天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第97話『インフィニット・ノア! 発進!!』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第97話『インフィニット・ノア! 発進!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束からのSOSを受けて、名も無き無人島へと辿り着いたグレン団。

 

しかし、束の捜索中に………

 

狂気のサイボーグと化したオータムが、ゴーレム軍団を率いて強襲して来た。

 

シュバルツから言われた修行に煮詰まっていた一夏は、怒りのままに戦いエネルギーを消耗。

 

その所為で箒に重傷を負わせてしまう。

 

再度出会したサイボーグオータムにより、その命が絶たれようとした瞬間………

 

一夏は明鏡止水の極意に開眼し、遂に自らが持つ螺旋力を呼び覚ます。

 

その螺旋力を受けた白式が、コレまでどのISも為し得無かった更なる形態移行、第三形態移行(サード・シフト)を行い………

 

新たなる姿『白神(びゃくしん)』へと生まれ変わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名も無き無人島………

 

「…………」

 

箒を姫抱きで抱え、眼前のサイボーグオータムを落ち着いた表情で見下ろしている一夏。

 

やがて、何時の間にか夜が明け、朝日が差し始めた。

 

昇り来る太陽が、白神を装着している一夏の後ろから現れる。

 

その朝日により、白神の詳細な姿が明らかとなる。

 

以前の白式や雪羅に比べ、デザインが全体的に“仏像”を思わせる流麗なラインとなっており、頭部には大小2対、計4本のブレードアンテナが装着されている。

 

第二形態移行時には左腕にしか無かった雪羅が右腕にも装着されており、雪片弐型は日本刀の様な形となり、鞘に納められた状態で左腰に差されている。

 

最大の特徴は、背部に装備されている6枚の羽根状のエネルギー発生装置だ。

 

正面から見て、左上・右上・左・右・左下・右下の6方向へ展開しており、その先端部分に円を描く様にエネルギーフィールドが発生しており、まるで“円光”の様になっている。

 

「箒………」

 

と、一夏が腕の中の箒を見遣ったかと思うと、その身体から螺旋力が溢れる。

 

その螺旋力が、箒の腹部の傷へと流れ込む様に移動する。

 

すると、箒の傷がまるで“映像を巻き戻している”かの如く、見る見る内に塞がって行く。

 

「う……あ………」

 

脂汗を顔中に浮かべ、苦悶の表情で呼吸も荒く気を失っていた箒の顔色が良くなって行き、呼吸も安定する。

 

「…………」

 

一夏は其れを確認すると、サイボーグオータムに一旦()()()()、箒を優しく地面に横たえる。

 

「ア………アアア………」

 

“絶好のチャンス”の()なのに、サイボーグオータムは動け無かった………

 

白神を装着している一夏から発せられる“得体の知れない迫力”が、サイボーグオータムの動きを封じていた。

 

「オータム………其処でそのままそうしていろ」

 

そんなサイボーグオータムに向かって、一夏は“後ろを向いたまま”そう言い放つ。

 

「! ウ、ウワアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

そう言われた瞬間!!

 

サイボーグオータムは激昂した様に、カタールを構えて一夏に突っ込んで行く。

 

「シネェッ! オリムラ イチカアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そして、一夏をカタールで斬り捨てようとしたが………

 

「!? ガアアッ!?」

 

その瞬間、一夏の右手の雪羅で顔を鷲摑みにされた!!

 

一夏は、そのままサイボーグオータムの頭を地面に叩き付けたかと思うと、バーニアを全開にして地面を引き摺る!!

 

「ガアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?」

 

「もうコレ以上! “貴様の()()に付き合う義理”は無い!!」

 

悲鳴を挙げるサイボーグオータムに、一夏がそう言い放ったかと思うと………

 

サイボーグオータムの頭を鷲摑みにしている雪羅の掌の部分が赤熱化し始める!!

 

「俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を摑めと轟き叫ぶぅっ!!」

 

そう唱えると、摑んでいた手を離し、拳を握る一夏。

 

「爆熱ゥッ!! ゴッドォッ! フィンガアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そして、必殺の『爆熱ゴッドフィンガー』が地面に半分埋まっているサイボーグオータムに向かって放たれる!!

 

ゴッドフィンガーがサイボーグオータムに命中した瞬間!!

 

その場に、炎の柱が立ち昇った!!

 

「ウワアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!」

 

その炎の中で、塵となって消えて行くサイボーグオータム………

 

狂気の復讐鬼と化した彼女の最期は、余りにも呆気無いものだった………

 

「…………」

 

そんな彼女を憐れむかの様に、一夏はサイボーグオータムが消滅した場所へ悲し気な視線を向ける。

 

「………一夏?」

 

と其処で背後から声が聞こえて振り返ると、箒が起き上がりコチラを見ていた。

 

「! 箒!!」

 

直ぐに箒の傍へと駆け寄る一夏。

 

「大丈夫か!? 箒!! 怪我は!?」

 

「あ、ああ………何故か分からんが、完治している………もう大丈夫だ」

 

箒自身も戸惑いながら、傷が無くなっている腹部を手で擦る。

 

「そうか………良かった………」

 

其れを聞いて、一夏は心の底からの安堵の表情を浮かべた。

 

「一夏………」

 

「箒………」

 

そのまま、互いに“見詰め合う形”となる箒と一夏。

 

自然と互いの距離が縮まって行くが………

 

「「「「「一夏〈さん、くん〉~~~~~っ!!」」」」」

 

そう言う声が響いて来て、セシリア達が2人の元へとやって来る!!

 

「「!!」」

 

其れを見た2人は、慌てて離れる。

 

「一夏さん! 大丈夫ですか!?」

 

「無事か!? 一夏!!」

 

そう言って一夏へと詰め寄るセシリアとラウラ。

 

「あ、ああ、大丈夫だ。()()大した事無いよ」

 

「良かったぁ………」

 

「一夏くん………白式のその姿は?」

 

一夏がそう言うのを聞いて、グラパール・蘭が安堵の声を漏らすと、楯無が白神を見ながらそう尋ねる。

 

「俺も良く分かんないんですけど………“螺旋力を受けた白式が()()()()()()(サード・シフト)した”みたいで………」

 

「第三形態移行(サード・シフト)!?」

 

「現行では………どのISも形態移行は精々第二段階まで………第三形態移行(サード・シフト)は恐らく………貴方のISが“世界で初めて”ね」

 

鈴が驚きの声を挙げ、簪がそう分析する。

 

「一夏………お前もついに螺旋力に目覚めたのか」

 

「コレで、お前も“螺旋戦士”ってワケだ」

 

そして、グラパール・弾とグレンラガンは、一夏に向かってそう言う。

 

「弾………アニキ………」

 

その言葉に、一夏は嬉しそうな表情をする。

 

「と・こ・ろ・で…………一夏ぁ………アンタさっき………箒と何しようとしてたの?」

 

と其処で、鈴が米神に青筋を浮かべながらそう言う。

 

「えっ!?」

 

「一夏さん! (ナニ)とは何ですか!?」

 

「正直に答えろ!!」

 

「如何言う事なんですか!? 一夏さん!!」

 

「お姉さんに教えなさ~い」

 

「…………」

 

途端に、セシリア・ラウラ・グラパール・蘭、楯無・簪が一夏に詰め寄る。

 

「た、助けてくれええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

答える事の出来ない一夏は、悲鳴を挙げるしか無いのだった。

 

「あ~あ、また始まった………」

 

「飽きないね~、皆も」

 

シャルとファイナルダンクーガは、その“お馴染みの光景”を前に呆れ声を漏らす。

 

「モテる男は辛いなぁ、一夏! ハハハハハハハッ!!」

 

グレンラガンは、そんな光景を見て笑い声を挙げる。

 

「…………」

 

そして、その光景を離れた場所で見ていたシュバルツは、覆面の下で微笑みを浮かべたかと思うと、一同に気付かれぬ内にサッと姿を消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小1時間後………

 

「さ~て………如何するか………?」

 

ベースキャンプを張っていた海岸に戻ったグレン団一同は、頭を悩ませている。

 

その視線は、破壊された飛行艇に向けられている。

 

「飛行艇が………」

 

「コレじゃあ、織斑先生達や本音さん達が帰れないよ」

 

シャルとティトリーがそう声を挙げる。

 

グレン団の面々は、グレンラガンやIS、グラパールにファイナルダンクーガが有るので、“自力で”帰還する事が出来る。

 

しかし、千冬達はそうは行かない。

 

“抱えて飛ぶ”と言う手段も有るかも知れないが、其れだと“スピードが出せない”上に、若し途中でロージェノム軍に襲撃されたら一溜りも無い。

 

「駄目です………」

 

「完全に修理不可能だよ~」

 

と其処で、飛行艇の修理を試みていた虚とのほほんが肩を落としながら戻って来てそう告げた。

 

「そうか………」

 

「如何しましょう?織斑先生。遠距離用の通信機も、戦闘のドサクサで破壊されてしまいましたし………」

 

力無く肩を落とす千冬と、オロオロしている真耶。

 

「こうなった以上、グレン団を先に帰還させて迎えを来させるか………束を見付け出して“帰りの足”を用意して貰うか………」

 

『なら後者をお勧めするよー! ちーちゃん!!』

 

と、千冬がそう呟いた瞬間!!

 

何処からとも無く、束の声が響いて来た!!

 

「!? 束!?」

 

「姉さん!?」

 

千冬と箒が驚きながら辺りを見回すが、束らしき姿は見えない。

 

「束さん! 何処に居るんですか!?」

 

「オーイ、ウサミミ女~! お前が呼んだから来てやったんだぞ~! 姿見せろ~!」

 

一夏と神谷も、束に向かってそう呼び掛け、他の一同も束の姿を探す。

 

『ゴメンね~。ちょっと“込み入った事情”が有って、今まで連絡が取れなくて………ま、取り敢えず今、入口を開くから其処から入って来て~』

 

「? 入口?」

 

束の言葉の意味が分からず、千冬が首を傾げた瞬間………

 

ゴゴゴゴゴゴゴッと言う地鳴りの様な音が響き始めたかと思うと………

 

グレン団の居る海岸の一部が、左右に割れる様に動き始めた!!

 

「!?」

 

「な、何ですの!?」

 

簪とセシリアが驚きの声を挙げ、他の一同も呆気に取られている中、砂浜はドンドン左右に割れて、その中から地下深くへと続く階段が現れる!

 

『さっ、皆! 其処から入って来て!!』

 

「こんな施設が在ったとは………」

 

再び束の声が響くと、千冬が呆れ声を挙げる。

 

「んじゃ、邪魔するぜ~」

 

すると其処で、神谷が先陣を切る様にその入り口へと入って行く。

 

「あ! 待ってよ、神谷!!」

 

「「アニキ!!」」

 

直ぐ様シャルと一夏、弾が続く。

 

「コラ! お前達! 勝手な行動を取るな!! 全く………行くぞ」

 

そんな神谷達に愚痴る様に呟くと、千冬はそう言い、残りの一同を率いて束が開いた入口へと入って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く、地下深くへと続く階段を下って行ったかと思うと、やがて一同はエレベーターに行き当たり、全員でそのエレベーターに乗り込んだ。

 

全員が乗り込むと、エレベーターは更に地下深くへと潜って行く。

 

「一体何処まで潜るんだ?」

 

「まるでモグラにでもなった気分ですね………」

 

千冬がそう疑念を挙げると、楯無がそんな事を言う。

 

その瞬間、エレベーターに震動が走り、下降が止まる。

 

「止まった?」

 

一夏がそう言うと、エレベーターの扉が開く。

 

一同がエレベーターから外へと出ると、其処には………

 

複数の座席とコンソールが配置され、全面に大型のモニターが備え付けられている、広い空間へと出た。

 

「何だ、此処は?」

 

「何かの部屋みたいですけど………」

 

千冬と真耶が、その部屋を見回しながらそう言う。

 

「コレは………レーダーみたいね」

 

と、座席に配置されたコンソールを調べていた虚がそう声を挙げる。

 

「コッチは~………航空機管制システム?」

 

別の座席のコンソールを調べていたのほほんからもそう声が挙がる。

 

「火器管制システム?」

 

更に別の座席のコンソールを調べていたティトリーからも、そう声が挙がった。

 

「レーダーに航空機管制システム、其れに火器管制システム………」

 

「姉さん………ひょっとして此処は………」

 

その言葉を聞いた楯無が考え込む様子を見せると、簪も何か察しが付いた様にそう声を掛けるが………

 

「コリャ船の………しかも“戦闘艦の艦橋”じゃねえか?」

 

其処で神谷がそう声を挙げる。

 

「!? 何っ!?」

 

「そんな!? まさか!?」

 

箒とセシリアが、信じられないと言った様子を見せる。

 

「だってよホラ、見てみろ」

 

そう言って、神谷は1つの座席を指差す。

 

その座席のコンソールには、まるで昔の船の様な“操舵輪”が取り付けられていた。

 

「分かり易いなぁ………」

 

「しかし、コレが軍艦だとすると、ひょっとして造ったのは………」

 

と、一夏と弾がそう言った瞬間!

 

「フッフッフッフッフッ!! その通り!!」

 

そう言う声と共に、他の部分より1段高くなった場所に設置されていたコンソール………

 

言うなれば“艦長席”の下部から、座席が迫り上がって来る!!

 

その座席………艦長席には、束が座っており、直ぐ傍にはくーちゃんが控えていた!!

 

「! 束!!」

 

「姉さん!!」

 

「やっほ~! おひさ~」

 

千冬と箒が真っ先に反応すると、束は軽い調子で挨拶する。

 

「何がおひさだ! 今まで散々姿を晦ませおいたと思えば、急に呼び出して………」

 

「其れにこの部屋は何なんですか!? 皆は“艦橋”の様だって言ってますが、まさか!?」

 

当然、千冬と箒は束に詰め寄って行く。

 

「まあまあ、落ち着いて」

 

「「コレが落ち着いて居られるか!?」」

 

落ち着けと言う束だが、2人は聞く耳を持たない。

 

「オイ、束。誰だ? この“ガキ”は?」

 

と其処で、何時の間にか2人と同じ様に傍に寄っていた神谷が、くーちゃんを見ながらそう言う。

 

「ガキではありません。私は、束様の助手をしている『くー』と言う者です」

 

するとくーちゃんは、若干不機嫌な顔をして神谷にそう言う。

 

「助手? オイ、ウサミミ女。オメェも随分と人手不足なんだな。こんなガキ助手に駆り出すとはよぉ」

 

「………やはりデリカシーの無い人ですね。こんな人がグレンラガンの装着者とは………」

 

神谷がそう言うと、くーちゃんは呆れた様子を見せる。

 

「んだとぉ? 生意気なガキだな」

 

「あ~、ゴメンね、かみやん。その子、“ちょっと()()()()”でね」

 

神谷が怒った様子を見せると、束がそう謝罪する。

 

「あの、篠ノ之博士………そろそろ教えて貰っても良いですか?」

 

「一体、貴女は今まで何をやっていて、この施設は一体何なのか、を」

 

と其処で、シャルとラウラが話を本筋へと戻す。

 

「…………」

 

すると其れを聞いた束は、今までのおちゃらけた表情から一転して、真面目な表情となる。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

その雰囲気を察したのか、一同も黙り込み、表情を固くする。

 

「………私は」

 

と、束が何かを言おうとした瞬間!!

 

突如、震動が襲って来た!!

 

「!? キャアッ!?」

 

「蘭!」

 

倒れそうになった蘭を弾が支えた瞬間、艦橋内に警報が鳴り響き始める。

 

「!?」

 

「何だ!?」

 

「くーちゃん!!」

 

「ビデオ・パネル、チェンジ!!」

 

一同が驚く中、束はくーちゃんにそう指示を飛ばし、くーちゃんがそう声を挙げると、正面に設置されていた大型モニターに映像が映し出される。

 

其処には、ダイガンカイを中心に陣形を組んで居る大艦隊の姿が在った。

 

「!? 四天王の要塞型ガンメン!!」

 

「アディーネ………未だ諦めて無かったのね………」

 

一夏がそう声を挙げると、束が苦々し気な表情でそう言う。

 

「あの周りに居る艦隊は………」

 

「恐らく………今までに制圧した国の………海軍の軍艦」

 

「接収して使ってるワケね………意外とセコイわね」

 

虚の言葉に簪がそう推察を立てると、楯無が皮肉る様にそう言う。

 

と、その瞬間!!

 

映像に映し出されている艦隊が、次々に砲撃とミサイル攻撃を開始する!

 

その直後、またも震動が襲って来る。

 

「!? うわっ!?」

 

「箒!」

 

倒れそうになった箒を、一夏が支える。

 

「野郎! 好き勝手しやがって!! 行くぞお前等!!」

 

神谷は、直ぐに一同を率いて出撃しようとするが………

 

「待ってよ、神谷! ゴーレム達と交戦した影響で、僕達のISはエネルギーがもう残り少ないんだよ!」

 

「真面に戦えるのは、精々1時間程ですわ」

 

シャルとセシリアが、そう言って神谷を止める。

 

「んなモン、気合で如何にかしろ!!」

 

「出来るワケ無いでしょう!!」

 

相変わらずの神谷節に、鈴がツッコミを入れる。

 

「かみやん、皆………此処は私に任せて」

 

すると………

 

艦長席に座った束が、一同に向かってそう言った。

 

「!? 束!?」

 

「姉さん? 一体何を………?」

 

「くーちゃん! 補助エンジン始動!!」

 

「補助エンジン………始動」

 

千冬と箒の問い掛けを無視し、束はくーちゃんにそう命じたかと思うと、何時の間にか下部の座席の1つに着いていたくーちゃんが、コンソールパネルを操作する。

 

すると、何処からとも無く何か“機械が動き出し始めた様な音”が聞こえて来る。

 

「何? 何?」

 

「補助エンジン出力………最大値へ到達」

 

「反重力エンジンへエネルギー注入!」

 

「反重力エンジンへエネルギー注入。閉鎖弁、オープン」

 

のほほんが戸惑いの声を挙げる中、更にテキパキと作業を熟して行く束とくーちゃん。

 

「反重力エンジン内圧力上昇。エネルギー充填80………90………100………120%」

 

「フライホイール始動!!」

 

「フライホイール始動。反重力エンジン、始動10秒前………9………8………7………6………」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

くーちゃんのカウントダウンが進むと、グレン団の一同にも緊張が走る。

 

「5………4………3………2………1………反重力エンジン、始動!」

 

「インフィニット・ノア! 発進!!」

 

「インフィニット・ノア!?」

 

束の叫びに、一夏が反応した瞬間!!

 

艦橋と思われる場所に、激しい振動が走り始めた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方………

 

名も無き無人島に攻撃を加えているアディーネの率いるダイガンカイを中心とした艦隊は………

 

「有りったけ撃ち込みな! あの島を跡形も無く消し飛ばすんだよ!!」

 

ダイガンカイの艦橋でアディーネがそう命じ、艦隊は執拗なまでに島を砲爆撃する。

 

「篠ノ之 束め………この前、島を攻撃した時は反応を見せなかったから逃げたのかと思ったら、まさかグレン団を呼んでいたとはねぇ。だが好都合だよ! 貴様諸共グレン団を海の藻屑にしてやるよ!!」

 

「アディーネ様! 島の中心部に高エネルギー反応です!!」

 

すると其処で、艦橋要員の獣人の1人がそう声を挙げる。

 

「!? 何だって!?」

 

と、アディーネがそう問い返した瞬間!!

 

地響きと共に、島が崩れ始める!!

 

そして、その中から“巨大な何か”が姿を現し始める!!

 

やがて、島は完全に崩れて水没し………

 

島が在ったその場所には………

 

全長が400メートル近くは有ろうかと言う、巨大な艦船が姿を現した!!

 

と、姿を現した巨大艦船の中央上部分が、艦橋を残して左右に広がる様に展開する。

 

そして展開した部分が水平になったかと思うと、飛行甲板となる。

 

更に飛行甲板が展開した後の艦体中央部に、3連装主砲と煙突状の大型ビーム砲、そして対空レーザー砲塔が出現する。

 

その姿は正に、構想されながらも実際に運用される事は無かった“幻の戦闘艦”………

 

『航空戦艦』であった。

 

「な、何だい!? あの船は!?」

 

突如現れた巨大な()()()()に、アディーネは驚きを露わにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その航空戦艦………

 

『インフィニット・ノア』の艦橋では………

 

「コ、コレは!?」

 

「コレが………インフィニット・ノア!?」

 

千冬と一夏が驚きの声を挙げる。

 

他の一同も、同じ様に驚愕を露わにしている。

 

「おおっ! スゲェじゃねえか! ウサミミ女!!」

 

只1人、神谷だけが子供の様に燥いでいる。

 

「敵艦隊、全てインフィニット・ノアの()()()展開しています」

 

と其処で、何時の間にかレーダーが在る座席へ移っていたくーちゃんが、そう報告を挙げる。

 

「よおしっ! 一気に片付けるよ!! 反陽子砲、発射用意!!」

 

「了解。反陽子砲、回路オープン。薬室内圧力上昇。全エネルギー、反陽子砲へ」

 

束がそう言うと、くーちゃんはコンソールパネルを操作する。

 

すると、インフィニット・ノアの艦首先端部分の装甲が展開。

 

中から発射口の様な物が出現する。

 

「安全装置解除。セーフティロックゼロ。圧力、発射点へ上昇中。あと0………2………最終セーフティ解除。圧力限界へ」

 

くーちゃんがそう言うと、艦首の発射口に光が集まって行く。

 

「ターゲットスコープ、オープン!」

 

束がそう言うと、艦長席のコンソールパネルから、トリガーの様な機械が現れる。

 

其れを束が握ると、今度は照準器の様な物が出現する。

 

「電影クロスゲージ、明度20! 皆! 対ショック・対閃光防御だよ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

その瞬間、艦橋窓の遮光用シャッターが閉まり、グレン団は手近な物へとしがみ付く。

 

「発射、10秒前………9………8………7………6………5………4………3………2………1………0!」

 

「反陽子砲! 発射ぁっ!!」

 

くーちゃんがカウントを終えるのと同時に、束はトリガーの引き金を引く!!

 

すると!!

 

艦首の発射口から、途轍もないエネルギーが敵艦隊目掛けて発射された!!

 

「!? 緊急潜航!!」

 

アディーネのダイガンカイだけが、慌てて水中へ潜ると………

 

反陽子砲は、残っていた敵艦隊の中央を直撃!!

 

巨大な光が広がり、敵艦隊の艦船が溶けて蒸発して行く!!

 

そして最後には、“核爆発”を思わせる様なキノコ雲を伴った巨大な爆発が起こった!!

 

やがてキノコ雲と爆発が収まると、熱湯と化した海からダイガンカイが浮上して来る。

 

「な、何て威力だい………アレだけの艦隊を一瞬で………」

 

「アディーネ様! 如何為さいますか!?」

 

「チイッ! 癪に障るけど撤退するよ!! あの船の性能は未だ未知数だ!! 此処で、(いたずら)に消耗するワケには行かないよ!!」

 

アディーネがそう言うと、ダイガンカイは再び海中へと姿を消すのだった。

 

「ダイガンカイ………撤退して行きます」

 

「ふう~~」

 

くーちゃんからの報告を聞くと、束は椅子の背凭れへと寄り掛かる。

 

「す、凄い………」

 

「何て威力ですの………」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

反陽子砲の威力に、シャルとセシリアが思わずそう呟き、他の一同も絶句している。

 

「見た? コレが『宇宙空母インフィニット・ノア』の威力だよ」

 

そんな一同に向かって、束は不敵に笑いながらそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

サードシフトした白式改め白神。
モチーフはお分かりの通り、ゴッドガンダムです。
その力でオータムをアッサリと撃破。

そして遂に姿を現した束とインフィニット・ノア。
何と!
インフィニット・ノアは宇宙空母でした!!
モチーフは私のハンドルネームの元ネタでもある、『宇宙空母ブルーノア』です。
マニアックな作品ですが、登場するメカニックが好きで、個人的にお気に入りの作品なんです。

次回からいよいよ最終章第1部が開始されます。
グレン団を取り巻く環境が大きく変わって行く事になります。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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