天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

85 / 137
第85話『残念………それ、フラグだよ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第85話『残念………それ、フラグだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日に日に勢いを増しているロージェノム軍に対抗する為、各国の戦力急増が進む中………

 

楯無をロシア本国へと招こうと、特使がやって来た。

 

コレまで対暗部用暗部・更識家の当主として、IS学園の生徒会長として、働いて来た楯無だったが………

 

初めて出来た対等の仲間達………

 

グレン団達との絆を思い、ロシアへ行く事を拒む。

 

だが、しかし!!

 

何と、特使であるゴルルコビッチとザドルノフは、ソ連の信奉者だった!

 

同じロシアの留学生達を説き伏せて同志に引き込み、特殊部隊によって学生寮を制圧し、簪と生徒達を人質に取るゴルルコビッチとザドルノフ。

 

更には、本国でも秘密裏にクーデターが進んでいる頃だと言い放つ。

 

ISを取り上げられ、人質を取られてしまった今………

 

楯無は彼等の要求に従うしか無いのか?

 

いや………

 

この学園には、未だ………

 

“アイツ等”が居る!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・学生寮………

 

通路………

 

「他の学生達は如何した?」

 

「全員其々の部屋に閉じ込めてある。逃げようとすれば射殺すると脅しておいたから、逃げ出そうとは思わんさ」

 

通路に居る2人のソ連兵がそう言い合う。

 

「まあ、どの道最後には全員爆弾で吹き飛ばすんだがな」

 

「同志ゴルルコビッチと同志ザドルノフはいつもやる事か過激だな。貴重なIS乗り候補を………」

 

「既にロシアの留学生は我々の同志へと引き込んでいる。他国のIS乗りなぞ、今の内に始末してしまった方が良いだろう。同志は完璧主義だからな」

 

「其れもそうだな………」

 

至って普通な様子で、恐ろしい会話を繰り広げているソ連兵達。

 

とその時、ゴトッ!という音が鳴った。

 

「「!? 誰だ!!」」

 

ソ連兵達は、直ぐに音のした方へと銃を向ける。

 

しかし、其処に在ったのは………

 

「………ダンボール箱?」

 

大きな段ボール箱だった。

 

「何でこんな所にダンボール箱が?」

 

「丁度“人1人”くらいは入れそうだな………」

 

ソ連兵達は怪訝な顔をしながらも、慎重にダンボール箱の傍へと近づく。

 

そして、片方のソ連兵が銃を構え、もう片方のソ連兵が、ダンボール箱を持ち上げようとする。

 

と、その瞬間!!

 

ソ連兵達の背後に、人影が降り立った!!

 

「!?」

 

「オラァッ!!」

 

銃を構えていたソ連兵が反応するよりも早く、背後に降り立った人物………神谷の回し蹴りが炸裂!!

 

「ガッ!?」

 

ソ連兵は壁に叩き付けられ、そのまま気を失う。

 

「な、何者だ!?」

 

ダンボール箱を持ち上げようとしていたソ連兵が、其れを中断して銃を構えようとした瞬間!!

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 

持ち上げようとしていたダンボール箱の中から、一夏が飛び出し、ソ連兵に背後から組み付く。

 

「な、何っ!?」

 

「どりゃあぁっ!!」

 

動きが止まったソ連兵の鳩尾に、神谷の拳が叩き込まれる。

 

「!?」

 

ソ連兵は、声も挙げられずに意識を狩り取られた。

 

「よっし!」

 

「アニキ、今の内に武器を」

 

「分かってるって」

 

神谷と一夏は、気絶したソ連兵から一通り武器を奪うと、彼等が持っていた縄で縛り上げる。

 

「終わった? 神谷」

 

「お前にしては鮮やかな手際だったな」

 

と其処で、隠れて様子を見ていたシャルや箒達が出て来る。

 

「おい、そりゃ如何いう意味だ?」

 

「まあまあ、アニキ………其れよりコイツ等、恐ろしい事言ってたな………」

 

「ああ、爆弾で皆フッ飛ばすとか言ってたよな………」

 

弾が若干顔を青褪めさせながらそう言う。

 

「そんな事させてたまるもんですか!」

 

「急いで爆弾を見つけて無力化しませんと!」

 

「しかし、奴等は何処に仕掛けたんだ? 占拠された寮の中を探し回るのは骨が折れるぞ」

 

鈴、セシリア、ラウラがそう言う。

 

「でも、グズグズしてたら、他の人達にも被害が及ぶ可能性が有るよ………」

 

「其れに、この状況を知ったロージェノム軍が好機と思って攻め込んでくるかも知れない………」

 

「如何すれば良いの………?」

 

悩む様子を見せるティトリーとシャル、蘭。

 

何時またロージェノム軍の襲来が有るとも知れない中で、この事態を長引かせるワケには行かない。

 

しかし、下手に動き回れば、他の生徒達を危険に晒す事になる。

 

「クソッ! せめて爆弾が仕掛けられている場所さえ分かれば………」

 

と、一夏がそう言った瞬間、

 

「地下だ。奴等は寮の地下室に爆弾を仕掛けている」

 

そう言う声が、何処からとも無く響いて来た。

 

「!? 誰だ!?」

 

「私だ」

 

箒がそう声を挙げると、壁の一部に隠れ身の術で隠れていたシュバルツが姿を現す。

 

「! シュバルツ・シュヴェスター!」

 

「何時も唐突に現れるわね、アンタ………」

 

一夏が驚きの声を挙げ、鈴が呆れる様にそう言う。

 

「そんな事は如何でも良い。爆弾は地下に仕掛けられている。そして仕掛けられている爆弾は………恐らくコバルト爆弾だ」

 

「!? コバルト爆弾だと!?」

 

其れを聞いたラウラが驚きの声を挙げる。

 

「ラウラ? 何だ、コバルト爆弾って?」

 

コバルト爆弾について聞いた事の無い一夏がそう尋ねる。

 

「核爆弾の一種だ………爆発するとコバルト60と言う物質を周囲に撒き散らし、強力な放射線によって人間は疎か、その爆心地を中心にした土地を長期に亘って汚染させる最悪の兵器だ」

 

「か、核!?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

神谷を除いたグレン団の一同が動揺の色を見せる。

 

まさか核爆弾を使って来るとは、予想だにしていなかった。

 

下手をすれば、学生寮どころかIS学園とその周辺までもが全滅してしまう………

 

事態は一気に重い展開となる。

 

「ビビッてんじゃねえ、お前等! コバルト爆弾だか小林だか知らねえが、俺達がやる事は1つだろうが!?」

 

しかし、神谷はそう言って一同を叱咤激励する。

 

「! そうだね、神谷!」

 

「授業で爆弾の解体は習ってんだ! コバルト爆弾だろうが何だろうが、解体してやるぜ!!」

 

途端にシャルや一夏達は勢いを取り戻す。

 

(フッ………動揺しても直ぐに立ち直る………コレは単に神谷のカリスマの力だけではなく、一夏達も数々の実戦を潜り抜けて経験を積んだ事が生きているな………まあ、未だ未だ青いがな)

 

そんな一夏達の様子を見て、シュバルツは内心でそんな事を思う。

 

「良し! こっからは分かれて動くぞ! 俺と一夏とシャルに箒が地下へ向かう! お前等は更に散らばって、寮中に居る兵隊野郎を片付けろ!」

 

「「「「「「おうっ!!」」」」」」

 

そんな間に、神谷達はコレからの行動を決定する。

 

「今回ばかりは状況が状況だ。私も手を貸そう」

 

其処でシュバルツは、グレン団に向かってそう言い放つ。

 

「ホントか!?」

 

「コイツはありがてぇな! シュバルツさんが居てくれれば心強いぜ!」

 

其れを聞いた一夏と弾がそう声を挙げる。

 

「お喋りはこの辺にしとけ………行くぞ!!」

 

と、神谷がそう言って会話を打ち切り、走り出す。

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

其れに続く様に、他の一同も方々へと走り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

生徒会室の楯無と虚はと言うと………

 

「…………」

 

数人の兵士に囲まれ、銃を突き付けられている簪の姿の映るモニターを前に、沈黙を続けていた。

 

「お嬢様………」

 

その楯無の様子を心配そうに見詰めている虚。

 

「更識女史。我々も忙しい。そろそろ答えをいただけませんかな?」

 

ゴルルコビッチが、そんな楯無に向かってそう言う。

 

「其れは………」

 

楯無は何か言い掛けて口籠る。

 

「ふ~、やれやれ、困った御嬢さんだ………オイ」

 

[ハッ!]

 

と其処で、ゴルルコビッチがモニターに映っている、簪を捕らえているソ連兵の1人に声を掛けたかと思うと………

 

「フンッ!!」

 

「!?」

 

その兵士はイキナリ、手に持っていた拳銃のグリップ部分で、簪の横っ面を殴り付けた!!

 

殴られた簪はブッ飛ばされ、床に倒れる。

 

「!? 簪様!!」

 

「!? 何をするの!?」

 

途端に虚と楯無が慌てる。

 

「言ったでしょう。我々も忙しい。早く答えを出して頂きたい。さもないと、大切な妹さんが目も当てられない事になってしまいますよ」

 

「貴方!!」

 

飄々と言い放つゴルルコビッチを、楯無は睨み付ける。

 

「おやおや? 如何やら、未だ状況が分かっていない様ですな………やれ」

 

[ハッ!!]

 

其れを見たゴルルコビッチが、再びモニターに映っているソ連兵達に目配せしたかと思うと、ソ連兵達の内2人が、倒れていた簪を無理矢理起き上がらせて押さえ付ける。

 

[へへへへ………]

 

そして残る1人が、下衆な笑い声を挙げ、その目の前で手の骨を鳴らす。

 

「! 止めて!!」

 

[シャエアァッ!!]

 

楯無の抗議も空しく、その拳が簪へと叩き込まれ様とする。

 

[!!]

 

だがその瞬間!!

 

簪がカウンター気味に繰り出した蹴りが、殴り付けようとして来たソ連兵の顔を捉えた!!

 

[ガッ!?]

 

仰け反って倒れるソ連兵。

 

[!?]

 

[! このアマァ!!]

 

すると押さえていたソ連兵達が、簪の身体を壁目掛けて思いっ切り突き飛ばす。

 

[………!?]

 

肺の中の酸素が強制的に吐き出され、簪はまた倒れそうになる。

 

[このぉっ!!]

 

と其処で、蹴りを喰らったソ連兵が拳銃を抜いて、簪へ向けた。

 

「! 止せ! 殺してはならん!!」

 

ゴルルコビッチがそう叫んだが、時既に遅く………

 

拳銃の引き金が引かれ、弾丸が簪へ向かう。

 

[………!!]

 

………だが!!

 

発射された弾丸は、()()()()()()に命中する。

 

[!?]

 

[馬鹿! 危うく殺すところだったぞ!]

 

[しかし、“この距離”で外すとはな………]

 

撃ったソ連兵は驚愕の様子を示し、残りのソ連兵は野次を飛ばす。

 

(外した?………いや、違う! 今、明らかに………『弾丸が此奴を避けた』様に見えたぞ!!)

 

しかし、撃ったソ連兵は身体を若干震わせながらそう思う。

 

そう………

 

先程外したと思われた弾丸だが、撃ったソ連兵には“弾丸の方が”簪を避けた様に見えたのだ。

 

[そ、そんなバカな事があって堪るか!!]

 

だが、そんな“有り得ない事”が起きた等とは認められず、撃ったソ連兵は簪を立ち上がらせ、再び拳銃を突き付ける。

 

その距離、実に眼前20㎝。

 

子供でも当てられる距離だ。

 

外す事は先ず有り得ない。

 

[オイ!?]

 

[馬鹿!?]

 

慌てて残り2人のソ連兵が止めようとしたが、其れよりも早く引き金が引かれ、弾丸が放たれる。

 

しかし!!

 

[…………]

 

目の前で発射された弾丸は、“物理法則を無視した方向”へと逸れて、簪から外れた。

 

[[[!?]]]

 

其処で残り2人のソ連兵も、異常に気付く。

 

「「「!?」」」

 

モニターでその様子を見ていた楯無や虚、ゴルルコビッチとソ連兵達も驚愕に包まれている。

 

[う、うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!]

 

そんな簪の特異性に恐懼したソ連兵はマシンガンを構え、簪に向かって発砲しようとする。

 

だが!!

 

信頼性が高い事で知られるロシア製の銃器が、突然ジャムり暴発!!

 

飛び散った部品の破片と弾丸が、撃ったソ連兵とその場に居たソ連兵達の頭を撃ち抜いた!!

 

[[[!?]]]

 

ソ連兵が絶命した瞬間、映像を送信していた装置にも被弾したのか、映像が砂嵐となる。

 

「ど、同志!!」

 

「あ、有り得ん………有り得ん事だ!!」

 

控えていたソ連兵1人に声を掛けられ、ゴルルコビッチは動揺しながらそう言い放つ。

 

(!! 今だ!!)

 

楯無も呆然としていたが、ゴルルコビッチ達よりも一瞬早く我に返り、待機状態のミステリアス・レイディを持ったソ連兵に飛び掛かった!!

 

「!? うおわっ!?」

 

そしてそのまま、ミステリアス・レイディを奪い返す。

 

「!? しまった!? ええい! 撃て撃てぇっ!!」

 

ゴルルコビッチが咄嗟にそう命じると、ソ連兵達は楯無と虚を狙って、一斉に発砲を開始した!!

 

粉塵に包まれる生徒会室。

 

一頻り撃つと、ソ連兵達は発砲を止める。

 

「………やったか?」

 

と、ゴルルコビッチがそう言った瞬間!!

 

「残念………其れ、フラグだよ」

 

粉塵の中からそう声が響いて来る。

 

「「「「「!?」」」」」

 

そして、徐々に粉塵が晴れて来たかと思うと、其処には………

 

ミステリアス・レイディを展開し、自分と虚を水のヴェールで守った楯無の姿が在った。

 

「残念だったね、ゴルルコビッチ」

 

水のヴェールを通常位置へと戻すと、蒼流旋を構えてそう言い放つ楯無。

 

「フフフ………」

 

しかし、ゴルルコビッチは未だ余裕が有る様に笑みを浮かべる。

 

「忘れたのですか、更識女史? 我々は学生寮に爆弾を仕掛けているのですよ?」

 

「!?」

 

其れを言われ、楯無はハッとする。

 

そしてゴルルコビッチは、リモコン式のスイッチの様な物を取り出す。

 

「コレが起爆スイッチだ。コイツを押せば、忽ち寮に仕掛けた爆弾が爆発し、貴様の妹も、この学園の生徒達も木端微塵だ!」

 

「クッ!」

 

楯無は苦い顔を浮かべる。

 

「(尤も、実は証拠隠滅用のコバルト爆弾だから、結局は爆発させるのだがな)さあ、ISを解除して貰おうか?」

 

と、ゴルルコビッチがそう言った瞬間………

 

「その必要は無えぜ! 楯無!!」

 

何処からとも無く、そう言う声が響いて来た!!

 

「!? な、何だ!? 誰だ!?」

 

ゴルルコビッチがそう声を挙げ、ソ連兵達も声の主を探し始める。

 

その次の瞬間!!

 

「おりゃああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

 

応接室の壁を突き破って、グレンラガンが姿を現した!!

 

「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」

 

突き破った壁の破片が、ソ連兵達に降り注ぎ、下敷きにする。

 

「き、貴様は!?」

 

「天下無双! 最強無敵のグレンラガン様よ! やい! このロシア野郎! テメェが仕掛けた爆弾は、俺達が捨てさせて貰ったぜ!!」

 

驚くゴルルコビッチを指差しながら、グレンラガンはそう言い放つ。

 

「な、何だと!? 出鱈目を言うな!!」

 

「嘘だと思うんなら、そのスイッチを押してみな!!」

 

「ええい! 後悔するなよ!!」

 

グレンラガンの挑発に乗り、スイッチを押すゴルルコビッチ。

 

しかし、“何も”起きなかった………

 

「!? 馬鹿な!?」

 

何度もスイッチを押すが、やはり何も起きない。

 

「形勢逆転だね、ゴルルコビッチさん」

 

楯無が、蒼流旋を再びゴルルコビッチへと向ける。

 

「大人しくお縄を頂戴しな!」

 

グレンラガンも、両手の指の骨を鳴らしながらそう言い放つ。

 

「クウッ!」

 

連れていたソ連兵もやられ、爆弾も無力化されたゴルルコビッチは、完全に追い詰められたかの様に見えた。

 

しかし、その時!!

 

「同志!!」

 

今度は応接室の窓が破られ、打鉄を装着しているロシアからの留学生が突入して来る!!

 

「!?」

 

「!? 何っ!?」

 

「コチラへ!!」

 

「おお! スマン、同志!!」

 

そのロシア留学生に助けられ、ゴルルコビッチは応接室から脱出する。

 

「あ! しまった!!」

 

「野郎! 逃がすか!?」

 

直ぐにグレンラガンが後を追う。

 

「虚! 此処に居て! 直ぐに戻るわ!!」

 

「分かりました!」

 

楯無も虚にそう言うと、グレンラガンに続いて、応接室を飛び出して行く。

 

「ありがとう、お蔭で助かったわ」

 

「良いって事よ。ダチ公同士のこったろ?」

 

途中、グレンラガンに追い付いた楯無はお礼を言うが、グレンラガンは当然の様にそう返す。

 

「ダチ公か………良いものだよね、ホント」

 

其れを聞いた楯無は、微笑を浮かべてそう呟く。

 

「あ? 何か言ったか?」

 

「其れよりも神谷くん? 一体如何やって爆弾を無力化したの?」

 

グレンラガンに其れを尋ねられると、楯無は誤魔化す様にそう質問する。

 

「ああ、ソイツは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数10分前………

 

IS学園・学生寮の地下………

 

「オラァッ!!」

 

「チェストオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

爆弾の見張りをしていたソ連兵を難無く倒す神谷と一夏。

 

シャルと箒は、地下室の入り口で、敵の増援が来ないかを見張っている。

 

「コイツがコバルト爆弾か………」

 

ソ連兵達が守っていたコバルト爆弾を見ながら、神谷がそう言う。

 

「アニキ、退がってて。今から起爆装置を解体するから」

 

其処で一夏が、予め持って来ていた工具箱を床に置いて開き、工具を取り出すと、コバルト爆弾の起爆装置の解体に掛かる。

 

「頼むぜ、一夏」

 

「…………」

 

神谷への返答も儘ならぬまま、一夏は爆弾解体に集中し始める。

 

自分の手に、IS学園の生徒達の命が懸かっているのだ。

 

失敗する事は許されない………

 

緊張感から冷や汗を流しながらも、一夏は慎重に解体を進めて行く。

 

ネジを外し、カバーを取る。

 

衝撃センサーを無力化すると、先ずは基盤を外し始める。

 

そして複雑に絡まっているコードを、1本1本丁寧にニッパーで切断して行く。

 

「この次が黒………其れから緑………白………黄色………オレンジ………」

 

慎重に………慎重に解体を進めて行く一夏。

 

だが、その最中(さなか)………

 

紫のコードを切った瞬間!!

 

突如起爆装置からビービー!と言う警報の様な音が鳴ったかと思うと、タイマーの様な物が時を刻み始めた。

 

「!?」

 

「如何した!?」

 

「マズイ! タイマーが作動した!! このままじゃ後1分で爆発する!!」

 

「んだと!? 急げ、一夏!!」

 

「ああ! 後は、この2本のコードを………」

 

焦る一夏だが、既に解体は最終段階まで進んでいる。

 

後は、セオリー通りならば赤か青のコードのどちらかを切ればタイマーは止まり、爆弾を処理出来る筈である。

 

(どっちだ………どっちなんだ!?)

 

プレッシャーから、どちらを切るか選べずに居る一夏。

 

その間にも、タイマーは無情に時を刻んで行く………

 

「オイ、一夏! もう時間が無いぞ!!」

 

「赤か……其れとも青か……?」

 

神谷が声を掛けるが、一夏は脂汗をダラダラと流しながら、どちらを切るかの決断をしかねている。

 

そして遂に、タイマーの表示が10秒を切った。

 

(時間が無い! ええい! こうなったら!!)

 

と、遂に決断し、決めた方のコードを切ろうとしたところ………

 

「ええい! 何やってんだ、まどろっこしい!! どっち切るか分からねえんだったら、こうしちまえ!!」

 

神谷の手が横から伸びて来て、残っていた赤と青のコードを引っ摑む。

 

「えっ!?」

 

一夏が驚きの声を挙げた瞬間、

 

「おりゃああぁっ!!」

 

神谷は、赤と青のコードを思いっ切り引き千切った!!

 

「うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!? アニキの馬鹿ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

一夏はそう叫ぶと、慌てて爆弾に背を向け、床に伏せる。

 

しかし………

 

予想した爆発音も、爆風も、熱すらも全く襲って来ない………

 

「………アレ?」

 

不審に思いながら、一夏が振り返ると………

 

其処には、タイマーが残りー0.1秒で止まっている爆弾が在った。

 

「見ろ。上手く行ったじゃねえか」

 

片手に赤と青のコードを握ったままの神谷が、一夏に向かってそう言い放つ。

 

「と、止まった………?」

 

一夏は信じられないと言った様子で、爆弾をマジマジと観察する。

 

「へへっ、ざっとこんなもんよ」

 

(………コレもアニキが成せる業なのかな?)

 

得意そうに笑う神谷に、一夏は心の中でそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、ワケだ」

 

「…………」

 

グレンラガンの話を聞いた楯無は、唖然とした顔になる。

 

「其れ、1歩間違えたら、貴方も生徒達も皆死んでたどころか、この辺り一帯も壊滅してた、って事よね?」

 

「馬鹿野郎! 俺がそんなヘマするかよ!?」

 

「ハアア~~~」

 

当然の様にグレンラガンはそう言い返し、楯無は溜息を吐いた。

 

「毎度毎度、ホントに貴方は………何時もコッチの予想の斜め上を行く事をしてくれるわね」

 

「そう褒めんなって………」

 

「………行くよ」

 

コレ以上は何を言っても無駄だと思い、追跡スピードを上げる楯無だった。

 

「あ、この野郎! 俺より先に行こうたぁ、良い度胸だ!!」

 

其れを見たグレンラガンも、即座にスピードを上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

IS学園を占拠した旧ソ連軍。
簪も人質に取り、楯無を引き入れるのも時間の問題かと思われたが………
彼等の計算外は、簪が異能生存体だった事と、グレン団の存在を甘く見た事です。
追い詰められた連中は次回………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。