天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第82話『メリイイイイイィィィィィィーーーーーーークリスマスッ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第82話『メリイイイイイィィィィィィーーーーーーークリスマスッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスが近付く中、IS学園で行うクリスマスパーティの買い出しへと出た神谷とシャルは………

 

ロージェノム軍の侵略によって両親を失った少年………武志と出会う。

 

今年のクリスマスは盛大なパーティーをしようと、亡き両親と約束していた武志は、クリスマスが近付くに連れてドンドン塞ぎ込んでしまっていた。

 

そんな武志の姿を見かねた神谷は、嘗て一夏にもそうした様に彼の兄貴分となり、()の生き様を説く。

 

多少強引ながらも、真剣に向き合って来た神谷の思いに、武志は励まされる。

 

そして神谷は………

 

クリスマス・イブに、グレン団一同で施設を訪れる事を思い付くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマス・イブ………

 

武志の居る児童養護施設にて………

 

庭に据え付けられた大きなクリスマスツリーを囲む様に設置されたパーティー会場に、施設の職員達と子供達が集合している。

 

ライトアップされたクリスマスツリーを囲んで、きよしこの夜を合唱している子供達。

 

「ねえ、先生。本当にグレン団が来てくれるの?」

 

「ホント?」

 

年少の子供達が、半信半疑で女性児童指導員にそう尋ねる。

 

「え、ええ、勿論よ」

 

若干躊躇いながらも、女性児童指導員はそう答える。

 

何せ彼女も、事前に電話が掛かって来て一方的に言われただけなのだ。

 

正直な所、実際に来てくれるとは思っていない………

 

と、その時!

 

何処からとも無く鈴の音が聞こえて来る。

 

「? 何?」

 

「あ! サンタさんのソリだ!!」

 

女性児童指導員がそう呟くと、年少の子供の1人が、施設の入り口を指差しながらそう言う。

 

其処には、パーティー会場に向かって来る、サンタのソリを曳く赤鼻のトナカイ………に扮した、神谷・一夏・弾のグレン団男3人衆が曳くソリが、砂煙を上げながら走って来ていた。

 

「「「メリイイイイイィィィィィィーーーーーーークリスマスッ!!」」」

 

イイ笑顔でそう言いながら、パーティー会場へ突っ込んで行くトナカイ達。

 

「ちょっ!? 神谷! ストップ! ストーップ!!」

 

「一夏ー! 止めろぉーっ!!」

 

「弾くーんっ!!」

 

ソリの荷台に乗せられているサンタの格好をしたグレン団女性メンバーの内、シャル・箒・虚がそう悲鳴を挙げる。

 

「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」

 

しかし、3人には聞こえていないのか、益々スピードを上げて行く。

 

「!? うおっ!?」

 

と、その時!!

 

一夏が足元に在った石に蹴躓く。

 

「おわっ!?」

 

「ぬおっ!?」

 

当然、連鎖反応で弾と神谷もスッ転ぶ。

 

「「「「「!? キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」」」」」

 

そして3人が曳いていたソリも転倒。

 

箒やシャル達が次々に投げ出されて、地面に転がる。

 

「か、神谷………後で殺す」

 

「何で私がこんな目に………」

 

「オノレェ………」

 

「一夏ぁ………」

 

「お兄ぃ………」

 

倒れたまま神谷達への恨み言を呟いている鈴、セシリア、ラウラ、箒、蘭。

 

「大丈夫?………皆?」

 

「お姉ちゃ~ん、無事?」

 

自分達だけちゃっかり脱出していた簪とのほほんがそう尋ねて来る。

 

「簪ちゃん………この薄情者………」

 

「本音………そう思うんだったら、助けてよ………」

 

箒達と同じ様に倒れたままの楯無と虚が、恨みがましくそう呟く。

 

「シャル~、大丈夫~?」

 

「何とか………イタタタタ………」

 

投げ出された際に受け身を取っていたティトリーとシャルが、ぶつけた所を擦りながら起き上がる。

 

「お~い!」

 

「皆~! 大丈夫か~!」

 

其処へ、立ち直った一夏と弾が慌てて駆け寄って来る。

 

「一夏! 貴様はぁ!!」

 

「もう! 弾くん!!」

 

途端に、箒と虚から非難が飛ぶ。

 

他のメンバーも厳しい目を向ける。

 

「いや、アハハハ………」

 

「どうもスンマセン!」

 

苦笑いで誤魔化す一夏と、思いっ切り頭を下げる弾。

 

「神谷も気を付けてよね」

 

「ハハハハ! ワリィワリィ!!」

 

シャルも神谷に注意するが、当の神谷に悪びれた様子は見えない。

 

尤も、何時もの事と言えば何時もの事なのだが。

 

「あ、あの………」

 

と其処で、女性児童指導員が遠慮がちに声を掛けて来る。

 

「ん? おおっと! そうだったな! 待たせたな、お前等!! 天下無双のグレン団!! 聖夜に登場だぜ!!」

 

其れに気付いた神谷は、施設の子供達の方に向き直ると、ポーズを決めながらそう言い放つ。

 

格好がトナカイなのでイマイチ決まって無かったりするが、神谷は気にしていない。

 

「わあ~! グレン団だ!!」

 

「本物だぁ!!」

 

「凄~い!!」

 

途端に、子供達はまるで蟻の様にグレン団メンバーへと群がって来る。

 

「お、おおお………」

 

「コ、コレは………」

 

「凄いわね………」

 

自分達の人気ぶりに、箒、ラウラ、鈴が戸惑いの様子を見せる。

 

「私達、こんなにも人気が有ったのですね」

 

「そりゃそうでしょ。何たって、私達は悪の侵略帝国ロージェノムから地球を守っているヒーローなんだから!」

 

「………ヒーロー」

 

セシリアがそう言うと、楯無が芝居掛かった調子でそう言い、その言葉に思う処が有るのか、そう呟く簪。

 

「アハハハ………凄いなぁ」

 

「あ! 織斑 一夏だ!!」

 

一夏がそんな光景に感心していると、そんな彼の許にも子供達が群がって来る。

 

「お! 嬉しいなぁ………俺の事も知っててくれてるのかい?」

 

子供達に向かって一夏はそう言うが………

 

「うん! 知ってる! IS学園のスケコマシ!」

 

「違うよ! 女たらしだよぉ!!」

 

「ラッキースケベェ!!」

 

という子供達の反応を聞いた途端にズッコケてしまう。

 

「な、何だよそれ………俺の何処がスケコマシなんだよ!?」

 

(((((………全てだろう)))))

 

抗議の声を挙げる一夏だったが、弾達は心の中でそうツッコミを入れる。

 

「細かい事は気にすんな、一夏! 今日はめでてぇ日だ!! 大いに騒いで歌おうぜ!!」

 

「「「「「「「「「「イェーイッ!!」」」」」」」」」」

 

早くも、天性のカリスマで子供達の心を掌握し始めていた神谷がそう言い放つと、子供達も盛り上がりを見せる。

 

そして、グレン団のメンバーは子供達と触れ合いながら、聖夜のパーティーを盛り上げて行くのだった。

 

 

 

椅子取りゲームでは、白熱した一夏と弾が最後の椅子を巡って殴り合いになり掛けたり………

 

簪が子供達にせがまれて、プラモデルをプロモデラー並みに仕上げてあげたり………

 

箒はチャンバラごっこ、鈴はカンフーごっこを繰り広げる………

 

セシリアは合唱に参加し、ラウラは子供達にドイツ軍の格闘術を教えている………

 

楯無、のほほん、虚、蘭は見事なダンスを披露し、ティトリーは獣人の特徴を子供達に弄られている(本人は、子供達に怖がられていないので満足気だが)………

 

神谷は肩車タクシーを営業している………

 

 

 

そして、そんな中………

 

「皆~! そろそろケーキを食べましょ~う!」

 

「「「「「「「「「「わ~~~いっ!!」」」」」」」」」」

 

女性児童指導員がそう呼び掛けると、園児達が集まって来る。

 

「ハ~イ、特製ケーキの登場だよ~!」

 

シャルがそう言って、お手製の特大ケーキを台車に載せて運んで来る。

 

「わ~っ! すっご~い!!」

 

「美味しそう~!」

 

「一寸待っててねぇ。今切り分けるから」

 

女性児童指導員がそう言い、ケーキを切り分けに掛かる。

 

子供達はその傍で、ケーキが配られるのを今か今かと待ち焦がれている。

 

その中には、あの武志の姿も在る。

 

(元気が出たみてぇだな………其れでこそ()だぜ)

 

そんな武志の姿を見て、満足気な笑みを浮かべる神谷。

 

すると其処で、通信機からコール音が鳴った。

 

「ん? チイッ、何だよ………」

 

折角の聖夜にと、神谷は一夏達や子供達に気付かれない様に物陰へと移動し、通信機を取り出す。

 

「おう、神谷だ」

 

[神谷か?私だ]

 

通信先からは、千冬の声が聞こえて来る。

 

「んだよ、ブラコンアネキ。コッチは盛り上がってるとこなんだぞ。幾ら聖夜に1人身だからって、僻むんじゃねえよ」

 

[誰が何時そんな話をした!?]

 

気にしているのか、何時もより怒気が上がっている千冬。

 

「んで? 何の用だよ?」

 

しかし、相変わらず神谷にはスルーされる。

 

[お前と言う奴は………グッ! また胃が………まあ良い。少し前に、太平洋側を哨戒飛行中だった航空自衛隊機が、一瞬だがレーダーに国籍不明の飛行物体を捉えたらしい]

 

「ロージェノム軍か?」

 

[未だ分からん。だが、防衛省からの要請で、念の為にお前達にも調査に向かって欲しい。此の処の襲撃で、防衛省も過敏になっているらしい]

 

「…………」

 

其処で神谷は、パーティー会場の方を見遣った。

 

一夏達や子供達は、神谷の様子に気付いておらず、楽しそうにクリスマスパーティーを続けている。

 

「………ああ、分かった。俺から一夏達に話してちょいと様子を見て来らぁ」

 

[頼んだぞ]

 

そう言うと、千冬は通信を切る。

 

「さてと………」

 

神谷は通信機を仕舞うと、施設から離れて行こうとする。

 

「何処行くの? 神谷お兄ちゃん?」

 

「ん?」

 

と、不意に声を掛けられて振り返ると、其処には武志の姿が在った。

 

「ケーキ食べないの?」

 

「武志………」

 

すると神谷は、武志と視線を合わせる様にしゃがみ込む。

 

「良いか、武志。俺はコレから()()出掛けて来る。直ぐに戻るから、一夏達には何も言わないでおいてくれ」

 

「えっ!? 如何したのお兄ちゃん!? ひょっとしてロージェノム軍が襲って来たの!?」

 

「シッ! 声がデケェだろ」

 

思わず大声を挙げる武志を、そう言って制する神谷。

 

幸い、一夏達には聞こえていなかった様だ。 

 

「別にそうと決まったワケじゃ無え。ちょいと其れを“確認しに行くだけ”だ。だから俺1人で十分だ。折角の聖夜を台無しにしたく無えからな」

 

「でも、ホントにロージェノム軍だったら………」

 

「だーいじょぶだって。そうだったとしても、軽く捻ってやるよ」

 

「お兄ちゃん!」

 

「………良いか、武志。()には、“自分が損になると分かっていても、人の為に働かなきゃならん時”ってモンが有るんだよ」

 

神谷は、ジッと武志の目を見据えそう言い放つ。

 

「…………」

 

その言葉に、武志は黙り込む。

 

「分かったな? じゃ、上手く誤魔化しておいてくれよ。()()の約束だ」

 

サムズアップして見せると神谷は立ち上がり、そのまま踵を返して施設の敷地外へと出て行った。

 

「………良し!」

 

そして、周りに人が居ない事を確認すると………

 

「グレンラガン! スピンオン!!」

 

コアドリルを取り出し、グレンラガンの姿となる!

 

ウイングを展開し、トビダマから炎を挙げると、グレンラガンは聖夜の大空へと舞う!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本近海の太平洋………

 

レーダーに、一瞬だけ反応を捉えた航空自衛隊のF-4がその反応が有った地点を周回飛行しているが、レーダーに反応は無かった。

 

[此方オウル1。ポイントRを飛行中。レーダーに反応無し]

 

[やっぱり見間違いじゃ無いのか?]

 

パイロットと後席のナビゲーターがそう言い合う。

 

[其れなら其れで良いんだが………]

 

パイロットがイマイチ納得が行っていない様子で居ると………

 

「待たせたな! グレンラガン様の登場だ!!」

 

そう言う台詞と共に、グレンラガンが姿を現した。

 

[おお! グレンラガン! 来てくれたか!!]

 

[ん? グレンラガンだけか? 他のメンバーは?]

 

「何だよ? 俺だけじゃ不足か?」

 

ファントムライダー達の言葉に、そう返すグレンラガン。

 

[いや、そういうワケじゃないが………]

 

と、ナビゲーターがそう言った瞬間!!

 

コックピット内にアラートが鳴り響く!!

 

[!? ミサイルアラート!?………!? うわぁっ!?]

 

パイロットがそう声を挙げた瞬間に、『何か』がF-4の機体に命中。

 

F-4は木端微塵となった!

 

「!? 何だ!?」

 

驚きながらも、直ぐにグレンラガンは周囲を見回す。

 

すると、コチラに向かって飛んで来る飛行物体が有る事に気付く。

 

「!?」

 

グレンラガンが構えを取ると、その飛行物体………

 

まるでミサイルを無理矢理ロボットにしたかの様に、上部にガンメンが取り付けられているミサイル………『ガンメンミサイル』の姿が露わになる!!

 

「螺旋王万歳ーーーーーーっ!!」

 

そう叫びながら、グレンラガン目掛けて突っ込んで来るガンメンミサイル。

 

「! このぉっ!!」

 

咄嗟に、信管部分を避ける様にして受け止めるグレンラガン。

 

しかし、その瞬間!!

 

ガンメンミサイルは大爆発!!

 

「おうわっ!?」

 

爆風をほぼ零距離で浴びてしまう!!

 

「ぐううっ!? やってくれるじゃねえか!!」

 

「獣人に栄光あれーーーーーーーっ!!」

 

「天国行けるかなーーーーーーーーっ!!」

 

装甲が少し焦げ付いたグレンラガンがそう言い放つと、ガンメンミサイル達は次々に噴射を強めて突っ込んで来る。

 

若しこのまま日本へ通してしまえば、壊滅的な被害が出る事は目に見えている。

 

「そうは! させるかってんだあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

グレンラガンが咆哮を挙げると、その身体から螺旋エネルギーが発せられる。

 

そして、全身至る所にあったドリルの出現口から、無数の小さなドリルのミサイルが出現する!!

 

その小型ドリルミサイルを、伝説巨人よろしく周辺目掛けて一斉発射する!!

 

次々に緑色の光の尾を曳く小型ドリルミサイルに撃ち抜かれ、ガンメンミサイルは爆散する。

 

しかしその爆炎の中を突っ切って、新たなガンメンミサイルが姿を現す。

 

「来やがれ! 片っ端から撃ち落としてやるぜぇっ!!」

 

グレンラガンはそう吠えると、右手にグレンブーメランを握り、左腕から2本のドリルを出現させ、自らそのガンメンミサイルの中へと突っ込んで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

児童養護施設………

 

「………アレ? アニキは?」

 

と其処で、漸く神谷が居ない事に気付いた一夏が、そう声を挙げる。

 

「アレ? そう言えば………」

 

「さっきから姿が見えないな………」

 

シャルと弾も、一夏のその言葉で神谷の姿が見えない事に気付き、辺りを見回す。

 

箒達もキョロキョロとして神谷を探す。

 

「…………」

 

1人事情を知るが、()()の約束で言う事が出来ない武志。

 

「ホントに居ませんわね………」

 

「何処へ行ったんだ、あの馬鹿は?」

 

「自分で企画しといて勝手に居なくなるなんて、ホント最低ね」

 

セシリアとラウラ、鈴がそんな事を口走る。

 

「!?」

 

と、其れが聞き捨てならなかったのか、武志が鈴の弁慶の泣き所(向こう脛)に、思いっ切り蹴りを噛ました。

 

「!?#$%&¥*+@」

 

声にならない悲鳴を挙げて悶える鈴。

 

「武志くん! 何をするの!?」

 

慌てて、女性児童指導員が背後から武志の両肩を摑む。

 

「…………」

 

武志は答えず、ただ鈴を睨み付けるだけだった。

 

「こ、このクソガキイィ~~~ッ!!」

 

怒り心頭の鈴は、武志に摑み掛かろうとするが、

 

「鈴! 一寸待って!!」

 

シャルが鈴を押し留める。

 

「シャルロット! 止めるんじゃないわよ!!」

 

「落ち着いてよ、鈴………ねえ、武志くん。ひょっとして神谷が居なくなった理由を知ってるんじゃない?」

 

鈴を抑えると、シャルは武志の方に向き直り、そう尋ねる。

 

「………!?」

 

その問いに、武志は顔を逸らす。

 

「やっぱり、知ってるんだね」

 

「なあ、アニキは何処へ行ったんだ?」

 

しかし、その態度は“知っている”という事を裏付け、一夏もそう詰め寄って来る。

 

「………()()の約束だから言わない」

 

だが武志はそう言って、話す事を拒否する。

 

「武志くん!」

 

そんな武志の態度を見た女性児童指導員が、武志を叱り付けようとしたが………

 

「俺が如何かしたか?」

 

そう言う台詞と共に、ボロボロな神谷がひょっこりと姿を現す。

 

「! 神谷!」

 

「アニキ!」

 

「お前、今まで何処に居たんだ?」

 

シャルと一夏が慌てて駆け寄り、神谷の様を見て箒がそう尋ねる。

 

「いや~。実はよぉ、盛り上げようと思ってこんなモン買っといたんだけどよぉ」

 

そう言って神谷が一同に見せた物は………

 

「………花火?」

 

そう、打ち上げ花火だった。

 

「ああ、コイツを打ち上げたら盛り上がるだろうなと思ったんだがな………如何も安モンを摑まされたみてぇでな。暴発しちまった」

 

ハッハッハッと笑いながら、神谷はそう説明する。

 

「な~んだ、そうだったの~」

 

「良かった~………てっきり、またロージェノム軍が来たのかと思っちゃったよ」

 

其れを聞いた楯無とティトリーがそう呟く。

 

「全く。人騒がせですわ、神谷さん」

 

「そうよ、ホントに………」

 

セシリアと鈴は、不満顔で神谷にそう言う。

 

「ハハハハ、ワリィワリィ」

 

何時もと変わらぬ軽い様で謝罪する神谷。

 

「神谷お兄ちゃん………」

 

と、武志は何かを訴え掛ける様に神谷を見上げるが………

 

「…………」

 

神谷は黙って、ただフッと笑った。

 

「…………」

 

其れに釣られる様に武志も笑い、無言で頷く。

 

「…………」

 

しかし、只1人簪だけは何かを悟った様な様子を見せる。

 

だが、其れを口にする事は無く、“神谷の秘密”は守られる。

 

すると………

 

「!? ひゃん!?」

 

突如、シャルが珍妙な悲鳴を挙げる。

 

「? 如何した? シャル?」

 

「く、首の後ろに何か冷たい物が………」

 

シャルがそう答えると、夜空から白い綿の様な物が、フワリフワリと舞い降りて来た。

 

「わあぁ~」

 

「雪ですね」

 

のほほんと虚がそう呟く。

 

「素敵………」

 

「ホワイトクリスマスだね」

 

蘭とシャルも、ドンドンと降って来る雪を見上げながらそう呟く。

 

と、その時………

 

空の彼方から、シャンシャンシャンと言う、鈴の音が鳴り響いて来た。

 

「えっ?」

 

「何だ?」

 

グレン団一同と子供達は、空を見上げる。

 

すると、雪が舞い降っている空から………

 

赤い鼻のトナカイに曳かれたソリに乗る、真っ赤な服を着た白髭の老人………

 

『サンタクロース』が姿を現した。

 

「!? サンタクロースッ!?」

 

「えっ!? 嘘っ!? マジで!?」

 

「わ、私! 夢を見てるんでしょうか!?」

 

「い、いや………コレは現実だ」

 

シャル、鈴、セシリアがそう驚きの声を挙げ、ラウラが自分の頬を抓りながらそう言う。

 

「メリークリスマスッ!!」

 

と、サンタクロースがそう声を掛け、ソリの後ろに載せていた白い大きな袋の口を開いたかと思うと………

 

其処から光の粒子が噴き出した!

 

雪と一緒に、光の粒子が辺りに舞い散る。

 

そして、その光の粒子が、其々グレン団や子供達の手元に集まって行ったかと思うと、綺麗にラッピングされたクリスマスプレゼントとなった!

 

「わあ~! プレゼントだ!!」

 

「凄~いっ!!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

子供達は大燥ぎし、グレン団一同はプレゼントを持ったまま呆然となる。

 

「ヘヘッ、ありがとうよ、サンタクロース」

 

「メリークリスマスッ!!」

 

プレゼントを抱えたまま、神谷がサンタクロースを見上げてそう言うと、サンタクロースはまたそう言い、夜空へと消えて行った。

 

「こ、こんな事が起こって良いのか?」

 

「ま、まあ、良いんじゃないかな?」

 

「そうだよ。だって今日は………“クリスマス(聖夜)”じゃない!」

 

箒が戸惑いの声を挙げると、未だ若干戸惑っている一夏がそう言い、既に事実を受け止めているシャルが、そんな事を言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

或る聖夜に起きた出来事………

 

1人の男の意地が、小さな奇跡を舞い起こした………

 

小さくも大きな出来事だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

クリスマス編、後編となります。
孤児院でどんちゃん騒ぎに興じるグレン団。
そんな中でロージェノム軍が………
しかし、クリスマスムードを壊さないために、神谷は単身出撃します。
そして、聖夜の夜に奇跡が………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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