是非皆様のご協力をお願い致します。
これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第75話『………如何しても駄目か? 一夏?』
IS学園・剣道場………
「メエエエエェェェェェーーーーーーンッ!!」
気合の掛け声と共に、対戦相手から面を奪う箒。
「1本! それまで!!」
審判役の生徒がそう言うと、箒と対戦相手は向かい合う様に立ち直し、互いに礼をし合う。
「ふう………」
箒は大きく息を吐くと共に、面を取る。
そして頭に巻いていた面手拭いを取ると、長い黒髪が飛び出すが、そのまま汗を拭う。
「お疲れ、篠ノ之さん」
と其処へ、剣道部の部長が声を掛けて来る。
「あ、部長。お疲れ様です」
部長の姿を見ると、箒はペコリと頭を下げる。
「いや~、篠ノ之さんが練習に参加してくれる様になって、他の部員達もやる気が出て来てくれて助かってるわ」
「そんな、私は別に………」
幽霊部員だった事もあり、部長の言葉に若干気不味くなる箒。
「まあ、残ってる部員がそんなには居ないんだけどね………」
しかし、次の瞬間には寂しそうに剣道場を見遣る。
今剣道場を使用している生徒の数………即ち剣道部員の数は、両手の指で数えられそうな数だけだった。
剣道部に限った話ではないが、退学や転校する生徒が相次ぎ、必然的に部員の数も少なくなっているのである。
中には同好会に格下げされた部や、廃部となった部活まであるらしい。
更に主だった部活の大会も、中止や延期が相次いでいる始末である。
ロージェノム軍の侵略は、学生達の日常生活をも変えているのだ。
「心配は要りません。ロージェノム軍は必ず私達が倒します。そうすれば、去って行った生徒も戻って来るでしょうし、大会も再開されるでしょう。今はその日を目指して精進有るのみです」
落ち込む様子を見せる部長を、箒はそう励ます。
「箒ちゃん………ありがと~~~うっ!!」
余程感激したのか、部長は笑みを浮かべて箒へと抱き付く。
「うわっ!? ちょっ!? 止めて下さい!!」
姉の束に良く抱き付かれていた事を思い出す箒だが、身内である彼女と違って、相手は部活の部長の上に上級生。
迂闊に振り払う事も出来ず、されるがままな箒だった。
「そんな箒ちゃんに! 部長からのサプライズプレゼント!!」
と、不意に部長は箒から離れると、何やら封筒の様な物を取り出す。
「? 何ですか? コレは?」
「うふふ、開けてみて」
部長にそう言われて、箒が封筒の封を開くと、中に入っていたのは………
「アミューズメントパークの………ペアチケット?」
遊園地のペアチケットだった。
「そ! この御時世、営業を続けてる貴重なアミューズメントパークなんだ。織斑くんを誘って行ってきなよ」
「!? なっ!?」
部長の言葉に、箒は顔を真っ赤にする。
「な、何故一夏と何ですか!?」
「アレ? じゃあ、他に誰か一緒に行きたい人が居るの?」
「それは………」
そう言われると反論できない箒。
「織斑くんのあの唐変木ぶりは筋金入りよ。コッチからガンガン攻めて行かないと、振り向いて貰えないわよ」
「ガ、ガンガン………」
部長の言葉に、箒は違う何かを想像する。
「ま、精々他の子達に気付かれない様にしなさい。今の世の中、男も女も度胸が命よ」
「度胸が命………」
箒は知らず知らずの内に、貰ったチケットを握り締めるのだった。
その夜………
IS学園・学生寮………
一夏と神谷の部屋の前………
「…………」
箒は思い悩んだ顔で、一夏と神谷の部屋の前を行ったり来たりしている。
その手には、部活時に部長から貰ったチケットが有る。
「(度胸が命………)ええいっ!!」
やがて、意を決した様に部屋のドアをノックする。
「は~い」
部屋の中から呑気な声が聞こえて来たかと思うと扉が開き、部屋着姿の一夏が現れる。
「何だ、箒か。如何したんだ?」
「(ええい! 私の気も知らずに呑気そうにしおって!!)何だとは何だ。私がお前を尋ねてはイカンのか?」
内心でそんな理不尽な怒りを沸かせながら、一夏に向かってそう言う箒。
「いや、別に悪くはないけど………って言うか、何の用だ?」
「う、うむ………」
箒は一呼吸置いて落ち着きを取り戻すと、部屋の中を覗き込む。
其処には相部屋である神谷の姿は無く、一夏1人だけであった。
「1人か、一夏? 神谷は如何した?」
「アニキなら、シャルロットが料理部の活動でお菓子作ったらから、食べに来てって誘われて、シャルロットの部屋に行ってるよ」
(相変わらずのイチャつきぶりだな………)
内心神谷とシャルの事を羨ましがる箒。
「まあ良い。此処では何だ………部屋に入れて貰って良いか?」
「ああ、どうぞ」
箒がそう言うと、一夏は彼女を部屋の中へ誘う。
「一寸待っててくれな。今お茶淹れるから」
「べ、別に其処までしなくても良い!」
「遠慮すんなって」
箒を椅子に座らせると、一夏はそう言って簡易キッチンへと向かう。
「アイツめ………如何してそういう事“だけ”には気が回るんだ………?」
一夏に聞こえない様に、箒はブツブツと小声で不満を言う。
「お待たせ~」
程無くして、湯気の立つ湯呑みを2つ載せたお盆を持って、一夏が戻って来る。
「ホイ。熱いから気を付けろよ」
「子供じゃないんだぞ」
そう言いながら、自分の分の湯呑みを受け取ると、そのまま一口啜る箒。
「………うん、美味いな」
「そうか、そいつは良かった………」
一夏も、箒の向かいに腰掛けると、自分の分の茶を一口啜る。
「それで? 一体何の用なんだ? 箒?」
と其処で、一夏は改めて箒に訪問の理由を問い質す。
「う、うむ………その事なんだ………」
途端に箒は、頬を締めて動揺している様な様子を見せるが………
「ゴ、ゴホンッ!!」
咳払いを1つし、気持ちを落ち着かせる。
「い、一夏………今度の日曜は暇か?」
「日曜? いや、特に予定も無いから、修行をしようかと思ってたけど………」
「そ、そうか! な、ならば、その………」
そこで口籠る箒。
「? 如何したんだ?」
そんな箒の姿を、一夏は怪訝な目で見遣る。
「だから、その………ええい! 一夏!!」
とそこで箒は大声を挙げる。
「な、何だよ!?(何々だ!? 一体!?)」
突然怒鳴られた(と思った)一夏は、狼狽しながら箒の次の言葉を待つ。
「こ、今度の日曜は………わ、私と此処に行かないか!?」
箒はそう言うと、部長から貰ったペアチケットを一夏に見せる。
「? コレって………遊園地のチケット?」
そのチケットを手に取った一夏は、そう呟く。
「あ、ああ、そうだ………剣道部の部長がくれてな。無駄にするのも悪いと思ってな」
照れ隠しからかそんな事を言う箒。
「う~~ん、でもなぁ………もう少しでスーパーモードのコツが掴めそうな気がするんだよなぁ………悪いけど箒。友達とでも行ってくれよ」
しかし、空気の読めない一夏は、そんな言葉を箒に投げ掛ける。
「なっ!?」
途端に箒は愕然とする。
しかし………
(無理を通して道理を蹴っ飛ばせ!!)
其処で神谷が良く口にしている言葉が頭を過る。
(!? ええい! こんな時にアイツのアドバイスが浮かぶ事になろうとは!!)
こんな時に、まさか神谷の言葉が思い浮かぶとは思わなかった箒が、一瞬苦々しげな表情を浮かべながらも、それを実践に移す。
「一夏! あんまり根を詰めるのも良くないぞ! それでは修行の意味が無い!!」
「いや、ここんとこイマイチだったから、尚の事しようと思ってたんだけど………」
「ツベコベ言うな! 日曜は私に付き合え!!」
「んな無茶苦茶な!?」
強引に一夏を誘おうとする箒だが、一夏は譲らない。
(クッ! まだ駄目か!!………! そう言えば、以前虚先輩が………)
すると箒は、今度は虚が弾に頼み事をしていた時の光景に出会した事を思い出す。
(ええい! 一か八かだ!!)
そう思うと、不意に黙り込む箒。
「ん? 分かってくれたか?」
それを見てそう思う一夏だったが………
「………如何しても駄目か? 一夏?」
其処で箒は、潤んだ目で一夏の顔を上目遣いに覗き込んだ。
「!?」
箒の攻撃!!
上目遣いのお願い!!
急所に当たった!!
効果は抜群だ!!
「わ、分かった………良いよ」
「! 本当か!?」
「あ、ああ………(其処までされちゃあ、断れないよなぁ)」
箒に返事をしながら、内心でそう思う一夏。
「うむ! では、今度の日曜日、駅で待ち合わせだ! 良いな!!」
「ああ、分かったよ………」
箒はその後も、予定を2、3話すと、一夏の部屋から出る。
「では、一夏………日曜日を楽しみにしているぞ」
「ああ、おやすみ、箒」
そう言って、一夏は扉を閉める。
「…………」
箒は平静を装い、一夏の部屋の前から離れて行く。
「…………」
しかし、徐々にその足が速まって行く。
「…………」
そしてとうとう『走る』というスピードに到達したかと思うと………
「いやったぞおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
歓声と共に跳び上がり、ガッツポーズを取った。
「遂に! 遂に! あの一夏を!! デ、デ、デ………デェトに誘ったぞ!! いやったあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
キャラ崩壊かと思われる程に舞い上がっている箒。
すると………
「………何やってんだ? お前?」
「!?」
突然声を掛けられて、箒は固まる。
ギギギギギギッ、と油の切れた機械の様な不協和音を立てて声のした方を見遣ると、其処には………
怪訝な顔をして立っている神谷の姿が在った。
「か、かかかかか、神谷!?」
「………箒」
と、其処で神谷は、真剣な顔をして箒の両肩を摑む。
「オメェも色々と苦労する事が有んだろう………何か有ったら、遠慮無くリーダーである俺に相談しろ。俺じゃ話し難かったらシャルにでも良い。兎に角………あんまり思い詰めるなよ?」
コレまでに聞いた事の無い、優しい………と言うより、気を遣っているかの様に言う神谷。
如何やら、所謂その………
頭が、『アレ』になったと思われた様だ。
「!?~~~~~っ!!」
箒は羞恥の余り、一瞬で完熟トマトの様に真っ赤になる。
「う、うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
そして神谷を振り解くと、目から光るモノを撒き散らしながら、走り去って行った。
「ア! オイ!………何なんだ? アイツ?」
全くワケが分からない箒の態度に、神谷は益々怪訝な顔をする。
「ま、いっか。アイツも色々有んだろう………それよりも日曜に備えねえとな」
と神谷はそう言うと、自室へと戻って行くのだった。
◇
そして迎えた日曜日………
IS学園近くの街の駅………
(す、少し早く来過ぎてしまったか!?)
約束の時間より1時間も早く待ち合わせ場所に来てしまった箒が、時計を見ながら高鳴る胸の鼓動を必死に抑えに掛かっている。
(お、落ち着け! 落ち着くのだ、篠ノ之 箒!! お前は自分を誰だと思っているのだ!?)
必死に自分を落ち着かせようとしている箒。
何時もよりめかし込んでおり、普通ならばナンパな奴に声を掛けられてもおかしくはないのだが、彼女から立ち上っている奇妙なオーラが、ナンパ野郎を寄せ付けなかった。
「(そうだ! こう言う時は深呼吸だ!!)スーーーーーーーッ!!」
と其処で、箒は深呼吸をしようと思いっ切り息を吸い込む。
「!? ゲホッ!! ゴホッ!! ガホッ!?」
しかし、吸い過ぎたのか、逆に咳き込んで噎せてしまう。
(し、しまった!! 何たる不覚! い、息が………)
そのまま酸欠へと陥って行く。
「オイ、箒! 大丈夫か!?」
と其処で、そんな声と共に箒の背中が擦られる。
「!! ハア………ハア………」
其処で箒は漸く落ち着きを取り戻し、乱れた息を整える。
「落ち着いたか? 箒?」
背を擦った人物………私服姿の一夏は、箒にそう尋ねる。
「あ、ああ、一夏………すまない………助かった………」
「大丈夫か? 調子が悪いんなら、今日はもう帰った方が………」
箒の身を心配し、そう言う一夏だったが、
「いや! 大丈夫だ! 何の問題も無い!!」
その言葉を聞いた途端、中止になぞされて堪るかと言う様に、箒はそう捲し立てる。
「そ、そうか? ホントに大丈夫か?」
「大丈夫だ! 問題無いと言っている!! さあ、行くぞ! 一夏!!」
コレ以上何か言われる前に、箒は一夏の手を取って、駅のホームへと向かう。
「ちょっ!? ちょっと待てって、箒!! 切符買わないと!!」
引っ張られながらそんな事を言う一夏であった。
アミューズメントパーク行きの電車の中………
休日と言う事も在ってか、電車の中は混雑しており、一夏と箒はドアから直ぐの場所に立っている。
「ほ、箒………大丈夫か………?」
「な、何とかな………」
アチラコチラから押されて、少々窮屈な思いをしている一夏と箒。
すると………
その満員の乗客の中から、スーッと手が伸びて来て、箒の尻に向かう。
痴漢だ。
「クッ、う………」
箒は満員電車の乗客に圧迫され、気づいていない。
(うふふふふ………)
伸ばしている手の主である中年親父は、脂ぎった笑みを浮かべて、遂に箒の尻に手を伸ばす。
が、次の瞬間!!
ガッ! と足が伸びて来て、痴漢の手を蹴り飛ばす。
(ガッ!? この………!!)
蹴って来た相手を睨み付けようとした中年親父だったが………
「…………」
その視線よりも鋭い視線を、蹴った主………一夏は中年親父に向けた。
(ヒイッ!?)
その視線を浴びた中年親父は、乗客の犇めく車内を無理矢理移動して、逃げる様に去って行く。
(全く………)
「ん? 一夏? 如何かしたか?」
「いや、何でも無いよ、箒」
一夏の様子に気付いた箒が声を掛けて来るが、一夏は心配させまいとそう言う。
「そうか………!? うわっ!?」
と其処で電車が大きく揺れ、箒は乗客の圧力に押し潰されそうになる。
「! 箒!」
すると、一夏は見かねたのか、箒の傍へ移動すると箒をドア側へ移動させ、自分が間に入り、ドアに手を付いて、箒を乗客から守る様にする。
「! 一夏!」
「これぐらい男として当然だよ。な~に、鍛えてるから如何って事無いさ」
驚く箒に、一夏は笑いながらそう言う。
「す、スマン………」
必然的に一夏と密着する形となった箒は、赤くなって縮こまってしまう。
(ん? 何か良い匂いが………)
と其処で、一夏が何やら良い匂いが漂って来るのを感じる。
(箒から?………香水か?)
やがてその匂いの発生源が箒である事に気付き、香水かと推測する。
(良く見ると………箒の奴………化粧してるのか?)
そして箒を良く観察していると、薄くだが化粧をしている事に気付く。
途端に、箒の事が眩しく見えてくる一夏。
(ア、アレ!? 何だ!? おかしいぞ!? 何か急に動悸が早く………)
自分で分からないまま、動悸が早くなり、頬が紅潮する。
(マズイ! 箒の顔………真面に見れない!)
そんな顔を箒に見せるワケには行かず、顔を背ける一夏。
「…………」
しかし、箒の方も箒の方で、赤くなって縮こまっていた為、そんな一夏の様子に気付く事は無い。
「「…………」」
結局、アミューズメントパークの最寄駅に着くまでの間………
2人は互いに赤面したまま顔を背け合い、一言も会話を交わさなかったのだった………
アミューズメントパーク………
そんなこんな有りつつも、漸くアミューズメントパークへと到着した。
「つ、着いたな………」
「そ、そうだな………」
先程の電車での事が頭から離れないのか、何処かぎこちない2人。
園内は、数少ない営業を続けているアミューズメントパークと言う事もあってか、人でごった返している。
家族連れの他に、デートと思われる若い男女の姿も在る。
(や、やはり、カップルで来ている者達も居るのだな………私と一夏もそういう風に見えるのだろうか………そ、その………カ、カップルに………)
心の中で1人悶々とした思いを抱える箒。
「………き………うき………箒!」
「!?」
そこで一夏の声が聞こえて来て、箒はハッとする。
「さっきから呼んでたのに………如何したんだ?」
怪訝そうな顔で、一夏が尋ねて来る。
「い、いや! 何でも無い! 少し考え事をな………」
少々強引に誤魔化す箒。
「そうか………ま、いっか。じゃ、箒。最初は何に乗る?」
そんな箒に少々疑問を抱きながらも、一夏はそう尋ねる。
「そ、そうだな………」
そう言われて箒は、園内を見回す。
「あ、アレなんか如何だ!?」
そう言って箒が指差したのは………
ジェットコースターだった。
「ジェットコースターかぁ………まあ、定番だな」
「行くぞ、一夏」
「ああ………」
2人はそのまま、ジェットコースターの方へと進んで行くと、並んでいる人達の列へと入る。
そして暫し時間が経ち、2人の順番が回って来る。
幸か不幸か、一夏と箒が座らされた席は………
最前列だった。
「よりによって最前列か………」
「何をだらし無い事を言っている、一夏。こんな物、ロージェノム軍との戦いに比べれば、何て事は無いだろう?」
若干ビビッている様子を見せる一夏に、箒がそう言う。
「そういう怖さとは、別のベクトルの怖さなんだよなぁ。こう言うのは………」
「ええい! 言い訳をするな! それでも男か!?」
若干煮え切らない一夏の態度に、箒は思わず怒鳴る。
[発車致しま~す!]
と其処で、係員からのアナウンスが響いたかと思うと、コースターが動き出した。
「うおっ!? いよいよか………」
一夏がそう呟く中、コースターはガタゴトと音を立ててレールを登って行く。
「結構高いなぁ………」
最初の落下の為の山が高い事に、一夏がそう言う。
「…………」
箒も緊張して来たのか、黙り込んでしまう。
そして遂に、コースターはスタート用の山を登り切り、いよいよ自由落下へと入ろうとする。
「「…………」」
目の前のバーを握り、息を呑む2人。
その次の瞬間!!
遂にコースターは自由落下を開始する!!
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」
「キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」
悲鳴を挙げる2人。
しかし、コースターは無情にもドンドンとスピードを上げて行くのであった………
数10分後………
「ゼエ、ゼエ、ゼエ………箒………大丈夫か?」
「ハア、ハア、ハア………何とかな………」
漸くジェットコースターから降りた2人は、早くもヘトヘトになっている。
「まさか宙返り100連発なんて物があるとは思わなかった………」
「未だに天地が引っ繰り返っている様な気がする………」
此処のジェットコースターには何と!
宙返り用のループが100個連続で備え付けられており、その100回転を味合わされた一夏と箒は、心身共に疲労していた。
「にしても………ふふふ」
「? 何だ? 急に笑って?」
「いや~、まさか箒があんな可愛い悲鳴挙げるとは思わなかったからさ」
「なっ!?」
最初の自由落下の際に思わず挙げてしまった悲鳴を思い出し、箒は赤面する。
「わ、忘れろぉっ! 忘れるんだぁっ!!」
箒は思わず、一夏の記憶を消そうと、両手で頭を押さえて握り潰そうとする。
「イダダダダダダダッ!? 潰れる! マジ潰れるって! トマトみたいに!!」
堪らず悲鳴を挙げる一夏だが、箒は一夏の頭を離そうとしない。
(マ、マズイ!? 意識が………)
段々と意識が遠くなって行く一夏。
今までの思い出が、走馬灯の様に脳裏を過り始める。
すると其処で………
ある1つの思い出が頭に浮かんだ。
「ア、アレッ!? そう言えば、箒!! 前にも1度遊園地に行った事無かったっけ!?」
「えっ!?」
その台詞で、箒は漸く一夏を解放する。
「ハア! ハア! 助かった………」
「前にも………1度だと?」
「ああ、確か………箒が転校する少し前位じゃなかったかな?」
「転校する少し前………」
そう言われて箒は、記憶を思い起こす。
そして箒の脳裏に、ある1つの思い出が浮かぶ。
「! そう言えば………前に1度、一夏と私………そして姉さんと千冬さん。そして神谷と一緒に」
「そうそう。いや~、俺もすっかり忘れてたけど、今思い出したよ」
懐かしそうな顔で語り出す一夏。
「確かあの時………箒が迷子になったんだけど、自分が迷子じゃないって意地張って、迷子センターに行かなかったんだよなぁ。園内放送で呼び掛けても無視してさ」
「う、煩い! 私が迷子になったのではない! 一夏達が迷子になったんだろう!?」
恥ずかしい思い出を穿り出され、箒は赤面しながら怒鳴る。
「オイオイ、未だ言うのかよ………あの時は見付けるのに苦労したんだぜ?」
「!!」
と其処で、箒は再び思い出す。
迷子になった自分を最初に探し出してくれたのが、一夏だった事を………
「そう言えば………あの時、最初に見付けてくれたのはお前だったな………」
「ああ………何度放送で呼び出しても来ないから、アニキが痺れを切らせて探しに出ちまったから、俺もそれに続いてさ」
「…………」
箒は、段々とその時の事を鮮明に思い出す。
自分を見付け出してくれた一夏に、箒はプライドから余計な事を怒鳴ってしまっていた事を………
(でも、本当は………嬉しかった………寂しくて寂しくて………泣き出しそうだった時に………一夏は現れた………)
段々と頬が紅潮して行く箒。
「………その………一夏」
「ん?」
「あの時は言えなかったが………ありがとう、見付けてくれて」
紅潮した表情のまま、箒は一夏にそう言う。
「! お、おう………」
そんな箒の姿を見た一夏に動揺が走る。
(ま、まただ………また動悸が早く………何なんだよ、コレ………)
原因不明の症状に襲われ、内心で若干焦る一夏。
彼がその症状が何なのか知る日は来るのだろうか?
「じ、じゃあ箒! 次のアトラクションに行くか!?」
「う、うむ………」
一夏がそう言って立ち上がると、箒も続いて立ち上がり、次のアトラクションに向かって行くのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
この作品ももう1組の注目カップル、一夏と箒のデート回です。
スーパー朴念仁一夏とツンデレ箒の組み合わせ………
その様子はご覧の通りです。
しかし、今回で大分接近したのも事実。
次回は彼等も合流して、更に波乱が………
アンケートなのですが、漸く新作の新サクラ大戦×ウルトラシリーズが形になってきまして………
タイトルは『新サクラ大戦・光』です。
そろそろ投稿開始しようかと思うのですが………
この天元突破ISは過去作を再投稿している状態なので、新作の方と同時投稿する事が出来ます。
しかし、1度に2作品読むのは大変かなと考え、新作の方は別の日に投稿する方が良いかなと思いまして、皆様にアンケートを取らせて頂きます。
因みに、別の日の場合、天元突破ISの1日前の土曜日、時間は同じ午前7時としようかと思います。
もしその外に日時が良いと言う意見が多かった場合は、再度アンケートを行います。
ご協力の程、よろしくお願い致します。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
-
天元突破ISと同時
-
土曜午前7時
-
別の日時(後日再アンケート)