天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

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第98話『………もうISは作れないんだ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第98話『………もうISは作れないんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束が研究室として使っていた、太平洋の名も無き無人島………

 

だが其れは、神谷の予想通り“束が造った人工島”であり、その正体は『宇宙空母インフィニット・ノア』の建造ドックだった。

 

アディーネのダイガンカイ率いる艦隊が襲撃に現れた時………

 

唸りを挙げてインフィニット・ノアはその姿を現す!

 

必殺の反陽子砲が火を噴くと、瞬く間に敵艦隊を蒸発させる!!

 

凄まじき力を秘めた宇宙空母インフィニット・ノア。

 

果たして、束は何を思ってこんな船を造ったのか?

 

 

 

 

 

現在インフィニット・ノアは、リーロンが秘密裏に建設していた“IS学園の地下ドック”へと係留されている。

 

何時の間にこんなドックを作っていたのか?と真耶がリーロンに尋ねると、リーロンは………

 

()()()()()()()()()()、と思ってね」

 

と返したそうである。

 

其れを聞いた千冬は、又もや頭を抱える。

 

しかし気を取り直し、同行させた束に今回の件に関する事情聴取を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・地下………

 

リーロンの研究室………

 

「凄いわね、コレ! こんな凄い船は初めてだわ!!」

 

モニターに映っているインフィニット・ノアの全容図とスペックデータを見て、リーロンがやや興奮気味にそう言う。

 

「でしょでしょ~! 何せ、この束さんが心血を注いで建造したんだからね~!!」

 

そんなリーロンの傍で、自慢気に胸を張っている束。

 

「…………」

 

そしてくーちゃんは、そんな束の傍に控えている。

 

「オイ、束。自慢は良いから、そろそろ話を聞かせろ」

 

と、そんな束に向かって千冬がそう言う。

 

その後ろには、グレン団の面々の姿も在る。

 

「もう~、ちーちゃんったら~。そんなに焦らなくても、今説明するよ~」

 

束は何時もの様に戯けた様子を見せながら、千冬の方へと向き直る。

 

しかし、その表情に一瞬()が差した事には、誰も気付かなかった………

 

「先ず訊きたいのは………お前が今まで姿を晦ませていたのは、アレ(インフィニット・ノア)を建造していたからか?」

 

千冬は、モニターに映るインフィニット・ノアの全容図を見ながらそう問い掛ける。

 

「その通り!!」

 

そう答えると、束はまたも自慢気に胸を張る。

 

「一体何の為に?」

 

「………コレまでのグレン団の戦いぶりは、私も見させて貰っていたよ。皆、凄いね。間違い無く世界のどのIS乗りよりも活躍してるよ。束さんが保証するよ!」

 

束はグレン団の面々を見ながらそう言う。

 

「いや~、そんな………」

 

「まあ、当然の事ですわ」

 

「その通りよ」

 

真正面から褒められて照れる一夏と、調子に乗った様子を見せるセシリアと鈴。

 

「でも、苦戦した戦いも多かったんじゃないかな? 要塞型ガンメンとの戦いとか」

 

「うっ!?」

 

「そ、其れは………」

 

たが束が続けてそう言うと、鈴とセシリアは言葉に詰まる。

 

「其れに、グレン団は確かに勝ち続けてるけど、“世界全体の戦況”はロージェノム軍が圧倒的に優勢だよ」

 

「確かにな………」

 

束の指摘に、ラウラが苦い顔をする。

 

確かに、グレン団とロージェノム軍との戦闘は連戦連勝だ。

 

しかし、世界全体の戦況は悪化の一途を辿っている。

 

既に壊滅・占拠された国は4分の3に上り、人類側に残されているISも数え切れる程しか無い………

 

このままでは、敵の物量に押し潰されるのを待つばかりである。

 

「この状況を逆転する手立ては只1つ! ロージェノム軍の本拠地を見付けて、決戦を仕掛けるしか無いよ!!」

 

「ロージェノム軍の………」

 

「本拠地………」

 

「篠ノ之博士。仰る事は良く分かりますが………各国の諜報部が全力を挙げているにも関わらず、未だにロージェノム軍の本拠地は明らかになっていないのですよ?」

 

と、楯無が束に向かってそう言う。

 

「言うのは容易いけど………行うのは容易く無いわ………」

 

「姉さん。姉さんはロージェノム軍の本拠地が何処に在るのか知ってるんですか?」

 

簪がそう言うと、箒が束に向かってそう尋ねる。

 

「ゴメンね………私も全力を挙げて調べていたんだけど、未だに………」

 

束は、申し訳無さそうな顔をしてそう返す。

 

「そうですか………」

 

「でも、“思い当たる可能性”は有るよ」

 

「!? 本当か、束!?」

 

千冬が驚きの声を挙げる。

 

ロージェノム軍の本拠地が分かった。

 

其れは、全世界にとって間違い無く“朗報”である。

 

直ぐにでも知らせなければならない。

 

「飽く迄()()()だよ。確証は無いし………其れに若し、合ってたとしても………」

 

何か言い掛けて止める束。

 

「? 如何したんですか? 束さん?」

 

「ううん、何でも無いよ、いっくん」

 

一夏が尋ねると、束は取り繕う様にそう返す。

 

「だからゴメン………“確実な証拠”が無い限りは発表出来ないよ。下手したら、余計に世界が混乱しちゃうから」

 

「そうか………いや、此方こそすまない」

 

「気にしないで、ちーちゃん………兎も角、インフィニット・ノアは、“来るべきロージェノムとの最終決戦”に備えて建造した()()()()なの」

 

「決戦兵器!?」

 

束の言葉に、箒が驚きの声を挙げる。

 

「そう………そして、グレン団の“移動基地”だよ」

 

「ああ? 俺達の?」

 

「移動基地?」

 

其処で神谷と弾が、頭の上に?を浮かべた様子でそう問い掛ける。

 

「そっ。コレまでのグレン団の戦闘は、“防衛戦”という形式上、全て“()()()()()()で行われていた”でしょ?」

 

「そりゃそうですよ」

 

「でも、コレからはそうは行かなくなるかも知れないよ。ロージェノム軍に対してコチラから打って出て、“海外まで遠征しなきゃいけない”必要が出て来るかもしれないでしょ?」

 

「其れは………」

 

「確かに………そうかもしれませんね」

 

ティトリーと蘭が、顔を見合わせながら頷く。

 

「其処で私は、君達の為に“移動基地”としてこのインフィニット・ノアを建造したの!!」

 

其処で束はそう言うと、モニターに映っている全容図に向き直る。

 

「何たって、この空母は“世界で初めてISを()()()()()()運用出来る”空母だからね!」

 

「! ISを艦載機に!?」

 

真耶が驚きの声を挙げる。

 

グレン団の一同も、神谷以外が驚愕の様子を見せている。

 

ISも、従来の兵器と同じく運用の為には、整備や補給を行う施設が必要である。

 

しかし、国が保有できるISの数が決まっている為、ISは基地施設で整備・補給を行う事が通常であった。

 

勿論、当初“ISを艦載機として運用する空母”の構想自体は唱えられたが、前述の保有数の問題で計画だけで終わっている。

 

高性能ながら高々()()しか無いISを1箇所に集中させたり、其れを“艦載機として運用する事を前提とした空母”は現実的では無かったからだ。

 

空母を建造するには莫大な予算と人員、そして期間が掛かる。

 

だが束は、そのISを“()()()として運用する空母”………

 

言うなれば、『IS空母』を建造したのである。

 

見れば、インフィニット・ノアのスペックデータの中の艦内設備には、ISの運用に必要な物が揃って居た。

 

格納庫・整備室・部品製造工場・エネルギー補給装置、etc.………

 

「勿論、インフィニット・ノア“自体の戦闘能力”だって凄いんだよ~」

 

束の言葉に、一同は無言で同意する。

 

何せ、初登場した際に見せた必殺武器『反陽子砲』は、1撃で敵の大艦隊を海の藻屑に変えたのだ。

 

更に、戦艦の如き巨大な3連装主砲やレーザー砲、多数設置された対空レーザーとミサイル発射口。

 

装備されている武装のどれ1つ取っても、現代の艦船の武装の威力を大きく上回っている。

 

更に驚くべき事に………

 

このインフィニット・ノアは、“空母”でありながら()()()()()………

 

いや、其れ処か大気圏を突破し、“宇宙”にまで行く事が出来るのだ。

 

正にその名の通り、()()()()なのである。

 

極め付けに、設備を含む多くのシステムが高性能AIによって自動制御されており、“少人数での運用が可能”との事だ。

 

「スゲェじゃねえか、束! こんなモンを造っちまうなんてよぉ!」

 

「にゃはははははっ! 当たり前だよ! 何せ、この天才束様だからね!!」

 

神谷に煽てられ、得意気な表情になる束。

 

「あの………篠ノ之博士。“今の世界の状況”をご存じなんですよね? なら、もっとISを造って頂けませんか? 今の人類には、もっと“ISの力が必要”なんです」

 

と其処で、真耶が若干遠慮がちに束に向かってそう言う。

 

確かに、彼女の言う事にも一理は有る。

 

“今現在の人類”がロージェノム軍に勝つには、もっとISの数を増やすしか無い。

 

そして、そのISを開発出来るのは、世界中で只1人、束だけなのである。

 

「…………」

 

真耶からその話を聞いた束は、複雑な表情を浮かべる。

 

「束、お前が何故ISを()()()()しか造らなかったかは分からん。だが、世界の状況は一刻の猶予も無い処にまで来ている。直ぐにでもISの数を増やして欲しい」

 

千冬も、束に向かってそう頼み込む。

 

しかし………

 

「………ゴメン、ちーちゃん、皆………()()()()()()()()()んだ」

 

束は、心底申し訳無さそうにそう呟いた。

 

「!? 如何してですか!?」

 

「篠ノ之博士。貴女も“現状”は御存じの筈です。其れなのに何故?」

 

其れを聞いたセシリアとラウラがそう問う。

 

「…………」

 

しかし、束は答えない。

 

「姉さん、如何してですか!?」

 

「束さん!」

 

「ゴメンね………箒ちゃん、いっくん………」

 

箒と一夏も束に問い質すが、束は只俯くだけだった。

 

「束様………そろそろ此処に居る事も感付かれます」

 

と其処で、今まで黙っていたくーちゃんが、束に声を掛ける。

 

「りょーかい………ゴメンね、皆。もう“()()()ISを増やす事は出来ない”の。其れに………“天上博士との約束”も有るから」

 

「!? 親父とだと!?」

 

束の口から父親の名が出て、神谷が驚きを露わにする。

 

「束! お前、天上博士と知り合っていたのか!? 何時、何処で!?」

 

千冬も驚き、束に向かってそう問い質すが………

 

「ゴメン!! くーちゃん! 行くよ!!」

 

「ハイ………」

 

束がそう言うと、くーちゃんが“何か”を放り投げる。

 

煙幕手榴弾だ!!

 

煙幕手榴弾は床にバウンドしたかと思うと、凄まじい量の煙を吐き出し始める。

 

「キャアッ!?」

 

「エホッ!! エホッ!!」

 

驚く蘭と、煙を吸い込んで噎せるシャル。

 

更に、火災探知機が煙を感知してスプリンクラーから放水が開始される。

 

「うわ~~っ!? びしょ濡れ~っ!?」

 

「もう~! 何なのよ~!!」

 

ティトリーと鈴が、そう声を挙げる。

 

「………!!」

 

咄嗟に、スコープドッグのターレットレンズ部分だけを展開し、暗視レンズで煙幕の透視を試みる簪。

 

しかし、特殊な煙幕なのか、ターレットレンズを切り替えても、透視する事は一切出来なかった。

 

「大変!!」

 

と其処で、リーロンが慌ててパソコンから学園のシステムにアクセスし、スプリンクラーを止める。

 

「アニキ! 何も見えねえよぉ!!」

 

「慌てるな! 弾!!」

 

しかし、未だ煙幕は展開したままなので、弾と神谷からそう声が挙がる。

 

「ピ、ポ、パ、っと」

 

すると、リーロンは更にパソコンを操作する。

 

排煙用の換気扇が起動し、煙幕が排煙されて行く。

 

やがて全ての煙幕が排煙されると………

 

研究室内から、束とくーちゃんの姿は消えていた。

 

「!? 篠ノ之博士が居ない!?」

 

「逃げられたか………」

 

虚が声を挙げると、楯無がそう呟く。

 

「してやられたわね………」

 

「クッ! 束の奴め………」

 

「うえ~~喉が痛いよ~~」

 

リーロンが他人事の様にそう言い、千冬が愚痴る様に言う中、若干煙を吸い込んでいたのほほんが咳き込みながらそう言う。

 

「其れにしても………如何して束さんの口から、アニキのお父さんの名前が?」

 

「アイツ………親父と会った事が有んのか?」

 

一夏と神谷は、束の口から天上博士の名が出た事を思い出し、首を捻る。

 

「其れに、“もうISを造れない”って、如何言う事なんでしょう?」

 

「分からん………全てを知っているのは、他ならぬ“アイツ自身だけ”だからな………」

 

真耶が尋ねると、千冬は疲れた様な表情を見せながらそう言う。

 

「なら、待ちましょう………“姉さんが話してくれる”まで」

 

すると其処で、他ならぬ箒がそんな事を言う。

 

「箒………」

 

「篠ノ之………」

 

そんな箒の姿を見据える一夏と千冬。

 

「取り敢えず、インフィニット・ノアはコチラで預からせて貰いましょう。今日は皆、休んだ方が良いわ」

 

リーロンがその場を纏める様にそう言い、流れで解散となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後………

 

グレン団の面々は生徒会室に代わり、早速貰ったばかりのインフィニット・ノアを屯場にしている。

 

インフィニット・ノアの内部には、戦闘に関する施設の他にも、乗員のストレスケアを目的としている娯楽施設も有り、其れを聞いた神谷が直ぐ様飛び付き、他の一同も其れに続いた。

 

「そりゃそりゃっ! 10連コンボだ!!」

 

「ちょっ!? アニキ! 手加減してよ!!」

 

格ゲーのゲーム台に張り付き、対戦を行っている神谷と一夏。

 

「そりゃあああっ!!」

 

『只今のパンチ力………2トン!! 素晴らしい! 貴方は超人です!!』

 

「凄~い! 弾くん!」

 

弾はパンチングマシンに挑戦し、人間離れした記録を打ち出す。

 

そしてそんな弾の姿に、虚は何の疑問も抱かず拍手している。

 

「よっ! ほっ! イエーイ!」

 

「凄いっ! 高得点だ!!」

 

「本音にこんな特技が有ったなんて………」

 

ダンシングゲームで、リズム感良く動き回って高得点を叩き出すのほほんと、そんなのほほんの姿に感心しているシャルとティトリー。

 

「貰いましたわ! 名古屋撃ちです!!」

 

セシリアは、インベーダーゲームで名古屋撃ちを披露している。

 

懐かしいゲームも在ったものだ。

 

………と言うより、セシリア。

 

何故、名古屋撃ちを知っている?

 

「ぶっちぎりよーっ!!」

 

「負けないわよ!!」

 

レースゲームで、激しいデッドヒートを繰り広げている鈴と蘭。

 

「ああっ!? またか! オノレェ! このラウラ・ボーデヴィッヒを舐めるなよ!!」

 

ラウラは、クレーンゲームで目当ての黒いウサギのぬいぐるみが中々取れず、何度も硬貨を投入している。

 

「ホラホラ、箒ちゃん! しっかり守らないと!!」

 

「クッ! 流石は会長! 出来る!!」

 

箒と楯無は、エアホッケーで白熱した戦いを繰り広げている。

 

「…………」

 

そして簪は、1人静かにガンシューティングゲームで、画面に出て来るゾンビ達を次々に蜂の巣にして行っている。

 

「デュノアさ~ん? 居ますかぁ?」

 

すると其処へ、真耶が遊戯施設へと顔を出す。

 

「あ、山田先生」

 

その姿を確認したシャルが近寄る。

 

他のメンバーも、何だ何だと寄って来る。

 

「デュノアさんにお手紙が来てましたので、渡しておきますね」

 

真耶は、そう言うと1通の封筒を取り出し、シャルに差し出す。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「じゃあ、私はコレで………」

 

シャルが封筒を受け取ると、真耶は踵を返して、娯楽施設から立ち去って行く。

 

「誰からだ、シャル?」

 

「う~んと………」

 

神谷にそう問われ、封筒の送り主を確認するシャル。

 

「!?」

 

しかし送り主の名前を見た途端、シャルの表情が驚愕に染まる。

 

「? どした?」

 

「………()()()()からだ」

 

「!? 何っ!?」

 

シャルがそう呟いたのを聞いて、神谷は即座に封筒を引っ手繰る。

 

送り主の名は、モルガン・デュノア、アメリー・デュノア………

 

つまり、“シャルの()()()父親とその本妻”からの物であった。

 

「シャルロットの父親って言うと………デュノア社の社長の!?」

 

「何だと!? 今更何を考えているんだ!?」

 

「そうよ! “愛人”とのとは言え、()()()()を会社の道具扱いにして!!」

 

一夏が驚きの声を挙げ、箒と鈴からは怒りの声が挙がる。

 

既に、シャルの事情はグレン団の全員が知るところであり、娘を娘とも………

 

否、“人を人とも思わない”モルガン達の遣り方に激しい怒りを覚えていた。

 

そんな連中が、今まで全く音沙汰も無しだったのに、イキナリ手紙等を送って来た事に憤慨している。

 

「シャルロットさん! 読む必要は有りませんわ!!」

 

「その通りだ! そんな奴等の手紙なぞ、“ゴミ以下の代物”だ!!」

 

セシリアとラウラも、怒りを露わにシャルにそう言う。

 

「…………神谷………手紙………返して貰っても良いかな?」

 

しかし、シャルは若干葛藤している様な様子を見せながらも、手紙を持ったままだった神谷に向かってそう言う。

 

「!? シャル!」

 

「デュノアさん!? でも!!」

 

ティトリーが驚き、蘭も何か言おうとしたが………

 

「………“逃げてばかりじゃ居られない”からね………何が言いたいのかキッチリ見届けて………其れで文句を言い返すよ」

 

シャルはそう言いながら、少々翳が有る笑みを浮かべる。

 

「でゅっちー………」

 

「デュノアさん………」

 

のほほんと虚が、心配そうな眼差しで見詰める。

 

「神谷………」

 

「………嫌な事書いてあったら、直ぐに破り捨ててやれ」

 

再度シャルは神谷に呼び掛け、神谷は渋々ながらも封筒をシャルに手渡すのだった。

 

「…………」

 

シャルは封筒を再度手にすると、封を切って手紙を取り出す。

 

そして一瞬躊躇いながらも広げ、内容を読み始める。

 

「さ~て、何が書いて有るのかしらね………?」

 

「余り良い事が書かれている………予感はしないわね」

 

「…………」

 

楯無と簪がそう言い合い、弾も固唾を呑む。

 

「…………」

 

シャルは只々ただ無言で手紙を読み進めて行く。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

その雰囲気に釣られる様に神谷達も無言になり、遊戯施設はゲームの音だけが響き渡る状態となる………

 

「………えっ?………ええっ?………えええっ!?」

 

と、手紙を読んでいたシャルから、戸惑いの様な声が挙がる。

 

「!? 如何したの、シャル!?」

 

「やっぱヒデェ事が書いて有ったのか!?」

 

直ぐ様、ティトリーと神谷がそう声を掛ける。

 

「そ、其れが………今まですまなかったとか………1度じっくり話したいとか書いて有るんだけど………」

 

しかし………

 

シャルから返って来たのは、意外過ぎる答えだった。

 

「!? んだとっ!?」

 

其れを聞いた神谷は、再度シャルの手から手紙を引っ手繰り、内容に目を通す。

 

其処には、シャルが言った通りの内容が書かれていた。

 

「如何言う事だ!?」

 

「アレだけ足蹴にしておいて、今更にこの態度なワケ!?」

 

「虫が良過ぎますわ!!」

 

「全くだ!」

 

箒・鈴・セシリア・ラウラは、今までの事も有り、内容を信じられない様子である。

 

「でも、本当かも知れないよ~?」

 

「“明日をも知れない世の中”になって、自分の行いを省みて恥じた、という事も考えられると思いますが………」

 

しかし、のほほんと虚は頭ごなしに否定するのは良くないと言う。

 

「しかしなぁ………今までの仕打ちが仕打ちだからなぁ………」

 

「私もちょっと信じられないです………」

 

五反田姉妹は懐疑的な様子を見せる。

 

「う~~ん………コレは難しいなぁ~」

 

「ニャア………」

 

「…………」

 

楯無とティトリーは頭を捻り、簪も無言で考えている様な様子を見せる。

 

「何を考えてやがんだ………?」

 

「神谷………僕、今度の休みに………フランスに帰って、あの人と話し合ってみるよ」

 

「!? 何ぃっ!?」

 

神谷も戸惑っていると、シャルからそんな言葉が発せられ、驚きの声を挙げる。

 

「ちょっ!? 本気なのか、シャルロット!?」

 

「うん………実は1度………あの人としっかり話をしておこうと思ってたんだ」

 

一夏が問い質すと、シャルはそう返事を返す。

 

「決別したって言っても、“IS学園の保護”を盾に、()()()()宣言しただけだったからね。何時かは目の前でキッパリと言ってやろうと思ってたんだ。良い機会だよ」

 

「しかしよぉ、シャル………」

 

「………ホントの事を言うと、あの人の事は僕だって信じられないよ………でも、このままじゃ“逃げてる”だけの様な気がするんだ。だから1度、キチンと向き合って話したいんだ」

 

何か言おうとする神谷を遮り、シャルはそう言う。

 

「シャル………」

 

そんなシャルの瞳を、ジッと見据える神谷。

 

その瞳に宿っている決意は固かった………

 

「………分かった。行って来い、シャル」

 

「ありがとう、神谷」

 

そう言われて、シャルは笑顔を見せる。

 

(………何だ? この()()()()()()?)

 

しかし………

 

神谷は、“言い様の無い胸騒ぎ”を感じているのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

来たるべくロージェノム軍との決戦に備えてインフィニット・ノアを建造した束。
しかし、ISの数を増やす事は否定して来た。
天上博士を知っていたかの様な束だったが、またも姿を消す。

そしてシャルに届いた両親からの手紙。
今までの事を謝りたいとの事に、シャルはフランスへ一旦帰国する事を決める。
しかし、神谷は妙な胸騒ぎを覚えていた………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
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