天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第9話『オメェがどっかに行く必要なんざねえ! 此処に居やがれ!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第9話『オメェがどっかに行く必要なんざねえ! 此処に居やがれ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園………

 

シャルルとラウラが転校して来て数日経ったある日の土曜日………

 

神谷と一夏、そして箒にシャルル達は自主練の為に、アリーナに集まっていた。

 

休日には自主練する生徒の為に、アリーナが全開放されるので、彼方此方に他の生徒達の姿も見える。

 

そんな中で、一夏は彼の実力を見たいと言うシャルルと模擬戦を行った。

 

コレまで箒達に習った事や、神谷直伝の喧嘩殺法を駆使して善戦した一夏だったが………

 

シャルルの専用機『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』の大容量の拡張領域を活用した………

 

事前に武装の呼び出しをせずに戦闘と同時進行で武装を呼び出すシャルルの特技『高速切替(ラピッド・スイッチ)』によって攪乱され、シールドエネルギーがゼロになって敗北した。

 

 

 

 

 

「クッソーッ! 負けたーーっ!!」

 

負けた事を悔しがっている白式を装着したままの一夏。

 

「そう腐るな、一夏。良い勝負だったぜ」

 

そんな一夏を慰める様に肩を叩く、頭部を除いてグレンラガンとなっている神谷。

 

「いや~、驚いたよ。一夏って、型に嵌らない戦い方するから………シールドを使わずに装甲で攻撃を防いで無理矢理近づいて来たり、1本しかない得物を投擲して来たりさ」

 

ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを装着しているシャルルが近寄って来てそう言う。

 

「ああ、アニキ直伝の喧嘩殺法さ。昔っから喧嘩には結構強かったからな」

 

「おうよ! 一夏はグレン団の斬り込み隊長だからな!!」

 

「成程、喧嘩殺法かぁ………型に嵌まった戦い方をして来る人にだったら意表を衝いて勝てるかもね」

 

楽しそうに話す一夏と神谷を見てそんな事を言うシャルル。

 

「「「…………」」」

 

その傍では、箒、セシリア、鈴の3人が不機嫌そうな様子でそれを見ていた。

 

「でも今後の事も考えると、射撃武器の練習もしといた方が良いんじゃないかな? 射撃武器の特性を知るって事は、近接戦に持ち込み易くなるって事だから」

 

「そうだな………じゃあ、教えてもらおうかな」

 

「飛び道具か………面白そうだな。俺にも教えてくれよ」

 

「うん、良いよ」

 

シャルル、一夏、神谷はそう言うと、射撃練習に移った。

 

遠方に、射撃用のダーツの様な標的が出現する。

 

「じゃあ、取り敢えず撃ってみて」

 

シャルルはそう言うと、自分のISの武器である五五口径アサルトライフル『ヴェント』を差し出す。

 

「え? 他の奴の装備って、使えないんじゃないのか?」

 

「普通はね。でも、所有者が使用許諾(アンロック)すれば、登録してある全員が使えるんだよ。使用許諾を発行したから試しに撃ってみて」

 

「へえ~~」

 

その後一夏は、シャルルに補助してもらいながら、射撃の練習を行った。

 

そして、無難な点数を叩き出す。

 

「如何かな?」

 

「う~~ん………悪いけど、あんまりしっくり来ないな………やっぱり俺には喧嘩や剣を振ってる方が性に合ってるよ」

 

「よ~し! んじゃ次は俺だな!!」

 

と、一夏と代わる様に、完全にグレンラガンの姿になった神谷が一夏からヴェントを受け取る。

 

と、その時………

 

「ねぇ、ちょっとアレ………」

 

「見て」

 

アリーナに居た生徒達がざわめき立った。

 

「「「??」」」

 

神谷達が何事かと思って生徒達の視線を追うと、そこには………

 

アリーナの射出口に立っているISを装着したラウラの姿が在った。

 

「ウソッ!? ドイツの第3世代型じゃない!」

 

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど………」

 

「…………」

 

生徒達のヒソヒソ話が聞こえる中、ラウラは一夏達を見遣った。

 

「ラウラ………ボーデヴィッヒ」

 

「何!? アイツなの!? 一夏を引っ叩こうとしたドイツの代表候補生って!!」

 

「くうっ!!」

 

この間の1件もあり、ラウラを警戒するセシリア、鈴、箒。

 

「………織斑 一夏」

 

「何だよ?」

 

「貴様言っていたな………喧嘩を売る気ならば買ってやると?」

 

「ああ、言ったぜ。何だよ、やろうってのか?」

 

「ちょっ、一夏。落ち着いて」

 

ラウラに摑み掛って行きそうな一夏を押さえるシャルル。

 

「………その通りだ!!」

 

と、その瞬間!!

 

ラウラはいきなり、右肩に装備されていた大口径レールカノンを一夏に向けた!!

 

「なっ!?」

 

まさかいきなり撃ってくるとは思わず、硬直する一夏。

 

「えっ!?」

 

シャルルも驚く。

 

現在の位置では、彼も巻き添えを喰らってしまう。

 

「フンッ」

 

だが、ラウラはそんな事は気にも留めず、大口径レールカノンを発射しようとする。

 

「一夏! シャルル!」

 

と、その時!!

 

シャルルのヴェントを持ったままだったグレンラガンが、咄嗟にそれをラウラに向け、気合を込めて引き金を引いた。

 

その瞬間!!

 

バゴオンッ!!と言う、まるで80センチ砲が火を噴いた様な轟音が鳴り響き、ヴェントから緑色に輝く弾丸が発射された!!

 

「「「!?」」」

 

思わず耳を塞ぐ箒、セシリア、鈴。

 

「!? 何っ!?」

 

ラウラは迫り来る緑色の弾丸を見て、本能的にその場から飛び退いた!!

 

緑色の弾丸は先程までラウラが居た場所を通り抜け、アリーナの実況席に直撃!!

 

爆発と共に、実況席を粉々に吹き飛ばした!!

 

「「…………」」

 

あまりの光景に、思わず目が点になる一夏とシャルル。

 

「おわっ!シャルル、コレ危なくねえか?」

 

神谷自身もその威力に驚き、シャルルにヴェントを返す。

 

「そ、そんな!? ヴェントにあんな威力は無い筈だよ!! 何かしたの、神谷!?」

 

シャルルはそれを受け取りながらも、明らかにカタログスペックを上回っているヴェントの威力にそう言う。

 

「いや、俺は気合入れて撃っただけだぜ………」

 

「貴様!! よくも!!」

 

神谷がそう弁明していると、空中に居たラウラがそう言って、再び一夏達に襲い掛かろうとするが………

 

[そこの生徒ぉ! 何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!]

 

騒ぎを聞き付けてやって来た教員が、アナウンスでそう呼び掛けた。

 

「チッ! この借りは何れ返すぞ………」

 

止むを得ず、ラウラは退いて行った。

 

「へっ! 一昨日来やがれ!!」

 

去って行くラウラの背に、神谷はそう投げ掛けるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの更衣室………

 

「ったく! 何なんだ!?あの眼帯女は!」

 

一夏の着替えを待っている神谷が、先程のラウラの事を思い出し、悪態を吐く。

 

「まあまあ、アニキ。押さえて、押さえて………」

 

そんな神谷を宥めながら、着替えを続けている一夏。

 

なおシャルルは先に着替えてくれと言い、今は居ない。

 

偶には一緒に着替えようと言った一夏だったが、本人が頑なに拒否し、神谷に急ぐぞと言われて先に着替えている。

 

「しかしよぉ、一夏。アイツはお前を目の敵にしてやがる。何れは決着を着けなけりゃならないぜ」

 

そこで真剣な表情になると、神谷は一夏に向かってそう言った。

 

「………ああ、分かってるよ、アニキ………アイツの憎しみの原因が俺に有るとしたら………それは多分、俺が片付けなきゃいけない問題だ」

 

一夏も真剣な表情になってそう言う。

 

と、その時………

 

「あのー? 織斑くんかデュノアくん、若しくは天上くんは居ますか?」

 

更衣室のドアの向こうから、そう言う真耶の声が聞こえて来た。

 

「はい? あー、俺とアニキだけは居ます」

 

その声にそう返事を返す一夏。

 

「入っても大丈夫ですかー? まだ着替え中だったりしますかー?」

 

「大丈夫です。俺もアニキも着替えは終わってます」

 

「そうですかー。それじゃあ失礼しますねー」

 

そう言うと、真耶は更衣室の中に入って来た。

 

「どした、メガネ姉ちゃん? また生徒に苛められたのか? だらしねーぞ」

 

「なっ!? 違いますよぉ! 天上くん! 教師をからかっちゃいけません!!」

 

「ヘイヘイ、すいませんでした」

 

あまり反省の色の見えない謝罪をする神谷。

 

「オホン! え~とですね………今月下旬から、大浴場が使える様になります。結局、時間帯別にすると色々と問題が起こりそうだったので、男子は週に2回の使用日を設ける事になりました!」

 

「本当ですか!?」

 

風呂好きの一夏は歓喜する。

 

「ありがてえな、やっと使える様になったのか。あんまり使えねえと、その辺掘って温泉掘り出してやろうかと思ってたぜ」

 

(それを言ったから織斑先生が慌てて手を回したんだと思うんだけど………)

 

神谷の言葉に、真耶は今回の事に尽力した千冬の事を思い出す。

 

………彼女もこれ以上の胃痛の種を増やしたくなかった様だ。

 

「うっし、一夏! 風呂が使える様になったら、久々に男同士! 裸の付き合いでもするか!!」

 

「うん! そうだね、アニキ!!」

 

「お、男同士の裸の付き合い!! はああ~~!!」

 

神谷と一夏がそう言って喜びを分かち合っている中、男同士の裸の付き合いと聞いて、またも変な想像を爆発させる真耶。

 

と、そこへ………

 

「………神谷? 何してるの?」

 

そう言うシャルルの声が聞こえて来た。

 

神谷と一夏が振り返ると、何やら不機嫌そうなシャルルが立っていた。

 

「おう、シャルル………んだよ? 何でそんな不機嫌そうな面してんだ?」

 

「別に………それより、何してたの?」

 

不機嫌な理由を尋ねる神谷だったが、シャルルはそれには答えず、重ねて質問して来た。

 

「ああ、シャルル。今月下旬から大浴場が使えるらしいぞ」

 

「そう………」

 

嬉しそうに話す一夏だったが、シャルルはまだ不機嫌なままだった。

 

「ああ、そう言えば織斑くんと天上くんには、もう1件ずつ用件があるんでした」

 

「へっ? まだ有るんですか?」

 

「俺にもか?」

 

「ハイ。織斑くんは、白式の正式登録に関わる書類をちょっと書いて欲しいのと、天上くんは先程の1件で織斑先生が職員室まで出頭する様にと………」

 

「あ、ハイ。分かりました」

 

「あ~ん? メンドクセェな………フケちまうか」

 

素直に頷く一夏と、めんどくさそうにして堂々とそう言う神谷。

 

「だ、駄目ですよぉ! 連れて行かないと私が怒られます~!」

 

涙目になった真耶がそう訴える様に言って来る。

 

「アニキ、流石に山田先生が可哀そうだよ………」

 

「チッ! しゃーねえなぁ………」

 

「じゃあ、シャルル。長くなりそうだから、今日は先にシャワー使っててくれよ」

 

「………うん。分かった」

 

相変わらず不機嫌そうなシャルルが、短くそう答える。

 

「じゃあ、山田先生。行きましょうか。ホラ、アニキも」

 

「分かった、分かった」

 

そう言い合って、一夏と神谷は更衣室を後にして行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・学生寮………

 

一夏とシャルルの部屋………

 

「………ハアァ~~ッ」

 

部屋に帰るなり、シャルルは重い溜息を吐いた。

 

(何をイライラしてるのかな、僕………)

 

自己嫌悪する様に、先程の更衣室での態度を反省する。

 

一夏を交えて、真耶と楽しそうに談笑していた(シャルル視点)神谷の姿を見た途端に、自分の中に自分でも制御し切れない感情が生まれ、あの様な態度を取ってしまったのだ。

 

そして今も、胸が締め付けられる様に痛かった。

 

(………シャワーでも浴びて気分を変えよう)

 

シャルルはそう思い、クローゼットから着替えを取り出すと、シャワールームへ向かった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時刻は夕方………

 

漸く書類書きと説教から解放された一夏と神谷(反省の色無し)は、寮の自室へと帰宅した。

 

「ただいまー」

 

「邪魔するぜぇ」

 

そう言いながら自室へ入る一夏と、当然の様にお邪魔する神谷。

 

「ん? シャルルの野郎は何処行った?」

 

と、部屋の中を見た神谷が、シャルルの姿が無い事に気づいてそう言った。

 

すると、シャワールームから水音が聞こえて来た。

 

「ああ、シャワー中みたいだね」

 

「そうか………」

 

「そう言えばアニキ。部屋の掃除ってしてる?」

 

「ああ? そう言やしてねえな………」

 

「やっぱり………そういう所は千冬姉と似てるんだから」

 

「俺とアイツを一緒にすんじゃねえ!」

 

一夏の言葉に、若干怒る様にそう言う神谷。

 

「しょうがないな………俺が掃除しとくよ」

 

一夏はそう言うと、天井から垂れ下がっていたロープを摑み、神谷の部屋へと移動した。

 

「お前も相変わらず家事好きだな。良い嫁さんになるぜ」

 

「やめてくれよ、アニキ。散々それでからかわれたんだから」

 

一夏の部屋に居たままそう言って来た神谷に、一夏は声だけでそう返す。

 

神谷は部屋の掃除が終わるまで待とうと、椅子に腰掛ける。

 

「あ、そうだ! アニキ! 確かボディーソープが切れてた筈だから、シャルルに渡してくれないかな? クローゼットにあるから」

 

すると神谷の部屋を掃除していた一夏が、神谷にそう言って来た。

 

「ん? ああ、分かった」

 

掃除してもらっている恩もあり、それを了承するとクローゼットからボディソープを取り出し、シャワールームの洗面所に入り込む。

 

「オイ、シャルル。ボディソープの代え、持って来てやったぞ。ありがたく使………」

 

と、神谷がそう言った瞬間………

 

シャワー室の扉が開き………

 

「えっ?」

 

金髪の『少女』が姿を見せた。

 

「………あ?」

 

これには神谷も、思わず呆然となってしまった。

 

「「…………」」

 

そのまま数秒、無言で見つめ合う2人。

 

「!! キャアッ!!」

 

その後我に返った少女が、慌てて両腕で身体を隠す様にした。

 

「………おはようございます」

 

しかし、それで返って胸が強調される形になり、神谷はそう声を挙げた。

 

「アニキ? 如何し………って!? シャルル!?」

 

とそこで、神谷の部屋を掃除していた一夏が異変に気づき、神谷に部屋から降りて来て洗面所を覗き込むと、同じ様に金髪の少女を目撃してしまい、そう声を挙げる。

 

「あ? シャルル?」

 

一夏がそう言ったのを聞いて、神谷は改めて少女の事を見遣る。

 

確かに良く見れば、その金髪の少女は………

 

シャルルその人だった。

 

「で、出てってよーっ!!」

 

またも見つめられ、シャルルはそんな悲鳴を挙げる。

 

「! ア、アニキ!! 早く出て!!」

 

「おわあっ!?」

 

それを聞いた一夏は神谷の腕を摑んで、シャワールームから引っ張り出し、扉を閉めた。

 

「…………」

 

残されたシャルルは、自分の身体を抱き締める様にして、縮こまっていた。

 

 

 

 

 

神谷をシャワールームから引っ張り出した一夏は、部屋の奥へと移動していた。

 

「「…………」」

 

そのまま無言で立ち尽くす2人。

 

「………見たか?」

 

「………ああ………見ちゃったよ、アニキ………如何してシャルルの奴、あんな………」

 

「ありゃ多分Cくらいあったぞ。いや、ひょっとしたら、もっと………」

 

「って、そこぉ!?」

 

見当違いな事を言っている神谷に突っ込みを入れる一夏。

 

「いやいや! そこじゃないよ、アニキ!!」

 

「何っ!? それ以外に何を見ろってんだ!?」

 

「そうじゃなくて!!」

 

と、そのまま漫才の様な遣り取りをしていると………

 

シャワールームの扉が、音を立てて開いた。

 

「「!?」」

 

「あ、上がったよ………」

 

2人が振り向くと、ジャージ姿のシャルルが、髪をタオルで拭きながら出て来た。

 

しかし、その胸には、以前には無かった膨らみが有る。

 

「お、おう………」

 

「…………」

 

気まずそうに返事を返す一夏と、黙ってシャルルを見ている神谷。

 

「…………」

 

シャルルもシャルルで、気まずそうに沈黙している。

 

「と、取り敢えず、座れよ」

 

「! う、うん………」

 

一夏がそう言って道を開けると、シャルルは自分のベッドに腰掛けた。

 

一夏も、シャルルと向かい合う様に自分のベッドに腰を下ろす。

 

そして神谷は、腕組みをして壁に寄り掛かった。

 

「…………」

 

「えっと………シャルル、聞いても………」

 

「止せ、一夏」

 

と、シャルルに問い質そうとした一夏を、神谷が制した。

 

「!?(神谷………)」

 

「で、でも、アニキ………」

 

「確かに色々と聞きてえ事はあるが………その、何だ………あんまり人の趣味について突っ込むのはなぁ」

 

何時もと違って、妙に言葉の歯切れが悪い神谷。

 

「!? ちょ、ちょっと待って!! 神谷………ひょっとして、僕が趣味であんな格好してたと思ってるの?」

 

「? 違うのか?」

 

神谷は本気でそう思っていたという顔でそう聞き返す。

 

「ち、違うよぉ!!」

 

シャルルは顔を真っ赤にして立ち上がり、神谷に向かってそう叫んだ。

 

「えっと………じゃあ、如何して、男のフリなんかしてたんだ?」

 

神谷が的外れな事ばかり言うので、却って冷静になれた一夏が、シャルルにそう問い質した。

 

「そ、それは………」

 

「ああ、いや。言い難い事だったら………」

 

「ううん………ここまで来たら、もう皆話しちゃうね」

 

そう言うと、シャルルは覚悟を決めた様な顔となり、再びベッドに腰掛けた。

 

「僕が男子のフリをしてたのは………実家の方から言われたからなんだ」

 

「実家って………デュノア社か?」

 

「そう………僕の父がそこの社長………その人からの直接の命令でね」

 

「親父の命令だぁ? 益々分かんねえな………一体何で、オメェーの親父はそんな事を言いやがったんだ?」

 

ワケが分からないと言う様に首を傾げる神谷。

 

すると、シャルルの口から、衝撃的な事実が語られ始めた………

 

「僕はね………父の本妻の子じゃないんだ………愛人の子なんだよ」

 

「!?」

 

「…………」

 

シャルルのその告白に、一夏は驚き、神谷は険しい表情を浮かべた。

 

「引き取られたのが2年前………丁度、お母さんが亡くなった時にね、父の部下の人がやって来てね。それで色々と検査をする過程で、IS適応が高い事が分かって、非公式であったけれど、デュノア社のテストパイロットをやる事になってね」

 

「「…………」」

 

「父に会ったのは2回くらい。会話をしたのは数回くらいかな………普段は別邸で生活してるんだけど、1度だけ本邸に呼ばれてね………あの時は酷かったなぁ。本妻の人に殴られたよ。『この泥棒猫の娘が!』ってね」

 

(親父だけじゃなくて、お袋までクソッタレじゃねえか………)

 

神谷は怒りを湧き上がらせる。

 

無意識の内に拳を、血が出るまで握り締めていた………

 

「参るよね。母さんもちょっとくらい教えてくれたら、あんなに戸惑わなかったのにね………それから少し経って、デュノア社は経営危機に陥ったの」

 

「えっ? だってデュノア社って、量産型ISのシェアが世界第3位だろ?」

 

一夏が如何してと言う顔でそう問う。

 

「そうなんだけど………結局リヴァイヴは第2世代型なんだよ。現在ISの開発は第3世代型の開発が主流になってるんだ。セシリアさんやラウラさんが転入して来たのも、その為のデータを取る必要からだと思う。それでデュノア社も第3世代型の開発に着手してるんだけど………」

 

「出来なかった………ってところか?」

 

壁に背中を預けたまま、神谷がそう言って来る。

 

「うん………中々形にならなくて………しかも、この間のロージェノム軍による騒動の後、更に第3世代の開発が急がれる様になって………このままだと、開発許可が剥奪されてしまうんだ」

 

「それとお前が男のフリをしてるのと、如何関係が有るんだ?」

 

デュノア社が経営危機に陥った経緯は分かったものの、シャルルが男装していた事には結び付かず、そう尋ねる一夏。

 

「簡単だよ………注目を浴びる為の広告塔………それに………同じ男子なら、日本の出現した特異ケースと接触し易い………その使用機体と、本人のデータも取れるかも、ってね」

 

「それって、俺と………」

 

「俺の事か」

 

一夏と神谷がそう言う。

 

「そう………一夏と神谷のデータを盗んで来いって言われてるんだよ………僕はあの人にね………」

 

シャルルはそう言って俯いた。

 

ロージェノム軍の世界征服宣言により、IS学園を獣人が襲撃した事が公になった際、グレンラガンの存在も露見した。

 

幸い、千冬の情報操作で新型のISであると言う事にされており、全く違う新兵器だと言う事は露見していない。

 

だが、装着者が男子である事は知られてしまい、一夏同様、世界からは秘密裏に注目を浴びているのである。

 

「はあ~~………ホントのこと話したら楽になったよ。聞いてくれてありがとう。それと………今までウソをついていてゴメン」

 

シャルルはそう言って、神谷と一夏に頭を下げた。

 

「………それで? お前、コレから如何すんだ?」

 

すると神谷は、そんなシャルルに向かってそう尋ねた。

 

「如何って………女だって事がバレたから、きっと本国に呼び戻されるだろうね。後の事は分からない。良くて………牢屋行きかな」

 

諦めている様な態度でそう言うシャルル。

 

その瞬間………

 

「バッキャロウ! 何が牢屋行きだ! んなもんはクソくらえだ!!」

 

神谷がそう怒声を張り上げ、シャルルに近づいた。

 

「キャッ!? 神谷!?」

 

「良いか、シャルル! お前はお前だ!! 親父の道具じゃねえ!! お前の生き方は、お前だけのモンなんだよ!! 誰かに言われたままに生きてるなんて………そりゃ生きてるっちゃ言わねえんだよ!!」

 

突然挙げた大声に驚くシャルルに構わず、神谷は彼女の肩を摑んでそう言い放つ。

 

「お前だって! そんな事はホントはやりたくねえんだろ!?」

 

「そ、それは………そうだけど………」

 

「じゃあやる必要なんかねえ! やめちまえ!! そのクソ親父が何か言って来たら………ブン殴って追い返してやれ!!」

 

「そんな! 無理だよ! 僕にはそんな事出来ないよ!!」

 

「じゃあ俺がやってやる!!」

 

「ええっ!?」

 

神谷のトンでも発言にまたも驚くシャルル。

 

「テメェのガキを道具にしか思えねえ親父なんか、親父とは言わねえ! ただのクソヤローだ!! そんな奴の1人や2人! この俺がブッ飛ばしてやる!!」

 

「………如何して? 如何してそこまでしてくれるの?」

 

自分の為にここまで怒りを見せている神谷に、シャルルはそう尋ねる。

 

「決まってんだろ! お前はグレン団の一員だ!! 俺が面倒を見る!! 俺はお前の為に生命を張る!! だから、お前の生命は俺が預かる!!」

 

「む、無茶苦茶だよ………」

 

「うるせえ! 無理を通して道理を蹴っ飛ばす! それが俺達グレン団のやり方だ!! だからシャルル! オメェがどっかに行く必要なんざねえ! 此処に居やがれ!!」

 

「神谷………」

 

シャルルは自分の胸が熱くなるのを感じた………

 

神谷の言っている事は荒唐無稽であり、何の根拠も筋道も無い………

 

だが………

 

その言葉には、自分を安心させてくれる『何か』が有った………

 

「そうだぜ、シャルル。それにバレたって言っても、俺達にしか分かってないんだから、知らないふりしちまえばそれで済む話さ」

 

と、そこで更に、一夏もそう言って来た。

 

「一夏………」

 

「それに………IS学園特記事項第21。本学園における生徒はその在学中に於いて、ありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない………つまり、この学園に居れば、少なくとも3年間は大丈夫だ。その間に何か方法を考えれば良い」

 

何時の間にか手に持っていた生徒手帳を見ながらそう言う一夏。

 

「良く覚えてたね。特記事項って、55個もあるのに………」

 

「こう見えても勤勉なんだよ、俺は」

 

「ま、そう言う事だ………居ろよ、此処に………」

 

神谷も改めてそう言う。

 

その顔には、優しく、力強い笑みが浮かんでいた。

 

「神谷………」

 

するとシャルルは思わず立ち上がり、そのまま神谷に抱き付いた。

 

「おっ、と………」

 

「ありがとう………神谷………一夏もありがとう」

 

そしてそのまま、神谷と一夏にお礼を言う。

 

「いや、俺は大した事はしてないって。アニキがシャルルを引き留めてくれたからだよ」

 

「何言ってやがる、一夏。お前も大手柄だぜ」

 

確かに、神谷だけではIS学園の特記事項にまで頭は回らなかっただろう。

 

一夏が上手く神谷をフォローした形だ。

 

「………お前のそういう所が、俺を救ってくれるんだ」

 

「えっ? 何か言った? アニキ?」

 

「いや、何でもねえ!」

 

呟く様に零れた言葉を誤魔化す神谷だった。

 

「にしても………悪くねえ、いや寧ろ良い感触だぜ」

 

「「?」」

 

と、続いて漏らした神谷の言葉の意味が分からず、首を傾げるシャルルと一夏。

 

「シャルル………中々良いもん持ってるじゃねえか」

 

「えっ?」

 

そう言われてシャルルは、ふと自分の状態を思い出す。

 

現在シャルルは、胸を隠すコルセットを着けておらず、そして神谷に抱き付いている。

 

その為、露わになっている胸の膨らみが、神谷の身体に押し当てられていた。

 

「!? うわぁっ!?」

 

慌てて神谷から離れると、腕で胸を隠す様にするシャルル。

 

「………神谷のエッチ」

 

顔を赤くして抗議する様にそう言うシャルルだったが………

 

「何言ってやがる! 男は皆スケベな生き物なんだよ! なあ、一夏!!」

 

「お、俺に振らないでくれよ! アニキ!!」

 

神谷は悪びれた様子も無く、一夏にそう話を振って、呵々大笑と言った具合に笑っていた。

 

「…………」

 

そんな神谷に、熱っぽい視線を向けるシャルル。

 

と、その時………

 

部屋のドアがノックされた。

 

「一夏さ~ん、いらっしゃいますか~? 夕食をまだ取られていない様ですが、御加減でも悪いのですか?」

 

そして、セシリアの声が聞こえて来た。

 

「あん? セシリアか?」

 

「!? マ、マズイよ、アニキ!! 鍵掛けるの忘れてた!! もしセシリアが入って来たら!!」

 

「あっ!?」

 

慌てるシャルル。

 

今のシャルルの状態をセシリアに見られたら、1発で女子だと言う事が分かってしまう。

 

「チッ! 一夏! 出迎えて時間を稼げ!!」

 

「わ、分かった!」

 

「シャルル! 来いっ!!」

 

「! うわぁっ!?」

 

一夏がセシリアの出迎えに向かい、神谷はシャルルをベッドに寝かせると、布団を掛けた。

 

「一夏さん、入りますわよ」

 

とその瞬間に、セシリアがドアを開けて、部屋に入って来た。

 

「あ、ああ、セシリア。態々どうも」

 

それを出迎える一夏。

 

「まあ。お出迎えしてくるなんて、感激ですわ………ところで、シャルルさんの姿が見えない様ですが?」

 

一夏が出迎えてくれた事に感激しながらも、シャルルの姿が無い事を不審がるセシリア。

 

「あ、いや、それは………」

 

「よう、セシリア。悪いな。シャルルの野郎、如何も風邪引いたみてぇでな」

 

すると、神谷がそう言って、部屋の奥から姿を見せた。

 

「ゴホッ! ゴホッ!」

 

奥の方のベッドから、若干ワザとらしい咳が聞こえて来る。

 

「それはお気の毒ですわね………一夏さんをお連れしてもよろしいですか?」

 

「ゴホッ! ゴホッ! どうぞ!」

 

「私も偶然夕食がまだなんですのよ。御一緒しませんこと?」

 

若干モジモジしながらそう言うセシリア。

 

「お、おう………」

 

「一夏、先行ってろ。俺はもうちょいシャルルの様子を見てから行く」

 

「わ、分かった」

 

「神谷さんって面倒見がよろしいんですわね。それじゃあ、行きましょう、一夏さん」

 

セシリアはそう言うと、一夏の腕を取って、食堂へと向かったのだった。

 

「………ふう~~、如何やらバレなかったみてぇだな」

 

一夏とセシリアが居なくなったのを確認するとそう言う神谷。

 

「ゴメンね、迷惑掛けちゃって………」

 

シャルルがベッドから上半身を起こしてそう言う。

 

「気にすんな。これもグレン団リーダーの務めよ………取り敢えず病人が歩き回ってたら不自然だからな。そこで寝てろ。飯は持って来てやるよ」

 

「う、うん、ありがとう………」

 

そう言うと、神谷は一夏達に続く様に部屋を後にした。

 

「…………」

 

残されたシャルルは、本当に風邪を引いたかの様に、若干高くなっている体温を鎮める様に、再びベッドに横になったのだった………

 

 

 

 

 

尚、神谷が一夏に合流した時………

 

何故か箒まで来ており、一夏は両手に花状態だった事を付け加えておく(本人は歩き難い等とほざいていたが)………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小1時間程して………

 

「お~う、持って来てやったぜ」

 

神谷がそう言いながら、食事が乗ったトレイを片手に、一夏とシャルルの部屋へと帰還した。

 

「あ、お帰り………アレ? 一夏は?」

 

シャルルが身を起こして迎えるが、一夏の姿が無い事に気づいてそう言う。

 

「食堂で箒とセシリアと鈴相手に四苦八苦してるぜ」

 

「相変わらずだね………」

 

「全く………アイツの女関係だけは未だに安心出来ねえぜ。此処置くぜ」

 

愚痴る様に言いながら、持ってきた食事をテーブルの上に置く神谷。

 

「ありがとう………あ」

 

シャルルがベッドから起きるとテーブルの方に寄って来たが、トレイの上に乗っていた食事………焼き魚定食を見て、表情を固めた。

 

「? どした?」

 

「う、うん………」

 

神谷の問いに曖昧な返事を返しながら、椅子に座ると、割り箸を割るシャルル。

 

そして手に持つと、定食に手を付けようとするが、その持ち方と手つきはかなり怪しい………

 

「んだよ? 箸使えねえのか?」

 

「練習してはいるんだけどね………」

 

「まっ、外人じゃしょうがねえか………ちょっと待ってろ。フォークでも持って来てやる」

 

「えっ!? い、良いよ、そんな………」

 

「言っただろう。これもグレン団リーダーの務めよ。俺はお前を助ける。だからお前も俺を助けろ。それがグレン団よ」

 

「う、うん………じゃあ、えっと………リーダー………お願いがあるんだけど………」

 

モジモジしながら、若干まだ遠慮気味にそう言うシャルル。

 

「おう、何だ? 遠慮無く言え!」

 

「えっと………神谷が食べさせて………」

 

古来よりの女子の必殺武器である『上目使いでのお願い』が炸裂した!!

 

「あん? 俺が?」

 

「だ、駄目?」

 

更に続けて、雨の日にダンボールに入れられて捨てられている子犬の様な目で神谷を見るシャルル。

 

「いや、駄目っちゃ言わねえが………ガキみてぇな奴だな、お前も」

 

神谷には利かなかったものの、願いは聞き入れられて、シャルルは思わず小躍りしたい衝動に襲われたのだった。

 

 

 

 

 

「んじゃ行くぜ。あ~んってな」

 

「あ~~ん………」

 

シャルルから箸を受け取った神谷は彼女の正面に座り、まるで雛鳥に餌を与える親鳥の様に、シャルルに食事を摂らせ始めた。

 

「如何だ? うめぇか?」

 

鰆の身を咀嚼しているシャルルにそう尋ねる神谷。

 

「うん、美味しい」

 

身を飲み込むと、シャルルは笑顔でそう言った。

 

「だろう? やっぱ日本人は焼き魚よ!」

 

「僕フランス人だけど………」

 

「細かい事は気にすんな!」

 

「アハハハ。神谷、面白ーい。次は御飯が良いな」

 

「ハイよ。ほら、口開けな」

 

「あ~~ん」

 

今度は、御飯をシャルルに頬張らせる神谷。

 

「おっ?」

 

と、そこで何かに気づいた神谷が声を挙げた。

 

「えっ? 何?」

 

「飯がついてっぞ」

 

そう言うと神谷は、シャルルの口の端に付いていた御飯粒をヒョイッと取ると、自分の口に入れた。

 

「!!」

 

それを見て顔を真っ赤にするシャルル。

 

「? どした? ホントに風邪か?」

 

「………な、何でもない!!」

 

神谷に尋ねられて、慌ててそう否定するシャルル。

 

2人の仲睦まじい光景は、一夏がやっとの思いで食堂から帰って来るまで続いたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

シャルの身バレイベント。
このイベントでシャルに転んだ人も多い事でしょう。
そして、神谷の男気炸裂!
子分の為に身体を張ってこそのリーダー。
皆の兄貴です!

さて、次回はラウラVSセシリア&鈴のイベントですが、そこで一気にVTシステム発動まで進みます。
神谷の影響を受けたセシリアと鈴の奮戦にご注目です。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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