうな………)
其れを聞いた千冬が、まるで他人事の様にそう思う。
何せ、最近ロージェノム軍に負け越しているとは言え、最強の兵器と言われたISが、一夏が怒りに囚われていたとは言え、妖怪等と言うオカルトな輩に完敗したのだ。
この事が各国首脳や軍部に伝われば、彼等が頭を抱える光景が容易に想像出来る。
「けっ! それが如何した!! 大体アイツは人に悪さを働く妖怪だって話じゃねえか!! このまま放っておけるか!!」
「其れはそうだが………」
「でも! 実際問題、如何やって戦うのよ!?」
弟分の一夏がやられた手前、やや血が上っている神谷だが、ラウラと鈴がそう言い放つ。
と、其処で………
「失礼します………」
突如何の前触れも無く、昨夜神谷達に天狗鬼の事を説明した老仲居が部屋に姿を見せた。
「ちょっ!? ちょっと!? 困りますよ!! 関係者以外は立ち入り禁止ですよ!!」
其れを見た真耶が、慌てて老仲居を部屋の外へ連れ出そうとする。
「天狗鬼を倒すのでしたら、景竜様の刀をお使いになると良いでしょう」
しかし、老仲居は真耶の事等気にせず、神谷達に向かってそう言い始める。
「景竜の刀?」
「嘗て景竜様が使った刀は霊験あらたかな刀で、景竜様が天狗鬼の封印に使ったのもその霊力故だったと言う伝承が御座います。その刀を使えば、再び天狗鬼を葬り去る事も可能でしょう」
首を傾げる弾に、老仲居は更に言葉を続ける。
「成程………で? その刀は何処にあんだ?」
「如何やら、盗人に持ち去られた様でして………京の何処かにあるのは確かですが………」
「んじゃ先ずはその刀から探すとするか!!」
神谷は其れだけ聞くと立ち上がり、部屋から出て行く。
「あっ! ちょっと、神谷ぁ!!」
「アニキ!!」
直ぐ様、シャルと弾がその後を追って行く。
「オイ! お前達!! 待て!!」
「あ~もう! 如何してそうノリで行動するの!?」
「仕方無いよ~」
「そうそう………神谷なんだし」
「弾くん! 待って!!」
「あの馬鹿お兄!」
「………やれやれ」
続いて、箒、楯無、のほほん、ティトリー、虚、蘭、簪がそう言い合うと、全員が部屋を後にする。
「ちょっ! 皆さん!!」
「貴様! 一体何の目的であんな事を!!」
真耶が慌て、千冬が老仲居に向かってそう怒鳴ったが………
老仲居は、何時の間にか姿を消していた………
「ア、アレ!? 何時の間に!?」
(あの仲居………一体何者だ?)
妙に景竜の伝説に詳しい老仲居の正体に、千冬が疑念を抱くのだった。
一方………
景竜の刀を探して、京の街へと繰り出した神谷達は………
「待ってよ、神谷!」
「アニキ! 刀を探すって言っても、宛ては有るんすか?」
神谷に追い付いたシャルと弾が、神谷に向かってそう尋ねる。
「んなもん有るワケねえだろ!!」
何故か自信満々にそう言う神谷。
「「やっぱり………」」
シャルと弾はそれを見て呆れる。
「やっぱし………アンタ勢いだけで飛び出してたのね………」
「全く………お前と言う奴は………」
其処でやっと追い付いた他のメンバーの内、鈴と箒がそう呟く。
「まあ、仕方無いよ。コッチには全く情報が無いんだから」
「手分けして………虱潰しに………探して行くしかない………」
だが、現状では他に有効な手も無く、楯無と簪がそう言い、手分けして虱潰しに探す事を提案する。
「其れしか有りませんわね………」
「仕方有るまい………」
「よ~し、頑張ろ~!」
「本音………ホント、貴女は何時も気楽ねぇ」
「まあ、それが本音だからね」
「が、頑張ります!」
セシリア、ラウラ、のほほん、虚、ティトリー、蘭がそう言うと、グレン団の一同は2人1組を作り、彼方此方へと散らばって行ったのだった。
箒&鈴………
京都の某質屋………
「刀?」
「ハイ。最近売りに来た者等は居ないでしょうか?」
箒と鈴が先ず当たったのは、質屋や骨董屋等といった店舗である。
幾ら伝説の刀と言えど、其れ自体は金では無い。
美術品泥棒と言うのは、そう言った物を売っ払って金に換える事で利益を得ているのである。
質屋や骨董屋を当たれば手掛かり、若しくは刀其の物が有るのではないか?と踏んだのだ。
「う~~ん、いや居ないね~………」
「じゃあ、他のお店から、かなり年期が入った刀を売りに来た奴が居たとか言う話は聞いてない?」
箒に続けて、鈴が質屋の主人にそう尋ねる。
「いや~、聞いてないね~」
「そう………」
「ありがとうございました」
其処まで聞くと、箒と鈴は質屋を後にする。
「此処も駄目ね………」
「仕方が無い………次の店に行くぞ」
そしてまた、新たな質屋や骨董屋を探しに向かうのだった。
セシリア&ラウラ………
京都府警察本部………
「警察にも目ぼしい情報は無しか………」
「一応捜査本部は置いている様ですが………まあ、泥棒の対応に其れ以上のものを求めると言うのも酷ですわ」
ラウラとセシリアは警察署を訪ね、IS学園とグレン団、そして代表候補生の身分を盾に、美術品泥棒の情報を得ようと考えたが………
手配中や前科者リストだけでも膨大な量の情報が有り、却って犯人の特定が困難となった。
「まさか、妖怪が出たから早く刀を見付けてくれと言ったところで、真面に取り合っては貰えんだろうな」
「仕方有りませんわ………こうなれば、この前科者リストと手配書の人物を片っ端から見付けて捕まえていきましょう」
「ふっ………それも一興か………」
そのまま、セシリアとラウラによる………
京都一帯を舞台にした大捕物が開始されたのだった。
楯無&簪………
「そりゃ多分、最近この辺りで活動を始めた新参の窃盗団の仕業で間違いないですなぁ」
「そう………」
「その連中の根城は………?」
路地裏で、情報屋から情報を得ている楯無と簪。
「いや~、其処まではちょっと………」
「そう………ありがとう。もし知ってるって仲間が居たら、教えて頂戴」
楯無はそう言うと、情報屋のポケットに数枚の紙幣を入れた。
「毎度どうも………」
情報屋はペコリとお辞儀をすると、そそくさと去って行く。
すると其処で、楯無と簪の周りに、忍者の様な恰好をした連中が音も無く現れる。
「如何だった?」
「申し訳有りません。目ぼしい情報は未だ………」
楯無が尋ねると、忍者の様な恰好をした連中の纏め役と思しき人物がそう返す。
彼等は更識家に仕える者達だ。
楯無の要請で駆け付け、方々に散らばって情報を集めていた様だが、目ぼしい情報は集められなかった様である。
「分かったわ。引き続き情報収集を続けて」
「「「「「ハッ!!」」」」」
楯無に返事を返すと、忍者の様な恰好をした連中は一瞬で方々に散らばって行く。
「姉さん………私達も………」
「ええ、行きましょう」
簪がそう言うと、楯無も別の伝手を当たりに向かうのであった。
ティトリー&のほほん&蘭………
「あの~、すみませ~ん」
「この辺りで怪しい人とか見掛けませんでした?」
街行く人々に、片っ端から声を掛けてそう尋ねるのほほんとティトリー。
「いや~、見て無いな~」
「知らないな~」
しかし、道行く人々の反応は芳しくない。
「ニャ~………中々情報が手に入らないね~」
「そりゃあ、簡単に居場所が分かる様じゃ直ぐに捕まってるわよ」
疲れた様に溜息を吐くティトリーに、蘭がそう言う。
「まあまあ~、もう少し頑張ろうよ~」
のほほんが1人抹茶を啜りながら、マイペースにそう言う。
「気楽ですね………って言うか、何飲んでるんですか!?」
「まあまあ、ちょっと休憩しようよ。あ、わらび餅食べる?」
1人抹茶を啜っていたのほほんに蘭がツッコミを入れると、ティトリーがそう言ってわらび餅を差し出して来る。
「(お、美味しそう………)い、いただきます」
誘惑に負け、わらび餅に手を付ける蘭。
そのまま3人は、暫しの小休止を取るのだった。
そして………
神谷&シャルと、弾&虚は………
京都市内のとある路地裏………
「オラァッ!!」
「ガハッ!?」
神谷が蹴り飛ばしたチンピラが、ゴミ置き場に突っ込み気絶する。
「おりゃあっ!!」
「ゲハッ!?」
そして、弾が投げ飛ばしたチンピラが、電柱にぶつかって気絶する。
良く見ると、周りには同じ様に気絶させられたチンピラが、何人も伸びている。
「クソッ! 何やってやがる!? 相手はたったの2人だぞ!!」
未だ2人の周りを取り囲んでいるチンピラのリーダーが、そう言い放つ。
「如何した? もう終わりか?」
「遠慮は要らないぜ。もっと掛かって来い」
其れに返礼するかの様に、神谷と弾はチンピラ達に向かってそう言い放つ。
「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」
其れを聞いたチンピラ達は、一斉に神谷と弾へと襲い掛かって行く。
そして………
そのままドンドンと蹴散らされるのだった………
「ズズ~~……未だ掛かりそうだね」
「そうですね」
表通りの方の茶屋で、お茶を飲みながらその光景を見ていたシャルと虚がそう呟く。
最早この2人も慣れたもので、路地裏で大立ち回りを演じている神谷と弾を、涼しい顔で見ている。
「グハッ!?」
すると、2人の前に1人のチンピラが投げ飛ばされて来る。
「うん?」
「あら?」
「こ、このガキャァッ!!」
ダメージが不十分だったのか、ナイフを取り出して再び神谷と弾に襲い掛かろうとしたが………
「えいっ!」
「ゴハッ!?」
シャルが思いっ切り後頭部を蹴飛ばし、気絶させた。
「神谷~! 気を付けてよ~!!」
「おう! ワリィワリィ、シャル!!」」
シャルがそう言うと、神谷は持ち上げていたチンピラを投げ飛ばしながらそう返事を返す。
数分後………
神谷と弾以外に、路地裏に立つ者は居なくなっていた………
「ゲホッ!!………そ、そう言えば………最近街外れの空き家を根城にしている窃盗団が居るって話聞いた様な………ガハッ!!」
「成程………そいつ等か………」
と、叩きのめしたチンピラの1人を締め上げ、その話を聞き出す神谷。
蛇の道は蛇………裏の連中を追うには、同じ裏の連中に聞いた方が早いと考えた神谷は、適当にこの辺りのチンピラ達をシメて、遂にその居場所を突き止める事に成功した。
「良し! 行くぞお前等!!」
「「「おう!(はい!)」」」
居場所を聞き出すと、最早用は無いとばかりに、神谷は弾達を連れて、窃盗団の隠れ家へと向かう。
………余談となるが、その後暫く京都の裏界隈では、赤いマントを羽織った悪魔と言う噂が立ち上る事となる。
京都の街外れ・某空家………
「「「「「神谷〈さん〉!!」」」」」
「おっ! 何だ? お前等も此処に辿り着いたのか?」
其々のやり方で情報を収集している内に、やはりこの場所へ行き着いたのか、神谷達が到着すると同時に、箒達も姿を見せた。
「………中に人間のモノと思われる熱源が3つ在るわ………多分………間違いない」
スコープドッグのターレットレンズ部分だけ展開し、細かく切り替えながら空き家をサーチした簪がそう言う。
「よ~し、取り囲んで一気に決めるぞ」
神谷がそう言うと、全員が無言で頷き、空き家の彼方此方から中へと侵入した………
入って直ぐに、台所と思われる場所から声が聞こえて来る。
「…………」
音を立てないよう、静かにリビングの方へと向かう神谷達。
そして、台所を覗き込むと、其処にはあの窃盗団の3人の姿が在った。
テーブルの上には、盗んだ影竜の刀が無造作に置かれている。
「ほとぼりが冷めたら、この刀売っ払って、次の獲物を探しに行くぞ」
カップ麺を啜りながら、リーダー格の男がそう言う。
「………なあ、やっぱりあれ、返しに行かないか?」
「お前、未だそんな事言ってるのか?」
と、部下2人の内、ビビっていた方がそう言い、もう1人が呆れた様に言う。
「だってよぉ、何か嫌な感じがするんだぜ………」
「馬鹿野郎! 今更ノコノコ返しに行ったらパクられに行く様なもんだろうが!! 良いから! お前は黙って俺に従ってろ!!」
尚も食い下がる部下だったが、リーダー格の男はそう言って一喝するのだった。
(神谷くん………一気に突っ込むわよ)
と其処で、楯無が神谷にそう合図する。
コチラに未だ気付いておらず、油断している状況を狙い、一気に勝負を付ける算段の様である。
(おっし)
神谷はそう言って、他の一同と顔を見合わせる。
「「「「「…………」」」」」
其れに無言で頷く一同。
(1………)
(2の………)
「「「「「さっ!!………」」」」」
3と言って飛び出そうとした瞬間!!
突如轟音と共に、空き家が崩れ始めた!!
「「「「「!? キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」」」」」
「うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」
「何だぁっ!?」
突然の事態に、グレン団と窃盗団は空き家の瓦礫に埋まってしまう。
やがて、完全に空き家が潰れ、瓦礫の山となったかと思うと………
「ブハッ! 無事か!? お前等!!」
グレンラガンの姿となった神谷が、ドリルで瓦礫を破壊して這い出て来る。
「あ、ああ………」
「何とか………」
続いて、箒やシャル達が、専用機を展開させた状態で這い出て来る。
「虚さん! 怪我は有りませんか?」
「ええ、ありがとう、弾くん」
「大丈夫?………本音?」
「ありがと~う、かんちゃ~ん」
虚とのほほんも、グラパール・弾と簪に庇われて無事であった。
「な、何なんだ、一体………」
「な、何だテメェ等は!?」
と、そこで這い出して来た窃盗団が、グレンラガン達の姿を見て驚く。
「フハハハハハッ! 人間にしては知恵を回した様じゃが、そうは行かんぞぉ!!」
しかし其処で、上空からそう言う声が降って来る。
「「「「「!?」」」」」
一同が見上げると、其処には天狗鬼の姿が在った。
「! 天狗鬼!!」
「な、何だありゃあ!?」
「ば、化け物だ!!」
その姿を認めると、グレンラガンと窃盗団は驚きの声を挙げる。
「貴様等が影竜の刀を探し出そうとするなど、当に見抜いておったわぁ! じゃが事はそう上手く行かんものじゃ!! むんっ!!」
天狗鬼はそう言い放つと、葉団扇を振る。
すると、先程まで快晴だった空に真っ黒な雲が掛かり、雷が迸ったかと思うと、暴風雨が降り注いだ!!
「うわあぁ~! 何だコリャ~ッ!?」
「た、崇りだぁ~!!」
「ヒイィ~~ッ!?」
その途端に、窃盗団は我先にと逃げ出す。
「ア!? アイツ等………」
「弾! 今はコッチに集中しろ!!」
其れを追おうとしたグラパール・弾に、グレンラガンがそう言う。
「フハハハハハッ! 貴様等男2人を始末したら、そっちの娘っ子共は1人残らず食ってやるわい!!」
暴風雨の中に悠然と浮かびながら、天狗鬼はそう言い放つ。
「食っ!?」
「流石は妖怪………人食いは当たり前と言う事か………」
セシリアが驚きの声を挙げるが、迷信深い箒は冷静にそう言う。
しかし、雨月と空裂を握っているその手は、若干震えている。
何せ相手はオカルトな存在とは言え、一夏を圧倒した相手だ。
油断は出来ない。
と………
「お前等! 刀を探せ!! アイツ等の相手は俺と弾がする!!」
そんな箒達の前に、グレンラガンがそう言って立つ。
「うっし!!」
グラパール・弾も、そんなグレンラガンの隣に並び立つ。
「!? 神谷!?」
「ちょっと! 何言ってんのよ、アンタ!?」
シャルが驚き、鈴が怒鳴る様にそう言うが………
「アイツを倒せるのは影竜の刀だけだ!!」
「其れにアイツ、お前等の事を食うって言ってるんだぜ? なのに戦わせられるかよ」
グレンラガンとグラパール・弾はそう返す。
「弾くん!!」
「無謀だ! 2人で敵う相手では無いぞ!!」
「だったら、早く刀を見付けろい!!」
虚とラウラがそう叫ぶが、グレンラガンはそう言い返す。
「ティトリー!」
「OK!!」
と其処で、のほほんとファイナルダンクーガが瓦礫を掘り返し始める。
「姉さん………」
「全く仕方無いわね………無茶しちゃ駄目よ!!」
更に、簪と楯無も刀の捜索に入る。
其れに続く様に、箒やシャル達も、瓦礫を掘り返して、影竜の刀を探し始めるのだった。
「うっし! 気合入れよ、弾!!」
「アイよ! アニキ!!」
其れを確認すると、グレンラガンとグラパール・弾は、天狗鬼に向かって構えを取る。
「フン! 無駄な事を………どの道貴様等は死に、小娘共はワシの腹に収まるのじゃ」
「如何かな!?」
「テメェ自分で言ってただろうが! そうは上手くは行かないモンだってよぉ!!」
天狗鬼の挑発するかの様な台詞にそう返し、グレンラガンとグラパール・弾は、暴風雨の空へと飛翔する。
一方、影竜の刀を探す箒やシャル達は………
「有った!?」
「コッチには無いよ~!」
「コッチもだよ!!」
虚の声に、のほほんとファイナルダンクーガがそう返事を返す。
「ぬぐぐぐぐぐぐ………如何?」
「駄目だ………無いな」
鈴が大きな瓦礫を持ち上げ、ラウラがその下を覗き込んでそう言う。
「クウッ! こう瓦礫が多くては………」
「愚痴を言っている暇が有ったら手を動かせ!」
思わず愚痴を言うセシリアに、箒がそう言い放つ。
「まさかこんな事になるとはね~」
「…………」
苦笑いを零している楯無と、黙々と瓦礫を掘り起こしている簪。
「刀、刀、刀………」
「見つからないよ~」
グラパール・蘭とシャルも、必死に刀を捜索しているが、未だ見付けられない。
すると其処へ、空の方から轟音が聞こえて来る。
「「「「「!?」」」」」
一同が見上げると、其処には天狗鬼に苦戦しているグレンラガンとグラパール・弾の姿が在った。
「神谷!!」
「弾くん!!」
一瞬手が止まるシャルと虚だったが、直ぐにまた瓦礫を掘り始める。
(何処に………一体何処に有るんだ?)
必死になって瓦礫を退かし、刀を探すシャル。
すると………
瓦礫で埋まっている奥の方で、何かが光った。
「!?」
シャルは直ぐ様、その場所に向かって瓦礫を掘り進める。
そして最後の瓦礫を退かした瞬間………
其処から、影竜の刀が現れた!
「! 有った!!」
一方………
天狗鬼と戦うグレンラガンとグラパール・弾は………
「「ダブルキイイイイイィィィィィィーーーーーーーックッ!!」」
天狗鬼に向かってダブルキックを繰り出すグレンラガンとグラパール・弾。
「ハアッ!!」
しかし天狗鬼が葉団扇を振るうと、竜巻のバリアが展開され、グレンラガンとグラパール・弾を弾き飛ばす!!
「おうわっ!?」
「おわっ!? クソォッ!!」
素早く立ち直ったグラパール・弾が、グラパールブレードを右腕に出現させて天狗鬼に斬り掛かる。
「てやあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
天狗鬼に向かって振り下ろしを繰り出すグラパール・弾。
「フン………」
しかし、天狗鬼は巨大金棒を取り出すと、グラパールブレードを受け止める。
「! このぉっ!!」
そのまま連続でグラパールブレードを振るうグラパール・弾だが、全て巨大金棒に防がれてしまう。
「青二才が! 引っ込んでおれ!!」
と、一瞬の隙を衝き、巨大金棒を横薙ぎに振るう天狗鬼。
「!?」
グラパール・弾は、咄嗟にグラパールブレードを構えて受け止めようとしたが………
巨大金棒の1撃は、グラパールブレードの刀身を粉々にしてしまう。
「お、折れたーっ!?」
「むんっ!!」
驚くグラパール・弾に、天狗鬼は蹴りを叩き込む!
「!? うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」
バランスを崩し、失速して行くグラパール・弾。
「弾!!」
「人の心配をしている余裕が有るのか?」
グレンラガンが其れに目を奪われていると、何時の間にかグレンラガンの目の前に立っていた天狗鬼が、巨大金棒を振り下ろす。
「!?」
グレンラガンは咄嗟に、両腕を交差させて巨大金棒を受け止める。
凄まじい衝撃がグレンラガンの両腕に走り、アーマーが罅割れる。
「グアッ!?」
「ほう? やりおるわい。ワシの金棒を受け止めたのは貴様が初めてじゃわい」
「へ、へへ………頑丈さが違うんだよ………」
両腕に激痛が走っているが、ヤセ我慢して不敵な笑みを浮かべ、グレンラガンは天狗鬼にそう言い放つ。
「ふん、じゃが………頑丈さだけではワシは倒せんぞ!!」
と、そこで天狗鬼は一旦巨大金棒を引いたかと思うと、今度は突きを繰り出して来た!!
「!? ガハッ!?」
真面に喰らってしまい、グレンラガンの口から血が零れる。
「グウッ! なろぉっ!! スカルブレイクッ!!」
反撃にと天狗鬼に向かってスカルブレイクを繰り出すが………
「無駄じゃ………」
天狗鬼に命中したかと思われた瞬間に、天狗鬼の身体が無数の木の葉となり、飛び散る。
「!?」
「こっちじゃ」
驚くグレンラガンの背後に出現すると、葉団扇を振るう天狗鬼。
突風が吹き荒れ、其れによって生じた鎌鼬が、グレンラガンに襲い掛かる。
「!? グアアアッ!?」
防御姿勢を取るものの、彼方此方のアーマーが斬り裂かれるグレンラガン。
攻撃が神谷の身体まで到達したのか、損傷個所から血が流れる。
(チイッ! 今回ばかりはちょいとマズイかもな………)
まるで他人事の様に、グレンラガンがそう思った瞬間!
「神谷ぁっ! 受け取ってぇっ!!」
地上に居たシャルが、何かをグレンラガンに向かって投げた!!
「!?」
影竜の刀である!
「!? 馬鹿な!? 見付けたのか!? ええい! させんぞ!!」
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」
天狗鬼とグレンラガンは、直ぐ様影竜の刀を確保しようとする。
全速力で刀目指して飛ぶグレンラガンと天狗鬼。
だが、天狗鬼の方が僅かに速い!
「ハハハハハハッ! 貰ったーっ!!」
「チイッ!!」
必死に刀に向かって手を伸ばすグレンラガン。
するとその瞬間、天狗鬼が止まる。
「むおっ!? 何っ!?」
「アニキィッ! 今だぁ!!」
弾き飛ばされていたグラパール・弾が復帰し、天狗鬼の足を押さえたのだ!!
「グッ! 小僧!!」
「ぐあっ!?」
直ぐ様グラパール・弾を弾き飛ばす天狗鬼。
だが、その一瞬の隙は、グレンラガンにとって十分過ぎる時間だった。
「貰ったぜ!!」
影竜の刀をキャッチするグレンラガン。
「!? し、しまった!?」
狼狽する天狗鬼の目の前で、グレンラガンは鞘から刀身を抜き放つ。
その瞬間!!
刀に宿っている霊力が、神谷の螺旋力に反応し、刀身から白色のオーラが立ち昇り始める。
「むんっ!!」
グレンラガンは、そのまま刀を蜻蛉に構える!
鎧武者を彷彿させるデザインをしているグレンラガンに、日本刀は似合っていた。
と其処で、グレンラガンの背後に雷が落下!!
稲妻が逆光となって、グレンラガンの姿を引き立たせる!!
「ぬうっ!?」
その姿に得体の知れない迫力を感じ、天狗鬼は僅かに後退った。
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」
その瞬間、グレンラガンは雄叫びを挙げて天狗鬼に斬り掛かる!!
「!?」
またも身体を木の葉に変えて避けようとする天狗鬼だったが………
「シエヤアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」
独特の掛け声と共にグレンラガンが刀を振り下ろしたかと思うと、天狗鬼の左腕が葉団扇を持ったまま、肘下辺りから宙に舞った!!
「!? があああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」
切断面から、紫色の血液が噴き出す。
「おおっ!? 流石は霊験あらたかな影竜の刀………良い切れ味じゃねえか」
その切れ味の良さに、グレンラガン自身も驚く。
「ぐううっ!? 貴様ああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
其処で、残っていた右手に握っていた巨大金棒を振るう天狗鬼。
「!!」
だが、グレンラガンは刀を使って受け止める。
質量差から考えて、刀の方が折れてしまう筈だが、何故か影竜の刀は折れなかった。
「ぬううっ!?」
「何のっ!!」
再度振り下ろしを見舞う天狗鬼だが、グレンラガンは今度は刀を使って弾く。
「ぐううっ!? ええい!! 死ねぇっ!!」
其処で天喜鬼は、再び巨大金棒での突きを繰り出す。
「!!」
すると、グレンラガンは刀を正眼に構え、そのまま上段に振り被ったかと思うと、
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
一気に迫り来る巨大棍棒に向かって振り下ろした!!
すると!!
巨大棍棒がまるでチーズの様に真っ二つにされて行く!!
「な、何っ!?」
「せいやああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
天狗鬼が驚愕した瞬間!!
グレンラガンは刀を素早く引き、そのまま片手で突きを繰り出す!!
繰り出された突きは、天狗鬼の額を捉えた!!
「!? ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」
眉間に刃が突き刺さり、悲鳴を挙げる天狗鬼。
「むんっ!!」
其処でグレンラガンは、刀を引いて刃を抜いたかと思った次の瞬間!!
「紅蓮斬りぃっ!!」
グレンラガンはそう叫び、天狗鬼に袈裟斬りと逆袈裟斬りを叩き込む!!
「ぬおああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?」
天狗鬼は斬られた場所から、白い炎を上げる。
そしてそのままその白い炎に包まれ、消滅して行った………
「…………」
グレンラガンはその光景を背に、刀を鞘へと納刀する。
「またつまらねぇモノを斬っちまった」
そう言った瞬間、荒れていた天気がピタリと治まり、雲が晴れ、再び青空が姿を見せるのだった。
その後………
例の窃盗団は全員逮捕され、一夏は無事に目を覚ます。
影竜の刀は、再建された社に再び奉納された。
斯くして京都を舞台に繰り広げられた妖怪とのバトルは幕を閉じる。
しかし………
あの謎の老仲居の正体は、結局最後まで分からなかった………
余談となるが………
ティトリーが、あの老仲居に狸の様な尻尾が生えていたのを見た、と言う証言を残している………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
天狗鬼を倒せる唯一の手段………
景竜の刀を探し求めて京都を走り回るグレン団。
そして天狗鬼との対決。
苦戦したグレンラガンでしたが、景竜の刀のお陰で形勢逆転。
天狗鬼を葬り去るのでした。
次回は京都観光の仕切り直し。
ある場所で大はしゃぎします。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
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天元突破ISと同時
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土曜午前7時
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別の日時(後日再アンケート)