天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

76 / 137
第76話『誰がニセモンだぁ、コラァッ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第76話『誰がニセモンだぁ、コラァッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひょんな事から剣道部の部長より、アミューズメントパークのペアチケットを貰った箒。

 

部長の励ましも有り、箒は有りったけの勇気を振り絞って、一夏をデートへと誘った。

 

そして迎えたデート当日………

 

道中から何とも甘酸っぱい青春を繰り広げながら、一夏と箒は順調にデート(一夏がそう思っているかは怪しいが)を楽しんでいる。

 

懐かしく大切だった思い出も互いに思い出せ、今のところは順調だった。

 

しかし………

 

その後2人のデートは、思わぬ方向へと進む事になる………

 

 

 

 

 

アミューズメントパーク・園内某所………

 

「美味いなぁ、このソフトクリーム」

 

「うむ………」

 

売店で購入したソフトクリームを、ペロペロと舐めている一夏と箒。

 

「あ、箒」

 

「? 何だ?」

 

「クリーム着いてるぞ」

 

突然話し掛けられて、箒が一夏の方を向くと、一夏は箒の口の端に着いていたクリームをヒョイッと指で掬い、自分で舐める。

 

「!?!?!?」

 

「子供みたいだったな………って? 如何した? 顔真っ赤だぞ?」

 

一瞬で茹蛸の様になる箒に向かって、一夏はいけしゃあしゃあとそう言い放つ。

 

「~~~~っ!! お前はぁっ!!」

 

その態度に怒った箒は、持っていたソフトクリームを、一夏の顔に叩き付ける。

 

「ブッ!? な、何だよ、箒ぃ。何怒ってんだ?」

 

「フンッ!!」

 

箒はそのまま、そっぽを向いてしまう。

 

「あ~あ、勿体無い………」

 

そして一夏は、顔に着いたクリームを手で掬っては舐めて行くのだった。

 

 

 

 

 

その後、顔を洗ってスッキリした一夏は、箒と共にアトラクション巡りを再開する。

 

コーヒーカップで、どちらがより長く回転に耐えられるか勝負し、終了後2人仲良く(自主規制)したり………

 

回転ブランコで、ISとは違う空を飛ぶ様な感覚を体験し………

 

「次はアレなんて如何だ? 箒?」

 

ふと其処で一夏が指差したのは、メリーゴーランドだった。

 

「ば、馬鹿者! あんな物に乗れるか!?」

 

本当は乗ってみたい箒だが、プライドからそう言ってしまう。

 

「ええ、そうか? 結構楽しいと思うぞ?」

 

「お、男のクセに! メリーゴーランドに乗りたいのか!? お前は!?」

 

「まあまあ、そんな事言わず、物は試しで」

 

「あ! オイ! 引っ張るな!!」

 

一夏はそう言うと箒を引っ張って、半ば強引にメリーゴーランドへと連れて行くのだった。

 

 

 

 

 

「お~! 結構動くなぁ?」

 

「…………」

 

呑気にしている一夏に対し、箒は真っ赤になって縮こまっている。

 

何故なら、メリーゴーランドは混み合っており、一夏と箒は、2人で1つの木馬に跨る事になってしまったからだ。

 

具体的に言うと、箒が前に乗り、それを後ろから一夏が抱えていると言う状況である。

 

(死、死ぬ! 死んでしまう!!)

 

恥ずかしさの余り、箒の頭からは湯気が噴き出す。

 

「アハハハハ! 楽しいなぁ、箒」

 

しかし、そんな箒の様子等気付かずに一夏は楽しんでいる。

 

………爆発しろ。

 

暫くして、メリーゴーランドは停止。

 

2人は係員の誘導に従って、出口から出て行く。

 

「結構面白かったなぁ、箒」

 

「…………」

 

箒に向かってそう言う一夏だが、箒は真っ赤になったまま沈黙している。

 

「? 箒? 如何したんだ?」

 

「………お前のそう言う所が恨めしい」

 

「??」

 

箒の言葉の意味が分からず、首を傾げる一夏だった。

 

と其処で、子供のものと思しき歓声が聞こえて来る。

 

「?」

 

「何だ?」

 

箒と一夏が、その歓声の聞こえて来た方向を見遣ると、其処には………

 

日曜日の朝に活躍していそうな恰好をした連中が、子供達相手に握手をしていた。

 

「ハハハハハッ、ありがとう」

 

「俺達のショーはこの後直ぐにステージでやるからな。見逃すんじゃないぞ!」

 

黄色の女戦士と、青の男戦士が子供達にそう言う。

 

如何やら、ヒーローショーの宣伝らしい。

 

「へえ~、ヒーローショーもやってるのか………」

 

(やはり一夏も男だな………)

 

興味津々な一夏と、そんな一夏を見遣る箒。

 

すると………

 

「偽物だーーーーっ!!」

 

突如、1人の男の子がそう声を挙げた。

 

「このレッドに入ってる奴、本物じゃないぞぉ! 見たもん俺! 隙間から見えた目、違う奴のだったもん!!」

 

如何やら、覗き穴からスーツアクターの姿が見えてしまい、偽物だと言っている様である。

 

「むっ?」

 

「アチャ~、最近ああいう生意気な子供増えたよなぁ~」

 

その様子に箒は不快感を表し、一夏は苦笑いする。

 

「嘘ぉ………嘘だろ、兄ちゃん」

 

と、その男の子の隣に居た、その男の子の弟が泣き出し始める。

 

「バッカ、一弘! 俺見たもん!!」

 

しかし、兄は構わずそう言い張る。

 

すると………

 

「誰がニセモンだぁ!?コラァッ!!」

 

赤い男戦士が、その男の子に向かって怒鳴った!!

 

「!?」

 

「えっ!? あの声………」

 

すると箒と一夏は、その声に聞き覚えを感じる。

 

「見ろ! 弟泣いてるじゃねえか!! オメェ兄貴だろ!? 兄貴だったらなぁ!! 弟の夢、壊すんじゃねぇ!!」

 

「「…………」」

 

男の子と弟、そして他の子供達とその保護者達も、突如豹変した赤い男戦士に目が点になっている。

 

「だ、駄目っすよ、アニキ………じゃなかった! レッド!!」

 

「お、落ち着いて! 神谷………じゃない! レッド!!」

 

それを見て青の男戦士と黄色の女戦士が、赤い男戦士を止めに掛かる。

 

「ウルセェッ!!」

 

しかし、赤い男戦士は収まらない。

 

遂には園内のスタッフまでもが寄って来て、赤い男戦士を引っ張って行ったのだった。

 

「…………」

 

「な、なあ、箒………さっきの赤いヒーローの声って………」

 

「馬鹿な! そんな事が有る筈が無い!!」

 

一夏が何か言う前に否定する箒。

 

「いや、でも………アレは確かに、アニキだった気が………」

 

しかし、一夏は重ねてそう言う。

 

「だとしても! 何故神谷があんな格好をして! こんな場所に居るのだ!?」

 

「いや、分からないけど………俺ちょっと行って来る!!」

 

しかし、一夏は如何しても気になったのか、赤い男戦士が連れて行かれた先へ向かう。

 

「オイ! 一夏!! クウッ!!」

 

仕方無く、箒もその後に続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アミューズメントパーク・ステージ横の控室………

 

「ったく! 最近のガキは可愛気が有りゃしねえ!!」

 

ヘルメットを脱いだ赤い男戦士………神谷が愚痴る様にそう言う。

 

「だからって、ムキになり過ぎだよ、アニキ」

 

「そうそう。子供達、ビックリしてたよ?」

 

同じ様にヘルメットを脱いでいる青の男戦士と黄色の女戦士………弾とシャルが、そんな神谷にそう言う。

 

「だってそうだろ!? 態々ニセモンだなんて抜かしやがって! それでも兄貴か!?ってんだよ!!」

 

未だ怒りが収まっていない様子の神谷だったが………

 

其処で控室の扉がノックされた。

 

「あ、ハイ。どうぞ」

 

「失礼します………」

 

シャルが返事を返すと、恐る恐ると言った様子で一夏が入って来る。

 

「一夏!?」

 

「あん? 一夏?」

 

弾が驚きの声を挙げ、神谷も出入り口を見遣る。

 

「アニキ! やっぱりアニキだったんだ! それに、弾にシャルロットまで!?」

 

一夏も、神谷達の姿を認めて驚きの声を挙げる。

 

「…………」

 

その後ろでは、デートを中断された箒が、不機嫌そうな様子で立っている。

 

「如何して、一夏が此処に居るの?」

 

其処でシャルが、一夏にそう尋ねる。

 

「ああ。箒の奴が、剣道部の部長から此処のチケット貰ってな」

 

(((成程、そう言う事か………)))

 

一夏の言葉と、その後ろで不機嫌そうにしている箒の姿を見て、察しが付く神谷達。

 

「其れで、アニキ達は如何して此処に? しかも、そんな格好して」

 

「ああ。実は俺は、此処のヒーローショーを取り仕切ってる剣友会の会長とちょいとした縁が有ってな………」

 

神谷によると、大事な番組の収録と今回のヒーローショーの日程が重なってしまったらしい。

 

しかも、主力の殺陣師達は番組の方へ行ってしまうので、ヒーローショーの方が人手が足りなくなる。

 

其処で会長は、高い身体能力を持ち、顔見知りである神谷に、ヒーローショーのスーツアクターの代役をしてくれないか?と依頼して来たのだ。

 

そんな面白そうな話に、神谷が飛び付かない筈も無く、知り合いのピンチと在って了承。

 

今回のヒーローショーは、所謂戦隊系のショーだった為にシャルや弾にも声を掛け、人数を揃えたのである。

 

「そうだったのか………」

 

「いや、ビックリしたぜ。アニキから話を振られた時には、最初冗談かと思ったよ」

 

「ホント、流石に予想外だったよ」

 

青い戦士のスーツに身を包んだ弾と、黄色い戦士のスーツに身を包んだシャルがそう言う。

 

「ハハハハハハッ! 良い経験だろ!?」

 

そんな2人に、赤い戦士のスーツに身を包んだ神谷は、呵々大笑しながらそう言う。

 

「まあ、確かにね」

 

「寧ろ俺は嬉しいッスよ。まさか、自分がTVのヒーローに成れるなんて思ってもいなかったからな」

 

「良いな~、3人共………」

 

そんな3人の様子を羨ましがる一夏。

 

「…………」

 

その後ろでは、箒が相変わらず不機嫌そうに立っている。

 

と、その時………

 

「皆! 大変よ!!」

 

そう言う台詞と共に、舞台袖へ続く方の扉が開き、まるで司会のお姉さんの様な格好をした虚が姿を現す。

 

「虚さん!?」

 

「先輩!?」

 

普段の彼女からは想像も出来ない格好で現れた彼女に、一夏と箒は驚きの声を挙げる。

 

「えっ!? 一夏くん!? 箒さん!? 如何して此処に!?」

 

虚の方も、何故か居る一夏と箒の姿を見て驚く。

 

「如何したんですか?虚さん」

 

と其処で、弾が先に虚の要件から聞こうとする。

 

「ああ、そうだった………今連絡が有って、敵の幹部役の人達が途中で事故に遭って、来れないそうです!」

 

「!? んだと!?」

 

「そんな!?」

 

虚からの報告を聞いた神谷とシャルが、驚きの声を挙げる。

 

「ヤバイぞ! 今からじゃ、代役の人を呼んでも間に合わない!!」

 

「如何しましょう………子供達、皆楽しみに待ってくれてるのに………」

 

弾は慌て、虚はショーを楽しみに待っていてくれている子供達に申し訳なく思う。

 

「クソッ! アクションが出来る男と女が1人ずつ居りゃあ………」

 

と神谷はそう言った瞬間、一夏と箒に目を向けた。

 

「えっ? ア、アニキ?」

 

「お前………まさか………?」

 

一夏と箒が嫌な予感を感じた瞬間!

 

「一夏! 箒! お前等、敵の幹部役で出ろ!!」

 

「「やっぱりー!!」」

 

神谷は2人に向かってそう言って来た。

 

「馬鹿も休み休み言え!!」

 

「そうだよ、アニキ! いきなり役者の真似事なんて………出来るワケないよ!!」

 

相変わらずの神谷の無茶振りに、箒と一夏は戸惑う。

 

「大丈夫だ! ヒーローショーだから、アクションが出来りゃ問題はねえ! 台詞はアドリブで構わねえ!!」

 

「無茶苦茶だ!」

 

「ウルセェッ! 無理を通して道理を蹴っ飛ばせ! 其れがグレン団のやり方だ!!」

 

「俺からも頼む! 一夏!!」

 

「箒さん! お願い!!」

 

すると其処で、弾とシャルも頭を下げて来る。

 

「弾!?」

 

「シャル!?」

 

「一夏くん! 箒さん! 私からもお願いします!! 子供達の為にも!!」

 

更に、虚も頭を下げて来る。

 

「うっ!?」

 

「うう………」

 

親友達に揃って頼まれ、首を横に振れる程、一夏と箒は薄情では無かった。

 

「わ、分かったよ………」

 

「クッ! 何で事に………」

 

「すまねえ、一夏!」

 

「ありがとう! 助かるよ、箒さん」

 

渋々ながらも承諾した一夏と箒に、弾とシャルが感謝する。

 

「よっしゃあ! 時間がねえ!! 早速稽古だ!!」

 

すると神谷は、2人を引っ張り稽古へと向かう。

 

「ちょっ!? アニキ!!」

 

「そんなに引っ張るな!!」

 

一夏と箒の抗議も聞かず、神谷は稽古へと向かうのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アミューズメントパーク・ステージ………

 

「よし、神谷くん。先ずは司会者が子供達にヒーローを呼ぶ様に呼び掛ける。そしたら、幹部達と怪人、戦闘員が出て来てアクションを見せる。そして、客を襲おうとするところで、神谷くん達が其々の場所から現れて名乗りとポーズを決めるんだ」

 

「おう!」

 

殺陣師からのアクションの流れの説明を受けている神谷。

 

「弾くんは中段の左側から。シャルロットちゃんは中段右側から登場してくれ」

 

「ハイ!」

 

「分かりました!!」

 

弾とシャルも、元気良く返事を返す。

 

「虚ちゃん。準備は良いかい?」

 

「ハイ。何時でも行けます」

 

司会の進行表を頭に叩き込んでいた虚が、殺陣師の呼び掛けにそう答える。

 

「良し! 悪役も準備は良いかな?」

 

「あ、えっと………」

 

そう言われて曖昧に返事を返す一夏。

 

今彼は黒い鎧を着た騎士の様な、悪の男幹部の衣装に身を包んでいる。

 

傍には戦闘員達と、怪人の着ぐるみが控えているが、女幹部………箒の姿が無かった。

 

「アレ? 一夏くん。箒ちゃんは?」

 

「それが………」

 

一夏が申し訳無さそうに背後の舞台袖を振り返る。

 

「…………」

 

其処には、半分隠れる様にコソコソとしている箒の姿が在った。

 

「箒ちゃん? 如何かしたのかい? 衣装が合わなかったかい?」

 

「い、いえ………そ、そう言うワケではないんですが………」

 

殺陣師の問い掛けに、箒は吃りながら返事を返す。

 

「じゃあ如何したんだい?」

 

「そ、其れは………」

 

「オイ、コラ!! 何やってんだ!? ショーまで時間ねえんだぞ!? とっとと出て来い!!」

 

と、痺れを切らした神谷が舞台袖に行くと、箒の手を取り無理矢理引き摺り出す。

 

「ま、待てっ………!!」

 

箒がそう叫んだ時には、その姿が完全に露わになる。

 

彼女は今、まるでビキニアーマーの様な露出の高い衣装………悪の女幹部の衣装に身を包んでいた。

 

「うわぁ………」

 

その姿に、シャルが思わず頬を赤らめる。

 

「………!!」

 

一夏も無言で目を逸らす。

 

「こ、この衣装は如何にかならないんですか!? ろ、露出が多過ぎます!!」

 

箒は茹蛸の様に真っ赤になりながら、殺陣師にそう訴え掛ける。

 

「そう言われても困るなぁ………其れは女幹部の正式な衣装だし」

 

「そうだぜぇ、篠ノ之さん。今時其れぐらい普通だぜ」

 

殺陣師がそう言うと、弾からもそう言う声が飛ぶ。

 

「し、しかしだなぁ………」

 

「何色気付いてんだ。見せる相手はガキだぞ。其れともオメェ………まさかショタコンの気でもあんのか?」

 

尚も渋る箒に向かって、神谷がそんな事を言い放つ。

 

「! 貴様ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

其れを聞いた箒は、衣装に付けられていた女幹部用の武器である鞭を手に取り、神谷に向かって振るう。

 

「おっと!」

 

難無く其れを躱す神谷。

 

「ええい! 避けるな!!」

 

「ハッ! ホッ! よっと!!」

 

そのまま連続で鞭を振るう箒だが、神谷はアクロバティックな動きを繰り返して躱し続ける。

 

「おおっ! 良いアクションだ! 箒ちゃんの方は表情の演技も抜群だ!! コリャ行けるよ!!」

 

その光景を見ていた殺陣師が、そんな歓声を挙げる。

 

(だ、大丈夫なのかな………?)

 

只1人、一夏だけが不安を抱えている。

 

程無くして、神谷と箒のコントの様な遣り取りが終わると、殺陣師は更に演技指導を続ける。

 

神谷を除いたメンバーは、スーツアクターと言う慣れない事に悪戦苦闘しながらも、やはり実戦経験が働いたのか、みるみる上達を見せた。

 

「よおし、良いぞ! 其れじゃあ、1回通しでやってみようか!?」

 

と、殺陣師がそう言い、一夏達は本番前の通し稽古を開始する。

 

 

 

 

 

通し稽古開始………

 

「皆~! こんにちは~!!」

 

「「「「「こんにちは~」」」」」

 

司会のお姉さん役の虚が、客席に座っている子供の役をやっているスタッフに向かって、マイクを片手にそう呼び掛ける。

 

「う~ん、ちょっと声が小さいかな? もう1度元気な声で! さん、ハイ!!」

 

「「「「「こんにちは~!!」」」」」

 

虚がそう言うと、スタッフ達は先程より大声で挨拶する。

 

「は~い、皆とっても元気ですね~。其れじゃあ早速! 僕達のヒーローを呼んでみよう~!!」

 

続いて虚は、ヒーロー達への呼び掛けを始める。

 

しかし、流れて来たのは禍々しいBGMだった。

 

「フンッ! 愚かな人間共め!! こんなくだらぬ遊戯施設で楽しい思いをしているなど、馬鹿馬鹿しいにも程が有る!!」

 

そして若干棒読み気味ながら、男幹部役の一夏がステージに現れる。

 

「よおく聞け! 今から此処は我等が占領する! 貴様達は全員我等の奴隷となるのだ!!」

 

続いてそう言う台詞と共に、女幹部役の箒が現れる。

 

そして、ステージの彼方此方から戦闘員がアクロバティックな動きで飛び出して来ると、最後に怪人が現れる。

 

「やれ! この世を暗黒に染めるのだ!!」

 

と、一夏がそう叫んだ瞬間!!

 

「そうはさせないぜ!!」

 

そう言う声が響き渡ったかと思うと、ステージの彼方此方からスモークが噴き出す。

 

そして、ステージ中段の左側から弾の扮する青い戦士

 

右側からはシャルの扮する黄色い戦士。

 

最後に、ステージの最上部より、神谷の扮する赤い戦士が現れる!!

 

「コレ以上! オメェ達の好きにはさせねえぜ!!」

 

「現れたな、邪魔者共! やれいっ!!」

 

神谷がそう言い放つと、箒がそう言って床に鞭を打つ。

 

途端に、戦闘員達がイーッ!とかキーッ!という奇声を挙げながら神谷達に襲い掛かって行く。

 

「行くぜっ! トオォッ!!」

 

「トオウッ!!」

 

「ハアッ!!」

 

気合の掛け声と共に、上段、中段から飛び降りる神谷達。

 

「ソイヤッ! ソイヤッ!!」

 

「チュウッ! チュウッ!!」

 

「ハイッ! ハイヤッ!!」

 

そのまま、戦闘員達を相手に大立ち回りを演じ始まる。

 

時折間を置き見得を切ったり、本当に攻撃が入った様に見えるアクションは大迫力である。

 

「ええい! 行けぃっ!!」

 

シャギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!

 

と、その様子に一夏が苦々しげな顔をすると、今度は怪人を神谷達に嗾ける。

 

「うおっ!?」

 

「くうっ!?」

 

「キャアッ!?」

 

怪人相手に苦戦………する演技をする神谷達。

 

「大変! 皆ー!! 一緒にヒーロー達を応援しようー!! せーの!!」

 

「「「「「頑張れー!!」」」」」

 

そこで虚が客席に向かってそう呼び掛けると、観客役のスタッフがそう声を挙げる。

 

「! 聞こえるぜ! 皆の応援がよぉ!!」

 

「力が漲って来た!!」

 

「行っくよーっ!!」

 

途端に主題歌が掛かり、神谷達は息を吹き返した様に怪人を押し始める。

 

「「「トドメだ!!」」」

 

そして遂に、必殺技が放たれ、怪人が爆発を上げて、スモークに紛れて退場用の出入り口に消える。

 

「ぬうっ! オノレェ! またしても!!」

 

「覚えていろ!!」

 

一夏と箒も悔しそうな顔をしながら、舞台袖へと消えて行く。

 

そして神谷達は、ステージの中央に陣取り、其々に決めポーズを決める。

 

「カットッ!! 良いね~! 最高だよ!!」

 

と、そこで殺陣師からカットが掛かり、拍手をしながら舞台袖から現れる。

 

「いや、素晴らしいよ、君達! まるでプロの様なアクションだったよ! 是非、ウチに欲しいくらいだよ!」

 

「まあ、其れ程でも有るけどよぉ」

 

手放しで神谷達を褒める殺陣師と、それを受けて若干調子に乗る神谷。

 

「よし! 後は本番に備えるだけだ!! 今みたいな調子で頼むよ!!」

 

「任せとけって! 良いか、お前等!! 絶対に成功させんぞ!!」

 

「おう!」

 

「勿論!」

 

「頑張りましょうね!」

 

神谷の呼び掛けに、弾、シャル、虚は威勢の良い返事を返す。

 

「うう~、緊張して来た~」

 

「…………」

 

一夏は緊張の様子を見せ、箒はまだ羞恥で顔を赤く染めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして………

 

客席の入場が開始され、子供達とその保護者が次々に集まって来る。

 

満席になった客席で、子供達はショーの始まりを今か今かと待っている。

 

 

 

 

 

ステージ裏………

 

「ふ~~………やっぱ怪人の着ぐるみはキツイな~」

 

怪人役のスーツアクターが、スーツを脱いで待機している。

 

「でも、子供達が楽しみにしてるし………頑張らないとな」

 

やがて気合を入れると、怪人のスーツを着込もうとする。

 

と、その時!

 

スーツアクターは背後に気配を感じる。

 

「!? ガッ!?」

 

その次の瞬間には、スーツアクターは後頭部を殴られ、気を失ってしまう。

 

殴った人物は、スーツアクターの身体を引っ張ると、見つけ難そうな場所へと隠す。

 

そして、怪人のスーツを自ら纏った。

 

「…………」

 

不気味な雰囲気を醸し出しながら、怪人のスーツに入った人物は、ステージへと向かう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

デートを楽しむ一夏と箒でしたが…………
何とヒーローショーの助っ人に来ていた神谷達と遭遇。
そのまま済し崩し的に助っ人に参加する事になってしまいます。

持ち前の身体能力を何とか通し稽古をものにする一同。
いよいよ本番となりますが、そこで不穏な影が………

アンケートですが、土曜朝7時が良いという意見が1番となりましたので、
新作『新サクラ大戦・光』の投稿は、今度の土曜日の朝7時にさせて頂きます。
尚、土曜の日中はリアルの都合で逐次の感想への返信が出来ませんので、夕方以降に纏めて返信させて頂く形になります。
ご了承下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。