INFINITE・DESTROY   作:花蕾

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第22話

『この本によれば、転生者である織斑秋十により、正史とは異なる未来になり破壊者ディケイドの力を得た織斑一夏、いや、門矢一夏。彼は黒き破壊者の力をもつ門矢零と共に世界を股にかける。ついに始まった臨海学校。門矢零が海で最初にやる行動に驚かされる織斑千冬。そして、現れる天災。おっと、皆さんにはまだ先の話、でしたね』

 

◇◇◇

 

臨海学校初日。すでに旅館には挨拶しており、初日である今日は、海で遊ぶことになった。

 

「で、門矢先生は何をしてるんだ?」

 

「見て分からんのか?海の家だぞ」

 

「それは見てればわかる。言いたいことはなんでここに建ててるのか、ということだ」

 

「む?ダメだったか?一応、学園長からは許可は貰っているが」

 

「それならいいが…焼きそばを一つくれ」

 

「まいど」

 

手際よく焼きそばを作る零。その手捌きを見てほうと息を漏らす千冬。香ばしい匂いが鼻から入っていき、食欲を刺激する。

 

「ほう、美味しそうだな」

 

「冷めないうちに召し上がれ」

 

千冬は勢いよく麺をすする。麺はちょうどよくソースに絡んでおり、味はしつこすぎない。何杯でも食べれそうだ。

 

「うまいな」

 

「だろう」

 

うざいくらい自信満々の顔をする零。だが、実際美味しいので文句は言えない。

匂いにつられたのか、大勢の生徒がこちらをよだれを垂らしてみている。

 

「………」

 

「………」

 

「ふっ、かかってこい。麺の貯蔵は充分だ。なんならかき氷もあるぞ」

 

零の言葉を皮切りに生徒が殺到。最初は順調に捌いていたが、徐々に列が長くなり、零一人では捌けるかどうか分からなかった。

 

「手伝おっか?」

 

「いいのか?」

 

「勿論♪」

 

「俺も手伝うよ、兄貴」

 

一夏とシャルロットが手伝い始め、最終的には専用機持ち全員と箒が手伝うという豪華な海の家、となった。

 

◇◇◇

 

「やーやー、君がいっくんとあっくんと箒ちゃんとちーちゃんに近づくお邪魔虫?」

 

「焼きそば大盛り目玉焼き乗せか、わかった」

 

「そんなこと言ってないよね!!」

 

零は特に相手の声の内容は聞かず、言葉の長さからなんとなく自己解釈した。全く違うのだが。

 

「はい、お待ち」

 

「いや、そんなもん頼んでないんだけど…」

 

「次が待ってるんだ、商品貰ったやつはさっさと列から離れろ」

 

「なんで!タバネさんがそんな有象無象のこと考えないといけないの!」

 

「そういうのいいからどけ。おい、お客様のお帰りだ!」

 

「ん?どうかしました、かぁ!?」

 

海の家の建物内から外の言い合いが気になったのか、箒が出てくる。

 

「ね、姉さん!?」

 

「やっほー、箒ちゃん。元気?」

 

「元気、じゃないですよ!」

 

「おい、篠ノ之。知り合いならどけろ、邪魔だ」

 

「あ、はい」

 

零の言葉通り、箒は自身の実姉でありISの創造主、篠ノ之束を列から引っぺがす。

 

「箒ちゃん、あいつの対応、マジ最悪。頭どうかしてるよね〜」

 

「頭どうかしてるのは姉さんのほうですよ…」

 

「あ、この焼きそば美味しい」

 

話が通じない、といつも通りの感想を姉に抱きつつ、忙しさのあまり、なぜここにいる姉がいるのかというのを聞き忘れた箒であった。

 

◇◇◇

 

臨海学校2日目。昨日に麺は切らしたため、今日は海の家を開店しないことにした。まあ、麺が余っていようと、昨日とは違い授業がメインとなっている今日、開店する余裕はないのだが。

 

今日の最初のお題目はISの装備試験。専用機持ちは専用パーツのテストとのこと。

 

「ああ、篠ノ之、お前はちょっとこっちに来い」

 

「?どうしました?」

 

打鉄の装備を片手で運んでいた箒は千冬に呼ばれたため、そちらに向かう。

 

「お前には今日から専用ーーー」

 

「ちーちゃ〜〜ん!!!」

 

砂埃と共に人影が猛スピードでやってくる。

 

「…束」

 

千冬は眉間にしわを寄せながらその人物の名を口にする。

 

「やあやあ、ちーちゃん、会いたかったよ!さあ、ハグハグしよう!愛を確かめ合ーーぶへっ」

 

飛びかかってきた束の顔面を千冬は片手で掴む。束の頭からは頭蓋骨が軋む音が次第に大きくなってーーー

 

「ち、ちーちゃん。そろそろギブかな〜って束さん、思ったり」

 

「ふん!」

 

「アギャア!?」

 

ようやく、千冬が束を手から離す。束はよっと着地して箒のほうを、キメ顔をしながら向く。まあ、千冬の手の跡があって、キメ顔は台無しなのだが。

 

「やあ!」

 

「どうも」

 

「えへへ、久しぶり、でもないか」

 

「ですね、昨日も会いましたし。で、何の用ですか?」

 

「もう箒ちゃん、好物は先に食べるタイプ?ケチケチしてるな〜」

 

「誤魔化さないでいただきたい。貴方がわざわざここまでくるようなことをしている理由が聞きたいのです」

 

「はあ〜たくもう。じゃ、大空をごらんあれ」

 

激しい衝撃音と共に何かが砂浜に落下してきた。

 

「おわっ!?」

 

「なんだ?」

 

銀色のそれは正面の壁がパタリと倒れて中身が露わになる。

 

「じゃじゃーん!これぞ、箒ちゃん専用機こと、『紅椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」

 

真紅の装甲をしたその機体は、動作アームによって外に出る。

 

「さあ!箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズを始めようか!」

 

これに対する箒の返答はーーー

 

「ふざけないでいただきたい」

 

「え?なんて?束さん聞こえなかったな〜」

 

「ふざけるな、と言っているのです。何が専用機ですか。私は欲しいなんて一言も言ってません」

 

「で、でもあったら便利だし」

 

「打鉄で十分、いや、ISなしでも私は戦えます。姉さんなら知ってるでしょう、私の強さ」

 

「ぐぬっ」

 

その言葉に束はカエルのような声をだす。事実、箒は千冬には及ばないものの、それに準ずる実力の持ち主だ。今更、専用機を渡されたところで把握できてない武器が増えてむしろ扱いにくくなるだけだ。

 

「お引き取りください、姉さん。ここにいても時間の無駄です」

 

ここからは姉妹の押し問答が始まる。終わりの見えない言い合いに零はあくびをしながら見ていた。

 

そんな時だった。

 

「たっ、た、大変です!お、おお、織斑先生っ!」

 

麻耶は慌てた様子で走ってき、千冬に持っていた小型端末を手渡す。

 

「全員、注目!」

 

千冬は手をバンバン鳴らし、生徒たちの注目を集める。

 

「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へ移行する。今日のテスト稼働は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機すること、以上!」

 

その台詞で生徒は騒ぎはじめるが、

 

「とっと戻れ!以後許可なく室外に出たものは我々で身柄を拘束する!いいな!」

 

「「「「「はっ、はい!」」」」」

 

「専用機持ちは全員集合しろ!織斑、オルコット、門矢、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰!」

 

「はい!」

 

専用機持ちが威勢のいい返事をあげる。

 

零は閉じていた目を開け、何か嵐の予感を感じたのだった。




初の戦闘なし回。いかがだったでしょうか。臨海学校編もスピーディーに終わりそうですが、お付き合いください
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