L・s(リリカル・ストラトス)   作:ハッピー野郎

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事故に巻き込まれ、目が覚めたら幽霊となっていた【一夏】。
目覚めた公園で、【一夏】はある少女と出会う。
その少女の瞳に、彼はなにを思うのか?
そして、肉体を持たない姿で、彼が出来ることは……


第3話 幽霊だからって何もできない訳じゃない

〜〜一夏視点〜〜

 

さて、状況を整理しよう。さっきまで【アリシア】と家にいたはず。そこで突然、【プレシア】さんのいた研究所から爆発が起こり、俺達を襲った。そして、目覚めたら見知らぬ場所。【アリシア】とも逸(はぐ)れてしまったようだ。

しかし、今俺がいる場所は《ミッドチルダ》とは違い、俺のいた地球と景色が似ているが。

そして……

 

一夏

「俺の姿はというと、なぜか透けていて、他の人から認識すらされないときた」

 

試しに、手〜のひらを太陽に〜透かして見れば〜♪

 

一夏

「真っ赤に流れる血潮じゃなく、真っ青な空に、真っ白な雲の流れが見える」

 

うん、紛うことない幽霊、またの名をゴーストだ。

つまり、俺って死んだのか?幽霊ってどんなもんか知らないけど、俺自身、死んだって実感無いし、足も付いてる。

 

一夏

「そもそも、こんな時間で、こんな場所に幽霊ってのも場違いだよな」

 

俺が現在いる場所というのは、太陽の向きから夕暮れ間近だが、まだ昼間の公園。

そこそこ広さがあるため、遊具で遊ぶ子供。話に花を咲かせているママ友の姿がちらほら見える。

 

子供

「あぁ!風船……」

 

すると、子供の1人が持っていた風船が風にさらわれ、飛んでいく。

 

子供

「んっ!んっ!取れへん……」

 

運良く木に引っかかる。しかし大人でも登らないと取れないところに引っかかってしまい、子供も必死で飛び跳ねて取ろうとするが、届くはずもない。

そういえば、幽霊って浮けるよな。

浮くイメージがどういう風なのかいまいちイメージが湧かないが、試しにこうジャンプするように。

 

一夏

「お?おぉ!」

 

すると、明らかにジャンプした程度では上がらないくらいの高さまで浮き上がり、そのまま風船のところまで届く。

 

一夏

「っと、幽霊だけど、物に触ることってできるのかな?」

 

意識を集中させながら、木に引っかかっている風船のヒモに手を伸ばす。

 

一夏

「お、取れた……」

 

幽霊だから手からすり抜けたりすると思ったが、普通に掴むことができた。

そのまま風船を持って子供の元まで降り、子供に風船を渡す。

 

子供

「はーーー」

 

子供はポカーンと呆けながら風船を受け取って、そのまま親の元まで戻って行く。

ただ、なぜか子供と目が合っている気がするが。

 

子供

「あのね、風船が飛ばされてもうたんやけど、男の子がピュ〜って浮いて、風船を取ってくれたんよ!

けど、そのあとすぐにスーッて消えてもうた……」

 

親

「は〜、そりゃ良かったな〜」

 

子供がそのまま親に、今起こったありのままを話す。

話を聞いた親から見て、子供の夢の話と思っている。

でも、あの子供とその子の親の喋り方、関西弁、もしくは京都弁だよな。

もしここが地球なら、関西地方らへんなのか?

だが、それ以上に……

 

一夏

「もしかして、あの子供に俺の姿見えてた?」

 

まぁ、子供って見えないものが見えるって言うからな。

しかし、一回現れ、すぐに消えたとは、一体……

つまり、なにかのきっかけで見えるようになったってことか?

 

一夏

「ん?あの子……」

 

ふと、向こうのベンチに座っている1人の幼い女の子が目につく。

 

一夏

「あの子のあの目……」

 

その子の目が、あまりにも似ていた。

それは、昔の自分と重なって見えるほどに。

 

???

「あーあ、なぁんか、ここら辺なんか雰囲気暗くね?」

 

???

「そうだな。なんかこいつの周りだけ、やけに重苦しいな」

 

???

「こういうやつが1人いるだけでも、せっかくの楽しい公園が台無しになるよなぁ」

 

すると、その子の周りを同年代の子供が数人取り囲む。

所謂、悪ガキってところか。

 

女の子

「・・・・・」

 

しかし、言いたい放題の悪ガキに対し、女の子は何も言い返さない。

ずいぶん大人びていると思ったが、女の子はグッと涙を堪えている。

 

一夏

「子供のケンカに大人(現在見た目子供、ましてや幽霊)が入るのはどうかと思うが……」

 

1人に、それも女の子によってたかってってのは見過ごせないな。少し灸を据えてやるか。

もうすぐ夕暮れ。シチュエーション、今の俺の状況はこれほど最適なものはない。

俺は女の子の背後にゆっくりと回り込む。

 

悪ガキ

「「「かーえーれー!かーえーれー!」」」

 

???

「おい!テメェ「ウルセエヨ……」へ?」

 

突然木がざわつき、悪ガキ達の周りに声が響く。

 

悪ガキ1

「お、お前何か言ったか?」

 

悪ガキ2

「な、なにも言ってないよ」

 

悪ガキ達は辺りを見回すが、声の主は見つからない。

 

声

「オマエラが五月蝿くて、ゆっくりと眠れないだろうガ」

 

そして、女の子の背後からスーッと、宙を浮く半透明な姿で【一夏】が現れる。

それを見た悪ガキ連中は、

 

悪ガキ1

「お、おばけだーー!」

 

悪ガキ2

「怖いよーー!」

 

悪ガキ3

「パパーー!ママーー!」

 

???

「お、おい!待てよ!」

 

作戦成功。幽霊という今の状態を上手く利用することができ、悪ガキ達は一目散に公園から逃げて行く。しかし、1人多かった気がするが。

 

女の子

「???」

 

女の子も今起こったことに周りを見回し、背後をゆっくりと振り返り、俺とバッチリ目が合う。

 

一夏

「えーと、こんにちは〜〜」

 

こちらとしては友好的に挨拶。しかし幽霊の姿で。

 

女の子

(ふっ……)

 

女の子は突然目の前に現れた幽霊に、座っていたベンチの上で気絶してしまった。

 

一夏

「どうするよ、これ……」

 

まぁ、当然の反応だな。とりあえず、この子が眼を覚ますまでいてやるか。

 

☆☆☆

〜〜少女視点〜〜

 

女の子

「んにゃ……んん……」

 

あれ?わたし、寝ちゃってたのかな。お母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも忙しくて、1人で公園に来て、そしたら知らない子たちにいきなり酷いこと言われて、悔しかったけど、これ以上家族に心配かけたくなくて我慢してたらそれで……

 

???

「お、目が覚めたのか?」

 

女の子

「ふえっ⁉︎」

 

いきなり男の子から声がかけられる。そういえば、あの知らない子たちが突然わたしの後ろを見て逃げ出して、わたしも後ろを見たらそこにいたのは……

ううん。きっとわたしの見間違いなの。

わたしは、声をかけてきた男の子の方を振り向く。

 

一夏

「悪かったな。お前まで驚かせちまって」

 

わたしのとなりに男の子がいた。けど、足は宙に浮いて、身体は半透明。

 

女の子

「うにゃーー!おばけーー!」

 

目の前にいた男の子は明らかに幽霊。わたしも逃げたかったけど、腰が抜けちゃって動けない。

 

一夏

「だ、大丈夫だって。別にとって食ったりしねーよ!」

 

女の子

「うぅ…ほんとう?」

 

そう言った幽霊さんは、よく見たら、わたしより少し上くらいの男の子だ。

 

女の子

「あなたは、どうしてこんなところにいるの?」

 

一夏

「さあな。俺も気付いたらここにいたんだ」

 

女の子

「そうなんだ」

 

怖いって気持ちはどこかに行っちゃって、いつの間にか目の前の幽霊さんとは普通に話すことができたの。

 

一夏

「次は、俺から1ついいか?」

 

女の子

「うん、なあに?」

 

幽霊さんは、わたしになにを聞きたいんだろう?

 

一夏

「おまえ、なにか無理してないか?」

 

女の子

「・・・ッ⁉︎そ、そんなこと、ないもん……」

 

少女は誤魔化す。

いきなり見ず知らずの幽霊からそんなことを言われ、自分の胸の内をを覗き見られてしまったような気がしたからだ。

 

一夏

「おまえ、隠し事が下手だな。おまえの目、いかにも何か抱えてますって言ってるぞ」

 

女の子

「あ、あなたにわたしのなにがわかるっていうのさ!」

 

幽霊さんの言う通り。けど、絶対に喋っちゃいけないの。お母さんたちにこれ以上心配させたくないから。

 

一夏

「おまえがなにを思っているかなんてわからねえよ。けど、おまえみたいな目をしたやつのことなら知ってる」

 

女の子

「・・・え?」

 

一夏

「さて、ここで昔話をしようか……」

 

すると、幽霊さんが昔話をすると言い、話し始める。

 

一夏

「ある男の子がいました。その男の子は当たり前のように育ちましたが、その男の子は物心ついたときから両親がおりませんでした」

 

女の子

「お父さんとお母さんが?」

 

そのお話に出てきた男の子、もしかして、その男の子って幽霊さんのことなのかな。生まれた時からお父さんもお母さんもいなくて育ったなんて、わたしだったら、すごくさみしくて、毎日泣いちゃうの。

 

一夏

「ですが、男の子は決して1人じゃありません。それは、彼の唯一の家族として、姉さんがおりました」

 

女の子

「お姉ちゃんが?」

 

そっか、独りぼっちじゃなかったんだね。それを聞いて、わたしもホッとしたの。

 

一夏

「しかし、男の子の姉さんは、来る日も来る日も男の子を育てるために、学校に通いながら、仕事にも出ておりました」

 

女の子

「え……それって……」

 

まるで、今のわたしと同じ。お父さんがお仕事中、大怪我で入院して、お母さんとお兄ちゃんお姉ちゃんも毎日家の仕事で忙しくしている今のわたしの状況と。

 

一夏

「そして、男の子もまた、そんな姉の背中を見て、少しでも姉さんに心配をかけさせまいと、自分の胸の内を隠し続けました。決して弱さを見せまいと、時に己の限界も考えない無茶をするほどに」

 

女の子

「幽霊さんもそんな……」

 

一夏

「おいおい、なんで俺なんだ?あくまで、この昔話に出てくる男の子の身の上話だぞ?」

 

女の子

「むぅ……」

 

幽霊さんは、あくまで自分の話じゃないって話す。

でも、幽霊さんもお姉さんに心配かけさせたくなくて、そんな風に。わたしも、自分がお母さん達にできることがわからなくて、ただみんなに心配かけさせたくないって気持ちだけがある。

 

一夏

「しかし、姉に心配かけさせないためと、そんな自分を顧みない行動が良い結果を出すはずも無く、男の子は身体を壊すことになりました」

 

女の子

「そんな。そんなことになるなんて……もしかして、幽霊さんがそんな風になったのって……」

 

幽霊さんがお化けになって出たのって、それが原因で心残りがあって……

 

一夏

「いや、今の状況とこの話は全く関係ない」

 

女の子

「あぅ……もう!じゃあ幽霊さんはその昔話をして何が言いたいのさ⁉︎」

 

幽霊さんの昔話に、幽霊さんはわたしになにを言いたいのかわからない。

 

一夏

「まぁ、続きを聞いてくれよ。その男の子が目を覚ました時、真っ先に現れたのは、その男の子の姉さんだった。

そして、その男の子の姉さんは、男の子にこう言ったんだ。

 

『どうして、そんなになるまで私に言ってくれなかったんだ』

 

って。つまり、その男の子がやってきたことは、自分の姉さんを悲しませることでしかなかったんだ」

 

女の子

「そんな……じゃあ、わたしも……」

 

今自分がお母さん達のためって思ってやっていることは……

 

一夏

「結局、人の心の中なんて、いくら家族でもわかるわけない。

そして、直接家族に話して聞くしか知る方法なんてないんだよ。

だから、お前も自分の中で無理していることがあるなら、ちゃんと家族と話してみろ」

 

女の子

「でも……」

 

もしお母さん達から受け入れてもらえなかったら、わたし。

 

一夏

「言っただろ。ちゃんと直接話してみるしかわからないって。

自分の心が命じたなら、それが自分が一番したいことなんだ。

勇気を出して聞いてみろ。きっと上手くいくさ」

 

女の子

「・・・ッ!うん!」

 

なんだかわからないけど、幽霊さんの言葉には、なんとなく自身が持てる。

 

一夏

「はは、良い笑顔だな。そうしてる方が、俺はかわいいと思うぞ」

 

女の子

「ふえっ!か、かわいいって……////」

 

いきなりかわいいって言われて、照れちゃうの。

 

一夏

「ん、どうかしたか?」

 

女の子

「う、ううん!あ、そうだ、よかったら、幽霊さんの名前教えてほしいの。わたしの名前は、【高町 なのは】。【なのは】って呼んで!」

 

いつまでも幽霊さんっていうのは失礼だと思って、幽霊さんの名前を聞く。

 

一夏

「俺か?俺の名前は……「なのは!」ん?」

 

なのは

「ふえ?あ、お兄ちゃん」

 

すると、向こうからお兄ちゃんがやって来た。

 

お兄ちゃん

「こんな時間まで帰ってこないから、探しに来てみれば、ほら、帰るぞ」

 

なのは

「あ、ちょっと……」

 

いつの間にか辺りは真っ暗だ。お兄ちゃん達が心配になって探しに来るのは当然。そのままお兄ちゃんはわたしの手を取り、引っ張っていく。

わたしは幽霊さんがいた場所を振り返が、幽霊さんの姿はもう見えない。結局名前は聞きそびれちゃった。

 

なのは

「ねえ、お兄ちゃん……」

 

お兄ちゃん

「ん、なんだ?」

 

なのは

「あのね、お家に帰ったら、お母さんやお兄ちゃん、お姉ちゃんに、いっぱいお話ししたいことがあるんだ」

 

うん、幽霊さんの言う通り、ちゃんと家族で話すよ。わたしが感じていること、わたしがなにをしたいのかを。

 

☆☆☆

〜〜一夏視点〜〜

 

一夏

「がんばれよ、【なのは】」

 

【なのは】があの子の兄さんに連れられて帰り、公園には俺が1人だけ。

こんな時間に子供がと思われるだろうが、こんな身体だ、誰かに見えることはないだろう。

 

一夏

「こんな身体(幽霊の姿)で誰かと話しができるなんてな」

 

幽霊の姿で誰の目にも留まらない姿で、正直心細く無かったと言われれば噓だ。にもかかわらず、あの子とは話がすることができた。

それだけでも、少し気が紛れた。

 

一夏

「【なのは】、ちゃんと家族と話しができただろうか?」

 

俺があの子のおかげで救われたように、【なのは】も救われてほしい。

 

一夏

「あ、なんだか、安心したら眠気が……」

 

こんな身体でも、眠くなるんだな。だんだん、意識が……

 

・

・

・

・

・

 

一夏

「ん、あれ、なんだここ?」

 

目を覚ますと、いきなりさっきまでいた公園から、全く何も無い空間で目を覚ました。

 

一夏

「え、あれ?俺の身体⁉︎」

 

さっきまでの半透明な幽霊の姿と違い、身体が完全に元に戻っている。

 

一夏

「さっきまで公園にいたはずだよな?つうか、ここどこだよ?」

 

右を向いても左を向いても果てしない空間が広がっているだけ。

 

???

「ほぉ、こんな場所にワシ以外に訪れる者がいようとは」

 

一夏

「・・・ッ⁉︎だ、誰だよ、あんた?」

 

いきなり俺の背後から声をかけられ振り返りながら距離を取る。

 

???

「わしか?わしの名は、【ユン=カーファイ】。ただの散歩好きの老いぼれじゃ」

 

【ユン=カーファイ】と名乗ったその人物は、老人というにはあまりに若々しい容姿。そして何より……

 

一夏

(この人、かなりできる……)

 

一切の隙を感じさせない佇まいに、俺はそれ以上動くことができなかった。

 

To be continude




なぞの空間で目を覚ました【一夏】。
そこで出会った、【ユン=カーファイ】と名乗る老剣士。
そして【一夏】は、思いがけない人物と再会を果たす。
【一夏】の旅が今始まろうとしていた。
次回リリカル・ストラトス第4話
『旅の始まり』

☆☆☆
ど〜もハッピー野郎でーす。
今回ゴースト状態での原典主人公との出会いでした。
幼い【なのは】の前に現れた本編オリジナルの連中はまぁわかる方はわかると思いますが、単なるかませ犬でしかありませんでしたね。
最後に現れました、他作品からの登場人物、【ユン】老師。
この作品での容姿は、KHの【マスターエラクゥス】(ヤング)と考えてください。
Pixivと並列しての投稿になりますので、毎回遅いと思いますが、温かい目で見てください。
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