天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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昨日から、新作『新サクラ大戦・光』の投稿を始めました。

よろしければそちらもご覧ください。


第77話『これぐらい慣れっこさ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第77話『これぐらい慣れっこさ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アミューズメントパーク・ステージ………

 

ヒーローショーの始まりを待っている子供達の前に、司会のお姉さんを務める虚が姿を現す。

 

「皆~! こんにちは~!!」

 

「「「「「こんにちは~!」」」」」

 

虚が呼び掛けると、子供達から疎らに返事が返って来る。

 

「う~ん、ちょっと声が小さいかな? もう1度元気な声で! さん、ハイ!!」

 

「「「「「こんにちは~!!」」」」」

 

虚が再度呼び掛けると、今度は多くの子供達から返事が返って来る。

 

「は~い、皆とっても元気ですね~」

 

「い、いよいよだな………」

 

「クッ! 本当にこんな格好で人前に出なければならんのか………」

 

遂にその時が訪れ、緊張の様子を見せる一夏と、未だ羞恥心が残っている箒。

 

「それじゃあ早速! 僕達のヒーローを呼んで………ア、アレ!?」

 

其処で、虚が思わず戸惑いの声を挙げる。

 

何故なら、怪人がもう登場してしまっていたからだ。

 

「!? ア、アレ!? 段取りと違うぞ!?」

 

「何だ!? 如何なっている!?」

 

一夏と箒も、先にステージに出てしまった怪人に困惑する。

 

「と、兎に角! 俺達も出て行かないと!!」

 

「クッ!」

 

仕方無く、一夏と箒もステージへと飛び出して行く。

 

「フンッ! 愚かな人間共め!! こんなくだらぬ遊戯施設で楽しい思いをしているなぞ、馬鹿馬鹿しいにも程が有る!!」

 

「よおく聞け! 今から此処は我等が占領する! 貴様達は全員我等の奴隷となるのだ!!」

 

台本通りの台詞を言うと、続いて戦闘員達がステージに登場する。

 

その戦闘員がアクロバティックな動きをして、観客の目を集めている隙に、一夏と箒は怪人の傍に寄る。

 

(ちょっ! 如何したんすか!?)

 

(台本と違うではないか!)

 

小声で怪人に向かってそう言う一夏と箒。

 

「…………」

 

しかし、怪人は何の返事も返さない。

 

(何か言ったら如何だ!!)

 

(箒! 落ち着け! あの、ホントに如何したんですか?)

 

と、思わず怒りを露わにした箒を宥めながら、一夏は重ねて怪人に尋ねる。

 

と、その瞬間!!

 

突如怪人は、一夏へと襲い掛かった!!

 

「えっ!? ちょっ!?」

 

「一夏!?」

 

一夏と箒は慌てるが、怪人は次々に攻撃を繰り出して来る。

 

「何だ何だぁ?」

 

「仲間割れか?」

 

「如何なってるの?」

 

突然怪人と、幹部役である一夏と箒が争い始め、子供達も困惑する。

 

「え、えっと………如何なってるの!?」

 

虚も、最早司会の仕事を続けられず、困惑するしかなかった。

 

「ちょっ!? 止めろって!!」

 

戸惑うばかりの一夏に、怪人は容赦無く攻撃を加える。

 

と其処で、一夏へと繰り出そうとしていた左の拳に、箒が振るった鞭が巻き付く。

 

「いい加減にしろ! 悪ふざけにしては度が過ぎるぞ!!」

 

怪人の動きを封じてそう叫ぶ箒。

 

その次の瞬間!!

 

怪人の着ぐるみの左腕が弾け飛び、中から機械仕掛けの刃の様な爪の付いた凶悪な腕が出現した!!

 

「なっ!?」

 

「!?」

 

忽ち鞭は千切れ飛び、鋼鉄の腕は一夏へと延びる。

 

「うおおっ!?」

 

紙一重で回避する一夏だったが、床に命中した鋼鉄の腕は、コンクリートを豆腐の様に砕いた。

 

「お、お前! スーツアクターの人じゃないな!?」

 

其処で一夏は、怪人の中身がスーツアクターの人では無いと悟る。

 

「何者だ!? 正体を表せ!!」

 

先程の鋼鉄の腕を見て、箒はISを展開させ、雨月と空裂を構えてそう言い放つ。

 

「フ、フフフフ………今頃気付いたのか? 相変わらずのマヌケぶりだなぁ!!」

 

と、其れを見た怪人がそう言い放ったかと思うと、背中から8本の装甲脚が飛び出して来た!!

 

「!? まさか!?」

 

其れを見た一夏が、或る予想を立てると、

 

「ヒャッハーッ!!」

 

世紀末の様な叫びと共に、怪人の着ぐるみからまるで脱皮するかの様に、アラクネを装着したオータムが姿を見せる!

 

先に姿を見せていた機械の腕は、オータムの左肩へと繋がっている。

 

如何やら、以前の戦いで失った左腕の部分にサイボーグ手術を施したらしい。

 

「! 亡国企業(ファントム・タスク)!!」

 

「お前! スーツアクターさんを如何したんだ!?」

 

「安心しろ。ちょいと眠って貰っただけだぜ………何せソイツにもコレから始まるショーの見物人になってもらうんだからな」

 

完全に機械と化している左腕の指をカシャカシャと鳴らしながら、邪悪な笑みを浮かべてそう言い放つオータム。

 

「如何だぁ? この左腕はよぉ? 顔だけじゃなくて、腕までこんなにしてくれてよぉ………テメェ等、もう殺すだけじゃアタシの怒りは収まらねえぜ」

 

「何言ってんだよ!? 自業自得だろう!!」

 

「その通りだ! 全て貴様が招いた結果だ!!」

 

「ウルセェッ!!」

 

と其処で、オータムが激昂しながら右手の指を鳴らす!

 

その途端、客席を3方から囲む様にゴーレムⅢが現れた!!

 

「!? 無人IS!!」

 

「「「「「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」」」」

 

その姿を確認した客席のお客達は、悲鳴を挙げて逃げ出そうとする。

 

しかし、ゴーレムⅢは観客達を取り囲み、逃がそうとしない。

 

「良いか! 妙な気を起こすんじゃねえぞ!! 少しでも抵抗する様子を見せたら………客席が血の海になるぜ!」

 

オータムがそう言い放つと、ゴーレムⅢ達が一斉に客席へ超高密度圧縮熱線砲を向ける。

 

「「「「「!?」」」」」

 

観客達は悲鳴を挙げる事も出来ずに、ただ恐怖に震えるしかなかった。

 

「卑怯なっ!」

 

「良いねぇ、その顔………最高だぜ」

 

苦々し気な顔をする箒を見ながら、オータムはヘラヘラと笑ってそう言い放つ。

 

「貴様ぁ!!」

 

「駄目だ、箒! 堪えるんだ!!」

 

思わずオータムへ斬り掛かって行きそうになる箒だったが、一夏が押し留める。

 

「おうおう~、優等生だね~、一夏ちゃ~ん。よ~し、それじゃあ、コッチへ来い。時間を掛けてじっくりと嬲ってやるぜ」

 

オータムはそんな一夏に向かって、人差し指でコッチへ来いのジェスチャーをする。

 

「オイ! 裏のお前等も! 妙な真似はするんじゃねえぞ!!」

 

そしてその直後、ステージの方を向いてそう言い放つ。

 

(チッ! バレてたか………)

 

(マズイよ! コレじゃ下手に動けないよ!!)

 

(クソッ! 人質さえいなけりゃ!!)

 

コッソリと動こうとしていた神谷、シャル、弾が先んじて動きを封じられ、苦々しげに話し合う。

 

「…………」

 

と其処で、一夏が無言でオータムの方へと歩み寄って行く。

 

「! 一夏!!」

 

箒が声を挙げる中、遂にオータムの眼前に立つ一夏。

 

「フッフッフッフッ………漸くお前を嬲れる日が来たぜ」

 

「………観客には手を出さないと約束しろ」

 

楽し気な笑みを浮かべるオータムに、一夏は凛とした態度でそう言い放つ。

 

「あ~、約束してやるぜ………お前が最後まで倒れなかったなぁ!!」

 

とその瞬間!!

 

オータムは、サイボーグ化している左腕を一夏の鳩尾に叩き込んだ!!

 

「!?!?」

 

激痛に一夏の顔が歪む。

 

「ゴハッ!?」

 

膝から崩れそうになったが、根性で耐える一夏。

 

「一夏!!」

 

「動くんじゃねえ! 人質が居るって分かってんのか!?」

 

「くうっ!?」

 

箒が動こうとするが、オータムのその言葉で封じられる。

 

「だ、大丈夫だ、箒………こんなの、全然効いちゃいないさ」

 

足を震わせながらも、一夏は不敵に笑ってそう言い放つ。

 

「一夏………」

 

「嘘吐けよ、足が震えてるぜ。痩せ我慢野郎が」

 

オータムはそんな一夏の姿を嘲笑するが………

 

「痩せ我慢上等! 痩せ我慢こそ(オトコ)の美学だ!!」

 

一夏は、オータムに向かってそう言い放つ。

 

「チッ! そうかよ。だったら………好きなだけ痩せ我慢しやがれ!!」

 

其れにイラついた様な様子を見せたオータムは、背の装甲脚も併せて、一夏をタコ殴りにし始める。

 

「ガッ!?………グッ!?………ゲハッ!?」

 

オータムからの攻撃が命中する度に、一夏の身体は揺らめき、まるで下手なダンスでも踊っているかの様に見える。

 

「ううっ!?」

 

「い、一夏………」

 

その凄惨な光景に、虚は思わず目を背け、箒も奥歯を噛み締める。

 

「「「「「…………」」」」」

 

観客達も、言葉を失って黙り込んでいる。

 

(一夏!!)

 

(アニキ! 如何にかならないのかよ!?)

 

ステージ裏で、その光景を見ているシャルと弾も焦りを募らせる。

 

(チイッ! あの客席に居る無人機が一瞬でも隙を見せりゃあ………ん?)

 

と其処で、観客席を見ていた神谷が“何か”を発見する。

 

(オイ、シャル! 彼処見ろ!!)

 

そして、観客席の一部を指しながらシャルに呼び掛ける。

 

(えっ?………!? アレは!?)

 

そう言われて、客席を見遣ったシャルは、『あるもの』を発見する。

 

(こりゃ行けるぜ!)

 

神谷はそう呟き、不敵な笑みを浮かべる。

 

一方………

 

オータムからリンチを受けていた一夏は………

 

「ハア………ハア………ハア………ハア………」

 

既に何10発と装甲脚とサイボーグ腕の攻撃を喰らい、全身ズタボロのボロ雑巾状態となっていた。

 

しかし、其れでも決して膝を折らず、片腕を押さえながらしっかりと両足で立っている。

 

「な、何てタフな野郎なんだ………生身でISの攻撃を受けて、未だ立ってられるなんてよぉ………」

 

人並み外れた一夏の頑丈さに、オータムは不気味さを感じ始める。

 

「自慢じゃないけど、今まで散々な目に遭って来たんでね………これぐらい慣れっこさ」

 

右目の上と左頬が腫れ、額と鼻から血を流しながらも、一夏は不敵に笑う。

 

「この………クソガキがあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

オータムは、サイボーグの左腕で一夏に強烈なボディブローを喰らわせる!!

 

「!? ゲボッ!?」

 

内臓がやられたのか、一夏は口から盛大に吐血する。

 

「!? 一夏!!」

 

「ま、まだまだ………」

 

しかし其れでも………

 

一夏は決して倒れなかった。

 

「クソ! クソッ! クソォッ!! 何で倒れねえんだぁ!?」

 

するとオータムは激昂し、サイボーグの左腕で一夏の右腕を摑む!!

 

「!? グウッ!?」

 

一夏の顔が歪むと、そのまま右腕を摑んだ状態で宙吊りにする。

 

「コレなら如何だあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

そして次の瞬間!!

 

サイボーグの左腕で、一夏の右腕を思いっきり握った。

 

ベキボキバキッ! と言う乾いた枝を折る様な音が響き渡る。

 

一夏の右腕の骨が砕け散る音だ!!

 

「!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」

 

一夏が悲鳴を挙げ、その右腕が複雑に折れ曲がる。

 

「う………あ………」

 

流石にこの痛みには耐えられなかったか、一夏の顔が苦痛に歪む。

 

だが、其れでも尚………

 

一夏は倒れない!!

 

「チキショウッ! チキショウがぁ!!………もう良い」

 

またも激昂する様子を見せるオータムだったが、其処で急に冷めた様子になる。

 

そして、サイボーグの左腕の手で手刀を作る。

 

指が鋭い爪となっている手で作った手刀は、文字通り鋭い刃物と化す。

 

「本当は這い蹲って命乞いしたところを殺してやろうと思ったけど………止めだ。もう殺してやるよ」

 

そう言って、刃物と化した左腕の爪をペロリと舐める。

 

「! 貴様!!」

 

「動くんじゃねえ! 人質殺してぇのか!?」

 

再度動こうとした箒を、そう言って制しようとしたオータムだったが………

 

「もう………もう我慢出来ん!!」

 

箒の怒りは限界を突破しており、構わずオータムへ斬り掛かった!!

 

「なっ!? ぐあっ!?」

 

不意打ちに近かった為、オータムは真面に喰らってしまい、ステージの上に倒れる。

 

「クソがぁ! 上等だ!!」

 

と、上半身を起こしたオータムはそう叫び、直ぐにゴーレムⅢ達に観客を殺す様指示しようとする。

 

その瞬間!!

 

「今だ! 簪ぃっ!!」

 

ステージ裏から、神谷のそう言う声が聞こえたかと思うと………

 

銃声が連続で3発鳴り響き、観客席を取り囲んでいたゴーレムⅢ達の頭が吹き飛ばされた!!

 

「なっ!?」

 

オータムが驚きの声を挙げる中、電子頭脳を撃ち抜かれたゴーレムⅢ達は次々に沈黙する。

 

「やったぜ!!」

 

「流石! 簪さん!!」

 

「お蔭で助かったぜ!!」

 

次の瞬間には、ステージ裏から神谷達が飛び出して来る。

 

その視線は客席の一部………

 

銃口から硝煙の上がっているヘヴィマシンガンを構えたスコープドッグを装着している簪の姿が在った!

 

何故簪がこんな場所に居たのか?

 

其れは彼女の「趣味」が関係している。

 

実は彼女、普段のクールを通り越した寡黙な様子からは想像し難いが、アニメや漫画、特撮と言った作品に出て来るヒーローが大好きなのである。

 

今日もこのアミューズメントパークでヒーローショーが行われると言う情報を入手し、観客として来ていたのである。

 

其処で事件に巻き込まれ、如何しようかと考えていたところ、その姿を見付けた神谷達からプライベート・チャンネルへの通信が入り、隙を窺っていたのだ。

 

「か、簪様!?」

 

「虚さん………良い仕事してたわ………」

 

簪の存在に全く気付いていなかった虚は驚きの声を挙げ、簪は先程までの虚の仕事ぶりを褒める。

 

「クソがぁ!! よくもぉ!!」

 

其れに怒ったオータムが、右手にマシンガンを出現させ、簪を狙う。

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

だが其処で、箒がオータムに組み付く。

 

「うおっ!?」

 

「紅椿! 出力全開!!」

 

そしてそう叫ぶと、絢爛舞踏が発動し、全展開装甲を展開。

 

まるでロケットの様なスピードで、一気に上空高くへとオータムごと舞い上がった!!

 

「!? 箒!?」

 

「あんにゃろ! 頭に血が昇ってやがる! マズイな!!」

 

シャルが驚きの声を挙げると、神谷がそう叫ぶ。

 

正直、オータム如きは今の箒の敵では無い。

 

だが、今の箒は怒りに囚われ、冷静さを失っている。

 

不意を衝かれれば危ない!

 

「箒!………うっ!?」

 

慌てて、自分も白式で追おうとした一夏だったが、其処で今までの反動が出たのか、糸の切れた操り人形の様にバタリと倒れてしまう。

 

「! 一夏!!」

 

弾が慌てて駆け寄り、助け起こす。

 

「クソッ! 弾! シャル! 一夏は任せたぞ!! 俺は箒を追う!!」

 

「分かった!」

 

神谷がそう言うと、シャルも一夏の方へと向かう。

 

「グレンラガン! スピンオン!!」

 

その次の瞬間には、神谷はグレンラガンとなり、箒とオータムを追って上空へと舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アミューズメントパーク・上空………

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!」

 

「チイッ!!」

 

雲よりも高い高度で、箒とオータムは激しくぶつかり合っている。

 

装甲脚から放たれる弾丸を、空裂のエネルギー刃で迎撃し、ビットを射出する箒だったが、オータムは飛んで来たビットを右手のカタールで弾き飛ばす。

 

「せやああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

其処で箒は、瞬時加速(イグニッション・ブースト)でオータムに突撃し、二刀で斬り掛かる。

 

「ぐうっ!!」

 

咄嗟に、右手のカタールとサイボーグの左腕で受け止めるオータム。

 

「貴様ぁ! よくも! よくも一夏をぉっ!!」

 

箒はそのまま、パワーに任せてオータムを押し切ろうとする。

 

「チイッ! 何をムキになってやがる! あんなクソガキ相手によぉ!!」

 

「黙れぇっ!! 貴様に一夏を侮辱する資格は無い!!」

 

そう叫ぶと、箒は更に雨月と空裂を押し込む。

 

「ぐうっ!? クソがぁっ!!」

 

しかし、オータムが一旦退いて箒の体勢を崩すと、一気に弾き飛ばす。

 

「クッ!?」

 

空中で回転しながらも、如何にか姿勢を取り直す箒。

 

「ははん? さてはお前………あのガキに惚れてんなぁ?」

 

「!? な、何をっ!?」

 

オータムの一言に、箒の顔が紅潮する。

 

「ハッ! 図星か!? 姉が姉なら、妹も妹ってか!? あんな屑の何処が良いんだか!?」

 

オータムは吐き捨てる様にそう言う。

 

「! 黙れえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」

 

その言葉に箒の怒りは更にヒートアップし、何も考えずにオータム目掛けて突撃してしまう。

 

「へっ! 馬鹿が!! 考え無しに突っ込んで来るとはよぉ!!」

 

するとその瞬間、オータムは右手からエネルギー・ワイヤーをネットの様にして放った!!

 

「!? しまった!?」

 

箒が避けようとした瞬間にエネルギー・ワイヤーは命中し、拘束されてしまう。

 

「ぐうっ!?」

 

「丁度良い………お前のIS、頂くぜ! 何せどっかの馬鹿が一足飛びで開発した第4世代だ。オマケに絢爛舞踏なんて便利な機能も持ってるそうじゃねえか」

 

オータムはそう言いながら、剥離剤(リムーバー)を取り出す。

 

「クソォッ!!」

 

拘束から逃れようと藻掻く箒だが、エネルギー・ワイヤーは外れない。

 

「貰ったぜ! 紅椿!!」

 

そして遂に、剥離剤(リムーバー)が箒に取り付けられようとした瞬間!!

 

突如飛来したサングラス状のブーメランが、剥離剤(リムーバー)を真っ二つにして破壊した!!

 

「!?」

 

「なっ!?」

 

箒とオータムが驚いていると、

 

「燃える男の火の車キイイイイイィィィィィィーーーーーーーックッ!!」

 

炎に包まれたグレンラガンが、雲を突き破って出現し、オータムに蹴りを喰らわせる!!

 

「!? ガアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?」

 

オータムがブッ飛ばされ、同時に箒を拘束していたエネルギー・ワイヤーも外れる。

 

「神谷!」

 

「オイオイ箒。1人で突っ走んなよ。俺だって、コイツには一夏をボコボコにしてくれた礼がしたいんでな」

 

グレンブーメランを回収すると、両手の指の骨をゴキゴキと鳴らしながらそう言うグレンラガン。

 

「いや! 此奴だけは………此奴だけは私の手で倒す!!」

 

しかし、箒は引き下がらず、雨月と空裂を握り締めたままグレンラガンの前に出る。

 

「オイ! 俺にもやらせろって!!」

 

「煩い! 此奴は私が倒すんだ!!」

 

グレンラガンの予想通り、頭に血が昇って居る箒は大分危うい。

 

「チッ! 相変わらず頑固な奴だぜ! じゃあコレで文句ねえだろ!!」

 

すると其処で!!

 

グレンラガンは急上昇したかと思うと、両足を合わせて箒目掛けて急降下!!

 

合わせていた両足がドリルへと変わる!!

 

「!? なっ!?」

 

箒が驚きの声を挙げた瞬間に、グレンラガンは箒の紅椿へと突っ込んだ!!

 

………その瞬間!!

 

箒とグレンラガンが、緑色の光に包まれる!!

 

「なっ!? 何だ!? ええいっ!!」

 

オータムが目を覆いながら、装甲脚の機関銃を発砲する。

 

しかし、銃弾は全て緑色の光に阻まれて弾かれてしまう。

 

その次の瞬間!!

 

光が弾けて、その中から………

 

『グレンラガンが紅椿を装着している様なマシン』が現れた!!

 

「紅いボディは男の情熱!!」

 

「揺れる椿は女の心!!」

 

「「真紅合体!!」」

 

神谷と箒の声が響き渡り、『グレンラガンが紅椿を装着している様なマシン』がポーズを決める!

 

「「『紅椿ラガン』!!」」

 

「俺を!」

 

「私を!」

 

「「誰だと思ってやがる(いる)!!」」

 

グレンラガンの新たなる合体形態………『紅椿ラガン』が誕生した!!

 

「あ、紅椿ラガンだと!?」

 

「………ってオイ! 神谷!! 如何言う積りだ!?」

 

オータムが驚いていると、紅椿ラガンの身体の顔が動いて、箒の声が発せられる。

 

「何って、コレならどっちが倒すかで揉めなくて済むだろ?」

 

そんな箒に、神谷はあっけらかんとそう言う。

 

「無茶苦茶だぞ!!」

 

「ウルセェ! 妥協案出してやったんだから、我慢しろ!!」

 

そのまま上の顔とボディの顔とで言い争う紅椿ラガン。

 

かなりシュールな光景だ………

 

「………ハッ!? ええい!! ふざけんのもいい加減にしろ!!」

 

其処で我に返ったオータムが、再びエネルギー・ワイヤーを発射。

 

紅椿ラガンは再び拘束される。

 

「むっ!?」

 

「あっ!? し、しまった!!」

 

「ハッタリ噛ましやがって! 何が紅椿ラガンだ! 死ねぇっ!!」

 

左手で手刀を作り、紅椿ラガンへ襲い掛かるオータム。

 

だが!!

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

神谷の叫びが木霊すると、紅椿ラガンの展開装甲が展開!!

 

その勢いで、エネルギー・ワイヤーを引き千切った!!

 

「!? なっ!?」

 

「おりゃあっ!?」

 

「がぐあっ!?」

 

驚くオータムに、カウンターでパンチを繰り出す紅椿ラガン。

 

オータムがブッ飛ばされると、展開した装甲部分にエネルギーの幕が出来る。

 

しかも、通常の紅椿と違いピンク色では無く、緑色に輝く螺旋エネルギーの幕だ。

 

「行くぜ! 箒!!」

 

「ええい! 仕方が無い!!」

 

神谷と箒がそう会話を交わしたかと思うと、紅椿ラガンが一瞬ブレて、次の瞬間にはソニックブームを発して加速。

 

ブッ飛ばしたオータムを追い越したかと思うと、その先で止まり、ブッ飛んで来たオータムをアッパーで打ち上げる!!

 

「ガッ!?」

 

今度は真上へと打ち上げられたオータムだったが、またも紅椿ラガンはその先へ先回り。

 

キックを噛まして、下へと蹴り落とす!!

 

「ガアッ!!」

 

そのまま、ブッ飛ばしてはその先へ先回りして再びブッ飛ばすと言う、ド○ゴンボールばりの高速戦闘を披露する紅椿ラガン。

 

「ば、馬鹿なっ!? 何て出鱈目なスピードだ!?」

 

ブッ飛ばされているオータムは碌に抵抗も出来ず、ピンボールの様に何度も何度も弾き飛ばされ、シールドエネルギーを消耗して行く。

 

「チキショウがぁ! 舐めるなぁ!!」

 

しかし其処で、装甲脚にも在るPICを全て全開にして、如何にか押し留まる。

 

「むっ!?」

 

「死ねぇ! クソガキィッ!!」

 

其処へ姿を現した紅椿ラガンに、左腕を向けて突っ込んで行く。

 

「何のぉ!!」

 

しかし其処で、紅椿ラガンの両手に雨月と空裂が出現!!

 

突っ込んで来たオータムの左腕を、雨月が斬り飛ばす!!

 

「むがっ!?」

 

「せいやあぁっ!!」

 

そして、虚を衝かれたオータムの土手っ腹に、何処ぞの黒いライダーの様に空裂を突き刺した!!

 

「!? ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーっ!?」

 

絶対防御のお蔭で、致命傷にはならなかったものの、激痛にオータムの醜い顔が更に醜く歪む。

 

「むんっ!!」

 

空裂を引き抜くと、一旦距離を取る紅椿ラガン。

 

「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」

 

オータムが夥しく血が流れる腹部を必死に抑えている。

 

「箒! トドメだ!!」

 

「分かっている!!」

 

と其処で神谷と箒がそう言い合うと、胸のグレンブーメランが独りでに外れる。

 

「必殺っ!!」

 

そのグレンブーメランを右手に握ると、オータム目掛けて投げ付ける。

 

途中で2つに分離したグレンブーメランは、高速回転しながらオータムを何度も斬り付ける!!

 

そのまま、オータムを空中に磔にする様に拘束する!!

 

すると、紅椿ラガンの展開装甲から放出されているエネルギーが更に増し、紅椿ラガンの全身を包んで行く。

 

そして、紅椿ラガンが緑色に光る光球へと変化したかと思うと………

 

その光の形が、ドリルを象る!!

 

巨大なドリルと化した紅椿ラガンは、そのままオータムへと突っ込んで行く!!

 

「「ドリル! シャインスパアアアアアァァァァァァーーーーーーークッ!!」」

 

そしてそのまま、オータムを貫く!!

 

「ギヤアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?」

 

凡そ、女のものとは思えない悲鳴が木霊し、オータムのアネクラが爆発する。

 

その爆発を背に、紅椿ラガンが空中で静止すると、爆発の中から1つに戻ったグレンブーメランが飛んで来て、紅椿ラガンの胸に装着される。

 

「やったか?」

 

「分からん。ハイパーセンサーに反応は無いが………まあ、生きていたとしても、もう何か出来る様な身体では無い筈だ」

 

紅椿ラガンが爆発の方を振り返ると、神谷と箒がそう言い合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方………

 

IS学園・医務室………

 

「全身打撲に内蔵破裂………右腕は複雑骨折の上、出血多量………そう聞かされた時! 私がどんな気持ちで居たと思う!?」

 

ベッドの上に寝かされているミイラ男状態の一夏に向かって、千冬がそう言う。

 

「ご、ゴメンよ、千冬姉………」

 

その迫力の前に、一夏は謝る事しか出来ない。

 

「気にすんな、一夏! オメェのそれは名誉の負傷だぜ!!」

 

だが神谷は、無責任にそんな事を言う。

 

「神谷! 大体お前が居ながら、何故一夏がこんな目に………うっ!?」

 

と、千冬が今度は神谷に向かって怒鳴ると、突然頭を抑えて蹲る。

 

「ああ! 駄目ですよ、織斑先生! この間の健康診断で高血圧の気が有るって言われたじゃないですか!?」

 

そんな千冬を慌てて真耶が介抱する。

 

「く、薬………!? しまった!? 職員室に!?」

 

慌てて薬を服用しようとした千冬だったが、運悪く職員室に忘れて来てしまった様だ。

 

「取りに行きましょう。さ、摑まって!」

 

「ク、ウ………」

 

真耶に肩を貸して貰い、千冬はスゴスゴと退散する。

 

「アイツも大変だなぁ」

 

((((アニキ(神谷、お前、貴方)の所為だよ(ですよ、だろ)………))))

 

他人事の様に呟く神谷に、一夏達は心の中でツッコミを入れるのだった。

 

「其れにしても驚きましたよ………アレだけの怪我にも関わらず、その傷の殆どが自力で治癒し掛けているんですから」

 

其処で虚が、一夏に向かってそう言う。

 

千冬が言った通り、普通ならばICU送りでも不思議ではない怪我だったのだが、何と救急車が到着した頃にはその傷が殆ど自然治癒し掛けていたのである。

 

そのお蔭で、一夏はその立場も有りIS学園の医務室での入院で済んだ。

 

「いやぁ。俺も、最近何だか怪我の治りが早い気がしてたんだけど………まさかココまでなんて」

 

「人間なんて………案外そんなモノよ」

 

自分でも驚いている一夏に、簪がそう言う。

 

(簪さんの場合は何か違う力が働いてる気がしないでもないんだけど………)

 

其れを聞いていたシャルは、内心でそんな事を思う。

 

「まっ、兎に角。治るまで安静にしてるんだな。その間にロージェノム軍が出たら、俺達に任せておけ」

 

弾が一夏に向かってそう言う。

 

「すまない、弾」

 

「一夏………」

 

と其処で、一夏が寝ているベッドの直ぐ横に椅子を置いて腰掛けていた箒が声を掛ける。

 

「あ、箒………」

 

箒の姿を見て沈黙する一夏。

 

(………オイ)

 

(うん………)

 

すると其処で、神谷とシャルが他の一同を連れて医務室から出て行く。

 

「…………」

 

簪だけは、一瞬一夏の方を振り返ったが、箒と見詰め合っている姿を見ると、再度踵を返して医務室から出て行くのだった。

 

「「…………」」

 

夕日で赤く染まっている保健室の中で、沈黙している一夏と箒。

 

「一夏………すまない!」

 

すると突然、箒が一夏に向かって頭を下げる。

 

「えっ!? ど、如何したんだよ、箒!?」

 

突然頭を下げた箒に、一夏は困惑する。

 

「私が………私がお前を誘ったりしなければ、こんな事には………」

 

顔を伏せたまま、箒はそう言う。

 

如何やら、彼女なりに責任を感じているらしい。

 

「何言ってんだよ、箒。別にお前の所為じゃないだろう?」

 

「いや、私の所為だ! 私が浮かれていたから、お前がこんな目に………!?」

 

すると其処で、箒の頭に一夏の左手が乗せられた。

 

「気にすんなよ、箒」

 

「だ、だが………」

 

「俺が気にすんなって言ってんだ! だから気にすんじゃねえ!!」

 

「!?」

 

神谷の様な口調でそう言う一夏に、箒は驚く。

 

「如何しても気にするってんなら、そうだな………怪我が治ったら、また2人で出掛けるか?」

 

「!? 何っ!?」

 

「今日の仕切り直しって事で………如何だ?」

 

半分包帯で覆われている顔を向け、一夏は箒にそう尋ねる。

 

「あ、ああ………分かった」

 

「よっし! んじゃ、約束だぜ!」

 

そう言うと、一夏は左手を箒の頭から離して小指を立てる。

 

「………!?」

 

箒は一瞬戸惑ったものの、やがて自分の左手の小指を一夏の小指を絡ませるのだった。

 

その顔が赤く見えるのは夕日に染まっているのか、其れとも別の理由なのか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

一夏の入院を知って駆け付けたセシリア達が医務室で騒ぎを起こし、千冬に鎮圧されたのは言うまでも無い………

 

そして一夏は………

 

僅か3日後に、何事も無かったかの様にケロリと退院したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

不審者の正体は何とオータム!
観客を人質に取り、一夏をリンチしますが、偶然来ていた簪の存在で逆転。
一応、彼女のヒーロー好きって設定は生きてるって事で。

そして一夏をリンチされた箒は激昂してオータムに挑みますが、そこでグレンラガンにが乱入。
そして新合体形態『紅椿ラガン』が誕生しました。
遂に葬られたかに見えるオータムですが、果たして………

さて次回は………
東映まんがまつり第2弾です!
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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