天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第84話『コレも神谷くん達のお蔭かな』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第84話『コレも神谷くん達のお蔭かな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・職員室………

 

その日、職員室に呼び出された楯無は、千冬から或る話をされる。

 

「………ロシアから特使が?」

 

「ああ、明日にも到着するらしい」

 

千冬にそう言われ、楯無は口元を扇子で隠しながら怪訝な表情を浮かべる。

 

「如何してこの時期にロシアからの特使が?」

 

「考えられる可能性としては、一(・)応(・)ロシアの代表操縦者であるお前に、本国へ来て貰おうという線だな。あの大国ロシアでさえ、ロージェノム軍には手を焼いているからな」

 

ロージェノム軍の侵攻は留まる事を知らず、既に世界では半数以上の国が壊滅・占領されている。

 

持ち堪えている国の多くは大国であり、常任理事国で、唯一アメリカと真面にやり合える国であるロシアもその1つだ。

 

しかしロージェノム軍は、占領した国を基盤に戦力を増強。

 

実質的には、“世界が2分されて戦っている”と言っても良い状況である。

 

その為、大国と言えどこのままでは持ち堪えられない、と言う事が何処の国にも分かっており、早急な戦力の増強が図られている。

 

中には未だ訓練生である女性を、実験機を改修して作り上げた急(・)造(・)のISに乗せて出撃させている国家も有る、という噂である。

 

「楯無………若し、ロシアから正式に“国家の戦力になって欲しい”と言われたら如何する積りだ?」

 

「…………」

 

千冬の問いに、楯無は沈黙する。

 

確かに、自分はロシアの代表操縦者である。

 

しかし其れは、暗(・)部(・)である更識家がロシアと交わした密約によって得た、謂わば“契約”の様なモノ。

 

そして何より………今(・)の(・)自分はグレン団の一員だ。

 

共に生死を賭けて戦っている仲間達を放り出して、自分だけ他の国へ行っても良いのだろうか?

 

そんな思いが、楯無の頭を過る。

 

「………まあ、未だそうと決まったワケではない。だが、若し“そうだった場合”に備えて、ちゃんと考えておけ」

 

「………分かりました」

 

「話は以上だ」

 

「失礼します………」

 

若干声のトーンを落とし、楯無は職員室から退室する。

 

「………アイツも変わったな。やはりあの馬鹿の影響か………無駄に影響力だけは有りおって……ええい、忌々しい」

 

そんな楯無の姿に、千冬は忌々し気な表情でそんな事を呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・通路………

 

(正式にロシアに行く事になるか………そんな事にもなるとは思ってたんだけどなぁ)

 

通路を1人歩きながら、楯無はそう考え込む。

 

(今は未だ日本を離れるワケには………グレン団の一員としての義理も有るし………)

 

其処まで思考して、楯無はふと立ち止まる。

 

(フフフ………我ながら、“らしくない事”を考えるわね………これもやっぱり神谷くんの影響かな?)

 

自嘲する様に笑い、楯無はそう思い遣る。

 

神谷と同じく、唯我独尊な性格をしている楯無だが、彼とは違い、彼女は様々な枷を抱えている。

 

例えば、“更識家当主”としての枷………

 

楯無とは、本来当主を継いだ者が襲名する名であり、彼女には本(・)名(・)が有る。

 

幼き頃よりその才能を見い出され、対暗部用暗部としての教育を受けさせられた。

 

そして今や、自由国籍を取得しロシアの代表操縦者で、IS学園生徒会長で最強のIS乗りである。

 

尤も後者の方は、最近伸びて来ている後輩達や妹に度々奪われそうになっているが………

 

更識家の当主として、対暗部用暗部を率いなければならない………

 

ロシアの代表操縦者としては、ロシアの為に働かねばならない………

 

IS学園の生徒会長として、IS学園と生徒達を守らなければならない………

 

楯無は常に何等かの枷(・)を抱えて生きて来た。

 

そんな彼女は、自分と同じ唯我独尊な性格でありながら、自分とは違い“自由に生きている”神谷の事を、時折羨ましいと思っていた。

 

(ま、本人に言ったら、鼻で笑われそうだけどね………)

 

その光景が容易に想像出来て、楯無は思わず苦笑する。

 

「………姉さん?………如何したの?」

 

「!?」

 

と不意に背後から声が聞こえて来て、楯無が驚きながら振り返ると、其処には簪の姿が在った。

 

「か、簪ちゃん!? 何時から其処に!?」

 

「? 姉さんが苦笑した辺りからだけど………?」

 

(………全く気配を感じなかった………)

 

実の妹とは言え、背後に立たれて声を掛けられるまで存在に気付かせないとは、大したものである。

 

(簪ちゃん………我が妹ながら………恐ろしい子!!)

 

「如何したの?………そんな難しい顔して………?」

 

内心で戦慄する楯無と、首を傾げながら再度楯無にそう尋ねる簪。

 

「あ~、うん………一寸ね………」

 

楯無は曖昧な返事を返す。

 

「………そう………分かった………相談したくなったら………何時でも相談してね」

 

其れを聞いた簪は、フッと微笑み楯無の前から去って行く。

 

「…………」

 

残された楯無は、少し驚いた様子を見せている。

 

一寸前まで疎遠だった妹………

 

自分の所為で歪んでしまい、他人と距離を置く様になり、感情も乏しくなってしまっていた彼女が、“自分の心配”をしてくれた。

 

信じられぬと同時に、凄く嬉しい気持ちが込み上げて来る。

 

「………コレも神谷くん達のお蔭かな」

 

楯無はそう言って笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・日曜日………

 

IS学園・正門………

 

楯無と、秘書役として虚が、ロシアからの特使の到着を待っている。

 

やがてIS学園に向かって、ロシア製の高級車が走って来る。

 

正門の前で停まり、運転席の傍に寄って来た守衛に、運転手が窓を開けて身分証明書を見せる。

 

身分証明書を確認すると、守衛は門を開け、車を学園内へ入れる。

 

やがて車は楯無達の近くで停まり、ドアが開いたかと思うと、2人の中年のロシア人男性が降りて来る。

 

「ようこそIS学園へ。私が更識 楯無です」

 

「本日秘書を務めます、布仏 虚です。よろしくお願い致します」

 

その2人の中年のロシア人男性に向かって、楯無と虚はそう言って挨拶をする。

 

「初めまして、更識女史。私はこの度、祖国より特命を帯びて遣わされましたゴルルコビッチです」

 

「秘書を務めます、ザドルノフです。よろしく」

 

そう言ってロシアからの特使………ゴルルコビッチとザドルノフは、流暢な日本語で楯無達に挨拶を返す。

 

そして、ゴルルコビッチは右手を楯無に向かって差し出す。

 

楯無は差し出されたその手を取り、握手を交わす。

 

「さて、本日の訪問の事なのですが、更識女史………貴女に折り入って話が有りましてね」

 

「あ、ハイ、その事ですが………」

 

「特使。イキナリでは更識女史も答え難いでしょう。如何でしょうか? 折角の機会ですし、IS学園を案内して貰うと言うのは?」

 

とゴルルコビッチが、イキナリ本題に入ろうとしたところ、ザドルノフがそう言う。

 

「ああ、コレは失礼。確かにそうですな。其れに学園に通う同志達にも会いたい。お願い出来ますかな? 更識女史」

 

其れを聞いたゴルルコビッチは、改めて楯無にそう問う。

 

「ええ、構いませんよ」

 

笑顔を浮かべてそう返す楯無。

 

正直、この提案は彼女にしてみても願ったり叶ったりである。

 

実を言うと、“ロシア本国に招かれる件”について未だに悩んでいるのである。

 

その為、2人を案内している間に、答えを出してしまおうと考えたのだ。

 

「では、どうぞ此方へ」

 

「IS学園の案内を務めさせて頂きます」

 

そして、楯無と虚はそう言い、2人を案内し始める。

 

「「…………」」

 

その際、ゴルルコビッチとザドルノフの口の端が、微かに吊り上がったのを………

 

この時楯無は見逃してしまっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・学生寮………

 

簪の部屋………

 

「…………」

 

同室の者が不在の中、簪は机の上でアーマーマグナムの手入れを行っていた。

 

分解したアーマーマグナムの部品を机の上に広げ、1つ1つ丁寧に汚れを取り除き、破損や摩耗が無いか等をチェックする。

 

「…………」

 

やがてチェックが終わると、また部品を1つに組み上げ始める。

 

バラバラだった金属部品達が、徐々にアーマーマグナムを形作って行く。

 

「…………」

 

最後に弾倉を装填しようとした瞬間に………

 

突如、部屋のドアが蹴破られた!!

 

「!?」

 

「動くな!!」

 

直ぐに弾倉を装填しようとした簪だったが、ドアを蹴破った人物達………

 

旧ソ連の軍用迷彩服を纏い、AKを持って黒いマスクで顔を隠した男達がそう言って銃口を向ける。

 

「…………」

 

運が悪い事に、スコープドッグも整備に出していて、今は手元に無い………

 

簪は仕方無く、アーマーマグナムを机の上に置き直し、ゆっくりと手を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、楯無達はと言うと………

 

ゴルルコビッチとザドルノフを、第1アリーナへと案内していた。

 

丁度其処では、偶然にもロシアからの留学生達が学園のISを使って演習を行っている。

 

「おお、彼女達は我がロシアの生徒達ですな」

 

観客席に現れた一同の内、ゴルルコビッチがアリーナで演習しているロシアの留学生を見てそう言う。

 

「ええ、如何やら合同で演習でしているみたいですね」

 

「やっぱり、同じ国同士の方がやり易いのでしょうね」

 

楯無と虚がそう答える。

 

「いやはや、若い娘(こ)達が何かに励んでいると言う姿は良いものですなぁ」

 

ザドルノフもそんな事を言う。

 

「更識女史。よろしければ、彼女達と話させて貰ってもよろしいですかな?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

と、ゴルルコビッチの願いを楯無は了承し、一同はアリーナ内へと向かった。

 

 

 

 

 

アリーナ内へ入ると、直ぐにロシア留学生達が寄って来て、楯無やゴルルコビッチと楽し気に談笑を始める。

 

ゴルルコビッチはロシア留学生達に、君達が祖国の力となる日を楽しみにしていると言い、ロシア留学生達は期待に応えてみせると約束する。

 

(何だか国の事ばかり話している気がするけど………まあ、ロシアは社会主義国ですものね)

 

先程から会話の内容が国に関わる事ばかりなのに気付く虚だったが、ロシアの政治体制を思い出して納得が行った様な表情となる。

 

「………さて、更識女史。そろそろ本題を話したいのですが、よろしいですかな?」

 

と、一仕切り会話を終えたゴルルコビッチが、楯無に向かってそう言う。

 

「!?………ええ、そうですね」

 

楯無は一瞬動揺を見せたが、直ぐに平静となり、そう答える。

 

「すみません、特使。私はもう少し留学生達にお(・)話(・)が有るのですが、よろしいですかな?」

 

と其処で、ザドルノフが申し訳無さそうにそう言って来る。

 

「ふむ………更識女史。構いませんか?」

 

「ええ、良いですよ。じゃあ、虚を残して行きますので………」

 

「いえ、申し訳有りませんが、ロシアの国益に関わる事ですので、出来れば私と留学生達だけで………」

 

後から追うのに虚を残そうとした楯無だったが、ザドルノフはそう言って来る。

 

「でも、其れでは………」

 

「生徒会長、大丈夫です」

 

「後で私達が案内しますので」

 

何か言おうとした楯無だったが、其処で留学生達がそう言う。

 

「そう? 其れじゃあお願いね」

 

楯無はそう言うと、その場を留学生に任せて、ゴルルコビッチと虚と共に、アリーナを後にするのだった。

 

「………さて………君達に大事な話が有る………『同志』諸君」

 

と、3人が居なくなったのを確認すると、ザドルノフは留学生達の方を振り返り、ニヤリと笑う………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アリーナを後にした楯無達は………

 

ゴルルコビッチを応接室へと通していた。

 

「どうぞ」

 

虚が紅茶を淹れ、楯無とゴルルコビッチの前に置く。

 

「いや、どうも………それでは更識女史。本題を始めましょうか?」

 

「………ハイ」

 

ゴルルコビッチの言葉に、やや緊張した様子を見せる楯無。

 

「知っての通り、今世界は非常に危機的な状況に在ります。残念ながら、我が祖国ロシアもです」

 

「ロージェノム軍によってですね………」

 

「その通り。今や人類側からはレッドショルダーと言った裏切り者も出る始末………何処の国も戦力の増強は急務なのです。其処でロシアの代表操縦者である貴女に、祖国へ来て貰いたい」

 

「…………」

 

ゴルルコビッチの言葉に、楯無は沈黙する。

 

「考えて頂けませんか? 更識女史」

 

「………お話は良く分かります、ゴルルコビッチ特使。しかし、私にも更識家当主としての務めやIS学園生徒会長としての務めが有ります。其れを放り出して行くのは………」

 

そう答えを、ゴルルコビッチに返す楯無。

 

だが、正直言うと更識家当主や生徒会長の務めと言うのは“建前”である。

 

本当の理由は、グレン団に残りたいのである。

 

今まで公に奉仕する様に生きて来ており、年上の大人とも接する機会の多かった彼女にとって、グレン団は何の気兼ねも無く笑い合える、本当の意味での『仲間』なのだ。

 

そんな仲間の元から、離れたくない。

 

本当の理由を隠しながらも、楯無は学園への残留を決めた。

 

「………そうですか。残念です」

 

ゴルルコビッチは、落ち込んだ様な様子を見せる。

 

「ゴルルコビッチさん………」

 

楯無がそんなゴルルコビッチに何か言おうとした瞬間!

 

「………出来れば穏(・)便(・)に(・)行きたかったのですが、仕方有りませんね」

 

ゴルルコビッチはそう言って、邪悪な笑みを楯無へと向けた!!

 

「「!?」」

 

其れに楯無と虚が驚いた瞬間!!

 

窓とドアを蹴破って、旧ソ連の軍用迷彩服を纏い、AKを持ち黒いマスクで顔を隠した男達が応接室へ雪崩れ込んで来る!!

 

「キャアッ!?」

 

「!? 貴方達は!?」

 

驚く虚と、そんな虚を庇いながら兵士達へ問い掛ける楯無。

 

直ぐにISを展開させようとしたが………

 

「動くな! 更識 楯無! コレを見ろ!!」

 

ゴルルコビッチが手にした拳銃を2人に向けながらそう言うと、空中に映像が投影される。

 

[…………]

 

其処には、数人の兵士に囲まれ、銃を突き付けられている簪の姿が在った。

 

「!? 簪ちゃん!?」

 

「簪様!?」

 

「妙な真似をすると、貴様の妹の命は無いぞ」

 

驚く楯無と虚に向かって、ゴルルコビッチはそう言う。

 

「クウッ!」

 

対暗部用暗部の楯無と言えど、やはり女子中学生………

 

たった1人の妹を人質に取られては、動揺せざるを得なかった。

 

「分かったら、先ずはISを外して貰おうか?」

 

「…………」

 

一瞬逡巡しながらも、楯無は待機状態のミステリアス・レイディを身体から外す。

 

「………オイ」

 

「ハッ!」

 

其れを見たゴルルコビッチが、1人の兵士に目配せをすると、その兵士が待機状態のミステリアス・レイディを取り上げる。

 

「………一体コレは如何言う事ですか? ゴルルコビッチ特使」

 

ゴルルコビッチを睨み付けながら、楯無はそう問い質す。

 

「如何もこうも無い。出来れば穏便に済ませたかったのだが、仕方有るまい。君には、是が非でも祖(・)国(・)へ来て貰う事にする」

 

その視線を流しながら、ゴルルコビッチはそう返す。

 

「正気ですか? こんな事をして、本当に“ロシアの為”になると考えているんですか?」

 

「ロシア? 違うな………私の祖国はたった1つ………“ソビエト連邦”だ!」

 

「「!?」」

 

ゴルルコビッチの言葉に、楯無と虚はまたも驚愕する。

 

「貴方………ソ連信奉者だったんですか!?」

 

「ソビエト連邦こそが、我々の祖国の“本来在るべき姿”だ。今や我が祖国は完全に堕落した! その祖国を、我々が正(・)し(・)い(・)姿(・)へと戻すのだよ! 既に祖国では我々の同志が行動を始めている頃だ!」

 

「馬鹿な! こんな時にクーデターを起こせば、ロージェノム軍に付け入られるだけよ!!」

 

「心配は御無用だよ。この日の為に我々はずっと計画を練っていた。電撃作戦によって首脳部は一瞬で墜ちる。そしてその瞬間に! 我が祖国ソ連が甦るのだ!!」

 

芝居掛かった口調で、高らかにそう言い放つゴルルコビッチ。

 

「更識女史………貴女は今日から“ソ(・)連(・)の代表操縦者”だ」

 

「………仮にクーデターが成功していたとしても、此処はIS学園だよ。ロシアだろうとソ連だろうと、無法な行いは許さないよ」

 

「そうです! 今に鎮圧部隊が来ます! 幾ら特殊部隊と言えど、ISには構いませんよ!!」

 

楯無と虚がそう叫ぶ。

 

「言ったでしょう? “この日の為にずっと計画を練って来た”って………」

 

するとゴルルコビッチはそう言って、簪を映していた映像を切り替える。

 

切り替わった映像に映っていたのは………

 

学園のIS部隊同士が、互いに戦闘を繰り広げている様子だった!!

 

「!? なっ!?」

 

「そんな!? ど、如何して学園のIS部隊同士で!?」

 

三度驚愕する楯無と虚。

 

[同志ゴルルコビッチ。説(・)得(・)は完了した。彼女達も祖国の為に働いてくれるそうだよ]

 

と其処へ、ザドルノフが映った別のモニターが展開した。

 

「御苦労。同志ザドルノフ」

 

映像のザドルノフに向かって、ゴルルコビッチはそう言い放つ。

 

「説得?………!? まさか!?」

 

其処で楯無が、改めて学園IS部隊同士の戦闘を見遣る。

 

争っている部隊の内、片方は………

 

先程アリーナで別れた、ロシアからの留学生達だった。

 

「!? 貴方! 彼女達を自分達の方へ引き入れたの!?」

 

[彼女達も同じ同志………計画の事を話したら喜(・)ん(・)で(・)協力すると言ってくれたよ]

 

楯無の声に、モニターのザドルノフが得意気な笑みを浮かべてそう言う。

 

「何て事………」

 

「ふふふ、更識女史。更に良い事を教えてやろう。たった今、別の同志達から連絡が入った。学生寮への爆弾設置が終わったとな」

 

「!?」

 

「コレで妹だけでなく、IS学園の生徒達が人質となったワケだ。では、改めて問おう………我が祖国へ来てくれるかな?」

 

「…………」

 

ゴルルコビッチの言葉に、楯無は沈黙する。

 

最早打つ手は何も無かった………

 

楯無に出来る事は、只突き付けられた問いにYESと答えるしかないのだろうか?

 

………いや!

 

未だだ!!

 

未だ終わっていない!!

 

この学園には………

 

“アイツ等”が居る!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・学生寮………

 

食堂………

 

「オラァッ!!」

 

ソ連兵をボディスラムで床に叩き付ける神谷。

 

「クッ!」

 

別のソ連兵が銃を向けたが、

 

「チェストオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

鉄パイプを持った一夏の横薙ぎの1撃でブッ飛ばされて、壁に叩き付けられる!

 

「このぉ!!」

 

業を煮やした別のソ連兵が、手榴弾を投げ付けようとしたが、

 

「ムンッ!」

 

「ガハッ!?」

 

不意を衝いて、弾がフライパンで顔面を殴り付けた!

 

翻筋斗を打って倒れ、気絶するソ連兵。

 

「片付いたな………」

 

其処で神谷が辺りを見回しながらそう言う。

 

見れば、食堂の彼方此方にソ連兵が気絶して倒れている。

 

「蘭、爺ちゃん、お袋。もう大丈夫だ」

 

「ほ、本当?」

 

「やれやれ、肝が冷えたぜ」

 

「一体何が起きてるの?」

 

弾が厨房の奥へとそう呼び掛けると、隠れていた蘭、厳、蓮が姿を現す。

 

「「神谷!」」

 

「「「「一夏〈さん〉!!」」」」

 

と其処で、シャルとティトリー、箒にセシリア、鈴、ラウラのグレン団メンバーがやって来る。

 

「皆! 無事だったのか!?」

 

箒達の無事に、安堵の息を吐く一夏。

 

「神谷! コレは一体何が起こってるの!?」

 

「分からねえ………だが、“碌でも無え事”が起きてるのは確かだな」

 

シャルの問いに、神谷はそう答える。

 

「如何しますか、アニキ?」

 

弾が神谷にそう問い質す。

 

「決まってんだろ………何処のどいつだか知らねえが! この俺の前で無法を働くたぁ、見逃しちゃあ置けねえ!! 行くぞ、テメェ等!! グレン団、出陣だぁ!!」

 

「「「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」」」」

 

神谷がそう声を挙げ、グレン団の一団は、学生寮を制圧した謎のソ連兵の排除へと出陣するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

今回から楯無編です。
ロシアへの招集を受ける楯無。
しかし、建前を言いつつも、彼女はグレン団の仲間達を置いていけないという。
だが、ロシアからの特使の正体は旧ソ連体制の信奉者。
ロシア国内でクーデターを企て、IS学園にも特殊部隊を展開し、留学生を同志に引き入れる。
この緊急事態に動けるのは………
我らがグレン団のみ!

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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