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『これが僕が使える《変身魔法》だよ。《変身魔法》は様々な環境に応じて活動しやすくする他に魔力を大量に消費した際に、あえて小動物とかに変身することで肉体を縮小化させて魔力消費を抑えて魔力の回復を早くできるようにする利点があるんだ』
そう言った目の前にいたのは、魔法を教えていた少年とは体の大きさから違う小動物が1匹。これが《変身魔法》を発動させた少年だと言うのだ。
一夏
『ほぉ、思ったより便利なんだな。俺も使えたりするのか?』
■■■
『う〜ん、イメージはそうだな、魔力で形作った着ぐるみを被る感じかなぁ?』
一夏
『ふ〜ん、試しにやってみるか』
目の前の彼に教わった通りに術式を展開してみせる。
一夏
(着ぐるみか。そういえば昔知り合いの手伝いで、着ぐるみを着たことあったな。夏場の暑い時期だったから着てる間は地獄だったけど、頭の部分を脱いだ時は風が吹いて爽快だった〜)
そんな雑念が混じった状態で魔法が発動。その場に変身した少年の姿が現れる。
■■■
『・・・(ぷるぷるぷる)ブフッ!』
一夏
『おいなんだよ、なんでこっち見ねんだ?』
すると、目の前の彼は笑いを堪えるように震え、顔を背けているのだ。
■■■
『そ、その、自分の目で見てもらった方が早いかも……ブッ!ふふ……』
一夏
『なんじゃこりゃ?』
そこには、首から下だけが動物の姿となった少年がいたのだった。
なのは
「いってきま〜す!」
そう言いながら家から学校へ向かう【なのは】。そんな何気ない光景を離れた建物の屋根の上から見る影が一人。
ソウル
「あれが、今のところ確認できる俺たち以外の魔導師の一人か……」
そう呟きながら、俺は彼女の後ろ姿を見送る。
ソウル
「制服姿を見るに、学校へ向かうところか。前に戦ったあの男もそうだが、魔力量を除けば、幼く、魔導師としては全くの素人だな。まぁ、直に接触してみないとなんとも言えんが」
俺たちが先日戦った魔導師達の実力は、一人は自分が直接戦ったことで、年齢故の幼さからか、膨大な魔力とそれにものを言わせた大規模な魔法に胡座をかいているだけの、正直実力不足もいいところだが、彼女の実力については【フェイト】から聞いたこと以外は全くの未知数と言っていい。彼女の実力を直に知っておくために俺が直接出向いてきたのだ。しかし、こんな離れた場所で見ていてもなにもならないが、近づきすぎて逆に気付かれても話にならない。
※事実、一度だけ彼女のSEC○Mと言っていい2人に感づかれそうになったのは別の話。
桃子
「ちょっと【なのは】!お弁当忘れてるわよ!あぁ、行っちゃった……」
すると、母親と思しき人物が彼女のお弁当を忘れたことに気づき呼び止めたが一足遅く、彼女が乗ったバスは走り出してしまう。
ソウル
「ほぉ、ちょうどいい。こんなに早く接触するチャンスが舞い込んできたな。となれば、アレを使うか……」
彼女への接触を図る作戦を思いつき、俺は行動を起こす。
桃子
「どうしましょう。届けに行きたいけど、お店もあるし……」
【桃子】は【なのは】が忘れていった弁当を片手に悩む。そんな時、彼女の前にそれが現れた。
桃子
「きゃっ⁉︎えっ?い、犬?」
それは、銀混じりの白い毛並みの犬と言うには若干大きく、狼と見間違う姿の、【ソウル】が《変身魔法》で変身した姿で現れたのだ。
※この姿を【フェイト】達に見せた時、【アルフ】が若干意識していたのは別の話。
【ソウル(犬)】は黙って【桃子】の持つ弁当を見た後、【なのは】が行った方を一瞥。
桃子
「もしかして、届けてくれるの?」
ソウル(犬)
「・・・(コクン)」
【桃子】が【ソウル】が何をしたいのか理解して、弁当を彼に差し出す。【ソウル】は頷き弁当を咥えて颯爽とバスを追いかけ姿が見えなくなる。
桃子
「うーん、なんか普通の犬と気配が違う気がしたけど、悪い感じはしなかったから大丈夫よね」
そんなことを考えながら、【桃子】は家の中へと戻って行くのだった。
【ソウル】は町を駆けバスを追い、【なのは】の通う学校が見えてきた。
すると、ちょうどバスが校門前に止まり、彼女が降りてくる。それと同時に【ソウル】が【なのは】の前に滑り込む。
なのは
「わっ⁉︎な、なに、大きな犬?」
【なのは】も突然現れた大きな犬に驚いて尻餅をつく。
なのは
「ふえ?わたしのお弁当?もしかして届けてくれたの?」
【ソウル(犬)】は咥えていた弁当を彼女の前に差し出す。【なのは】はキョトンとした顔をしながらそのまま弁当を受け取る。
なのは
「え、えーと、どこの子か知らないけど、ありがとう」
【なのは】は普通の犬だと思いながら、感謝の気持ちを込めて【ソウル】を撫で回す。
ソウル
(俺のことを犬と信じきって、全く警戒心を持たないとは。本当に魔導師かと疑いたくなる。けど、単純に考えればこれが年相応の女の子だな。【フェイト】も本来なら……)
【ソウル】も【なのは】の観察をしながら犬になりきっている。
???
「【なのは】ちゃん大丈夫?その犬、【なのは】ちゃんのところの子?」
なのは
「あ、【すずか】ちゃん。ううん、知らない子だけど、わたしのお弁当を届けに来てくれたの!」
すずか
「へ〜〜すごいお利口な子なんだね。どこかで飼われてるのかな?」
【なのは】の友人である【月村 すずか】も、【ソウル】のことを不思議そうに見ながらその腰を優しく撫で回す。
???
「あんたオスね。かなり珍しい毛並みだけど、あまりここら辺じゃ見かけないわね……」
ソウル
「ギャワン!(っていつの間に⁉︎)」
なのは
「さ、さすが【アリサ】ちゃん、犬のことになると手が早いの……」
彼女のもう一人の友人の【アリサ・バニングス】は、生粋の犬好きということもあり【ソウル】のことを見つけるなり、【ソウル】が気付く間も無くその身体の隅々を撫で回しながら観察しだす。
それを発端に、学園の敷地内に入ってきた犬+まったく人に吠えない+周りは小学生ということと相まって、他の生徒達も我先にと【ソウル】の周りに集まってきた。
ソウル
(やばい……すぐにここを離れたいが、この【アリサ】とか呼ばれた金髪、全然離れようとしない)
下手に目立つことを恐れ、彼女を振り落とすこともできずいいように身体を弄られる【ソウル】。
しかしその空気を破るように、【ソウル】は跳び上がると足元に何かが飛んでくると地面に激しくバウンドして転がる。それはなんの変哲もないサッカーボールだった。
アリサ
「ちょっと【征騎】!危ないじゃないの!当たったらどうすんのよ!」
征騎
「おいおい心外だな。僕はきみが猛犬に襲われてると思って咄嗟にこれを蹴っただけなのにさ」
サッカーボールを蹴ってきた人物は、これまた先日戦った【征騎 王士】だ。周りは練習用のユニフォームを着ているのに対し【征騎】は制服姿。どうやら朝練をしていたサッカー部の練習に乱入していたようだ。ただ……
ソウル
(あいつ、一般人相手に《身体強化》の魔法を使っている)
【ソウル】が一目見た瞬間、【征騎】が《身体強化》でプレイをしているのだと見破る。
ソウル
(あの性格だ、大方周りに自分の能力を誇示させたいだけだろうが。魔法を使ってまですることとは思えない。そっちがその気なら……)
【ソウル】は転がっていたボールを上に投げると頭でリフティングを行う。
征騎
「おい野良犬、さっさとボールをこっちに……」
【征騎】がボールを奪おうとした瞬間、相手の脇をすり抜け、そのまま器用に頭でドリブル。そのままシュートを決める。
その光景に、周りの全員が呆気に取られていた。
ソウル
「ふんっ!」
征騎
「ッ!こ、この犬風情がっ!」
【ソウル】が入る前まで、《身体強化》をした【征騎】によりかなり点数をつけられていたようだが、【ソウル】が入った途端その点差はみるみる縮んでいく。
犬が試合に入ってきたことに味方チームは最初こそ戸惑っていたが、【ソウル】が的確なパス回しに安定したチームワークでプレイに臨んでいるのに対し、1人《身体強化》をしている【征騎】についていくことができず必然的に【征騎】のワンマンプレイにはしりだす。
そして点数も同点となり、残り時間もわずか。
征騎
「この野郎!これいじょう犬なんかにいい格好させるかよ!」
【ソウル】がボールをとり、ゴールに向かってドリブルをしていると、完全に【ソウル】1人(匹)に狙いを定めた【征騎】がスライディングをする。が、【ソウル】はこれを跳んでかわす。
征騎
(ニヤリ)
ソウル
「ッ⁉︎」
すれ違った瞬間、【征騎】が不敵に笑うと、他の人間から見えないように攻撃魔法を使って妨害をしてきたのだ。【ソウル】はそれをすんだのところで身を捻って躱すが、そのまま体制を崩されてしまう。それを狙い【征騎】は【ソウル】の身体ごとボールを蹴り飛ばしたのだ。
ソウル
「ガハッ!」
鋭い衝撃が【ソウル】を襲うが、【ソウル】はそのままボールの衝撃を逃しながらうまく味方チームへパスを繋ぎ、味方チームがシュート。その瞬間、試合終了のホイッスルが鳴る。【ソウル】はそのまま地面に着地すると、そのまま学校から走り去って行く。
アリサ
「【征騎】!あの子にあんなことするなんてほんとうに最ッ低!あたしさっきの子のことが心配だから追いかけるわ!」
すずか
「待って【アリサ】ちゃん!わたしも行くよ!」
【ソウル】の傷が気になった【アリサ】達は【ソウル】の後を追いかける。
《聖祥学園》から走り去った【ソウル】は少し離れた物陰に身を隠す。
ソウル
「痛つつ……まさかあの場で攻撃魔法まで使ってくるとは。相手を甘く見ていたな」
あの男の方にボールを当てられた箇所は《身体強化》をしていたことも相まってか、青黒く変色している。これは下手すれば骨までいっているかもしれない。そこの箇所を《回復魔法》で応急処置をしながら、先程のことを反省。パッと見た感じ
ソウル
「とりあえず、まだまだ油断はできないってところか……ん?」
何やら誰かを呼ぶ声がして、そっと顔を出して覗く。
アリサ
「ちょっとーー!さっきの子ーー!出てきなさーい!」
すずか
「【アリサ】ちゃん、そんな呼び方で出てくるわけないと思うよ」
アリサ
「う、うるさいわね、【すずか】、あの子の名前知らないんだからしょうがないじゃない!」
先程の女の子の友人らしき2人がここまで追いかけて来たらしい。
ソウル
「迂闊に姿を見せる訳にはいかないな。ここは、彼女達がいなくなるまでやり過ごすのが……」
アリサ
「ちょっ⁉︎何よあんた達!放しなさい!」
すずか
「やめて!【アリサ】ちゃんに酷いことしないで!」
と思った瞬間、彼女達の前に一台のワンボックスカーが止まり、無理矢理2人を車に詰め込んだのだ。
ソウル
「なっ⁉︎おい待てっ!」
慌てて物陰から飛び出すが、一歩遅く車は走り去って行く。
なのは
「そんな、【アリサ】ちゃん‼︎【すずか】ちゃん‼︎」
遅れて【なのは】も駆けつけたが一歩遅く、2人が誘拐されてしまったことに呆然と立ち尽くしていた。
そんな彼女を横目に【ソウル(犬)】は【なのは】を頭で小突くと、彼女のポケットを叩く。
なのは
「ふえ?もしかして、大人の人に連絡しろって?」
ソウル
「・・・(フイッ)」
なのは
「アッ⁉︎ちょっと!」
【なのは】が【ソウル】の意を理解してポケットから携帯を取り出すのを確認すると、1人(匹)車が走り去って行った方へと追いかけていった。
アリサ
「ちょっとあんた達!あたし達にこんな目に合わせて絶対に許さないんだから!」
誘拐犯
「うっせぇぞ、ガキども!大人しくしてりゃこっちも手荒な真似はしねぇんだからよ」
すずか
「・・・ヒッ!」
誘拐犯が拳銃を取り出し、私たちに突きつけられ恐怖で黙り込む。
誘拐犯
「ケケッ!楽な仕事なもんだ。《バニングスコーポレーション》と《月村工業》の令嬢を誘拐して町外れの廃工場に運ぶだけで大金が手に入るんだからよ」
誘拐犯の話からこの人たちはお金で雇われた人たちで、私と【アリサちゃん】はそこへ運ばれているみたい。
誘拐犯
「しかしどういうわけだ?目的地に着いたら《月村工業》の御令嬢は人間じゃねえって指摘しろってのは?」
すずか
「・・・ッ⁉︎」
この人達を雇った人はどこまで私たちの……
アリサ
「ちょっと!【すずか】が人間じゃないって?冗談言ってんじゃないわよ!」
すずか
「【アリサ】ちゃん……」
【アリサ】ちゃんは必死に庇ってくれているが、彼女は知るはずがない。友人にも決して言えない私の正体を。
誘拐犯
「たく、五月蝿えガキだな。しかし、人間じゃねえってなら多少手荒に扱っても構わねえよなぁ?」
誘拐犯
「へっ、ロ○コンが。まぁ、目的地に着くまで退屈だ。精々、楽しませてもらうとしますか」
すずか
「や、やめて……来ないで……」
誘拐犯の人達が不気味な笑みを浮かべる。そう、それはまるで、【征騎】君が私たちに向けるような。
誘拐犯(運転手)
「おい、俺を抜きにしてお楽しみしないでくれよ?」
誘拐犯
「ケッ!テメェはしっかり運転しとけばいいんだよ!」
運転手
「へいへい……って、ウワァ⁉︎」
突然運転手が悲鳴を上げ急ハンドルを切ったかと思えば、激しい揺れが私たちを襲ってきたのだ。
何を考えているんだろう。俺の目的はあの女の子の感じだったはず。故に派手な行動は控えるべきなのに。
ソウル
「けど、目の前で【フェイト】と同い年の子が大変な目に遭ったんだ。理由はそれだけでいいさ」
そう考え、あの2人を乗せた車を追う。人の身であれば到底追いつけるはずない。けど今の俺は魔導師。そして1匹の獣。
ソウル
「獣ならなにも考えるな。本能のままにただ獲物を追いかけるだけだ」
動物としての身体能力の速さと身体強化の魔法の掛け合わせにより目にも止まらない速さまで上がり、あっという間に獲物を捉え、車を追い越しざま即座にUターン。相手の車の前に飛び出し、そして相手が自分を避ける為にハンドルを切った際、すれ違いざまに車のタイヤにその爪を立てパンクをさせたのだ。
※ちなみに車を視界に捉えた時点で周囲に結界を展開して車を閉じ込めておいた。
制御を失った車はそのままガードレールに擦り付けながら停車。誘拐グループは車を捨て、【アリサ】と【すずか】の2人を連れ出すが、2人を捕まえていた誘拐犯の1人を突進で突き飛ばし、間に滑り込む。
すずか
「きみ、さっきの……」
アリサ
「助けてくれたの?」
【ソウル】は2人を一瞥しすぐに誘拐犯へと向き直る。
誘拐犯
「チィッ!高い金貰ってんだ!」
誘拐犯
「こんな犬っころ1匹に邪魔されてたまるか!」
誘拐犯は銃まで取り出し、街中であるにも関わらず発砲。もしも結界を展開していなければパニックになっていただろう。
しかし、素人さながらの狙いを定めて撃っているわけでもない乱射に、【ソウル】は銃弾を掻い潜り、弾切れを狙ったところで相手の懐へ入り込み、誘拐犯の2人を同時に倒す。
ソウル
(
拳銃や相手の人数などものともせず、次々と誘拐犯を倒していく【ソウル】。しかし無意識に左手を握って開いてを繰り返していた。
誘拐犯
「こ、コノォ!こんな犬相手に終われるかよ!」
ソウル
「ハッ⁉︎しまっ……」
当身が甘かったのか、先に倒していたはずの誘拐犯の1人がよろよろと目を覚まし、持っていた銃を発砲。【ソウル】も油断していて反応が遅れてしまう。
すずか
「危ない!」
アリサ
「【すずか】!」
しかし【ソウル】を庇って彼の前に【すずか】が飛び出し、その凶弾を受けてしまったのだ。
ソウル
「テメェ!」
誘拐犯
「ガボォッ!」
【ソウル】は変身魔法を解除し人間に戻り、勢いよく飛び出しながら誘拐犯を殴り飛ばす。
誘拐犯達を制圧することこそできたが、
アリサ
「【すずか】、【すずか】!お願いしっかりして!」
銃弾に倒れた【すずか】。彼女から止めどなく血が流れ出す。
ソウル
「さがってろ!チィッ、回復魔法は苦手なんだが……」
【アリサ】を退け、【ソウル】は【すずか】に応急処置として回復魔法を使うが、もともと回復魔法は不得手なこともあり、彼女の治療の見込みは正直なところ五分五分といったところ。
すずか
「ハァハァ……だい・・じょうぶ・・だから……少しだけ・・その、血を・・くれれば……」
アリサ
「【すずか】、あんたこんな時なに冗談言って……」
【すずか】の突然の発言に呆れた顔を浮かべる【アリサ】。
しかし、【ソウル】は神妙な面持ちになりながら、
ソウル
「血させあればなんとかなるんだな?」
すずか
「・・・(こくん)」
【ソウル】の問いに【すずか】は静かに頷く。
すると、【ソウル】は自分の指を切りつけ、血を滴らせながらその指を【すずか】の口へ運ぶ。
すずか
「・・・ッ⁉︎ハプッ!チュ、ぴちゃ、んちゅ……」
ソウル
「(うっ、いかん。小学生のはずなのに妙な色気が……) なっ⁉︎これは……」
自分の指をしゃぶりながら血を啜る【すずか】が出す雰囲気に軽くドギマギしていると、【ソウル】の回復も相まり、彼女の撃たれた傷が早戻しのように塞がっていったのだ。
アリサ
「【すずか】、あんた・・それ……」
すずか
「ハァハァ……これが、あの誘拐犯の人たちが言ってた人間じゃないって意味。あなたの血を吸っていたように、わたしは、普通の人たちとは違う、わたし達の一族は"夜の一族"って呼ばれる、いわゆる吸血鬼なんだよ。怖いよね。友達にずっと黙ってて、わたしがこんな化物なんて……」
アリサ
「【すずか】……」
【すずか】は瞳に涙を浮かべながら怯えた様子で、自分が普通の人間とは違う存在だと告白。友達にも隠していたことを話すのは辛いものだったはず。
アリサ
「バカーーー!」
すずか
「ふぇ?ア、【アリサ】ちゃん?」
それを聞いた【アリサ】は【すずか】を声を荒げる。その目に涙を流しながら。
アリサ
「あたしは、【すずか】が吸血鬼だって知ったことよりも、あんたが目の前で撃たれた時のことの方がよっぽど辛かったんだからね!あんたが自分を化物だって言おうがあたしにとっては大事な友達に変わらないんだから!いままでも、これからも!」
すずか
「【アリサ】・・ちゃん……ウゥ……じゃあ、これからも一緒にいてもいいの?」
アリサ
「グスッ!当たり前でしょ!同じこと何回も言わせないでよ!」
嬉しさのあまりなかなか泣き止まない彼女達。彼女達を慰めるためなのか、不意に【ソウル】は2人の頭をそっと撫でる。
アリサ
「ふにゃ⁉︎ちょ、ちょっとなにするのよ⁉︎////」
すずか
「ふぇ⁉︎あわわわ!////」
ソウル
「ああ、すまん。つい……」
突然のことに動揺する2人。【ソウル】は手を離しながら、先程までと打って変わっての彼女達の元気さに、2人を優しい眼差しで微笑む。
アリサ
「・・・ッ!って、あんたさっきの犬・・よね?」
すずか
「うん…… それに、わたしを治療したあの力って……」
ようやく冷静さを取り戻した2人は【ソウル】が犬から人の姿に変わったことと、【ソウル】が使った魔法がなんなのか問いただす。
ソウル
「・・・キミタチハナニモミナカッタ」
【ソウル】はその一言を残し、再び白狼に姿を変え、建物の壁を蹴り高く跳びそのままあっという間に彼方へ走り去っていくのだった。
アリサ
「なんだったのよアイツ……」
あの誘拐で、あたし達を助けたあの謎の男子のことが忘れられないでいた。もちろん、犬から変身したこともそうだが、それ以上に、
アリサ
「
身近で面識のある男子って言ったら、【征騎】とその取り巻き以外いないし、【征騎】に至っては下心丸出しで気安く何回も撫でてこようとして、正直良い気分はしていないのに、同じようにアイツに撫でられたうえ、あんな顔を見せられてから、それを思い出すたびに胸の高鳴りが治らない。
アリサ
「ウガァァ!このあたしが、あんなヤツにこんな気持ちにされるなんてあり得ないんだから!アイツが狼男だろうが何者だろうが関係ないわ!今度会った時は、あたしが調教してやるんだからーー!」
精一杯の照れ隠しの虚勢を張る【アリサ】だった。
すずか
「・・・・・」
あの助けてくれた男の子のことを思い出しながら、自室で1人いつものように"一族"としての吸血体質からパックに入った血液を一口啜る。が、すぐに机に置く。
すずか
「やっぱり、美味しくないよね……」
元からおいしいと思っていなかったが体質故に摂取せざるを得なかった。なのに、あの男の子から吸血してからいつも以上に美味しさを感じられない。"一族"の事情としてお姉ちゃんにも相談したら、なぜか屋敷のみんな優しい顔をしていた。
(※その際夕食がお赤飯だったのはここだけの話)
すずか
「また、会いたいなぁ」
自分の指を唇に添えながら物思いに耽る。部屋の鏡に映った彼女の姿は、年不相応な妖艶な雰囲気を帯びていた。
To be continude
街を離れ、再び少年少女たちは邂逅する。
『Steam hides everything湯煙の中で会おう』
どーも久しぶりです。
なんとか今年中に執筆中の作品を投稿することができました。
とりあえず、原作の【一夏】のくせを再現してみましたが、いかがだったでしょうか?
今回リリカルなのはの二次作品の定番とさせていただきました。
アリサをツンデレチョロインとすずかに若干ヤン要素が入ってみましたが、すずかに関しては私の作品の設定から、始めての異性からの吸血に中毒症状を持っている状態です。
これからも遅い投稿になると思いますが、これからも応援の方よろしくお願いしますm(_ _)m