彼は平穏を守りたい 作:失踪常習犯
前回の話が原作の4年半くらい前になるので今回は3年くらい前のお話ですね。主人公達は中学2年生にあたります。
色々と試行錯誤しながら書いているので読みにくかったら教えて下さると幸いです。
一人称と三人称、どっちが読みやすいんでしょうか。
身体が揺さぶられる感覚に目を開ける。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。机に突っ伏していた顔を上げ、彼は自分を目覚めさせた少女の方を見る。
「あ、やっと起きた。まだ授業中だから寝ちゃダメだよ?」
「ん…ありがと」
霞の視線に気づくと、彼女は注意を促す。
隣の席の少女は、名を綾辻遥という。容姿端麗、成績優秀、おまけに人当たりも良く教師からも評価の高い完璧な少女だった。
そんな綾辻の注意を受け、自分が寝てしまってから進んだ授業の分をノートへと写す。
少し眠りすぎてしまったのだろうか。写している最中に授業の終了を報せるチャイムが鳴る。
今日の授業はここまで、という声を合図に友人と喋り出す生徒や他クラスへ足を運ぼうとする生徒もちらほらと見受けられ、教室内には次第に生徒達の声が聞こえ始める。しかし霞は、教室内の喧騒をものともせず、次の授業の用意を淡々と行う。別に友人が居ないわけでも無いが、そこまで頻繁に話をする人物がいる訳でもないため、ただ淡々と時間を過ごす。
暫くぼんやりとしていると、やがて授業の始まりを報せるチャイムが鳴り、教師が入ってくる。授業が始まるのか、そんな事を誰もが思った矢先、『それ』は起きた。
やかましい程にけたましく鳴り響くサイレン。校庭の真上に突如と発生した黒い靄に、生徒達は釘付けとなった。
お、おいっ!なんだあれ!
うわ、やべぇ!
なんだなんだ!
教室内にはざわめきが走る。見慣れぬ光景に席を立ち、窓際へと寄る者、仲の良いグループであれは何かと論議する者など、反応は様々だった。
そんな状況を横目に、霞は教師へと近づき、指示を出す。
「えっと、先生。あれ、ちょっとヤバいっぽいので体育館に避難させて貰えますか?あれ、多分ネイバーなんで」
「わ、分かりました。でも来栖君は?」
「大丈夫ですよ。俺、ボーダーなんで」
ボーダーって、あの?という教師の声は無視し、学級委員である綾辻へと声をかける。
「綾辻さん、綾辻さんには先生と協力して皆を避難させて欲しい。怖いとは思うけどちょっと急ぎなんだ。頼むよ」
「う、うん。でも来栖君は?」
さっきの先生と同じ反応だな、なんて霞は思う。まぁ、大丈夫だよ。とりあえず。とだけ返し、窓から飛び降りながら呟く。
「トリガー起動」
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着地する寸前に、淡い紺色のコートを羽織ったトリオン体への換装が完了する。少しタイミングが遅れれば一大事になっていたかもしれない、なんて事は置いておく。さて、今は目の前のトリオン兵に集中しよう。そう思い、余計な思考を祓う。目の前に現れたのは3体のトリオン兵。2体は巨大だが、それ程の脅威でも無かったはずだ。あと一体は先程のよりは小型だが、戦闘力が段違いのもの。しかし、霞にとっては特に懸念がある訳でも無い。さっさと片付けよう、そう思い腰に携えている剣状のトリガー、孤月を抜く。弱点は3体とも一律して、目玉のような模様と佇まいの部分。まずは戦闘力の高い方を倒し、付近の安全を確保する事が優先かな、そう思い、そこをめがけ孤月で斬りつける。すると、トリオン兵は活動を停止させる。
「まずは一体。次だ」
そう呟き、残りの2体を見やる。
一体はこちらへ砲撃の準備をしていた。砲撃をされれば、周囲への被害も出るため防がねばならない。目玉を目掛けて地面を蹴り、先程のトリオン兵と同じように斬りつければ、たちまち動きは停止する。
よし、ラストだ。そう思い、もう一体のトリオン兵へと視線を向ける。しかし、その先に居たのはトリオン兵だけでは無く、霞の見知る少女だった。
「綾辻さん…?なんで…」
彼女は昇降口に立っていた。何故だ?そんな事を考えたのも束の間、トリオン兵が彼女へと腕を振り下ろす。不味い、そう思い、彼女の元へと全力で跳び、そのまま抱きかかえて校舎の屋上へと彼女を降ろし問う。
「綾辻さん、ホントに危なかったよ…なんで出てきたの?」
「来栖君が気になって…。ごめんなさい。まさか迷惑かけるとは思わなかったの」
なんとも優等生らしい回答だった。しかし彼女は本心で言っているのだろう。それはあまり話す事の無い霞にも分かっていた。
「まぁ怪我が無いみたいだからいいけどさ。まだ途中だからちょっと待っててくれ。すぐ終わらせるから」
そう言い、再びトリオン兵に注目する。やはりこいつも砲撃のの準備をしていたようで、少し動きが止まっていた。そこを狙い、高低差を活かして飛び降りながら斬る。斬った跡からはトリオンが漏れだし、トリオン兵は撃沈する。ふう、と一息つき、綾辻の元へと戻る。
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「さて、綾辻さん。少し説教だ。さっきも言ったけどさ、あんな危ないとこに出てくるのは流石に不味いよ」
「うん…ごめんなさい…」
彼女は深く反省しているようで、素直に言葉を受け入れた。
「でも心配してくれたのは嬉しかったけどね。でも危ない事はして欲しくない。俺はもし君に何かあったら悲しいんだ」
「どうして?」
霞は続ける。
「大規模進行でさ、俺、家族を失ったんだ。身近な人を失うって想像してるよりも悲しくてさ。立ち直るのも難しかったんだよね。でも俺はああやって戦っている。何でだと思う?」
「えっと…」
綾辻は言葉を濁し、質問には答えられずにいる。
「まぁ分かんないよね。正解は簡単だ。あんな思いを二度としたくないからさ」
さらに続ける。
「あの時自分も戦えたら助けられてたかも、って思った事があってさ。だったらこれからは全部守れるようにしようって。至極単純な同期さ」
「でも凄いね。そうやって自分で割り切れるところ。わたしだったら多分無理だと思うから。来栖君は凄いよ」
霞は自分がボーダーに入った理由を話した事が無かった。話せば同情されるのが多数だろう。そう思い、話した事が無かった。しかし、彼女、綾辻は受け入れ、ましてや自分が凄い。そんな事を言った。
そして、綾辻は続ける。
「来栖君って、ボーダーっていう組織に入っているんだよね?今の話を聞いてわたしも力になりたいって思ったの。だから入れたりしないのかな?」
予想外の問いに、少し面食らってしまうが、霞は答える。
「まだ造られてからそんなに経ってないから人数も少ないし、入れるんじゃないかな?多分面接とか試験とか受けて合格すれば入れたはずだけど」
「そっか、ありがとう!もし入れたらよろしくね!」
彼女は笑顔で告げる。
後に彼女は、A級5位嵐山隊のオペレーターとなるが、それはまだ未来のお話。
実はヒロイン候補に太刀川さんもいます
文章が下手くそで申し訳ない。