五月二日
ここまで逃げれば安全と、気を抜けたのは先程の昼寝をしたベンチまで戻って来た後だった。暇つぶしという名の鬼ごっこから、
原因は芸夢にあるのだが。以前に関わった銀行強盗事件から芸夢は白井黒子にマークされており、公園で昼寝をしていたところを注意されていた。
危うく
「(喉が渇いたな。)」
先の鬼ごっこで流石に喉が乾いてきた芸夢。ベンチを立ちあがり、隣にある自販機の前に立つ。
「なんだこれは…」
目の前にある自販機の販売品を見て、思わず声が出てしまった。
『ホットおしるこ』『黒糖サイダー』『きなこ練乳』『抹茶ミルク』『ヤシの実サイダー』等、普通に売ってしまってもいいものなのかと、思わず疑問に思ってしまう飲み物ばかりだ。缶コーヒーくらいしかマシと思えるものがない。
それ故に、彼が選んだものはメーカー不詳のコーヒー。喉の渇きを潤すには、些か不似合いなのだが、あれらの得体の知れない飲み物を飲むよりは断然いい。
そんなことを思いつつ、プシュと飲み口を開けた。炭酸ジュースを開けた時の様な音が鳴り響く。開けたのは缶コーヒーなのだが。
「ゴクッ…ゴクッ…」
とコーヒーを口に運ぶ。
「(あぁ…美味い。)」
舌に残るほのかなコク、それらを活かすために入れられた少量のミルクのまろやかさ。俗に言うカフェオレなのだが、この組み合わせが何とも言えない素晴らしさなのだ。子供でも大人でも、気軽に飲める上に、コーヒーとミルクの奇跡のクロスオーバー。考えた人は、世界中の人から、さぞかし感謝されているだろう。
そんなことを考えながら、一息入れている時であった。
「あんた、隣いいかしら。」
と声を掛けられる。
声がした方向に顔を向けると、一人の少女が立っていた。
見目麗しく、化粧のいらない整った顔立ちであり、肩まで届く短めの茶髪に花飾りのヘアピンが特徴的だ。服装は何処かの中学の制服を着用している。
「あぁ…どうぞ。」
芸夢は少し横にずれ、スペースをを作る。
ベンチの空いたスペースに腰を掛ける少女。プシュと飲み口を開ける。ゴクッゴクッと喉が鳴る音と共に喉の渇きを癒していく。
「プハァ~。体に染みるわ~」
何ともビールを飲んだ中年親父ような台詞。それほど喉が渇いていたのか、僅かに嬉し涙も見せている。
「あんたもここによく来るの?」
少女からの質問が飛んでくる。芸夢の顔を覗き込み、無垢な瞳で見つめる。
「あぁ、ここは僕のお気に入りでね。昼寝をするには絶好の場所さ。」
と気軽げに返事を返す。
「へぇ~そうなんだ。確かにいい場所だけど、そこまで気に入ってる奴がいるとは思わなかった。あっ、あたし御坂美琴(ミサカミコト)。宜しく。あんたの名前は?」
「僕は神野芸夢。ただの高校生だ。」
互いに名を明かし、自己紹介をした両名。
「カミノ…ゲイム?どこかで聞いたことあるような?」
芸夢の名前にどこか違和感を覚える美琴。唸りながら、芸夢の名前の出どころを探るため思考を巡らせる。
考えること一分が経過。
「うーん、だめだ。思い出せない。」
「僕の名前を何処で聞いたかは知らないが、君とは初対面だ。別の人物と名前を勘違いしたんじゃないか?」
と芸夢はコーヒーを啜りながらそう答える。そして飲み終わった缶をゴミ箱へと放り投げる。缶は放物線を描きながら、綺麗にゴミ箱の中へとシュート。
新しいコーヒーを買うため、ベンチをたった時であった。
「見つけましたわ!!」
と辺りの静寂を破るような声が響く。甲高い声に、このお嬢様口調。該当する人物はただ一人。
芸夢と美琴は声がした方に顔を向ける。
街灯の上に聳え立つ一人の少女。
「とうとう見つけましたわ!さぁ、お縄につきな……お姉様!!?」
「黒子!?あんたどうして此処に!?」
黒子と美琴は互いに指を差し合う。二人は知り合いなのだろうか。驚いた様子でそんなことはお構い無しに芸夢は二缶目のコーヒーを飲み口を開ける。
そう、彼は察していた。このあと起きることに諦めを感じながらコーヒーを啜る。
「私が貴方を必死に探し回っている間に、お姉様とイチャイチャするなんて、許しませんわ!! 」
「あ、あたしは別にこんな奴とイチャイチャなんかしてないわよ!!たまたま隣にあいつがいただけよ!!」
周りの事など知ったことかとばかりに喧嘩を始めた二人に呆れ、ベンチを立ち上がり、その場を去ろうと歩き始める。
「「お待ちなさい(よ)!!!」」
そんな簡単にはいかないかと、溜息をつき、二人の方へと振り返る。
「まさかこの状況で帰られるとお思いで?」
「元はと言えば、アンタのせいでややこしい状況になったんじゃない!責任取りなさい。」
黒子は怖い笑顔向け威圧し、美琴は赤面になりながら怒る。
二人のあまりにも理不尽すぎる理由を突きつけられ、思わず呆れた芸夢。今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
「悪いが余りの理不尽すぎる理由を素直に受け入れる程、僕は寛容じゃない。それに君達が勝手に起こした喧嘩に巻き込まれている被害者だ。まったく、巻きこまれたこっちの身を考えて欲しいものだよ。」
「シャラップ!!それでなくとも貴方は先程風紀を乱しましたわ!!大人しくお縄につきなさい!!」
何処から取り出した鉄の矢を芸夢に向けて放つ。放たれた矢は芸夢へと真っ直ぐと進み、当たるかと思われたが、次の瞬間。矢は当たる直前に、壁にでも当たったかのように弾かれた。
「なんと!?」
これには流石の黒子も驚きを隠せなかった。
「おっと、そんな物騒な物をいきなり投げないでくれよ。驚くだろう?」
芸夢の顔に驚きの表情などはなく、何処と無く余裕の表情を保っていた。
「ならこれならどう!!」
美琴は右腕を芸夢を向け、電撃放つ。速度も威力も申し分ない一撃が芸夢を襲う。
雷撃が命中し、あたりに砂塵が舞う。
刹那、雷鳴と共に一人の悲鳴が辺りに谺響する。
「やったわ!!」
「流石ですわ、お姉様!」
蒼白い電光と共に土煙が晴れ、芸夢の倒れ伏している姿が顕になると思っていた二人であったが、予想外の出来事に期待を裏切られる。
「ふ、不幸だ…」
と言い残し、電撃のショックにより気絶した。
倒れ伏しているのは芸夢ではなく、二人が全く見知らぬ学生。
いや、それよりもだ。彼は何処行ってしまったのか。行方を見失った二人は辺りを見回す。
「一体どこに!」
「案外君たちのすぐ近くだったりしてね。」
と後ろから声が響く。
二人は後ろを振り返る。その男、芸夢は片足で立ち街灯の上で佇んでいた。
「いや~彼には悪い事をしたな。悪いが後で病院にでも連れて行ってくれ。じゃあまた会えたら宜しくね、
薄らと笑い、彼はその場から消えた。
「クソ!逃げられた!!」
能力を使ってまで逃げられことに腹を立てて美琴は地団駄
を踏んで悔しがる。
「すみません、お姉様。私が早く捕まえていれば。」
「はぁ、もういいわよ。それにしても、さっきの矢を止めた事といい、さっきの
芸夢に対しての謎を深めていく美琴と黒子。こうして
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一方、逃げ出した芸夢はと言うと。
「(はぁ…暫くあそこで昼寝が出来ないな。)」
お気に入りの場所に、暫く立ち寄る事が出来ない事に悲しんでいた。
まだまだ表現が上手く書けず、曖昧なところがあるかもしれないので、指摘やアドバイスをお願いします。
こんな駄作ではありますが、見てくださった方はありがとうございました。
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