天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

87 / 137
第87話『空から降って来た男! 雪だるさんだ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第87話『空から降って来た男! 雪だるさんだ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソ連復活を目論み、楯無をロシアへと引き込もうとしたゴルルコビッチとザドルノフ。

 

その野望はグレン団によって阻止され、2人は逮捕されたが………

 

2人の同志達がロシア国内で起こしたクーデターを察知していたロージェノム軍が、ロシアへ大部隊を進撃させた。

 

結果、クーデターで混乱していたロシア軍はクーデター軍諸共壊滅。

 

ロシアはロージェノム軍の手に落ちる。

 

不幸中の幸いと言って良いか………

 

ISの登場により、冷戦時代からロシアが保有していた核ミサイルは全て廃棄されていた為、“ロージェノム軍が核を手にする”という最悪の事態は免れた。

 

尤も、核兵器()()の兵器等、ロージェノム軍にはザラに有るのだが………

 

ロシア陥落のニュースは忽ち世界中を駆け巡り、各国の政治家と軍人、人々を驚愕させる。

 

嘗てはアメリカと世界を2分し、常任理事国でもあったロシアが壊滅………

 

既にロージェノム軍が陥落させた国は半数以上に上っていたが、其れでも“大国”は持ち堪えていた。

 

しかし、その大国の1つであるロシアが陥落したというのは、人々を更なる絶望の底へ沈ませる事となる。

 

一部の国では、絶望した人々が暴徒と化している、と言う噂も流れ始めている。

 

最早一刻の猶予も無い、とリーロンは、漸く完成した量産型グラパールのデータを、未だ陥落していない国へと公開。

 

各国は、直ぐ様グラパールの量産に手を付け始める。

 

幸いにもISから多くの技術が流用可能だった為、ISでの軍備体勢を整えていた各国は、速やかな量産化を実現する事が出来た。

 

しかし、配備が整うまでの間に、今の前線部隊が持ち堪えられるのだろうか?

 

最早、戦況は完全に人類側が不利となっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その影響は、やはりIS学園にも出始める。

 

今まで残っていた生徒の中にも、遂に退学したり、国に緊急召集される生徒が出始める。

 

只でさえ減っていたIS学園の生徒数は更に減少………

 

教員の中にさえ辞表を提出する者が出始めていた。

 

アレ程の膨大な人数を誇っていたIS学園は、すっかり寂れてしまっている………

 

其れでも、残っている生徒達の為に、残った教員達が今日も授業を行うのだった。

 

そして、今日は校外実習の日………

 

グレン団を含めた、IS学園残留生達が向かったのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北の大地………

 

北海道である。

 

雪の降り積もる大雪山に、寒冷地装備で集合している生徒達。

 

「良し! 全員集まったな!!」

 

防寒着を着ている千冬が、雪原に集合している生徒達に向かってそう言う。

 

「これより雪中戦の訓練を行う! ISに限った話では無いが、雪中戦は非常に危険な戦闘だ。寒さは体力を奪い、精密機器の故障率を跳ね上げる。だから訓練と言っても気を抜くな! 全員私の指示に従え!!」

 

生徒達に向かってそう言い放つ千冬。

 

「あの………織斑先生」

 

「既に1人、遊び呆けている人が居ます」

 

と、生徒達が恐る恐ると言った様子でそう報告する。

 

「あ~、皆まで言うな。分かっている………」

 

千冬は顔に手を当て、苦々し気な表情をしながら、その“遊び呆けている人物”に視線を向ける。

 

「良し、出来た!! 空から降って来た男! 雪だるさんだ!!」

 

どーんっ!!と言う効果が見えそうな感じで、神谷は完成させた2メートル程は有りそうな雪達磨(神谷曰く雪だるさん)を見上げる。

 

「オイ、神谷! 何をやっている!?」

 

「おお、ブラコンアネキ! 如何だ!? カッコイイだろ!?」

 

千冬の怒鳴り声を意にも介さず、神谷は自分が作った“雪だるさん”を示しながらそう言う。

 

「馬鹿者! 我々は遊びに来ているのではないぞ! もっと緊張感を持ったら如何だ!?」

 

当然の如く、説教を始める千冬だったが、

 

「それ! 雪だるパンチ!!」

 

神谷は雪だるさんの後ろに回ると、手の部分に使っていた木の棒を後ろから叩き、ロケットパンチの様に発射した。

 

「ブッ!?」

 

放たれた木の棒は、千冬の額に命中。

 

千冬が大きく仰け反る。

 

「ハハハーッ! 見たかぁ!!」

 

笑いながらそう言う神谷だったが、次の瞬間!!

 

「貴様ぁ何をするーっ!?」

 

怒りの声と共に千冬が飛び蹴りを放ち、雪だるさんを破壊する。

 

「あーっ! 雪だるさんが!? この野郎!!」

 

神谷は雪を摑んで雪玉を作ると、千冬の顔面目掛けて投げ付ける!!

 

「ブッ!? 貴様ーっ!!」

 

反撃にと、千冬も雪玉を作って投げ付ける!!

 

「ぼっ!? やりやがったなぁーっ!!」

 

其処でまたも雪玉を投げ付ける神谷。

 

そのまま2人は、雪合戦に突入する。

 

「アチャ~、また始まった………」

 

「ああなると、神谷も織斑先生も長いんだよね」

 

その様子を見て、一夏とシャルが呆れた様に呟く。

 

「ホント、毎回飽きずに良くやるわね………」

 

「オイ! 神谷!! いい加減に………」

 

鈴も呆れた様に溜息を吐き、箒が止めようとそう言った瞬間!

 

2人の顔面に、流れ雪玉が命中した!!

 

「「ブッ!?」」

 

一瞬で顔が真っ白になる箒と鈴。

 

やがて雪が剥がれて、赤くなった顔が露わになると………

 

「「………うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」

 

2人も神谷に向かって雪玉を投げ始める!!

 

「オ、オイ! 2人共!!」

 

「一夏! 俺達も行くぞ! 踊る阿呆に見る阿呆! 同じ阿呆なら踊らにゃ損々よ!!」

 

と一夏が2人を止めようとしたところ、弾がそう言って神谷側に付いた。

 

「ちょっ!?」

 

「神谷! 今助けるからね!!」

 

更に愛故か、シャルも神谷の味方に付く。

 

人数が増えた事で、雪合戦は更に激化!

 

グレン団のみならず、他の生徒達にも次々に流れ雪玉が命中して行く。

 

「ブッ! やったなー!!」

 

「うわっ! このぉーっ!!」

 

忽ち生徒達も雪合戦に参加し始め、一大雪合戦へと発展する。

 

「み、皆さん! 織斑先生! 止めて下さーい!!」

 

必死に止めようとする真耶の声が、大雪山に虚しく響き渡るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その大雪山の山奥深くにて………

 

雪が降り積もり、真っ白な世界の中に溶け込む様に蠢いている、巨大な影が在った………

 

螺旋四天王が1人、怒涛のチミルフの座乗艦『ダイガンザン』だ。

 

山の中を歩いていたダイガンザンは、やがて或る地点に到達すると、足を止める。

 

「よーし、この辺りで良いだろう………作業に掛かれ!!」

 

「ハッ! 了解しました!!」

 

「ガンメン部隊発進! 直ちに作業に掛かれ!!」

 

ダイガンザンの艦橋で、艦長席に座って居たチミルフがそう命じると、艦橋要員の獣人が復唱と艦内放送をする。

 

すると、ダイガンザンの格納庫の扉が開き、中から何やら機材を抱えたガンメンやレッドショルダー達が発進し始める。

 

そのままダイガンザンの傍へと降りると、持っていた機材を組み上げ始める。

 

「ようし、ダイガンザンはこのまま此処で待機。レーダー感度を最大にまで上げておけ。其れから、周辺への警戒部隊も出撃させろ」

 

「ハッ!!」

 

再びのチミルフの命令を、全部隊に通達する艦橋要員の獣人。

 

[チミルフよ………]

 

すると其処で、艦橋内にロージェノムの声が響いて来た。

 

「コレはロージェノム様!」

 

音声通信にも拘らず、畏まった姿勢を取るチミルフ。

 

[大雪山凍結要塞化計画は如何だ?]

 

「ハッ! 只今、装置を設置するのに最適な場所を発見致しました。これより組み立て作業に入ります」

 

[期待しておるぞ………]

 

チミルフの返事を聞くと、ロージェノムはそう言って通信を切る。

 

「ロージェノム様が期待を………有り難き幸せ。作業を急がせろ!!」

 

「ハッ!!」

 

ロージェノムの言葉を聞いたチミルフは感動している様な様子を見せたかと思うと、艦橋要員の獣人にそう言い放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其れから数時間後………

 

結局、訓練時間を全て雪合戦に費やしてしまったIS学園の一同は、日が暮れた事もあり、拠点としている多人数が泊まれる大型コテージへと引き上げていた。

 

 

 

その大型コテージの千冬の部屋にて………

 

「ブエックシッ!!」

 

「7度4分………完全に風邪ですね」

 

布団に入って顔を赤くし、額に氷嚢を置いて寝ている千冬の傍に居た真耶が、千冬の体温を計った体温計を見ながらそう言う。

 

雪合戦中、散々(主に神谷から)雪玉をぶつけられた千冬は、風邪を引いてしまっていたのだ。

 

「オノレェ~、神谷めぇ~~」

 

恨み言を呟くその声も、何処か弱々しい。

 

「うっ!? ゴホッ! ゴホッ!」

 

「ああ! 無理しないで下さい! 今はゆっくりと寝て下さい」

 

「すまない、山田くん………」

 

「こう言う時の副担任ですから………さ、御粥をどうぞ」

 

まるで母親の様に、甲斐甲斐しく千冬の世話を焼く真耶だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

千冬が寝込む原因となった神谷はと言うと………

 

「王様ゲーーーームッ!!」

 

「いよー! 待ってたぜ、大統領!!」

 

自分と一夏と弾の宿泊部屋に、グレン団メンバーを集め、王様ゲームに興じている。

 

毎度の事と言えば毎度の事だが、まるで反省していない………

 

「って言うか、何で王様ゲーム!?」

 

「勿論! 私の発案だよ!!」

 

一夏がそうツッコミを入れると、楯無が当然の様にそう返した。

 

「やっぱり貴方ですか………」

 

「まあまあ、一夏。こう言うのは盛り上がったモン勝ちだぜ」

 

呆れる一夏に、ワクワクしている弾がそう言う。

 

「いや、何か………妙に寒気がするんだけど?」

 

しかし一夏は、コレから始まる王様ゲームに妙な不安を抱いている。

 

其れもその筈、何故ならば………

 

(((((王様を引くのは私〈アタシ〉だ!!)))))

 

既に、箒・セシリア・鈴・ラウラ・蘭の女子メンバー達が、交差させた視線から火花を散らしてヒートアップしているのだ。

 

誰が王様になったとしても、(一夏にとって)碌でもない目に遭う事は目に見えている。

 

「は~い! 其れじゃ行くよー! 皆、割り箸を………」

 

「ちょっと待って………姉さん………」

 

と、楯無がノリノリで籖である割り箸を引かせようとしたところ、簪が其れを止めた。

 

「え~、簪ちゃん~。何で止めるの~?」

 

ブー垂れながらそう言う楯無だったが………

 

「………ティトリー………籖の管理は貴女がやって………」

 

簪は気にも掛けず、楯無から籖を取り上げると、ティトリーに管理を委ねる。

 

「えっ? あ、うん………」

 

ティトリーは戸惑いながらも籖を受け取る。

 

「………姉さんがやると………どんな“不正”をするか………分からないからね………」

 

その直後に、簪は楯無を見ながらそう言う。

 

「(ギクッ!!)や、やだなぁ、簪ちゃん! 私がそんな事するワケないじゃな~い。アハハハハ」

 

笑ってそう言う楯無だったが、実を言うとその服の袖の中には、大量の籖が隠されている………

 

アンタ、修学旅行で懲りてないだろ!?

 

「じゃあ~! 改めて引こうか~!」

 

のほほんがマイペースにそう言うと、全員が籖へと手を伸ばす。

 

そして一気に引く。

 

「王様だ~れだ?」

 

のほほんがそう言うと………

 

「おっ! 当たったぜ!」

 

神谷が籖の先に赤い印が付いているのを見てそう言う。

 

「「「「「ゲッ!? 神谷ぁ!?」」」」」

 

途端に絶望し切った表情となる一同。

 

「何だよ、その顔は? そんな態度取るんだったら、如何してやろうかな~?」

 

悪い顔をしてニヤニヤと笑いながら、神谷は一同を見遣る。

 

「「「「「…………」」」」」

 

絶対に碌でもない命令が来ると思い、一同は緊迫感から息を呑む。

 

「よしっ! 決めた!! 3番のケツにタイキックを見舞ってやる!!」

 

「「「「「やっぱり~!!」」」」」

 

神谷がまるで何処ぞの笑ってはいけない番組の様な事を言うと、箒達から悲鳴の様な声が挙がる。

 

「さ~て、誰だ? 3番は?」

 

「あ、あの、アニキ………俺………3番」

 

得物を狙う獣の様な目をした神谷に、一夏がおずおずと手を上げながらそう呟く。

 

「………お気の毒様だな」

 

一瞬驚いた様な顔をした神谷だったが、すぐにニヤリと笑うと、ムエタイの様な構えを取る。

 

「えっ!? ちょっ!? 本気でやるの!?」

 

「当たり前ぇだろ! でなきゃ、罰ゲームになんねえだろ!?」

 

「ちょっ!? 止めて!!」

 

逃げようとした一夏だったが、弾が其れを押さえる。

 

「弾!?」

 

「一夏………“王様の命令は絶対”だ」

 

「裏切り者おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!」

 

「ハイヤアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

一夏が絶叫を挙げた瞬間、神谷のタイキックが、一夏の尻に命中する!

 

「ギャアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?」

 

コテージを揺るがす程の一夏の絶叫が響き渡った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~い! それじゃあ、2回戦に行くよ~!」

 

「お、お~」

 

相変わらずマイペースにそう言うのほほんに、尻を上げた状態で床に俯せに倒れている一夏が右手を上げる。

 

「「「「「…………」」」」」

 

「さ~て、今度の王様は誰だぁ?」

 

その所為で箒達が神谷を睨み付けているが、神谷は意に介していない………と言うより、全く気付いていない。

 

「………私」

 

すると其処で、簪が先が赤い籖を上げながらそう言う。

 

「お~! かんちゃんが王様だ~」

 

「簪ちゃん。なるべく過激なのを頼むわよ!!」

 

のほほんと楯無がそう注文する。

 

「過激………」

 

そう言われて、考え込む様な様子を見せる簪。

 

「………良し」

 

すると何かを思い付いたかの様に、荷物が入った鞄を漁り始める。

 

そして取り出したのは、何と………

 

リボルバー式の拳銃だった。

 

「「「「「「えっ!?」」」」」」

 

何をする気だと、箒と楯無達の顔が青褪める。

 

そんな中、簪は拳銃の弾倉から弾丸を5発抜くと、1発だけ装填した状態で弾倉を戻し、数回転させる。

 

「………5番が………ロシアンルーレット」

 

そして、リボルバーの銃身を握ってグリップを差し出す様にしながら、そう言い放った。

 

「ちょっ!?」

 

「其れは過激過ぎるでしょ!?」

 

一夏と鈴が、そうツッコミを入れる。

 

「大丈夫………装填されてるのは………ペイント弾だから………」

 

そんな2人に向かってそう言う簪。

 

しかしペイント弾と言えど、ロシアンルーレットの様に米神に当てて撃つと言う、至近距離からの当て方なぞすれば、かなりの痛みの筈である。

 

そして、簪が指定した5番のくじを持っていたのは………

 

「………うわぁ………」

 

楯無であった。

 

「………ハイ」

 

簪はそんな姉に、微笑みながらリボルバーを差し出す。

 

「簪ちゃん………最近()()性格になって来たよね………」

 

其れを受け取りながら、楯無は愚痴る様にそう言う。

 

「そう………?」

 

「ま、まあ、でも確率は6分の1! 運が良ければ生き残れる!!」

 

楯無は自らを奮い立たせる様にそう言うと、リボルバーの銃口を米神に当て、引き金を引いた。

 

その瞬間!!

 

バンッ!!という破裂音がして、楯無が赤い液体を撒き散らしながら倒れる。

 

「ちょっ!?」

 

「まさか1発目から当たり!?」

 

一夏と弾が慌てていると………

 

「………最悪」

 

自慢の水色ヘアーと身体の半分が、赤いペイント弾で真っ赤に染まった楯無が起き上がる。

 

「クククク………」

 

其れを見た簪は、必死に笑いを堪えているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて王様になったのは鈴………

 

「よ~し! 行くわよ~!!」

 

立ち上がると、一夏達を指差しながらそう言う鈴。

 

「そうね~………うん! 6番が王様の耳掃除!!」

 

鈴が高らかにそう言い放つと………

 

「あ、6番、俺だ」

 

漸くダメージが回復した一夏がそう声を挙げる。

 

「!? マジで!?」

 

途端に鈴は、一夏に詰め寄る!

 

「あ、ああ………」

 

少々引きながら、一夏は鈴に6番の籖を見せる。

 

「(やりぃっ!!)ふふん! 王様の命令は絶対よ!!」

 

内心でガッツポーズを決めながら、鈴は一夏の膝に頭を乗せる。

 

「オイオイ………しょうが無いな………」

 

一夏は呆れる様な様子を見せながらも、綿棒を握って耳掃除を始める。

 

(ハワ~~~………良いわね………コレ………)

 

((((ギギギギギギギ………))))

 

一夏には見えない様にしながら至福の表情を浮かべている鈴と、その様子に嫉妬の炎を燃え上がらせる箒達。

 

「さ~て、盛り上がって来たな」

 

「うん。“色んな意味”でね………」

 

その様子を見て、笑いながらそう言う神谷と、冷や汗を掻きながらそう言うシャルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~い! 私だよ~!」

 

続いての王様はのほほん。

 

「んじゃあ~………1番が9番の膝に乗って、頭ナデナデして貰う~!!」

 

「ええっ!? また俺!?」

 

9番の籖を持った一夏がそう声を挙げる。

 

「フフフ………流石は私の嫁だ。空気が読める」

 

そんな一夏の前に、1番の籖を持ったラウラが仁王立ちする。

 

「ラ、ラウラ………」

 

「では、イザ………」

 

戸惑う一夏を他所に、ラウラは一夏をベッドに腰掛けさせると、その膝の上にチョコンと乗る。

 

「うう………」

 

“女子に膝の上に乗られる”と言う奇妙な感覚を感じ、困惑する一夏。

 

「オイ、一夏。何をしている?」

 

「えっ? 何って………」

 

「だから、その………あ、頭ナデナデは如何した!?」

 

台詞の後半で若干照れた様子を見せ、ラウラは怒鳴る様に一夏にそう言う。

 

「お、おう………」

 

驚きながらも、一夏はラウラの頭を優しく撫で始める。

 

「はうわっ!?」

 

途端に、ラウラは珍妙な声を挙げる。

 

「ど、如何した!?」

 

「な、何でも無い! 続けろ!!」

 

「わ、分かった………」

 

そのまま頭を撫で続ける一夏。

 

(はわわ~~~ん)

 

ラウラは、今にも蕩けて行きそうな表情を浮かべて、幸せそうにしている。

 

((((ギギギギギギギ………))))

 

そしてその様子に箒達は、嫉妬の炎を(以下略)………

 

 

 

 

 

「あ、私だ」

 

続いて王様の籖を引いたのはティトリー。

 

「ティトリーちゃん、本音が膝乗せだったんから、もっと上をお願いね」

 

未だ身体の半分が真っ赤な楯無が、ティトリーに向かってそんな事を言う。

 

「もっと上? それじゃあ………2番が5番に抱き付く」

 

「うわっ!? また俺だよ!?」

 

5番の籖を持っていた一夏がそう声を挙げる。

 

「い、一夏さん………わ、私………」

 

そんな一夏に、何やら動揺した様子を見せながら声を掛けるセシリア。

 

その手には、2番の籖が握られている。

 

「こ、今度はセシリアか………」

 

「王様の命令は!」

 

「ぜった~い!」

 

楯無とのほほんがそう言って逃げ場を塞ぐ。

 

「し、心配要りませんわ、一夏さん! 飽く迄ゲーム! ゲームなのですから!」

 

まるで自分に言い聞かせているかの様にそう言うと、未だベッドに腰掛けていた一夏の首に両腕を回し、膝に乗る様にして身体を密着させた。

 

「「ああ~~~~~っ!?」」

 

「き、貴様!!」

 

「何をしている!?」

 

途端に、箒達から抗議の声が挙がる。

 

「し、仕方有りませんわ! 座って居る人に抱き付くならこうしませんと………ねえ、一夏さん?」

 

「お、おう………」

 

セシリアの言葉に、一夏は真っ赤になった顔を背けながら曖昧に答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった! 遂に来た!!」

 

今度の王様は蘭。

 

(落ち着け、落ち着くのよ、五反田 蘭………未だ一夏さんがどの番号の籖を持っているのかは分からないのよ………)

 

逸る心を鎮めながら、蘭は必死に脳細胞(みそ)を回転させる。

 

そして、この状況で“自分が取るべき行動”を導き出す。

 

「(神様! お願いします!!)4番が王様を………お、お姫様抱っこ!!」

 

やがて、意を決した様にそんな台詞を言う。

 

「………まただよ。何か作為働いて無いか?」

 

そして、幸運にも蘭が指名した番号籖を持っていたのは一夏だった。

 

コレも主人公補正だろうか?

 

「い、一夏さん!! お、お願いします!!」

 

「ああ、分かったよ………それじゃあ、失礼して」

 

緊張感丸出しの蘭に対し、彼女を()の様に見ている一夏は特に他意も無く、ヒョイッと蘭を抱き上げる。

 

「キャッ!?」

 

抱き上げられた蘭は、咄嗟に一夏の首に腕を絡ませる。

 

「如何だ、蘭? コレで良いか?」

 

「は、ハイ………」

 

頭から湯気が昇って居る蘭は、一夏にお姫様抱っこされたまま固まってしまう。

 

((((ギギギギギギギ………))))

 

そしてその様子に箒達は、嫉妬の(以下略)………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、私ですね」

 

そう言ったのは虚。

 

その手には王様の籖が握られている。

 

「ん~と、如何しましょう………あ、其れじゃあ………1番の人が7番の人の頬にキスで」

 

「「「「「!?」」」」」

 

キスと言う単語を聞いた箒達の目の色が変わる。

 

「おお! 虚さん、大胆っすね」

 

「そ、そうかな? コレぐらい良いかなと思ったんだけど………」

 

弾と虚がそんな事を言い合っているのを他所に、箒達は自分の籖の番号を確認している。

 

(!! 1番だ!! では、7番は!?)

 

そして1番の籖を持っていた箒が、相手の7番を探す。

 

「ちょっ! 一寸待ってくれ!!」

 

そう声を挙げたのは一夏。

 

その手には7番の籖が握られている。

 

(!?)

 

其れを確認した途端に、箒の顔は一瞬でトマトの様に真っ赤になる。

 

「キース! キース!」

 

「キ~ス! キ~ス!」

 

退却は許さないと言う様に、キスコールを始める楯無とのほほん。

 

「い、一夏!!」

 

其処で、箒は一夏に近寄りその胸倉を摑み上げる。

 

「ほ、箒!? ひょっとして………」

 

一夏が何か言おうとしたところ………

 

「んんっ!!」

 

箒は勢いのままに、一夏の頬へと口付けた。

 

「!?!?」

 

流石のスーパー朴念仁一夏も、コレには顔を真っ赤にする。

 

「「「「!!??」」」」

 

其れを見ていたセシリア・鈴・ラウラ・蘭の顔も驚愕に染まる。

 

………と、次の瞬間!

 

箒が、脱力した様にそのままバタリと俯せに倒れた!

 

「ほ、箒!?」

 

「わ、我が生涯に………一片の悔い無し………」

 

まるで世紀末覇王の様な台詞と共に、箒は力尽きる。

 

「箒いいいぃぃぃぃーーーーーっ!! 死ぬなああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

 

いや、死んで無いから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王様キターーーーーーッ!!」

 

何処ぞの宇宙ライダーの様に叫びながら、王様の籖を皆に見せ付ける楯無。

 

「ふふふふ………覚悟してよ~、皆」

 

悪い顔をしながら、皆に向かって楯無はそう言う。

 

如何やら、未だ先程のロシアンルーレットが尾を曳いている様だ。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

碌でもない事になると確信し、神谷以外のグレン団メンバーは息を呑む。

 

「其れじゃあ………2番と8番がキッス! 勿論、口と口で!!」

 

「「「「「「!?」」」」」

 

その時、一同に電流が走る。

 

そして、一斉に自分の籖を確認し始める。

 

「さあ~! 誰だぁ!? 2番と8番は~!!」

 

そんな一同を見ながら、ノリノリでそう言う楯無。

 

「あ、俺、2番だ」

 

「わ、私………8番」

 

すると、弾と虚がそう声を挙げた。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

“色んな意味”で、弾と虚に視線が集中する。

 

「え、えっと………お嬢様、其れは流石に………」

 

「虚さん………」

 

虚が流石に無理だと言おうとしたが、弾がそんな虚の肩を摑んで自分の方に向かせる。

 

「!? 弾くん!? だ、駄目よ! こんな()()で………」

 

「良いじゃないっすか、別に()()()でも無し。見せ付けてやれば………」

 

戸惑う虚を他所に、弾はサラッとカミングアウトしながら、顔を近付けて行く。

 

「あ、ちょっ!?………ん!?」

 

そしてそのまま、唇と唇が重なる。

 

「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~っ!?」」」」

 

一部のメンバーから歓声が挙がる。

 

「失敗した………コレはコッチのダメージが大きいわ………」

 

そんな中で、口から砂糖を吐きそうになっている楯無がそう呟くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お! 今度は俺だ!」

 

傍に真っ赤になって縮こまっている虚を置きながら、王様の籖を引いた弾。

 

「う~ん、如何っすかな~?」

 

顎に手を当てながら、何を命令しようか考える。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

グレン団の一同は、再び緊迫した空気に包まれる。

 

「よ~し、そんじゃ! 良い具合に盛り上がって来た事だし………1番と2番が全力でイチャイチャする!!」

 

と其処で、ノリに乗った弾はトンでもない命令を下す。

 

「えっ!? 僕2番だけど!?」

 

2番の籖を引いていたシャルが、そう声を挙げる。

 

「じゃあ、1番は誰だ?」

 

6番の籖を持っている一夏が、他のメンバーを見ながらそう言う。

 

「んなモン決まってんだろ」

 

と、其処でそう声を挙げる神谷。

 

その手には1番の籖が握られている。

 

「か、神谷!?」

 

「そんじゃあまあ、イチャイチャするとするか………」

 

驚くシャルを見ながら、何を思ったのか、神谷はマントと上着を脱ぎ始める。

 

「えっ!? ちょっ………神谷、何で脱ぐの?」

 

「何でって………イチャ付けば良いんだろ?」

 

完全に、上半身(サラシ)だけになると、シャルの方へと迫る神谷。

 

「ちょっ!? ま、待って神谷!! ストップ!!」

 

「良いでは無いか、良いでは無いかっ!!」

 

そう言う台詞と共に、神谷はシャルに飛び掛かった!!

 

「キャアッ!? ま、未だ心の準備が~~~~っ!!」

 

「ちょっ!? アニキ!?」

 

「神谷!! 貴様ーっ!!」

 

「其れは流石に洒落(シャレ)にならないよーっ!!」

 

危うくR指定な光景になりそうなところで、一夏達が止めに入る。

 

こうして、グレン団達の夜は更けて行った………

 

………R指定になりそうだったシャルが、止められて若干“残念そうな表情”をしていたのは気の所為だ、と思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

校外学習、北の大地編。
郊外学習でロージェノム軍に鉢合わせ。
安定のエンカウント率です。

まだその存在には気づいていない為、一先ずはラブコメ模様をお届けしました。
次回から大雪山を舞台に熱い戦いが繰り広げられます。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。