天元突破インフィニット・ストラトス   作:宇宙刑事ブルーノア

99 / 137
第99話『世界に逆らう国賊が1匹居るだけの事だ』

これは………

 

女尊男卑の定められた世界の運命に風穴を開ける男達と………

 

それに付き従う女達の物語である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天元突破インフィニット・ストラトス

 

第99話『世界に逆らう国賊が1匹居るだけの事だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金曜日の夕方………

 

東京国際空港………

 

「じゃあ、行って来るよ、皆」

 

キャリーバックを持ったシャルが、ゲートの前でそう言う。

 

「気を付けるんだぞ、シャルロット」

 

「何か有ったら直ぐに連絡してくれ」

 

「何時でも助けに行くわよ」

 

集まっていたグレン団メンバーの内、一夏・箒・鈴がそう言う。

 

「うん、ありがとう」

 

「シャル………」

 

と其処で今度は、神谷がシャルに声を掛ける。

 

「神谷………」

 

「………気を付けるんだぞ」

 

何か言いた気な神谷だったが、結局其れだけ言うに留める。

 

「うん………それじゃあ、行って来るね」

 

シャルはそう言うと踵を返し、キャリーバックを引きながらゲートへと向かった。

 

「………やはり不安は拭えんな」

 

「大丈夫でしょうか………?」

 

「まあ、ISも持って行ったワケだし、向こうが多少強硬な手段に出ても大丈夫よ」

 

不安が拭えない様子のラウラとセシリアに、楯無がそう言う。

 

「だと良いけど………」

 

しかし、“一抹の嫌な予感”を感じている簪が、そんな呟きを漏らす。

 

「かんちゃ~ん、嫌な事言わないでよ~」

 

「そうですよ、簪様」

 

のほほんと虚が、そんな簪に苦言を呈する。

 

「シャル………」

 

「ティトリーさん………」

 

シャルを心配するティトリーと、そんなティトリーを気遣う蘭。

 

「大丈夫っすよ、アニキ。きっと無事に帰って来ますって」

 

「…………」

 

弾の方も、神谷を気遣う様な様子を見せるが、その言葉は神谷に届いていなかった。

 

(如何にも“嫌な予感”が消えねえ………何だ?………一体何が起こるってんだ?)

 

胸中に過る嫌な予感に、神谷は珍しく不安気な表情を浮かべる………

 

そして、この予感が………

 

“グレン団の運命を大きく変える出来事”として的中しようとは………

 

この時の神谷は、予想だにしていなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ………

 

月曜日の朝………

 

IS学園での授業が始まる。

 

しかし1年1組の教室に、シャルの姿は無かった………

 

本来ならば、昨日の夜には帰っている筈である。

 

其れが帰って来なかった………

 

(シャルロット………帰って来なかったな………)

 

(まさか、()()()何か有ったのか?)

 

(なら、連絡の1つぐらい有る筈ですわ)

 

(一体如何したと言うのだ………?)

 

一夏・箒・セシリア・ラウラが、帰って来なかったシャルの身を心配する。

 

「…………」

 

そして神谷は、空席となっているシャルの席の前に立ち、ジッとその席を見据えている。

 

(神谷………)

 

(かみやん………)

 

そんな神谷の姿を不安そうな表情で見詰めるティトリーとのほほん。

 

「お早うございます、皆さん」

 

「全員席に着け」

 

と其処で、真耶と千冬が教室へと現れる。

 

しかし、現れた真耶は神妙な表情をしており、千冬も憮然とした表情を浮かべている。

 

(? 何か有ったのかな?)

 

自分の席へと戻った一夏がそう思っていると、2人から衝撃的な話が飛び出す。

 

「諸君………実はデュノアの事で話が有る」

 

「デュノアさんは“御実家の方の都合”で………昨日付けでIS学園を退学する事になりました」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「!? んだとぉっ!?」

 

一夏達が驚愕の表情を浮かべ、神谷も思わず席から立ち上がる。

 

他の生徒達もざわめき始める。

 

「静かにしろ!!」

 

「本当に突然の事ですが、もう()()()()()ですので………」

 

千冬がそんな生徒達を制し、真耶がそう言葉を続けるが………

 

「馬鹿なこと言ってんじゃねえっ!!」

 

神谷が前に出ながら、千冬と真耶に食って掛かる。

 

「実家の都合だと? フザケんな!! アイツの家が如何いうとこだか、テメェも知ってる筈だぞ! ブラコンアネキ!!」

 

「…………」

 

何時もなら神谷を制しようとする千冬だが、この時ばかりは複雑な表情を浮かべ、只“黙って神谷の言葉を聞いていた”。

 

「千冬姉! シャルロットの奴、如何したんだよ!?」

 

「そんな説明では納得が出来ません!!」

 

「織斑先生!!」

 

「教官! 本当の事を仰って下さい!!」

 

「先生!!」

 

「教えて下さい! 先生!!」

 

一夏・箒・セシリア・ラウラ・のほほん・ティトリーも千冬に詰め寄る。

 

「…………」

 

「織斑先生………」

 

沈黙を続ける千冬に、真耶も“何かを訴え掛ける様な眼差し”を向ける。

 

「………本日の授業は自習とする。天上、織斑、篠ノ之、オルコット、ボーデヴィッヒ、布仏、キャッツ………お前達は、私達と一緒にリットナー先生の研究室へ集まれ」

 

やがて千冬は決意したかの様な表情となると、神谷達に向かってそう言い、教室から出て行く。

 

其れに続く真耶の後を追うように、神谷達も続いて教室を後にするのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーロンの研究室………

 

「で? 一体如何言う事なんだよ?」

 

途中で、鈴・楯無・簪・虚・弾・蘭とも合流し、グレン団のメンバーが全員集まると、神谷は千冬に向かってそう質問をぶつける。

 

「………“デュノアの実家から連絡が来た”と言うのは本当だ。父親であるモルガン・デュノアが、“()()()()()により退学させる”と言って来た」

 

「親父さんから? なら、シャルロット()()が退学を希望したワケじゃ無いのか?千冬姉」

 

「その可能性も有る………」

 

一夏の意見に、ハッキリとでは無いがそう答える千冬。

 

「なら、如何して抗議しなかったのですか!?」

 

「そうよ! IS学園の生徒の身柄は、IS学園で保護されてる筈でしょう!!」

 

直ぐ様セシリアと鈴が抗議する様にそう言うが………

 

「2人共………落ち着いて………」

 

「デュノア社から圧力が掛かったんですか?」

 

簪がそんな2人を宥める様にそう言い、楯無がそう指摘する。

 

「デュノア社()()なら、未だ何とかなったんだがな………」

 

すると、千冬はそんな言葉を漏らす。

 

「? 如何いう事ですか?」

 

箒がそう尋ねると………

 

「実は………デュノア社だけでなく、“フランス政府からも圧力が掛かった”んです」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

真耶の言葉に、神谷を除いた一同が驚きを示す。

 

「フランス政府からだと!?」

 

「何故フランス政府が圧力を!?」

 

ラウラと虚が驚いた様子のままそう声を挙げる。

 

「分からん………1つ確かな事は………デュノア社が“政府を動かせる様な何か”を持ったと言う事だ………」

 

と、千冬がそう言った瞬間………

 

突如、研究室内に警報が鳴り響いた!!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「何事です!?」

 

「ちょっと待ってね………」

 

神谷達が再び驚き、千冬がリーロンに向かってそう尋ねると、リーロンは直ぐにコンソールパネルを操作する。

 

「!? コレは!?」

 

と、目の前に展開したモニターの映像を見て、珍しく驚きの声を挙げるリーロン。

 

「リットナー先生!?」

 

「一体如何したのですか!?」

 

「………“厄介な事”になったわよ」

 

真耶と千冬がそう尋ねて来ると、リーロンは目の前のモニターに映し出されていた映像を、大型モニターに投影して皆に見せる。

 

其処には、IS学園を包囲し、取り囲んでいる………

 

()()()()()()()の姿が在った。

 

「!? 自衛隊!?」

 

「馬鹿な!? 何故自衛隊がIS学園を包囲している!?」

 

その様子に、真耶と千冬が驚きの声を挙げると………

 

「! 外部から通信が入ってるわ」

 

と其処で、通信が入って来ている事に気付いたリーロンが声を挙げる。

 

「!? コチラに回して下さい!」

 

「了解!」

 

千冬がそう言うと、リーロンは直ぐに回線を繋ぐ。

 

すると千冬の目の前に、内閣官房長官の姿が映し出された。

 

「官房長官!? コレは一体………!?」

 

[通達!!]

 

官房長官は千冬の言葉を遮る様にそう言い、懐から1枚の書類を取り出し、千冬に見せる様にした。

 

[日本国政府は、“日本及び世界各国を取り巻く諸状況”を鑑み、IS学園を政府の管理下に組み入れるものとする!!]

 

「!? 何っ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

千冬も思わず驚愕し、一夏達も3度目となる驚きを示す。

 

[よって、IS学園の所有する施設、人員………そしてISは、全て日本国政府が接収する!!]

 

「馬鹿な! アラスカ条約違反だ!! 国際IS委員会が黙っていないぞ!!」

 

淡々と一方的に告げる官房長官に、千冬はそう反論するが………

 

[国際IS委員会は、先程解散した。よって、アラスカ条約も全面撤廃された]

 

「!? 何だと!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

官房長官のその言葉に、一同はまたも驚愕する。

 

[尚、天上 神谷とグレンラガンは、直ちに日本政府へと引き渡して貰う]

 

「!? んだとぉっ!!」

 

突然の名指しに、神谷は座って居た椅子から立ち上がると、官房長官を睨み付ける。

 

[コレは()()()()である。24時間以内に通告に従わなかった場合………我々は、武力を以てIS学園を管理下に置く。“ブリュンヒルデの賢明な判断”に期待する]

 

しかし官房長官はそれを無視し、更に一方的に言葉を続けると通信を切る。

 

「お、織斑先生………」

 

「クッ………まさか………こんな事になるとは………」

 

狼狽えながら千冬に声を掛ける真耶だったが、今回ばかりは千冬も冷静では居られなかった。

 

「お、俺達………如何なっちまうんだ?」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

思わず不安を声にする一夏だったが、其れに答える者は誰も居ない………

 

「…………」

 

そして神谷は、1人思い詰めている様な様子を見せている………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後………

 

IS学園内は、上を下への大騒ぎであった。

 

生徒達は疎か、教職員達も動揺し、最早千冬や学園長・十蔵の指揮だけでは収まらない。

 

緊急会議で話し合われた意見の中には、日本と徹底抗戦すべきだ………要求を素直に受け入れるべきだ………全てを捨てて逃げるべきだ等、多種多様な意見が交わされた。

 

コレが以前ならば、“日本政府と徹底抗戦すべきだ”という意見が通った可能性も有る。

 

学園の保有するISの数は、自衛隊に配備されている物に比べれば圧倒的に多く、あらゆる現存兵器を凌駕するISならば自衛隊を殲滅する事も出来ただろう。

 

しかし、若し今の状況でそんな事をすれば、守り手の居なくなった日本はロージェノム軍に占拠され、IS学園も直に占拠される事になる。

 

更に、学園を包囲している自衛隊の部隊の中には、量産型のグラパールの姿も在った。

 

グラパールの性能は、元となったグレンラガンやISと比べると低いが、其れでも現存兵器を凌駕している。

 

その上、“訓練を積めば誰にでも使用可能”と言う利点も有り、かなりの数が配備されている。

 

如何にISと言えど無限に戦えるワケではなく、数を頼りに飽和攻撃に曝されれば倒される危険性は大きい。

 

其れは、皮肉にもロージェノム軍との戦争で露見している。

 

加えて、グレン団はいざ知らず、IS学園のIS乗りは(ほぼ)学生………

 

()()()()()()()()()()である。

 

その彼女達が、“実際の戦闘”に出られるか?と問われれば非常に疑わしい。

 

何より問題なのが、相手が同じ()()だと言う事だ。

 

白騎士事件の時、千冬は各国の軍を壊滅させたが、1人の死者も出していない。

 

だが其れは、千冬の技量がずば抜けて高かったからに他ならない。

 

若し、他の誰かが同じ事をしようとしても、出来る保証は無い。

 

ISは兵器である以上、人を殺す。

 

年端も行かない少女達に、そんな覚悟と業を背負わせられるものか………

 

会議は議論が平行線のまま、無駄に時間ばかりを消費して行っていた。

 

そんな中………

 

この騒動の中心に居るとも言えるグレン団の面々は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・校舎の屋上………

 

「ったく………喧しく飛びやがって」

 

弾が上空を旋回飛行している航空自衛隊の戦闘機部隊、更にIS部隊とグラパール部隊を見上げながらそんな事を呟く。

 

「わ、私達………如何なるの?」

 

「蘭、大丈夫だよ。落ち着いて」

 

コレからの事に不安を抱き、震えている蘭を、ティトリーがフォローしている。

 

「其れでお嬢様~。何か分かりました~?」

 

そんな中でも、何時もと変わらずのほほんとした様子で楯無にそう尋ねる。

 

「ええ、更識家の情報網を駆使して調べてみたんだけど………この件にはフランス政府が関わっているみたいだよ」

 

楯無が、扇子を広げて口元を隠しながらそう言う。

 

広げた扇子には『陰謀』と言う文字が書かれている。

 

「またフランス政府!? 一体如何なってんの!?」

 

「IS委員会が解散したのも………フランスが圧力を掛けたみたい………」

 

「この情勢下で、委員会自体の存在が危ぶまれていたからな………」

 

鈴がそう叫ぶ様に言うと、簪とラウラがそう言葉を続ける。

 

「詳しくは分からないわ。けど、“何か”がフランスで起こっている………丁度、()()()()()()()()()()()()()()()からね………」

 

何処か含みを持たせた言い方でそう言う楯無。

 

「クソッ! こうなったらフランスに乗り込んで………」

 

「一夏さん! 其れは無茶ですわ!!」

 

「下手をすればロージェノム軍だけではなく、世界中から狙われる事になるぞ!!」

 

一夏が血気盛んにそう言い掛けたが、セシリアと箒にそう制される。

 

もしココでグレン団の面々が“表立って”逆らう様な真似をすれば、忽ち世界の反逆者になってしまう。

 

そうなればロージェノム軍は元より、守るべき人類からも狙われる事となる。

 

「じゃあこのまま、黙って事の成り行きを見てろ、ってのか!?」

 

「織斑くん! 冷静に!!」

 

頭に血が昇った様子の一夏に、虚がそう言う。

 

「? アレ~? そう言えばかみやんは~?」

 

と其処で、のほほんが神谷の姿が無い事に気付いてそう言う。

 

「アニキだったら、あの話が終わった後、部屋に閉じ籠っちまったぜ」

 

「流石の神谷も、今回の事は堪えたみたいね………」

 

弾がそう答えると、鈴がそう続ける。

 

「心配だな………俺、ちょっと見て来る」

 

「私も行くぞ」

 

「私も」

 

一同はそのまま、神谷の元へと向かう。

 

この複雑な問題………

 

流石の神谷も、如何すれば良いのか悩んでいる、と一同は思った。

 

しかし………

 

既に、神谷は“答え”を出していた。

 

そう………

 

何とも神谷らしい、“単純且つ大胆な答え”を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園・学生寮………

 

一夏と神谷の部屋………

 

「アニキ。俺だけど、居る?」

 

一夏がそう言って、部屋の扉をノックする。

 

「おう、一夏か。入っても良いぞ」

 

すると部屋の中から、“何時もと変わらぬ感じ”の神谷の声が聞こえて来た。

 

「何よ。何時もと変わんないじゃない」

 

「心配して損しましたわ」

 

鈴とセシリアが呆れる様にそう呟く。

 

「いや、でも、無理して明るく振舞ってるんじゃ………」

 

「有り得るな………アニキ、痩せ我慢する(タチ)だし………」

 

「入るよ」

 

ティトリーと弾がそう言い合って居る中、部屋の扉を開ける一夏。

 

「よう、お前等。如何した? 雁首揃えやがって?」

 

其処には、“私物を纏めた”神谷の姿が在った。

 

と言っても、其れ程私物を持っていたワケでは無いので、荷物の量はかなり少な目である。

 

「いや、アニキこそ如何したんだよ? 荷物纏めて?」

 

「決まってんだろ。もう()()()()()()()()からさ」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

まるで、コンビニにでも出かける様な感覚で平然とそう言い放った神谷に、一同は思わず硬直する。

 

「ア、アニキ! 其れって如何いう………?」

 

「“反乱分子”が1人出るのさ………“世界に逆らう()()が1匹居る”だけの事だ」

 

神谷は、事も無げにそう言い放つ。

 

「神谷! 貴様まさか!?」

 

「そのまさかよ………日本もフランスも関係無え………俺はシャルを助けに行く!!」

 

箒に向かってそう言い放つ神谷の目には、一片の迷いも無い。

 

間違い無く“本気の目”だった。

 

「正気か、貴様!?」

 

「神谷くん! 其れは幾ら何でも無茶だよ!!」

 

ラウラが驚愕し、楯無も神谷を説得しようとする。

 

「其れに、貴方が居なくなったら、学園の皆に危険が………」

 

「コレからやる事は“俺が勝手にやる事”だ。そうすりゃ、後はブラコンアネキが適当に理屈付けて言い訳してくれるだろうよ」

 

虚も神谷を止めようとするが、神谷はそう言うと一夏達の間を擦り抜けて行く。

 

「! アニキ!!」

 

「じゃあな、お前等。達者でな」

 

通り過ぎて行った神谷を振り返って声を掛ける一夏だったが、神谷は振り返らずに手を振って別れを告げる。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

残された一夏達は呆然と立ち尽くす。

 

「………如何するのよ?」

 

「如何………と言われましても………」

 

「神谷さん………本気で世界まで敵に回す気なの?」

 

やがて絞り出す様に、鈴・セシリア・蘭がそう言い合う。

 

「…………」

 

そんな中、1人思い詰める様な様子を見せている一夏。

 

「一夏?」

 

「如何した? 一夏?」

 

「…………」

 

ラウラと箒が声を掛けるが、一夏は思い詰めた表情を続ける。

 

「!!」

 

しかし、急に決意を固めた様な顔になったかと思うと、開け放たれたままだったドアから部屋に入り、自分の私物を纏め始めた。

 

「一夏!?」

 

「一夏くん!? 貴方まさか!?」

 

箒と楯無が驚愕の声を挙げる。

 

「“国に叛く反逆分子”が1人増えるだけの話さ」

 

「おりむーっ!?」

 

「一夏! アンタまで何馬鹿なこと言ってるの!?」

 

「一夏さん! 落ち着いて下さい!!」

 

事も無げに言う一夏にのほほんが驚愕し、鈴とセシリアが慌てて止めに掛かる。

 

「じゃあ、このままアニキを1人だけ行かせろって言うのか!?」

 

すると一夏は、全員に向かってそう言い放つ。

 

「! 其れは………」

 

「………俺達は“グレン団”だ。()()()()()()()()()()じゃないか。其れに俺達は………何度もアニキに助けて貰ったじゃないか」

 

一同が黙り込むと、一夏は更にそう言葉を続ける。

 

「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」

 

そう言われて一同の脳裏に、今までの戦い、そして学園での日々の思い出が甦る。

 

そしてどの思い出の中にも、必ず神谷の姿が浮かんだ。

 

何時も皆の中心に居て、時には強引に皆を引っ張り続けて来た神谷。

 

その神谷が仲間を置いて、1人で行こうとしている………

 

こんな時こそ、今度は自分達が神谷を引っ張って行くべきじゃないのか?

 

一同の胸中に、そんな想いが過り始める。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

苦悩する様な表情を見せる箒達。

 

「皆!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

しかし、一夏がそう呼び掛けた瞬間!

 

全員が一斉に、自分の部屋へと向かい出したのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

神谷は………

 

(待ってろよ、シャル………今行くぜ)

 

1人足音を響かせながら、学園の地下施設へ向かっている。

 

如何やら、インフィニット・ノアを奪取してIS学園から脱出する積りの様だ。

 

すると………

 

そんな神谷の背後から、ドタバタと複数の足音が近付いて来る。

 

「アニキ!!」

 

「!?」

 

そして一夏の声が聞こえ、神谷が驚きながら振り返ると其処には………

 

様々な荷物を抱えた一夏達が、自分の方へ向かって走って来ていた。

 

「お前等!? 何の積りだ!? コレは俺の………」

 

「水臭いぜ! 何言ってんだよ!?アニキ!!」

 

「俺達はグレン団………“魂の絆で結ばれた兄弟”じゃないか!!」

 

神谷の言葉を遮り、弾と一夏がそう言う。

 

「正直、今回の事には納得していなかったのでな」

 

「“世界を相手に一戦交える”ってのも面白いかもね」

 

箒と楯無も、不敵に笑いながらそう言う。

 

「お前等………」

 

「其れに、私達は“()()()代表候補生”なのよ」

 

「そうですわ。ISファイト国際条約第4条………」

 

「IS専用機乗りは、己の『専用機』を守り抜かなければならない」

 

「私達は………その条約を………忠実に守っているだけ………」

 

鈴・セシリア・ラウラ・簪もそう言う。

 

「私は獣人だし、“()()世界の敵”って事は変わらないよ」

 

「友達を助ける………其れで良いじゃな~い?」

 

「ココまで来たら………一蓮托生です!」

 

「さあ! 行きましょう!!」

 

そして、ティトリー・のほほん・蘭・虚もそう言う。

 

「…………」

 

そんな一同の姿を、神谷は見詰める。

 

「そうか………そうだったな」

 

やがて、そう呟きながらフッと笑った。

 

「行くぜ、お前等ぁっ!! 世界に反旗を翻すぜ!!」

 

「「「「「「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

神谷の号令に、一夏達は勇ましい声を挙げ、改めて地下のドッグを目指すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

フランスへと帰国したシャル。
しかし、彼女は戻って来なかった………

それどころか、フランス政府からの圧力で国際IS委員会が解散。
アラスカ条約も撤廃され、IS学園は自衛隊に包囲される。
世界の情勢が劇的に変わり始めた中………
グレン団は堂々と反旗を翻します!

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

新作『新サクラ大戦・光』の投稿日は

  • 天元突破ISと同時
  • 土曜午前7時
  • 別の日時(後日再アンケート)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。