これは………
女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………
それに付き従う女達の物語である………
天元突破インフィニット・ストラトス
第83話『運を自分で呼び込んでこその男よ!!』
時は、クリスマスからアッと言う間に流れ………
大晦日をスッ飛ばして年が明けた。
正月である。
しかし、今年の年明けを“目出度い”と思う者は余りいない………
其れは勿論、今尚ロージェノム軍の侵攻が続いているからである。
既に世界の半分以上の国が壊滅・占領されており、残っている一部の国家では、物資が配給制になっている所まで在るらしい。
日本でも輸入品がストップしたり、物価が高騰する等と、一般市民への影響が出始める様になって来ている。
………余り大きな声では言えないが、未来に絶望し、自殺をする者が出始めてもいる。
だが、そんな中でも僅かな希望に縋るかの様に、神社へ平和祈願へ行く者達もいる。
そんな人々の為に、門を開け続けている神社も在る。
此処、道明寺神社も、そんな神社の1つである。
そして、その境内にある縁起物売り場に、巫女服姿の箒の姿が在った。
窓口に座り、参拝客が来るのを待っているが、前述の理由も有り、正月にしては参拝客は多いとは言えない。
(やはり………人々の生活にも影響が出始めている………このままでは………)
世間の様子を肌で感じ、箒は言い様の無い危機感を覚える。
と、その時………
「箒ちゃん。お守りの補充持って来た………!? キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!?」
新しいお守りが入った箱を持って来た巫女服姿の女性が、何も無い処でスッ転ぶ。
顔から床に着地し、転がった箱からお守りがブチ撒けられる。
「イタタタタタ………! あ~! お守りがぁ!!」
「………ハア~~~。またですか? 歌鈴さん」
その様子に、箒は呆れた様に溜息を吐く。
女性の名は、『道明寺 歌鈴』
箒の実家である篠ノ之神社とは一寸した縁が有る、この道明寺神社の神主の娘で巫女である。
しかし、篠ノ之神社が剣術道場でもある様に、此処の神社もかなり変わっている。
実は何と!!
この道明寺 歌鈴………
神社の巫女でありながら、アイドルでもあるのだ。
曰く、偶々街を歩いていたら、
『ティンと来た! 君、アイドルに興味は無いかね?』
と言う台詞で、矢鱈色の黒い芸能プロダクションの社長と、そのプロダクションのプロデューサーにスカウトされたらしい。
最初は断ったものの、社長とプロデューサーが余りにも熱心に頭を下げて来たので、承諾してしまったそうである。
こうして、歌鈴の“奇妙な二足の草鞋生活”が始まったのだ。
(確かにコレじゃ、歌鈴さんの両親が心配するのも無理は無いな………)
床に散らばったお守りを拾いながら、箒はこの神社の手伝いをする事になった
彼女………歌鈴は、先程何も無い所で転んだ様に、所謂かなりのドジっ娘なのである。
普段はアルバイトを含めた他の巫女達がフォローしてくれていたのだが、今年はロージェノム軍の所為で、アルバイトを含めた他の巫女達が、次々に仕事を辞めて行ってしまったのだ。
困った歌鈴の両親は、知り合いの縁で篠ノ之夫妻に、箒を貸してくれないかと相談したのである。
昔から色々と世話になっていた事もあり、篠ノ之夫妻と箒は其れを承諾。
こうして箒は、道明寺神社で巫女のアルバイトをする事になったのだ。
………歌鈴のドジをフォローしながら。
「歌鈴さん。コッチは私がやっておきますので、境内の掃除をお願いします」
「あ、うん、了解。じゃあ、一寸行って来るね」
箒にそう言われると、歌鈴は巫女服の袖に襷掛けをし、縁起物売り場から出て行く。
「ふう~~………やれやれ………」
箒は疲れた様に溜息を吐きながら、未だ散らばっているお守りを集めに掛かるのだった。
道明寺神社・境内………
「よ~し! 今度こそ頑張るぞぉ!!」
竹箒を手に、気合を入れる様にそう声を挙げる歌鈴。
境内に散らばっている落ち葉を、手際良く掃き集めて行く。
「………早く戦争が終わります様に………」
「お願いします、神様………」
「………?」
すると其処で、そんな声が聞こえて来て、拝殿の方を見遣る。
其処には、母親に連れられた幼い兄妹が、必死になって平和になる様に祈りを捧げていた。
「…………」
ふと其処で、歌鈴は近くに在った絵馬掛を見遣る。
其処に掛けられている絵馬も大半が、“平和になります様に”や、“人類がロージェノム軍に負けません様に”と言った願いばかりである。
「………やっぱり………厳しいのかな………ロージェノム軍との戦いって………」
誰に言うのでも無く、歌鈴は1人そう呟く。
テレビや新聞では、毎日の様にロージェノム軍との戦闘や戦況が知らされており、人々の不安は日に日に広がっている。
「………ううん! 箒ちゃん達グレン団だって頑張ってるだから! きっと大丈夫!!」
しかし、そう言って無理矢理自分を納得させる。
と、その時!
突風が吹いて、集めた落ち葉が風に舞ってしまう。
「ああっ!? 折角集めたのに!!」
慌てて掃き直そうとしたその瞬間、運悪く………
歌鈴の草履の鼻緒が切れてしまう!!
「ふえっ!?」
其れで転倒する歌鈴。
更に運が悪い事に………
転倒した先は、神社の石段だった。
「!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
歌鈴は悲鳴と共に石段から落ちて行く。
(し、死ぬっ!?)
石畳の上に叩き付けられそうになり、思わず目を瞑る。
しかし、次に体感したのは“石畳に叩き付けられた衝撃”では無く、何者かに受け止められた感触だった。
(ア、アレ?)
「だ、大丈夫ですか!?」
「流石正月だな。巫女さんが降って来るとはな」
歌鈴が戸惑っていると、そう言う声が聞こえて来る。
其処で目を開けてみると、紋付袴姿の一夏と神谷が、歌鈴を受け止めていた。
「いや、神谷。正月だからって、巫女さんは空から降って来ないよ」
その背後に居た振袖や紋付袴姿のグレン団メンバーの内、黄色い振袖姿のシャルがそうツッコミを入れる。
「!? はわわわっ!?」
歌鈴が慌てる中、2人は彼女をゆっくりと地面に下ろす。
「あの、怪我とか有りませんか?」
「あ、う、うん、大丈夫だよ!(わっ! イケメン!!)」
一夏が再度そう尋ねると、面食いだったのか、内心でそんな事を考えながらそう答える歌鈴。
「中々派手な登場してくれるじゃねえか。随分とやるなぁ、此処の巫女は」
そして神谷が、呵々大笑しながらそんな事を言う。
「ち、違います~! アレは只転んだだけで………」
「歌鈴さん! 何があったんですか!? 悲鳴が聞こえましたけど!!」
と其処で、歌鈴の悲鳴を聞いて、縁起物売り場を飛び出して来た箒が姿を見せる。
「あ、箒」
「!? い、一夏!? 神谷達も!? 何故此処に居る!?」
其処で一夏達の姿を確認し、驚きの声を挙げる。
「いや、この神社でオメェがアルバイトしてる、って聞いてな。丁度良いから、初詣序に冷やかしてやろうと思ってな」
そんな箒に向かって、神谷がそう言い放つ。
「ええい、神谷! 貴様はぁ!!」
「ほ、箒ちゃん。ひょっとしてこの人達が、箒ちゃんの友達の………?」
と其処で、歌鈴が箒に向かってそう尋ねる。
「あ、ハイ………グレン団のメンバーです」
其処で毒気を抜かれ、箒はそう答える。
「やっぱり! じゃあ、貴方があの!?」
と歌鈴が、神谷の事を見ながらそう言うと、
「おうおうおうおう! 耳の穴かっぽじって、よ~く聞きやがれ!! IS学園に悪名轟くグレン団! 男の魂、背中に背負い! 不撓不屈の! あ! 鬼リーダー! 神谷様たぁ、俺の事だ!!」
神谷は、歌鈴に向かって、お約束の口上を述べた。
「…………」
歌鈴は、その様子に呆気に取られた様になる。
「ま~た、アイツは………」
「最早お約束ですわね………」
「いい加減、耳にタコだな」
其れを聞いていた桃色の振り袖姿の鈴と、青色の振り袖姿のセシリア、黒色の振り袖姿のラウラが、呆れながらそう言い合う。
「んん~~~?」
と其処で、白い振袖姿ののほほんが、歌鈴の事をマジマジと見る。
「な、何ですか?」
のほほんの態度に、歌鈴は1歩退がる。
「ん~~、貴女何処かで見た様な………」
「あ、そう言われれば確かに………」
と、のほほんがそう言うと、紅紫色の振り袖姿の蘭も、歌鈴の姿に見覚えを感じる。
「えっ!? いや、あの………皆さんと会うのは、今日が初めてですけど………」
歌鈴は戸惑いながらもそう言う。
「う~~ん、でも………私も何処かで見た様な………?」
しかし其処で、のほほんと同じく白い振り袖姿の虚もそう言って来る。
「多分、コレじゃないかしら?」
すると其処で、某歌劇団のトップスタァの正月晴着の様な恰好をした楯無が、新聞の芸能記事を取り出す。
其処には巫女服風のアイドル衣装を着た、歌鈴の姿が在った。
「あ! そ、其れは………!!」
「あ~! 思い出した!! 今売り出し中の新人アイドル! 道明寺 歌鈴だぁ!!」
歌鈴が慌てると、山吹色の振袖姿をしたティトリーが、歌鈴を指差しながらそう声を挙げる。
「ああ………」
其れを聞いた、赤い耐圧服………では無く、振袖姿の簪が何処か納得が行った様な表情となる。
「オイオイ、マジかよ? アイドルが巫女さんやってるのか?」
紋付袴姿の弾が、少し驚いた様に歌鈴を見ながらそう言う。
「い、いえ! コッチが本業で………そ、其れに私未だ、アイドルなんて言える程、売れてひゃいです!?」
(((((あ、噛んだ………)))))
かなり慌てたのか、台詞を噛んでしまう歌鈴と、其れに心の中で一斉にツッコミを入れるグレン団。
「アハハハハハッ! 面白れぇ奴だな! お前!!」
そんな歌鈴の姿に、神谷はまたも呵々大笑する。
「と、取り敢えず、参拝だけでも済ませちゃおうよ」
と其処で、一夏が当初の目的を思い出し、皆を纏める様にそう言う。
「そうね。何時までも此処で屯ってても迷惑になるし、行きましょうか?」
楯無もそう言い、グレン団の一同は、境内へと上がって行く。
道明寺神社・拝殿………
グレン団の一同は、賽銭箱に賽銭を投げ入れると鈴を鳴らし、両手を合わせて拝む。
「………なあ、何お願いしたんだ?」
と、拝み終わった一夏が、一同に向かってそう尋ねる。
「もう、一夏さん。そう言う事は尋ねないのがエチケットですわよ?」
「そうよ。ホント、デリカシーが無いわね」
そんな一夏に、セシリアと鈴がそう言い放つ。
「あ、わ、悪い………」
「じゃあ、罰として、一夏くんが何をお願いしたのか言いなさい!」
すると其処で、楯無が一夏に向かってそんな事を言う。
「なっ!? そ、そんな事!!」
「成程。妙案だな」
「一夏さん! 一体何をお願いしたんですか!?」
「さあ、吐け! 一夏!!」
一夏が慌てると、ラウラ、蘭、箒までもが参戦し、詰め寄って来る。
「う、ううっ!? わ、分かったよ! 言う! 言うから!!」
その迫力に押され、一夏は自分の願いを白状する事となる。
「俺の願いは………」
「「「「「「願いは…………?」」」」」」」
箒達の視線が、一夏に集まる。
「1日でも早く、世界に平和が訪れます様にさ」
良い笑顔をして堂々とそう言い放つ一夏。
「「「「「「…………」」」」」」
其れを聞いた箒達は、一瞬呆気に取られた様な表情となる。
「? 如何したんだ?」
「ああ、いや………」
「何でも有りませんわ………」
一夏がそう尋ねると、気不味そうに視線を逸らし始める。
当然、彼女達が願っていた事は、全員一夏との仲の進展である。
なのに、当の本人は真剣に世界平和の事を考えていた。
世界の平和よりも、自分の欲を優先させた事が恥ずかしくなった様である。
「? 何々だ?」
そしてやはり、一夏はそんな箒達の心情を理解しては居なかった。
「アイツは、またか………」
「ね、ねえ、弾くん? 弾くんは何をお願いしたの?」
そんな一夏の姿に弾が呆れていると、虚がそう尋ねて来る。
「えっ? そ、そりゃ、多分………虚さんと同じ事を………」
「そ、そう………」
そう言うと、互いに赤面して視線を逸らし合う2人。
傍から見ても分かり易いものである。
てゆーか、もう結婚しろ、お前等。
「ヒュー、ヒュー! 正月からお熱いねえ、御2人さ~ん」
そんな2人を囃し立てるのほほんだった。
「そう言えば、2人共。クリスマスパーティーの後、何処か行ったみたいだけど、何処行ってたの?」
と其処で、ティトリーが爆弾質問をぶつける!
「ええっ!?」
「そ、それは………」
その言葉を聞いた途端、何やら挙動不審になる虚と弾。
「うふふ~、2人共~。その様子だと、ひょっとして………私があげた『アレ』? 役に立ったかな?」
すると、楯無がニヤニヤと笑いながらそんな事を言う。
「「!?!?」」
途端に、弾と虚は赤面する。
「『アレ』? 楯無さん、何か2人に渡したんですか?」
察しの悪い一夏がそう尋ねる。
「ふふふ、それは勿論、コンドー………」
「言わせねーよ!!」
トンでもない事を言おうとした楯無を、一夏は何処ぞの芸人風に阻止する。
「何渡してんすか!? 俺達まだ学生ですよ!!」
「いや~ね~。只の冗談に決まってるじゃな~い」
怒鳴る一夏に飄々とそう返す楯無。
「こ、困ったわね、弾くん」
「ああ、そうッスね………結局足りなくて買い足したッスし」
「「「「「「………えっ?」」」」」」
弾の言葉に、一瞬一同は耳を疑う。
「そ、そっちじゃなくて!!」
「あ、ああ! すんません!!」
((((((まさか………))))))
その場は誤魔化したものの、一同の中には疑念が残ったのだった。
「ね、ねえ、神谷? 神谷は何をお願いしたの?」
と今度は、シャルが空気を変える様に神谷に向かってそう尋ねる。
「ああ、俺は何も」
しかし神谷からは、そんな返答が返って来る。
「えっ?」
「悪いが、俺は願い事を
戸惑うシャルに、神谷節が炸裂する。
「………ハハハハ、神谷らしいね」
一瞬ボーッとしたシャルだったが、神谷らしいと思い笑い声を挙げる。
と其処へ………
「アレ? 皆さん!」
「何だ、お前達も初詣に来ていたのか?」
そう言う声が聞こえて来て、グレン団の一同が振り返ると、其処には………
ライトグリーンの振り袖姿の真耶と、漆黒の振り袖姿の千冬の姿が在った。
「! 千冬姉!」
「山田先生! 先生達も初詣ですか?」
一夏が声を挙げ、シャルがそう尋ねる。
「ええ、そうなんです。此処の神社の評判が良かったので………其れに、私も織斑先生も、振袖を新調したので」
「山田くん、余計な事は言わなくて良い………」
笑顔でそう言う真耶と、照れた様子で呟く千冬。
と………
「はあ~、メガネ姉ちゃんの方は兎も角、ブラコンアネキは見せる相手も居ねえのに、御苦労なこってぇ」
「!!(ビキッ)」
(((((アニキ(神谷)~~~~っ!?)))))
進んで地雷を踏みに行った神谷の発言に、千冬は米神に青筋を浮かべ、一夏達も心の中で一斉にツッコミを入れる。
「か~~~~み~~~~~~や~~~~~~~~」
千冬の身体から、怒りのオーラが立ち昇り始める。
このままではマズイ!
と、皆が思っていたところ………
「お~~い! 皆~~~~っ!!」
「御神籤引こうよ~~~っ!!」
「…………」
何時の間にか縁起物売り場の前に移動していたのほほん、ティトリー、簪が、そう一同に呼び掛けて来た。
「! よ、よっし! やるかぁ!!」
「必ず大吉を引き当てるぞ!!」
「負けませんわ!!」
途端に、天の助けとばかりに一夏達は縁起物売り場へと走る。
「ホラ! 神谷も!!」
「オ、オイ! んな引っ張んなって!!」
シャルも神谷を引っ張って、縁起物売り場へと急ぐ。
「…………」
「お、織斑先生! ホラ! 私達も行きましょう!!」
残された内、不機嫌な表情を浮かべたままだった千冬に、真耶がそう呼び掛ける。
「フンッ!」
不機嫌な表情を浮かべたまま、千冬も真耶と共に縁起物売り場へと向かうのだった。
道明寺神社・縁起物売り場………
次々に御神籤を引き、吉凶を占うグレン団一同。
「中吉か………まあまあね」
「うう、小吉ですわ………」
「ふふん、吉だ」
鈴は中吉、セシリアは小吉、ラウラは吉と出た様だ。
「蘭は如何? アタシは吉だよ」
「私は中吉です」
ティトリーと蘭が、互いの結果を見せ合っている。
「やった~! 大吉~!!」
「私も~!!」
「…………」
大吉が出た事に喜びを表す楯無とのほほんに、小吉の御神籤をジッと見ている簪。
「「…………」」
そんな中、弾と虚が互いに赤くなって下を向いていた。
何故なら、2人の御神籤は
神様もよ~分かっとるわ。
「…………」
一方箒の方も、何やら引いた御神籤を胸元に抱えながら赤面している。
「…………」
他の者に気取られない様に、チラッと御神籤に書かれている恋愛の運勢を覗き込む。
『己に正直になれば、自ずと道は開ける』、そう書かれている。
(自ずと道は…………)
「箒? お前は如何だった?」
と其処で、その思いの矛先である一夏が、背後から声を掛けて来る。
「!? ひゃわぁっ!? い、いきなり話し掛けるなぁっ!!」
珍妙な悲鳴を挙げて飛び上がり、慌てて一夏の方に振り返る箒。
「お、おう、ワリィ………」
その驚き方に驚きながらも、直ぐに一夏は謝罪する。
「そ、其れより! 貴様は如何なのだ!?」
其処で箒は、誤魔化す様にそう質問をぶつける。
「おう、今見てみるよ」
一夏はそう言い、閉じていた自分の御神籤を開く。
其処には、『大凶』と言う字が書かれていた。
「うえぇっ!?」
思わず箒と同じ様に珍妙な悲鳴を挙げてしまう一夏。
「何々? 女難の相が出ている? マジかよ~!? 只でさえ何時もそんな目に遭ってるのに~!!」
一夏は愚痴の様な叫びを挙げる。
………コッチの事も神様はよう見とるわ。
「やっぱオメェはそう言う星の下に生まれて来たんだって、うん」
「何、納得した様な顔してるんだよ?弾」
うんうんと頷きながらそう誂う様に言って来た弾に、一夏はそう言い返す。
と………
「な、何だコレはああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」
其処で突如、千冬の叫び声が挙がる!
「!? 千冬姉!?」
「織斑先生!? 如何したんですか!?」
その叫び声に反応して、千冬の方を見遣る一同。
「お、織斑先生! 落ち着いて!!」
其処には、吉の御神籤を手にした真耶に必死に宥められている千冬の姿が在った。
良く見れば、その手には引いた御神籤が握られており、其れを持つ腕がプルプルと小刻みに震えている。
何事かと思って、思わず一同は千冬が引いた御神籤を覗き込む。
其処には………『極凶』と出ていた!
「きょ、極凶!?」
「願望、叶わないでしょう………健康、危ういでしょう………失せ物、出ないでしょう………仕事、諦めなさい………結婚付き合い、絶望的………」
一夏が驚きの声を挙げ、箒が思わずその運勢の内容を読み上げてしまう。
「ブアッハッハッハッハッ! 極凶だなんて、聞いた事無えよ! アッハッハッハッハッ!!」
其れを聞いた神谷が、腹を抱えて笑い出す。
「か~~~~み~~~~~~や~~~~~~~~っ! 抑々、普段から私に運が無いのは貴様の………」
とそう叫びながら神谷に殴り掛かろうとしたところ………
突然、何の前触れも無く、千冬の草履の鼻緒が切れる!!
「!? うわっ!?」
バランスを崩し、倒れそうになる千冬だが、如何にか踏ん張ろうとする。
しかし、踏ん張ろうと足を出した先には、『何故か』バナナの皮が有り、結局千冬は盛大にスッ転ぶ!!
「うぐわっ!?」
更にその際に勢いが付いたのか、そのまま転がり始め、石段から転げ落ちて行く。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」
一番下まで転げ落ち、漸く止まるかと思われた瞬間に水溜まりへ突入!
自慢の振り袖が一瞬で台無しとなった。
「千冬姉ーーーーーーっ!!」
「大丈夫ですかーーーーーーっ!?」
まるでコントの様な一連の流れを呆然と見ていた一同の中で、逸早く我に返った一夏と真耶が、石段の上からそう呼び掛ける。
「神谷………何時か必ず………殺してやる………」
極凶の御神籤を握り締めたまま、千冬は恨みが籠った声でそう呟き、気を失った。
結局、その後………
千冬は真耶が連れて帰る事となる。
気を失ってまでも神谷への恨み事をブツブツと呟き続けており、連れ帰る羽目になった真耶は若干涙目状態だった。
「やれやれ、御神籤通りにツイてねえなぁ」
「ア、アニキは如何だったの?」
と其処で、一夏は空気を変える様に神谷にそう尋ねる。
「おう! コレを見ろ!!」
すると神谷は、自分の御神籤を皆に見せる様に持つ。
其処には………『超吉』と書かれていた。
「ちょ、超吉!?」
「聞いた事無えよ、そんな御神籤………」
驚く一夏と呆れる様にそう言う弾。
細かい運勢も全て良好と出ており、中でも願望は天元突破等と書かれている。
「ハッハッハッハッ! 運を自分で呼び込んでこその男よ!!」
そして神谷は、お得意の神谷節を炸裂させる。
「皆さ~ん。結び付けのみくじ掛はコチラですよ~」
すると其処で、歌鈴がみくじ掛の傍で手を振りながらそう呼び掛けて来る。
「おっと、早く結んどくか………大凶だなんて洒落にならないからな」
其れを聞いた一夏がそう言い、みくじ掛へと向かうと、他の一同も続く。
「…………」
しかし、シャルだけがその場に立ち尽くして、引いた御神籤をじっと見ていた。
吉凶は吉であり、良いと言えるだろう。
だが………
個別の運勢で、恋愛の所に………
『試練を乗り越えた時、本当の愛を知る』と言う結果が出ている。
(試練………って、一体何だろう?)
御神籤のいう試練の事に、シャルは不安を感じる。
「どした? シャル?」
すると、シャルが従いて来ていない事に気付いた神谷が戻って来て、シャルにそう尋ねて来た。
「あ、神谷………ううん、何でも………」
心配を掛けまいと、そう誤魔化す様に言うシャル。
「結果があんま良くなかったのか?」
「まあ、そんな所かな………」
「ハッ! 気にすんな! こんな紙切れで運命を決められて堪るかよ!? 運命ってのは自分の手で切り開くモンだろうが!?」
引いた御神籤をピラピラとさせながら、神谷はそう言い放つ。
「神谷………うん、そうだよね」
其れを聞いたシャルは、笑顔を浮かべる。
「んじゃ、とっとと結んじまうか」
そう言って踵を返し、神谷は再びみくじ掛の方へと向かう。
「あ! 待って神谷!」
シャルが直ぐに後を追う。
(そうだよね………神谷だったら、そうするよね)
新年が明けた………
しかし、グレン団にとっては………
この年もまた、激闘の年となる事であろう………
負けるなグレン団!
地球の明日は、君達に懸かっている!
つづく
新話、投稿させて頂きました。
クリスマスが終わったので正月イベントとなります。
デレマスのキャラにゲスト出演してもらいました。
しかし、正月と言えど、ロージェノム軍との戦争のせいで雰囲気は暗い………
果たして、新年は人類が勝利できる年となるのか?
そして千冬の明日はどっちだ!?(笑)
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は
-
天元突破ISと同時
-
土曜午前7時
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別の日時(後日再アンケート)