彼は平穏を守りたい   作:失踪常習犯

1 / 2
原作開始前
#1


気がつくと、少年は瓦礫の平原の上にポツンと立ち尽くしていた。辺りを見渡せば、ボロボロになったビル、崩れた民家が目に飛び込んできた。自分が何故ここにいるのか、何故このような惨状の上に立っているのか、記憶が曖昧だ。誰か居ないのか。そう思い、彼はどこへともなく歩き出す。

それは、前触れもなくやってきた。上空には黒い靄のようなものが現れ、中からは異形。街は破壊され、おびただしい程の叫び声の数がこだましていた。人も沢山殺された。恐らく両親も殺されてしまったのだろう、なんて、歩きながら記憶を整理する。

 

「一体なんなんだよ…これ…」

 

あちこちを破壊された街を宛もなく歩く。

自分が通っている学校も。

行きつけだったスーパーも。

何もかもがただのコンクリート片と化していた。

両親を殺された悲しみよりも、目の前の光景への絶望感が勝ってしまう。

 

歩き疲れた少年は、やがて倒れてしまう。

 

「くそっ…なんで…」

 

拳を握りしめ、何度も、何度も、地面を殴りつける。

そして、自分の無力さを痛感する。

 

「誰か…助けてよ…」

 

思考する程の力もなくなり、少年は涙を流しながら意識を失う。

 

次に少年が目を覚ましたのは、被害が落ち着いた頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっすらと差し込んできた光に、ゆっくりと目を開ける。

ここはどこだ。何故ここにいる。

覚醒しきらぬ意識のなか、1人の男に声をかけられた。

 

「大丈夫だったか?」

 

身体がビクッ、と反応する。

声の方を向けば、1人の青年がいた。

 

「君、名前は言えるか?」

 

来栖 霞(くるす かすみ)…」

 

優しい声音で尋ねられ、答える。

 

「来栖霞くんか。年齢は?」

 

「えっと…じゅう…にさい…」

 

その人は、忍田と名乗った。

その人に聞いた。

貴方は一体何者か。

一体何が起きたのか。

あの黒い靄のようなものは何か。

そしてそこから現れたものはなんだったのか。

 

彼は答えた。

 

「私はボーダーという組織の一員だ。黒い靄のようなものは門、そして門から出てきたものを、我々は近界民(ネイバー)と呼んでいる」

 

更に彼はこう言った。

 

『奴らは我々が倒した』

 

倒した、確かにそう言った。

 

あれに倒す手段などあったのか?

 

そもそも近界民とはなんだ?

 

いや、違う。倒す手段などどうでもいい。あれが何だっていい。

 

もし倒せるなら。

 

もし日常を守れるなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺をボーダーに…入れてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何よりも力が欲しい。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの災害とも呼べる日から、早くも半年程が経った。

街は、驚く程の早さで復興が進んでいた。被害の中心となった地を拠点とし、ボーダー本部が建設された。

そして、晴れてボーダー加入を果たした俺は、今日も今日とて訓練を行っていた。内容は、隊員同士による一対一の戦闘。いち早くトリガーに慣れる事を目的とし、毎日のように行っている。

 

「ぬあ〜負けた〜!」

 

そう叫ぶのは、自分より3つ歳上の、太刀川慶という青年。彼も、自分と同じように志願してボーダーに入ったらしい。もっとも、彼の入隊動機は『戦うため』だそうだが。

 

「おい霞、お前やっぱつえーな!次は勝つからな!」

 

「悪いけど俺は次も勝つよ、太刀川さん」

 

模擬戦を終え、お互いに一息つく。

俺達の戦いを見ていた他の隊員も、そんな俺達に駆け寄ってくる。

 

「2人ともお疲れ様。いい戦いだったよ」

 

「次、どちらか俺と戦え」

 

東春秋と風間蒼也。どちらも年齢に差こそあれど、俺と太刀川さんと同時期に入隊した同期であり、大事な仲間である。

東さんは俺より8歳も歳上であり、明るく面倒見もよいので、とても話しやすく信頼している。

風間さんは俺より4つ歳上の、少しクールな性格をしている。少し取っ付き難い所もあるが、根は仲間思いで意外とノリがいい事が分かっている。もちろん風間さんも信頼している。

他にも同時期入隊の人物はいるが、今この場には俺達4人しか居なかった。

 

「2人ともありがとうございます。でももう12時過ぎてるんで昼ご飯にしませんか?模擬戦はその後ってことで」

 

「おっ、そうするか。時間はまだあるからな」

 

俺が提案すると、東さんが乗ってきてくれた。2人も特に異論は無いようだったので、俺達は本部の備え付けの食堂へと向かう。しかし、そこへ忍田さんが現れ、告げる。

 

「近くでゲートの発生を確認した。君達にはそこへ向かって欲しい。トリオン兵が出てくるようならばそれを撃破し、報告してくれ」

 

「了解、サクッといってやるか〜。ほら、行こうぜ霞」

 

「そうだね、行こうか太刀川さん」

 

太刀川さんはヘラヘラしながら言うが、先頭に於いては真面目である。それを俺は知っている。だから、俺は着いていく。

 

 

 

 

ここから、俺達の長い、長い戦いが始まった。




ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます。
書いてて途中で分からなくなってきましたが、1話目を書き上げることができました。
不定期更新となりますが、何卒よろしくお願いします。

感想、評価も遠慮なくお願いします。お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。